介護

Q 評価はするも、結果をフィードバックしていないので、職員は何がどう評価されたかわからない

A,

人事評価でもっとも大切なキーワードは何でしょうか。それは「透明性」と「納得感」です。透明性とは、人事評価でいえば、どういう評価項目で、だれがどのようなプロセスで評価をしているのかが明確であること。また「納得感」とは、なぜその評価結果になったのか被評価者が理解し、納得することです。しかしながらこの納得感が生まれるのはそう簡単にはいきません。なぜなら多くの職員は、自分は一所懸命仕事をし、それなりに仕事で貢献していると思っているからです。しかしながら、上司の評価がそのようなものでない場合には、だれしも心穏やかでは、いられないはずです。半ばあきらめて、表面的に納得したフリをしている場合も多いのではないでしょうか。それでは納得感を醸成するにはどうすればいいのか。まず、絶対に必要なのが、フィードバック面談です。面談では、自己評価と上司評価が明らかに違っている項目に着目し、その評価にした根拠を具体的に話し合うことで、お互いの視点や期待レベルを知ることができ、初めて「納得感」が醸成されてくるものです。

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②介護分野キャリアパス

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③保育園のキャリアパス

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介護報酬の大幅な引き上げを 介護関係団体が決起集会 田村元厚労相「今までにない改定率を実現したい」

介護サービスの事業者や専門職らで組織する16の団体が、来年度の介護報酬改定に向けた決起集会を17日に都内で開催した。

「介護現場で働く人々の暮らしとやりがいを支える」。


これを目指すべきと訴える決議文を採択。介護職の継続的な賃上げを実現すること、事業者の健全な経営を守ることが欠かせないとし、そのための介護報酬の大幅な引き上げを強く主張した。これだけ多くの介護関係団体が一堂に会して大規模な集会を開くのは、今回が初めて。

集会には多くの国会議員が参加した。


壇上に立った自民党の加藤勝信前厚生労働相は、「明らかにフェーズが変わった。物価の高騰、他産業での賃上げの進展などを踏まえ、介護サービスをしっかりと維持するために新たな戦いをしなければいけない。人材を確保しようとしても、それなりの資金がなければ事業者は立ち向かえない」と挨拶。自民党の田村憲久元厚労相は、「今回は今までにない改定率を実現しなければならない。今回は一歩も引けない」と語気を強めた。


来年度に介護報酬を上げるか下げるか、政府は全体の改定率を年末に決定する。多くの関係者がプラス改定を確実視しているのが現状で、今後はその上げ幅をめぐる攻防が更に激化していく見通しだ。(介護ニュース)

介護業界の経営 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

介護サービスの利益率、過去最低2.4% 施設系が大きく悪化 物価高など直撃=経営実態調査

厚生労働省は10日、介護施設・事業所の経営状況を明らかにする調査(今年度経営実態調査)の結果結果は表の通り。昨年度決算の全サービス平均の収支差率は2.4%。前年度より0.4ポイント低下し、2020年度調査と並ぶ過去最低の水準となった。政府はこれを重要な参考データとして、来年度の介護報酬改定をめぐる議論を進めていく。

この調査は昨年度の決算の動向を把握するもの。今年5月に実施された。対象は全ての介護保険サービス。全国の1万6008施設・事業所から回答を得ている。有効回答率は48.3%。結果は10日の専門家会議に報告された。


施設系サービスの収支差率の落ち込みが目立つ。特別養護老人ホームと介護老人保健施設がマイナスとなるのは初めて。光熱費をはじめとする物価の高騰、人件費の上昇などの影響を非常に大きく受けた格好だ。特定施設やグループホーム、ショートステイなども悪化していた。

訪問介護や通所介護、居宅介護支援などは収支差率が向上している。ただ、経営環境は厳しさを増しているのが実情だ。事業者は介護報酬の収入から十分な賃上げ、労働環境改善の原資を捻出できず、貴重な人材の他産業への流出を止められないでいる。


