介護

個人的な理由で定時後も居残って働く職員への対応について

Q 

個人的な自己研鑽のため、という理由で、提示後も数時間残っている職員がいます。自己研鑽のためとはいえ、実際には利用者のケアにも入っており、仕事をしているのと変わりわないように思います。本人からは「仕事をしているわけでないので報酬はいらない」と言っていますが、この場合には払わなくていいのでしょうか?

A

使用者が指揮命令をしていないのであれば、残業代を支払う義務はありません。ただし使用者が残業を明確に命令していなくても、残業代を支払う義務が生じるケースもあるので注意が必要です。これには、言葉や書面で明確に指示をしていなくても、実質的に指示があったと推定される場合があります。例えば、定時後に数時間残っている理由が、他の利用者をケアする職員が不足していた、あるいはいなかったなどの事情があった場合、使用者が残業指示をしていなくても黙示的な指示があったとみなされ残業代を支払う必要があります。

対策としては、残業する場合には、上司の許可を受け、かつその内容に関し職員から報告をうけるなど、職員が勝手に残業をすることのないよう制度として定着させることをお勧めいたします。

医師の紹介手数料は平均 98.4 万円、22 年度    厚労省

厚生労働省の集計によると、医療機関や介護施設などの求人者が職員を採用するため職業紹
介事業者に支払う 2022 年度の平均手数料が、医師では 1 件当たり 98.4 万円に上った。看護師
や准看護師は 63 万円、施設介護や訪問介護の職員では 54.6 万円だった。厚労省は、職業紹介
事業者を選ぶ際に今回の集計結果を参考にするよう医療機関や介護施設・事業所に呼び掛けて
いる。
1 件当たりの職種別の手数料額を全国 10 ブロックごとに見ると、医師で最も大きいのは「四
国」の 119.5 万円。「南関東」(115.2 万円)や「中国」(107.2 万円)も高かった。一方、手数
料額が最も小さかったのは「近畿」(62.6 万円)で、ほかは「北陸」(74.5 万円)や「北関東・
甲信」(75.4 万円)など。「四国」と「近畿」とでは平均手数料に 1.9 倍の格差がある。
看護師・准看護師では、最大が「北陸」の 74.1 万円で、「東海」(70.6 万円)、「南関東」
(70.2 万円)などが続いた。これに対して、「北海道」(33.8 万円)や「北関東・甲信」(43.7
万円)、「四国」(51.2 万円)などは手数料額が小さかった。
●介護職員では地域差少なく
施設介護や訪問介護の職員については、「中国」(59.3 万円)や「四国」(58.2 万円)、「北陸」
(56.7 万円)で高く、「北関東・甲信」(48万円)や「九州」(52.8万円)、「東北」(53.2 万円)
などが低かった。
厚労省では、事業所ごとの常用就職件数(無期雇用または 4 カ月以上の期間を定めて雇用さ
れる職員)とそれに係る手数料の総額から平均手数料を算出した。職業紹介事業を巡っては、
「祝い金」などの名目で求職者に金銭などを提供して求職の申し込みの勧奨を行うことは指針
で禁止されている。しかし、職業紹介事業者が自ら紹介した就職者に「転職したら祝い金を

提供する」などと持ちかけて転職を勧奨し、求人者から手数料収入を繰り返し得ようとする事例
が後を絶たず、人手不足が続く医療機関や介護施設・事業所の経営を手数料が圧迫していると
指摘されている。(メディカルウェーブより)

 

【解説】処遇改善加算の要件、来年度から厳格化へ 介護現場の職場環境向上の取り組みが大幅変更に

介護報酬の処遇改善加算の要件が来年度から大きく変わる。急に取得できなくなってしまうことのないよう、事業所・施設は早め早めの対策が必要だ。

今年度の報酬改定で拡充・一本化された処遇改善加算だが、現在は移行に向けた準備期間にある。本格運用の開始は来年4月で、そこから要件が厳格化される。準備期間は残り半年を切った。


