介護
5月から変更された雇用調整助成金の特例措置等
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大により、雇用調整助成金に特例措置が設けられ、これまで多くの申請が行われてきました。現状でも一部地域で緊急事態宣言が発出されるなど、未だ新型コロナの感染拡大が収束する見通しは立ちませんが、5月からは雇用調整助成金の原則的な措置の縮減が行われる一方、感染が拡大している地域、特に業況が厳しい企業等についての特例が設けられました。
1.助成額と助成率の見直し
新型コロナの影響に伴う雇用調整助成金の特例は、2021年5月および6月について、①全国の原則的な措置、②地域特例(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請を受けて、一定の営業時間の短縮等に協力する飲食店等の事業所)の措置、③業況特例(生産指標が前年または前々年の同期と比べ、最近3ヶ月の月平均値で30%以上減少した全国の事業所)の措置、の3つに分かれます。②③については2021年4月までの特例が、2021年5月および6月にも適用されることになりますが、①については、雇用調整助成金等の1人1日あたりの助成額の上限が13,500円に、事業主が解雇等を行わず、雇用を維持した場合の中小企業の助成率が9/10に引き下げられました(右表参照)。
なお、緊急事態宣言が発令された地域では、厚生労働省令の改正等が行われ、特例措置が設けられる予定です。
2.対象者と支給上限日数の見直し
1.のほか、支給対象者と支給上限日数について、以下の見直しが行われました。
- 継続して雇用された期間が6ヶ月未満の雇用保険被保険者についても助成の対象者とすること等について、雇用調整助成金の対象期間の初日が2020年1月24日から2021年6月30日までの間にある場合に変更する。
- 新型コロナの影響による休業等について、雇用調整助成金に係る支給上限日数に加えて支給を受けることができること等とする期間を、2020年4月1日から2021年6月30日までに変更する。
2021年3月25日の厚生労働省の発表によると、7月以降については雇用情勢が大きく悪化しない限り、1.の措置についても、それぞれさらに縮減される予定です。新型コロナの感染状況とともに、雇用調整助成金の情報についても確認することが求められます。(2021年5月6日現在の情報に基づき作成しています。)
(次号に続く)
政府の規制改革推進会議は1日、日本のデジタル化の遅れを取り戻すことを柱に据えた今年度の答申をまとめ、菅義偉首相に具体化を要請した。
介護分野では現場の生産性向上、働き方の転換が不可欠と改めて指摘。職員が担う介護記録の作成・保存、それに基づく報酬請求事務の電子化を進めるべきと強く求めた。あわせて、行政へ提出する書類の簡素化、標準化、オンライン化も加速させるよう訴えた。
多くの現場でペーパーワークが重い負担になっている実態がある、と重ねて問題を提起。今後の働き手の減少、介護ニーズの増大を念頭に、「職員が必要な対人サービスに専心できる環境を早期に構築すべき」と強調した。
厚生労働省の現在の取り組みについては、「道半ば」と厳しく評価。事業所の指定申請・報酬請求の手続きをWebで一元的に行える新システムの構築などを急ぐよう注文した。
今回の答申ではこのほか、ICTやロボット、AIなどの活用を介護現場で幅広く普及させる観点から、引き続き報酬上の評価の見直しを検討すべきと提言。事業所間のケアプランの電子的な送付・保存を可能とする「ケアプランデータ連携システム」の運用を、できるだけ早く始めることも要請した。(介護ニュースより)
介護現場へ専門家を派遣して実地研修を行ってもらう
取り組みについて、厚生労働省は5月31日、
参加する施設・事業所の2次募集を開始しました。
希望日は7月1日から12月24日までの間で選択可能、
受け付け上限は200事業所ほどだとのこと。
関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さい。
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/000786022.pdf
骨太方針2021(仮称)を睨み、財政制度分科会(財務省)が建議を公表
今後の社会保障改革を睨み、“国の金庫番”とも呼べる財務省が介護業界に向けた改革論点の叩きをあらためて示したのが2021年4月15日(財政制度分科会にて)。その後、議論が更に精緻化される中、国の航海羅針盤とも表現できる“骨太方針2021(仮称)”への反映を念頭・目標に、財務省から正式な建議(正式名称:財政健全化に向けた建議)が5月21日に公表されました。今月のニュースレターでは、同省が作成した建議資料の中で特に介護事業者に関連するであろう9個の論点について確認してまいります。
「財政健全化に向けた建議」示された論点とは
では、早速、中身に移ってまいりましょう。ここでは本資料で示された資料を一気に紹介する形で進めてまいります。尚、重要と思われる部分には下線を引いておりますので、併せて是非、ご確認いただければ幸いです。
ア)利用者負担の見直し
介護保険制度の持続可能性を確保するため、利用者負担の更なる見直しといった介護保険給付範囲の見直しに取り組む必要がある。
