介護
国の財政を話し合う財務省の「財政制度等審議会」は21日、政府が6月にも策定する今年度の「骨太の方針」に向けた建議をまとめた。
持続可能な財政構造の構築に努めることの重要性を訴える内容。膨張を続ける介護費を抑制する方策も提言した。
住宅型の有料老人ホームやサ高住などが入居者を囲い込み、介護サービスを過剰に提供しているという問題意識を改めて明確に示した。
訪問介護や通所介護の同一建物減算などにとどまらず、更に踏み込んだ対応が必要と主張。集合住宅の入居者へ外付けの介護サービスを提供する場合、その上限額をより厳格に定めるよう要請した。
現行、この場合の上限額には入居者ごとの区分支給限度基準額が用いられる。財政審は今回、新たに介護付きホームの「特定施設入居者生活介護」の介護報酬を適用すべきと求めた。
財務省は今後、こうした施策の具体化を政府内で働きかけていく方針。次の介護報酬改定をめぐる論点の1つとなる見通しだ。
要介護5の高齢者でみると、区分支給限度基準額はおよそ36.2万円(3万6217単位)。これに対し「特定施設入居者生活介護」の介護報酬は、およそ24.4万円(813単位/日)にとどまる。
財政審は建議で、「出来高払いの介護サービスを外付けで提供した方がより多くの報酬を得られる。こうした構造が利用者の囲い込み、過剰サービスの原因になっている」と指摘。「介護報酬の仕組みを見直すべき」と注文した。(介護ニュースより)
様々な課題に直面しているケアマネジメントの制度を議論する厚生労働省の検討会で、介護支援専門員の法定研修のあり方が焦点の1つになっている。
ケアマネジャーの負担軽減が必要、という認識は既に多くの関係者が共有している。
検討会では有識者から、全国一律の講義の動画をいつでもどこでもオンデマンドで視聴できる環境を整え、その視聴をもって修了したとみなす科目を設けるよう促す声が続出。日本介護支援専門員協会も既にこうした仕組みの導入を始めており、今後、法定研修の一般的な形として広げられる可能性もある。
◆ 時間、場所、デバイスを問わず
今月9日に開催された厚労省の検討会。現場の意見を聞くヒアリングに招かれた社会福祉法人米寿会の根津賢謙氏はこう話した。
「法定研修の講義を、全国どこにいても、いつでもオンラインの動画視聴で受講できるようになったら嬉しい」
根津氏は長崎県対馬市の居宅介護支援事業所の管理者。離島ならではの課題を紹介し、ICTを有効に活用することの重要性を強調した。
こうしたニーズに応える取り組みを進めているのが日本介護支援専門員協会だ。いち早く準備に着手し、オンデマンドの動画配信システムを2022年度から稼働。法定研修のテキストに適合したコンテンツで、ネット環境さえあれば時間、場所、デバイスを問わず学べるようにした。
受講者がどこまで再生したか把握したり、動画の早送りを禁止したりする管理機能も整備。今年度までに複数の都道府県がこれを法定研修に採用している。協会の柴口里則会長は9日の検討会で、より受講しやすい環境を広げてケアマネジャーの現場での活躍を支えていくために、更なる普及に力を入れる意向を示した。
これまでの2回の検討会では、他の有識者もこうした仕組みの普及を支持する立場を表明した。
日本医師会の江澤和彦常任理事は、「日本介護支援専門員協会が質の高い動画を作っていると聞いている。国が全国統一の教材として定めた動画で法定研修を受講できるようにする負担軽減策が必要だ」と提言。奈良県生駒市の田中明美特命監は、「更新までの5年間の間に、講義をオンデマンドで受講しやすいタイミングで受講できるようにすることは必要」と述べた。(介護ニュースより)
今年度の介護報酬改定では、特養、老健、介護医療院、グループホームに新たな加算が創設された。認知症の行動・心理症状(BPSD)の防止、または早期対応に日頃から取り組む体制の整備を促す「認知症チームケア推進加算」だ。
今回はこれまでの厚生労働省の告示や通知などを基に、その算定ルールのポイントを改めてまとめていく。
新設された「認知症チームケア推進加算」は2種類。要件は以下の通りだ。研修を修了した介護職の配置、その介護職を中心とするチームの編成、個別のBPSDの評価、カンファレンスの開催、計画の作成・振り返りなどを求める内容となっている。
