介護

居宅介護支援の逓減制の緩和、6割超のケアマネが「評価できない」 組合調査

今年度の居宅介護支援の報酬改定で実施された基本報酬の逓減制の更なる緩和について、全国の介護職でつくる労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」が公表した最新の調査結果では、多くのケアマネジャーが「評価できない」と答えたと報告されている

「評価できない」が64.9%、「どちらとも言えない」が29.8%。「評価できる」は4.8%にとどまった。


「評価できない」の理由としては、

◯ 利用者としっかり向き合うことができなくなる


◯ 困難事例の利用者が増えているため件数を増やせない


◯ 事務作業が減っても相談内容は少なくならない

などがあった。


この調査は、NCCUの組合員が働く事業所を対象として4月、5月に行われたもの。641名のケアマネジャー、主任ケアマネジャーから回答を得ている。


居宅介護支援の逓減制の緩和は、ケアマネジャーの不足が顕在化してきたこと、ICTの活用が以前より進んだことなどを踏まえた施策。貴重な人材の有効活用に加えて、事業所の経営状況の改善、ケアマネの処遇改善につなげる狙いがある。


NCCUの調査結果によると、逓減制の緩和を「評価できる」とした理由では、

◯ 利用者の増加を考えると1人あたりの件数を増やすしかない


◯ 仕方がない


◯ 件数を増やせば収入が増える

などの声があった。

【まとめ】東京都の全介護職の賃上げ補助金、交付の要件や方法、対象サービス・職種は?

介護現場を支える人材の確保・定着に向けた首都の新たな独自策が始まる。介護職員やケアマネジャーらの給与を月1万円から2万円引き上げる補助事業だ。

東京都は3日に専用のポータルサイトを開設。補助金の交付要件や申請手続きなどの詳細を明らかにし、都内の介護関係者に広く周知した。


ここでは、東京都の公表資料を基に新たな補助事業のルールを詳しくまとめていく。

◆ 趣旨


介護人材の確保・定着が目的。介護職の給与が他産業の平均と比べて低いこと、首都の生活コストが相対的に高いことなどを考慮し、東京都は「居住支援特別手当」と銘打って補助金を出すことに決めた。

◆ 補助金額

給与水準が相対的に低い層に重点配分される。勤続年数が5年以内の介護職員に月2万円、6年目以降の介護職員やケアマネらに月1万円が交付される。


月2万円となるのは、雇用を開始した月から続く60ヵ月目まで。ケアマネは勤続5年未満でも2万円の対象にはならない。

◆ 対象職種

介護保険サービス事業所、障害福祉サービス事業所で働く人。所定労働時間が週20時間以上、または月80時間以上であることが求められ、常勤・非常勤は問われない。

《介護保険》
介護職員、ホームヘルパー、サービス提供責任者、生活相談員、支援相談員、介護支援専門員、計画作成担当者など。


《障害福祉》
ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、指導員、保育士、世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、訪問支援員、介護職員、相談支援専門員、サービス提供責任者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者など。


上記のうち、「宿舎借り上げ支援事業」などの利用者は除外される。法人の代表者や役員の立場であっても、日頃から上記職員として現場で働いていれば対象となる。

 

介護の社会福祉法人、合併容易に 経営改善促す

政府は小規模な介護事業者の経営改善を促す。介護事業を手掛ける社会福祉法人同士がM&A(合併・買収)しやすくなるよう手続きや指針の解釈を明確にする。人手不足に悩む介護現場の生産性を上げ、高齢化で需要が増す介護サービスの質の向上につなげる。

 

 政府のデジタル行財政改革会議が6月中旬に開く会合で、武見敬三厚生労働相が介護事業の経営改善の政策パッケージを示す。岸田文雄首相は4月、介護事業者の連携や集約を進める協働化・大規模化の支援策の取りまとめを指示していた。

 

 政府は1法人1拠点といった小規模経営の介護事業者を念頭に置く。M&Aを促す背景には急速に進む高齢化がある。2025年にはすべての団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる。

 

 拡大する介護ニーズに対応するために、介護事業者の連携や集約を通じた現場の生産性向上が急務になっている。

 

 介護サービスは訪問介護やグループホームなど多様な事業形態があり、小規模な事業者が乱立している。採算がとれず、経営難から事業の継続が難しくなっているケースも少なくない。

 

 東京商工リサーチによると23年に休廃業・解散した介護事業者は過去最多の510件に達した。倒産も過去2番目に多い122件を記録した。

 

