介護
厚生労働省は15日、全国の高齢者施設でこれまでに発生した新型コロナウイルスのクラスターの発生件数が、9月13日0時の時点で計1953件にのぼったと明らかにした。
前週から34件増えた。デルタ株の影響などで一時は増加傾向が鮮明となったが、この2週はほぼ横ばいで推移。介護現場はリソースも乏しいなか必死の感染防止策を長く続けており、速やかな支援策の拡充が求められている。
田村憲久厚労相は15日の衆院・厚労委員会の閉会中審査で、「新規感染者数は全国的にかなりのスピードで減ってきているが、今後の動向を注視しなければいけない。冬場になるとより換気しずらいとなったが、この2週はほぼ横ばいで推移。介護現場はリソースも乏しいなか必死の感染防止策を長く続けており、速やかな支援策の拡充が求められている。(介護ニュース)
福祉施設等の労働者にとって重要な能力やスキル
福祉施設等を運営する企業が、施設の職員にとって重要だと考えている能力とは、どのようなものなのでしょうか。ここでは 6 月に公表された調査結果※から、福祉施設等(以下、医療,福祉)の企業が労働者にとって最も重要だと考える能力やスキルをご紹介します。
最も重要な能力やスキルは
上記調査結果から、医療,福祉の企業が最も重要と考える能力やスキルを、管理職を除く正社員(50 歳未満と 50 歳以上)と正社員以外の別にまとめると、下表のとおりです。
50 歳未満の正社員では、職種に特有の実践的スキルが 59.0%で最も高くなりました。チームワーク、協調性・周囲との協働力も 50%を超えました。コミュニケーション能力・説得力も 3番目に高い状況です。
50 歳以上の正社員では、チームワーク、協調性・周囲との協働力の割合が最も高く 50.4%となりました。次いで職種に特有の実践的スキル、3 番目にはマネジメント能力・リーダーシップが入りました。この年代の正社員には、マネジメント能力やリーダーシップが重要だと考える企業が多いようです。
正社員以外では、チームワーク、協調性・周囲との協働力の割合が 74.1%で最も高く、次いで職種に特有の実践的スキルが 61.0%、コミュニケーション能力・説得力が 43.5%となりました。
年代などに関係なく重要な能力は
いずれの労働者においても、職種に特有の実践的スキルとチームワーク、協調性・周囲との協働力を最も重要と考える割合が高くなりました。コミュニケーション能力・説得力も 50 歳以上の正社員では 4 番目に高くなっていることから、これらは年代や労働者の種類に関係なく、医療,福祉においては重要な能力やスキルと考えられているようです。
施設の更なる成長には、こうした能力やスキルを高めることが重要でしょう。
※厚生労働省「令和 2 年度能力開発基本調査」
全国の常用労働者を 30 人以上雇用している 7,392 企業などを対象に 2020 年 12 月 1 日時点の状況を調査しています。詳細は次の URL のページからご確認ください。https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/104-1.html
エイジフレンドリー補助金 10 月末まで
60 歳以上の高年齢労働者にとって働きやすい職場環境を整備することを支援する制度(エイジフレンドリー補助金)の申請受付が始まっています。この制度は医療・福祉業務にも活用できる補助金で、感染予防の費用も対象です。
対象となる事業者
次の要件すべてを満たす中小企業事業者が対象です。
①60 歳以上の労働者を常時 1 名以上雇用
②労働保険に加入
③一定規模以下
③の規模は、医療・福祉では、常時使用する労働者数が法人全体で 100 人以下か、資本金又は出資の総額が 5,000 万円以下の事業者が該当します(資本金や出資金のない場合は、常時使用する労働者数により判断)。
補助金額と対象となる経費
高年齢労働者のための職場環境改善※に要した経費(物品の購入、工事の施工等)の 2 分の1 が補助されます。上限額は 100 万円(消費税を含む)です。
※補助対象となる職場環境改善策
・ 働く高齢者の新型コロナウイルス感染予防
・ 身体機能の低下を補う設備・装置の導入
・ 健康や体力状況等の把握
・ 安全衛生教育の実施
自動浴槽とリフトは対象?
入浴用ストレッチャー、リフトやこれらに対応した浴槽、自動浴槽は対象
電動ベッドは対象?
