保育
梅沢 辰也
(中村中学校・中村高等学校前校長)
【梅沢】
それからこれは校長になってからのことですけど、マザー・テレサの言葉を
引用する機会が多いですね。
校長として私の思いをどうやって生徒に伝えればよいかと本を読み漁る
うちに出逢ったのが、マザー・テレサでした。
特に惚れ込んでいる言葉が二つあって、話をする際によく引用しているんです。
──ぜひ教えてください。
【梅沢】
一つは
「愛の反対は憎しみではなく無関心です」。
愛とは何か。
それは無関心の反対だから関心を持つことだとマザー・テレサは言う。
ですから友達同士でもまずお互いに関心を持とうよ、ということで、そのためには
挨拶や日頃のコミュニケーションがいかに大事かということですね。
もう一つは
「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、
それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、
それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、
それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、
それはいつか運命になるから」。
この中で私が一番強調したいのが、「言葉に気をつけなさい、
それはいつか行動になるから」ですね。
言葉というのは普段何気なく使っているものですが、
それだけに気をつけなければいけなくて、特にマイナスな言葉は
極力使わないようにする。
──マイナスな言葉を使わない。
【梅沢】
そうです。マイナスな言葉というのは、それを言った瞬間、最初に傷つくのは
その言葉を発した本人です。
だからマイナスな言葉を使えば使うほど、その人がダメになってしまう。
もちろん、その言葉を聞かされる人にも影響を及ぼすので、
もっとぽかぽかした言葉を多く使いたいものですね。
出典:『致知』2016年8月号 特集「思いを伝承する」より
A、キャリアパスは個人の能力・適正に応じて、「指導・監督層」になるコースとは別に「専門職」コースを準備し、専門職のキャリアステップと昇給制度で運用しています。
現場では、「優秀な職員ほど役職にはつきたがらない」とか、「知識・技術面でわからないことについて、皆が教えてもらえる職員は決まっており、しかもその職員は役職者ではない」、といった話がよく聞かれます。そこで考えるべきなのが、キャリアパスにおける「複線化」です。つまり、キャリアパスに描かれた昇格ラインによらずに、役職にはつかずに専ら専門性を高め、組織に貢献するキャリアパスを作ることです。この階層を「専門職」として、上級介護職の水準を超える水準をもって処遇します。この場合、当該職員はマネジメント業務を行わず、専ら好きな介護の道を追い続けても、相応の処遇が保障されることになります。専門性の高さを認められてこその処遇なので、職員のプライドも充足することができます。
また、優秀な人材を滞留させては離職につながりかねません。中小企業の中には職員が自らポストの数を読んで、諦めムードが漂っているようなケースも散見されますが、「専任職」を設けて、「当法人は、管理上の役職だけがポストではない。専任職というスキル面のリーダーもあり、相応に処遇する」と周知すれば閉塞感が一気に変わるはずです。
Q
職員の定着率が悪いなと感じていた時、辞めていくある職員が「私、Aさんが怖くてやめるんです」と教えてくれました。どうやらA職員は、利用者にいじめや嫌がらせをしていたようなのです。A職員の行動は一般職員にも有名らしいのですが、管理者には一切のその情報があがってきませんでした。辞める職員の密告であることがA職員にわかれば、辞めて後もその職員になにをしてくるかわからないので、内緒にしてほしいと言ってきています。でもそのままにしていたら、退職者が続出だけでなく施設の信用にも関わります。どのように指導したらよいでしょうか。
A
事実を確認したうえで、服務規律にそって指導や制裁を検討しましょう。
退職者が辞めるときの本音は「辞めるのだから自分はもう関係ない」とか「辞めるときには問題を起こしたくない」という心理状態が働きますので、黙って身を引く社員は多いものです。
なかには今回のように、残される社員のために、とか自分にしか言えないことだから、ということで教えてくれる社員もいますので、これは大変ありがたいものです。
まずは、問題社員の行動が、退職者の言ったとおりなのかを確認する必要があります。一人だけの意見の場合にはどれだけ信ぴょう性あるかは、わかりません。ほかの社員からも聞き取りを行ったり、いつも以上に注意深く観察しておく必要があります。
