介護
来春より始まる年次有給休暇5日の取得義務への対応
2019年4月より段階的に施行される改正労働基準法ですが、その中でも最初に
対応しなければならないのが、年次有給休暇の取得義務です。
9月には、実務に影響する省令が公布、通達も発出され、具体的に求められる対応が
明らかになっています。
1.会社が取得日を指定する年次有給休暇
労働基準法では、原則として、入社日から6ヶ月勤務した従業員に10日の年次有給休暇が
付与され、その後は、勤続年数に応じた日数が付与されることになっています。
この年次有給休暇が10日以上付与される従業員に対し、2019年4月からは、付与した日
(基準日)から1年以内に5日については、会社が取得する日を指定して従業員に
取得させることが求められます。
なお、従業員が自ら取得したものや労使協定による計画的付与で取得したものは、
会社が指定する5日から除いて考えることができます。
2.取得日指定のポイント
年次有給休暇は、従業員が取得する日を申し出て、取得することが原則ですが、
職場への配慮やためらい等の理由から取得率が低調であることを踏まえ、
今回の制度が設けられました。
そのため、会社が自由に取得する日を指定するのではなく、指定するときは、
まずは従業員に取得する日の意見を聴き、その意見を尊重した上で取得日を
指定することが求められています(努力義務)。
通達では、その方法として、従業員の意見を聴いた上で、年次有給休暇取得計画表を
作成し、この計画表に基づいて実際に取得させること等が考えられるとしています。
3.作成が求められる年次有給休暇管理簿
現状、労務管理を行う上で作成が求められる主な書類としては、労働者名簿、
賃金台帳、出勤簿があります。
年次有給休暇の取得義務化が始まることで、今後はこれらに加え、年次有給休暇を
取得した時季、日数および基準日を従業員ごとに記載した「年次有給休暇管理簿」を
作成することが義務付けられます。
なお、この年次有給休暇管理簿は、労働者名簿または賃金台帳とあわせて
作成することも認められており、作成後は3年間の保存義務があります。
既に年次有給休暇の取得率が高い会社にとっては、年5日の年次有給休暇の取得ができて
いない従業員に対し取得を勧めることで、取得義務の対応ができるかも知れませんが、
取得率の低い会社では計画的付与の導入も含め、より組織的な対応を進めることが
必要になります。
なお、全社員共通の基準日を設定しているなど、労働基準法の定めよりも前に年次有給休暇を
付与する制度を導入しているケースでは、導入している制度により、複雑な対応を求められる
ことがあります。
その場合には、労働基準監督署や当事務所までご相談ください。
(次号に続く)
「職員の人材育成は理念から」というテーマで10月から皆様にお伝えしております。
理念を職員に浸透させるために、多くの施設はいろいろな「工夫・仕掛け」をされています。
工夫、仕掛けというと「経営理念を覚えさせる」というケースがあります。よく見かけるのは「クレドを作成して職員に携帯させる」「毎朝の朝礼で唱和する」「きちんと覚えているか確認テストをする」などの取り組みです。「浸透させるために記憶させるという方法論は間違っていないように思えます。しかし、確認テストも記憶させる手段としては悪くないでしょうが、一言一句正確に覚えさえすれば、経営理念は浸透するのでしょうか。浸透とは「水などが、しみとおること」「思想・風潮・雰囲気などが次第に広い範囲にいきわたること」です。したがって経営理念の浸透とは「法人に従事する全職員へ、理念の意味が理解され、日々の行動に落とし込まれていくこと」ですから、唱和や暗記テストによって単に暗記するだけでは、浸透に至らないことは明らかです。
浸透するまでには3つのステップが必要と考えています。それは「認知」(知っている)→「共感」(経営理念に基づく行動が行われ始めている)→「共有」(経営理念が当たり前の行動になっている)の3ステップです。
「経営理念が浸透しない法人の共通課題」
調査の結果、経営理念が浸透しない法人には次のような共通の課題があることがわかりました。①経営理念の策定時に職員がかかわっていないことが多く、理念策定の背景や意図が共有されていない②経営理念の表現が抽象的過ぎて理解しにくい。そのため、自分は何をすべきかわからない③経営理念浸透に向けた取り組みの本来の目的が見失われ、取り組みが形骸化している。
一つ目は、設立年数が長い法人や急成長した法人に特に多くみられる課題です。経営者の交代や職員の入退職によって経営理念を深く理解している人材が少なくなり、理念の背景や意図が伝わらず浸透しないのです。また後者では急激な人員増で経営理念を深く理解している人材の比率が急激に減り、浸透が人員増のスピードに追い付かない状態の陥るためです。
