医療

マイナ保険証の利用促進  スマホ搭載や救急搬送時の活用など 質、量ともに充実に向けた施策を推進

マイナ保険証の利用件数、活用場面などが徐々に広がっています。マイナンバーカードの保有率は78.6%、健康保険証としての利用登録は86.0%に達し(図)、さらにスマートフォンへの搭載が始まるほか、救急搬送時の活用推進も本格化しようとしています。マイナ保険証の現状をレポートします。

利便性向上や後期高齢者対応などを推進

マイナ保険証の利用促進に向けた施策が加速しています。厚生労働省の資料によると、2025年5月のオンライン資格確認状況は2億3158万件、うちマイナ保険証の利用件数は6785万件、利用率は29.3%となっています。マイナンバーカードの施設別の内訳を見ると、病院が842万8139件、医科診療所が2680万4226件、歯科診療所が813万2566件、薬局が2448万8093件となっています。

厚労省が2025年3月のマイナ保険証利用人数(2840万人)から、当該月に医療機関を受診した人の推計値(6760万人)を用いて、1月に医療機関を受診した人のうち、マイナ保険証を利用した人の割合(推計値)を算出したところ、医療機関受診者に占めるマイナ保険証利用や割合は42.0%で、前月の38.2%より3.8ポイント増えました。

現在マイナ保険証の利便性向上に向けた取り組みとしては、①外来診療等におけるスマホ搭載対応、②顔認証付きカードリーダーの運用改善、③顔認証付きカードリーダーの故障時等における居宅同意取得型の活用、④後期高齢者への資格確認書交付の柔軟化をはじめとする円滑な移行に向けた対応、⑤訪問看護ステーション、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の施術所におけるオンライン資格確認、⑥マイナ救急の全国展開、⑦診察券とマイナンバーカードの一体化に向けた対応―などが挙がっています。

外来診療等におけるスマホ搭載対応は9月から全医療機関での対応機能を開放する予定です。現在、一部医療機関で実証事業を進めており、窓口での動作確認やスマホ保険証を用いた資格確認時に生じうるエラーなどの検証を行った後、導入を希望する医療機関から順次利用を開始することになっています。マイナンバー機能の搭載はAndroidで2023年5月に、iPhoneは2025年6月24日に始まりました。

2024年12月時点でのマイナ保険証利用率は65~69歳が33.5%であるのに対して85歳以上は17.2%と、他の年代に比べてマイナ保険証利用率が低い水準にとどまります。そこで後期高齢者への対応策も用意しています。暫定的にマイナ保険証の有無にかかわらず、保険証が失効した被保険者に対して、申請を待たずに資格確認証を交付しています。当初は2025年7月までの措置としていましたが、「円滑に移行する観点から」、2026年夏までの1年間、申請を待たずに資格確認証を交付する暫定運用を継続することになりました。

マイナンバーカードと診察券の一体化は、診察券番号を入力しなくても、患者がマイナンバーカードで受け付けすることで、患者情報がレセプトコンピューターに反映され、受け付け順での一覧化も可能になる仕組みです。この際にレセコンの改修が必要になるため、改修費用が補助金の対象になっています。政府では「医療DXの推進に関する工程表」などに基づいて、医療費助成のオンライン資格確認の導入を推進しており、2025年5月現在、183自治体(22都府県、161市町村)で医療費助成のオンライン資格確認の運用が開始され、約2.5万の医療機関・薬局でシステム改修が完了しました。ただし全自治体は1700以上で、それと比べると10%ほどにとどまります。こうしたこともあり、補助事業は2025年度も継続して実施しています。

マイナ救急実証事業を全国で展開

マイナ救急の全国展開とは、救急現場において救急隊員が傷病者のマイナ保険証を活用し、病院選定などに役立つ情報を把握することにより、救急現場の円滑化を図るものです。現場の流れとしては、本人もしくは家族等がマイナ保険証を提示すると目視で本人を確認、本人同意を得て(同意取得が難しい場合は同意不要)、救急隊の端末でカードを読み取り、閲覧した情報を応急処置や病院選定に活用します。