確認したうえで、間違いなく問題を起こしている場合には、その社員を呼び出し、その程度によっては、指導しながら就業規則に定める制裁をあたえましょう。「制裁」という条文で、「利用者やその家族及び取引先などに不信招く応答など、対外的業務に誠実性を欠き、本法人の信用を傷つけた場合には罰則を与える」というような内容が定められていると思いますので、その条文を見せながら、具体的にどのような違反行為がおこなわれたのかを
説明し、指導していく必要があります。いきなりの解雇ではなく、指導や始末書から初めて段階的に指導していきます。そしてその指導内容は記録に残しておくようにします。
規律が守れない社員には、管理者は指導をあきらめてしまいがちです。しかし、あきらめてしまったら、利用者や従業員の安全はどのように守られるのでしょうか。
また、職場風土として「密告」ではなくて、よりよいサービスを提供するために何が必要かを、いつでもだれでも発言できる職場環境を整えることで、事業所全体を高めあっていく風土を形成していきましょう。
処遇改善加算Ⅱの制度を園に導入するには、職位と職務内容を就業規則やキャリアパスの役割等級表に明記することをお勧めしています。リーダー名も「乳児リーダー」「発達支援リーダー」「食育リーダー」などが多いですが、これはあくまで一例です。園長先生が実現したいことによって、それぞれの園ごとに異なるものです。
ある園では、クラス業務に収まり切れない園全体に関わることをスムーズに進めるため、
既存の委員会に着目した組織づくりをしています。具体的には既存の委員会に、保育環境、保健衛生、安全管理などをそれぞれに割り振ります。そして委員会の中から処遇改善等加算Ⅱの「保育環境リーダー」「保健衛生リーダー」「安全管理リーダー等を任命します。
例えば、保育環境リーダーの職務内容は「園内環境整備年間計画の作成および実施、園児とともに環境整備の実践(園舎、園庭等)です。保育環境リーダーが一人ですべてこなすのではなく、環境整備の場所や日時を職員に割り振り、可能なものは園児とともに実践してもらい、進捗状況を確認します。園全体の保育環境整備を、リーダーが計画にそって采配することになります。
また、ある園では園の特色である自然遊びや楽器を、より日々の保育に取り入れて実践発表までを担う保育者を育成したいと、処遇改善等Ⅱの「自然遊びリーダー」「楽器リーダー」
を設けています。従来は、園長や主任を中心に進めてきたのですが、園の特色をより打ち出すには保育者が主体となって進め、継続することが重要と考えてのことです。
リーダーたちは、ポジションと職務内容が与えられ、取り組むことで成長していきます。延長先生の励ましや承認が、リーダーたちのやる気を引き出し、成長を後押しします。園長先生が実現したいことに向けて、是非、処遇改善加算等Ⅱの制度を園経営に活かしていっていただきたいと思います。
今年で創立55年目を迎え、「体の強い子」「心の豊かな子」「よく考える子」「ねばり強い子」「けじめのある子」を育んできた藤が丘幼稚園。
いよいよ来年度から年少の1つ下、「満3歳児保育」が始まる。これは満3歳になれば入園が可能になる制度で、「幼児教育・保育の無償化」対象。未就園児向けのプレ教室(※)ではなく、正規の入園となるため、教育時間も同じ。子どもたちが早くから集団生活に馴染み、教育を受けられるメリットがある。
満3歳児保育の開始で通園期間を早めるとともに、全学年で正規の教育時間前後に預かり保育も実施(朝7時半から/夜6時半まで)。共働き世帯でも通園できるように保育園に近い環境を整えているのも特徴だ。
広く安全な園庭には今秋、大型総合遊具「ディノワールド」を設置。運動能力を育むように設計された最新型の遊具で、園児も夢中になりそう。
自園調理の給食は化学調味料を使わず、国産食材のみ使用するこだわりで、苦手な食べ物を克服できた園児も多いとか。伝統のかわいい制服や同じグループのエンゼルスイミングスクールで行う水泳教室など、設備面・教育面は言うことなし。無償化対象園なので費用負担も少なく、保育園からの入園もお勧めだ。
学校法人吉浜学園 藤が丘幼稚園
横浜市青葉区藤が丘2-37-7
(出典:神奈川タウンニュース)
