保育

Q、当施設は職員の中途採用が多く、入職時期もバラバラです。有給休暇の付与に関しては、個人の入社日ごとに付与する方法を採用していますが、事務対応の煩雑さから付与日を統一することを検討しています。その場合、留意すべき点はどのようなことがありますか?

 

A,

有給休暇の基準日を一律に定めて付与することを「斉一的取り扱い」と言いますが、前提条件となるのが、「前倒しで付与する」ことです。例えば、41日を基準日と定める場合、91日入職した職員は、6か月継続勤務すれば翌年の31日に10日の有給取得の権利が発生します。この場合、基準日を統一し41日に繰り下げての付与(入職から7か月目の付与)は認められません。有給休暇の斉一的取り扱いについては、下記の要件を満たす必要があります(平成6.1.4基発1号、平成273.31基発033114

  • 斉一的取り扱いや分割付与により、法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
  • 次年度以降の有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。

しかし、基準日を前倒しで繰り上げるため、入職時期によりどうしても不公平が生じてしまいます。ここをどのように考えるかがポイントになります。それでは、その代表的な対応とその留意点を下記致します。

①基準日を月初などに統一する

入社が月の途中であっても、基準日を月初などに統一します。例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一することにより、統一的な管理が可能となります。この場合、

5日取得させる期間も月ごとに統一できることになります。

② 基準日を「年2回」とする緩和策をとるケース

例えば、41日と101日の2回に統一する方法もあります。全職員同一の基準日に統一するよりは、入職時期による不公平感が軽減できます。41日から930日までに入職した職員の基準日は101日に10日付与し、101日から331日までに入職した職員は41日に10日付与します。以後、それぞれ41日と10月1日を基準日としていきます。この場合、71日入職者の8割出勤の考え方は以下のようになります。

6か月継続勤務後の本来の基準日である11日から短縮された3か月(10月~12月)

は全期間出勤したものとみなし、この期間を含めて71日から1231日までの6か月間で、8割以上出勤したかどうかを計算します。

基準日の統一は前倒し付与が原則の為、41日入職者は6か月後に10日付与され、91日入職者は1か月後に付与される不公平感は残りますが、年1回と比較すれば、不公平感は緩和されているのではないでしょうか。

 

③分割して前倒し付与したら次年度基準日も繰り上げる

施設によっては、入職と同時に10日付与するケースや、「入職3か月後(使用期間終了後)に3日付与、6か月後に7日付与」と分割して付与するケースがあります。分割して付与する場合も先の行政解釈(上述(2))にあるように、前倒し付与したら次年度の基準日も繰り上げます。

例えば41日入職者に、使用期間終了後の71日に3日付与し、101日に7日付与した場合、次年度に11日付与する基準日は本来の付与日(101日)から1年経過後ですが、初年度の3日分を3か月繰り上げて付与したため、次年度の基準日も同様に3か月繰り上げ、「7月1日から1年経過後」に11日付与することになるわけです。この点も注意をしながら前倒しのルールを検討していく必要があります。

 

                                    以上

保育園 法人理念から求める職員像を可視化する

私は、法人が園を経営していく上で最も大切な価値観表しているものが、法人理念であると捉えています。多くの園では法人理念を、HP、入園のしおり、パンフレットなどの印刷物をはじめ様々な方法で保護者や職員に周知しています。

保育理念の浸透とは

ただ、周知はしているものの、どこまで「浸透」しているかというと、なかなか難しいところです。ある園では、職員に理念を改めて尋ねたところ、ほとんどの職員が応えられなかったということをお聞きしています。「浸透」している状態とは、職員が理念の意味を理解し

しそれを日々の実践に活かせる状況を言います。そのような状態にもっていくために経営は、経営理念の周知に努力するだけでなく、それを行動に移せる職員をどれだけ育てることができるのかを日々の活動のかなで考えていく必要があります。

 

求める職員像を的確な言葉で表現する

 

