介護

「モノ」より「経験」にお金をかける  ~経験を買うとかけがえのない人とのつながりが生まれる~

最近、ここ10年ぐらいは、生活費以外のほとんどのお金は「経験」に使ったといっていいかもしれません。もちろんお金をかけなくてもできる経験はありますが、お金を掛けなければできない経験もたくさんあります。旅行をしたり、おいしいものを食べたり、音楽を聴いたり、一流の仕事人の話をきいたり、本を読んだり、映画をみたり・・・。

経験は、それ自体が夢中になる「遊び」であるとともに。「成長」のチャンスでもあります。

人やモノや社会を理解したり、自分で稼いだり、人のために何かできたり、幸せを感じたり、

・・・より豊かな人生を送るベースになっているような気がいたします。

 高価なバッグや服を買っても、その価値は下がる一方です。貯金を数百万しても、無職になると、数年でなくなる金額です。

 しかし経験を買うと、失敗を含めてその価値はどんどん生きてきます。経験から得たことは自分自身を作る一部にもなります。様々な経験をすることで、行きたい方向も明確になります。いまでも、人生を豊かにするために「経験」に、出し惜しみをしません。

お金をある程度自由に使えるようになったことの喜びは、好奇心を満たしてくれる「経験」にお金を使える事のような気がします。

 また、経験することで得られる大きな価値があります。それは人とのつながりが生まれることです。家族や友人とのかけがえのない経験は、思い出として、繰り返し語ることが出来ます。新しい経験をすることで、新しい出会いがあったり、同じ経験をした人と意気投合したり、そこから人生の師を得られたりするかもしれません。経験を買うことで、人とのつながりや愛情が積み重なり、人間関係を広げ、世界を広げることが出来るのです。

 幸福度がいちばん上がるお金の使い方は、「モノ」より「経験」を買うことでだと私は確信しています。

Q&A  仕事が出来ず協調性もない問題のあった社員が、定年後の再雇用を申し出てきました。

Q,仕事が出来ず協調性もない問題のあった社員が、定年後の再雇用を申し出てきました。会社としては定年をもってやめてもらいたいが、どのような対応が出来ますか、尚、当社は雇用継続制度をとっており、再雇用基準を定めた労使協定があります。

A, 当該社員は定年迎えるということで、定年後再雇用をしないということが考えられますが、それが出来るかどうかが問題になるところです。

平成25年4月1日より改正高年齢者等の雇用の安定等の関する法律が施行されています。この改正では、定年に達した人を引き続き雇用する「雇用継続制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みが廃止されました。ただ、従来このような仕組みを設けていた場合には、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢(令和4年3月31日までであれば63歳)を超える年齢の者について、なお雇用継続制度の対象者を限定する基準を定めることは可能となります。

 逆にいうと、60歳定年で雇用継続制度をとっている場合、本人が希望するときは、解雇事由や退職事由にあたる事由がないかぎり、少なくとも上記支給開始までは再雇用する必要があります。再雇用基準を適用できるのは上記支給開始年齢を超えて再雇用するかどうかを判断するときになります。

従って、御質問にある問題社員が再雇用を希望した場合、その時に再雇用基準を満たしていなかったとしても、少なくとも上記支給開始年齢までは再雇用をする必要があります。

 

2,解雇することはできるのか

仮に再雇用拒否が出来ない場合でも客観的合理性と社会的相当性の要件を満たしていれば解雇することはできます。ご質問のケースでは、当該社員は仕事も出来ず協調性もないとのことですので、解雇できるかどうかのポイントとしては、その問題事由を裏付ける客観的事実、問題性の程度、そして何度も注意指導しても改善しなかったという「改善可能性」が無いことや、他の部署に配転して解雇を回避する余地がないか、などが焦点になります。

 実際のケースでは、十分な注意指導が出来ておらず、直ちに解雇するのは難しいというケースが見受けられます。そのような場合には、一端、再雇用したうえで、当該社員の問題状況や注意指導の履歴を記録化するようにして、契約更新の段階で雇止めを検討するという方法も考えられます。ただ、社内で長年キャリアを積んだ年長社員に対して、どれだけの指導教育ができるかについては、現実的にかなり難しい部分もあるのではないでしょうか。

 

3,労働条件を変更することはできるか

定年後再雇用とする場合、雇用契約を締結しなおすことになりますので、その際に労働条件(給与、職種、業務内容)を改定し提示することは可能です。ただ、どのような変更をしてもいいかというと、厚労省Q&Aによれば、継続雇用高齢者の安定した雇用を確保するという趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金など雇用に関するルールの範囲内で事業主と労働者の間で決めることが出来るとされています。そして最終的に合意できなかった場合でも、事業主が合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば結果的に継続雇用に至らなかったとしても、法律違反になることはないとしています。

