福祉
A,
有給休暇の基準日を一律に定めて付与することを「斉一的取り扱い」と言いますが、前提条件となるのが、「前倒しで付与する」ことです。例えば、4月1日を基準日と定める場合、9月1日入職した職員は、6か月継続勤務すれば翌年の3月1日に10日の有給取得の権利が発生します。この場合、基準日を統一し4月1日に繰り下げての付与(入職から7か月目の付与)は認められません。有給休暇の斉一的取り扱いについては、下記の要件を満たす必要があります(平成6.1.4基発1号、平成27.3.31基発0331第14)
- 斉一的取り扱いや分割付与により、法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
- 次年度以降の有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。
しかし、基準日を前倒しで繰り上げるため、入職時期によりどうしても不公平が生じてしまいます。ここをどのように考えるかがポイントになります。それでは、その代表的な対応とその留意点を下記致します。
①基準日を月初などに統一する
入社が月の途中であっても、基準日を月初などに統一します。例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一することにより、統一的な管理が可能となります。この場合、
5日取得させる期間も月ごとに統一できることになります。
② 基準日を「年2回」とする緩和策をとるケース
例えば、4月1日と10月1日の2回に統一する方法もあります。全職員同一の基準日に統一するよりは、入職時期による不公平感が軽減できます。4月1日から9月30日までに入職した職員の基準日は10月1日に10日付与し、10月1日から3月31日までに入職した職員は4月1日に10日付与します。以後、それぞれ4月1日と10月1日を基準日としていきます。この場合、7月1日入職者の8割出勤の考え方は以下のようになります。
6か月継続勤務後の本来の基準日である1月1日から短縮された3か月(10月~12月)
は全期間出勤したものとみなし、この期間を含めて7月1日から12月31日までの6か月間で、8割以上出勤したかどうかを計算します。
基準日の統一は前倒し付与が原則の為、4月1日入職者は6か月後に10日付与され、9月1日入職者は1か月後に付与される不公平感は残りますが、年1回と比較すれば、不公平感は緩和されているのではないでしょうか。
③分割して前倒し付与したら次年度基準日も繰り上げる
施設によっては、入職と同時に10日付与するケースや、「入職3か月後(使用期間終了後)に3日付与、6か月後に7日付与」と分割して付与するケースがあります。分割して付与する場合も先の行政解釈(上述(2))にあるように、前倒し付与したら次年度の基準日も繰り上げます。
例えば4月1日入職者に、使用期間終了後の7月1日に3日付与し、10月1日に7日付与した場合、次年度に11日付与する基準日は本来の付与日(10月1日)から1年経過後ですが、初年度の3日分を3か月繰り上げて付与したため、次年度の基準日も同様に3か月繰り上げ、「7月1日から1年経過後」に11日付与することになるわけです。この点も注意をしながら前倒しのルールを検討していく必要があります。
政府は17日、新型コロナウイルスに感染した入所者が療養を続けている高齢者施設に対する既存の補助金を、一定の条件のもとで倍増すると発表した。岸田文雄首相が官邸で表明した。
現行の補助金は、施設内の感染者1人につき1日あたり1万円で、最大15万円(15日間分)。これを感染者1人につき1日あたり2万円、最大30万円へ拡充する。
病床逼迫などで感染しても入院できない高齢者らをケアする施設を支援する狙い。サービス提供体制の強化、感染対策の充実などにつなげてもらう考えだ。
まん延防止等重点措置が適用されている地域の施設で、その適用期間中が対象。定員29人以下の施設なら感染者が2人以上、定員30人以上の施設なら感染者が5人以上いることが条件だ。厚生労働省によると特養、老健、介護医療院、ショートステイ、グループホーム、有料老人ホーム、サ高住、養護・軽費老人ホームなど、幅広い施設類型が補助金を受けられる。
医療・介護の基盤整備に向けて平時から設けている基金(地域医療介護総合確保基金)を財源に使う。岸田首相は官邸で、「体制の強化が可能になる。引き続き、現場の皆さまとの緊密な連携のもと、この状況を乗り越えていきたい」と述べた。(介護ニュース)