保育現場では職員一人一人の自律的な判断、行動が求められます。しかし保育者不足から中途採用の職員やぱーと職員の増加により、法人理念の背景や創立者の思いが継承できていなかったり、これまでの暗黙の前提が成立しなくなっている園もあるでしょう。法人の、園の、保育実践において、拠り所となるものが必要になるのも自然な流れと言えるかもしれません。そこで、私は法人理念を具体的に実現できる「人財」を「求める職員像」として可視化することをご提案しています。法人理念に基づき、どのように行動してほしいのか、どのような人となりであってほしいのかを整理し、的確に表現する言葉で「可視化」し、職員に示すことが重要です。そのための方法はいろいろあると思いますが、当社では、法人理念を

いくつかのキーワードに凝縮し、各キーワードの意味とそれを実現できる行動を職員の発想で具体的にしていきます。例えば、

キーワード:「思いやり」⇒出来ることに手を出すのではなく、見守って、助けが必要な時は、思いやりの気持ちをもち笑顔で、声をかけて手伝っている。

キーワード:「報告・連絡・相談」⇒何を相談したいのか整理し、自分なりの考え方をもって、先輩や同僚に積極的に相談し、アドバイスは素直に受け入れている。

 

求める職員像が育成指針として活用し、また人事評価に組み入れ定期的に振り返る機会を

 法人理念から「求める職員像」を可視化し、周知と浸透を図っている園長先生にお伺いしました。

 先日の職員会議で、園児への声掛けやかかわり方が議題に上がったのですが、中途採用の新人職員の一人から「求める職員像」を根拠にその関わり方の提案が出ました。参加していた職員からは賛同と納得を得ただけでなく、この発言は刺激になったようです。

また、年2回の評価の中に、その実践度合いに関する評価項目を入れて、定期的自己を振返る機会を持っています。いい評価がもらえればモチベーションにもつながっているようです。また上司・部下の間で、現状と今後について話し合う良いコミュニケーションの機会にもなっています。

 園としては、引き続き「求める職員像」に基づく職員の働きぶりを承認し、育成に繋げていければと考えています。

なぜ人事評価制度は形骸化してしまうのか

 

評価制度の運用の改善やサポート業務で、ご相談を頂きますが、何にお悩みかというと

いわゆる形骸化です。

形骸化とは「実質的な意味を失い、中身のない形式だけ残ること」です。

 まさしく、「ただ やっているだけ」という状態と言っていいかもしれません。評価制度を導入して3年ぐらい経過するとこのような状況に陥るケースはとても多いように感じています。

 なぜ、このようなことになってしまうのか。管理者やTOPの方にやる気が無いからでしょうか?それもあるかもしれませんが、それを考えてもなかなか改善にはつながらないので

もう少し構造的に考えてみたいと思います。

 その視点で「重要度、緊急度のマトリックス」で考えてみると、人事評価のポジションは

「重要度は高い」が「緊急度は低い」ということになります。つまり、今やらなくても問題はない仕事となり、この結果「先延ばし」となり「緊急度の高い仕事」が終わったら取り組もうと思っているうちに、気が付いたら期末になってしまう。このようなことを繰り返しているうちに、評価制度は「形骸化」へまっしぐらとなります。誰が悪いわけではなく、そのような構造になっているのが評価制度の運用というわけです。

 

評価制度の形骸化にどうすれば歯止めがかけられるか

 評価制度の評価内容を毎年見直す

 

評価項目のブラッシュアップ、とりわけ評価項目が今の時代に即しているか、人の成長に合わせてよりレベルアップしていく項目に変わってきているかを毎年実施する重要なイベントごととして、必ず行っていただきたいと思います。

  もちろん、見直した結果として、前年と同じでいこう、という結論であればそれもOK

  です。

 

 本人評価と上司評価(一次評価)を別々に行う

良き聞く声で、「どうしても本人評価に引っ張られてしまう」という相談があります。

その場合のアドバイスは、本人評価とは別シートで一次評価を行うことです。そのメリットとして、今まで以上に評価への真剣度が変わります。そもそも本人評価は評価エラーも多く、スキルを持っている人は少ないので、あまりアテにしない方がいいと思いおます。いずれにしてもこの変更は評価者にとっては大きな変更なので、異論はありますが、実際におこなった事業所に例を見ると、評価に対する真剣度は変わり、形骸化にはなりません

 運用委員会などを作り機能させる

人事制度は構造上、「緊急度は低い」業務であることは、事業所のTOPや管理者でも同じです。そこでTOPも含めて、評価制度全体をマネジメントする「担当者」や委員会をつくることをお勧めしています。年間のスケジュールを決めたり、いつまでに●●を実施してくださいというように指示手配する役割と責任をもった委員会などがあることで全体が機能するようになります。