A、例えば、10人規模の訪問介護事業所や、通所介護(デイサービス)事業所でも十分にキャリアパスは構築できます。規模が小さい事業所は職責や組織のポジションが少なく、また給与財源が限られているという理由で、キャリアパスを作っても、意味がないとお考えの事業所は多いようです。ただ、社内のポジションで考えてみると、資格等級制度における「昇進」と「昇格」は異なります。「昇進」は確かにポジションが空かなければ上に進むことはできませんが、「昇格」は等級要件がクリアできれば全員昇格するのが、キャリアパスにおける資格等級制度の考え方です。例えば、取得した資格のレベル、勤続年数、人事評価などで、各等級の要件を定め、その昇格要件を決め、給与や時給に連動させれば、立派なキャリアパスです。また、昇給財源ですが、前述の処遇改善加算金を、財源に充当させることも十分可能ですし、むしろ国もそれを奨励しています。もしかしたら、従業員教育に時間をかけられない小規模事業所だからこそ、その仕組みにより自発的に能力を高めるようになるといった、キャリアパス効果は大きいかもしれません。
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①医療分野キャリアパス
クリニック人事サポートパック(評価制度、賃金制度の作成) | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
②介護分野キャリアパス
処遇改善加算対応キャリアパス構築コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
③保育園のキャリアパス
保育士キャリアアップの仕組みサポートパック | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
Q、先生は、家庭の事情で帰らなくてはならず、残業はできません。通常の業務時間内は御遊具会まえの練習が立て込んでいたり、衣装づくりに時間は取れず、みんなに申し訳ない気持ちだったようです。そんなときにA先生がわたしは家で作ってくると申し出たそうです。
園内で時間外労働をしている職員には、もちろん残業手当を払っています。でもA先生のような場合には、どうしたらよいのでしょうか?
A, まずは、自宅で行った業務内容、具体的な完成品、かかった時間数を確認して、園長が必要な時間数を確認し、残業手当を支払ってはどうでしょうか。問題は今後の対応をどうするかです。安易に自宅での業務を認めてしまうと、自宅での業務が多くなるでしょうし、
そもそも労働時間の把握ができません。
やはり原則通り、①業務は命じられた場所で行う②業務時間内で終了できるように、業務のやり方を変える。という2点の対応が必要です。
まずは就業規則に就業の場所は「○○園、および命じられた場所」と規定します。命じられた場所には、園児と一緒に行くお散歩や公園、外部の研修会場を想定しています。自宅を就業場所として命じなければ、業務を持ち帰ることはできません。
就業規則に、「就業場所」を定め、職員毎の労働条件通知書にも同様の記載をします。
次に、業務のやり方を変えることについて、どんなことから始めたらいいか、園長と話をしました。「行事前に残業が増えるのは、これまでのやり方を踏襲していること、各クラスが
同じレベルの仕上がりを目指していることなどが原因かもしれません・・・・」と仰っていました。見方を変えると課題が見えてきます。行事のやり方などを変えることは、職員たちにとって自身にもなったようです。日常業務いついても、業務の完成イメージから必要な時間を逆算して取り組むなど業務時間内でやる方法を考え、チャレンジしてみると、手ごたえを感じるようなのです。これが、当園の「働き方改革」なのかもしれません。
⇒保育業界の経営 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
社会保険労務士顧問業務 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com
報酬基準 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
政府は、教育・保育施設における送迎バス園児置き去りなどの事故を受け、命の危険につながりかねない事例100件を取りまとめた「ヒヤリ・ハット事例集」を公表した。おもに子供の所在や行動を把握できなくなった事例を中心に掲載している。
「ヒヤリ・ハット事例集」は、2022年度「子ども・子育て支援調査研究事業」の国庫補助を受け、日本経済研究所が作成し2023年3月付で公開した。事例集の作成にあたっては、有識者や教育・保育団体、先行自治体を構成員とする「意見交換の場」を開催し、各団体の協力のもと収集。場面ごとの傾向や共通の注意事項について分析し、試行的に重大さのレベルをリスクに応じてレベル0~3の4段階に分類している。
