人事制度の効果的運用のポイント その3
職員を育てるための制度にするには、次に述べる評価制度が大切です。評価によって優秀な職員を発見するのも大切ですが、それよりも先に行わなければならないことは、普通の職員の能力を高めることによって組織全体のサービスの質を上げることです。
一人の優秀な職員のヤル気を高めるよりも、多くを占める普通の職員のヤル気を高めることの方が大切であることを理解してください。
・組織全体のレベルアップを図ることを目的とする。
・部署別、職種別、そして等級別に「期待される職員の努力」を具体的に明記する。
・はじめから「どんな努力をすればS評価になるか」を明示しておく。この内容が「期待される職員像」となり、全ての職員に、期の初めから「こんな努力をしてほしい」と明示する。
評価は学校で行われるような試験や通信簿はありません。学校の教育では、教科書に基づいて教えていき、期末または年度末に試験をして結果だけを測定し、評価すればいいのですが、職場ではそうではなく、どんな問題を出すのか(つまりどんな行動を期待しているのか)を初めに明確にしておいて、出来るだけ多くの職員が優秀な成績、つまり5段階評価ならS評価やA評価を取ってもらうようにすることが必要なのです。
その場合、必ず意見として聞こえてくるのが、「良い評価が増えれば、人件費が増加してしまうのでは?」という懸念です。
もちろん、評価結果を反映させる処遇財源(例えば、処遇改善加算)は確保しておきながら、その財源の限度内で分配を行う
管理手法は必要になってきます。それは給与制度における昇給や賞与の仕組みにかかわるところなので詳細は次回に譲りますが、総枠人件費の考え方で収支管理を行っていくことも重要な視点です。