 期初に、一年間のスケジュールに日付を入れて決めておく

事業計画の発表日や、社内的なイベントの日付を決めるのと同じように、評価制度の運用を重要なイベントとして、評価実施期間、評価者ミーティング、フィードバック面談等をあらかじめ1年間の日付を確定させておきます。そして、これは会社の最重要イベントということで、他の予定が入っても、この予定を最優先すると決めて通知をするぐらい徹底したいものです。

 

以上、過去の事例に基づき、代表的な方法を挙げましたが、

対策の必要があれば、出来ることから始めて行くことをお勧めします。

Q 面接後の内定辞退を防止するにはどうしたらいいでしょうか?

A 採用までのスピード感と内定後のフォローが大事です。

 面接から内定までの間をあけない

応募者は一般的な企業の求職者ほど就職先をさほど慎重に選んでいないのも実態ではないかと思います。もちろん「この職場でどうしても働きたい」という人は少なく、「ここを断って次でもおとされたらどうしよう」という不安もあるため、最初に内定をもらえたところの就職を決める傾向があります。

 したがって「良い人材だ」と思ったらできるだけ早く結論を出すことが大事です。優秀な人材はどこからでも内定をもらえます。内定まで1週間程度空いた場合、同時に受けた他社から内定がでたらそちらに決めたしまう可能性は高まります。良い人材と判断したらできれば面接の翌日には内定を入れることが望ましいと思います。ただ、判断が難しい場合や、候補者が複数いる場合には、判断を留保する場合もあります。その場合でも1週間後には結論を出した方がよいと思います。面接から2週間も経過してしまうと、本人も「歓迎されていない」と感じ、就職する意欲が薄れてしまいます。

 こちらも見られていることを忘れずに

面接する側も応募者から「見られている」という意識を持つ必要があります。他院を受けている応募者は、当然そこと比較し、自分なりに判断をしているわけで、いい印象を持たれなければ辞退されます。

 私も面接に立ち会わせいただく機会がありますが、こちらの要望を伝えすぎてしまうケースがよく見られます。「うちに来たら、本来業務はもちろんだけど、院長秘書、掃除、診察の介助を幅広くおこなってほしい」などと一方的に並べ立ててしまうと、私には務まらないかも、と思って不安に感じてしまいます。要望は伝える必要がありますが「忙しくてもスタッフの助け合いで頑張っています」というように工夫して伝えることをお勧めします。

 人は自分を求めてくれるところに行きたいもの

人は自分を必要としてくれているところに行きたいものです。内定の際にも「あなたを採用します」という一言でなく。「あなたのお人柄が当法人には合うと思いました。全員一致で○○さんに来ていただきたいという結論が出ましたので、ぜひ当社に来てください」と伝えた方は応募者の心に響きます。内定後も「あなたを必要としている」というメッセージを伝えることが大切です。入職までに時間が空くようでしたら、スタッフとの顔合わせの時間などを持っておくことも大切です。途中でユニフォームの準備などの連絡をいれたり「入職をまっている」というメッセージを間接的に伝えることも大切です。

せんせいトーク、利用職員数1万人を突破

株式会社コドモンが提供する職員間連絡アプリ「せんせいトーク」が、正式リリースからわずか2か月で全国700施設以上に導入され、利用職員数1万人を突破しました。従来の口頭・電話・紙メモや個人アプリ利用の課題(伝達ミス・情報漏洩リスクなど)を解消し、緊急連絡やシフト調整、ヒヤリハット報告まで一元化。パート含む全員への一斉連絡も可能で、既読確認や研修動画機能も搭載。導入施設では業務削減や職場雰囲気改善の効果が報告されています。

■ 人事担当者にとっての学び

保育現場の「連絡業務効率化」は職員の離職防止にも直結します。情報伝達の不備がストレスや人間関係悪化を招く中、業務専用ツールの導入は心理的負担軽減につながります。また、パート職員を含めた公平な情報共有は、チーム一体感を生み、採用後の定着率を高めるヒントになります。

