保育
大正・昭和・平成にかけて活躍した作家の宇野千代さん。
雑誌『致知』に掲載された「運」をよくする秘訣をご紹介します。
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運は自分がこしらえるもの
宇野千代(作家)
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あのね、失恋しやしないか、
失恋しやしないかと思っていると、
失恋するんです。
だから、面白いですよ。
思う通りになるんですからね。
だから、人生、いいように
考えることが大事ですね。
それがもうコツですね、人生の。
人生を渡るコツです。
私の弟が船乗りでしたが、
一回でも舵をとるのをあやまって
船を衝突させたことのある人には
その船会社では二度と船の舵を
とらせなかったそうです。
また衝突しやしないか、
しやしないかと思ってると、
また衝突するんですって。
これは、ほんとに真理ですね。
運が悪いとこぼす人は、私、嫌いです。
自分が運をこしらえるんだものねぇ。
自分が悪いから運が悪いの。
前向きでいつも、自分は運がいい、
運がいいと思うんですよ。思うことですね。
結局、失恋も運が悪いのも自分がもと。
どんなにね、人から見て運が悪そうだとしても、
ああ、私は運がいいなあ、
なんて運がいいんだろうと思っているとね、
運がよくなる。
私は六十歳の時にね、ニューヨークで
ものすごく感動したんです。
ニューヨークの大通りを
観光バスに乗って見物していたら、
私のすぐ近くに腰をおろしていた
一人の若い女がきれいに化粧してね、
花飾りのいっぱいついた帽子をかぶって、
満面に笑みをたたえ、
見るからに幸福でたまらないという
顔をしている。
よく見ると、両手とも
肩からすっぽり切り落とされたように
なっているんです。
それなのに嬉しそうな、
世にも幸福そうな顔をして、
「私は両手とも肩からすっぽりと落ちています。
でも、こんなによいお天気で気持ちがよいのに、
両手がないくらいのことで、
この私が、幸福になってはいけない、
とでもいうことがあるでしょうか。
人間は誰にでも幸福になる権利が
あるんではないでしょうか」
とでも言ってるようにほほえんでいる。
あれだと、思いましたね。
私は、この時の感動を
いまも忘れないですね。
(1987年8月号の『致知』より)
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Q 当施設では、中途採用にも使用期間を設けています。過去の経験を見込んで採用した職員でも結果として適正に欠いていたという経験がある為ですが、能力に問題のある職員の本採用を拒否する際にどんな点に注意すべきでしょうか。
A 経験のある職員を中途採用したはいいが、予想外に能力が低くて困ったという話はよく聞きます。複数の施設を渡り歩く問題児でも転職したばかりのころはおとなしく、職場の水に慣れてきたところに少しづつ牙をむき出してくるようなケースもよくあります。
中途採用に関しては、新卒学卒者に比べれば期待値が高いため、そのものの能力や勤務態度等の評価をめぐるトラブルは多いものです。したがって中途採用者であっても、使用期間を設けることは大切です。ただし、トラブル防止のためにも就業規則の規定に基づいて規定を設けること、本採用を拒否する場合があることなどを雇用契約締結の際にきちんと説明しておくべきでしょう。
使用期間満了での本採用拒否は解雇に相当する
試用期間途中の解雇については、採用後14日間を超えて就労した職員には解雇予告が必要です。この場合、少なくとも30日前に解雇を予告するか、即日解雇の場合には30日以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。
