「幸福に生きる秘訣」
今日は心に残ったあるエッセーを
みなさんに ご紹介いたします。
人間力向上研修でもお伝えして
いるテーマで「幸福に生きるには」。
そしてその為の「こころの持ち方」
の一つに、「相手の自分に対する
態度は、自分の相手に対する態度の
写し鏡である」ということ。
今回ご紹介するエッセーは、それを
世に伝えているある心理学者のお話です。
┌─────────今日の注目の人───────────┐
「外にあるものは、すべて自分の世界を映し出す鏡である」
鈴木秀子(国際コミュニオン学会名誉会長)
※『致知』2015年4月号
連載「人生を照らす言葉」より
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あるアメリカの有名な心理学者がこう説いています。
「外にあるものは、すべて自分の世界を映し出す鏡である」
人は理不尽な体験をすると、他人を責めたり、
周囲の環境に不満を抱いたりしがちです。
しかしそれらは皆、自分の心の反映にすぎず、
不満の矛先を他人や環境に向けることは
見当違いだというわけです。
これはまさしく人生の真理だと私も思います。
このアメリカの心理学者は、
かつてある人の言動に対して強い怒りを覚えました。
気持ちを抑えきれずに尊敬する先生に電話をし、
自分が怒りを抱いている人物についての
あらゆる罵詈雑言を並べ立てました。
ところがその先生は、彼の話に対して
ひと言も言葉を発することなく、
長い沈黙を保った末にとうとう電話を切ってしまいました。
収まりのつかない心理学者は、
先生の妻にも電話をし、再び悪口を並べ立てました。
すると彼女も先程の先生と同様、
何も言わずに彼の話を聞き、
さらに長い沈黙を続けたのです。
心理学者はその沈黙の最中にハッと気づきました。
いま自分が並べ立てた悪口は、
すべて自分の中に存在する性質だということを。
以来彼は、
「外にあるものは、すべて自分の世界を映し出す鏡である」
という真理を、多くの人に説き続けてきたのでした。
何か嫌な出来事が起きた時には、
それは自分の内なる世界の調子が狂っているということ。
嫌な出来事は、それを気づかせようとする
天からのメッセージであると受け止めていただきたいと思います。
明治、大正期に牧師を務めながら創作活動を続けた
詩人・童話作家の山村暮鳥は、
この心理学者の言葉を踏まえていえば、
自分の内なる世界をきちんと整えることを
一番の中心軸に置いて生きた人といえます。
常に自分をしっかり見つめ、困難に遭っても
責任を外に転嫁したり、逆に自分自身を責めたりすることなく、
現実を受け入れながら、思うにまかせない人生を
よりよく生きるにはどうしたらいいかと考え続けた人でした。
そうした思いが溢れ出て形になったものが
暮鳥の詩なのです。
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いかがでしょうか。
好ましくない出来事が起こった時に、それを
他責にするのか、自責と捉えるのか、その意識の
違いで、その後の生き方が大きく変わってくる。
自己反省の気持ちをもって、前向きに
生きていくことが、「幸福に生きる秘訣」と
言えるのではないでしょうか。
⇒福祉人材の人間力向上研修