■ 自分の事業所で検討できること

 ・既存のLINEやメールを業務連絡から切り離す
  → 私用アプリ混在を防ぐ
 ・職員全員がアクセスできる専用連絡ツールを導入
  → パート・短時間勤務者も含めた公平な情報共有
 ・研修動画やマニュアルの一元化
  → 新人教育の効率化と品質維持
 ・導入後は定量効果を測定
  → 業務削減時間や職員満足度を数値化し、人事戦略の改善に活用

突然来なくなったスタッフには、どのような対処すればいいでしょうか、アドバイスをお願いします。

A 本人の緊急連絡先や実家に連絡をとりましょう。

 

身元保証人の連絡先や緊急連絡先を2,3か所押さえておく。

突然出勤せず、連絡もつかない場合は、事故・事件に巻き込まれて出勤できない万が一の可能性を考える必要があるでしょう。何度か連絡しても連絡がつかない場合には、直接居場所まで出向いて無事を確かめることも必要かもしれません。本人と連絡がつかないときの連絡先を把握しておくために、契約の段階で身元保証をとるのも一つの方法です。連絡がつかないときは身元保証人に連絡し「〇〇さんと連絡がつかないのですがご存じですか」と伝えます。身元保証人そのほかの関係者から本人が無事であることが判明すれば、突然来なくなっている状況を伝え、本人から事業所に連絡してもらうようにします。賃金や退職手続きはその後に検討します。退職するにしても、届け出や返還させるものなどの手続きがあるので、いずれにしても一度は職場に来てもらうようにしましょう。もし

何らかの理由で職場に来ない場合には、給与を振り込みでなく直接職場に取りに来るようにさせる方法もあります。毎月の給料は口座に振り込むことが多いのですが、手続きが終わっていない場合には直接現金を手渡しするということです。なおこの場合には就業規則にあらかじめ記載しておくとも大切です。とにかく一度は出社させることで退社手続きや挨拶など済ませることができます。

 一方、だれにも連絡がつかないような場合には、現住所まで出向く必要もあるでしょう。自宅にもいない様子であれば、近隣に人に様子を聞き、伝言を頼んだり、直接メモを残しておくなどして、連絡するよう促します。

自動的に退職とする規定を設ける。

突然出勤しなくなって行方不明になってしまった場合は、就業規則に「職員が行方不明となり無断欠勤が続いた場合には退職とする」などと決めておくことで、自動的に退職の扱いとするが可能になります。

記載例)第〇条 職員が次の項目該当する場合には退職とする。

・職員が行方が不明となり、1か月以上連絡が取れないこと」

                                  以上

現役保育士に聞いた仕事を辞めたいと思った理由TOP3、3位求められることが多い、2位人手不足で多忙、1位は?

世の中になくてはならない仕事でありながら、業務過多や給料の少なさなど課題が多いとされる保育士。実際にこの職に従事する人たちは、どんな思いや悩みを抱えているのだろうか?

日本生命保険はこのほど、20歳から59歳の保育士1,521名、保育士を除く20歳から59歳の一般社員 516名を対象に「保育士の働き方実態大規模調査」を実施し、その結果を発表した。

1. 保育士という仕事の魅力

保育士は、使命感とやりがいを実感できる仕事

「自分の仕事をどのように捉えているか」という問いには、「子どもの頃や学生の頃からこの仕事に就きたいと考えていた」(31.8%)、「誰かの役に立っていると実感できる」(30.4%)、「長く続けたいと思っている」(29.5%)、「社会的意義の高い仕事だと思う」(26.1%)といった回答が多く寄せられた。

また、一般社員比でも「子どもの頃や学生の頃からこの仕事に就きたいと考えていた」(+29.5pt)、「誰かの役に立っていると実感できる」(+19.5pt)、「社会的意義の高い仕事だと思う」(+16.8pt)といった項目で大きな差が見られる。これらの結果から、多くの現役保育士が幼い頃からの憧れを叶え、社会に貢献しているという実感や、自己成長を感じながら前向きに働いている様子がうかがえる。

全14項目中13項目の値が、就業後に上昇

就業前後の比較では、全14項目中13項目で数値が上昇。中でも「自分自身の学びにつながる」(+9.8pt)、「自分自身の成長を実感できる」(+6.2pt)、「自分の経験やスキルが生かせる」(15.0%→22.9%)、「いつも助けてくれる同僚がいる」(+4.2pt)といった項目が大きく伸びている。この結果からは、保育士という仕事が、同僚からのサポートを実感しながら、自身の成長に手応えを感じられる仕事であることが読み取れる。