2024年度までは、既存の医療機関専用システムを医療機関の協力のもと、間借りして実証を行っていましたが、2025年度の実証事業では新たに構築した救急隊専用システムを消防本部単独で運用し、全国の720消防本部、5334救急隊(常時運用救急隊の98%)のすべてに拡大して展開しています。

7月1日に開催された総務省消防庁の「救急業務のあり方に関する検討会」では、2024年度までの実証事業における活用状況や現場の声を紹介。

活用状況を見ると、年齢別では高齢者の件数が62.6%(7134件)と最も多く、発生場所別では住宅が74.4%(8475件)、外出先が20.7%(2361件)などとなっています。また、意識不明等・意思疎通が困難な場合に情報閲覧した件数は7.4%(839件)でした。消防庁では「高齢者に対する広報が重要」「外出先の事故でも有用性が確認されていることから、マイナ保険証の携行を呼び掛けていくことが重要」「意識不明等・意思疎通が困難な場合にはマイナ救急の有用性が高い」との見方を示しています。

一方、病院側からは「傷病者の氏名、年齢等の特定に要する時間が減り、診療に重きを置くことができた」「重複処方の回避にも役立つ」などの声が出ていたと、消防庁は報告しています。

2025年度の実証事業では、救急専用システムの機能拡充についても検討する予定です。具体的には①医療機関との情報連携機能、②マイナ保険証のスマホ搭載への対応、③4情報(氏名、生年月日、性別、住所)検索機能の検討、④厚労省が進めるワンストップ連携事業とマイナ救急との連携に係る課題の整理―を挙げています。

導入に向け補助金交付や診療報酬の新設も

オンライン資格確認での利用率が3割に届かないことや、特に医療を必要とする割合が人口比で高くなる後期高齢者の間で普及が進んでいないことなど、課題は残っています。これに対して厚労省は、医療機関へのカードリーダー改修への補助金交付や後期高齢者への資格確認書交付延長など、導入の「円滑化」に向けた施策を充実させることで、受診の妨げになるといった懸念を払拭する方針を示しています。診療報酬においてもマイナ保険証の導入を評価する「医療DX推進体制整備加算」が2024年度改定で新設され、マイナ保険証の利用率の要件を段階的に引き上げるなど、強化に努めています。

参考:MMPG医業経営ジャーナル Vol.

 

物価高騰対応として無利子・無担保の優遇融資を拡充

独立行政法人福祉医療機構(WAM)は2025年4月より、物価高騰の影響を受ける医療機関等を対象とした無利子・無担保の優遇融資制度を大幅に拡充しています。人件費や物価の高騰で経営状況が悪化する医療機関を支援するものですが、「ベースアップ評価料の算定」などの条件がついている点に留意が必要です。

収支差額減少等を前提に対象施設は3類型

福祉医療機構が今回用意した制度は、経営資金または長期運転資金として最大7.2億円(病院の場合)を上限とする融資枠です。2024年末から実施されていた長期運転資金の枠組みを土台としつつ、依然として深刻な影響を受ける施設に対してより手厚い支援を行うと説明しています。厚生労働省医政局も4月23日、この融資に関する事務連絡を発出し、周知と活用を呼びかけています。

ベースアップ評価料の算定や地域医療構想に沿った再編・減床を行う医療機関には「最大5年間の据置期間」や「無利子措置」といった優遇条件を設けている点が特徴で、見方を変えると、据置期間や無利子措置といった条件を得るには「医療政策に沿った運営が求められる」とも言えます。

今回の優遇融資の対象施設は、次の3つの累計に分類されます。

  • 前年同月などと比較して、物価高騰による費用の増加等のために収支差額の減少や経常赤字の状況にある施設・事業
  • ①に加え、職員の処遇改善に資する加算等を算定し、職員の処遇改善の取り組みを行っており、経営改善計画書をご提出いただいた施設・事業
  • ①②に加え、病床数適正化支援事業に係る事業計画(活用意向調査)の提出を行った施設または地域医療構想調整会議において合意を得て、地域のニーズを踏まえた再編・減床を行う施設・事業(医療貸付のみ)

②の「職員の処遇改善に資する加算等」としてベースアップ評価料、処遇改善加算の届出が挙げられています。融資の償還期間は原則として10年以内で、据置期間は施設の類型に応じて異なり、①では1年6ヵ月以内、②では2年以内、③では5年以内の据置期間が認められています。

