介護
「感染拡大を防ぐための事業所の取り組みを、介護報酬で評価するべきではないか?」
約2か月ぶりに開催された“介護給付費分科会”において、そのような意見が相次いだという
記事をご紹介いたします。
来年度の介護報酬改定に向けた協議を行う審議会が1日、およそ2ヵ月ぶりにオンラインで会合を開いた。
新型コロナウイルスの流行がもたらした深刻な影響にどう対応するか? やはりこれが大きなテーマとなった。現場の関係者や有識者らでつくる委員からは、感染拡大を防ぐための事業所の取り組みを介護報酬で評価するよう求める声が相次いだ。
「介護現場には大変な労力がかかっている。感染防止対策を講じてサービスを提供している事業所を対象として、基本報酬に一定の割合をかける加算を設けてはどうか」
そう提案したのは、全国知事会の代表として参加している神奈川県の黒岩祐治知事。「介護現場の対策は非常に重要。ぜひ検討して欲しい」と働きかけた。
このほか、特養の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会の小泉立志理事は、「感染防止対策の質を高めていく観点から基本報酬で評価すべき」と主張。全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、「新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めた介護現場の貢献は非常に大きい。その努力を評価すべき」と求めた。
厚生労働省は今後、介護現場の実態把握を行いながら具体策の検討を進めていく構えだ。今年の秋から年末にかけて結論を出す。
会合後に取材に応じた担当者は、「新型コロナウイルスへの対応は外せない視点になる」と説明した。第2波、第3波の襲来を含め、介護現場への影響はこのまま長期化していく見通し。次期改定をめぐる議論は、このテーマを1つの軸として動いていくことになりそうだ。(介護ニュースより)
先週末の5月29日(金)に
国の専門家会議で公表された「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」。
その中の「高齢者・障害者施設等における施設内感染対策」の部分を下記に抽出
してみました。
ご興味のある方は、ご参考まで。
高齢者・障害者施設等における施設内感染対策
○ これまで、高齢者施設や障害者施設等でも、大規模な施設内感染が発生して いる。施設内感染の感染ルートは、一般的にはサービス提供者からの感染、利用 者からの感染、面会者からの感染などが想定される。また、前述したような医療 機関での院内感染発生の要因も今後も起こりえることが想定される。 まず、サービス提供者や利用者からの感染を予防するため、手洗いや適切なマ スクの着用、「3密」の回避など、適切な感染防止対策を徹底することが必要で ある。また、面会者からの感染を防ぐため、引き続き、面会の一時中止や回数・ 人数の制限などを検討すべきである。なお、一部の施設においてはオンライン面 会を実施しており、こうした手法も参考にして適切に対応すべきである。 ○ こうした施設等での感染予防策の実践状況や課題については、流行がある程 度収まっている状況において、都道府県が中心となって連携するなどして、把 握しておくことが望ましい。
(施設内感染が発生した場合の人材確保) ○ 仮にサービス提供者や利用者が感染した場合には、速やかに入院することに なるが、それまでの間は自宅待機となり、また、濃厚接触者については、サービ ス提供者は自宅待機、利用者は原則として個室管理を行うことになる。このた め、これまでもサービス提供者の自宅待機により職員の不足が生じたケースが あり、3交代勤務を2交代勤務に変更する、同一法人内で職員を融通する、地域 で職員を融通することなどによって対応している。 人材不足に備えた対策が肝要となるが、一部の都道府県では、こうした事態に 備えてあらかじめ公募によるサービス提供者を確保・派遣するスキームを構築 しており、また、一部の自治体では、近隣の施設からの派遣が受けられるよう公 益社団法人(経営者会)において関係団体に派遣依頼を行うといった対応をして いる。 各都道府県においては、関係団体等と連携し、地域の実情に応じた人材確保策 を講じるべきである。なお、障害者施設等の利用者の中には、医療的ケアが必要 であったり、行動障害があったりするなど、一般の病院では入院医療の提供が困 難な方がいることも踏まえて、各都道府県において、衛生関係部局と福祉関係部 局が連携して、医療提供体制等の対応計画を整備すべきである。
(物資確保) ○ また、サービス提供者や利用者が感染した場合には、サージカルマスク、手 袋、ガウン、ゴーグル、消毒用エタノールなどの必要な衛生・防護用品が必要と なるため、現在、医療機関に優先的に配布されている衛生・防護用品が、高齢者 施設・障害者施設等の福祉サービスを提供する施設・事業所に対しても十分に 供給されるよう、政府において必要量を確保するとともに、各都道府県におい て各施設等のニーズを把握し適切に配分するための「福祉ルート」を確立すべ きである。