二つ目の課題は、経営理念は法人の目的や存在意義そのものを表すために、表現が抽象的になりがちです。そして抽象的であればあるほど、受け手側の解釈に幅が出るためブレが生じやすくなります。
三つ目の「形骸化」については、浸透の取り組みを行っていても、その取り組み自体が目的になるなどして、経営理念が形骸化している組織が少なくありません。形骸化している法人の典型例としては、経営理念が日々の意思決定や行動と一致していないことです。例えば、経営理念が意味するものが、経営幹部の意思決定や職員の行動規範(業務マニュアルや人事評価制度)に反映されていないケースです。これは決して珍しいケースではありません。
以上三つの共通課題を抱えた組織は・職場では、職員は経営理念の本質を体得することが出来ず、いつまでたっても理念がお飾りのままになってしますのです。
それでは、これらの問題を解決し、経営理念を浸透させるためにはどうすればよいのでしょうか。
次回には、その具体策を紹介させていただきます。お楽しみに。
東京・豊島区における「選択式介護(=混合介護)」の進捗状況
国家戦略特区として「選択式介護(=混合介護)」モデル事業に取り組んでいる東京都豊島区。
平成30年度のモデル事業実施テーマについては既に2018年8月より周知が開始されており、
3つのテーマ領域「居宅内のサービス(=訪問介護サービスと生活援助を中心とした
自費サービスを柔軟に組み合わせて、日常生活を支援するサービス)」「居宅外のサービス
(=訪問介護サービスと、外出支援の自費サービスを組み合わせることで、利用者の意向に
合わせた外出を支援するサービス)」「見守り等のサービス(=居室に設置したカメラや
センサーで24時間見守りを行い、必要に応じてヘルパーが電話による連絡や訪問を
行うサービス)」各々について現在、トライアルが開始されている状況です
(下記参照。2018年9月10日時点で5件)。
サービス |
利用者状況 | サービス内容 | 利用目的 | その他 | ||
要介護区分 | 性別 | 世帯状況 | ||||
居宅内 | 要介護1 | 女性 | 1人世帯 | 窓ふき | 介護保険対象外の生活支援 | 自費サービスからの切替 |
要介護2 | 女性 | 1人世帯 | ペットの世話 | 介護保険対象外の生活支援 | 新規 | |
要介護1 | 男性 | 1人世帯 | 書類の確認・分別 | 介護保険対象外の生活支援 | 新規 | |
要介護5 | 女性 | 1人世帯 | 電子機器(スマホ)の操作確認 | 家族等の連絡(安否確認)のため | 自費サービスからの切替 | |
見守り | 要介護5 | 男性 | 1人世帯 | カメラ2台を設置した見守り | 転倒等の危険性があるため | 新規 |
一方、2018年9月14日に同区内で開催された「第6回選択的介護モデル事業に関する有識者会議」
の中では既に次年度の実施テーマ案の絞り込みが行われており、中には興味深い新たなテーマも
選択肢として挙がってきている状況です。
多くの事業者が高い関心を持たれているであろう「選択式介護」、今回のニュースレターでは
2019年度に向けた最新情報のポイントを皆様にお伝えさせていただきます。
「選択式介護(=混合介護)」次年度の有望テーマ案とは
では、早速内容を見てまいりましょう。同会議におけるここまでの議論(全6回)を踏まえ、
先ずは下記の通り、次年度に向けて7つのテーマにまで絞り込みが実施されました。
【3】デイサービスにおける多様なサービス提供
デイサービスにおける利用者の個別ニーズに対応したさまざまな保険外サービスを
組み合わせての提供について検討する。現行の規制・ルールでは難しいと想定される
デイサービスの場での服薬指導や個別の栄養指導・商品提案等を含む。
【4】デイサービスの送迎における途中下車・立ち寄り、車両の有効活用
デイサービスの送迎に関して、途中下車・乗車、立ち寄り等を可能とすることを検討する。
加えて、保有されている福祉車両を有効活用したサービスについても検討する
(日中の時間帯において別サービスでの活用等を想定)
【5】通所介護における利用者の混在
要介護認定が外れた方や認定外の方等も同じプログラムに自費で参加可能とすることを
検討する。
【6】指名制、価格弾力化
訪問介護における指名や指名料徴収、繁忙期の割増料金の設定等を検討する。
【7】上乗せ特定事業所の指定
利用者にとって付加価値の高い取組を実施している事業所について、特定事業所加算を