 同社は「業界のジリ貧や先行きが見通せない小規模事業者を中心に市場から退出している」と指摘する。人手不足などで経営が悪化し「倒産する前に早めに事業継続を断念した介護事業者が多いとみられる」とみる。

 

 厚生労働省が社会福祉法人の合併手続きや役員の退職金に関するルールを明確にする。厚労省が社会福祉法人向けに作成している合併手続きのガイドラインも見直す。

 

 合併の際にファンドなど第三者からの支援・仲介を受ける場合に手数料など必要な経費を払ってもよいことをガイドラインに明記する。

 

 資金面でも社会福祉法人の合併を促す。研修などを共同で実施するための費用を国が都道府県を通じて補助する。24年度中に230億円以上の国費を投じる。合併の際に必要な経営資金の融資の条件も優遇する。

 

 社会福祉法人へのM&Aの成功事例の紹介や手続き・ガイドラインなどの周知も強化する。経営改善の必要性を認識してもらうため、都道府県が社会福祉法人の経営状況を分析し、公表する。各都道府県にワンストップの窓口を設け、経営相談を受け付ける。

 

 M&Aによる経営統合まで踏み込まない場合も複数の社会福祉法人が人材育成や研修、採用活動などを共同で手掛けることも促す。22年に導入した新たな形態である社会福祉連携推進法人の立ち上げを支援するため新たに手引も作成する。

 

 社会福祉法人は介護事業や保育所、障害者施設など社会福祉事業を手掛ける非営利目的の法人を指し、全国におよそ2万ある。これまではM&Aのルールが周知されておらず、経営の統合が進んでいなかった。

 

 厚労省は244月から、介護支援ロボットやデジタル技術などを活用した継続的な生産性向上に取り組んでいる事業者を評価して介護報酬を加算する制度を新設した。先進的な施設については人員配置の基準を柔軟にする特例を認めている。

 

 こうした先端技術の導入に投資するには一定の事業規模や安定した経営基盤が必要となる。M&Aの促進で社会福祉法人の集約をめざし、生産性の向上につなげる。

 

 介護需要は高齢化で今後も増えるとみられるが、低賃金などの理由から介護人材が不足している。厚労省は介護従事者が40年度には69万人不足すると推計する。M&Aで生産性が上がれば賃上げなど従事者の待遇改善にもつながると見込む。(日本経済新聞 2024/6/6)

Q 有給休暇の買い取りの扱いについて

Q 当事業所では人員が不足しており、有給休暇の取得が困難な状況です。消化できず消滅する

職員も多数いますが、ある職員から、消化しきれなかった有給休暇を買い取ってほしい

との要望がありました。どのような対応をすべきでしょうか?

A, 2年に時効により消滅した未消化有休、退職による請求不可能になる残余有休の2つの場合に限り、買い取ることを認められています。但し、買取のルール化をするのは避けておいた方が良いでしょう。

 

まず、年次有給休暇の買い上げについて行政解釈をみると、

 

「年次有給休暇の買い上げの予約をし、これに基づいて法39条の規定により請求しうる

 年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法39条の違反である」

 

つまり、買い上げを認めてしまうと、買い上げることを理由に職員からの有休休暇の請求を拒んだり、金銭目当てに有給休暇をあえて取得しないということが起こり得るからです。しかしいかなる場合にも認めないかというとそうではなく限定的に買い上げが認められています。それは次の2つの場合です。

1,時効により消滅した未消化年休

 

2,退職や解雇により請求不可能となる残余年休。

 退職日までの未消化の有休をすべて請求されてしまうと「他の日にしてくれ」という時季変更権を行使する余地がなく、原則申請されたものを与えるしかありません。買い上げる場合でも、退職時あるいは退職後に有給休暇の残日数に応じて金銭が支払われるものであれば違反とはなりません。

 

更新研修、ケアマネの多くが「高い」「長い」「多い」と回答 組合調査

全国の介護職でつくる労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」は27日、ケアマネジャー、主任ケアマネジャーを対象とした緊急アンケート調査の結果を公式サイトに掲載した

更新研修に対する考え方も尋ねている。


複数回答の結果は以下の通りだ。最も多かったのは「費用が高い」。「時間が長い」「回数が多い」「時間が取れない」なども目立った。主任ケアマネの答えでは、「更新期限が短い」「研修の受講要件が厳しい」も少なくなかった。

