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Q 当法人では新卒採用・中途採用ともの計画的に行っていますが、せっかく採用しても
なかなか定着せず、早いと3か月未満で退職する人もいます。何とか定着をしていただくように取り組みを行っていますが、採用面接ではどのような点に気をつけたら良いでしょうか。
A 「採用での失敗は、育成でカバーすることは難しい」とも言われます。
どのような人を採用するか、これは言うまでもなく、事業運営の中で最も重要な事項といっても過言ではないでしょう。社員の定着のためには「定着するような人材を採用する」といった方が現実的かもしれません。しかし、実際には人手不足の際には、「応募してくれた方は、多少気になる点があってもほとんど採用する」という状況は、決してめずらしいことではありません。このようなことを繰り替えしていると「すぐに辞めるような人」を採用していることになりかねません。
それでは「辞めない人材」とはいったいどんな人材なのでしょうか。それは法人理念に共感できる職員を選ぶことです。理念に共感できるとは、法人として「大切にしたい価値観」の共有ができる方と言ってもいいかもしれません。
現場が人手不足の状況なので、ついつい早く人を「補充」したいという考えから、候補者の過去の経験、職務のスキル、資格などを重視した基準で採用を決定する場合も多いと思います。ただ、結果として、このような情報は、意外とあてにならないという経験をされた経営者も多いのではないかと思います。そこで、重要なのは「その方の価値感が法人の価値観や考え方に合うかどうか」ということになるのですが、問題はそれをどのように見極めるか、ということになります。もちろん、価値観が垣間見れるような質問内容を、事前にしっかり準備しておく必要がありますし、その結果を面接官複数の目で見て、客観的な指標にまで落とし込んでいくことをお勧めしています。
一方、候補者もそれなりに準備をして面接に臨みますので、なかなかホンネの部分までは見極めるのは難しいものです。ある法人の理事長は、法人創設の経緯や経営理念をできる限りわかりやすく、そして何度も何度もしつこいぐらいに伝え(これが重要ということです)、それを聞いている表情や反応で、十分判断できるということをおっしゃいます。また、ある施設長は、事前に施設見学(かなり細部にわたる現場見学)を行っていただき、そこで感じた内容を、どれだけ自分の言葉で伝えられるかをみている、と言います。このような方法ですと、事前の準備ではなく、過去の経験が本人の言葉で出てくることが多く、その方の現在の感じ方や価値観が、よりリアルに伝わってくるといいます。
下記に面接のときの質問の留意点をお伝えいたしますのでご参考にしてください。
- 具体的な内容を質問する
漠然とした回答ではなく、具体的な回答を聞くことで本音を見出します。
・「なぜこの仕事を選んだのか、人の役に立つとはということは、どういうことなのか
具体的に言ってください」
・「採用された場合、あなたの能力をどういった仕事に活かしたいですか。具体的にこたえてください」
- 人間関係についてどう考えているか確認する。
人間関係の関する質問は、入職後のトラブル回避にためにも非常に重要です。
・「入職後、法人とあなたの方向性や想いが異なる時、あなたはどのようにしますか?」
・「同僚との意見が食い違う場合、あなたは意見を通しますか、黙りますか、また通すとしたらどんな方法で?」
- 求職者からの質問を引き出す
面接試験で一通り質問が終わったら、必ず求職者に対して質問がないか確認します。面接が終わったという安心感から本音が見え隠れすることがあり、人間性を確認できることもあるようです。求職者が質問する内容は、採用された場合のことを想定していることが多いため、「どの部分に興味を示しているか=本当の志望動機」がわかることも多いように思います。
厚生労働省は今年度も、介護現場の「生産性向上推進フォーラム」を開催する。
3月12日に大阪で、3月18日に東京で開く。いずれもオンライン参加も可能なハイブリッド形式とした。参加無料。
生産性向上の基本的な考え方や先進的な事業所の取り組み、自治体の支援事業のメニュー、国の動向などを把握したい人にとって、正確な情報を負担なく得られる便利な機会だ。取り組みを実践する際のポイントの解説や様々なテクノロジーの紹介も行うとして、厚労省は積極的な参加を呼びかけている。
2会場の開催概要は以下の通り。参加者が定員に達した場合は、申し込みの期限を待たずに締め切りとなる場合もあるという。申し込みは公式サイトからオンラインで行える。
大阪会場
日時|2025年3月12日(水)13時〜17時30分
場所|コングレコンベンションセンター
定員|会場300人、Web3000人
申込期限|2025年3月7日(金)
東京会場
日時|2025年3月18日(火)13時〜17時30分
場所|ベルサール半蔵門
定員|会場300人、Web3000人
申込期限|2025年3月14日(金)
現在、全国で多くの事業所・施設が生産性向上の具体的な取り組みを実践している。高齢者の急増や現役世代の急減が進む今後は、人材確保が今よりも更に難しくなっていく − 。こうした認識が広く共有されたほか、介護報酬の加算の新設・変更を含む国の施策の影響もあり、介護現場の関心はかつてないほど高まっている。