 

4,事業主側として現実的な対処方法としては。

 ご質問のケースのような場合、当該社員との雇用継続が難しいということであれば、実務対応としては、当該社員にこれまでの勤務をねぎらいつつも、会社の評価を伝えて、まずは退職勧奨を試みるのが現実的な対応であると考えます。また、場合によっては割り増し退職金を支払う等の方法も考えられるところです。

「お金で買える幸せ」と「お金で買えない幸せ」をバランスよく求める

幸せはお金で買えない、とはよく言われる言葉ですが、幸せになるために「お金」はある程度必要です。例えば、食べること、着ること、住むこと、教育を受ける事

やりたいことを実現する等、お金なしではできないこともあります。「愛があればお金はいらない」等と言っても、お金がないためにケンカになったり、病気になったときに助けてあげられなかったりすることもあります。お金がある程度あることで、最低限の欲求を満たされたり、不幸になることを妨げます。しかし、どれだけお金があっても、「まだ足りない」「もっと欲しい」と満足できないのは不幸なこと。生活レベルがあがり、贅沢をするほど、それに対する感謝や喜びの気持ちは薄らいでいきがちです。

人生にはある程度お金は必要ですが、、お金で買えないものこそ、人生の幸せにはより重要です。家族や友人との安心、信頼できる人間関係、持続的な健康、やりがいのある仕事、夢中になれる趣味、満たされている時間、自分を高めてよりよい人格をもつこと・・・こころを込めてコツコツと積み上げてきたもの、守ってきたものは、深い幸せを実感させてくれます。

大変皮肉なことに、人はお金を得るためにこのような「お金でえられないもの」を犠牲にしてしまいがちです。幸せを感じやすい人は、自分にとっての幸せをわかっていて「お金で買える幸せ」と「お金で買えない幸せ」をバランスよく求めています。これが、お金とうまく付き合っていくヒケツではないでしょうか。(有川真由美著「いつも機嫌がいい人の小さな習慣」より)

Q 遅刻してくるベテラン職員が、パート職員に毎朝タイムカードを押させていたことが発覚。このような場合、法的にはどのような問題がありますか?

A まず考えられる問題として、管理者の労働時間の把握不足による問題が考えられます。

 残業したら割増賃金を払い、遅刻したらその分を控除(ノーワーク、ノーペイの原則と言います)しますが、この場合はタイムカードを基に賃金を計算することになります。このケースのように、(表面上では)タイムカード上は遅刻していないことになっているので、たとえ実際には遅刻したことが分かっていても、後からタイムカードを盾に賃金不払いを要求してくる可能性もありますので、タイムカード上も遅刻とする「証拠」を残すことが必要で「打刻訂正届」などを提出させて、本人に遅刻したことを申請させる必要があります。

また、就業規則の服務規律条文にこのような行為の禁止を明確に規定し、かかわった二人には「度重なる服務規律違反は、始末書、減給、出勤停止、重いものであれば解雇とう処罰をしなくてはならない」という懲戒処分の説明も必要になるでしょう。また、一番の大きな問題は、冒頭に述べたように、管理者が「労働時間の把握をしていないこと」です。管理者の重要な仕事の一つとして「労働時間を管理する職務」があることを明確に伝えなければなりません。さらには、タイムカードの置き場所も「人目のつく場所」に変更し、不正が起きにくいような工夫も必要かもしれません。管理者が遅刻してくる職員を厳しく取り締まる仕組みをきちんと作ることが一番の解決策であり、それが惻隠同士の人間関係を良好にするのではないかと思います。

身近な人の欠点に慣れる

「この人のこの欠点がどうしてもイヤ」「なんか気になる」ということがあります。例えば、職場の後輩の変な口癖だったり、上司の無責任さであったり、指摘するほどではないけれど、そんな欠点に出くわすと、イラっとしたり、モヤっとしたりすることが、だれにもあるのではないでしょうか。

かつて、いつも怒鳴り散らしている上司のもとで働いていたことがありました。そのような上司でもまったく動じず、平然としている先輩がいました。「平然としているなんてすごいですね」というと、その先輩曰く、「すごいんじゃなく、慣れただけ」。なるほど、「慣れる」とは、我慢することでも、許すことでもなく、「気にしないこと」なのだと、深く納得したものです。