厚労省は今回の結果について、「訪問介護、通所介護などの収支差率は上がっているものの、収益額の伸びは大きくない」と指摘。「経営改善の影響は限定的」と分析した。


あわせて、「他産業では利益率が上昇している一方で、介護分野では全体として低下している。かなり厳しい状況にある」との認識を示した。(介護ニュースより)

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パワハラと指導教育の違い

Q 上司Aが部下Bに対し、Bが作成した文書の誤字脱字が多くミスが多いとして、業務上の注意指導をしましたが、それでも改まらなかったので、再度、前回よりきつく注意したところ、Bは「パワハラです」と言って注意指導を受け入れようとしません。注意指導はどのような場合にパワハラになりますか?

A,パワハラに関し実際に何をすればパワハラになるのか、十分に理解できている方は以外と少ないのではないでしょうか。そのため本来、部下を指導監督する上司が、これはパワハラにあたるのか、などと判断に迷ってしまうこともあると思います。さらに本設問のようにちょっと厳しく注意すると部下から「パワハラだ」などと言われてしまうようでは、上司としては、注意すること自体出来なくなってしまいます。そこで、まずはパワハラに関する基本的な考え方について検討したいと思います。

 

パワハラにつては、法律上の定義があるわけではありませんが、裁判例によると、「合理的理由のない、単なる厳しい指導の範疇を超えた、いわゆるパワーハラスメント」(名古屋高裁H191031)「人格、存在自体を否定するもの」(東京地裁H191015)といった要素が挙げられています。

また厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」(H24130日)は「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義しています。

つまり注意指導そのものがパワハラにあたるものではなく、注意指導の程度や態様が度を越している場合にはパワハラにあたる可能性があるということになります。裁判上も、注意指導の目的は正当なものであったとしても、感情的になって大きな声を出したり、部下の人間性を否定するかのような表現を用いて叱責した点などは「社会通念上、許容される範囲を超える」としています。

 また、ご質問のように、パワハラのとらえ方としてよくあるものが「相手がパワハラと感じたらパワハラ行為になる」などと、あたかも相手の感じ方でパワハラ行為か否かが決まってしまうといったような誤った認識があります。このような認識が原因で、必要に応じて部下を強く指導・教育する必要があっても、それを躊躇してしまうようなこともあるのではないかと思います。重要なことは、「相手がその行為をどう感じたかではなく」、その行為自体に「社会通念上、許容される範囲を超える」ところがあったか否か、ということになります。

 

さて、御質問のケースでは、上司は部下の誤字脱字が多いことを、業務を対象にして注意指導を行っていると言えます。しかしながら部下は注意されたにも関わらず改善されないだけでなく、反抗的な態度をとってきたとのことですから、その分厳しく注意するのは当然と言えます。もちろん、先に述べた人格否定を行う、大声で怒鳴るといった注意指導は行き過ぎですが、そうでない限り、上司の注意指導はパワハラとはいえないでしょう。注意指導を行うときには、くれぐれも冷静に行うことが大切です。

 また、最近はスマホなどを使用し、指導教育の内容を「無断録音」されているようなケースも多いのではないかと思います。この場合、当然ながら「言った、言わない」という話にはならないわけで録音された発言が、それに該当するか否かが判断されるわけです。このことを踏まえると、いつも録音されているという認識をもつことで、自身の言動の抑止力にもなり、冷静な態度で指導教育が行われるのではないでしょうか。

                                   以上

 

【介護報酬改定】居宅介護支援の特定事業所加算、「運営基準減算」未適用の要件を見直し 事業者の負担を考慮 厚労省

 

居宅介護支援事業所の経営に大きな影響を与える特定事業所加算について、厚生労働省は算定している事業所の負担を軽減できないか検討していく。

6日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で論点として掲げた


現行の「運営基準減算、または特定事業所集中減算の適用を受けていないこと」という要件の見直しを提案。運営基準減算の部分を再考してはどうかとした。

→ 居宅介護支援の特定事業所加算の見直しについてはこちらの記事も

運営基準減算が利用者ひとりひとりに適用される一方で、特定事業所加算は“体制加算”として利用者全員に適用されることを踏まえたもの。毎月の確認作業の負担が大きい、との声が事業者などからあがっていた経緯がある。

