介護

Q 当法人では新卒採用・中途採用ともの計画的に行っていますが、せっかく採用しても  なかなか定着せず、早いと3か月未満で退職する人もいます。何とか定着をしていただくように取り組みを行っていますが、採用面接ではどのような点に気をつけたら良いでしょうか。

A 「採用での失敗は、育成でカバーすることは難しい」とも言われます。

どのような人を採用するか、これは言うまでもなく、事業運営の中で最も重要な事項といっても過言ではないでしょう。社員の定着のためには「定着するような人材を採用する」といった方が現実的かもしれません。しかし、実際には人手不足の際には、「応募してくれた方は、多少気になる点があってもほとんど採用する」という状況は、決してめずらしいことではありません。このようなことを繰り替えしていると「すぐに辞めるような人」を採用していることになりかねません。

それでは「辞めない人材」とはいったいどんな人材なのでしょうか。それは法人理念に共感できる職員を選ぶことです。理念に共感できるとは、法人として「大切にしたい価値観」の共有ができる方と言ってもいいかもしれません。

 現場が人手不足の状況なので、ついつい早く人を「補充」したいという考えから、候補者の過去の経験、職務のスキル、資格などを重視した基準で採用を決定する場合も多いと思います。ただ、結果として、このような情報は、意外とあてにならないという経験をされた経営者も多いのではないかと思います。そこで、重要なのは「その方の価値感が法人の価値観や考え方に合うかどうか」ということになるのですが、問題はそれをどのように見極めるか、ということになります。もちろん、価値観が垣間見れるような質問内容を、事前にしっかり準備しておく必要がありますし、その結果を面接官複数の目で見て、客観的な指標にまで落とし込んでいくことをお勧めしています。

 

一方、候補者もそれなりに準備をして面接に臨みますので、なかなかホンネの部分までは見極めるのは難しいものです。ある法人の理事長は、法人創設の経緯や経営理念をできる限りわかりやすく、そして何度も何度もしつこいぐらいに伝え(これが重要ということです)、それを聞いている表情や反応で、十分判断できるということをおっしゃいます。また、ある施設長は、事前に施設見学(かなり細部にわたる現場見学)を行っていただき、そこで感じた内容を、どれだけ自分の言葉で伝えられるかをみている、と言います。このような方法ですと、事前の準備ではなく、過去の経験が本人の言葉で出てくることが多く、その方の現在の感じ方や価値観が、よりリアルに伝わってくるといいます。

下記に面接のときの質問の留意点をお伝えいたしますのでご参考にしてください。

 

  • 具体的な内容を質問する

 漠然とした回答ではなく、具体的な回答を聞くことで本音を見出します。

 ・「なぜこの仕事を選んだのか、人の役に立つとはということは、どういうことなのか

  具体的に言ってください」

 ・「採用された場合、あなたの能力をどういった仕事に活かしたいですか。具体的にこたえてください」

  • 人間関係についてどう考えているか確認する。

 人間関係の関する質問は、入職後のトラブル回避にためにも非常に重要です。

 ・「入職後、法人とあなたの方向性や想いが異なる時、あなたはどのようにしますか?」

 ・「同僚との意見が食い違う場合、あなたは意見を通しますか、黙りますか、また通すとしたらどんな方法で?」

  • 求職者からの質問を引き出す

 面接試験で一通り質問が終わったら、必ず求職者に対して質問がないか確認します。面接が終わったという安心感から本音が見え隠れすることがあり、人間性を確認できることもあるようです。求職者が質問する内容は、採用された場合のことを想定していることが多いため、「どの部分に興味を示しているか=本当の志望動機」がわかることも多いように思います。

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財務諸表の公表、2024年度の制度改正で義務化へ 介護事業者は事務負担の急増に備えよ

次の介護保険制度の改正が実施される2024年度から、全ての介護事業者に財務諸表の公表が義務付けられる可能性が高い。11月14日の審議会で厚生労働省が提案した。委員からの反対意見は特に出ていないと聞く。【小濱道博】