(感染発生時における施設内での感染対策の強化) ○ 障害者施設において PCR 等検査の結果、陽性であった利用者が、施設内で療 養したケースがあった。この利用者は、PCR 等検査の結果が陽性であったもの の、医師の診断によって入院医療を要する症状でないと判断された利用者であ った。 新型コロナウイルス感染症と診断された場合、入院療養が望ましいが、 利用者の特性なども総合的に勘案すると、自施設の療養とせざるを得ない場合 もあり得る。
○ このため、感染者を施設内で療養させることについては、保健所をはじめと する都道府県は、施設長と相談の上で、適切に療養が行うことができる体制が 確保されていることを確認し、慎重に最終判断を行うことが必要である。なお、 このケースにおいては、厚生労働省のクラスター対策班から、施設のゾーニン
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グや感染者の感染管理などに関する専門的支援を受けて、自施設での療養を行 った。また、医療スタッフと連携し、感染者の症状が悪化した場合には入院させ る対応を行った。
○ このように、感染者を施設内で療養させることは、ハイリスクであり、限定 的であるべきであるが、都道府県においては、感染した利用者を施設内で療養 させる場合に備えて、ゾーニングなどを行う感染管理の専門家や医療スタッフ の派遣方法、必要な物品の確保方法の検討、サービス提供者への研修等の事前 準備を行っておくことが望ましい。 なお、高齢者は重症化するリスクが高いことから原則は入院となり、また、 高齢者・障害者施設等においてクラスターが発生した場合には、関連する利用 者や職員などを速やかに PCR 等検査や抗原検査を実施して、適切な感染管理を 実施できるよう体制を整えてく必要がある。
(代替サービスの確保) ○ さらに、クラスター感染が生じた通所系の事業所の多くは、一定期間事業を 縮小・休業している。一部の都道府県では、濃厚接触により自宅待機となった利 用者への代替サービス(訪問系、通所系)を提供する事業者の公募による確保 や、利用人数を制限して事業を実施する場合に、事業所外で代替サービスを実 施する場合の支援などを行っている。
○ 各都道府県においては、地域の実情に応じた代替サービスの確保策等を講じ るべきである。なお、代替サービスを担う事業者が、積極的にサービス提供でき るよう、政府においては、こうした利用者に対して早期に PCR 等検査ができる よう、優先的に検査すべき対象者の整理及び検査態勢の拡充を図るべきである。 特に、障害者の中には、マスク等を着用したサービス提供が困難な方がいるこ とにも十分に配慮する必要がある。
③クラスター感染が生じた場における感染予防対策について ○ これまで、接待を伴う夜間の飲食店等において、クラスター感染(集団感染) が発生したことが分かっており、効果的な感染予防対策について十分な検討を 行うべきである。
厚生労働省は28日、いったん離職した介護人材が現場へ戻る際に“準備金”を支払って後押しする制度について、その額を大幅に引き上げる方針を明らかにした。
準備金は現在、人手不足がより深刻な首都圏、関西圏、東日本大震災の被災地など14都府県で最大40万円、それ以外の33道県で最大20万円となっている。これを全国一律で40万円に揃える形で拡充する。27日に閣議決定された第2次補正予算案の成立後、速やかに実行する計画だ。
この制度は、現場を離れた介護人材に復帰を促す呼び水として創設されたもの。準備金は基本的に貸し付けとなるが、復帰後に介護職として2年間働けば返還は全額免除される。
《厚労省公式ページ》再就職準備金のご案内
対象者の要件は、ホームヘルパー2級(初任者研修修了)以上の資格を持っていること、介護職の実務経験が1年以上あることなど。準備金の使途としては、転居のためにかかる費用、通勤用の自転車・バイクの購入費、研修費、参考図書の購入費、介護ウェアの購入費などがあげられている。(介護ニュースサイト)
皆様、ご承知のことと思いますが、
当初ケアプランで予定されていたサービス利用が
コロナの影響で無くなった場合、
居宅介護支援費の請求について介護保険最新情報Vol.836が
公表されています。
下記、ご参考までに
↓
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2020/0526104524809/ksvol.836.pdf
【介護・保育】人材定着ブログ5月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑩」
の続きです。
今回は人事評価のなかで、職能評価と同様に大切な「行動評価」についてお伝えします。前回お伝えした職能評価は文字通り、職場での「職務遂行能力」を評価する基軸であるのに対して、行動評価は、職場での「人間的な能力(人間力)」を評価する基軸と言えるものです。
それでは、そもそも、なぜ、行動評価が必要なのでしょうか。
まず、行動を評価するための基準となる「行動基準」について考えてみたいと思います。
1、行動基準の意義
職場に人が集まらず、人材教育になかなか時間がかけられないのが現場の現実です。一方、人の価値観や考え方のばらつきは、ますます大きくなってきていますし、また職場環境や専門分野の変化のスピードは年々速くなってきています。