また、②の施設には当初2年間、③の施設には当初5年間の無利子措置が講じられます。ただし、加算を算定していない①の施設では無利子期間は設けられていません。貸付利率は1.5%(2025年4月1日時点)を基本とし、無担保貸付限度額は①が500万円、②③は「500万円または医業収益の2ヵ月分」のいずれか高い額となります。総融資限度額、病院が7.2億円、介護老人保健施設と介護医療院1億円、その他の施設は4000万円とされています。①に該当する場合は、費用増加額の24倍という別基準も活用できます。

新規開業資金は対象外 「過去の返済状況」も対象

融資対象となるには、開業から1年以上経過し、決算期を迎えていることが条件で、新規開業資金としての利用は認められていません。また、過去に新型コロナウイルス感染症対応融資を受けている場合でも申請できますが、返済状況などに応じて融資額の減額や申請の却下となる場合があります。

融資の申請は施設単位で行なうことが原則ですが、法人全体での返済能力も確認対象となるため、申請額が調整される可能性があります。また、再申請も可能ですが、その場合は新たに借入申込書一式の提出が必要となります。

無利子枠を超えての申し込みについては有利子部分としての申請が可能で、その際は、担保条件や保証制度に基づいて審査されます。また、融資資金は原則として定められた使途に限定され、他法人への転貸や建築資金などへの流用が発覚した場合は、繰上償還や違約金が発生することがあります。

明確な制度設計 「ベースアップ評価料」が目安

医療機関には人件費や光熱費、物価などの高騰などが重くのしかかっていました。さらに、コロナ禍の2020年に福祉医療機構が設けた新型コロナウイルス対応支援資金の返済が7月から始まるだけに、資金繰り悪化を懸念する声は高まっています。

昨年10月に四病院団体協議会が加藤勝信財務大臣に申し入れた「病院への緊急財政支援についての要望」では、「コロナ禍における借入金の返済が始まることによりキャッシュフローが回らなくなり、今後、存続が危うくなる病院が増えることが予想されます」と述べ、緊急支援を求めていました。その具体策として福祉医療機構による優遇融資を期待する声もあっただけに、それを具体化したものとみることもできます。

ただし、今回の優遇融資制度は単なる資金支援にとどまらず、厚労省が推進する医療政策との連動を明確に打ち出している点を注視する必要があります。特に、ベースアップ評価料の算定や病床再編への協力といった政策的対応を「融資条件」として制度に組み込んでいる点が注目されます。「令和7年度(令和6年度からの繰越分)医療施設等経営強化緊急支援事業」では、前回お伝えした「病床数適正化支援事業」と並んで、「生産性向上・職場環境整備等支援事業」が設けられていますが、こちらでも「ベースアップ評価料を届け出ている」病院、診療所、訪問看護ステーションで業務の効率化や職員の処遇改善を図ることが要件となっています。

このように、融資の適性可否が経営方針や地域医療構想への参加姿勢によって左右されることとなり、経営判断の透明性が一層求められる状況となっています。

「ベースアップ評価料」が2026年度診療報酬改定や他の医療政策をみていくうえでのポイントの一つになっていることは確かだと言えそうです。

参考:MMPG医療経営ジャーナル2025、5

 

Q、何をどうすれば、良い評価が得られるのかが、わからないので、評価自体が評価のための評価になり、マンネリになっている.

何をどうすれば、いい評価が得られるのか」。被評価者からすれば当然知りたい内容ですし、それが法人の求めている職員像につながることになるわけです。

A、「何をどうすれば、いい評価が得られるのか」。被評価者からすれば当然知りたい内容ですし、それが法人の求めている職員像につながることになるわけです。ところが、評価者側の都合で、もしくは評価者側の裁量の幅をできるだけ大きくできることを目的に、評価項目を抽象的な表現にしたり、評価点のつけ方などがブラックボックスにしているケースがあります。この場合、「求められる職員像」が明確にはならないので、目標自体に具体性が欠けることになります。