この調査はNCCUの組合員が働いている事業所を対象として、今年4月26日から5月6日にかけて行われたもの。ケアマネと主任ケアマネ、641人から回答を得ている。(介護ニュース)

 

 

 

 

 

 

【介護報酬改定】リハ職による訪問看護、新たな減算のルールまとめ

今年度の介護報酬改定は一部のサービスが6月施行とされた。


現場の事務負担の軽減などが目的。医療の診療報酬改定の動きに合わせて、厚生労働省は従来の4月施行から2ヵ月後ろ倒しにする判断を下した。

6月施行のサービスの1つが訪問看護。ステーション、病院、診療所、いずれも基本報酬が少しずつ引き上げられ、加算の新設・拡充も複数実施される


ただ、基本報酬の減算も新たに適用される。リハビリテーション専門職によるサービスの評価だ。ここではその要件や詳しいルールを、厚労省がこれまでに発出した通知などを基にまとめていく。

※ 訪問看護にはこのほか、BCP(業務継続計画)が未策定の事業所や虐待防止措置が未実施の事業所に対する減算も導入される。BCP未策定の減算には経過措置があり、来年3月31日まで適用されない。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるサービスの減算が新たに適用されるのは、以下の要件に該当する事業所だ。

リハ職によるサービスの減算の要件


次のいずれかに該当する場合に減算が適用される。


(1)前年度のPT、OT、STによる訪問回数が、看護職員による訪問回数を超えている場合。


(2)緊急時訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算をいずれも算定していない場合。

報酬改定のQ&Aでは、前年度のリハ職による訪問回数の計算方法などを具体的に解説。次のような解釈を明らかにした。


報酬改定のQ&A(Vol.1)

問28|前年度のリハ職による訪問回数は、連続して2回の訪問看護を行った場合、どのように数えるのか。


答|リハ職による訪問看護の減算に係る訪問回数については、リハ職が連続して2回の訪問を行った場合、1回と数える。例えば、理学療法士が3月1日と3月3日にそれぞれ2回ずつ訪問を実施した場合、算定回数は4回であるが、訪問回数は2回となる。また、リハ職が3月5日の午前に1回、午後に連続して2回訪問した場合は、算定回数が3回、訪問回数が2回となる。

問29|前年度のリハ職による訪問回数はどのように算出するのか。


答|居宅サービス計画書、訪問看護報告書、訪問看護記録書などを参照し、訪問回数を確認すること。

問30|前年度のリハ職による訪問回数には、連携型の定期巡回・随時対応サービスによる訪問回数は含まれるか。


答|含まれる。

報酬改定のQ&A(Vol.5)

問1|減算の要件の訪問回数は、訪問看護費と介護予防訪問看護費で別々に数えるのか。それとも合算して数えるのか。


答|訪問看護と介護予防訪問看護の指定を合わせて受け、一体的に運営されている場合は合算して数える。(介護ニュースより)

厚労省、総合事業の支援ハンドブックを改訂 地域づくりのノウハウを分かりやすく紹介

介護保険の総合事業をそれぞれ運営している全国の市町村を後押しするため、厚生労働省は新たに「地域づくり支援ハンドブックVol.2」を公表した

市町村の担当者だけでなく、市町村をサポートする都道府県の担当者や現場の関係者なども活用できるツール。「地域づくりとは何か」「何のために行うのか」といった基本はもちろん、実際に取り組みを進めていく際に生じ得る様々な課題の解決策もまとめられている。


昨年5月に公表されていたハンドブックを改訂したもの。厚生労働省は介護保険最新情報のVol.1264で広く周知した。「自身の課題意識に合わせて、必要なところから参照して下さい」などと呼びかけている。

今回のハンドブックVol.2では、総合事業に注力する市町村で課題として指摘されやすいテーマと、それを解決するノウハウの紹介などの内容が拡充された。ハンドブックの概要、使い方などのポイントを整理したダイジェスト版も併せて公表されている。(介護ニュースより)

介護サービス提供体制の「中長期ビジョン」策定を 諮問会議で民間議員が提言 人材不足に強い危機感

 

《 23日の諮問会議|画像出典:首相官邸HP 》

政府は23日に経済財政諮問会議を開き、6月に予定する今年度の「骨太の方針」の策定に向けて社会保障制度を議論した

民間議員はこの中で、介護サービス提供体制の中長期ビジョンの策定を提言。AIやセンサーといったテクノロジーの活用、事業所・施設の経営の大規模化、保険外サービス事業者との連携などを含め、今後の介護ニーズに応えていく方策を検討するよう要請した。