大幅に変更されるのは「職場環境等要件」。これは名前の通り、事業所・施設の職場環境を良くする取り組みを事業者に求めるものだ。介護職員の処遇改善が、単に賃上げだけに留まることのないようにする狙いがある。


厚生労働省は「職場環境等要件」の具体的な取り組みとして、6区分24項目を規定。事業者にこれらを実践するよう従来から求めてきた。一本化前の処遇改善加算ならどれか1つ、特定処遇改善加算なら区分ごとにそれぞれ1つ以上行う決まりとしていた。


今回、処遇改善加算の一本化に合わせて6区分28項目に変更。生産性向上の取り組みの幅を広げ、以下のように改めて設定した。


「職場環境等要件」の具体的な取り組み:6区分28項目

区分1|入職促進に向けた取り組み


① 法人の経営理念やケア方針、人材育成方針、その実現に向けた施策・仕組みなどの明確化


② 事業者の共同による採用、人事ローテーション、研修の制度の構築


③ 他産業からの転職者、主婦層、中高年など、経験者・有資格者らにこだわらない幅広い採用の仕組みの構築

④ 職業体験の受け入れや地域行事への参加など職業魅力度向上の取り組み

区分2|資質の向上やキャリアアップに向けた支援


⑤ 働きながら介護福祉士の資格を目指す研修、喀痰吸引の研修、認知症ケアの研修、サービス提供責任者の研修、マネジメントの研修などの受講支援


⑥ 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動


⑦ エルダー・メンター制度などの導入


⑧ 上位者との面談など、キャリアアップに関する定期的な相談機会の確保

区分3|両立支援・多様な働き方の推進


⑨ 子育てや家族の介護などと仕事の両立を目指す休業制度の充実、事業所内託児施設の整備


⑩ 職員の事情に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した正規職員への転換制度などの整備


⑪ 有給休暇が取得しやすい環境の整備


⑫ 業務や福利厚生、メンタルヘルスに関する窓口の設置など相談体制の充実

区分4|腰痛を含む心身の健康管理


⑬ 身体の負担軽減に向けた介護技術修得の支援、介護ロボットやリフトといった介護機器の導入、研修などによる腰痛対策の実施


⑭ 短時間労働者らも受診できる健康診断・ストレスチェック、従業員の休憩室の設置など健康管理対策の実施


⑮ 雇用管理改善のための管理者に対する研修などの実施


⑯ 事故・トラブルの対応マニュアルの作成など体制整備

区分5|生産性向上の取り組み


⑰ 国の「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用など)を行っている


⑱ 現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施など)を行っている


⑲ 業務管理の手法の5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字)などを実践している


⑳ 業務手順書の作成、記録・報告様式の工夫などによる情報共有や作業負担の軽減を行っている


㉑ 業務を効率化する介護ソフト、タブレット、スマートフォンなどの導入


㉒ 見守り機器やインカム、チャットツールといった介護ロボット、ICT機器などの導入


㉓ 業務内容の明確化と役割分担を行い、いわゆる介護助手の活用なども含め、介護職員がケアに集中できる環境を整備している


㉔ 各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入といった事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理・福利厚生システムの共通化など、協働化を通じた職場環境の改善


※ 1法人で1事業所・施設のみを運営するような小規模な事業者は、㉔を実施していれば生産性向上の取り組みの要件を満たせるという特例もある。

区分6|やりがい・働きがいの醸成


㉕ ミーティングなど職場内コミュニケーションの円滑化により、個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境、ケア内容の改善


㉖ 地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する地域の児童、生徒、住民との交流の実施


㉗ 利用者本位のケア方針など、介護保険や法人の理念などを定期的に学ぶ機会の提供


㉘ ケアの好事例や利用者・家族の謝意などの情報を共有する機会の提供

◆ 生産性向上の取り組みは3つ以上


来年度からは厳格化により、この「職場環境等要件」を満たすために事業者が実施すべき取り組みが増える。人手不足の深刻化などを勘案し、生産性向上の取り組みにウエイトが置かれている点が大きなポイントだ。