国は現在、社会福祉法人や障害福祉事業者には既に財務諸表の公表を課している。介護事業者にも財務諸表を公表させる方向は、以前から「骨太の方針2022」や財務省の審議会でも示されていた。今後は社会福祉法人と同様に、情報提供のための全国的な財務諸表開示システムが整備され、データベースが構築されていくだろう。


これまで厚労省は、介護事業所の決算データの収集を、3年ごとに実施される「経営実態調査」などを通じて行ってきた。


しかし、これは一部の事業所のみを対象とするサンプル調査。介護業界全体の財務状況を的確に把握しているとは言い難い。介護職員の「処遇改善加算」などの検証も同様だ。介護事業者の財務状況を網羅的にデータベース化することで、介護報酬改定や処遇改善などをめぐる議論のエビデンスの精度が高まり、より的確な政策をとれるようになるだろう。


問題は介護現場の事務負担だ。提出すべき決算データは、単に税務署に提出している決算書そのものではない。複数の拠点や併設サービスがある場合、その拠点ごと、サービスごとの損益計算書を、「会計の区分」に従って個別に作成して提出しなければならない。


「会計の区分」とは、国のルール(厚生省令37号などの解釈通知)に規定された運営基準の1つである。同一法人で複数のサービス拠点を運営している場合は、その拠点ごとに会計を分けなければならない。これを会計用語では「本支店会計」と言う。また、同一の拠点で複数のサービスを営んでいる場合は、それぞれを分けて会計処理を行う。これを「部門別会計」と言う。


会計を分けるとは、少なくとも決算書を作成する時点で、損益計算書をそれぞれ別々に作成するということである。収入だけでなく、給与や電気代、ガソリン代など全ての経費を拠点ごと、部門ごとに分けなければならない。これは、税務署に提出する決算書では求められていない作業である。


とはいえ、こうした作業は国のルールに規定された運営基準であるため、介護事業者は既に実施している必要がある。厚労省から見ると当初からの義務であり、介護現場の新たな負担増にはならないのだ。しかし、現実には実施している事業者は少なく、特に小規模法人での事務負担の増加が懸念される。


「会計の区分」は、先に記したとおり、新たに求められる作業ではなく、従来からの運営基準の1つである。ただ中小の事業者は、事務員を独自に雇用することは少なく、経営者自らが会計業務を担当していたり、会計事務所に記帳代行で丸投げしていたりするケースも少なくない。


しかし、会計事務所が行っているのは「税務会計」と言って、税金の計算のための会計である。「会計の区分」とは全く別物であり、この運営基準があることを多くの会計事務所はまだ知らない。


そのため「会計の区分」に対応できない可能性もあり、別に処理料金が発生するケースも想定される。介護事業者は、介護事業に精通している会計事務所を選ぶべきだろう。今回の財務諸表の公表義務化を機に、こうした点をしっかりと見極める必要がある。(介護ニュースより)

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要介護1と2の保険外し、見送りの方向 2024年度改正 ケアプラン有料化も

《 29日の自民党政調会合 》

2024年度に控える次の介護保険制度改正をめぐる議論が佳境に入った。

要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護を市町村ごとの「総合事業」へ移管する構想について、今回は見送られるとの観測が強まっている。居宅介護支援のケアマネジメントで利用者負担を新たに徴収する案も、同様に見送られるという見方が広がっている。政府は年内に大枠の方針を決定する予定。


現場の関係者の抵抗が極めて強く、与党議員からも反対意見が噴出している。新型コロナウイルスの感染拡大や物価高騰などで利用者、事業者がともに苦しむなか、介護現場にとって厳しい制度改正は避けるべきという主張が多い。内閣支持率の低迷が影響を与えている、との指摘も少なくない。


厚生労働省もこれらを踏まえ、慎重に検討を進める姿勢をみせている。関係者の1人は、「(改正断行は)かなり難しい」と漏らす。28日の審議会でも、利用者、事業者の立場を代表する委員から強い反発の声が続出した。