超えた上乗せを設定することを検討する(複数事業者の協働、ホームヘルプでの
リハ職活用等を想定)。
上記7つの視点に対して更に3つの評価・検討軸(=利用者側に明確なメリットがあり
一定の需要が見込まれるか?・新たな付加価値を創出できるか?・ステークホルダーの
協力が得られるか?)に基づいて議論が深められ、結果、「(取り組みに当たっての)
有望テーマ」として、現時点では以下の3つが想定されています。
早めに思考と心の準備を
以上、2018年9月14日の同会議資料より情報を抜粋してお伝えさせていただきました。
未だ全ての情報に“案”という文字が付いていることを含め、確定情報でないことには注意が
必要ですが、ここまでの議論の成熟度合を勘案するに、主に上記3つの内容が次年度以降の
モデル事業として設定・実施され、またそれらの検証結果が次回の法改正に一定の影響を
及ぼす可能性は高い、とみておいて差し支えないのではないでしょうか。介護経営者・
幹部の皆様におかれましては、「もし上記内容が正式に法律で認められた場合、自社では
どのようなサービス展開が考えられるか?」について事前に頭を働かせておかれることを
是非、おススメする次第です。我々も今後、更に有益な情報が入り次第、迅速に皆様へ
お伝えしてまいります。
※本情報の参照元である「第6回選択的介護モデル事業に関する有識者会議」の詳細情報は
こちらから
https://www.city.toshima.lg.jp/428/kuse/shingi/kaigichiran/1706071001.html
【1】デイサービスの送迎における途中下車・立ち寄り、車両の有効活用
・デイサービスの送迎の途中における下車や立ち寄りを有償(全額自費)で提供。
・事業者の保有する資源(福祉車両)が空いている時間帯に、地域の交通事業者等向けに
有償で貸与。
【2】デイサービスにおける多様なサービスの提供
•デイサービスにおいて、利用者を対象に、個別的なニーズに応じた多様なサービスを
組み合わせて提供。
•ニーズはあるが現行の規制・ルールの下では実施が難しいサービス
(例:薬の受け渡しや服薬指導、個別的継続的な栄養指導など)の提供を想定。
【3】ICTデバイスやロボット活用による柔軟なサービス提供
※30年度モデルよりも踏み込んだ内容
・30年度モデルの想定よりもさらに多様で柔軟なサービス提供を実現。
• 例えば、デイサービスにおけるICTデバイスやロボットを活用した個別的な
プログラムの提供、訪問介護における利用者ニーズに合わせた適時・適切な短時間
頻回訪問介護の提供、ケアマネジメントにおけるモニタリングの充実などを想定。
(12月号に続く)
福祉施設でみられる人事労務Q&A
『通勤途中でケガをしたときに確認すべきこと』
Q:先日、ある職員が出勤前に買い物に立ち寄った際、階段で足を踏み外して転倒し、
ケガをしてしまいました。通勤途中で立ち寄ったことになりますが、このような場合、
通勤災害の給付は受けられるのでしょうか。
A:通勤災害として認められるためには、①業務に関連し、②職員の住居と業務を
行う場所の往復で発生し、その経路が合理的であり、③中断や逸脱がない、
という3 つの条件を満たしていることが求められます。
今回のケースでもこれらのことを確認して、個別に判断することになります。
詳細解説:
労災保険では、業務上発生した災害による職員のケガや病気等(以下、「ケガ等」という)を
対象として、治療が受けられ、また休業中の給与の補償が行われますが、通勤途中における
ケガ等についても一定の条件を満たせば、「通勤災害」として業務上の災害と同様に保険給付が
行われます。
通勤災害として給付を受けるためには、そのケガ等が以下の条件を満たした通勤途中で
発生していることが求められます。
① 業務関連性があること
職員の移動が業務に関連していることが必要です。
つまり、業務をするために(出勤)、または業務が終了したために(退勤)行われる移動で
ある必要があります。
② 職員の住居と業務を行う場所の往復で発生し、合理的な経路及び方法であること
一般的には、職員が住んでいる生活の拠点である場所から、業務を開始または終了する場所の
移動である必要があります。
ただ、住居や業務の場所は、さまざまな状況が考えられるため、必ずしも職員の自宅、施設とは
限りません。例えば、業務の場所については、朝、利用者の自宅に直接行く場合、
業務の開始場所は施設ではなく利用者の自宅となる場合があります。
また、この移動においては合理的な経路及び方法である必要があります。
合理的な経路は、最短ルートに限らず、通常利用するルートや交通事情により迂回したルートも
含まれます。