下位の処遇改善加算ⅢとⅣは、区分ごとにそれぞれ1つ以上、生産性向上の取り組みは2つ以上行うルールとされた。


上位区分はハードルがもう一段上がる。処遇改善加算Ⅰ、Ⅱを取得するためには、区分ごとにそれぞれ2つ以上、生産性向上の取り組みは3つ以上行う必要がある。更に、生産性向上の取り組みの⑰、⑱はどちらかが必須とされた。情報公表システムなどを活用し、項目ごとの具体的な取り組み内容を公表することも求められる。

区分5|生産性向上の取り組み(抜粋)


※ 上位区分はこの2つのどちらかが必須


⑰ 国の「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用など)を行っている


⑱ 現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施など)を行っている

こうした厳格化は来年度から。処遇改善加算の一本化の本格運用に伴い、変更される要件は他にもある。厚労省はリニューアルした公式サイトなどで、今回の見直しについて資料や動画で分かりやすく解説している。現場の関係者は今のうちから確認し、前もって準備を進めておく必要がありそうだ。(介護ニュースより)

SOYOKAZE、スキマバイトのタイミーで新卒採用 若い介護人材の確保へ業界初の試み

「そよ風」ブランドを軸に介護サービス事業を展開する株式会社SOYOKAZEは今月から、短時間・単発のスキマバイトをマッチングする「タイミー」を通じた新卒採用を開始した。

タイミーの学生ワーカーに対し、新卒採用を視野に入れた介護現場の求人を公開。実際の勤務を経た後で、入社を希望する人に選考のプロセスへ進んでもらう形をとる。


タイミーなどのスキマバイトは以前から、職員の長期採用につなげやすいメリットがあると指摘されてきた。


働く側からすれば、職場の環境や雰囲気を把握することができ、雇う側からすれば、その人の能力やキャラクターを知ることができるためだ。採用後に「こんなはずでは…」と悔やむミスマッチを減らせることは、双方にとって大きな魅力となる。


スキマバイトのこうした利点を活かし、介護現場での就業体験を新卒採用へつなげる試みは介護業界で初めて。

タイミーによると、タイミーのワーカーは10代と20代が全体の約半数を占め、学生の割合は31.8%にのぼる。こうした若い人材の確保・定着も、今回の取り組みの大きな狙いの1つ。SOYOKAZEは次のようにコメントした。


「変革の推進力となるのは新卒採用と若い力。スポットワークによる新卒採用は、未来を共に築く仲間との出会いの場と考えている。現場での体験を通じて私たちのビジョンに共感し、介護業界に新しい風を吹き込む存在となることを期待している」


スキマバイトの学生にはまず、食事の配膳下膳や清掃といった未経験でも差し支えない業務のほか、コミュニケーションやレクリエーションなど介護の楽しさ、やり甲斐を感じられる業務を任せる計画。学生と介護現場の接点を生み出し、関心を持ってくれる人材の発掘につなげたい考えだ。

タイミーは働き手の高齢化が進む介護現場の実情も踏まえ、「学生ワーカーが介護の仕事を知る機会を創出し、業界で働く人の裾野を広げたい。新卒採用の新たな手法として介護業界に普及させたい」としている。(介護ニュースより)

【助成金情報】育休「フォロー」助成拡大 中小、300人以下対象に~同僚のモチベーション配慮~

育児休業中の同僚をフォローした社員を支援するため、厚生労働省は2025年度から中小企業への助成金の対象を広げる。同僚社員へ追加手当などを支給する場合にかかる費用を補助する。男女ともに育休取得が広がるなか、業務を代替する社員のモチベーションの向上や子育てしやすい職場づくりにつなげる。