介助者の腰痛防止効果はあるものの、被介助者側の負担軽減等が主目的のため、対象外
付属の見守り装置や褥瘡防止ベッドも対象外
車いすは対象?
原則は対象外
スライディングボード使用時に片ひじが外せる等、高年齢労働者の身体的負担軽減に効果がある機能を有する車いすは対象
施設での入浴介助作業に使う機器は?
クールベストや労働者に直接冷風を当てる機器等、介助作業に従事する労働者の体温上昇の抑制に直接的な効果が期待できるものは対象
令和 3 年度の申請受付は 10 月末日まで。詳細は以下のホームページでご確認ください。
《 厚労省 》
厚生労働省は8日、全国の福祉施設でこれまでに発生した新型コロナウイルスのクラスターの件数が3000件を超えたと発表した。
8日0時の時点で3107件。2955件だった前週から152件増えた。この4週間で約500件(497件)増加している。
福祉施設の中で最も多いのは高齢者福祉施設の1919件。全体の62%を占めている。このほか、障害者福祉施設が330件(11%)、児童福祉施設が858件(28%)となっている。
福祉施設のクラスターは、現場を支える職員の懸命の努力もあって一時は低水準に抑えられていた。ただ、感染力の強いデルタ株が猛威を振るう今回の第5波で再び状況が悪化。高齢者福祉施設で増加に転じたほか、児童福祉施設での発生が目立つことも最近の特徴と言える。前週からの増加幅をみると、高齢者福祉施設が35件、障害者福祉施設が20件、児童福祉施設が97件となっている。
専門家で構成する厚生労働省のアドバイザリーボードは8日の会合で、「ほぼ全ての地域で感染者の減少が続いているが、引き続き災害レベルの状況にあるとの認識での対応が必要」と指摘。「冬に向けて更に厳しい感染状況が生じる可能性もある」と改めて警戒を呼びかけた。(介護ニュースより)
政府は9日の新型コロナウイルス対策本部で、今後の日常生活の回復に向けた考え方を決定した。ワクチンの接種と検査での陰性を組み合わせて行動制限を緩和していく内容だが、介護現場の取り扱いはどうなっているのか。
今回の政府の決定には、介護施設の入所や面会などをどう考えるかという記載がない。9日夜に取材対応にあたった内閣官房の担当者は、「これからの議論だということ」と説明。その特性を考慮して更に検討を深めていく構えをみせた。
専門家らが今月3日にまとめた提言には、介護施設の入所や面会などに「ワクチン・検査パッケージ」を活用する案が盛り込まれていた。
西村康稔経済再生担当相は9日夜の会見で、「どんな場面で『ワクチン・検査パッケージ』を使えばいいのか。幅広い理解と協力を得なければいけない。国民的な議論を経て具体化していきたい」と説明。「介護施設でワクチンを2回接種した高齢者が感染する例も少し出始めている」とも述べた。
会見に同席した政府分科会の尾身茂会長は、「色々な選択肢があるが、まずは国民の共感や納得を得られなければうまく機能しない。政府が一方的に進めるようなことは避けるべき」と注文した。
政府は全ての希望者が2回のワクチン接種を終える11月頃から、「ワクチン・検査パッケージ」の運用を始めたい考え。今回の決定には、「ワクチンを接種していない人が不利益を被ることの無いよう十分に配慮する必要がある」と明記した。(介護ニュースより)
平時には無い負担がのしかかる状況は今も変わっておらず、トンネルの出口も一向に見えてこない − 。そう訴えている。
老健施設の経営者らで組織する全国老人保健施設協会は7日、日本認知症グループホーム協会とともに田村憲久厚生労働相へ要望書を提出した。公式サイトで明らかにしている。
新型コロナウイルス感染症に対応する特例的な評価の延長について
今年4月の介護報酬改定で導入された特例措置の話だ。国は現在、全サービスの基本報酬を9月までという期限付きで0.1%上乗せしている。コロナ禍で介護現場に"かかり増し経費"が生じていることを踏まえたもの。全老健などはこれを来月以降も存続させるよう求めた。
要望書では、変異ウイルス「デルタ株」の猛威などで全国的に感染が急拡大している現状に触れ、「施設・事業所では日々、様々な感染症対策を継続せざるを得ない」と説明。「医療機関の病床のひっ迫により、介護現場も陽性者の対応に追われ大変疲弊している」とも指摘し、特例措置の継続を強く主張した。