介護保険の給付費の動向を明らかにする厚生労働省の統計の最新版が今月9日に公表された。居宅介護支援のデータには、事業所の経営に大きな影響を与える「特定事業所加算」の算定状況も含まれている。
昨年10月審査分をみると、最上位の加算(I)の算定件数が全体に占める割合は3.7%。加算(II)は41.1%、加算(III)は15.3%となっている。新設された加算(A)は0.8%に留まっていた。
特定事業所加算の算定の有無は、居宅介護支援の黒字、赤字を分ける重要な要素の1つ。厚労省は今年度の介護報酬改定で、各区分の要件を従来より増やしつつ単位数の引き上げを行うとともに、小規模な事業所でも取得しやすい区分として加算(A)を新設した経緯がある。
1,1月あたりの介護報酬総単位数によって受給額が変動
いよいよ2月より、介護処遇改善支援補助金がスタートする。介護職員を対象に賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%程度(平均で月額9,000円)引き上げるための措置となる。補助額は、1か月あたりの介護報酬総単位数(介護職処遇改善加算および介護職特定処遇改善加算の金額を含めた総額)にサービス別交付率を乗じる。補助額については、同一の設置者・事業者が運営する他の事業所・施設に賃金改善に充てることが出来るとして、法人一括での処理が可能となった。そのため、配分金額を決める際には、法人全体でやりくりができるようになります。
但し、人員基準上、介護職員の配置が少ない、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具賃貸、居宅介護支援、介護予防支援については対象外であるため法人一括であっても、併設する居宅介護支援のケアマネージャーへの支給はできないことになる。
2,その他の職員への分配も可能
介護職員特定処遇改善加算と同様に、その他の職員への処遇改善にもこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めている。その他の職員の範囲は各事業において判断するということになる。そのため、介護報酬の請求事務をうけもつ本部の事務職員も初級対象になる。この補助金の場合、その他の職員への分配について特定処遇のような分配ルールは設けられていない。事業所の裁量に任せる形となる。そのため、その他の職員に分配を行う場合には、介護職員の処遇改善を目的にした補助金であることを十分に踏まえた分配を行う必要があり、その他の職員に過度な分配を行った場合、指導対象になる可能性があることに注意すべき。
3,介護職1人9000円の支給は困難
補助金は介護報酬総単位数にサービス別効率を乗じる計算方法であるため、一人当たりの9000円支給することは実際には困難。理由は処遇改善加算と同様に月々の稼働率に左右されるから。新型コロナウィルス感染者が出たことで、休業や利用控えがあった場合には大きな減額となる。また、分配する対象職員数でも、一人当たりの支給額はかなり変動することになる。一人当たり9000円の支給額が可能になるのは、毎月の稼働率が100%に近く、介護職員の人員基準通りで運営を行う場合で、その他の職員への分配を見送る場合ケースに限定される。
4,2月分から賃金改善が必要
対象期間は、2022年2-9月の賃金引き上げ分となる。取得要件は2月の時点で処遇改善加算のⅠ~Ⅲのいずれかを取得している事業所である。2月段階でⅣ~Ⅴ算定している事業所は受給できない。かつ、2,3月から実際の賃上げを行っている事業所とされている。ここでいう2月分とは、2月に支給される給与、または、例えば2月末締で3月に支給される2月分の給与のどちらでもよい。
さらに、介護職員処遇改善加算の支払いに合わせることも可能です。2月請求分の介護職員処遇改善加算は3月に国保連合会に請求され、4月25日に振り込まれる。そのため、2月の処遇改善手当を4月または5月の給与で支払う事業所も多い。この場合、補助金につても現行の処遇改善加算と同じ扱いとするため2月分の補助金を4月または5月に支給することも可能となる。ただし、処遇改善加算を年2回の賞与のみで支給する事業所の場合は、この支給サイクルは使えないものと思う。
また、補助金の取得を行う介護サービス事業所者は、2月分から賃金改善を行った旨を2月末日または3月末日までに都道府県知事に報告する。この場合、メール等の提出も可能とした。
5,賃金改善の合計額の3分の2以上を月額支給に