③ 中断及び逸脱がないこと
通勤途中に、買い物やレストランで飲食をする等、通勤とは関係のないことを行ったり(中断)、
通勤の目的以外の理由で経路を外れたり(逸脱)することがあります。
この中断や逸脱をした場合、その後に本来の経路に戻ったとしても、中断や逸脱以降においては
原則として通勤と認められません。
ただし、経路近くの公衆トイレを利用する等、ささいな行為や、中断や逸脱が日常生活上必要な
行為を最小限行い、合理的な経路に戻った後の移動については、通勤として認められています。
日常生活上必要な行為とは、例えば日常品の購入、選挙権の行使、病院での診察のほか、
父母等の介護が挙げられます。
労災保険上、通勤と認められたときのみに通勤災害として給付が行われるため、実際に
通勤途中にケガ等が発生した場合は、当該職員から詳細な情報を確認するように
しましょう。
(11月号に続く)
介護が必要になったときに不安なこと
介護が必要になったとしたら、人はどのようなことに不安を感じるのでしょうか。
ここでは、今年6 月に内閣府から発表された調査結果※から、年代別に高齢者が介護が
必要な状態になった場合に不安なことについて、みていきます。
最も不安なのは家族へ負担をかけること
上記調査結果によると、介護が必要な状態(要介護2 程度)になった場合、
回答者の82.7%が特に不安なことがある、15.6%が特に不安なことがないと回答しています。
回答者全体の最も不安なことは、「家族に肉体的・精神的負担をかけること」で、50.6%と
なりました。次いで「身体の自由がきかなくなる」が40.5%、「介護に要する経済的負担が
大きい」が28.8%などとなっています。
男女で大きな違いはみられず
男女別にみると、男性、女性ともにすべての年代で、「家族に肉体的・精神的負担をかける」が
最も不安なことになっており、男性では64 歳までの年代で50%以上に、女性では74 歳までの
年代で50%以上になりました。
不安なことの上位3 項目をみると、ほとんどの年代で全体と同じ結果になりましたが、男性の
55~59 歳で「収入がなくなる」が47.0%で2 番目に高い割合になっています。
また80 歳以上では、男女ともに「理由はないが漠然と不安を感じる」割合が3 位に
なっていることがわかります。
不安を和らげる取組を
介護が必要になった人やその家族が、はじめて福祉介護サービスを利用する際は、
さまざまな不安を抱えていることでしょう。こうした不安を少しでも和らげることができれば、
施設への信頼感を高めることにつながります。
ここで紹介した結果なども参考に、質問されることの多い項目などについては、利用者にとって
わかりやすい説明資料などを作成するなど、不安を和らげるような取組をしてみては
いかがでしょうか。
※内閣府「平成29 年高齢者の健康に関する調査結果」
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h29/zentai/index.html
(次号に続く)
厚生労働省は、介護現場の人手不足が深刻なことから、研修や休暇制度など、「働きやすさ」に焦点をあてた介護事業所の評価・認証制度を全国で始める。今年度中にガイドライン(指針)を策定し、認証制度の実施を担う都道府県に通知する。来年度から指針を踏まえた認証制度の普及を目指す。
介護職場では、昇給や昇格などの仕組みが明確でない事業所が多いことに加え、他産業と比べた賃金水準の低さや長時間労働のイメージが根強く、人材の定着や育成が課題となっている。
認証制度ではこうした声を踏まえ、「明確な給与・昇給体系の導入」「休暇取得や育児・介護との両立支援」「研修や資格取得支援などの人材育成」といった評価項目を設定。どの程度満たしているかを各都道府県が審査する。
審査をパスすれば、「認証事業所」として、ホームページなどで公表する仕組みを検討している。審査は民間の各事業所が申請する。
若者らが就職先を考える際の参考にしてもらうほか、各事業所には、「選ばれる」ための職場改善を促すことで、現在働いている職員の離職防止にもつなげるねらいがある。職員の定着率の高い事業所が増えれば、より質の高いサービスを利用者が受けられる期待もある。(2018年10月15日 読売新聞より)
福祉用具貸与価格の上限設定スタート
平成30 年度介護報酬改定により、福祉用具の貸与価格に上限設定が行われることと
なりました。10 月よりスタートです。同時に、福祉用具専門相談員には、利用者に
対する一定の説明等が義務付けられています。
上限額が発表されました
要介護者等が自宅で自立した日常生活を営むことを目的に、日常生活の便宜を図るためや