介護現場の人手不足が顕著で、介護ニーズが更に拡大する今後の人材確保は非常に難しい、という認識がベースにある。


国の推計によると、医療・介護・福祉分野で働く人の就業者全体に占める割合は2018年時点で12%超。このまま2040年になると、就業者全体の18%から20%程度にまで引き上げる必要があり、実現可能性に大きな疑問符がつく。


介護は特に労働需要の伸びが大きい分野。より効率的なサービス提供体制への転換は不可避、というのが民間議員の問題意識だ。


政府関係者は、「介護分野は人材不足がかなり深刻化する。テクノロジーの活用などでどこまで対応できるのか、より中長期的に考えていくべき」と話した。

同様の提言は今月21日に財務省の審議会がまとめた建議にも盛り込まれている。


財務省はテクノロジーをフル活用して介護サービスの人員配置基準を緩和すべきと主張。事業所・施設の経営の大規模化、保険外サービスのより柔軟な運用なども促した。政府は今年度の「骨太の方針」に、こうした方向で介護保険改革を検討していく考えを記す構えだ。(介護ニュースより)

フリーランスの介護士 新しい働き方がもつ可能性とは(NHK WEBニュースより)

 

「今が一番、理想の働き方です」

そう話すのは、介護に関わる仕事をして18年のベテランの介護士です。これまでさまざまな現場で働いてきましたが、仕事内容などのミスマッチから心身の調子を崩して、おととし、離職しました。

心と体に余裕をもって、高齢者と向き合いたい。

今は、「フリーランス」の介護士として働いています。その働き方を支えているのは、介護業界で注目されている「マッチングサービス」です。

マッチングで出会ったふたり

「これきょうのメインのおかず。(おいしいか)正直に言っていいよ~」

そっと口にスプーンで食事を運ぶのは、大野眞粧美さんです。
介護福祉士の資格を持ち、18年間介護士として働いてきました。1年半前から、「フリーランス」の介護士としてマッチングサービスに登録しています。
介護士の大野眞粧美さんと利用者の林田弘子さん
この日は、名古屋市に暮らす89歳の林田弘子さんから指名をうけて、訪問介護に訪れていました。

口腔ケアや食事の介助を行ったあと、お風呂の介助、テレビを見ながら話し相手になったりして、あっという間に3時間。失語症により言葉を出しにくくなった弘子さんに対し、大野さんは表情やしぐさからも気持ちをくみ取ります。

なかなか食事が進まない弘子さんの様子を見て、大野さんは代わりにおしるこの提供を提案しました。そのとたん、弘子さんの表情がぱっと明るくなったのが印象的でした。
公的な介護保険サービスでは気に入った人を指名することは難しいですが、この民間のサービスは介護保険サービスの「適用外」なので、継続利用する場合に指名できる仕組みです。

8か月前にマッチングして以来、弘子さんは介護の質だけでなく人柄も気に入り、継続して大野さんを指名し、公的な介護保険サービスと組み合わせて利用しています。
弘子さんの息子・祐介さん
「母は、『大野さんがいい、大野さんがいい』って。母が元気にしゃべる量だったり、笑顔だったり、何かしてもらってうれしいなと思う感じは期待以上でした。明るくてモチベーションも高くて、誇り持ってやっている方だなって」

マッチングでの新しい働き方

介護サービスを提供する人と、受ける人をつなぐ「マッチングサービス」。

大野さんが仕事探しに利用しているのが、スマートフォンのマッチングサービス専用アプリです。
登録したきっかけは、2年前、勤め先の介護施設を退職したことでした。

施設では人手不足で忙しく、一人一人の利用者と向き合う時間をとることができなくなっていました。

さらに調理担当の募集に人が集まらず、介護ではなく調理担当に回されることになりました。朝早くからひとりで40人分の朝食を準備する日々に、次第に介護士としてのやりがいを見いだせなくなったといいます。
施設で働いていた頃の大野さん
「介護の仕事は好きで続けたい」と考えていたところ、マッチングサービスを知り、利用を始めました。一覧で表示される募集中の仕事の中から、自宅に近く、利用者とじっくり向き合える仕事を選んでいるといいます。