補助金は、賃上げ効果を効果的に資するよう、2月から9月分までの賃金改善の総合計額の3分の2以上はベースアップとして、基本給または決まって毎月支払われる手当の引き上げに充てることが要件となります。毎月支払われる手当とは、支給が不安定な、夜勤手当や残業手当、休日出勤手当などは不可となります。現実的には、処遇改善手当などの名目での支給が一般的となる。手当の場合、毎月支払われることが要件であるが、固定金額であることは求めていない。
就業規則(賃金規程)の改定に一定の時間を要することを考慮して2,3月分は一時金での支給が可能とされている。この場合、一時金扱いであるため、3分の2以上をベースアップに充てる金額には含まれないので注意が必要となる。4月から9月までの月額支給分で8カ月の総支給額の3分の2以上を満たす必要がある。
6,3分の1未満の部分は補助金の調整可能部分
3分の2以上をベースアップに充てることで、残りの3分の1は賞与などの一時金での支給が可能である。補助金全額を毎月のベースアップに充てることはお勧めしない。理由は補助金額が稼働率の影響をうけるからだ。毎月のベースアップ部分は、稼働率が下がったとしても減額することは難しく、結果的にお事業者の持ち出しとなる。この補助金では持ち出しでの自己負担は求めていない。何らかの理由で、稼働率が下がり補助金額が減額となった場合は、賞与で減額となった分を調整すべきだ。
7,4月15日までに計画書、1月末に実績報告を提出
受給するには、4月15日までに処遇改善計画書を提出し、1月末に実績報告書を提出する。2月から4月までの3か月分はついては、6月から国保連から一括で振り込まれ、
11月から1か月分ずつ振り込まれる
8,10月からは加算に切り替わる
この補助金は2月から9月までの8か月間だけの支給である。10月からは基本的な算定要件はそのままに、加算に切り替わることになった。9月までは補助金であるため、利用者負担はない。10月からは加算になるため利用者負担が発生する。また計算方法が異なり1月あたりの介護報酬総単位数(介護職員処遇改善加算及び特定処遇改善加算の金額を差し引いた金額)となる。補助金では介護処遇改善加算と特定処遇改善加算を含めた金額であり、加算では差し引いた金額となる。そのため加算率は補助金より引き上げられる。
尚、24年3月までの処遇改善加算関連が3本存在することとなり、事務負担の増加が懸念されているが、今年の10月に一本化などで混乱させるより補助金の仕組みをそのまま継続させことは事務負担軽減になると判断されたようだ。しかし、来年からは24年度報酬改定の審議が行われる為、その段階で今後のあり方が検討されることになる。
Q
女性職員から、生理で体調が優れず休みたいと、生理休暇の請求がありました。今回は休暇を認めましたが、当施設では事前にシフトで人員配置を決めているので、できる限り出勤してもらいたいと考えています。生理日でも出勤をさせたり、休みの日数に制限を設けたりすることはできますか?
A
女性職員から生理休暇の請求があった場合、施設は、請求された期間に就業させることはできません。また、生理休暇の取得日数も制限することはできないため、施設は、女性職員から請求のあった日数の休暇を認める必要があります。
詳細解説
1.生理休暇とは
女性職員が、生理日に下腹痛、腰痛、頭痛等で著しく体調を崩し、仕事をすることが困難な状態にある場合で、本人から休暇の請求があったときは、施設は請求した女性職員を働かせることはできません(労働基準法第68 条)。また、生理は期間や症状・体調不良の程度に個人差があり、基準を設けることができないことから、施設が就業規則などで休暇日数の制限を設けることもできません。
さらに、1 日単位での取得だけでなく、半日や時間単位での生理休暇の請求が女性職員からあった場合、施設はその休暇の請求に応じる必要があります。具体的には、「痛み止めを飲んで時間が経てば症状が落ち着くので午前だけ休みたい」、「急に生理が来て体調が悪くなってきたので早退したい」といった請求が考えられます。
なお、生理休暇の時間に対して給与を支払う義務はないため、有給とするか無給とするかを就業規則で定めておく必要があります。
2.生理休暇の申請があった場合の証明
生理休暇は、その性質上事前に申請することが難しいため、当日申請するケースが多くみられます。その際、女性職員に対し、「生理によって就業が著しく困難であったこと」の証明として医師の診断書などを提出させることはできず、証明を必要とする場合であっても、対象の女性職員の上司や同僚の証言程度の簡単な証明で足りるとされています。