そうは言っても「気になる」人もいるでしょう。人間良いことも、良くないことも慣れてきそうなものですが、「イヤだ」「許せない」という感情が心に積み重なって、ますますイヤになり、耐えきれなくなるものです。

だからこそ、そこには意識的に目を向けない、と習慣づけることが大事。いいところだけに目を向けよう、「大したことでない」と自分に言い聞かせるのも良いでしょう。それを繰り返していると、だんだん気にならなくなっていくものです。「慣れる」ということは、心が「そこは問題ない」と判断したということです。相手の欠点は変わらない。ならば、こちらが慣れて対処する方が得策のような気がします。

Q&A 有給休暇の基準日統一の留意点

Q、当施設は職員の中途採用が多く、入職時期もバラバラです。有給休暇の付与に関しては、個人の入社日ごとに付与する方法を採用していますが、事務対応の煩雑さから付与日を統一することを検討しています。その場合、留意すべき点はどのようなことがありますか?

A,

有給休暇の基準日を一律に定めて付与することを「斉一的取り扱い」と言いますが、前提条件となるのが、「前倒しで付与する」ことです。例えば、4月1日を基準日と定める場合、9月1日入職した職員は、6か月継続勤務すれば翌年の3月1日に10日の有給取得の権利が発生します。この場合、基準日を統一し4月1日に繰り下げての付与(入職から7か月目の付与)は認められません。有給休暇の斉一的取り扱いについては、下記の要件を満たす必要があります(平成6.1.4基発1号、平成27.3.31基発0331第14)

  • 斉一的取り扱いや分割付与により、法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
  • 次年度以降の有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。

しかし、基準日を前倒しで繰り上げるため、入職時期によりどうしても不公平が生じてしまいます。ここをどのように考えるかがポイントになります。それでは、その代表的な対応とその留意点を下記致します。

①基準日を月初などに統一する

入社が月の途中であっても、基準日を月初などに統一します。例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一することにより、統一的な管理が可能となります。この場合、5日取得させる期間も月ごとに統一できることになります。

② 基準日を「年2回」とする緩和策をとるケース

例えば、4月1日と10月1日の2回に統一する方法もあります。全職員同一の基準日に統一するよりは、入職時期による不公平感が軽減できます。4月1日から9月30日までに入職した職員の基準日は10月1日に10日付与し、10月1日から3月31日までに入職した職員は4月1日に10日付与します。以後、それぞれ4月1日と10月1日を基準日としていきます。この場合、7月1日入職者の8割出勤の考え方は以下のようになります。

6か月継続勤務後の本来の基準日である1月1日から短縮された3か月(10月~12月)

は全期間出勤したものとみなし、この期間を含めて7月1日から12月31日までの6か月間で、8割以上出勤したかどうかを計算します。

基準日の統一は前倒し付与が原則の為、4月1日入職者は6か月後に10日付与され、9月1日入職者は1か月後に付与される不公平感は残りますが、年1回と比較すれば、不公平感は緩和されているのではないでしょうか。

 ③分割して前倒し付与したら次年度基準日も繰り上げる

施設によっては、入職と同時に10日付与するケースや、「入職3か月後(使用期間終了後)に3日付与、6か月後に7日付与」と分割して付与するケースがあります。分割して付与する場合も先の行政解釈(上述(2))にあるように、前倒し付与したら次年度の基準日も繰り上げます。

例えば4月1日入職者に、使用期間終了後の7月1日に3日付与し、10月1日に7日付与した場合、次年度に11日付与する基準日は本来の付与日(10月1日)から1年経過後ですが、初年度の3日分を3か月繰り上げて付与したため、次年度の基準日も同様に3か月繰り上げ、「7月1日から1年経過後」に11日付与することになるわけです。この点も注意をしながら前倒しのルールを検討していく必要があります。

 

                                    以上

 

甘い点をつけるのは優しい上司?

「あの上司はやさしいから、評価はいつも甘いんだよね」

このような話を良き聞きますが、はたしてこのように甘い点を津得る上司は本当に優しい上司でしょうか?