厚労省によると、今回のフォーラムは生産性向上の取り組みを実践している現場の関係者による講演・報告が中心。内閣総理大臣表彰や厚生労働大臣表彰を受けた事業所・施設も登場する。厚労省や自治体が施策を説明する時間もあるなど、充実したプログラムが用意されている。(介護ニュースより)
今年度の補正予算が成立した。17日の参議院本会議で、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決された。
介護現場への支援策は、政府案通りに実施されることが決まった。厚生労働省は早期の具体化に向けた準備を急いでいる。
支援策の柱は、介護職員の賃上げ、職場環境の改善に向けた補助金の新設だ。常勤の介護職員1人あたり、およそ5.4万円の一時金を支給できる規模を交付する。
対象となるのは、今年度の介護報酬改定で拡充・一本化された処遇改善加算を取得している事業所・施設。居宅介護支援や福祉用具貸与などは今回も除外された。
補正予算の成立を受けて、厚労省は詳細なルールを明らかにする実施要綱などを通知する方針。
補助金の支給要件には、介護現場の業務の棚卸し、効率化に向けた課題の見える化などに取り組んだうえで、介護職員の負担軽減の方策を立てることを位置付ける。処遇改善加算の算定要件と重なるように設計し、課題となっている上位区分の算定率の引き上げにもつながる仕組みとすることで、生み出す効果をより大きくしたい考えだ。
厚労省は今回の補助金の使途を、こうした生産性向上の取り組みの経費に充てることも認めていく。介護職員の賃上げも含めてどう配分するかは、基本的に事業者の裁量に委ねる構えだ。
厚労省の関係者は実施要綱などの通知について、「年明けのできるだけ早い時期を目指す」と説明。実際に補助金を交付する都道府県との調整も重視しているとして、「可能な限り簡素な仕組みとし、介護現場にも自治体にも負担がかからないようにしたい。なるべく早期に交付できるように進めている」と話した。(介護ニュースより)
A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも
構いません。
切り上げにしないと給料未払いに
給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。
休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。
例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が
ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。
未払い残業は行政指導の対象に
残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。
適切な時間管理とは
厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。
- 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
- 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
- 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。
労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。
固定残業代として定額を支給する際には慎重に
固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。
- 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
- 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
- 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること
この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。
日本医師会総合政策研究機構が 2 日に公表した調査報告書によると、日医会員の診療所の管
理者 3,747 人のうち、マイナ保険証のレセプト件数ベースの利用率が「10%未満」だったとい
う割合は7割に上った。日医総研では、医療DX推進体制整備加算の施設基準となるマイナ保険
証の利用率が2025年1月以降に10%以上に引き上げられるものの、これを満たす診療所は「極
めて少ない状況にある」と懸念を示している。
調査は、日医会員の診療所の管理者1万人を対象に 9月20日-10月4日にウェブ形式で実
施。マイナ保険証や電子処方箋の利用状況と課題などを把握するのが目的で、4,454人が回答し
た(有効回答率44.5%)。
レセプト件数ベースのマイナ保険証の利用率に回答した 3,747 人のうち、利用率が「10%未