近年、働き続ける女性が増えていますが、女性職員がいる事業所のうち、生理休暇の請求があった事業所の割合は3.3%、生理休暇を請求した女性職員の割合は0.9%です(厚生労働省「令和2 年度雇用均等基本調査」)。生理休暇を請求しづらいといった女性職員の声もありますが、体調不良であるにもかかわらず無理をすることで、業務の能率が低くなりミスが生じることも想定されます。生理休暇の法的な位置づけを確認し、適切な運用を考えることも、職員の能率低下やミス防止の対策として重要でしょう。
A、キャリアパスは個人の能力・適正に応じて、「指導・監督層」になるコースとは別に「専門職」コースを準備し、専門職のキャリアステップと昇給制度で運用しています。
現場では、「優秀な職員ほど役職にはつきたがらない」とか、「知識・技術面でわからないことについて、皆が教えてもらえる職員は決まっており、しかもその職員は役職者ではない」、といった話がよく聞かれます。そこで考えるべきなのが、キャリアパスにおける「複線化」です。つまり、キャリアパスに描かれた昇格ラインによらずに、役職にはつかずに専ら専門性を高め、組織に貢献するキャリアパスを作ることです。この階層を「専門職」として、上級介護職の水準を超える水準をもって処遇します。この場合、当該職員はマネジメント業務を行わず、専ら好きな介護の道を追い続けても、相応の処遇が保障されることになります。専門性の高さを認められてこその処遇なので、職員のプライドも充足することができます。
また、優秀な人材を滞留させては離職につながりかねません。中小企業の中には職員が自らポストの数を読んで、諦めムードが漂っているようなケースも散見されますが、「専任職」を設けて、「当法人は、管理上の役職だけがポストではない。専任職というスキル面のリーダーもあり、相応に処遇する」と周知すれば閉塞感が一気に変わるはずです。
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最近、仕事や生活の場面でストレスを
> 感じていることはありませんか?
>
> 何となくストレスを感じながら、
> その原因が分からないという
> 方も多いかもしれません。
>
> そこで今日は、自分のストレスの原因について
> 少し分析的に見てみませんか?
>
> 気持ちがスッと晴れるきかっけを
> 掴めるかもしれないので、
> ぜひご一読ください。
>
>
> ■■□―――――――――――――――――――□■■
> 「ストレスに負けない三つの感覚」
>
> 松崎一葉(筑波大学大学院医学系・教授)
>
> □□■―――――――――――――――――――■□□
>
> 同じような環境で、
> 同じような仕事内容で働いていても、
> 病気になる人とならない人がいます。
>
> それはなぜでしょうか。
>
> うつ病に限らず、すべての疾病は
> 環境要因と個体要因のバランスによります。
>
> 例えばどんな屈強な男性でも、
> 何日も寝ないで重労働に従事すれば
> 体を壊してもおかしくはありません。
>
> それが環境要因です。
>
>
> 一方で本人の資質に起因する病もあり、
> 特に精神的な病の場合、その人のストレスの
> 感じ方によるところも大きいでしょう。
>
> その昔、医療社会学者の
> アーロン・アントノフスキーが
> ユダヤの強制収容所から生還した人たちの
> 健康調査を継続的に行ったところ、
> 一部の人たちはとても
> 長生きをしたことが分かりました。
>
> そしてその人たちは、共通して
> 次の3つの特性を持っていたと報告しています。
>
> 1、有意味感
> ----------――
> つらいこと、面白みを感じられないことに対しても、
> 意味を見いだせる感覚。
> 明日ガス室に送られるかもしれない中でも、
> 自暴自棄にならずに、きょうの労働に精を出せること。
>
> 我々のレベルに置き換えると、
> 望まない部署に配属されても、
> 「将来なんかの役に立つかもしれないし」と思って
> 前向きに取り組めることといえます。
> 2、全体把握感
> ----------――
> 先を見通す力、とも置き換えられるかもしれません。
> つらいことに直面すると、
> 人は一生それが続くように感じてしまいますが、
> 「ひとまず夜がくればこの過酷な労働も終わりだ」とか、
> 「いつかは戦争が終わって解放されることもあるだろう」
> と思えること。
>