私は評価者研修などでよくこのような問いかけをします。そして少し辛辣な意見になるかもしれませんが、こういいます。「それは優しいからではなく。自分がよく見られたいからです。本当に優しい上司であれば、出来ていない点に良い点数はつけないはずです。問題があることをそのままにすれば、その場では部下から「良い点をつけていただきありがとうございます」と感謝されるかもしれません。でも課題は課題のままスルーされているのです。

 課題の改善はいつまでもできないまま、年月を重ね、その上司の元では気づかれないかもしれませんが、上司がかわったりしたとき新しい上司になった人から

「なんで、この人はこの年齢なのにこれができないままなの?」と言われてしまうのです。本当に優しい上司であれば、早めにそれを指摘し、指導教育し頑張るように促すのではないでしょうか。

甘い点を付けるのは、部下の為ではなく、部下からよく見られたい、気に入られたい、低い評価をして社長から説明を求められたりするなど面倒なことは先送りしたい、といった自分自身のためにしているのではないでしょうか。

Q 時間外の計算は1分単位なのか、15分や30分単位でもいいのか

A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも

 構いません。

 

切り上げにしないと給料未払いに

給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。

 

休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。

 

例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が

ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。

未払い残業は行政指導の対象に

残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。

 

適切な時間管理とは

厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。

 

  • 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
  • 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
  • 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。

 

労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。

固定残業代として定額を支給する際には慎重に

 

固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。

  • 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
  • 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
  • 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること

 

この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。

自分自身に投資する

 

最近は年金の不安などで、投資が話題になることが多いですが、あなたにとって、将来の一番高いリターンを生み出す投資先。それは・・・「あなた自身」です。

3年、5年、、10年単位で、自分自身にお金と時間を「投資」してみてください。

それは一生使える「資産」になって「新しい価値」を生み出します。

例えばペン字や書道を習って「字がきれいに書ける」というスキルを身につけたとしましょう。履歴書で評価されて再就職が決まりやすくなるかもしれません。手紙や芳名帳の字がきれいだったら、一目置かれ、きちんとした印象が残ると思います。数年、習い事に投資をして、一生モノの「価値」を得たことになるのです。

本を読めば、その著者がそれまでの人生で得た「知恵」を学ぶことが出来ます。語学を学べば、それを使う国の人と「つながり」や「情報」を得ることが出来ます。

提供できるものが大きくなるほど、人を喜ばせられることことが大きくなるほど、それに対するリターンも大きくなります。収入が2倍、3倍、いや10倍になる可能性だってあります。

いえ、収入云々ではなく、「自分を成長させて、人に喜んでもらうこと」そのものが、人生で一番の満足であり、いちばんのリターンではないかと思うのです。

「おかげさま」「お互いさま」で人とつながる

どこかでこんな言葉を聞いたことがあります。「自立とは、たくさんの依存するものをもっていること」「自立」というと、自分で立っているようですが、実はそうでありません。人が生きている以上、必ず何かに依存して生活は成り立っているものです。なにかひとつのことに依存したり、しがみつたりしていては、それがなくなったときにバランスが崩れ、生きていけなくなります。ひとつのものがなくなってもちゃんと立っていられること、自分で自分自身を引き受けられることを「自立」と呼ぶのでしょう。

 昔からよく日本人は「おかげ様」という感謝のことば、「お互い様」という謙虚さ、やさしさの言葉を挨拶にように口にしてきました。これは素晴らしくバランスのとれた言葉で、この二つを忘れなければ、たいていの人間関係はうまくいくといってもいいかもしれません。自分がうまくいったときは「おかげ様」。よかったねとかおめでとうと言われたときは「おかげさま」と返します。自分が今こうしていられるのは、多くの人やものに支えられているということ。周りにいる人だけでなく、陰となって支えてくれている祖先や自然に対しても「おかげ様」です。

 他人のよくないことに接したときは「お互い様」。「迷惑かけちゃってごめんなさいね」と言われたときは「お互い様ですから」と返します。日常生活の中で、相手に腹が立ったり、失望したときでも、心の中で「お互い様」とつぶやくと「自分にも至らない点がある。知らず知らずのうちに迷惑をかけていることもあるのだろう」と多くは許せる気持ちになってきます。

 人は他人のやったことに対して厳しくなりがち。余裕がなくなると、自分の利益だけを考えてしまう「エゴ」が顔を出します。エゴがあるから感情の行き違いや争いが起こります。

他人は「~してくれない」私は「こんなにしているのに」と嘆く前に、目に見えないところで人に支えられていること、助けられていることに気づけば、そんなエゴを「ちょっと待ってそうじゃないでしょう」と修正することもできます。

「おかげ様」「お互い様」を呪文のように繰り返していれば、こころの持ちようが変わります。不思議と自分は一人じゃない。多くの人に支えられている、と心強い感覚になります。

「おかげ様」「お互い様」で人やものや世界とつながることができれば、なにも怖いものはないとさえ思えてくるものです。自分がひとのために何かできることはあるし、人に何かをしてもらうこともある、という姿勢・・・。それが本当の「自立」ということだと思うのです。(有川真由美「上機嫌で生きる」より)

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