2015年介護保険法改正情報 9
さて、2日前の10月8日に行われた財政制度分科会において、
次年度報酬改正を予測できる情報が沢山出てきました。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia261008.html
上記ページの「2.配布資料」内の2つの資料、
・社会保障?(総論、医療・介護、子育て支援)
・(参考資料) 社会保障?
がその資料です。
尚、トピックスとしては、以下のような論点が挙げられています。
※ページ数は資料に付されているものです。
◎58p
介護サービス全体の平均収支差率は+8%程度(注1)と、一般の中小企業(注2)の水準(+2~3%弱)を大幅に上回る。
介護職員の処遇改善加算などの充実を図る一方で、介護報酬基本部分に係る適正化(少なくとも中小企業並みの収支差となる▲6%程度の適正化) が必要。
→ さらに今後高齢者が増加(市場が拡大)する中で、規模の経済によるコスト低減が見込まれることも踏まえれば、収支差率を中小企業の水準より低い水準とすることも検討すべきではないか。
◎59p
介護報酬水準を約▲1%適正化すれば、国民負担は年間約▲1,000億円軽減される。
◎60p
・特別養護老人ホームにおいては、良好な収支差の結果、内部留保が蓄積していると指摘されており、現在実施中の予算執行調査(精査中)においても、改めて巨額の内部留保の存在が確認されている。
→ 今後は内部留保が蓄積しない水準まで介護報酬水準を適正化することが必要。
・社会福祉法人については、民間事業者とのイコールフッティングの確立などの観点から様々な議論があるところ。こうした中、現在、「規制改革実施計画」(26年6月24日閣議決定)に基づき、内部留保の活用に向け、社会福祉法人に対する社会貢献活動の実施の義務付けについて検討が進められているが、公費や保険料を原資として蓄積した内部留保については、地域支援事業など、現に公費や保険料を充てて実施している事業に限定して活用することが適当ではないか。
・なお、社会福祉法人の内部留保を巡る議論に関し、以下の点に留意が必要。
(1)社会福祉法人の会計においても減価償却費を計上しているため、建替えに必要な現金は、収支差がゼロであっても蓄積する。したがって、「建替えのために内部留保が必要」との議論は妥当でない。
(2)施設の増築のために必要な資金については、補助金に加え、低利の借入れ等による調達も可能であり、「内部留保がなければ増築できない」との議論は妥当でない。
◎61p
ユニット型個室の室料については利用者負担となっている一方で、多床室(相部屋)の室料については介護保険の対象となっている。
→ 個室の利用者との公平性を確保する観点から、多床室の室料についても利用者負担を検討すべき。
◎61p
軽度者に対する福祉用具貸与や住宅改修の一部の種目には、要支援・要介護認定を受けていない者であっても自費で利用しているものが含まれると考えられる。
→ 要支援・要介護認定を受けていない者との公平性も勘案し、必要以上に高機能のものについては給付の対象外とすべきではないか。
・福祉用具貸与の対象・・・車いす、特殊寝台、手すり、スロープ、歩行補助つえ等
・住宅改修の対象・・・手すりの取付け、洋式便器等への便器の取替え等
介護老人福祉施設(多
◎64p
訪問介護は、「身体介護」と「生活援助」に分けられるが、例えば要介護5では、生活援助のみの利用件数は全件数の5%未満であるのに対し、要介護1では、生活援助のみの利用件数は全件数の5割を超えている状況。
要介護1の者に対する生活援助の内容を見ると、掃除の占める割合が最も多く、次に一般的な調理・配膳が多い。
→ 地域支援事業の見直しに伴う生活支援サービスの充実の状況も踏まえながら、軽度者に対するサービス内容の見直し(地域支援事業への移行、保険給付範囲の見直し等)を進めて行くべきではないか。
◎65p
給付については、ドイツ、韓国では中重度者のみが対象とされており、要支援者、要介護1、2の軽度者は対象外とされている。
◎66p
介護保険制度の創設以来、在宅サービスについては民間企業の自由な参入が可能とされる一方で、在宅・施設サービスのいずれについても、事業者は介護報酬を下回る価格を設定すること(=価格競争)が可能とされている。
しかしながら現実には、訪問介護や通所介護では営利法人の比率が5~6割に達するなど、営利法人の参入が進んできた一方で、介護報酬を下回る価格を設定している事業者はほとんどなく(注)、価格競争は行われていないのが
現状。
→ 引き続き自由な参入を可能とするのであれば、サービスの質を確保しつつ、確実に価格競争が行われる仕組みを構築すべき。
(例えば、ケアプラン作成に当たり、ケアマネジャーに価格の考慮を義務付けること等が考えられるか。)
◎67p
一定の所得以上の者については、27年8月から利用者負担割合が1割から2割に引上げられるが、医療保険制度の状況も踏まえ、現役並み所得者に対する負担割合の在り方等について、更なる検討が必要ではないか。
◎68p
第2号被保険者(40~64歳)の保険料は、各医療保険者が徴収しているが(介護納付金)、これを医療保険者間で按分する際、全額が加入者割となっている。
→ 医療における総報酬割の検討状況を踏まえ、介護納付金の総報酬割についても検討を進める必要。
◎69p
予防給付の地域支援事業への移行状況や生活支援サービスの充実の状況等を踏まえつつ、軽度の要介護者に対する生活援助や、訪問介護・通所介護以外の予防給付について、地域支援事業への移行や給付範囲の見直しを検討していくべきではないか。
今後また、新たな情報展開があり次第、追加して
いち早く、皆様に情報を発信させていただきますので
よろしくお願いいたします。
以上、取り急ぎの共有まで。
(参考:CBTAG 原田匡氏、関連ブログ)