また、試用期間中はいつでも「解雇」が許されると思い込んでいる経営者の方もいらっしゃいます。これは誤りで、試用期間であろうと解雇については一般の職員と同様、入職後14日を超えれば予告手当が必要ですし、安易に解雇が認められないのは一般職員と同様です。ただ、本採用に拒否(事実上の解雇)事由が就業規則に明記されていて、採用時の「面接などでは予見できなかった事実」として該当すれば、それは認められるケースもあります。ここで大切な事は、「本採用拒否」の事由を就業規則に記載しておくことです。本採用拒否が認められる具体的な基準については、裁判例などから、「勤務態度不良」「勤務成績不良」「業務遂行能力の不足」「協調性にかける」「経歴詐称」などは具体的な理由として挙げられます。問題は、能力が不足しているということをどのように説明するかということです。
・「本採用拒否」に関する就業規則の記載例
一 遅刻、早退、欠勤が複数回あり、出勤状況が不良の場合
二 上司の指示に従わない、同僚との協調性が乏しい、誠実に勤務する姿勢が乏しい等の勤務態度が不良の場合
三 必要な教育を施したものの法人が求める能力に足りず、改善の見込みが薄い場合
四 経歴を偽り、その他不正な方法を用いて採用された場合
五 反社会的勢力若しくはそれに準ずる団体や個人と関係があることが判明した場合
六 督促しても必要書類を提出しない場合
七 健康状態が思わしくなく、今後の業務に耐えられないと認められる場合
八 法人の事業に職員として採用することがふさわしくないと認められる場合
九 懲戒解雇などの解雇事由に該当する場合
問われるのは注意指導したプロセスと記録
試用期間の解約権にもとづく解雇であっても、本採用拒否が有効と求められるための重要なポイントは、能力と適性が欠如している職員に対して「繰り返し注意・指導をしたけども改善の見込みがなかった」という事実とプロセスです。これは、通常の解雇の有効性が問われるプロセスと同様です。また、このような注意・指導を行ったという記録を残しておく必要もあります。
実務上は「退職勧奨」が一般的
本採用を拒否する場合、実務上は就業規則に基づいて退職勧奨をおこなうのが一般的です。試用期間中の評価をきちんと説明すれば、本人も「試用期間だからしかたない」と退職勧奨に応じるケースが多いように思います。そのためにも、就業規則には具体的な本採用基準を規定しておくことで、退職勧奨の説得材料にもなるわけです。
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テレビなどメディアの出演も多い現役保育士の「てぃ先生」が3日、X(旧ツイッター)を更新。前日のX投稿に続き、能登半島地震に襲われた石川県内で、家の片付けに追われる親に代わり、子どもたちを見守る様子を投稿した。
政府は子育て支援のために19年10月、3歳から5歳児を対象に公立の幼稚園や保育所の保育料を無料にした。
自治体の認可を受けていない認可外保育施設についても、国が定めた人員配置や設備の安全基準を守れば月3.7万円まで免除することにした。親の仕事や介護などで「保育の必要性がある」と認められる必要がある。
待機児童の多い都市部などで認可外施設を利用せざるを得ない親もいることから、5年間の経過措置として容認した。この特例が24年10月以降なくなり、無料を維持するには施設側が基準を満たさなければいけない。
国の指導監督基準によると、安全面では保育室の一定面積の確保や転落防止設備の設置などを求めている。保育士に関しては3歳児20人につき1人以上、4~5歳児は30人につき1人以上を配置するよう定める。
政府は自治体による施設の巡回や監査などを通じて基準に届かない施設に改善を求めてきたが、改まらない施設はなお多い。
こども家庭庁によると、最新の22年3月時点で条件を満たさない施設は3500カ所と全体の25%を占める。新型コロナウイルス禍の影響で自治体の定期監査などが簡素化された面があり、同庁は足元でも一定数が未達のまま残っているとみる。
施設の運営事業者が資金不足で必要な設備を導入できなかったり、人材を確保できなかったりすることが背景にある。利用者にサービス内容を掲示する義務を怠るといった事例も一定数に上るようだ。
厚生労働省の調査では、23年7月の保育士の有効求人倍率は2.45倍で全職種平均の1.26倍を大きく上回る。
放置されれば、施設に子供を預ける親にとっては負担増を迫られることになる。年換算では最大で40万円超の支出増となるケースも想定され、物価高も続くなかで家計に打撃となる。政府の子育て支援策の効果も弱まりかねない。