自民党は29日朝の会合でこのテーマを俎上に載せた。幹部の1人は、「そろそろ党としての方針を決めなければいけない」と挨拶。調整にあたっている関係者は、「財務省はまだ諦めていない。最期まで油断できない」と話した。(介護ニュースより)

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介護保険制度改正知っておきたい8つのポイント①

介護保険制度改正知っておきたい8つのポイント②

Q 始末書に「施設が指導してくれない」と書き、反省してくれない職員への対応

仕事のミスが多くクレームが入った職員に対して「始末書」の提出を求めたところ、その内容が「施設の指導が出来ていない為自分もミスをした」とまったく反省していない様子の始末書を提出してくる職員がいます。反省の色が見えず、始末書の意味がなくなっているような気がします。どうように対応したらいいでしょうか?

A 始末書というのは、業務などに規律違反をしたり、過失をしたりした場合に、その行為を反省し、謝罪し、同じことを繰り返させないようにする書面です。就業規則の制裁規定にも始末書に提示を求めています。

 

今回は、ミスが多くクレームまで入ってしまったので、その行為を反省してくれることを期待して提出を指示したのでしょう。しかし、反省するどころか施設へ責任転嫁していることがわかります。この場合、施設側が「指導をしたでしょう」と言ったところで「言った、言わない」の押し問答にしかならないのであれば、具体的な行動を振り返らせます。そして、改善することを具体的に指示し、ほかにも案があるならば自分から案を出してもよいように、ある程度「自由度」をいれると本人も書きやすくなります。

戒めるべきことは、「利用者さんのことを考えていなかったこと」ですから、話の途中で「自分はできていると思っても、利用者さんや他の職員はできているとは思っていない」ということを伝えるのです。そのうえで、「始末書」という書面ではなく、「改善提案書」と名称を変えるのもいいかもしれません。始末書というとどうしてもネガティブなイメージが強いからです。しかしここでも大切なのは、自分の行動を戒めて将来につなげることです。ですから書くハードルを下げ「改善提案書」に改めるというわけです。そしてこのフォーマットのなかに書くべき項目を入れ込んで記入してもらいます。ポイントは

  • どんな状況でクレームが発生したのか
  • それはどんな原因があったのか
  • そうすればそれを改善できるのか具体的な例をあげる
  • いつから実施するのか

 

人は埋め込み式の方が、書きやすくペンが進みます。まずは「自分の行動をふりかえり、反省してもらう」ことから始め、具体的な改善行動案を書いてもらいます。それでもできない場合には、「自分で書いたことなのになぜ実行がでいないのか」と面談で深堀していきます。

この書面を提出させるというのは、成長の過程もわかりますし、指導をしている実績もわかりますのでぜひともお勧めします。

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政府、介護人材確保の総合政策パッケージを年内に策定 岸田首相が指示

《 岸田文雄首相(2022年10月撮影)》

政府は24日、今後の社会保障改革の方向性を定める「全世代型社会保障構築本部」を官邸で開いた。岸田文雄首相は加藤勝信厚生労働相に対し、介護人材の確保に向けた総合的な政策パッケージを年内にまとめるよう指示した。

「介護分野の人材確保、これは重要な課題」と改めて強調。「事業者の生産性向上と働きやすい職場環境作りのため、優良事業者の表彰、経営の見える化、介護ロボット・ICT機器の導入促進を含めた総合的な政策パッケージを、年末までに取りまとめて頂きたい」と要請した。介護職員の更なる賃上げには言及しなかった。


政府はこの日、各分野の改革の方向性を示す「論点整理」も提示した。介護については、「地域の拠点となる在宅サービス基盤の整備や地域包括支援センターの体制整備などを推進する」と明記。経営の協働化・大規模化による人材や資源の有効活用にも取り組むとした。ここでも介護職員の更なる賃上げには触れていない。(介護ニュースより)

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「訪問+通所」の新介護サービス創設、競争激化は必至か 国の狙いと今後の注目点はこれだ

厚生労働省は今月14日、次の2024年度の介護保険制度改正に向けた協議を進めている審議会で、訪問介護と通所介護を組み合わせた複合型のサービス類型の新設を検討していく方針を示しました。この新サービスのゆくえと業界への影響について、論考したいと思います。