弊社が推奨する職能評価や行動評価は、事前に評価される内容が具体的に分かっているだけではなく、点数のつけ方もオープンにしているので、透明性が担保されるだけでなく、各職員においては自己成長の実感が可能になります。評価制度が本当の意味で職員を育てるための制度にするには、次に述べる視点がとても大切になります。

  • 組織全体のレベルアップを図ることを目的とする。

評価によって優秀な職員を発見することも大切ですが、それよりも先に行わなければならないことは、普通の職員の能力を高めることによって組織全体のサービスの質を上げることなのです。一人の優秀な職員のヤル気を高めるよりも、多くを占める普通の職員のヤル気を高めることの方が大切であることを理解してください。

 

部署別、職種別、そして等級別に「期待される職員の努力」を具体的に明記する。

  • はじめから「どんな努力をすれば良い評価(SまたはA評価)になるか」を明示しておく。この内容が「期待される職員像」となり、全ての職員に、期の初めから「こんな努力をしてほしい」と明示する。

評価は学校で行われるような試験や通信簿ではありません。学校の教育では、教科書に基づいて教えていき、期末または年度末に試験をして結果だけを測定し、評価すればいいのですが、職場ではそうではなく、どんな問題を出すのか(つまりどんな行動を期待しているのか)を初めに明確にしておいて、出来るだけ多くの職員が優秀な成績、つまり5段階評価ならS評価やA評価を取ってもらうようにすることが必要なのです。

その場合、必ず意見として聞こえてくるのが、「良い評価が増えれば、人件費が増加してしまうのでは?」という懸念です。もちろん、評価結果を反映させる処遇の財源(例えば、処遇改善加算)は確保しておきながら、その財源の限度内で分配を行う管理手法は必要になってきます。

 

Q 上司からのパワハラと通常の指導・教育の違いは何か?

 

Q 上司Aが部下Bに対し、Bが作成した文書の誤字脱字が多くミスが多いとして、業務上の注意指導をしましたが、それでも改まらなかったので、再度、前回よりきつく注意したところ、Bは「パワハラです」と言って注意指導を受け入れようとしません。注意指導はどのような場合にパワハラになりますか?

 

A 

パワハラに関し実際に何をすればパワハラになるのか、十分に理解できている方は以外と少ないのではないでしょうか。そのため本来、部下を指導監督する上司が、これはパワハラにあたるのか、などと判断に迷ってしまうこともあると思います。さらに本設問のようにちょっと厳しく注意すると部下から「パワハラだ」などと言われると上司は注意する出来ないのではないかと思ってしまうケースも散見されます。そこで、まずはパワハラに関する基本的な考え方について検討したいと思います。

パワハラにつては、法律上の定義があるわけではありませんが、厚生労働省は「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義しています。

つまり注意指導そのものがパワハラにあたるものではなく、注意指導の程度や態様が度を越している場合にはパワハラにあたる可能性があるということになります。裁判上も、注意指導の目的は正当なものであったとしても、感情的になって大きな声を出したり、部下の人間性を否定するかのような表現を用いて叱責した点などは「社会通念上、許容される範囲を超える」としています。

御質問のケースでは、上司は部下の誤字脱字が多いことを、業務を対象にして注意指導を行っていると言えます。しかしながら部下は注意されたにも関わらず改善されないだけでなく、反抗的な態度をとってきたとのことですから、その分厳しく注意するのは当然と言えます。もちろん、先に述べた人格否定を行う、大声で怒鳴るといった注意指導は行き過ぎですが、そうでない限り、上司の注意指導はパワハラとはいえないでしょう。注意指導を行うときには、くれぐれも冷静に行うことが大切です。

 

医療経営「なおし支える報酬改定を」診療側  中医協

物価や人件費の高騰などで全国の病院の約 7 割が赤字に陥るほど危機的な状況を踏まえた要望。

中央社会保険医療協議会・総会が7月23日開かれ、診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任
理事)は病院や診療所の経営を「なおし支える」という観点での2026年度診療報酬改定が必要
だと主張した。物価や人件費の高騰などで全国の病院の約 7 割が赤字に陥るほど危機的な状況
を踏まえた要望。今の状態が続けば入院患者を抱えたまま経営破綻する病院が出てくる可能性
もあると危機感を示している。