保育士は「仕事とプライベートのバランスが取りやすい」

「保育士の仕事に対して思うこと」を尋ねたところ、「仕事とプライベートのバランスが取れている」(68.8%)の数値が高くなっていることから、多くの現役保育士が生活との両立を実感していることがわかる。また、「自分は職場で役に立っていると思う」(67.3%)、「仕事を通じて成長や達成感を実感できている」(66.2%)、「自分の強みや経験を仕事に生かせている」(65.3%)といった声も多く見られることから、保育士という仕事は、自らの成長や貢献を実感しやすい仕事であると考えられる。

やりがいや、人間関係の良好さが働き続ける原動力

保育士を辞めたいと思ったことがない理由としては、「職場の人間関係が良好で居心地が良いため」(20.4%)、「仕事とプライベートの時間を両立できているため」(19.5%)、「現在の仕事に強いやりがいを感じているため」と「通勤や勤務地が便利で負担が少ないため」(同率15.9%)といった回答が上位となった。

一般社員比では、「現在の仕事に強いやりがいを感じているため」(+12.3pt)や「職場の人間関係が良好で居心地が良いため」(+9.7pt)といった項目で、大きな差が見られる。

これらの結果から、多くの現役保育士が自分の成長や社会への貢献を実感しながら前向きに働いていること、そして現場で得られる学びや同僚とのつながりが、働くことの原動力となっていることがうかがえる。

元保育士と潜在保育士の4割以上が、保育士への復帰・挑戦に意欲的

元保育士と潜在保育士を対象に、短時間勤務であれば保育士として働きたいかと尋ねたところ、元保育士の42.9%が「働きたい」(「そう思う」16.0% +「ややそう思う」26.9%)と回答。保育士という仕事が経験者にとって、柔軟な働き方ができる環境があればまた戻りたいと思えるだけの価値と魅力を持つ仕事であることがわかる。

さらに、潜在保育士でも46.0%が「働きたい」(「そう思う」10.0% +「ややそう思う」36.0%)と回答しており、保育士免許を取得した多くの人が「資格を生かして現場で働きたい」という意欲を持っていることも明らかとなった。

2. 保育士を続けるうえでの課題

保育士の約半数が「辞めたいと思ったことがある」

現役保育士の51.5%が「辞めたいと思ったことがある」と回答。その理由として「給料が低い/業務内容に見合った報酬が得られない」(38.8%)や「人手不足で常に忙しい」(32.0%)、「求められることが重くて精神的な負担が大きい」(29.4%)などの声が多く寄せられた。

特に「求められることが重くて精神的な負担が大きい」(+18.8pt)、「人手不足で常に忙しい」(+18.4pt)、「業務量が多すぎて負担が大きい」(+15.6pt)は一般社員との差も大きく、慢性的な人材不足が過重労働やストレスにつながり、保育士の離職意向を高めていることが考えられる。

肉体的な負荷軽減策に加え、精神的な負荷の軽減策も検討必須

仕事の負担感に関する調査では、「からだを大変よく使う仕事である」(83.3%)、「肉体的な疲労感が蓄積しやすい」(81.4%)が突出して多い結果となった。一般社員比でも、「からだを大変よく使う仕事である」(+58.9pt)、「肉体的な疲労感が蓄積しやすい」(+46.3pt)の項目で大きな差が見られることから、肉体的な負荷を感じている現役保育士が多いことがわかる。

また、「かなり注意・集中を必要とする仕事である」(+29.2pt)、「物事の判断や決定する難しさ・責任の重さがある」(+28.5pt)、「プレッシャーや緊張感がある状況が続いている」(+24.5pt)といった精神面に関する項目でも、一般社員との比較で大きな差が確認された。負担は肉体面だけにとどまらず、精神面にも及んでいることがうかがえる。