満」が70.8%と大半を占めた。次いで「10-20%未満」が19.3%で、20%以上の回答を全て合
わせても9.8%と、1割にとどまった。
医療DX推進体制整備加算を算定している割合は全体(4,454人)の50.0%と半数を占めたも
のの、25年1月以降はマイナ保険証の利用率の基準が10%以上に引き上げられる。日医総研で
は、同加算を算定できなくなる診療所が生じる可能性があることから、利用率の施設基準につ
いて「検討が必要」だとしている。
●電子処方箋導入後も半数近くが「メリットを感じられない」
電子カルテの使用率については、全体の 62.6%と過半数を占めた。一方、電子処方箋の導入
率は未運用も含めて14.5%にとどまった。「導入予定」としたのは31.6%。「決めていない・今
後検討」は27.3%で、「導入予定なし」(26.4%)と合わせると過半数に達した。
電子処方箋の導入を「決めていない・今後検討」か「導入予定なし」と回答した人に理由を
複数回答で聞いたところ、「ICT 人材の不在」が最も多く 59.6%だった。次いで、「メリットを
感じない」(52.5%)、「システムの改修や導入の費用負担が大きい」(41.7%)など。
一方、電子処方箋の運用を開始していると回答した人に導入後の感想を複数回答で聞いたと
ころ、「メリットを感じられない」が 46.9%と最多だった。ほかにも、「電子処方箋を導入して
いる薬局が少ない」(36.7%)、「処方を行う際の医師の作業が増えた」(36.2%)なども目立っ
た。
日医総研では、「医療 DX の基盤となる電子処方箋などの導入の意義が十分に伝わっていない
状況が明らかになった」とし、災害時の情報共有が可能になるなどのメリットを丁寧に示すべ
きだと指摘。効率的かつ効果的な情報提供の仕組みの検討が必要だとしている。(メディカルウェーブ記事抜粋)
厚生労働省は11 月28日、持ち分ありから持ち分なし医療法人への移行計画の認定制度の期
限を、現在の2026年12月31日から3年間延長する案を社会保障審議会の医療部会に示し、了
承された。厚労省は、税制の優遇措置の延長を26年度の税制改正要望事項に盛り込む方針。医
療法人の「非営利性」を徹底させるため、持ち分あり医療法人は07年度以降、新規に設立でき
なくなった。認定医療法人制度は、従来の持ち分あり医療法人の持ち分なしへの移行を促すた
め、14年の医療法改正で創設された。
医療法人が作った持ち分なしへの移行計画が「妥当」と厚労相が認定した場合、出資者の持
ち分放棄に伴う「みなし贈与税」を非課税にするなど税制面で優遇する。
医療法人は計画が認定されてから5年以内に持ち分なしへ移行する必要がある。
厚労省によると、06年度末で全国の4万4,027の医療法人の98.1%が持ち分ありだった。こ
れに対し、23年度末の時点では医療法人全体(5万8,902)に占める持ち分ありの割合は61.8%
に下がり、同省では「移行は着実に進んでいる」とみている。
ただ、持ち分ありの医療法人はいまだに多いとして、移行をさらに促す方針を示した。
厚労省はまた、社団法人や一般社団法人が運営する医療機関の非営利性を徹底させる方針を
示した。医療法人と同程度の確認を可能にするため、関係省令を改正し、剰余金の配当禁止を
定款に明記しているかなどの届け出を医療機関の開設時などに求める。
また、非営利性を確認する際のポイントを自治体などに通知する。
厚労省によると社団法人・一般社団法人が運営する医療機関は23年で、病院が82、医科診療所が780 ある。
医療機関の開設に際して非営利性を確認するための基準を定めているのは 9都
県の一部の自治体のみだった。都道府県からは「業務に制限がないため診療所経営に支障が生
じ、医療提供の質が低下する」などと指摘されていた。(メディカルウェーブ記事より)
A、評価項目を具体的な「行動表現」にすることで、評価がより客観的になり、また職員の課題を具体的に指導できる。
評価することは非常に難しく、評価者訓練を受けないと評価は出来ないと言われています。しかしそれは、評価項目が抽象的で何を評価すればいいのかわからないという原因が考えられます。
評価を行う難しさには、①人によって評価が変わる ②評価項目が不明確なので評価する人も、される人もわかりにくい、さらに③誤評価の原因(ハロー効果、偏り傾向、寛大化など)評価するということに困難さが付きまとっています。例えば「協調性」という表現で終わってしまう評価項目の場合、何が協調性なのか評価者が判断しなければなりません。抽象的な表現は職員をいろいろな視点から評価できることになり有用ですが、評価の公平性や客観性からみるとかなり深い問題が含まれています。具体的な行動表現にすることで、だれでも同じ理解とすることが大切です。
【具体的行動表現の実例】
評価項目:「感謝の気持ちをもってご利用者、職員に接する」
を具体的な評価項目にした場合に、例えば下記のような例となります。
例1:ご利用者や職場の仲間に感謝の気持ちで接することが出来、「○○さんのおかげです」や「ありがとう」が素直に笑顔で言える。
例2:ご家族様や見学、来訪者の目を見て、笑顔でお名前を添えて「ありがとうございます」と伝えている。