江澤氏は、医療機関の経営が厳しい要因として診療報酬が今の時代にそぐわず大変低く設定
されていることを挙げた上で、「大変由々しき問題だ」と訴えた。また、医療提供体制に支障を
来たすことがないよう医療機関が存続し、地域に貢献できる視点で議論していくべきだと指摘
した。

この日の総会では、26 年度の診療報酬改定に向けて入院医療の議論を始め、診療側が医療機関の経営危機への対応を求めた。

 

太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)は、診療報酬改定
を巡るこれまでの議論では医療経営の持続可能性の視点が欠けていたと指摘。病院や診療所が
適切に医療を提供するために必要なコストが軽視され、「機能分化するためだけの要件の見直し
が行われてきたことも医療機関の経営状況が悪化している一因でもある」と強調した。その上
で、26 年度改定では特に包括期機能を担う医療機関の入院料の適切な設定が非常に重要だと主
張した。ほかには、医療機関が突然経営破綻するという事態を避けるために即効性のある入院
基本料の引き上げと人員基準の緩和を求める意見も出た。


一方、支払側の鈴木順三委員(全日本海員組合組合長代行)は、「医療機能の分化・連携を推
進するのは当然だ」とし、その観点から引き続き検討を進めていくべきだと主張。また、新た
な地域医療構想での医療機関機能に着目した診療報酬の全体像が分かるデータの提示を求める
委員もいた。

地域BCPのモデル事業、自治体の募集開始 厚労省

 

近年多発している自然災害の発生時に在宅療養患者への医療・介護サービスの提供を継続す
るため、厚生労働省は地域全体の事業継続計画(BCP)の策定に関するモデル事業を実施する自
治体の募集を開始した。
モデル事業は、2022 年度から毎年実施している。継続参加している地域も含め、22年度は全
国の13地域、23年度は26地域、24年度は6地域がモデル事業を実施した。

モデル事業では、BCPの専門家らが伴走支援を行う。

大規模災害など有事の在宅医療・ケアの提供体制を維持するためには、病院や診療所、介護
施設など各事業所での BCP の作成だけでは十分でなく、事業所間の連携や、地域全体のネット
ワーク、仕組みを構築する地域 BCP へのスケールアップが必要となる。モデル事業では、各自
治体が抱える課題に対し、BCPの専門家らが伴走支援を行う。


これまで、災害時に看護学校を一時的な 1.5 次福祉避難所として活用し、在宅の人工呼吸患
者への医療・ケアの継続や、訪問看護事業所への発電機配備と運用といった検討や取り組みが
各地域で実施された。申し込みの締め切りは8月8日正午。事業の実施決定日から26年2月28
日までがモデル事業の実施期間となる。

厚労省は16日付で事務連絡を出し、モデル事業の実施に関して関係団体などに周知を促した。
事務連絡ではまた、在宅医療を提供する医療機関を対象に BCP の策定支援の研修を実施すると
した。病院や診療所、訪問看護事業所を対象に4つのコースを設け、10月-25年2月に各コー
ス2回ずつの研修を行う。

各コース70事業所(1事業所4人まで)が定員。いずれのコースも申し込みの締め切りは9月5日。


研修はWeb上で開催し、各コース70事業所(1事業所4人まで)が定員。いずれのコースも
申し込みの締め切りは9月5日。厚労省は、BCPの策定に課題を感じたり、見直しを検討したり
している場合には参加を検討するよう呼び掛けている。

Q, 「振替休日」と「代休の違い」について

Q 当院では休日出勤をした後に、他の平日を休日として休む時には「代休」と呼んでいますが、「振替休日」との違いがよくわかりません。また振替休日として処理する場合の基準などは、事情所ごとにきめてもよいものでしょうか?