このほか、全国介護事業者連盟や全国老人福祉施設協議会なども同様の要望書を国へ提出している。全国老施協は慰労金の再支給も注文。政府・与党が追加の経済対策を策定するのを前に、介護関係団体の働きかけもより活発になっている。(介護ニュースより)
新たに介護業界へ入って働き始める未経験の人に最大20万円を支払う制度について、厚生労働省は来年度に向けて要件の見直しを検討していく。
初任者研修などを受けて介護職員になれば最大20万円を"就職支援金"として貸し、そのまま仕事を2年間続ければ返済を免除する − 。これが現行の制度だ。
注:介護職員になってから初任者研修などを受ける順序でも可。
厚労省が見直しを検討するのは、"2年間働く"という返済免除の条件。今後、来年度から弾力化、あるいは緩和することができないか調整していく。制度の使い勝手を向上させ、新規参入の呼び水としての機能を強化したい考えだ。
この制度は今年度から導入されたもの。深刻な人手不足の解消を図る施策の一環で、転職を考えている他分野の人に介護現場へ目を向けてもらう狙いがある。
自治体の任意事業という位置付けで、実際にこれを行うかどうかは都道府県の判断。厚労省は今後、全ての都道府県に制度を運用するよう重ねて要請していく構えだ。これまでの通知では現場の関係者らに対し、「実施時期などは都道府県によって異なる。詳細は都道府県の"地域医療介護総合確保基金"の担当部局へお問い合わせを」などと呼びかけている。
各都道府県の問合せ先などはこちら
この制度は主に無資格者、未経験者が対象だが、厚労省は介護現場を離れた有資格者、経験者が復帰する際に最大40万円を貸す同様の制度も用意している。また、介護福祉士の資格を目指して養成校へ通う人らに入学準備金、就職準備金などを貸す制度も設けており、いずれも継続的に展開していく方針だ。先月末に財務省へ提出した来年度予算の概算要求には、これらの財源を上積みするための費用として6.5億円を計上した。(介護ニュースより)
SOMPOケアは7日、今年度からグループの全社員を対象としてユマニチュードの研修を行っていく計画を発表した.
認知症の高齢者に対するサービスの質の向上につなげる狙い。「高齢社会を支えるリーディングカンパニーとして専門性の高いケアを追求していく。職員のモチベーションの維持・向上にもつながる」と説明している。
現場を支える介護職にとどまらず、利用者と接する機会の少ない本社勤務の社員なども全て対象とする方針。SOMPOケアの担当者は、「ユマニチュードはあらゆる対人援助の場面で活かせる。全社一丸となって高齢社会を支える一助になることを目指す」と話している。
全社員を対象に「ユマニチュード入門オープン研修」を開始
ユマニチュードは、知覚・感情・言語による包括的なコミュニケーションに基づくフランス発のケア技法。「ケアをする人とは」「人とは何者か」と問う哲学と、それに基づく実践的なテクニックから成り立っている。日本では2012年頃から展開されてきた経緯がある。
SOMPOケアは既に今年5月から研修を開始。今年度は約1200人の受講を見込んでおり、8月現在で約500人が修了しているという。担当者によると、来年度は新卒・キャリア採用あわせて約2000人の受講が計画されている。(介護ニュースより)
従業員に注意を促したい育児休業給付金の支給対象期間の延長
従業員は会社に申し出ることで、原則として子どもが1 歳に達するまで育児休業を取得することができます。また、保育所等へ入所できない等の一定の理由があるときには、最長、子どもが2 歳に達するまで育児休業を延長することができます。今回は育児休業を延長する際に、支給対象期間が延長となる育児休業給付金の注意点について確認します。
1. 育児休業給付の概要
雇用保険の被保険者である従業員が育児休業を取得し、一定の支給要件を満たしたときには、育児休業開始前の給与額に応じた育児休業給付金が従業員に支給されます。
この育児休業給付金は、育児休業を延長した際も一定の要件を満たしていれば、支給対象期間が延長され、引続き支給されることになっています。
2. 延長時の2 つの要件
育児休業を延長する理由の大多数は、子どもが1 歳に達するときに保育所等に入所できないというものです。