認知症チームケア推進加算(I)=150単位/月
(1)利用者の総数のうち、日常生活で周囲の注意を必要とする認知症の人、具体的には日常生活自立度II、III、IV、Mに該当する人などの占める割合が2分の1以上であること。
(2)認知症介護指導者養成研修を修了し、かつ、認知症チームケア推進研修を修了した人などを1名以上配置し、複数人の介護職員から成るBPSDに対応するチームを組んでいること。
(3)対象者に対し、個別にBPSDの評価を計画的に行い、その評価に基づく値を測定し、BPSDの予防などに資するチームケアを実施していること。
(4)BPSDの予防などに資する認知症ケアについて、カンファレンスの開催、計画の作成、BPSDの有無・程度の定期的な評価、ケアの振り返り、計画の見直しなどを行っていること。
認知症チームケア推進加算(II)=120単位/月
◯ 加算(I)の要件(1)(3)(4)を満たしていること。
◯ 認知症介護実践リーダー研修を修了し、かつ、認知症チームケア推進研修を修了した人などを1名以上配置し、複数人の介護職員から成るBPSDに対応するチームを組んでいること。
厚労省は昨年度末に発出した通知で、要件のBPSDの評価、カンファレンスの開催、計画の作成などについて説明。次のように規定した。
通知「認知症チームケア推進加算に関する実施上の留意事項等について」概要
◯ チームは、入所者個人に対し計画的にBPSDの評価指標を用いて評価を実施し、その評価結果に基づきチームケアの計画を作成・実施すること。
◯ 計画の作成にあたっては、評価結果と整合性が取れた計画を、個々の入所者の状態に応じて個別に作成することとし、画一的な計画とならないよう留意すること。
◯ ケアの質の向上を図る観点から、チームケアを実施するにあたっては、対象者1人につき月1回以上の定期的なカンファレンスを開催し、BPSDを含めて個々の入所者の状態を評価し、計画の策定、ケアの振り返り、状態の再評価、計画の見直しなどを行うこと。
◯ 入所者の状態の評価、ケア方針、実施したケアの振り返りなどは、別紙様式の「認知症チームケア推進加算・ワークシート」、及び介護記録などに詳細に記録すること。そのほか、日々のケアの場面で心身の状態や環境の変化が生じた時などは、その都度カンファレンスを開催し、再評価、ケア方針の見直しなどを行うこと。
また、厚労省は報酬改定のQ&Aで、「認知症チームケア推進加算」の要件や通知の規定などを詳しく解説。以下のような解釈を明らかにした。
介護報酬改定のQ&A(Vol.2)
問2|加算(I)の要件は、現行の認知症介護指導者養成研修修了のみでは満たさないという認識で良いか。また加算(II)の要件は、同様に認知症介護実践リーダー研修の修了のみでは満たさないという認識で良いか。
答え|認識の通り。本加算(I)では現行の認知症介護指導者養成研修の修了とともに、認知症チームケア推進研修を修了する必要がある。同様に加算(II)では、認知症介護実践リーダー研修の修了とともに、認知症チームケア推進研修を修了する必要がある。
問3|本加算は認知症のBPSDが認められる入所者のみ算定できるのか。
答え|本加算は、BPSDの予防などに資する取り組みを日頃から実施していることを評価する加算であるため、日常生活で周囲の注意を必要とする認知症の人に対し、BPSDの予防などに資するチームケアを実施していれば算定可能。
問4|本加算で配置要件となっている介護職は、複数の「BPSDに対応するチーム」に参加可能と考えてよいか。
答え|認識の通り。ただし、複数のチームに参加する場合であっても、各々のチームにおいて、求められる計画の作成、BPSDの評価、カンファレンスへの参加など、一定の関与が求められる。
問5|要件に「複数人の介護職員から成るBPSDに対応するチームを組んでいること」とあるが、介護職とはどのような人を指すのか。
答え|本加算の対象となるサービスを直接提供する職員を指す。職種については介護福祉士以外でも差し支えない。
問6|対象者に対して個別に行うBPSDの評価は、認知症チームケア推進研修において示された評価指標を用いなければならないのか。
答え|認識の通り。
問7|利用者のうち日常生活自立度II以上の割合が1/2以上であることが求められるが、届出日の属する月の前3月の各月末時点の入所者数の平均で算定するということで良いか。