A 振替休日と代休とは全くの別物で、法律上の扱いが異なります。休日出勤する予定があらかじめわかる状況ならば、振替休日で処理できますが、スタッフの急な欠勤や緊急対応などで休日出勤を余儀なくされた場合は、代休として処理すべき場面が多いと思われます。

 

詳細解説

 振替休日と代休を区別して運用している医療機関や施設は、そう多くありません。振替休日は労働基準法に基づいた制度であり、代休は労働基準法の定めは無く、設けるか設けないかは事業所が自由に決められます。両者の違いを端的に言うと「振替休日は事前の振り替え、代休は事後の振り替え」です。

 

  • 振替休日とは

所定の休日と労働日を入れ替える事。例えば、日曜日と同一週の火曜日を入れ替えた場合に、もともと休日だった日曜日が労働日となるだけなので、その日に働いても休日労働扱いにはならず、休日割り増しを支払う必要はありません。但し、翌週に振り替えたことで、その週の法定労働時間を超えた時には時間外の割増賃金を支払う必要があります。

また、休日振替を行う場合には①就業規則に規定すること②振り替える日を事前に(前日までに)指定すること、等の成立要件があります。

 

  • 代休とは

 振替休日との違いは、既に休日出勤をした後の処理方法ということです。実際に休日労働をした後に、その代償として他の日を休ませるということです。あとで休日を与えたからと言っても、休日労働は既に行われていますので、休日労働した日が法定休日であれば、35%の割り増し部分の支払いは必要となります。

 また代休は、任意規定なので、代休を付与するかしないかはく事業所側が自由に決められますが、制度として運用する場合には就業規則に規定する必要があります。

 医療機関の場合、急な欠勤や業務の都合で休日出勤を余儀なくされ、後日休めるときに休むという、事後の振り替えである「代休」として運用すべき場面が多いのではないでしょうか。

電子カルテ導入後まで一貫サポート 東京都

2030年度までに医療機関へのおおむね100%の普及を目指すことを明らかにした。

東京都は9日に開催した「東京都医療DX推進協議会」の初会合で、都内医療機関に対して電
子カルテに関する相談など導入前から導入後まで一貫してサポートを行い、国と同様に2030年
度までに医療機関へのおおむね100%の普及を目指すことを明らかにした。
25 年現在の都内医療機関の電子カルテ導入率は、病院が70.9%、一般診療所で58.7%。未導
入病院については200 床未満の小規模病院が 83.2%を占める。また、導入率で見ると、療養病
床と精神病床のみを有する病院は36.4%、精神科病院が46.9%、療養病床のみを有する病院が
57.0%と低くなっている。

都が4月に設置した電子カルテ導入相談窓口での6月までの相談142件のうち、相談内容で
最も多かったのは「補助金」で82 件。次いで「その他」37 件、「電子カルテ導入に当たっての
準備」14件など。施設種別126件では、「無床診療所」が100件で圧倒的に多かった。都では25-27 年度を医療機関の重点支援に位置付ける。導入前・導入時・導入後の一貫支援を推進。導
入支援としては25年度から200床未満の病院や医科診療所の補助率を4分の3に引き上げてい
る。導入後のサイバーセキュリティー対策として、オフラインバックアップなどにかかる費用
の半分の補助も行っている。

導入目標は、病院が27年度まで、医科診療所は30年度までにおおむね100%とした。

進捗情報を知らせるため、電子カルテを導入している医療機関をリスト化して公表する。初回は7
月中に1日付の導入状況を公表。以降も毎月1日時点での状況を集計し公表する。
山田忠輝・都保健医療局長は「安全で質の高い医療を目指すためにも、病院間連携など効率
化を進める必要がある」とし、「情報共有の一丁目一番地である電子カルテ導入に 25 年度は注
力する」と述べた。

採用面接で虚偽回答があった場合に合法的に解雇はできますか?

経歴詐称と解雇

 

職員の採否は判断する際、応募者の経歴は非常に重要な判断材料になります。履歴書の記載内容や面談時の回答から得た経歴を評価して採用した後に、そこの虚偽があったと判明した場合「それなら採用しなかった」という解雇理由は合理性があるでしょう。程度によっては懲戒解雇の適用も検討します。

 とはいえ、全ての経歴詐称が解雇有効になるとは限りません。解雇が有効になるためには、経歴詐称が採否に及ぼす影響の程度によると考えられています。

詐称が問題になる経歴は、主に下記の4種です。

  • 学歴詐称

学歴によって初任給が異なるなど採用時の労働条件が異なるケースにおいて、その結果高い給与を得ていたのであれば解雇が有効とされる可能性はあります。

 ・資格詐称

 特に専門職を採用する場合、資格や免許の保有が無いことが判明した時には解雇が有効に認められる可能性が極めて高いといえるでしょう。

  • 職歴詐称

転職歴の多さを隠すために過去の勤務先の在籍歴を偽ったり、前職を能力不足や素行不良で解雇された履歴を隠していたという事案もあります。ごく軽微な事案で解雇が認められることはないでしょうから程度の問題ではありますが、場合によっては解雇が求められる可能性はあります。