この際、育児休業給付金の支給対象期間が延長となるものは、「職場に復帰するために保育所等の入所を希望し申込みをしたものの、子どもが1歳に達する日の翌日(誕生日)に保育所等に入所できない場合」に限定されています。具体的には、次の2 つが要件となります。
①市区町村で保育所等の入所申込みを行っている
②入所申込み時の入所希望日が1歳の誕生日以前となっている
育児休業給付金の支給対象期間について延長の申請を行うときは、これらを証明する書類の添付が必要となります。待機児童が多い地域等では、入所申込みを行おうと市区町村に問い合わせたところ、「入所が困難」との返答があり、実際の申込みを行わないような事例もありますが、問合せをするだけでは支給対象期間延長の対象にはなりません。
また、入所申込みの際に、入所希望日を1歳の誕生日の翌日以降とした場合は、原則として支給対象期間の延長はできません(申込みの時点で誕生日までの入所が締め切られていた場合等の例外的な取扱いあり)。
なお、1 歳6 ヶ月から2 歳までの育児休業を延長する場合の支給対象期間の延長にかかる要件の確認も同様に行われます。
厚生労働省は支給対象期間の延長が認められない事例を示したリーフレットを公開し、手続きに誤解のないよう注意喚起をしています。本来、子どもを保育所等に預けて育児休業から復帰するかは、従業員個人の選択にはなりますが、育児休業は延長するものの、育児休業給付金の支給対象期間の延長が認められないというような事態とならないように、従業員にしかるべき手続きを促すとよいでしょう。
2022 年10 月から始まるパートタイマーへの社会保険適用拡大
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。
総務部長
今後、社会保険に加入すべきパートさんの基準が変更になると聞きました。当社も対象になるのか気になっています。
社労士 社会保険は正社員のほか、一定の要件を満たしたパートタイマー等(短時間労働者)も加入することになっていますが、2022 年10 月以降、この加入するべき基準が変更になります(社会保険の適用拡大)。現時点の短時間労働者の加入要件を確認すると、①週の所定労働時間が20 時間以上あること、②雇用期間が1年以上見込まれること、③賃金の月額が88,000 円以上であること、④学生でないこと、⑤従業員数が501人以上の事業所(特定適用事業所) であること、の5 点があります。
総務部長
当社は従業員数が少ないので、正社員の労働日数・労働時間数の4 分の3 という従来からの基準で判断しているのですね。
社労士 はい、そうです。今後、この⑤の基準が、2022 年10 月から従業員数101人以上、2024年10 月から従業員数51人以上の事業所へと拡大されます。該当する事業所であるかを判断する際の従業員数は、厚生年金保険の被保険者数を用います。
総務部長 当社の厚生年金保険の被保険者数は約110 人であるため、この状況が継続すれば2022年10 月から該当しますね。
社労士 そうですね。パートタイマーの中には、健康保険の被扶養者(国民年金の第三号被保険者)として勤務を希望する人も多くいるかと思います。社会保険の適用拡大により被保険者となる方を把握し、その方たちに早めに、社会保険に加入することになる旨の説明が必要となります。
総務部長 なるほど。なるべく早めに対応します。
社労士 なお、冒頭で説明した②「雇用期間が1年以上見込まれること」についても、2022 年10月から「雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれること」に変更されます。
総務部長 承知しました。当社では影響は少ないかと思いますが、今後対象者が出てくるかもしれませんので、気を付けておきます。
社労士 社会保険の適用拡大は、パートタイマーだけでなく会社としても社会保険料の負担が大きくなります。厚生労働省は「社会保険適用拡大特設サイト」で社会保険加入に関する説明資料を公開し、また、社会保険料の負担額のシミュレーションができるようにしています。これらもぜひ活用してください。
ONE POINT ①特定適用事業所の要件が、2022年10月から従業員数101人以上、2024年10月から従業員数51人以上の事業所へと変更される。
②社会保険の適用拡大に向けて、新たに被保険者となるパートタイマーへの説明等の準備を進めておくとよい。