厚労省は会合で、「特定事業所集中減算については、居宅介護支援の公正中立性を担保する観点から引き続き要件として残してはどうか」と説明した。今後、現場の関係者の意見も聞きながら具体的な議論を深めていく考えだ。(介護ニュースより)

【介護報酬改定】厚労省、訪問+通所の新サービスの具体像を提案 包括報酬でケアマネは居宅 ヘルパー資格必須か

厚生労働省は6日、来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、訪問介護と通所介護を組み合わせた新たな複合型サービスの具体像を提案した

厚労省案の概要は下記の通り。ポイントは包括報酬の地域密着型サービスであること、既存の訪問介護・通所介護で求められる運営基準が踏襲されること、ケアマネジメントを居宅介護支援のケアマネジャーが担う(内包しない)ことなどだ。


また、訪問サービスの担い手の資格要件も大きな焦点となる。厚労省の担当者は会合後、「引き続き議論していくが、初任者研修の修了などホームヘルパーの資格を要件として定める方向で検討していきたい、と現時点では考えている」と明らかにした。

■ 新たな複合型サービス|厚労省案


=基本設計=


◯ 類型:地域密着型サービス


◯ 定員:29人以下


◯ 報酬:要介護度別の包括払い


=運営基準=


◯ 考え方:既存サービスの組み合わせであるため、訪問介護、通所介護で必要とされている人員・設備・運営の基準と基本的に同様とする


◯ 管理者:常勤1名


◯ 生活相談員:専従で1名以上

◯ 通所の介護職員:専従で利用者数が15名まで1名以上、15名を超す場合は1名増すごとに0.2名を加えた数以上


◯ 看護職員:専従で1名以上


◯ 機能訓練指導員:1名以上


◯ 訪問介護員:常勤換算で2.5名以上


◯ サービス提供責任者:利用者40名に対して1名以上


◯ 設備:既存の訪問介護、通所介護で必要なものを全て共有して使用する


※ 限られた人材を有効に活用する観点から、訪問介護事業所の指定を併せて受けて新たな複合型サービスと一体的に運営している場合は、双方の訪問介護員の基準を満たすこととする


=その他=

◯ 6ヵ月に1回以上、運営推進会議を開催する


◯ 居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成したケアプランに基づきサービスを提供する


◯ ケアマネジャーとの連携のもと、個別サービス計画で利用日時などを決定する

 

新たな複合型サービスの創設は、人材確保がますます難しくなる今後も地域で必要な介護体制を維持していく方策の1つ。貴重な既存資源をより有効に活用していく狙いがある。


例えば、通所介護の事業所が利用者のニーズに応じて訪問サービスも提供できるようにすることで、現場がより柔軟に支援を展開できる環境を作り出す。厚労省は今回の審議会で、「訪問介護と通所介護を一体的に提供し、利用者の状態に応じたきめ細かいサービスを効果的・効率的に行う」と説明した。


運営基準や報酬単価などの詳細はこれから詰めていく。年内にも新たな複合型サービスの大枠を固める構えだ。

 

 

 

 

 

 

【介護報酬改定】一本化する処遇改善加算、要件に一定のベースアップ 厚労省提案 移行期間の設定も

 

《 社保審・介護給付費分科会|11月6日 》

厚生労働省は6日、来年度の介護報酬改定をめぐる協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、介護職員の処遇改善を目的とする既存の3加算(*)を取り上げた

* 処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ加算を指す。

介護職、賃上げ月6000円 厚労省、来年2月から 介護報酬のプラス改定視野

厚生労働省は20242月から介護職員1人あたり月6千円の賃上げを実施する方針だ。介護を担うことができる看護補助者も対象とした補助金を支給し、来春以降は介護サービスの公定価格である介護報酬のプラス改定を視野に手当てする。賃金の低さから介護人材の流出が続いており、処遇改善を急ぐ。2日に閣議決定した政府の総合経済対策に介護職の賃上げを盛り込んでおり、関連経費を23年度補正予算に計上する。補助金の支給は、介護の各事業所が都道府県を通じて賃上げ計画を提出することで受けられる。実績報告が求められ、要件を満たさない場合は返還しなければならない。