◆ 事業者からは前向きな声も


唐突な方針発表だと感じた人も多いかもしれませんが、私はかねてより、この組み合わせが検討されていると繰返し発信してきました。もともと、コロナ禍に伴う臨時的な特例措置として、通所介護事業所による訪問サービスの提供が認められていた経緯もあり、国は調査研究事業で実情を探るなど動きをみせていました。


この新サービス創設に懐疑的な目を向ける人も多いでしょう。特に、訪問サービスの担い手の確保が大きな課題になると指摘されています。


しかしながら、昨年度の国の調査結果では、通所介護と訪問介護の組み合わせに対する事業者の意向について、半数近くの事業者が「参入を前向きに検討したい」と答えたと報告されています。


厚労省が新サービス創設を検討する方針を示した背景には、こうした前向きな調査結果もあります。審議会で委員から否定的な意見があまり聞かれなかったことからも、実現可能性は高いと言えるでしょう。


ただし、課題や今後詰めるべき論点は多数あります。2024年度改正で本当に実現するか否かは、これから注意深くみていく必要があるでしょう。国は今年度も実態把握(*)に取り組んでおり、私もこうした動向から目を離さないようにしていきます。


* 今年度の実態把握=老健事業「地域の特性に応じた訪問介護サービスの提供体制のあり方に関する調査研究事業」


◆ 影響が大きいサービスは…


ここで、新サービスが創設された場合の業界への影響を考えてみたいと思います。相応の影響が及ぶとみられるのは、競合する小規模多機能型居宅介護、訪問介護、通所介護ではないでしょうか。


中でもインパクトが大きいのは、小多機だと思います。理想的なサービスモデルであり、事業所の拡大が長く期待されながら、運営難易度の高さから思うように増加していない、というのが小多機の現状です。人材確保の困難さや、内部ケアマネジャーの体制による利用者獲得への影響などが、普及を阻む課題だと指摘されています。


小多機から宿泊を除いた新サービスでは、夜勤職員の確保が不要なことからも運営難易度が下がるので、事業所数が増加し、競争激化も想定されます。他方で運営難易度が上がる小多機は、宿泊設備の活用方法などの課題はありますが、新サービスへ転換する動きが出る可能性もあり得ると思います。


また、訪問介護に大きな影響が生じる可能性もあります。ヘルパーの人材不足が深刻化している中で、新サービスが創設されれば、職員・利用者の確保に向けた競争が更に厳しくなると予想されます。また、訪問介護は施設設備を有していないので、新サービスへの転換も困難と言わざるを得ません。


それに対して通所介護については、もちろん競合としての影響は生じますが、新サービスへの転換を選択する余地が最も大きいと言えるでしょう。事業者は新サービスの中身をしっかりと吟味し、転換のメリットとデメリットを精査していくことのできる立場にあります。いずれにせよ、新サービスの中身がどうなるかによって各サービスへの影響の度合いも異なりますので、今後の議論のゆくえがポイントとなります。


◆ ヘルパー資格なども論点に


最後になりますが、この新サービス創設の狙いと今後の論点について考察したいと思います。


先の審議会資料では、「都市部における居宅要介護者の様々な介護ニーズに柔軟に対応できるよう」との記載があります。ここからは、都市部でヘルパーの確保が困難なことから生じている、訪問介護や小多機の事業所不足への“代替としての役割”が期待されていると読み取れます。また厚労省は、複合型サービス・包括報酬を給付費管理の観点からも推進していきたい立場であり、そのような背景から今回の新サービス創設が検討されたのだと推察されます。


その上で、新サービスが創設されることになった際の今後の議論のポイントを、改めていくつか確認していきます。例えば、


○ 報酬体系をどうするか、包括払いとするのか
○ 人員配置基準をどうするか、訪問サービスのヘルパー資格をどう扱うか
○ ケアマネジメントをどうするか、内部ケアマネの配置を義務付けるのか、居宅のケアマネが担うのか