  • 犯罪歴

犯罪歴は、一見解雇が認められそうな事案ではありますが、実は解雇を無効にした判例も多くあります。それらは前科があってもすでに10年以上経過している、暴行による罰金の前科があっても軽微である、といった事案になります。

 

このようなトラブルの対応策

  入職前に虚偽申告等の詐称を見抜く対策としては、免許、資格の証明書は必ず持参させましょう。選考後には必要に応じて原本を提出させ、登録番号の照会を行うことも念頭におきましょう。また選考時に簡易な実技試験を行っておくと本人のスキルレベルもわかり安心です。

 万が一、虚偽が判明した時のトラブルに備え、入職時に虚偽がないことを記載した誓約書の提出を求めるのもいいでしょう。就業規則を整備して経歴詐称が懲戒解雇事由にあたることも定めておくこともお勧めします。

電子カルテ「クラウド型」導入促進へ

電子カルテや電子カルテ情報共有サービスの2030年に向けた普及スケジュールを公表

 

厚生労働省は1日、電子カルテや電子カルテ情報共有サービスの2030年に向けた普及スケジ
ュールを公表した。電子カルテを未導入や導入予定の一般病院には、院内にサーバーを設置せ
ず低コストな「クラウド・ネイティブ型」のシステムの導入を促す。また、「オンプレミス型」
の電子カルテを導入済みの一般病院に対してもクラウド・ネイティブ型への移行を促す方針

国は25 年度中をめどに、システムの標準仕様(基本要件)を作る。電子カルテや電子カルテ情
報共有サービスの具体的な普及計画を26年夏までに取りまとめる。
厚労省の調べでは、23年10月現在、電子カルテを導入している一般病院は4,638施設、未導
入は2,427 施設で普及率65.6%。一方、医科の一般診療所は10万4,894施設の55.0%が導入
していた。

電子カルテを遅くても 30 年にはおおむね全ての医療機関に導入することを目指す


医療 DX の工程表では、患者の医療情報を共有できる電子カルテを遅くても 30 年にはおおむ
ね全ての医療機関に導入することを目指すとされていて、電子カルテの導入状況を踏まえて医
療機関に働き掛ける。
電子カルテを未導入や導入予定の病院には、クラウド・ネイティブ型システムの導入を促す。
一方、厚労省によると、電子カルテを導入済みの病院の多くは、サーバーや通信回線を院内に
整備してコストがかさむとされるオンプレ型のシステムを使用し、特に400床以上(650病院)
はこれから30年まで毎年100病院前後が更改の時期を迎えるという。


そのため、電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応に必要な改修をシステム更改
のタイミングで医療情報化支援基金を活用して後押しする。クラウド型システムを既に導入している

一部の病院では当面、それらのサービスに対応するためのアップデートを進める。
国の標準仕様に準拠したクラウド・ネイティブ型の病院向けシステムは28年度以降に登場す
る見通しで、それ以降に順次、移行を進めるとしている。

医科診療所向けクラウド型システムの標準仕様(基本要件)を25年度中に作る


一方、オンプレ型電子カルテを導入済みの医科診療所は23年10月現在、約4.7万施設ある
とみられ、国が開発する標準型電子カルテに準拠したクラウド型への移行を27年度以降、シス
テム更改のタイミングで促す。また、電子カルテを未導入の医科診療所(4万7,232施設)では
標準型電子カルテの普及を進める。標準型電子カルテはクラウド型のシステムで、医科診療所
向けにデジタル庁が現在、開発を進めている。26年度中の完成を目指すとしている。

国は、標準型電子カルテの要件を参考に医科診療所向けクラウド型システムの標準仕様(基
本要件)を25年度中に作る。電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応のほか、デー
タの引き継ぎを可能にするための互換性確保などを盛り込む見通し。

 

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