AIやロボットの活用を介護報酬に反映
2025年を見据えて新しい医療・介護システムの
構築を目指す意向を表明した。健康の維持や重度化の予防、
自立の支援といった視点をより重視した制度に変えるとともに、
人工知能(AI)やロボット、見守りセンサー、ICTなど
最先端の技術をフル活用していく構想を説明。
改革のスピードを早めるため、施設・事業所の人員配置基準
や報酬の見直しに踏み込むと言明した。
増大するニーズに応えられる効率的な体制を作りつつ、
膨らみ続ける社会保障費の抑制も達成したいという
思惑がある。安倍首相は席上、「パラダイムシフトを起こす。
目標時期を明確にし、そこから逆算して実行計画を決める」
と号令をかけた。「2025年はすぐそこ。間に合うように
新たなシステムを2020年までに本格稼働させていく」とし、
関係閣僚に具体化を求めた。
塩崎恭久厚生労働相はこの日、当面の取り組みの工程表を
提示。2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に、
安倍首相の指示に沿った施策を盛り込みたい考えを明らかにした。
詳細な議論はそれぞれの審議会で進める。
今後、イノベーションの基盤をなす有用なデータベースの整備や、
ハイテク機器を活用するメリットの実証などを急ぐ。
2020年代初頭には、AIによる診療やケアの合理化、精度の
高い遠隔サポート、科学的に裏付けられた介護、職員の
負担軽減などを実現できるように展開するという。
会議に出席した有識者は、介護報酬改定で実施すべき措置を提案。
ロボットなどの導入を促す仕掛けを組み込むことに加えて、
自立支援の観点で効果が高いケアの内容を構造化・標準化し、
それを行わない事業者の報酬を下げることも打ち出した。
診療報酬については、遠隔医療の評価を対面と同等に設定
することや、AIによる診療の最適化を後押しすることなどを
あげている。
会合後に会見した石原伸晃経済再生担当相は、
「我が国が抱えている少子高齢化、人口減少といった課題を、
イノベーションの社会実装を通じて解決していく」と強調。
「医療・介護の分野はさらに議論を深掘りしていきたい」と
意欲をみせた。政府は今後、与党や現場の関係者との調整に
も力を入れる方針だ。