などが注目ポイントとなるでしょう。


もっとも、まだまだこれらの論点については、厚労省内にも明確な答えや方針があるわけでは無いようです。今後の議論で決められることになるため、介護現場が団体などを通じてしっかりと意見していくことが重要であり、事業者はその議論のゆくえに注目していかなければなりません。(介護ニュースより)

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介護保険制度改正知っておきたい8つのポイント①

介護保険制度改正知っておきたい8つのポイント②

Q 時間外の計算は1分単位なのか、15分や30分単位でもいいのか

A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも

 構いません。

 

切り上げにしないと給料未払いに給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で1742分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。

 

休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で1742分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。

 

例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数がある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。

未払い残業は行政指導の対象に残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。

 

適切な時間管理とは厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。

 

  • 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
  • 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
  • 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。

 

労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。

固定残業代として定額を支給する際には慎重に固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。

  • 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
  • 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
  • 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること

 

この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。

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「芸福連携」で心豊かに 首都圏、障害者ら創作に力

高齢者や障害者がアーティストや文化芸術系団体、福祉系団体などと協力して芸術作品の創作に関わる「芸福連携」が首都圏で広がる。福祉施設内にアーティストが滞在したり、障害者の作品をデジタル化したりするなど、手法も多様化。アートと福祉が接近することで、高齢者や障害者に生きがいや心の豊かさをもたらすことを期待する。

 

 埼玉県東松山市の通所型介護施設「デイサービス楽らく」は9月、施設内にアーティストが滞在し、利用者とともに創作活動する「クロスプレイ東松山」というプロジェクトを始めた。アーティストが施設利用者とともに新たな芸術や高齢者ケアのあり方を模索する。

 

 同施設は6月、東松山市内で移転したのを機に芸術活動スペースを設けた。22年度はダンサーの白神ももこさんら3組のアーティストが定期的に施設を訪れ、滞在する。滞在を希望するアーティストも公募している。同施設関係者は「高齢者とアーティストが直接交流する時間と場所をつくることで、豊かなケアの発想が生まれる」と話す。

 

 障害者の芸術活動を支援する動きも広がる。パソナグループの特例子会社、パソナハートフル(東京・港)は、本社が入居するビルの2階に「アート村シーズンギャラリー」をオープンした。同社が雇用する知的障害者ら25人のアーティストが描いた絵を展示している。

 

デイサービス楽らくでは、高齢者とアーティストが協力して創作活動に取り組んでいる(埼玉県東松山市)

 

 千田貢美加企画室長によると、同社が障害者アーティストの育成に取り組み始めたのは約15年前。雇用したアーティストはおよそ1年かけて個性に適した画材やモチーフを探す。作品を販売するほか、企業から作品制作を受注することもある。障害者をアートデザイナーとして雇いたい企業向けのコンサルティングも始めた。

 

 障害者と文化・芸術の接点を増やすことは、障害者の生活の質を高める有効な手段の一つとされる。ニッセイ基礎研究所の21年の調査によると、文化芸術活動に関心を持つ障害者は88%いた。ただ過去1年間で実際に文化芸術活動に取り組んだ人は67%に低下する。障害者と芸術をつなぐ仕組みが求められている。

 

 障害者アートの裾野を広げようと、デジタル分野で支援するのが社会福祉法人の千楽(千葉県浦安市)だ。一般社団法人デジタルステッキ(横浜市)と組み、障害者が制作した仮想現実(VR)アートの作品の展覧会を開いている。発達障害などがある利用者がVRゴーグルを装着し、コントローラーで立体的な絵のような作品を制作する。

 

 展覧会はクラウドファンディング(CF)で資金を集め、130人以上から170万円以上の支援を受けた。今年12月に広島で展覧会を開くほか、CFの支援者らを対象にVRアートの体験会を111923日に浦安市内で開く。

 

 一般社団法人ソーシャルアートラボ(神奈川県藤沢市)は2月から、障害者のアート作品を非代替性トークン(NFT)化してネット販売する試みを始めた。スマートフォンゲームのモバイルファクトリー子会社が運営するNFT取引所「ユニマ」を通じ、障害者アーティストなど数十人の作品100点以上を出品した。