答え|認識の通り。
問10|「別紙様式及び介護記録など」とは具体的に何を指すか。
答え|具体的には下記の通り。加算算定にあたって必ず作成が求められる。
◯ 別紙様式:認知症チームケア推進加算に係るワークシート。
◯ 介護記録等:介護日誌や施設サービス計画書、認知症対応型共同生活介護計画書などを示す。なお、介護記録については、入所者の状態の評価、ケア方針、実施したケアの振り返りなどを丁寧に記載することが重要であり、例示した介護記録以外のものを使用しても差し支えない。また、この加算のみのために新たな書式を定める必要はない。
介護報酬改定のQ&A(Vol.6)
問4|厚労省の令和3〜5年度老健事業で研修を修了した人は、認知症チームケア推進研修を修了したとみなしてよいか。
答え|認識の通り。なお、令和5年度BPSDケア体制づくり研修修了者でない者については、令和6年度中に速やかに、認知症チームケア推進ケア研修で用いる研修動画を視聴することが望ましい。
問5|認知症介護実践リーダー研修の受講が予定されている人について、その受講前に認知症チームケア推進研修を受講することは可能か。
答え|可能。配置要件になっている人が中心となった複数人の介護職員でチームを組むことが本加算の要件。チームケアのリーダーを養成するための認知症介護実践リーダー研修の受講対象となる者は、認知症チームケア推進研修の受講対象者になるものと考える。
要件・規定の詳細はそれぞれ通知やQ&Aなどで確認できる。厚労省はこのほかQ&Aで、同一の施設で認知症チームケア推進加算と認知症専門ケア加算の双方を算定する場合のルール、考え方なども示している。
17日に公表された“Q&A”の第6弾。
7つの内容について解釈が加えられています。
もし未だ目を通されていらっしゃらない方は、
下記をご確認下さい。
国の「賃上げ促進税制」を介護事業者に分かりやすく解説するため、厚生労働省は15日に新たなリーフレットを公表した。
介護保険最新情報のVol.1262で広く周知している。
国の賃上げ促進税制は、決められた基準を上回る賃上げを実施した企業を対象として、法人税の納税額から一定額を控除する仕組み。中小企業の場合、
◯ 従業員全体の給与を1.5%以上引き上げれば最大で増加分の30%
◯ 従業員全体の給与を2.5%以上引き上げれば最大で増加分の45%
を法人税額から差し引ける。賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額を、その後5年間にわたって繰り越すことも可能。
今年度の税制改正により、介護報酬改定で拡充・一本化された処遇改善加算を使った賃上げも税額控除の対象とされた。介護事業者にとってはこれが重要なポイントだ。
今回、厚労省はリーフレットでこうした仕組みを説明。「賃上げ促進税制を積極的にご活用頂き、介護職員のより一層の賃上げを」と呼びかけた。
厚生労働省の有識者会議で、外国人の訪問系サービスへの従事を認める方向で議論が進んでいるようだ。【結城康博】
現在は原則として、技能実習や特定技能などの枠組みで働く外国人にホームヘルパーを担ってもらうことができない。詳細はまだ未定だが、国がこの規制の緩和に向けた調整を重ねていると報じられている。今回はその動向について考えてみたい。
◆ N2レベルの日本語能力が必要
今後、外国人が訪問系サービスに従事しやすい環境が生み出されたとして、最もメリットがあるのは主に集合住宅の利用者へサービスを提供する訪問介護事業所だろう。利用者の自宅をひとつひとつ回る“地域型”の訪問介護事業所の場合、ゼロではないにせよ恩恵は限定的にとどまると考える。
なぜなら、特定技能・技能実習の外国人は、一部の例外を除いて日本語スキルが十分とは必ずしも言えないからだ。施設系の介護現場に類似した“集合住宅型”の現場なら対応可能だが、“地域型”ではそうもいかない。
利用者の自宅で求められるケアも多様化しているため、どうしても一定のコミュニケーション力が必要となる。また、日本の生活習慣に精通しているか否かも重要になるだろう。
筆者も大学で留学生を指導しているが、利用者の自宅で訪問介護の業務を適切にこなすためには、N2レベルの日本語能力が必要と考える。
