社会福祉法人の在り方等に関する検討会 3
今日は、引き続き、」
「社会福祉法人の在り方について」のレポートから
主要な論点をお伝えしたいと思います。
本日お知らせする論点は、
「法人組織の体制強化」と
「法人の規模拡大・協働化」です。
●まずは、「法人の体制強化」についてです。
○介護保険制度の施行を契機として、複数施設・事業所
を経営する社会福祉法人が 増えている。社会福祉基礎構造改革
では、こうした展開を先取りして、措置制度の 下での基本であっ
た施設・事業所を単位とした施設管理(典型的には、いわゆる
「一 法人一施設」)から、法人単位での経営が可能となる見直し
を行っているが、現在 でも多くの社会福祉法人の経営が、施設・
事業所単位のままとなっており、社会福 祉法人側での経営に関す
る意識改革が十分とはいえない。
ア 法人組織の機能強化
(法人組織の権限と責任の明確化)
○ 社会福祉法人の理事会と評議員会、理事長、理事、監事等の
牽制関係につい て再度整理を行い、それぞれの役割について、
公益法人制度改革の内容を十分 勘案した上で、明確化を図る
べきである。
○ 検討に当たっては、次の観点が同時に果たされるよう
留意すべきである。社会福祉法人が積極的に新規事業に投資し、
地域における公益的な活動を 柔軟に行うために、理事等の
執行権限とこれに応じた責任を明確にすること。
理事会、評議員会や監事、行政による指導監督といった
重層的なチェック機 能の役割分担と具体的な連携を
図った上で、理事等の執行機関の活動を適切 に
チェックすること。
非営利法人としての法人の活動を外部・地域に対して
「見える化」し、第三 者の目による点検や評価をいつでも
可能とするなど、法人活動の透明性と信 頼を高めること
法人本部機能の強化方策 (法人本部機能の強化)
○ 社会福祉法人が法人単位での経営を推進するためには、
法人単位で経営戦略、 人事、財務を管理する部門が
必要である。このため、一定規模以上の法人には、
理事会の下に法人本部事務局を設置するなど、組織の見直し
を検討するべきで ある。
「法人の規模拡大・協働化」についてです。
.法人の規模拡大・協働化
(1)当検討会の現状認識 (地域を観る経営者の視点)
○ 社会福祉法人が、利用者や地域のニーズに対応して
いくためには、既に実施して いる事業だけでなく、
「地域を観る経営者の視点」が必要である。また、利用者や
地域のニーズに対応していくためには、法人の規模拡大や
複数法人による事業の協 働化が一つの方策であり、
それが可能となる仕組みや環境整備を検討していくこと
が重要である。
(法人規模についての考え方)
○ 現在の社会福祉法人の規模についての正確な調査はないが、
事業の範囲が市の区 域を越えない法人として、所轄庁が
一般市である法人が 9,131 法人(社会福祉法人 全体の 46.1%)
となっている(2013(平成 25)年4月1日時点)。
また、全国社会 福祉法人経営者協議会の調査によれば、
会員法人 6,873 法人のうち、約半数(3,469 法人)が
単独施設法人となっている(2010(平成 22)年3月)。
○ 単独施設法人であるなど、法人が小規模であることが
社会福祉事業の実施に当た って支障になるというものではない。
しかしながら、利用者や地域のニーズに対応 し
、複数の事業を展開することは、法人の規模拡大につながり、
資金の効果的な活 用や職員の適切な異動を可能とし、
さらには新たな福祉ニーズへの柔軟で機動的な 対応にも途を拓くものである。
○ また、社会福祉法人は、社会福祉事業を実施する事業者の
模範的存在として、率 先して、職員の処遇改善に取り組んで
いくことも重要である。一般的に法人の規模 拡大は、職員の
広範な人事異動を可能とし、個々の職員のモチベーションや
スキル の向上、幹部への登用といったキャリアパスの
構築など、職員の処遇改善や人材確 保にも資する。
(複数法人による事業の協働化)
○ それぞれ歴史のある法人が特段の事情もなく、合併や
事業譲渡を行うことは現実 には難しい。このため、合併・
事業譲渡の手前の取組として、複数法人による事業の協働化
を進めることも事業規模の拡大等としては有効である。
複数法人による事業の協働化については、財源の確保や
法人間の信頼関係の構築 が重要であり、法人外への
資金拠出の規制緩和、法人間の役職員の相互兼務、
社団 的な連携など、複数の法人が協働して事業に取り組む
ことが可能となるよう環境整 備をしていくことが必要である。
○ なお、社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、法人間を
またがって異動しても 通算できる仕組みであり、複数法人の
協働化等を職員の処遇面から支援できる仕組 みである。
今日は以上です。次回レポート4では、「法人運営の透明性の
確保について」です。