利用者の依頼はさまざまで、弘子さんのようにマッチングのあと、指名を受けて定期的に入る仕事もあれば、単発で入る仕事もあります。

最近は、1週間に定期の利用3件、スポットで2件の仕事を入れ、働くのは週5日、1回3時間ほどで、労働時間は以前の半分に減りましたが、収入はこれまでとほとんど変わっていません。
介護士 大野眞粧美さん
「自分らしい介護ができて、いまとてもやりがいがあり、ライフワークバランスも取れているので、自分に合っていると思います。お会いして『この方だったら良いな』とか言っていただけるのは、本当にすごくありがたいですし、いままでで一番いい働き方を見つけたなと思っています」

感覚ではなく“数値”でマッチング

このマッチングサービスを開発したのは都内のベンチャー企業です。

代表を務める水野友喜さんは、自身も介護士だった経験から、多様な働き方を作りたいと2019年にこのサービスを始めました。
介護マッチングサービス会社 水野友喜代表
「介護の仕事にやりがいを持っていたのに、働く環境が要因でしかたなく離れることになってしまった人たちを見てきました。やはり新しい働き方をどんどん模索していかなければと感じていました」
通常、介護士は介護事業所などに所属し、利用者に対し介護を行っています。

一方、マッチングサービスは、フリーランスの介護士と利用者とをネット上でつなぎ、介護の認定を受けた人が利用できる介護保険サービスの「適用外」で介護が行われる仕組みです。
このサービスで力を入れているのが、ミスマッチを防ぐ仕組みです。

専門家の監修のもと、介護士の適性試験を独自に開発。「マニュアルにない仕事に対応できる」や「他人が言いにくい事でも伝えられる」など、全部で80問以上の質問に回答することで、介護士の能力や性格の傾向を数値化します。

これにより登録された介護士と利用者の相性について、感覚に左右されずに客観的に評価しマッチングできるといいます。
水野友喜代表
「自宅に人を呼んで、しかも身体に触れる介護を依頼するときには、一歩踏み込んだ相性が合うかというところは、とても重要視されるものです。手配する介護士を深く理解することをしなければ、安心・安全の介護の仕組みはつくることができないと思います」
例えば、重度の介護が必要で、作業の内容について具体的に要望を聞きながら進めてほしいという利用者の場合は、介護スキルや「協調性」「対人調和力」などの数値を比較し、最適な介護士をマッチングします。
登録を希望する介護士は、フリーランスとして会社と業務委託契約を結びます。

会社では、介護士を守るために保険にも加入していて、誤って利用者の自宅で茶碗を割ってしまったり、介護士本人がけがをしてしまったりした場合などは補償しています。

増える“ビジネスケアラー”が背景に

このマッチングサービスが始まって3年半で、「フリーランス」の介護士の登録は5000人以上。サービスの利用者は3倍に増加しています。

ニーズの高まりの背景にあるのは、働きながら親の介護をする“ビジネスケアラー”が増えていることです。

「2030年には家族を介護する人のうち4割にあたる318万人がビジネスケアラーになる」と、経済産業省が去年(2023年)試算しています。
介護の認定を受けた人が利用できる介護保険サービスは利用料が一部負担にとどまりますが、介護保険の「適用外」のサービスは、全額自己負担。

公的な介護保険サービスではカバーできない、さまざまな要望に対し柔軟に応えてもらうことができます。働きながらだと対応が難しい、外出の付き添いや、早朝・夜間の在宅介護、ペットの世話など多岐にわたります。
マッチングサービスでは利用者の要望は多岐に渡る
今回取材したマッチングサービスの会社の利用料は、1時間あたりおよそ3000円からと決して安くありません。しかし、家族が仕事と両立するため、介護保険のサービスの隙間をうめる形でこうしたサービスの利用が広がっているといいます。

一方で、介護保険の「適用外」のサービスを利用する際に注意したほうがいいこともあります。

まずは、費用の面です。事業者が自由に価格設定できるので、不当な内容で契約してしまうリスクも指摘されています。保険外サービスであることを理解し、本当に必要なサービスなのかどうか丁寧に説明を聞くことが必要です。

国はこうした介護保険サービス以外の民間サービスの利用が今後、さらに広がるとみていて、民間事業者がガイドラインの策定や認証制度をつくる動きを後押ししています。

介護人材にも多様な働き方を

今、介護職の人手不足は深刻です。

国の調査では、2022年の介護分野からの『離職者』が新しく介護分野に就職した『入職者』をおよそ6万3000人上回っています。

今回取材したマッチングサービスを利用して働く介護士に聞くと、「自分のペースで働きたい」、「副業として隙間時間を活用している」など多様な働き方が見えてきました。
◎東京都 49歳女性
フリーランスの仕事のみ 週5日程度マッチング
訪問介護などの介護事業所で正社員として30年ほど働いてきたが、中間管理職になり、調整などの業務が中心に。現場で介護をする時間が少なくなった上、人手不足で希望通りに休めず、自分の時間が持てなかった。今、久しぶりに1対1でその利用者のための介護ができているし、自分のペースで働くことができるので、趣味とも両立できるようになった。