当然のことだが、利用者の自宅では臨機応変の対応を1人でしなければいけない。また、住宅の構造もそれぞれ違いケアの方法も千差万別だ。
そうした判断の基盤となるのがコミュニケーション力。N4レベルの日本語能力では、特に独居の高齢者、老夫婦世帯などに対するサービスは難しい。サービス提供責任者などの負担が更に増すに違いない。
◆ 拡大する事業所間格差
一方、“集合住宅型”の訪問介護事業所の場合、分からないことがあればすぐに事業所へ行って指示を仰げる。指導者も頻繁に同行できる。半ば介護施設に近い体制でケアを提供することも可能だろう。
周知の通り、今年度の介護報酬改定では訪問介護の基本報酬が引き下げられた。
ヘルパーの移動時間や加算取得の体制などを考慮すると、“集合住宅型”より“地域型”の訪問介護事業所の方が、マイナスの影響がより大きく現れるのではないだろうか。今後、外国人の訪問系サービスへの従事が実際に認められれば、人材確保の面でも両者の立場の差が開く可能性は高い。
“地域型”の経営基盤の更なる弱体化が懸念される。利用者の自宅をひとつひとつ回る事業所の機能は極めて重要だ。“集合住宅型”との違いに着目した支援策の検討も必要ではないだろうか。
◆ 外国人頼み、円安でより厳しく
もっとも、ヘルパー不足は深刻で対策が喫緊の課題となっていることは間違いない。外国人の規制緩和も、根本的な解決にはつながらないだろう。足元の急速な円安で、介護施設でも外国人の確保は一段と難しくなっている。
今年2月、筆者はドイツへ行って介護現場を視察した。日本と同様に人材不足が顕著で、外国人の労働力に依存している状況であった。
実際、現地で外国人の介護職に話を聞いたのだが、ドイツは彼らにとって働きやすい環境が整えられていると感じた。今後、アジアの介護人材は日本より欧米を選ぶケースが増えるのではないだろうか。円安トレンドもこの流れを加速させるとみられる。
現在、既に日本の介護現場は外国人なくして立ち行かなくなりつつある。彼らの活躍の場を広げるのは良いことだが、それだけで問題は解決しない。やはり日本人・外国人を問わず介護職員の処遇改善を進めなければいけない。そうでなければ、地域のヘルパーの枯渇、介護難民の急増が顕在化するのは時間の問題と言わざるを得ない。
A、評価項目を具体的な「行動表現」にすることで、評価がより客観的になり、また職員の課題を具体的に指導できる。
評価することは非常に難しく、評価者訓練を受けないと評価は出来ないと言われています。しかしそれは、評価項目が抽象的で何を評価すればいいのかわからないという原因が考えられます。
評価を行う難しさには、①人によって評価が変わる ②評価項目が不明確なので評価する人も、される人もわかりにくい、さらに③誤評価の原因(ハロー効果、偏り傾向、寛大化など)評価するということに困難さが付きまとっています。例えば「協調性」という表現で終わってしまう評価項目の場合、何が協調性なのか評価者が判断しなければなりません。抽象的な表現は職員をいろいろな視点から評価できることになり有用ですが、評価の公平性や客観性からみるとかなり深い問題が含まれています。具体的な行動表現にすることで、だれでも同じ理解とすることが大切です。
【具体的行動表現の実例】ご参考
評価項目:「感謝の気持ちをもってご利用者、職員に接する」
を具体的な評価項目にした場合に、例えば下記のような例となります。
例1:ご利用者や職場の仲間に感謝の気持ちで接することが出来、「○○さんのおかげです」や「ありがとう」が素直に笑顔で言える。
例2:ご家族様や見学、来訪者の目を見て、笑顔でお名前を添えて「ありがとうございます」と伝えている。
例3:他部署等の協力や理解があって自分が仕事ができる事に感謝して、相手の状態を配慮し、「お手伝いしましょうか」「何か私にできる事はないですか」と声掛けしている。
ご参考になれば幸いです。
Q 当法人では残業は、所属長による許可制としていますが、課長や主任により対応がまちまちでルールが形骸化しています。運用面でどのように改善していけば良いでしょうか。
A 労働時間管理は「時間外労働の管理」といっても過言ではありません。各部署の所属長が残業の必要性を判断し、適切時間を指示するなど、管理職の役割は重要です。職員、個々に勤務時間内に仕事を終える意識をいかにもたせるかが重要です。
