医療
A 始末書というのは、業務などに規律違反をしたり、過失をしたりした場合に、その行為を反省し、謝罪し、同じことを繰り返させないようにする書面です。就業規則の制裁規定にも始末書に提示を求めています。
今回は、ミスが多くクレームまで入ってしまったので、その行為を反省してくれることを期待して提出を指示したのでしょう。しかし、反省するどころか施設へ責任転嫁していることがわかります。この場合、施設側が「指導をしたでしょう」と言ったところで「言った、言わない」の押し問答にしかならないのであれば、具体的な行動を振り返らせます。そして、改善することを具体的に指示し、ほかにも案があるならば自分から案を出してもよいように、ある程度「自由度」をいれると本人も書きやすくなります。
戒めるべきことは、「利用者さんのことを考えていなかったこと」ですから、話の途中で「自分はできていると思っても、利用者さんや他の職員はできているとは思っていない」ということを伝えるのです。そのうえで、「始末書」という書面ではなく、「改善提案書」と名称を変えるのもいいかもしれません。始末書というとどうしてもネガティブなイメージが強いからです。しかしここでも大切なのは、自分の行動を戒めて将来につなげることです。ですから書くハードルを下げ「改善提案書」に改めるというわけです。そしてこのフォーマットのなかに書くべき項目を入れ込んで記入してもらいます。ポイントは
- どんな状況でクレームが発生したのか
- それはどんな原因があったのか
- そうすればそれを改善できるのか具体的な例をあげる
- いつから実施するのか
人は埋め込み式の方が、書きやすくペンが進みます。まずは「自分の行動をふりかえり、反省してもらう」ことから始め、具体的な改善行動案を書いてもらいます。それでもできない場合には、「自分で書いたことなのになぜ実行がでいないのか」と面談で深堀していきます。
この書面を提出させるというのは、成長の過程もわかりますし、指導をしている実績もわかりますのでぜひともお勧めします。
A
例えば、10人規模の通所介護(デイサービス)事業所でも十分にキャリアパスは構築できます。規模が小さい事業所は職責や組織のポジションが少なく、また給与財源が限られているという理由で、キャリアパスを作っても、意味がないとお考えの事業所は多いようです。ただ、社内のポジションで考えてみると、資格等級制度における「昇進」と「昇格」は異なります。「昇進」は確かにポジションが空かなければ上に進むことはできませんが、「昇格」は等級要件がクリアできれば全員昇格するのが、キャリアパスにおける資格等級制度の考え方です。例えば、取得した資格のレベル、勤続年数、人事評価などで、各等級の要件を定め、その昇格要件を決め、給与や時給に連動させれば、立派なキャリアパスです。また、昇給財源ですが、介護業界であれば処遇改善加算金を、財源に充当させることも十分可能ですし、むしろ国もそれを奨励しています。もしかしたら、従業員教育に時間をかけられない小規模事業所だからこそ、その仕組みにより自発的に能力を高めるようになるといった、キャリアパス効果は大きいかもしれません。
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コロナ禍が介護業界を激しく揺さぶり、事業環境は劇的に変わった。多くの現場が厳しい状況に追い込まれたが、介護施設・事業所の存在意義、重要性に改めて光が当たるという驚きもあった。
介護事業者に社会が期待することも以前より増えた。およそ2年に及ぶ有事を通じ、この分野に更なる成長を求める動きが加速したのは間違いない。象徴的なのがBCP(業務継続計画)の策定。国は全サービスの事業所に義務付け、3年の経過期間を置いて2024年度から完全適用する決断を下した。
事業者にとって大きなルール変更となる。万が一の時でも必要なサービスを維持できるよう、それぞれが可能な範囲で備える努力をしていかなければならない。自然災害に激甚化の傾向が表れていることも背景要因の1つだ。
BCPを策定するうえで大事な視点はいくつもある。欠かせないものの1つが「食」。これが途絶える事態になれば、施設系や入所系は直ちに窮地に陥ってしまう。通所系や訪問系もやはり相応の準備が欠かせない。「行政の支援が始まるまで(*)自力で業務を続けられるよう、必要な備蓄をしておくこと」。厚生労働省の「BCPガイドライン」にはそう書かれている。
■「策定済み」の事業所はごく僅か
果たして現場の取り組みは進んでいるのか。まだまだ十分ではない、という業界の一般的な認識を裏付ける調査結果がある。民間シンクタンクのMS&ADインターリスク総研が昨夏に実施したものだ。
それによると、「BCPを策定済み」と回答した事業所は24.0%のみ。このうち、感染症と自然災害の両方を作り終えているところは41.3%に留まっている。未策定の事業所のうち、「策定中」と答えたのは47.3%と半数に満たない。まだまだこれから、というところが大半を占めているのが実情だ。サービスごとの違いもあり、施設系や居住系より通所系、訪問系が遅れていると報告されている。
「日々の業務に追われるなか大変なのはよく分かるが、事業所のためにも、職員のためにも、そして何より利用者のために対応を急がなければいけない」
全ての事業所が均一のものを作ればいい、という訳ではないことに留意して頂きたい。自分の事業所にとってどんな災害のリスクが高いか、どんな社会資源に頼ることができるか、どんな状態像の利用者がいるか − 。そうした個別性を十分に検討し、実際にワークするBCPを目指す必要があります。どこかでテンプレートを手に入れて済ますだけでは、有事での実効性を担保することはできません。個々の事業所が感染症や災害への危機感を持ち、自分の置かれた状況をしっかり反映したBCPを作ることが大事ではないでしょうか。
Q
週3 日勤務・1 日の所定労働時間5 時間の勤続3 年8 ヶ月になるパート職員がいます。本人の希望もあり、4 月1 日から正職員へ登用することにしました。1 月1 日に年次有給休暇を8 日付与しましたが、4 月1 日時点で正職員の所定労働日数に応じた年次有給休暇を付与する必要がありますか?