機能訓練のための一定の福祉用具のリース(貸与)について、そのリース料(貸与価格)を
介護保険で賄うことができます。
この貸与価格について、平成30 年10 月から上限額が設定されました。この上限を超えると、
福祉用具貸与事業者は福祉用具貸与費が算定できません。
上限設定は「全国平均貸与価格+1 標準偏差(1SD)」を基準に商品ごとに行われます。
平成30 年10 月1 日から適用される上限額は、既に厚生労働省より公表されています。
以下のURL にて上限額の一覧表(エクセルファイル)がダウンロードできます。
ご活用ください。
なお、上限額は年1 回の頻度で見直しが行われます。新商品についても、平成31 年度以降、
3 ヶ月ごとに上限額が設定されますので、随時ご確認ください。
厚⽣労働省
「福祉⽤具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限⼀覧(平成30 年10 ⽉)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/3010.xlsx
利用者への説明も義務化
今回の改定では、利用者が適切に福祉用具を選択できるよう、運営基準の改正も
行われました。これにより、福祉用具専門相談員には、以下の事項が義務付けられています。
① 貸与しようとする商品の特徴や貸与価格に加え、当該商品の全国平均貸与価格を
利用者に説明すること。
② 機能や価格帯の異なる複数の商品を利用者に提示すること。
③ 利用者に交付する福祉用具貸与計画書をケアマネジャーにも交付すること。
なお、①の「当該商品の全国平均貸与価格」については、上記のURL にて
ダウンロードできる一覧表に上限額とともに掲載されています。
併せてご利用ください。
(次号に続く)
訪問介護に成功報酬 岡山市、在宅介護特区で国と合意へ
ヘルスケア 中国・四国
2018/10/15 19:56
岡山市は在宅介護に関する国の総合特区制度に関して、訪問介護での成功報酬制度の導入や高齢者の活躍推進など5事業について新たに国と合意する見通しになったと発表した。高齢者が生きがいを持って暮らしていけるよう、自立や状態の改善を促進。介護給付費の抑制に加えて、訪問介護サービスの質の向上につなげる考えだ。
訪問介護の成功報酬制度では、リハビリ専門職の人が訪問介護員に同行し、調理作業など高齢者の手や体が動く範囲での機能訓練について助言。状態の改善度合いに応じて、訪問介護の事業所を表彰したり奨励金を付与したりする。2019年度中にも開始する方針だ。
高齢者の活躍推進については、要介護度が低い利用者の通所介護時間のうち、機能訓練や介護以外の時間を野菜の仕分けなどといった簡単な就労サービスに振り向ける。21年度の制度改正を見据え、国と共同で調査・研究を進める。
介護従事者の負担軽減や働き方改革の推進に向けて、ロボットの導入促進へのレンタルや効果検証作業も進める。岡山市は13年2月に国から特区の指定を受け、18年4月に5年間の継続が認められた。17年度までの第1期では、通所介護サービスでの成功報酬制度を設けるなどした。
入院などで医療費が高額になるときに利用できる限度額適用認定
このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社会保険労務士と
その顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長:昨日、従業員から「今度、家族が大きな手術をすることになったので、
医療費負担が高額になりそうです」という相談がありました。
何かその負担を軽減するよい方法はありませんか。
社労士 :まずは、健康保険の高額療養費ですね。ご家族の年齢や従業員の方の
標準報酬月額によっても異なりますが、一定の自己負担限度額を超える分は、
高額療養費の申請をすることで後日、払い戻されます。
総務部長:やはりそうですよね。私も高額療養費の説明をしたのですが、毎月、住宅ローンを
払っている関係で、一時的にでも医療費を立て替えることに負担を感じるとのこと
でした。
社労士 :確かに高額療養費の払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書
(レセプト)の審査を経て行われるため、診療を受けた月から3ヶ月以上
かかってしまい、その間、立て替える必要があります。ですので、今回のように
事前に高額療養費に該当するような医療費がかかることが分かっているのであれば、
限度額適用認定証の発行の手続きをするとよいでしょう。
総務部長:限度額適用認定証ですか?
