人事評価の有効性とは・・・
人事評価のための人事評価では全く意味はないのです。
他の施設や病院がやっているのでわが施設でもとか、
賞与、昇給の査定のためと言うならば止めた方が良いと
よくアドバイスをいたします。
1、人事評価、面接制度導入の効果とは
人事考課・面接制度を導入するメリットについて次のように
考えてます。
(1)人事考課制度の導入で組織が出来る。
企業ではあまり例のないことですが、病院や施設
では自分の上司が 誰か分からない状態の所があります。
例えば病院で言えば、一つの病棟に何人かの師長が
いたり、係もないのに師長の下に主任が数人いたり
するのは普通のこととして見かける
私の上司は誰なのか、部下は分からない。
部下は仕事の悩み、また仲間との人間関係などに
ついて誰に相談したらいいのか分らない。
その結果退職に至る。 すなわち人事評価制度を導入
するには上司と部下の関係を明確にしなければなりません。
人事評価制度の導入によって必然的に組織が出来ます。
組織が出来れば指揮命令系統が明確になり、
従って一つの課、係に、課長(師長)や主任が何人
もいると言うことはなくなるのです。
(2)面談は人間関係を醸成しモチベーションアップに繋がる。
人事評価制度を導入したお陰でとても人間関係や
人材の定着率が良くなり、また、職員のモチベーションが
上がったとの話を良く聴きます。
これらは面談制度の効用とも言えるでしょう。
面談は個人面談だけではなく、グループ面談もあり、
必要によりその必要な都度随時面接も行われる。
話し合うことによりお互いの友情も生まれる。
人は皆グループ(組織)の力になりたいと願い
グループ目標の達成に向け全力を傾けるように
なります。
(3)人材育成の有効なツールになる。
人事評価では絶対考課論をメインにする人材育成論が
いまや定着しています。人材育成には職能要件書や
役割要件書の作成が必要でその準備は大変ですが、仕事の質の
向上(クオリティー)には要件書は大切です。職種別、
等級別にこの等級でマスターしなければならない仕事と
その仕事の遂行資格要件(必要な知識、技術、資格免許など)
が明確化されているのが要件書です。
人事評価ではこの要件書を基準にして、その充足度を
絶対考課で確認することになり、正に人材育成制度
そのものなのです。
2、施設・病院に於ける人事評価の入れ方
人事評価には絶対評価と相対評価の2つがありますが
絶対評価は面倒で難しい。相対評価は一目見れは誰が
優秀か分るという声もあります。
ただ、前項でも述べた通り、人材育成につながるのは
あくまで「絶対評価」です。なぜなら、それは、
職員のモチベーションにつながる評価方法だからです。
職能要件という、自らの目前にあるハードルを越えるのは、
自分の努力で出来、また超えた後の達成感を感じる
ことが出来ますが、他人との比較は中心となる相対評価
では、本人の納得感がないなかで、評価が決まっていく
危険性が高いものです。
ただ、施設・病院ではこの評価を使い分けることも必要です
つまり一般職員は絶対評価論で職種別等級別に期待する
職能要件を作りその充足度で評価をする。
従って職能要件書を基準に評価をするので場合によっては
全員が期待のバーをクリアーして優秀(A考課)と考課される
場合もあります。また全員が問題ありと(D)と考課される場合も
理論的にはあり得ることになります。
しかし管理者以上は相対考課で、誰が一番組織に貢献したか
の数値評価、すなわち最終成果で評価する。
数字を持たない事務の課長以上者は「施設・病院全体の
総収入と付加価値(利益)の評価プラス各部門における
役割目標の達成度」で考課される。このようにシンプルな
制度とすると良いかもしれません。相対評価は点数順に
並べて正規分布スタイルでS~D考課の綺麗な凸カーブの中に
考課別に正規分布を作るのがやり方となります。
いかがでしょうか?
いずれにしても、人事評価には、これが「絶対的な正解」
というものはなく、各施設、病院にあった方法をカスタマイズ
していくコンサル方法を弊社では行うようにしています。
何かご参考になれば幸いです。