 賃上げは242月から当面は補助金で対応し、来春以降は介護報酬の改定で実施する。報酬の引き上げ率は年末にかけての予算編成過程で固める。金額としては月6千円の賃上げ維持もしくは拡大をめざす。政府・与党内で調整が進む。

 厚労省によると、22年の介護職員の平均月収は29.3万円で、全産業平均と比べて7万円ほど低かった。介護事業者団体の関係者は「処遇改善が進んだ結果、10年前より縮んだが、依然として賃金差は大きい」と話す。

 政府は21年度に賃上げを実施した際は、介護職員の給与を月額3%程度、金額にして月9000円を引き上げるため222月から同年9月まで補助金の支給で対応した。並行して介護報酬の改定によって引き上げ額に相当する新たな加算制度を創設し、2210月以降も賃上げ効果が続くようにした。

  今回の賃上げでも同様の仕組みを取り入れるかは現時点で明らかになっていない。一方で、厚労省や介護関連団体は賃上げや物価高に対応するため、介護報酬を全体でプラスに改定することで収益の改善につなげたい考えだ。23年度の賃上げを巡っては、春闘の全産業平均の賃上げ率は3.58%に達した。全国老人福祉施設協議会などの調査では介護職の平均は1.42%にとどまり、開きがある。介護人材政策研究会は物価や賃金の上昇幅、事業所の経営状況をふまえ、特別養護老人ホームの場合は少なくとも4%のプラス改定が必要だとの試算を示す。介護報酬は3年に1度改定しており、前回21年度の改定の際は全体で0.7%上げた。

 財務省は今回の改定で報酬全体の引き上げには慎重な立場だ。介護費用は高齢化で膨らんでおり、公費と保険料による給付費は23年度に13.5兆円と00年度の4倍に達する見通しだ。団塊の世代が全員85歳を過ぎる「35年問題」を見すえ、必要なサービスは提供しつつも報酬の適正化を進めるべきだとしている。

介護人材の流出は深刻で、厚労省の調査で22年は初めて介護分野の就労者が純減に転じた。全国老人福祉施設協議会などによると、10年以上の経験があるベテランの介護人材の離職率が50%近くに上っているといい、人材確保が喫緊の課題となっている。(日本経済新聞 朝刊 経済・政策(5ページ)2023/11/8)

 

「あたりまえ」がいちばん幸せ、に気づく  ~一番大切なことは、近すぎて見えなくなりがち~

幸せを感じにくくなっているときには、いま「あたりまえ」になっていることに「?」

をつけて考えてみるといいでしょう。

「本当にあたりまえかな?」と疑問をもって今の状況を眺めてみることです。たとえば、忙しい毎日を過ごしていると、不満が爆発しそうになるものです。給料の少ない会社、育児や家事に協力的でない夫、反抗的な子供・・・・全てが腹立たしく思えてしまうかもしれません。

 でも最初に会社で働けるようになったときは、嬉しくてたまらなかったはず。たとえお給料が安くても、良い同僚がいたこと、やりがいのある仕事のつけたことに感謝したかもしれません。結婚したときもそう、大切人と毎日一緒にいられる安心感があった。子供が生まれた時は人生最高の幸せをかみしめたはず・・・・。

 その状態が日常になってくると人は不平不満をもらすようになり「~だったら幸せになれるのに」なんて、ないものねだりをするようになるのです。幸せを感じられない原因で共通していることは、なにかがあること、何かができることを「当たりまえ」と思ってしまうこと。

 元気で働けること。お給料をもらえて、欲しいものがかえること。愛する家族がいること。ケンカができるほど本音で何かをいえること。3度の食事ができること、ほっとできる場所があること、平和な街に暮らせること、そして、生きていること・・・・。