そんな状況下において、法人の価値観に基づいた職員一人一人の行動基準を明確化して、法人が求める職員像を「見える化」することが、これから益々重要な要素になっていくものと考えています。また、行動基準の根底にある「ありたい姿」は、各法人の「経営理念」や「行動規範」という形で表現されています。まさにこれは法人の価値観の基盤になっているものです。ただ、経営理念や行動規範で使われている言葉は抽象的な言葉が多い為、なかなか各職員がその言葉の意味を理解し、日々の行動につなげる動機付けとすることはなかなか難しいのが現実ではないでしょうか。そのため、理念にある「想い」を咀嚼し、誰でもわかる言葉で、かつすぐに行動を起こせる具体的な表現を用い、ひとつの形にしたものがここでいう「行動基準」ということになります。下記事例に書かれてある行動基準はすべて、ある施設の職員同士がディスカッションによって作られたものです。職員にもとても分かりやすく、かつ現実的な行動表現になっているものと思います。先述したように、職員と情報共有しながら進めていくことがここでも大切になります。職場での行動基準作成には、職場のリーダークラスが参画し、ファシリテートを加えながら、表現を作っていくプロセスとなります。職員たちは、自分たちの「想い」や「ありたい姿」が具体的な形になることを実感
することが出来るので、職場での運用にも気持ちが入ります。
行動基準の事例
2、行動基準に書き出す内容(作り方)
たとえば「思いやり」なら、自分の職場で最も思いやりのある人を1~2名思い浮かべます。そして、その人は「どんな言動をとっているから思いやりがあるといえるのか」、
その人が「思いやりがある」と判断できる具体的言動を列挙することです。
つまり、利用者様やご家族からの評判が良い職員、優れた行動を実践している職員が、常日頃やっている具体的行動やコツ、ノウハウを余すことなく書き出すのです。(例えば、〇〇先輩のこういう行動がすばらしい。)
内部の職員に該当者がいない場合は、外部の施設で見聞きした具体的行動でも結構です。また自分が常日頃実践していて効果が上がっていることを行動として書き出しても結構です。自分ではできていないが、できたらすばらしい行動も書き出してください。
先月末に成立した、今年度の補正予算。その中に盛り込まれた
“介護現場への新たな支援策”
関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さいませ。
政府は新型コロナウイルスの大流行を踏まえ、先月末に成立した今年度の補正予算で介護現場への新たな支援策を講じる。その事業の詳細を明らかにする実施要綱を、厚生労働省が今月15日に全国の自治体へ通知した。
それによると、急ぎの人材確保に向けた賃上げや職員への危険手当の支給、衛生用品の購入、施設・事業所の消毒など、平時なら生じなかったはずの追加経費について幅広く補助が行われる。国と地方の総事業費は103億円。このうち3分の2を国が、3分の1を都道府県が負担する。
介護サービス事業所等に対するサービス継続支援事業の実施について
ただし、こうした補助を実際に受けられる施設・事業所は一部にとどまる。今回の実施要綱では、
○ 自治体から休業要請を受けた施設・事業所
○ 利用者、職員に感染者が発生した施設・事業所
○ 濃厚接触者に対応した施設・事業所
○ 特例の訪問サービスを提供した通所介護事業所
○ 自主的に休業した施設・事業所の利用者を受け入れた施設・事業所
などが対象とされた。感染を防ぐ努力をしながらぎりぎりの綱渡りを続けていても、これらに該当しない施設・事業所は対象外となっている。
「今の支援策では不十分」「さらに強化しないと現場はもたない」
15日の衆院・厚労委員会では、与野党の議員から改めてこうした追及の声があがった。
これに対し加藤勝信厚労相は、今月中にも編成される第2次補正予算案で支援策を拡充できないか調整すると答弁した。これまでのところ、「介護現場の実態も踏まえて検討していきたい」などと述べるにとどめており、どこまで期待に応えられるかは不透明だ。
先日、厚労省から公表された「介護現場におけるハラスメントに関する、
介護事業者が活用できる研修の手引き・動画」
について、ご承知の方も多い思いますが、ご参考まで。
動画にも注目です。
⇒
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2020/0514125614220/ksvol.833.pdf
新型コロナウイルスの大流行に伴う緊急事態宣言の
解除をめぐり、
特別養護老人ホームの経営者らで組織する全国老人
福祉施設協議会は14日、
会員の施設などに向けた対応指針を公表されていましたね。
その他の入居系サービスの皆様にとっても参考になるかも
しれません。
https://mitte-x-img.istsw.jp/roushikyo/file/attachment/327955/new_seikatuyousiki.pdf.pdf
要点整理 令和 2 年度診療報酬改定
4 月施行の令和 2 年度診療報酬改定について、診療所への影響が大きい項目をピックアップしました。かかりつけ医機能強化に係る評価の見直し等の観点から、いくつか重要な改定が行われており、注意を要します。
一般診療所への影響が大きいのは?