<調査概要>
調査タイトル:保育士の働き方実態大規模調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年6月13日(金)~ 6月18日(水)
回答者:
(1) 20歳から59歳の保育士 1,521名(現役保育士767名、元保育士543名、潜在保育士211名)
元保育士:保育士を仕事としてやっていたが、今は保育士として勤務していない方
潜在保育士:保育士資格を持っているが、保育士として勤務したことがない方
(2) 保育士を除く20歳から59歳の一般社員 516名
一般社員:会社員・公務員であり、以下を職種としている人
(総務/人事/経営・経営企画/経理・財務/広報・宣伝/事務・アシスタント/受付・秘書)

出典元:日本生命保険相互会社

採用内定者にメンタル不調が発覚した時の対応

 

採用内定者にメンタル不調が発覚した時の対応

このような場合、一度出した内定を取り消すことができるものでしょうか。というご質問です。

内定取り消しのハードルは高い

1,採用内定とは、やむを得ない事情があった場合には内定を取り消すことがという条件付きの労働契約と解されます。内定を取り消すことが可能な事由とは「採用内定当時は知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として取り消すことが趣旨、目的に照らして、客観的に合理的で社会通念上相当として是認できるものに限られる」とされています(最高裁判例)。つまり採用内定時に知っていたら採用することはなかった、という客観的に合理的で社会通念上相当とみとめられるような重大な事実が存在しなければ、採用内定の取り消しは認められません。ご相談のメンタル疾患の場合、症状が重く通常の勤務ができないと予測される場合には、採用内定の取り消しが認められる可能性は高いと思われます、一方で、採用面接の際に、メンタル疾患が疑われるような言動があったにも関わらず内容を出した場合には取り消しが難しくなる場合もあります。

ではどうしたらいいのか(対応策)

まず、業務遂行能力や適性を判断する材料として、内定者に「病歴の申告」を求めることは有効でしょう。メンタル疾患を理由としての採用拒否は必ずしも違法ではありませんが、採用前の健康診断にメンタルヘルス疾患の検査を行うことは応募者の同意が必要になります。またプライバシー保護や人権侵害にならないように細心の注意が必要です。

また採用内定時に書面を取り交わしておくことも有効です。たとえば、入社時の労働条件を記載した「採用意向確認書」をわたし、同時に「入職承諾書」に署名・捺印をしてもらいます。この入職承諾書に「入職時期、疾病などで就業困難と認められるとき」という一文をいれることで、不測の事態が生じた場合の抑制効果あるものと思います。

保育業界を支える6社が共催!オンラインセミナー「なぜ、あの園はうまくいっているのか?導入事例から見える成功の秘訣」開催

株式会社カタグルマ(本社:東京都千代田区、代表取締役:大嶽広展)は、2025年9月25日(木)および26日(金)に開催される保育業界向けオンラインセミナー「なぜ、あの園はうまくいっているのか?導入事例から見える成功の秘訣」に共催企業として参加し、弊社代表の大嶽、弊社カスタマーサクセス部部長 近藤の二名が登壇することをお知らせいたします。物価高騰、人材不足、少子化といった喫緊の課題に直面している保育業界において、持続可能な保育提供体制の確保と質の向上が不可欠です。セミナーでは、これらの課題を解決し、成功を収めている保育園の事例を紐解き、その秘訣を具体的なソリューションとともにご紹介いたします。

セミナー概要

・タイトル: なぜ、あの園はうまくいっているのか? 導入事例から見える成功の秘訣

・開催日時: 2025年9月25日(木)、26日(金) 各日13:00~15:45

・開催形式: 無料/オンライン(Zoomウェビナー)

・対象: 保育園・幼稚園関係者、保育事業関係者

・共催企業: 株式会社アスカ、オイシックス・ラ・大地株式会社、株式会社ニシハタシステム、BABY JOB株式会社、GMOエンペイ株式会社、株式会社カタグルマ

・詳細・お申込みURL: https://go.tebura-touen.com/20250925-26seminar?form_cognitive_pathway=katagrma

※申込者全員に見逃し配信あり

セミナーの見どころ

成功している園の導入事例がわかる: 現場のリアルな声から、園運営の成功の秘訣を具体的に学べます。 基調講演で課題が見える化: 園の運営課題を整理し、改善のヒントを明確に得られます。 忙しい方でも安心: 興味のある講座だけの参加も可能です。途中参加・退出、見逃し配信にも対応しており、ご自身のペースで受講いただけます。

Q 自主的に始業時間前に出勤してくるスタッフに、その時間給の給料を支払う必要はありますか?