社労士 :はい。これは、あらかじめ保険者に限度額適用認定証を発行してもらい、
医療機関の窓口に提示することで、医療機関ごとに1ヶ月の支払額を
自己負担限度額までとしてもらうことができる制度です。
総務部長:なるほど。自己負担限度額まではいずれにしても支払う必要がありますが、
それを超える部分の医療費を立て替える必要がなくなるということですね。
早速、手続きを進めようと思いますが、どのような流れになりますか。
社労士 :限度額適用認定証の申請書を保険者に提出すると、1週間程度で指定した場所に
限度額適用認定証が届きます。これを医療機関の窓口で提示することになります。
なお、限度額適用認定証は最長1年間(※)が有効期間となりますが、
申請書に1年以内の療養予定の期間を記入することになっており、申請月の初日から、
申請書に記入した期間が有効期間となります。
総務部長:承知しました。それでは早速、説明して手配することにします。
社労士 :そうですね。なお、申請書には会社の証明はありませんので、従業員の方が直接、
保険者に申請することも可能ですし、自宅以外の場所を送付希望先(※)として
指定することもできますので、できるだけスムーズな発行ができる手順を考えると
よいでしょう。
総務部長:ありがとうございました。
【ワンポイントアドバイス】
1. 医療費が高額になるときは、限度額適用認定証を発行することで、医療機関の窓口での
支払いを自己負担限度額までにすることができる。
2. 限度額適用認定証は最長1年間の有効期間が設けられている(※)。
3. 限度額適用認定証は従業員が希望する場所に送付される(※)。
(※)保険者が健康保険組合の場合には健康保険組合の定めによる。
(11月号に続く)
「今回の更なる処遇改善を行うに当たっては、その趣旨が、
これまでの介護職員の処遇改善の取組を一層進めるとともに、
介護現場への定着促進であることを踏まえ検討することとしては
どうか」
「この趣旨を損なわない程度において、事業所内の配分に当たって、
介護職員の処遇改善に合わせて、事業所の判断でその他の職員の処遇
改善にも充てられるようにすることについて更に検討を進めてはどうか」
「この取扱は、今般の更なる処遇改善に当たってのものであるため、
現行の介護職員の処遇改善とは別の加算で対応する方針としてはどうか」
・・・・
15日(月)に開催された介護給付費分科会資料
からの抜粋内容です。
主な論点は下記の2つです。
論点1
○ 「未来への投資を実現する経済対策」(平成28年8月2日閣議決定)を踏まえ、平成29年度に臨時で介護 報酬改定を行った際の審議報告においては、「介護人材の処遇を含む労働条件については、本来、労使間に おいて自律的に決定すべきものであるが、他方、介護人材の安定的確保及び資質の向上を図るためには、介 護業務の負担の軽減や事務の効率化を図る他、事業者における取組を評価し、確実に処遇改善を担保する ために必要な対応を講ずることは、現状においても引き続き求められている」とされており、更なる処遇改善に ついても、「新しい経済政策パッケージ」(平成29年12月8日閣議決定)に基づき、介護報酬における加算で対 応することとしてはどうか。
○ 今回の更なる処遇改善を行うに当たっては、その趣旨が、これまでの介護職員の処遇改善の取組を一層進 めるとともに、介護現場への定着促進であることを踏まえ検討することとしてはどうか。
○ この趣旨を損なわない程度において、事業所内の配分に当たって、介護職員の処遇改善に合わせて、事業 所の判断でその他の職員の処遇改善にも充てられるようにすることについて更に検討を進めてはどうか。
論点2
○ 離職理由として賃金水準に関することに加え将来の見込みが立たないことが挙げられていること、働きやすく 定着しやすい職場環境の整備をさらに進めていく必要があることから、介護事業所がこれまで進めてきたキャリ アアップの仕組みと整合のとれたものとなるよう検討してはどうか。 ○ また、あわせて、介護事業所における離職防止や人材育成、雇用管理改善などの介護人材確保に向けた 取組の支援に更に取り組むこととしてはどうか。
○ この取扱は、今般の更なる処遇改善に当たってのものであるため、現行の介護職員の処遇改善とは別の加 算で対応する方針としてはどうか。
詳細は
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000365533.pdf