 あるとき突然、あたりまえにあったものを失って初めて、不満だらけの毎日が、実は奇跡であったことに気づきます。そんなことだって「あたりまえ」で、だれもがわかっているのに、人はいとも簡単に忘れてしまう。

 もし、時々、「もし、~がなかったら」と、かんがえてみるといいかもしれません。少しだけ目線を変えて、当たり前があたりまえでなく、有難い奇跡の連続だと思えたならば、

今見えている世界はかわります。当たり前にそこにあったものや出来事は「意味のあるものとして」輝きを放つようになります。

 幸せになるためには、何かを得る努力をするより、幸せに気づく感受性を磨いた方が、ぞっと近道。一番大切なことは、近すぎて、見えなくなりがちです。

 あなたがまだ大切なものを失っていないなら、失う前に気づいてください。何でもない毎日の中のなかに幸せが隠れていることに。幸せはあなたの心の中に宿っているということに。

 「上機嫌で生きる」より。

福祉・医療人材の人間力向上研修 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

 

兼業副業に関する留意点

Q, ある職員から「勤務終了後に夜間に、他の事業所でも働いてみたいのですが、問題ありませんか?」という質問がありました。金銭的な理由ということなので、現業に支障のないようにしてもらえれば副業を認めていきたいと思いますが、認めるにあたり留意点などあれば教えてください。

A,

厚労省の「副業、兼業に関するガイドライン」によると副業は、新技術開発や第2の人生の準備として有効であると書かれています。人口減少期を迎え 労働力の減少が叫ばれている我が国において、副業の推進により国は労働力の確保や生産性の向上を期待しているものと思われます。

では事業所としては副業を認めなければいけないのでしょうか。法律上、副業禁止の可否に定めはありませんが、過去の判例でみると「労働時間以上の時間をどのように利用するかは、労働者の自由」との考え方に立っていて、副業を認めることが基本的な対応と考えられます。

しかし、副業を解禁していく場合の注意点もあります。

まず、職員から副業を始めたいという申し出があった場合、事業所として、まずは本業に影響がないことを確認する必要があります。たとえば、深夜業に従事して、寝不足になり本来の業務がおろそかになってはいけません。他には他の事業所で勤務するとなると、当事業所の情報が漏れるリスクもあります。従って、事業所として申し出があった場合に許可することを前提にしつつも、いつ、どのような業務に従事するのかをきちんと確認し、内容を精査する必要があるでしょう。また、就業規則にもその点を下記の内容にて表現することがあります。

 

○○条 法人は職員が副業兼業に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止または制限することが出来る。

①労務提供上の支障がある場合

②企業秘密が漏洩する場合

③会社の名誉や信頼を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

④競業により事業の利益を害する場合

 

また、残業代の計算にあたっても注意が必要です。複数の事業所で勤務する場合、労働時間を合算して1日8時間、1週で40時間を超えることも想定されます。労基法ではその場合、合算した労働時間として超過時間があれば残業代を支払う必要があります。この場合、支払う側は、後から雇用契約を締結した方、もしくは法定労働時間を超えて働く原因を作った方に支払の義務が生じます。

 

次に社会保険関係ですが、雇用保険については、たとえ複数の勤務先でそれぞれ週20時間以上勤務していたとしても、主たる勤務先(原則、収入が多い方)でしか加入できません。

 

健康保険と厚生年金金保険については、複数の勤務先それぞれ加入条件を満たした場合、どちらで加入するかは本人が選ぶことになります。そのうえで、例えば、加入する先での勤務先給与が月20万円、加入しない方が月10万円だとすると合計額30万円に基づいて社会保険が計算されます。つまり、それぞれの勤務先の給与額に応じて按分計算され、両方の勤務先から毎月の社会保険料が控除されることになります。因みに健康保険証は、加入する勤務先の保険者のみから発行されます。

 

最後に、副業兼業を認めていく流れにはあるものと思いますが、一方で、副業は長時間労働につながりやすい等懸念点も指摘されています。本業副業を問わず、他でも働いている職員がいる場合には、もう一方の勤務先の労働時間を意識して、法令順守と健康管理に配慮していくことが必要になります。

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