◎神奈川県 37歳女性
介護事業所でパート勤務しながら副業 週に1・2回マッチング
3人の子どもを育てながら、週に3回程度、パートタイマーとしてデイサービスで働いている。介護の仕事が楽しくて資格も取得したが、経験の幅を広げたく、デイサービスの仕事がない日などの隙間時間に副業としてマッチングサービスを利用している。デイサービスでは経験できない様々な現場があり、スキルアップに繋がっていると感じている。
介護業界にこうした多様な働き方が広がることは、介護人材不足の解決の一助になるのでしょうか。

介護政策に詳しい専門家は次のように指摘しています。
淑徳大学 結城康博教授
「多様な働き方があることで、いったん離職した介護職が現場に戻りやすくなる面はある。ただ、介護保険の『適用外』のサービスは、保険サービスの補完的な位置づけであるため、介護保険の現場で働く介護士の処遇改善など、抜本的な取り組みが欠かせない」

介護士の処遇を改善するために

今年度、国は介護職員の給与に影響する「介護報酬」を見直しました。特に人材確保が厳しい「訪問介護」については、加算率を高く設定し、処遇改善で人手不足の解消につなげたいという狙いがあります。

ただ、加算を除いた基本報酬は引き下げられたため、業界団体からは人手不足や処遇の改善につながらないなどと批判も出ています。

現状の保険制度では、介護士の給与を引き上げて離職を減らそうとするならば、私たちが支払っている保険料の引き上げなどの議論をする必要があります。

介護する側も受ける側も満足できる仕組みをどう社会全体で作っていくのか、制度のあり方についても考えていく必要があると感じました。

(5月8日「おはよう日本」で放送)

,週三日勤務のパート看護職がフルタイムの常勤に変わるとき、逆にフルタイムの常勤職員が、育児などを理由に週3日勤務のパート職員に変わるときの有休休暇の付与に日数について教えてください。また夜勤専従の看護師の有休休暇についてはどの様に考えればいいでしょうか?

A, 週三日のパート職員からフルタイムの常勤に変更する場合、変更した直後の基準日の勤務日数によります。16時間拘束の夜勤を行う場合の付与日数は、1勤務について2日分付与します。

 

詳解

 

 有給休暇の権利は6か月継続勤務した時点で発生します。この日を「基準日」と言います(4月1日入社なら10月1日)。短時間勤務のパート職員がフルタイムの常勤に雇用形態を変更する場合、有給休暇の付与日数について下記の通達があります。

 

 「年次有給休暇の権利は、基準日に発生するので、基準日に予定されている労働日数の年次有給休暇が付与されなければならない。従って、入社時に比例付与の対象者(短時間労働者)であったとしても6か月経過後に比例付与の対象者でなくなっていたとしたら、10日の年次有給休暇を付与しなければならない」昭和63、3、14発150号)

 

従って、勤務日数の少ないパート職員がフルタイムの常勤に登用されて雇用形態が変わったときは、有給休暇が新たに発生する日(フルタイムになった直後の基準日)の勤務形態に応じた有給休暇を付与します。また仮に、年度途中で所定労働日数が変わったとしても、その時点で付与日数を増やすのではなく、直後の基準日においてフルタイム勤務に応じた日数の付与となります。フルタイムから短時間労働に変更する場合も同じ考え方です。

 

 また、病棟勤務看護職の16時間拘束の夜勤1勤務に対して有給休暇の付与日数は「2日」となります。行政通達の内容は下記となります。

「休日は原則として暦日休日制

(午前0時から午後12時)をとっています。1勤務16時間隔日勤務など、1勤務が2暦日にわたる場合も原則通り暦日制が適用されて、年次有給休暇の付与についても当該1勤務(16時間夜勤)の免除が2労働日の年次有給休暇の付与とされます。尚、この場合の手当(年次有給休暇の賃金)については、2労働日分の平均賃金などを支給しなければなりませんが、これは結局1勤務分(16時間夜勤分)に相当します。

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