一方、始業時刻=出勤時刻、終業時刻=退勤時刻 という認識で時間管理を行っている事業もいまだ多くあります。このような事業所には、労働時間の定義についてまずは指導教育する必要があります。つまり始業終業時刻と出退勤時刻は違うという認識をまずは持っていただくことです。労働時間に関する意味を理解することで、その時間管理意識を持って業務を遂行していくことは、今後、さらに重要なポイントになります。そのためには、まず指導いただきたいのは、時間外労働の「許可制」です。当然ながら業務は所定時間内に行うのが前提ですが、事情により残業になりそうな場合には、その理由と終業時刻を明記し、許可制とする必要があります。それにより、所定外労働割増をつける時間が明確になりますし、何より大切なことは各職員の時間管理意識を高めることができます。ただし、残業の許可制を規定に定めていても、許可を受けない残業のすべてが無効になるかというとかならずしもそうではありません。通常の業務をこなすうえで,所定時間内終わらないような業務量を要求したならば、残業時間に対して、黙示の承認があったということになり、残業時間に該当するという判断になりますので、適宜の指導が必要になります。
ただ、残業を所属長の許可制にしていても、申請された残業内容をよく理解せずに全部承認していたり、逆に、明らかに残業が必要な業務量にも関わらず許可をしなかったりと、所属長により対処の仕方はまちまちになりがちです。本当に必要な残業かどうか、どの程度の時間が必要かなどを判断して、適切な許可を与える必要があります。
残業許可制運用のポイント
- 残業の理由を明確にさせる
「何のために残業をするのか」「なぜ、その業務が残ってしまったのか」を確認します。例えば、許可申請の残業理由に「介護記録作成の為」とだけ記入させるのではなく、「なぜ
介護記録作成業務が残ってしまったのか」を記入させます。そうすることで、原因を本人と上司が確認しあうことで改善に繋げることができます。残業理由が本人の能力の問題であれば、個別指導や業務の標準化を進める必要があります。
- 残業内容の緊急性・必要性を判断する
その業務が「要当日処理」か「翌日処理で可」なのかをメリハリをつけて確認します。
またその業務は、「あなたがやらなければならない業務」なのか「次の交代勤務者で対応できる業務」なのかを確認します。
- 業務の上限時間(目安)を指示する
「その業務は30分で終えて」と目標時間を指示します。業務内容応じて適切な時間を指示することは必要です。但し、このことは「30分以上の残業は認めない」と上限設定をすることではありません。上限を超えて残業していても、事実上、黙認している状況であれば
それは「黙示の承認」に該当します。
・職員の健康状態にも配慮する
休憩はきちんととれたか、体調にお問題はないか、などを確認します。こうしたことは、日頃の部下とのコミュニケーションで行っておきたいところです。
今年度の介護報酬改定では、特養や老健などの介護施設に「協力医療機関連携加算」が新たに創設された。
入所者の医療ニーズに対応していける体制作りを後押しするインセンティブで、現場の関係者の注目度は高い。ここではその算定ルールを、厚生労働省がこれまでに発出した通知などを基にまとめていく。
新設された「協力医療機関連携加算」の目的は、まさにその名の通り。厚労省は「協力医療機関との平時からの実効性ある連携体制の構築」と説明している。
定められた要件は、入所者の現病歴の情報共有や急変時の対応の確認などを図る会議を定期的に開催していくこと。協力医療機関には次の3点を満たしているかどうかが問われる。
協力医療機関の3要件
(1)入所者が急変した場合などに、医師や看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
(2)介護施設から診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること。
(3)入所者が急変し、入院を要すると認められた場合などに、原則として入院を受け入れる体制を確保していること。