全国で認可外保育所に通う児童数は21年度に23万2995人で3年前より6万人ほど増えた。ベビーホテルの一部など無償化の対象外の児童も含む。
こども家庭庁は11月中旬、基準を満たさない施設の利用者に24年4月の転園を促すよう自治体向けに通知した。改善が進まない場合に、利用者の負担増を避けるための対策だ。
ただ保育所を移るのは容易ではない。公立保育所は原則4月入所となっており、年度途中に希望する保育所に空き定員があることはほとんどない。利用者が転園させたくても実現せず、自己負担が発生する可能性が高い。
窓口となる自治体も対応に苦慮している。東京23区内の担当者は「転園を促すのは現実的ではない。基準を満たさない施設が期限までに改善させると言えば、口約束を信じるしかない」と打ち明ける。
そもそも国による自治体への通知が遅いとの指摘もある。4月入所の公立保育所の申し込みは11月から12月上旬に受け付ける自治体が多く、締め切りを過ぎてしまったケースもあるとみられる。(日本経済新聞 朝刊 総合・経済)
A、キャリアパスは個人の能力・適正に応じて、「指導・監督層」になるコースとは別に「専門職」コースを準備し、専門職のキャリアステップと昇給制度で運用しています。
現場では、「優秀な職員ほど役職にはつきたがらない」とか、「知識・技術面でわからないことについて、皆が教えてもらえる職員は決まっており、しかもその職員は役職者ではない」、といった話がよく聞かれます。そこで考えるべきなのが、キャリアパスにおける「複線化」です。つまり、キャリアパスに描かれた昇格ラインによらずに、役職にはつかずに専ら専門性を高め、組織に貢献するキャリアパスを作ることです。この階層を「専門職」として、上級介護職の水準を超える水準をもって処遇します。この場合、当該職員はマネジメント業務を行わず、専ら好きな介護の道を追い続けても、相応の処遇が保障されることになります。専門性の高さを認められてこその処遇なので、職員のプライドも充足することができます。
また、優秀な人材を滞留させては離職につながりかねません。中小企業の中には職員が自らポストの数を読んで、諦めムードが漂っているようなケースも散見されますが、「専任職」を設けて、「当法人は、管理上の役職だけがポストではない。専任職というスキル面のリーダーもあり、相応に処遇する」と周知すれば閉塞感が一気に変わるはずです。
Q 職員の休職に関する相談です。現在の就業規則では「欠勤が1か月以上にわたったとき・・・休職期間は3カ月」とあります。ただ、休職および復職を命ずる判断基準等の詳細の定めはありません。就業規則の規定についてアドバイスをお願いします。
A 休職制度を設けるのであれば、休職と復職を命じるかどうかを判断する上での、公正な客観的な判断基準が必要です。その他にも就業規則に盛り込むべき内容は下記になります。
①休職について
・休職を命じる職員に要件
・休職を命じる判断基準
・休職期間
・休職中の賃金
・休職中の留意点
②復職について
・復職後の働き方
・復職を命じる判断基準
③休職期間完了時の取り扱い
上記の中で、休職を命じる判断基準では、例えば、「診断書の提出」はもちろん、「回復に何年もかかる場合には休職は命じない」または「業務外の同じ傷病が理由で欠勤と出勤を繰り返すようなときには休職は命じない」など、状況を想定しながら規定に落とし込んでいく作業が必要となります。休職期間については、「休職期間中であっても園は社会保険を負担しなければならないので、これまでの貢献度合いを考慮し、勤続年数が長い職員と短い職員では差を設ける」ことも大切です。
復職については、復職を命じる判断基準は、本人の復職願いの提出の他、主治医の診断書、
本人との面談実施や園指定の医療機関の受診なども必要です。また、復職後、もし同じ傷病で欠勤した場合には復職を取消、直ちに休職を命じることとし、休職期間は、前の休職期間と通算すること等の規程も必要です。
休職期間満了後の取り扱いについては、回復を見込んで休職を命じたけれど、回復できない場合には、残念だけど退職とせざるを得ない、ということで、休職期間満了日をもって