 241月に始まったこれまでの制度では、資本金に応じて小売業では50人以下、サービス、卸売業では100人以下の中小企業が対象だった。25年度からは全ての業種で「従業員300人以下」の企業に対象を広げる。

 育休中の社員や、育児のため短時間勤務をする社員の業務を代替した同僚に対して、負荷の増加に伴う追加手当を支払う場合などに支援策を適用する。育休中の社員向けでは社労士の採用など労務体制整備にかかる費用を5万円、同僚に支給する業務代替手当の4分の3を国が負担する。同手当は月10万円が支給上限になる。

 例えばある小売業の4人の部署で1人が育休に入り、残る3人に毎月の残業手当とは別に4万円を育休の「フォロー手当」などで支給したとする。この場合、企業に新たに生じる月12万円の負担のうち、4分の3にあたる9万円を助成する。年間10人分の育休取得者について申請でき、企業が受け取れる金額は合計で最大1250万円となる。

 財源は雇用の安定や能力開発のために事業主が保険料を拠出する「雇用保険2事業」から充てる。厚労省は25年度予算の概算要求で、育休中などの業務代替支援として266.3億円を盛り込んだ。21年の経済センサスによると、常用雇用者299人以下の企業は全国で366万社を超える。厚労省は助成の対象となる育休取得者が全国で12%増えるとみる。

 育休を取得する男女は増えている。雇用保険事業年報によると、育児休業給付金を受給し始めた人の数は22年度に489千人と、10年前の12年度(237千人)から倍増した。男性の育休取得率は23年度に初めて3割を超え、30.1%と過去最高となった(日本経済新聞 朝刊 1面10/14 )

人間力を高める「良い習慣」を身に着けるコツとその効果

私は、いつからかは忘れましたが「朝起きたときにベッドを整える」という習慣を毎朝、繰り返しています。基本的のずぼらな人間で、ときどき「面倒だな、今日は放置でいいか」と思うこともありますが、何となく自分の中でルールにしているので、体が動いてしまうもの。なまけ心が出てきそうな時こそ、やってしまえば気分が良いものです。「ひとつ終わった。さて、動き出しましょう」とばかり少しの清々しさで一日を始められるます。そんな些細なことが、一日を作り、自分を作っていくと実感するのです。

 不思議なもので、良い習慣が一つ身に着くと、他の動きも変わっていきます。自分が少しばかり、ちゃんとした人、余裕のある人になったような気がして、無意識にそんな行動をとるようになるのです。習慣の力は、ドミノ式に良い結果をもたらしてくれることがあります。一発逆転でなくとも、その時々、明るい方向に進もうとすることで、明るい現実がゆっくり、でも確実に近づいてくるのです。

「習慣にするためのコツ」は次の三つと言われています。

  • 今すぐにできるカンタンなことから、ひとつづつやってみる。
  • 「気分がいいこと」をしっかりと味わう
  • どんなとき、何をきっかけにするかを決める

続けるためには、一度にたくさんやらないことです。そして、「ああ、すっきり」とか「気分がラクになった」とかいい気分をしっかりと味わうことです。

もうひとつ、習慣化のために大事なのは、いつ、どこで、なにをきっかけにするかを決める事。「朝、起きた時」「人に会ったとき」「イラっとしたとき」「食事をするとき」「歯を磨くとき」など「このときにこうしよう」と自分なりのルールを決めると、それが自分を変えていく小さな「仕掛け」になります。

はじめは人が習慣をつくり、それから習慣が人を作っていくのです。

Q, 兼業・副業の取り扱いについて

Q、ある職員から「勤務終了後に夜間に、他の事業所でも働いてみたいのですが、問題ありませんか?」という質問がありました。金銭的な理由ということなので、現業に支障のないようにしてもらえれば副業を認めていきたいと思いますが、認めるにあたり留意点などあれば教えてください。

 