 

 価格は1万円前後から10万円近いものまである。購入者は作品の所有権をもち、印刷したり、SNS(交流サイト)で公開したり、メタバースなどの「バーチャルギャラリー」で展示したりできる。「障害者本人からやってみたいという連絡が多く寄せられている」(同団体の福室貴雅代表理事)

 

 出品した作品はこれまで1割ほどが売れた。福室氏は「障害を特別視するのではなく、芸術を通じて一緒に生きられる世界をつくる手伝いをしたい」と話す。高齢者や障害者と芸術の接点を広げるために、官民問わず様々な支援が求められる。(日本経済新聞 11月17日)

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介護事業所に財務諸表の公表を義務付け 厚労省方針 経営状況の見える化へ 2024年度から

《 社保審・介護保険部会 14日 》

厚生労働省は14日、全ての介護サービス事業所に経営状況が分かる財務諸表などの公表を義務付ける方針を固めた。今後、2024年度からの適用に向けて制度の細部を詰めていく。

次の介護保険制度改正をめぐる議論を進めている審議会で提案。委員から大筋で了承を得た。


経営状況の透明性を高めることが目的。事業所への補助や介護職員の処遇改善などを含め、介護サービスの充実を目指す各種施策の精度の向上につなげる狙いがある。政府が今年6月に閣議決定した「骨太の方針」でも、こうした“費用の見える化”を要請されていた経緯がある。


厚労省は今回の審議会で、利用者のサービスの適切な選択を後押しする視点も踏まえ、「介護サービス情報公表システム」を通じた財務諸表などの公表を事業所に求めていくことを提案。介護職員1人あたりの賃金などを、公表の対象項目として新たに加える意向も示した。


併せて、介護事業者が財務諸表などを定期的に都道府県へ届け出ることを義務化してはどうかと説明。集まった情報を有効活用するためのデータベースを、国として整備していく計画も明らかにした。


こうした新ルールへの強い反対意見は出ていない。会合では委員から、「現場の事務負担やコストの増加を招かないようにして欲しい」などの声があがった。


現行の制度でも、障害福祉サービス事業所には情報公表システムを通じた財務諸表などの公表が求められている。また社会福祉法人には、財務諸表などの作成・公表・届け出が既に義務付けられている。(介護ニュースより)

 

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特養の要介護1と2の「特例入所」、柔軟な運用も可能 厚労省が制度の趣旨を再周知へ

厚生労働省は14日、2024年度に控える次の介護保険制度改正をめぐる議論を進めている審議会で、原則として要介護3以上となっている特別養護老人ホームの入所基準を取り上げた。

要介護1と2の高齢者でも施設へ入れるようにする「特例入所」について、その趣旨を改めて明確化するための周知を行うと説明。要介護3以上の原則が厳しく適用され、要件を満たしていても「特例入所」が認められない地域があると指摘されていることを踏まえ、個々の実情に応じた柔軟な運用が可能だと改めて強調する考えだ。


会合後、取材に応じた厚労省関係者は「あくまでも趣旨の明確化。要介護3以上の原則を大きく変えるような入所基準の思い切った緩和は今のところ想定していない」と述べた。


特養の「特例入所」は現行、やむを得ない事情で特養以外での生活が難しい場合などに認められる。具体的には、


○ 認知症や知的障害、精神障害などにより、日常生活に支障をきたすような症状・行動が頻繁に見られ、在宅生活の維持が困難な状態


○ 家族による深刻な虐待が疑われるなど、心身の安全・安心の確保が困難な状態


○ 家族による支援が期待できず、地域での介護サービスや生活支援の提供も十分に期待できないことなどにより、在宅生活の維持が困難な状態


などが該当すると規定されている。


厚労省はこうしたルールを、より分かりやすく具体的に示すことなどで改めて周知する方針。特養の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長は会合で、「地域によっては在宅サービスの供給量が不足しているため、特例入所の柔軟な適用が必要。自治体の理解が深まるようお願いしたい」と要請した。(介護ニュースより)

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