例3:他部署等の協力や理解があって自分が仕事ができる事に感謝して、相手の状態を配慮し、「お手伝いしましょうか」「何か私にできる事はないですか」と声掛けしている。
正社員、待遇下げ「平等」の衝撃
非正規との格差是正 最高裁が手当減額容認
日本経済新聞 朝刊 )2024/10/21 2:00
正社員の待遇を下げ非正規社員との格差をなくす手法について、最高裁が7月、容認する決定をした。東京地裁も5月に同様の判決を出した。非正規社員の手当を増やすのではなく、正社員の手当を減らす形で格差の解消策が広がれば、多くの労働者に不利益が及ぶ。働き手は、手当込みの賃金を当然としてきた意識を変える必要がある。
「非正規従業員(非正規社員)の待遇改善を意図したパートタイム・有期雇用労働法の趣旨にそぐわない。今後の影響が心配だ」。7月の最高裁決定で敗訴が確定した原告の代理人、横山詩土弁護士はそう懸念する。裁判が起きたのは済生会山口総合病院(山口市)。2020年に就業規則を改正し、正規従業員だけに出していた扶養手当や住宅手当を、一部の非正規従業員も対象になる子ども手当や住宅補助手当に変えた。
正規・非正規にかかわらず、責任や業務に応じ両者に同等の待遇を確保する「同一労働同一賃金」の仕組みが背景にある。最高裁は今回の決定に先立つ18年と20年に、同一労賃を巡る7つの裁判で「正規・非正規間の格差の不合理は賃金項目(手当や本給)の趣旨を個別に考慮して判断する」との判例を示した。「非正規従業員に手当は不要」との通念は完全に否定された。
減額で不利益でも 司法「合理的なら可」
非正規従業員の処遇改善は進展したといえる。就職情報サイトのマイナビが7月に発表した「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査」によれば、代表的な手当の通勤・出張手当で格差の是正を済ませた大企業は24年は45.7%。前年より9.4ポイントも増えた。
ただ同病院のケースでは手当を巡る格差を縮小した結果、正規従業員196人は手当が減ってしまった。このうち9人が差額を求め、山口地裁に訴えた。同一労働同一賃金を進めるために、手当の削減という不利益変更が認められるかが争点になった。
裁判所が判断に使ったのは、不利益変更を例外的に認める条文である労働契約法10条。不利益変更の必要性など5つの要素を勘案し、合理的なら変更を認める内容だ。病院側代理人の宮崎秀典弁護士は「正規側の手当原資を非正規側や若い世代に回す目的の変更で、合理的だ」と強調。山口地裁・広島高裁は23年の判決でこれを認め、最高裁も全員一致で上告を受理せず高裁判決を確定させた。
正規従業員の手当を削る手法を是認した判決は24年5月の東京地裁でも出た。日本郵便の非正規従業員3人が、正規側の住居手当などの廃止で、自分たちも対象のはずの手当が受けられなくなったのは不当と訴えた裁判だ。
原告代理人の水口洋介弁護士らは「正規側の住居手当廃止は、非正規の労働条件向上を目的とするパートタイム・有期雇用労働法8条を逸脱する」と主張する。だが東京地裁は「非正規側の労働条件が不合理な場合、(8条は)その相違を正規側の労働条件切り下げで解消することを直ちに否定していない」などと指摘し訴えを退けた。裁判は控訴審で継続中だ。
厚労省は改善指導 手当減探る企業も
2つの司法判断に衝撃を受けたのは当事者だけではない。労働政策を担う厚生労働省も、足をすくわれた。「この国から非正規という言葉を一掃する」と宣言した安倍晋三内閣以来の働き方改革路線に沿い、非正規従業員の手当引き上げを指導していたからだ。全国の労働局での指導件数は23年度、2596事業場と前の年度の18倍に達した。
指導を総括する厚労省の竹野佑喜有期・短時間労働課長は「労働契約法で正規側の手当を下げる手法がありえると予想はしていたが、法の範囲なので否定は出来ない」と受け止める。その上で「厚労省としては、全体の賃上げにつながる非正規の手当引き上げを求める考えに変わりはない」と話す。24年度も積極的な指導を続ける。
一方で、気になる動きがある。企業の間で正規側の手当切り下げを探る動きがあることだ。労使紛争などで経営側代理人として著名な弁護士は、企業規模の大小を問わず相談があると話す。「正規側の手当原資を非正規に回す『山口総合病院型』の相談はない。正規の特定の手当を減らす相談ばかりだ。紛争回避のため、会社と従業員代表で十分話し合うよう指導している」と明かす。
人件費が高騰するなか、企業のコストカット志向は強まる。一連の司法判断は、経費を増やさず正規・非正規間の格差を解消する、いわば「逃げ道」として利用されかねない。安易な人件費の抑制は人材の流出を招き、賃金の引き上げも阻害する。企業社会全体への影響を見据えた対応が経営者に求められる。
厚労省の労働基準局賃金課は25日、
今年度の最低賃金の目安を全国平均で
50円引き上げ(1054円)とすることで決定しました。
皆様各社への影響は如何でしょう?
令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について
↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41785.html