⚫ かかりつけ医の機能強化加算の要件の追加
かかりつけ医機能を担う医療機関の機能強化加算の情報提供に係る要件の見直しです。
⚫ 地域包括加算の見直し
施設基準のうち、時間外の対応要件に、複数の医療機関による対応が認められ、時間外対応加算3 の届出でも可能となりました。
⚫ 妊婦加算の廃止
初診料のみならず、再診料・外来診療料も、妊婦加算が廃止されました。
⚫ オンライン診療料の実施要件の見直し
事前の対面診療期間が、6 ヶ月から3 ヶ月に短縮される他、緊急時の対応に係る要件や、対象疾患についても見直しが行われています。
⚫ 小児科外来診療料等の対象年齢拡大
小児科外来診療料等の算定対象年齢が、6歳未満に拡大されました。
⚫ ニコチン依存症管理料の見直し
情報通信機器を用いた診療に係る評価と一連の治療に係る評価が新設される他、加熱式たばこの喫煙者が対象に追加されました。
この他、調剤料の見直しにもご留意ください。
歯科における注目すべき項目
歯科では、以下の改定項目を確認しましょう。
✓ 初再診料、管理料等見直し
✓ 歯周病重症化予防治療の新設
✓ 口腔機能検査の新設
✓ CAD/CAM 冠の対象拡大
✓ 歯科麻酔薬の算定方法の見直し
✓ 実態に合わせた評価の見直し
参考:厚生労働省「令和2 年度診療報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html
(次号に続く)
高年齢雇用継続給付の縮小等、順次施行される労働保険の改正
2020年3月31日、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が国会で成立し、同日に公布されました。この改正法には、雇用保険法の他にも、高年齢者雇用安定法、労働者災害補償保険法(労災保険法)、労働施策総合推進法等、全部で8つの法律の改正が盛り込まれ、一括で成立しました。今回は、それらのうち、雇用保険法と労災保険法の主な改正点を確認しておきます。
1.高年齢雇用継続給付の縮小・廃止
高年齢雇用継続給付とは、従業員が60歳に達したときと比較して、それ以降の給与が一定額以上引き下がった場合に、従業員に支給される給付金であり、高年齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的としてきました。
しかし、社会情勢の変化により、原原則65歳までの雇用の義務化が浸透し、更には70歳までの就業機会の確保が努力義務として求められるようになったこともあり、高年齢雇用継続給付の役割は薄れてきました。そこで、2025年度より給付率の上限を15%から10%に引き下げることとなりました。
2.複数就業者の保護
働き方改革では、副業を促進する動きがみられました。実際に副業を積極的に認める企業もあり、複数の事業所に勤務する労働者(複数就業者)は増加傾向にあります。
一方で、複数就業者のセーフティーネットは弱く、その整備の重要性が高まったことから、以下の法改正が行われました。
- 労災保険による給付が行われるときは、複数の就業先から支払われた賃金に基づき、給付基礎日額の算定を行ったり、給付の対象範囲の拡充等を行う。
- 複数の就業先で勤務する65歳以上の労働者について、いずれの就業先でも雇用保険の加入要件を満たさないような労働時間数での勤務であっても、2つの就業先での週の所定労働時間の合計が20時間以上であれば雇用保険に加入できるようにする。
- 勤務日数が少ない雇用保険の被保険者でも、失業時に適切に雇用保険の給付が受けられるようにするため、離職証明書を作成する際の被保険者期間について、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定する。
これらの施行日は、a.が今後政令で決定され、b.は2022年1月、c.は2020年8月となります。
今回の改正ですぐに大きな影響が出る従業員は多くないと考えられますが、実務上、対象者が発生した場合に対応が求められます。今後、詳細の情報が厚生労働省等から案内されますので、内容をしっかり押さえておきましょう。
(来月に続く)