こうした協力医療機関との連携体制の構築は、2027年度から全ての介護施設に義務付けられる。現在は3年間の経過措置の期間。厚労省は「協力医療機関連携加算」の単位数を今年度だけ高くし、現場に早期の対応を促した。以下の通りだ。
協力医療機関連携加算の単位数
◯ 協力医療機関の上記3要件を満たす場合=2024年度は100単位/月、2025年度以降は50単位/月
◯ それ以外の場合=5単位/月
厚労省は報酬改定の解釈通知に、「協力医療機関連携加算」の算定ルールを具体的に記載。会議では特にリスクの高い入所者や新規の入所者を中心に話し合うこと、その定期的な開催が月1回以上を指すことなどを規定した。ポイントを以下にまとめた。
報酬改定の解釈通知の概要
◯ 協力医療機関との定期的な会議では、特に診療を求める可能性が高い入所者や新規の入所者を中心に、情報共有や対応の確認などを行う。毎回の会議で、必ずしも入所者全員の詳細な病状などを共有していなくても差し支えない。
◯ 複数の医療機関を協力医療機関として定めて3要件を満たす場合は、それぞれの医療機関と会議を行う必要がある。3要件を満たす協力医療機関の情報は速やかに都道府県などに届け出ること。
◯「会議の定期的な開催」とは、概ね月に1回以上開催されている必要がある。ただし、入所者の情報を随時確認できる体制がシステムなどで確保されている場合は、定期的に年3回以上開催することで差し支えない。なお、診療を求める可能性の高い入所者がいる場合などはより高い頻度での開催が望ましい。
◯ 会議はオンライン開催も可能。個人情報保護のガイドラインなどを遵守すること。また、会議の開催状況の概要を記録しなければならない。
厚労省は報酬改定のQ&Aでも、「協力医療機関連携加算」の算定ルール詳しく解説。以下のような問答で適切な考え方を明らかにした。
報酬改定のQ&AVol.1
問127|定期的な会議に出席するのはどんな職種を想定しているか。
答え|職種は問わないが、入所者の病歴、健康に関する情報を協力医療機関の担当者に説明でき、急変時などの対応を確認できる者が出席すること
報酬改定のQ&AVol.2
問13|3要件を全て満たす協力医療機関を複数定める場合、定期的な会議はそのうち1つの医療機関と行うことで差し支えないか。
答え|差し支えない
報酬改定のQ&AVol.3
問3|「入所者の情報を随時確認できる体制がシステムなどで確保されている場合は、定期的に年3回以上開催することで差し支えない」との記載が解釈通知にあるが、具体的にどんな場合が該当するか。
答え|例えば、都道府県の地域医療介護総合確保基金の「ICTを活用した地域医療ネットワーク基盤の整備」事業を活用した、地域医療情報連携ネットワークに参加し、介護施設の医師らが記録した入所者の情報などを確認できる場合が該当する。
この場合、介護施設の医師らがそれぞれの入所者の情報などを1ヵ月に1回以上記録すること。なお、入所者の状況に変化がない場合は記録を省略しても差し支えないが、その旨を文書などで協力医療機関へ少なくとも月1回の頻度で提供すること。
今後の認知症と軽度認知障害(MCI)の患者数を新たに推計した結果を、厚生労働省の研究班が8日に公表した。
2040年には認知症が約584万人、MCIが約613万人にのぼるとした。
認知症は65歳以上の高齢者のおよそ15%、6.7人に1人の割合。2022年の約443万人から大幅に増える。更にそれより多くの高齢者がMCIになる見通しだ。
1人暮らしの高齢者も増えていく今後、認知症になっても地域で暮らしていける環境の整備が大きな課題。厚労省の担当者は、「誰もが認知症やMCIになり得る。そのことを踏まえ、共生社会の実現に向けた施策を進めていかなければならない」と話した。
この推計は、厚労省の研究班が2022年から2023年にかけて実施したもの。国内の4自治体を抽出して認知症やMCIの有病率を詳細に調べ、そこから全国の将来の患者数を算出した。結果は8日に開催された政府の会議(認知症施策推進関係者会議)に報告された。
MCIの患者数の将来推計は今回が初めて。研究班を牽引した九州大学の二宮利治教授(疫学)は、「MCIは早期の対応などで状態が良くなる可能性もある段階。そこから認知症へ進行させないような支援策も非常に大事になる」と指摘した。(介護ニュースより)