A
パート職員から正職員へ登用した場合でも、年休を付与する日(基準日)は変わりません。よって、施設はパート職員を正職員に登用したタイミングで、改めて年次有給休暇を付与する必要はありません。
詳細解説
1.年次有給休暇の付与ルール
施設は、正職員、パート職員などの雇用形態に関係なく、6 ヶ月間継続勤務し、所定労働日の8 割以上出勤した職員に対して、年次有給休暇(以下、年休)を付与しなければなりません(労働基準法第39 条)。付与する日数は、基準日における週の所定労働時間と所定労働日数をもとに決定され、基準日から1 年を経過するごとに、勤続年数に応じた日数を付与します。
2.パート職員を正職員へ登用した際の取扱い
パート職員を正職員へ登用することにより、所定労働日数が増えたとしても、基準日を変える必要はありません。そのため、質問のように1 月1 日の基準日に年休を付与したのであれば、4 月1 日に改めて付与する必要はなく、また所定労働日数が増加した分の年休を追加して付与する必要もありません。次の基準日である1 月1 日に正職員としての年休を付与することで足ります。この取扱いは、正職員からパート職員へ転換した場合も同様です。
正職員登用時の留意点として、年休を取得したときの賃金の取扱いがあります。職員が年休を取得した日の賃金は①平均賃金、②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、③標準報酬日額のいずれかの方法で支払うと定められています。一般的には②の方法が多く採用されており、パート職員が年休を取得したときは、時給に所定労働時間を乗じて計算した賃金を支払っています。正職員へ登用後に、パート職員のときに付与した年休を取得した場合であっても、取得時(登用後)の雇用契約の内容に基づき賃金を支払う必要があります。そのため、1 日の所定労働時間が5 時間だったパート職員を、1 日の所定労働時間が8 時間の正職員へ登用した場合、登用後は8 時間働いたものとして取り扱います。正職員の場合、実質的には年休を取ったとしても月給分を支払うことになるでしょう。
施設がパート職員を正職員へ登用しても改めて年休を付与する必要はありませんが、年休を取得した日の賃金の取扱いや、登用後の新たな基準日に付与する年休の日数が変わることがあります。そのため、勤怠システム等を利用して年休を管理しているときは、適切な管理ができるかを確認しましょう。
この度、医療、クリニック向けのホームぺージを
改定いたしました。
是非、ご覧いただければ嬉しいです。
⇒
クリニック・医療業界の経営 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
A、困ることはありません。クリニックにおける業務の一環として義務付けられる研修であれば、業務命令であり、興味がない程度の理由で拒否することはできません。そもそもその研修の目的や趣旨を改めて説明して受講することを促します。同時に、業務命令に従わず拒否した場合は懲戒対象になり得ることもお伝えしておきます。
【解説】
まずは、そのような職員に耳を傾け、なぜ受講したくないのか、また、クリニックとしてのこの研修の必要性をしっかりとお伝えします。クリニックが指示した研修ですので、スキルが身につく、あるいは仕事に関するノウハウや気づきが得られるなど、その職員にとってメリットはあるはずです。今回の研修を受講することで、どのようなメリットがあるかについて、職員が納得いくように話すことがまずは大切だと思います。ただ、どうしても受講しない場合には、先述の通り懲戒処分も選択肢としてはあり得ますが、まずは上記のとおり説明することで主体的に受講して頂きたいものです。
A
評価者研修やフィードバック面談研修を受講し、方法論を学び実践で活用しています。
人事評価を行うことは、上司にとってかなりの負担で、ましてやその結果を部下に説明するフィードバック面談等は大変重荷、などと言うご意見は、評価者の方々からよく伺います。ただ、それは、「評価」という言葉の印象にとらわれている結果であって、実際には評価の仕方を具体的に理解していないがゆえに誤解されているケースがとても多いのです。
評価者として「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を理解し、それを実践すれば、だれでも評価を行うことができます。それにはまず評価者向けの研修を受講することをお勧めします。
医療
クリニック人事サポートパック(評価制度、賃金制度の作成) | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
介護
処遇改善加算対応キャリアパス構築コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
保育
保育士キャリアアップの仕組みサポートパック | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
Q 個人的な自己研鑽のため、という理由で、提示後も数時間残っている職員がいます。自己研鑽のためとはいえ、実際には利用者のケアにも入っており、仕事をしているのと変わりないように思います。本人からは「仕事をしているわけでないので報酬はいらない」と言っていますが、この場合には払わなくていいのでしょうか?