退職とします。
まずは、上記の内容を規定に明記しておくことで、いざというときには、冷静に対処できるようになります。
子どもがかかりやすい感染症の流行が続いている。季節性インフルエンザによる休校や学級閉鎖が多くなっているほか、プール熱と溶連菌感染症の一種が過去10年で最多の水準。子どもが体調不良で登園・登校ができない場合に、就労中の親に代わって子どもをみる「病児保育」も需要が急増している。 【グラフ】インフルエンザやプール熱の流行状況。報告が増え続けていることがわかる 厚生労働省が発表した11月27~12月3日の季節性インフルの報告数は、1医療機関あたり26・72人。全国で4690施設が休校や学級閉鎖になっている。 国立感染症研究所の集計によると、11月20~26日に定点医療機関を受診した患者数は、プール熱(咽頭(いんとう)結膜熱)が1医療機関あたり3・54人、溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)が同3・86人で、いずれもこの10年で最多の水準となった。 首都圏で訪問型病児保育のサービスを行う認定NPO法人「フローレンス」は、予約の殺到により、月額制の新規会員の受け入れを制限している。保育スタッフの派遣は「当日朝8時までの依頼で100%対応可能」としていたが、現在は全ての予約数に対して7~9割の対応となっている。 例年、東京都内の過去の感染症の流行状況などをもとに需要を予測している。だが、「同時に複数の感染症が流行しており、過去のデータが役に立たない。事業を立ち上げて20年近くになるが、異常事態だ」と三枝美穂・病児保育事業マネージャーは話す。
朝日新聞社
とある訪問介護事業所のサ責の方と話を
していた時に、
大変示唆に富んだ言葉をいただきました。
「経営者の人には申し訳ないけれど(笑)、
社長の話を聞いて心から感動する従業員って、
いなくはないけど、
実はけっこう少ないんです(笑)。
でも、社長に1対1で話を聞いてもらえたら、
間違いなく私たち社員は感動します。」
・・・・・・・・・・・・
如何でしょう?
なるほど、と思える話ですよね。
ことわっておきますが、
“社長が社員に話をする必要がない”
ということでは決してありません。
ただ、認識しておくべきこととして、
経営者はよかれと思い、
社員にも是非理解してもらいたいと思って
一生懸命話をするけれど、
残念ながら、社長の意図はおろか、
話の意味すらしっかり伝わっていない
可能性が高い、
いや、
そう思って話をしなければならない、
ということでしょう。
「何でうちの社員は俺の言っていることが理解
出来ないんだ」
そう言って自嘲気味に苦笑いする経営者に
私はしょっちゅう出会います。
(幹部の方は、社員の部分を「部下」と
置き換えて読んでいただいてもOKです)
そんな時、私はよく、こんな喩えを使って
話をします。
「お気持ちはよ~く分かります(笑)。
でも、社長、こんな風に考えてみては如何
でしょう?
喩えて言うなら、社長は、
山で言うと、頂上にいる存在です。
山の頂上にいる社長と山の五合目や七合目に
位置している社員は、
見える景色が違って当然ですよね。
頂上から下を見下ろして、
もしくは、頂上から見える景色について、
ああだ、こうだ、と話をしても、
残念ながら頂上より下にいるメンバーには
社長の言っていることがさっぱり理解出来ないし、
イメージがつきません。
このギャップを埋めるには、
社長と社員の間を
“つなぐ”
存在をおくか、
もしくは社長やリーダーが部下のいる位置を
確認し、
そこから
“シェルパ(=山の案内人)”
役を務めていくしか方法がないと思いますが、
如何でしょう?」
至極当たり前のような話ですが、
私も含め、
実際の経営現場ではなかなか実現できていない
ことだと思います。
でも、
そんな姿勢で社員とのコミュニケーションの
“質”
を重視し、
その想いの体現として、
“社員の話を聞く”
ことを意識する中で、
それが、このサ責の方がおっしゃるところの
“感動”
につながり、
成長の機会になるのであれば、、、、
皆さんはどう思われますか?