A,

厚労省の「副業、兼業に関するガイドライン」によると副業は、新技術開発や第2の人生の準備として有効であると書かれています。人口減少期を迎え 労働力の減少が叫ばれている我が国において、副業の推進により国は労働力の確保や生産性の向上を期待しているものと思われます。

では事業所としては副業を認めなければいけないのでしょうか。法律上、副業禁止の可否に定めはありませんが、過去の判例でみると「労働時間以上の時間をどのように利用するかは、労働者の自由」との考え方に立っていて、副業を認めることが基本的な対応と考えられます。

しかし、副業を解禁していく場合の注意点もあります。

まず、職員から副業を始めたいという申し出があった場合、事業所として、まずは本業に影響がないことを確認する必要があります。たとえば、深夜業に従事して、寝不足になり本来の業務がおろそかになってはいけません。他には他の事業所で勤務するとなると、当事業所の情報が漏れるリスクもあります。従って、事業所として申し出があった場合に許可することを前提にしつつも、いつ、どのような業務に従事するのかをきちんと確認し、内容を精査する必要があるでしょう。また、就業規則にもその点を下記の内容にて表現することがあります。

 

○○条 法人は職員が副業兼業に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止または制限することが出来る。

①労務提供上の支障がある場合

②企業秘密が漏洩する場合

③会社の名誉や信頼を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

④競業により事業の利益を害する場合

 

また、残業代の計算にあたっても注意が必要です。複数の事業所で勤務する場合、労働時間を合算して1日8時間、1週で40時間を超えることも想定されます。労基法ではその場合、合算した労働時間として超過時間があれば残業代を支払う必要があります。この場合、支払う側は、後から雇用契約を締結した方、もしくは法定労働時間を超えて働く原因を作った方に支払の義務が生じます。

 

次に社会保険関係ですが、雇用保険については、たとえ複数の勤務先でそれぞれ週20時間以上勤務していたとしても、主たる勤務先(原則、収入が多い方)でしか加入できません。

 

健康保険と厚生年金金保険については、複数の勤務先それぞれ加入条件を満たした場合、どちらで加入するかは本人が選ぶことになります。そのうえで、例えば、加入する先での勤務先給与が月20万円、加入しない方が月10万円だとすると合計額30万円に基づいて社会保険が計算されます。つまり、それぞれの勤務先の給与額に応じて按分計算され、両方の勤務先から毎月の社会保険料が控除されることになります。因みに健康保険証は、加入する勤務先の保険者のみから発行されます。

 

最後に、副業兼業を認めていく流れにはあるものと思いますが、一方で、副業は長時間労働につながりやすい等懸念点も指摘されています。本業副業を問わず、他でも働いている職員がいる場合には、もう一方の勤務先の労働時間を意識して、法令順守と健康管理に配慮していくことが必要になります。

 

 

居宅介護支援の集中減算、適用漏れで約1.2億円の過大支出 会計検査院が調査結果

居宅介護支援の「特定事業所集中減算」に適用漏れがあり、およそ1.2億円の介護給付費が過大に支払われていたことが分かった。

会計検査院が9日に調査結果を公表し、事業所や市町村、厚生労働省などに適切な運用を改めて要請した。厚労省は既に、会計検査院のこうした問題提起を踏まえ、再発防止の徹底を現場に呼びかける通知を発出している


会計検査院は全国11都府県の19市区・広域連合で、2016年度から2022年度の介護給付費の支払いを調査。少なくとも24事業者の26事業所で、特定事業所集中減算の適用漏れがあったと報告した。


その額は1億1933万円。国の負担額は3340万円で、本来なら支払う必要のないものだと断じた。これらは返還手続きの措置が講じられたという。

適用漏れの要因としては、事業所が減算のルールをしっかりと理解できていないこと、市町村の指導が行き渡っていないことなどを指摘。厚労省の注意喚起が十分でなかったこともあげ、それぞれに状況の改善を促した。