A、命令がなく、業務とは無関係な早めの出勤については、給料を支払う必要はありません。

 

労働時間とは

 労働時間とは原則として「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言います。つまり、院長の指示命令がないのもかかわらず勝手に出勤している時間というのは労働時間ではありません。

業務命令はなくとも業務上必要な時間は労働時間

しかし、始業時間830分からでも「815分に出勤して、これとこれをやっておかなければ、診察の受付時間である830分には開始できない」という場合があります。このことを院長がわかっていながらスタッフの善意に頼ったままで積極的な対策を講じない場合、

この15分は黙示の業務命令の下行った業務として業務時間として扱われます。命令がなくとも15分前出勤が常態化しているのであれば、業務上必要な時間であり、それは労働時間になる可能性が高いといえます。

 そもそもクリニックの始業時案は、診療受付までの準備を要する時間を見積もったうえで設定されますから830分の受付開始時間と同時に労働時間がスタートするといったところは聞いたことがありません。つまり、準備時間を15分と見積もるなら、815分が始業時間になるわけです。

掃除などをしてくれる場合には

質問のポイントは 例えば830分からの勤務時間開始でよいにも関わらず、8時からきて作業をしている場合にはどうするか」という点にあります。指示していないけれど、何かやっている、そしてタイムカードをおしている、するとこの時間に対価を支払うべきであるか、という疑問が出てくるであろうと思います。

 しかし冒頭に述べたように、あくまで労働時間は指揮命令下にある時間です。自主的に作業をしていることに対して原則、給与の支払いは必要ありません。

職場の人間関係にも配慮する

また「830分始業なのに、一番の先輩社員が8時に出勤しているため他のスタッフが全員8時に出勤している」といったケースもあります。そうすると新しく入ったスタッフから「事実上強制的に出社させられているのになぜ給料がでないの」といった文句が出てきます。そのような場合に、早く出勤するスタッフに「ほかのスタッフが影響を受けるので、あまり早く出勤しないように配慮してほしいこと」もしくは「早く出勤するのは構わないが、他のスタッフに同時の時間に出勤することを強制しないように」と伝える必要があります。

自主的に早く出勤するスタッフにも、それぞれの理由があるのでしょう。準備をしっかりとしてから仕事を始めたいというプロ意識から早く出勤するスタッフもいるでしょう。仕事の喜び、積極性、職場への貢献やチームワークといった仕事観を否定することのないよう、伝え方には十分配慮する必要があると思います。

 

タイムカードの管理

タイムカードの打刻時間は原則としてクリニックに入った時間と出た時間を示しており、必ずしもそのすべてが労働時間になるわけではありません。業務がおわりスタッフ間でおしゃべりをして帰る場合などその時間まで給料を支払う必要はないのです。

 ただし注意しなければならないのは、おしゃべりの時間わからないと、タイムカードの出勤時間から退勤時間までの時間がそのまま労働時間とみなされてしまう可能性があるということです。そのため「時間外労働は、院長の指示で行うものでおこなうものである」と周知しておくとともに、院長が承認しなかった時間がある場合にはその都度記載しておくなど、適切に把握しておくことが必要です。よくあるのは、タイムカードと時間外労働申請を並行して取り入れているケースです。例えば、17時間までの勤務の人が17時半にタイムカードが押されているような場合、時間外申請が「患者対応のため15分残業」となっていれば15分の残業代を支払えばよいということになります。このように時間外労働の管理があれば、タイムカードを押していたとしても、その分の給料をすべて支払う必要はないということになります。

 

お電話でのお問い合わせ

03-6435-7075(平日9:00~18:00)

営業時間外のお問い合わせはこちらから

相談・ご依頼の流れはこちら

YouTube チャンネル

メールマガジン無料登録

当社代表林正人の著書『社労士が書いた 介護「人材」の採用・育成・定着のための職場作り』が出版されました。

SRPⅡ認証は、社会保険労務士事務所の「信用・信頼」の証です。
社労士法人ヒューマンスキルコンサルティングは、全国社会保険労務士会連合会より社会保険労務士個人情報保護事務所として認証を受けています。【認証番号第1602793号】
→SRPⅡ認証(全国社会保険労務士連合会)
menu