ヒヤリ・ハット事例は、「送迎バス」7件、「園外保育」25件、「園内(室外)保育」29件、「園内(室内)保育」39件の4場面100件。リスクレベルは、間違ったことが実施されたが子供には変化がなかった場合(実害なし)の「レベル1」が9割を占めている。
最多は、園内(室内)保育での「抜け出し」19件。ついで園外保育での「見失い・行方不明」10件、園内(室外)保育での「抜け出し」10件、「置き去り」9件。「抜け出し」の要因は、職員の思い込みや確認不足のほか、子供の行動把握ができていなかったことなどが多くみられた。
政府は、同事例集を各教育・保育施設が職員に対し園内で事故防止対策の研修を行う際に活用したり、行政などがヒヤリ・ハット事例集を作成する際の参考資料としての活用を想定。事故予防に役立ててもらいたいとしている。
⇒保育業界の経営 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
A、「何をどうすれば、いい評価が得られるのか」。被評価者からすれば当然知りたい内容ですし、それが法人の求めている職員像につながることになるわけです。ところが、評価者側の都合で、もしくは評価者側の裁量の幅をできるだけ大きくできることを目的に、評価項目を抽象的な表現にしたり、評価点のつけ方などがブラックボックスにしているケースがあります。この場合、「求められる職員像」が明確にはならないので、目標自体に具体性が欠けることになります。
弊社が推奨する職能評価や行動評価は、事前に評価される内容が具体的に分かっているだけではなく、点数のつけ方もオープンにしているので、透明性が担保されるだけでなく、各職員においては自己成長の実感が可能になります。評価制度が本当の意味で職員を育てるための制度にするには、次に述べる視点がとても大切になります。
- 組織全体のレベルアップを図ることを目的とする。
評価によって優秀な職員を発見することも大切ですが、それよりも先に行わなければならないことは、普通の職員の能力を高めることによって組織全体のサービスの質を上げることなのです。一人の優秀な職員のヤル気を高めるよりも、多くを占める普通の職員のヤル気を高めることの方が大切であることを理解してください。
- 部署別、職種別、そして等級別に「期待される職員の努力」を具体的に明記する。
- はじめから「どんな努力をすれば良い評価(SまたはA評価)になるか」を明示しておく。この内容が「期待される職員像」となり、全ての職員に、期の初めから「こんな努力をしてほしい」と明示する。
評価は学校で行われるような試験や通信簿ではありません。学校の教育では、教科書に基づいて教えていき、期末または年度末に試験をして結果だけを測定し、評価すればいいのですが、職場ではそうではなく、どんな問題を出すのか(つまりどんな行動を期待しているのか)を初めに明確にしておいて、出来るだけ多くの職員が優秀な成績、つまり5段階評価ならS評価やA評価を取ってもらうようにすることが必要なのです。
その場合、必ず意見として聞こえてくるのが、「良い評価が増えれば、人件費が増加してしまうのでは?」という懸念です。もちろん、評価結果を反映させる処遇の財源(例えば、処遇改善加算)は確保しておきながら、その財源の限度内で分配を行う管理手法は必要になってきます。
今年5月、愛媛県新居浜市内の保育園で生後8か月の男の子が給食中にリンゴを食べた後、重体となった事故で保育園を運営する社会福祉法人は県などに改善報告書を提出し、23日付けで受理されました。
【写真】事故があった保育園外観
新居浜上部のぞみ保育園では今年5月、当時、生後8か月の男の子が給食で生の刻みリンゴを食べたあと、意識不明の重体となる事故が発生し県と新居浜市による指導監査を受けています。
先月、保育園を運営する新居浜社会福祉事業協会から改善報告書の提出を受けた県と市は、内容を精査していましたが、23日付けでこの報告書を受理しました。
県によりますと、報告書では食事の提供体制の改善策として給食時に保育士のほか栄養士や調理員がクラスを回り、園児の状況を観察する他発達や体調に応じた食事の提供を徹底するということです。
また、調理経験のある主任保育士を給食室へ配置し、保育現場と調理現場の協力体制を強化するなどし、職員の資質向上を図るとしています。
この他、全ての職員が心肺蘇生法などの訓練を毎日実施するということです。
県や新居浜市は再発防止に向けた運営体制の改善が見込まれるなどとして、今後は年に1回実施する通常の指導監査を通じ、必要な指導を行う方針です。