2018年度法改正に向けた議論の動き その2 通所介護
こちらも大きくは2つです。
【その1】
時間区分の変更(=2時間枠から1時間枠へ)
【その2】
大規模通所介護事業所の報酬見直し
上記時間区分変更に至った背景としては、「事業所の実際の
サービス提供時間を見ると、7時間以上9時間未満は
「7時間以上7時間半未満」にピークがあり、5時間以上
7時間未満は「6時間以上6時間半未満」に、3時間以上
5時間未満は「3時間以上3時間半未満」にピークがあった」
という厚労省の調査結果が挙げられます。
例えば、現行においては「7時間以上9時間未満」で「要介護1」
の場合は656単位となっていますが、仮にこの基礎報酬が据え
起きされたままで上記枠組みにスライドしたとすれば、
当然ながらこの「656単位」は「8時間以上9時間未満」に適用
されることになるでしょう。換言すれば「7時間以上7時間半未
満」、即ち、7時間以上8時間未満のサービス提供を行っている
事業者は「656単位未満の報酬しか受け取れなくなる」ことが
容易に予測されます。事業者としては、決定される新報酬を
基礎に「サービス提供時間の変更(=延ばすべきか否か)」
を検討することが必要となるでしょう。
続いて【その2】の話題ですが、こちらについては今回の
給付費分科会の資料の中で、次のような示唆が提起されています。
(1)通所介護の基本報酬は、事業所規模(地域密着型、通常規模型、大規模型(?)・(?))に応じた設定としており、サービス提供1人当たりの管理的経費を考慮し、大規模型は報酬単価が低く設定されている(通常規模型に比して、大規模型(?)は約2%、大規模型(?)は約4%)
(2)直近の通所介護の経営状況について、規模別に比較すると、規模が大きくなるほど収支差率も大きくなっている。
(3)また、直近の管理的経費の実績を見ると、大規模型におけるサービス提供1人当たりのコストは、通常規模型と比較して、大規模型(?)は約11%、大規模型(?)は約12%低い結果と
なっている。
(下記は「平成29年度介護事業経営実態調査」デイサービスの収支差率表)
上記に照らし合わせれば、大規模(?)・大規模(?)の
基礎報酬削減は避けて通れない、と考えるのが自然ではないで
しょうか。
尚、地域密着型通所介護、及び通常規模の通所介護の基礎報酬が
削減されるかどうかについては、現時点においては予測が
つきづらい状況です。
財務省は「中小企業の平均利益率は2.6%なんだから、それらを
基準に報酬改定を検討すべきだ」と主張されているようですが、
それでも通常規模の収支差率はわずか3.4%、地域密着型通所
介護に至っては僅か2.0%しか上がっていない状況であることを
考えると、これ以上の削減は勘弁願いたい、というのが業界
としての率直な思いだと思います。ともあれ、こればかりは蓋
を開けてみないと何とも言えず、先ずは状況を静観しつつ、
経営としては「仮に○%下がったとしたら、、、」という算段を
予め立てておくことが必要と言えそうです。
以上が基礎報酬に直結するであろう通所介護のメイントピックス
です。それ以外には「外部の通所リハ事業所等のリハビリ専門職
との連携による機能訓練の積極推進(生活機能向上連携加算の創
設)」「延長加算の積極的見直しは行わず」
「通所介護と訪問介護が併設されている場合で、利用者への
サービス提供に支障がない場合は、基準上両方のサービスに
規定がある“事務室”や基準上規定がない“玄関、廊下、
階段などの設備”については共用可能とする」等の案が
あがっています。こちらもしっかりと資料に目を通し、
理解しておかれることを強くおススメする次第です。