A ,使用者が指揮命令をしていないのであれば、残業代を支払う義務はありません。ただし使用者が残業を明確に命令していなくても、残業代を支払う義務が生じるケースもあるので注意が必要です。これには、言葉や書面で明確に指示をしていなくても、実質的に指示があったと推定される場合があります。例えば、定時後に数時間残っている理由が、他の利用者をケアする職員が不足していた、あるいはいなかったなどの 事情があった場合、使用者が残業指示をしていなくても黙示的な指示があったとみなされ残業代を支払う必要があります。
対策としては、残業する場合には、上司の許可を受け、かつその内容に関し職員から報告をうけるなど、職員が勝手に残業をすることのないよう制度として定着させることをお勧めいたします。
「皆さんは、“正直”と“誠実”の違いを
説明しなさい、と言われたら、何と答え
ますか?」
・・・・・・・・
日常的に何となく使い分けていますが、
あらためて
“違いは何?”
と質問されたら、
なかなか答えずらいものがありますよね。
何だろう?
ひとしきり考えた後、
その講師の方から教わった定義は、
今なお、私の心の中に突然表れてくるほど、
大きなインパクトを残してくれました。
その方は、こう表現されました。
「正直とは、
“現実に言葉を合わせる”
ことであり、
誠実とは、
“言葉に現実を合わせる”ことである」
・・・・・
素晴らしい定義だと思いませんか?
“正直”
は、時には難しいかもしれませんが、
実行するのは比較的容易な事かもしれません。
でも、
“誠実”
は、なかなか難しいですよね。
「言葉に現実を合わす」
この積み重ねを継続することで、
私たち経営者やリーダーは成長していくのかも
しれません。
自分自身や自分自身の家族は勿論、
社員や社員の家族、
そして、
ご利用者やその家族をしっかり守るためにも、
私たち経営者やリーダーは、
仕事や自分自身、全てに対して
“誠実に”
向き合い続けなければならないのでしょうね。
それにしても、
人生の必要なタイミングにおいて、
普段忘れている言葉が、
スッと、脳裏に浮かび上がって来る。
“人の脳”
と
“深い言葉”
の力、恐るべし、です(笑)。
充実した1日を過ごせるよう、
“誠実”という言葉を胸に、
今日もお互い頑張りましょう!
長期化するコロナ禍において、人材確保が難しい医療機関等もあるでしょう。ここでは、2021 年11月に発表された調査結果※から、医療機関等(以下、医療,福祉)における転職者採用の現状をみていきます。
採用で重視すること
上記調査結果から、転職者の採用で重視した事項をまとめると、表1 のとおりです。
医療,福祉では人員構成の歪みの是正が47.1%、既存事業の拡大・強化が38.8%などとなりました。調査結果全体と比較すると、人員構成の歪みの是正と組織の活性化の割合が高くなっています。
採用の際の問題点
次に採用の際の問題点をまとめると、表2 のとおりです。
必要な職種に応募してくる人が少ないことが78.7%で、全体よりも10 ポイントほど高い割合になりました。必要な職種に応募してくる人が少ないことから、思うような採用ができていない現状がうかがえます。
今後の採用予定
今後3 年間に転職者を採用する予定については、医療,福祉では55.2%が採用する予定があると回答しています。採用の希望についてまとめると、表3 のとおりです。