2018年度法改正に向けた議論の動き その1 訪問介護
各サービスの課題や検討すべき論点を整理する“第1ラウンド”
を8月23日に、その後、各事業者団体からのヒアリングを9月に
終えた後、衆議院選挙の影響でしばらく小休止となっていた
介護給付費分科会。
選挙が終わるや否やの10月25日(水)よりいよいよ具体的な
改正内容が見えてくる“第2ラウンド”が始まり、以降、
11月の終わりまで毎週1回づつの高頻度で議論が進められて
います。
そこで、11月の議論の中でも特に多くの方が関係されているで
あろう“訪問介護”“通所介護”に的を絞り、特に気になる
ところを抜粋しながらポイントを確認してまいりたいと思います。
では先ず、訪問介護についてです。
「訪問介護」に関する論点(抜粋)とは
ここでは主に“基礎報酬”に影響を及ぼす可能性がある部分を抜粋して確認してまいります。大きくは2つです。
【その1】
身体介護・生活援助の報酬のメリハリ強化
【その2】 同一建物減算の見直し
【その1】に関しては、「現在の訪問介護員の要件である130時間
以上の研修は求めないが、生活援助中心型のサービスに必要な
知識等に対応した研修を創設し、その研修を修了した者が
生活援助サービスの提供を担う」形をとることで、生活援助の
基礎報酬の引き下げが行われることになる方向です。
ただし、上述の通り、新たな研修を“創設”して“運用”する
関係上、実施までには一定の期間が必要になるものと思われます。
次に、【その2】に関して、今回の見直しのポイントとしては、
(1)今まで養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム
、サービス付き高齢者向け住宅に限って適用されていた同一建物
減算の範囲を「一般集合住宅」にまで拡大されること、
(2)事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に
居住する者のうち、「養護老人ホーム、軽費老人ホーム、
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に居住する
利用者の人数が1月あたり10人以上」「一般集合住宅に居住する
利用者の人数が1月あたり20人以上の場合」には減算率の
引き上げが実施されること、
の2点です。
特に(2)の「養護老人ホーム、軽費老人ホーム、
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に居住する
利用者の人数が1月あたり10人以上」に該当する法人
(=減算率が引き上げられる法人)は相当数存在すると思われ、
上記生活支援の基礎報酬減、及び、以前のニュースレターでも
お伝えさせていただいた「区分限度支給単位数との対照方法の
見直し」(=「減算後の低い単位数を足していく」という現行
の仕組みを改め、「減算前の単位数を足していく」方法に変更
する形で区分限度支給単位数と対照させていく=事業者に
よってはサービス利用回数が減ってしまう可能性あり)も
踏まえると、サービス提供状況によっては相当の収益ダウンに
陥る事業者も少なくないように思われます。経営としては迅速
に想定シミュレーションを行い、対応策について協議・検討を
進めることが重要となるでしょう。
また、上記以外の同サービスの改正テーマとしては
「自立生活支援を目的としたリハ職との連携強化」「サービス
提供責任者の任用要件の厳格化(=初任者研修課程修了者及び
旧2級課程修了者のサ責設置は2018年度で完全終了(2019年度
以降は減算措置等の対応も無し))」等も挙げられています。
合わせて確認をしておきましょう。
次回は、通所介護の動きについて見てまいります。