> 仕事に転じれば、例えば今週は忙しくて
> 土日出勤になったとします。
>
>
> 「なんて忙しいんだ」と思うのではなく、
> 「今週は休めなかったけど、
> 来週のこの辺は少し余裕ができるから、そこで休めるな」
> など、先を見て心の段取りが取れること。
>
> それはそのまま仕事の段取りに通じます。
> 「来週のこの辺で忙しくなりそうなので、
> 他部署からヘルプをお願いできませんか?」
> と、パニックになる前に助けの要請を出せることで、
> 自分もチームも円滑に仕事が回せるのです。
> 3、経験的処理可能感
> ----------――
> つらい強制労働など、最初はこんなことは
> 絶対にできないと思っても、
> 「そういえばあの時もできないと思ったけど、
> 意外とできたよな。今回もできるんじゃないかな」
> と思えること。
>
> 初めて手がける仕事でも、過去の経験から
> この程度まではできるはず、
> でもその先は未知のゾーンだと冷静に読める。
>
> ただ、その未知のゾーンも、
> あの時の仕事の経験を応用すればできるかなとか、
> あの人に手伝ってもらえそうだなと把握できる感覚です。
>
> また、大きくとらえれば、学生時代に努力して
> 練習したら大会で優勝できたじゃないかとか、
> 先生に無理だと言われたが、頑張って勉強したら
> 志望校に合格できたから今回もできるのではないか、
> と思えることも、経験的処理可能感といえるでしょう。
>
> これら3つの感覚はSOC(Sense of Coherence)と呼ばれ、
> 一般的にストレス対処能力を測る物差しとされていますが、
> 簡単にいってしまえば、
> 「きっとうまくいくに違いない」という
> 情緒的余裕と経験に基づく楽観性ではないかと思います。
>
A 経験のある職員を中途採用したはいいが、予想外に能力が低くて困ったという話はよく聞きます。複数の施設を渡り歩く問題児でも転職したばかりのころはおとなしく、職場の水に慣れてきたところに少しづつ牙をむき出してくるようなケースもよくあります。
中途採用に関しては、新卒学卒者に比べれば期待値が高いため、そのものの能力や勤務態度等の評価をめぐるトラブルは多いものです。したがって中途採用者であっても、使用期間を設けることは大切です。ただし、トラブル防止のためにも就業規則の規定に基づいて規定を設けること、本採用を拒否する場合があることなどを雇用契約締結の際にきちんと説明しておくべきでしょう。
使用期間満了での本採用拒否は解雇に相当する
試用期間途中の解雇については、採用後14日間を超えて就労した職員には解雇予告が必要です。この場合、少なくとも30日前に解雇を予告するか、即日解雇の場合には30日以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。
また、試用期間中はいつでも「解雇」が許されると思い込んでいる経営者の方もいらっしゃいます。これは誤りで、試用期間であろうと解雇については一般の職員と同様、入職後14日を超えれば予告手当が必要ですし、安易に解雇が認められないのは一般職員と同様です。ただ、本採用に拒否(事実上の解雇)事由が就業規則に明記されていて、採用時の「面接などでは予見できなかった事実」として該当すれば、それは認められるケースもあります。ここで大切な事は、「本採用拒否」の事由を就業規則に記載しておくことです。本採用拒否が認められる具体的な基準については、裁判例などから、「勤務態度不良」「勤務成績不良」「業務遂行能力の不足」「協調性にかける」「経歴詐称」などは具体的な理由として挙げられます。問題は、能力が不足しているということをどのように説明するかということです。
・「本採用拒否」に関する就業規則の記載例
一 遅刻、早退、欠勤が複数回あり、出勤状況が不良の場合
二 上司の指示に従わない、同僚との協調性が乏しい、誠実に勤務する姿勢が乏しい等の勤務態度が不良の場合
三 必要な教育を施したものの法人が求める能力に足りず、改善の見込みが薄い場合
四 経歴を偽り、その他不正な方法を用いて採用された場合
五 反社会的勢力若しくはそれに準ずる団体や個人と関係があることが判明した場合
六 督促しても必要書類を提出しない場合
七 健康状態が思わしくなく、今後の業務に耐えられないと認められる場合
八 法人の事業に職員として採用することがふさわしくないと認められる場合
九 懲戒解雇などの解雇事由に該当する場合
問われるのは注意指導したプロセスと記録