日頃のコミュニケーションの中で、
少し頭に置いてみてもいいかもしれませんね^^
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A 処遇改善加算Ⅱの制度を園に導入するには、職位と職務内容を就業規則やキャリアパスの役割等級表に明記することをお勧めしています。リーダー名も「乳児リーダー」「発達支援リーダー」「食育リーダー」などが多いですが、これはあくまで一例です。園長先生が実現したいことによって、それぞれの園ごとに異なるものです。
ある園では、クラス業務に収まり切れない園全体に関わることをスムーズに進めるため、
既存の委員会に着目した組織づくりをしています。具体的には既存の委員会に、保育環境、保健衛生、安全管理などをそれぞれに割り振ります。そして委員会の中から処遇改善等加算Ⅱの「保育環境リーダー」「保健衛生リーダー」「安全管理リーダー等を任命します。
例えば、保育環境リーダーの職務内容は「園内環境整備年間計画の作成および実施、園児とともに環境整備の実践(園舎、園庭等)です。保育環境リーダーが一人ですべてこなすのではなく、環境整備の場所や日時を職員に割り振り、可能なものは園児とともに実践してもらい、進捗状況を確認します。園全体の保育環境整備を、リーダーが計画にそって采配することになります。
また、ある園では園の特色である自然遊びや楽器を、より日々の保育に取り入れて実践発表までを担う保育者を育成したいと、処遇改善等Ⅱの「自然遊びリーダー」「楽器リーダー」
を設けています。従来は、園長や主任を中心に進めてきたのですが、園の特色をより打ち出すには保育者が主体となって進め、継続することが重要と考えてのことです。
リーダーたちは、ポジションと職務内容が与えられ、取り組むことで成長していきます。延長先生の励ましや承認が、リーダーたちのやる気を引き出し、成長を後押しします。園長先生が実現したいことに向けて、是非、処遇改善加算等Ⅱの制度を園経営に活かしていっていただきたいと思います。
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A 労働時間管理は「時間外労働の管理」といっても過言ではありません。各部署の所属長が残業の必要性を判断し、適切時間を指示するなど、管理職の役割は重要です。職員、個々に勤務時間内に仕事を終える意識をいかにもたせるかが重要です。
一方、始業時刻=出勤時刻、終業時刻=退勤時刻 という認識で時間管理を行っている事業もいまだ多くあります。このような事業所には、労働時間の定義についてまずは指導教育する必要があります。つまり始業終業時刻と出退勤時刻は違うという認識をまずは持っていただくことです。労働時間に関する意味を理解することで、その時間管理意識を持って業務を遂行していくことは、今後、さらに重要なポイントになります。そのためには、まず指導いただきたいのは、時間外労働の「許可制」です。当然ながら業務は所定時間内に行うのが前提ですが、事情により残業になりそうな場合には、その理由と終業時刻を明記し、許可制とする必要があります。それにより、所定外労働割増をつける時間が明確になりますし、何より大切なことは各職員の時間管理意識を高めることができます。ただし、残業の許可制を規定に定めていても、許可を受けない残業のすべてが無効になるかというとかならずしもそうではありません。通常の業務をこなすうえで,所定時間内終わらないような業務量を要求したならば、残業時間に対して、黙示の承認があったということになり、残業時間に該当するという判断になりますので、適宜の指導が必要になります。
ただ、残業を所属長の許可制にしていても、申請された残業内容をよく理解せずに全部承認していたり、逆に、明らかに残業が必要な業務量にも関わらず許可をしなかったりと、所属長により対処の仕方はまちまちになりがちです。本当に必要な残業かどうか、どの程度の時間が必要かなどを判断して、適切な許可を与える必要があります。
残業許可制運用のポイント
- 残業の理由を明確にさせる
「何のために残業をするのか」「なぜ、その業務が残ってしまったのか」を確認します。例えば、許可申請の残業理由に「介護記録作成の為」とだけ記入させるのではなく、「なぜ
介護記録作成業務が残ってしまったのか」を記入させます。そうすることで、原因を本人と上司が確認しあうことで改善に繋げることができます。残業理由が本人の能力の問題であれば、個別指導や業務の標準化を進める必要があります。
- 残業内容の緊急性・必要性を判断する
その業務が「要当日処理」か「翌日処理で可」なのかをメリハリをつけて確認します。
またその業務は、「あなたがやらなければならない業務」なのか「次の交代勤務者で対応できる業務」なのかを確認します。
- 業務の上限時間(目安)を指示する
「その業務は30分で終えて」と目標時間を指示します。業務内容応じて適切な時間を指示することは必要です。但し、このことは「30分以上の残業は認めない」と上限設定をすることではありません。上限を超えて残業していても、事実上、黙認している状況であれば
それは「黙示の承認」に該当します。
- 職員の健康状態にも配慮する
休憩はきちんととれたか、体調にお問題はないか、などを確認します。こうしたことは、日頃の部下とのコミュニケーションで行っておきたいところです。
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