居宅介護支援の特定事業所集中減算は、前6ヵ月間に作成したケアプランに位置付けられた訪問介護、通所介護、福祉用具貸与といったサービスの提供数のうち、正当な理由なく同一事業者の割合が80%を超えると適用される。▲200単位/月。(介護ニュースより)

介護の情報公表制度の報告内容に新項目 全サービス対象 虐待や身体拘束の防止など加わる 厚労省通知

介護サービス情報公表制度のルールがこの秋から変わる。

介護事業所・施設から都道府県へ報告すべき項目が増える。全てのサービスが対象。


老人福祉法や介護保険法の施行規則を改正する省令が今月3日に公布され、同日から施行された。


厚生労働省は9日、そのことを伝える通知を発出。介護保険最新情報Vol.1318で現場の関係者に広く周知した

新たな報告項目は、

◯ 利用者の人権擁護、虐待防止などの取り組み状況


◯ 身体的拘束、入居者の行動を制限する行為などの適正化の取り組み状況

の2点。有料老人ホームの場合は、

◯ 安全管理、衛生管理の取り組み状況

も加えられた。

注)一部サービスで既に報告対象だった項目あり。

介護サービスを利用するうえで重要な情報を利用者へ提供し、その適切な選択を支援する狙いがある。


例えば虐待や不当な身体拘束の防止に向けては、今年度の介護報酬改定で、減算の拡大も含めて介護事業所・施設の運営基準が厳格化された。今回の情報公表制度の見直しもこれに沿った動き。改定時から既に方向性が示されていた経緯がある。(介護ニュースより)

Q 退職金は必ず支給しなければならないのでしょうか?

 

A いいえ、支給しなくても問題ありません。

 

退職金とは

退職金は法律で支払いが義務付けられているものではなく、これまで慣例的に行われてきたものです。もともとは終身雇用制において定年後の生活を保障するという目的がありました。

 また、賃金の後払い的性格を有し、これに功労報償的要素が加わり、長く務めるほど退職金も積みあがる仕組みで運用されるという特徴があります。

 

ほとんどのスタッフは退職金を意識していない

退職金請求権を直接義務付ける法律はありませんので、介護施設、保育園、クリニックに制度が無ければ支給する必要はなく、退職金制度を設けるか否かは使用者の判断に委ねられています。

定年まで働く事を想定して勤務している人はあまりいないのが実態かと思います。辞めるときになって退職金の有無や金額を知る場合がほとんどで、普段の業務の中で意識することはほとんど無いと思われます。もちろん退職金にこだわるスタッフもいますが、多くのスタッフはそもそも何十年も働こうという感覚は無く、退職金に対する意識も希薄のように思われます。

 そのため、クリニックであれば院長が都度、働きぶりを考慮して額を決定しているクリニックが多くある一方で、スタッフ退職のたびに退職金をどうするかで悩まされたくないことから、一定基準を作る場合もあります。基準を作る場合に二つのパターンがあります。一つは退職金規定をスタッフに公開する場合と、あくまで院長の目安として使うだけでスタッフには伝えない場合があります。

 但し、注意して頂きたいのは、退職金規定でスタッフに約束はしていなくても、基本給に勤続年数を乗じて支給することが慣例的に長年実施されているような場合、既得権となり約束したものとみなされる場合がある点です。つまり、5年務めたスタッフのほとんどが●万円をもらっている、などとスタッフが当たり前のように認識している場合には、事実上、制度を運用しているものとみなされるということになる場合もあるということです。

 その場合の退職金は、労基法上の賃金として保護を受け、使用者には支払い義務が生じます。同時にスタッフは使用者に対して退職金の請求権を有することになります。従って、内規などに基づいて退職金制度を運用しているクリニックでは、どこかのタイミングで正式に制度を導入するかどうかの判断が必要と思われます。正式導入までは行わないということであるならば、スタッフが当たり前のように退職金の金額を認識している状態には

ならないように、普段から注しておく必要があるでしょう。

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