試用期間の解約権にもとづく解雇であっても、本採用拒否が有効と求められるための重要なポイントは、能力と適性が欠如している職員に対して「繰り返し注意・指導をしたけども改善の見込みがなかった」という事実とプロセスです。これは、通常の解雇の有効性が問われるプロセスと同様です。また、このような注意・指導を行ったという記録を残しておく必要もあります。
実務上は「退職勧奨」が一般的
本採用を拒否する場合、実務上は就業規則に基づいて退職勧奨をおこなうのが一般的です。試用期間中の評価をきちんと説明すれば、本人も「試用期間だからしかたない」と退職勧奨に応じるケースが多いように思います。そのためにも、就業規則には具体的な本採用基準を規定しておくことで、退職勧奨の説得材料にもなるわけです。
厚生労働省は9日、新型コロナウイルスの「オミクロン株」の急速な感染拡大に伴う現場の厳しい状況を踏まえ、通所介護の介護報酬に新たな特例を適用すると発表した。
訪問による代替サービスへの切り替えやサービス提供時間の短縮を行った場合、一定の条件を満たしていれば、ケアプランに位置付けられていた提供時間の区分で報酬を得られるようにする。対象は「まん延防止等重点措置」がとられている都道府県の通所系サービス事業所。適用期間は今月サービス提供分から、"まん防"の最終日が含まれる月のサービス提供分まで。
厚労省はこれまで、実際の提供時間に応じた報酬区分の算定しか認めていなかった。利用者の一部を訪問対応としたり、午前と午後に分けて異なる導線を設けたりして、対策を徹底しつつ必要なサービスの継続を図る事業所を後押しする狙い。介護保険最新情報のVol.1034で広く周知している。
介護保険最新情報のVol.1034
この特例が活かせる一定の条件は、ケアプランに位置付けられていた提供時間の半分以上のサービスを実施すること。これは1日単位でも1週間単位でもよい。具体例を以下にまとめた。
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■ 1日単位でみる場合の例
計画上の時間が「7時間」だったとすると、実際の提供時間が「3.5時間」以上であれば、計画上の提供時間に対応した報酬区分の「7時間以上8時間未満」を算定できる。
■ 1週間単位でみる場合の例
計画上の時間が「月曜:7時間、水曜:7時間、金曜:7時間(週計21時間)」だったとすると、実際の提供時間を「月曜:6時間、水曜:6時間、金曜:休み(週計12時間)」とした場合に、月曜、水曜、金曜の3日分について、計画上の提供時間に対応した報酬区分の「7時間以上8時間未満」を算定できる。
※ サービスを事業所で行わないこととした日は、電話による安否確認や短時間の訪問などを行う。
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厚労省はこのほか、請求日より前に所定の様式をメールなどで指定権者へ提出することも求めた。利用者への説明・同意も必須と説明。「同意はサービス提供前が望ましいが、報酬請求前まででも差し支えない。説明者の氏名、説明内容、日時、同意者の氏名などを記録しておくこと」と呼びかけた。
あわせて、「居宅のケアマネジャーと必ず連携すること」と要請。「基本的にはケアプランに係るサービス内容の事後の見直しは不要だが、第5表などを活用してこの取り扱いの経過を記録する必要がある(サービス提供後で可)」と記載した。(介護ニュース)
厚生労働省は8日、新型コロナウイルスの「オミクロン株」の急速な感染拡大が続いていることを踏まえ、高齢者施設の医療体制の強化に向けた施策を追加で講じる方針を打ち出した。
高齢者施設へ看護職員を派遣する医療機関への補助金を3倍へ引き上げる。通常の2760円/時間から8280円/時間へ見直す。2月9日から適用する。
看護職員の配置を後押しし、退院した高齢者の早期の受け入れ、施設内の療養環境の整備などにつなげたい考え。後藤茂之厚労相は会見で、「感染拡大はまだまだ厳しい局面が続く。時宜にかなった対策を実施していきたい」と述べた。
厚労省は1月、高齢者施設への看護職員の派遣に伴う補助金を通常の2倍へ引き上げていた。今回は更にインセンティブを強めた形。政府の対策分科会が今月4日、高齢者施設への医療面での支援を強化すべきと提言していた経緯がある。
厚労省はこのほか、高齢者施設の利用者・職員に対するワクチンの追加接種を加速させるため、関係団体と協力して個別に働きかけを行っていくと説明。医療支援チームの派遣体制の強化にも注力する考えを示した。