ソニーグループの介護人材採用戦略
介護業界に 携わる我々に様々な示唆を
与えてくれるであろう記事に出くわしました。
今日は、その内容
を皆様にも共有させていただきます。
ソニーグループの介護人材採用戦略に関する
エピソ ードです。
(出典 ケアビジネスパートナーより)
> ●東京・世田谷区の祖師ヶ谷大蔵駅近くに2016年4月、
介護付有料老人ホームがオープン した。
「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」。
ソニーグループが自ら開設した初めての
有料老人ホームである。
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●立ち上げに当たり、同社グループの介護事業を担う
ソニー・ライフケアは2015年7月か ら、職員の採用募集を
始めた。一般社員やパートを含め、募集定員は34人。
ただでさえ介 護現場の人材不足が叫ばれる環境下、
世田谷区は大手介護事業者の牙城。
「人材が集まらな いのでは、と行政からも
ストレートに質問された」と
ソニー・ライフケア 代表取締役社長
の出井学氏は明かす。
ところが、その懸念は杞憂に終わった。
ふたを開けてみると定員の3倍、101人からの応募 が
あったのだ。
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> ●ソニーブランドゆえか。そうではない、という。
介護パート職種を例に挙げれば「ソニー グループだから、
という入社動機は5%にすぎなかった。ソニーブランドを
意識していた人 はほとんどいない」(出井氏)。
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●では何が功を奏したのか。「介護に対する考え方、
商品企画、そして従業員に対する目線 が評価された」
(出井氏)。半年を越える採用期間を確保したことや、
採用活動費を惜しまな かったことも大きい。だが
決め手となったのは、従業員とのマッチングを重視した
商品企画 や面談にあったと出井氏は強調する。
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> ●「高齢者住宅フェア2016in東京」(2016年7月27~28日、
東京ビッグサイト)の併設 セミナーに登壇した出井氏は、
ソニー・ライフケアが取り組んだ“価値観の共有”を重視し
た採用活動について語った。
介護業界の志望者には「報酬ドリブンな仕事を求めるマインド
セットはない」(同氏)。どのような価値を、
顧客(居住者)や職員に提供しようとしている のか。
その姿勢こそが吸引力になるという。
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> ●提供する介護の“質”にこだわるソニー・ライフケアが
それに劣らず重視するのが、職員 が働く環境の質。
業務オペレーションや居室設計を
「従業員視点でもとらえる」(出井氏) 発想だ。例えば、
介護現場でのロボット活用に対する考え方に、その一端が
垣間見える。
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> ●出井氏がロボット活用の“お手本”に挙げたのが、
石川県の温泉旅館「加賀屋」。料理自 動搬送システム
を導入することで客室係の負荷を軽減し、接客に集中
できる環境を整えた。
> 介護でのロボット活用を考える上ではこのように
「効率化によってできた時間を、いかに人 と人の
触れあいの時間に回せるかが大切。“客との接点”
を効率化すべきではない」(同氏)。
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●ソナーレ祖師ヶ谷大蔵では、居室設計にも介助のしやすさ
などの従業員目線を取り込んだ。全室に、人手による給水が
不要な自動給水式の加湿器を配備。
ベッドも転落防止を重視 した超低床型ではなく、介助との
親和性などを考慮した高床型を採用した。
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> ●こうした配慮をしつつ、実際の採用活動に当たっては、
一般社員採用の面談は最低3回 を実施したという。
ソニーグループが介護事業に参入した背景や理念を
アピールするなど、 面談する側からの情報提供”に注力。
職場の雰囲気を魅力的に伝えられるように、1次面接は
入社時の同僚になる社員が担当した。
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●価値観を共有すべき相手とのマッチングを重視した、
きめ細かな採用活動。そこからにじ み出るのは、ソニー
グループが介護事業の基本方針とする
“質が量を作る”への信念だ。