利用者負担については、2割・3割負担の導入を進めてきたが、今般の後期高齢者医療における患者負担割合の見直しを踏まえ、令和6年度(2024年度)に開始する第9期介護保険事業計画期間からの実施に向けて、サービスの利用者負担を原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図ることを検討していく必要がある。
イ)介護人材確保の取組と ICT 化等による生産性向上
今後、高齢化による介護需要の増加により、生産年齢人口が減少する中で、介護人材は増加が求められる。こうした中で、新型コロナの影響による離職者の介護分野への職業転換施策を一層強化し介護人材確保のための取組を進めるとともに、サービスの質を確保しつつ、より少ない労働力でサービスが提供できるよう、配置基準の緩和等も行いながら、業務の ICT 化等による業務効率化を進めていく必要がある。
また、介護サービスの経営主体は小規模な法人が多いことを踏まえ、令和4年(2022年)6月までに施行される社会福祉連携推進法人制度の積極的な活用を促すなど、経営主体の統合・再編等による介護事業所・施設の運営効率化を促す施策もあわせて講じていく必要がある。
こうした取組は、介護職員の働きやすい職場を実現するとともに、介護職員の処遇改善の余地をもたらす。今後、我が国において就業者数の大幅な減少が見込まれる中、介護サービスを安定的に提供していくために必要不可欠な取組である。
ウ)ケアマネジメントの在り方の見直し
居宅介護支援(ケアマネジメント)については、要介護者等が積極的にサービスを利用できるようにする観点から、利用者負担をとらない例外的取扱いがなされてきた。
しかしながら、介護保険制度創設から約20年が経ち、サービス利用が定着し、他のサービスでは利用者負担があることも踏まえれば、利用者負担を導入することは当然である。
そもそも、制度創設時、ケアプラン作成は「高齢者の自立を支援し、適切なサービスを確保するため、…そのニーズを適切に把握したうえで、ケアプランを作成し、実際のサービス利用につなぐもの」とされていたが、その趣旨にそぐわない実情も見られる。具体的には、ケアマネ(居宅介護支援)事業所の約9割が他の介護サービス事業所に併設しており、「法人・上司からの圧力により、自法人のサービス利用を求められた」という経験を見聞きしたケアマネジャーが約4割いるなど、サービス提供に公正中立性の問題が存在することが窺うかがえる。さらに、ケアマネジャーは、インフォーマルサービスだけでなく、介護保険サービスをケアプランに入れなければ報酬を受け取れないため、「介護報酬算定のため、必要のない福祉用具貸与等によりプランを作成した」ケアマネジャーが一定数いることが確認されている。
利用者が自己負担を通じてケアプランに関心を持つ仕組みとすることは、ケアマネジャーのサービスのチェックと質の向上にも資することから、令和6年度(2024年度)に開始する第9期介護保険事業計画期間から、ケアマネジメントに利用者負担を導入すべきである。また、福祉用具の貸与のみを行うケースについては報酬の引下げを行うなどサービスの内容に応じた報酬体系とすることも、あわせて令和6年度(2024年度)報酬改定において実現すべきである。
エ)多床室の室料負担の見直し
制度創設時から、「施設介護については、在宅介護とのバランスや高齢者の自立が図られてきている状況から見て、食費等日常生活費は、利用者本人の負担とすることが考えられる」とされていた。
このため、平成 17 年度(2005 年度)に、食費と個室の居住費(室料及び光熱水費)を介護保険給付の対象外とする見直しを実施(多床室は食費と光熱水費のみ給付対象外)し、平成 27 年度(2015 年度)に、特養老人ホームの多床室の室料負担を基本サービス費から除く見直しを行った。しかしながら、介護老人保健施設・介護医療院・介護療養病床の多床室については、室料相当分が介護保険給付の基本サービス費に含まれたままとなっている。
居宅と施設の公平性を確保し、どの施設であっても公平な居住費(室料及び光熱水費)を求めていく観点から、令和6年度(2024年度)に開始する第9期介護保険事業計画期間から、給付対象となっている室料相当額について基本サービス費等から除外する見直しを行うべきである。
オ)地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の在り方の見直し
地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業は、保険者である各市町村が高齢者の伸び率を勘案した事業費の上限内で事業を実施し、その枠内で交付金を措置する仕組みとしているが、厚生労働省が定めるガイドライン上、「一定の特殊事情」がある場合には、個別の判断により事業費が上限を超えても交付金の措置を認めることとされている。
「一定の特殊事情」の判断要件は、「費用の伸びが一時的に高くなるが、住民主体の取組等が確実に促進され費用の伸びが低減していく見込みである場合」とされているが、相当数の保険者が3年連続で上限を超過している。また、「介護予防に効果的なプログラムを新たに導入する場合」をはじめ、当該要件を充足する場合として例示されているケースも、エビデンスに基づくものとは言い難い。さらに、判断要件が例示にとどまり、例示以外の理由での申請も認めていることから、単なる事業量や利用者数の増加等を理由とした申請が相当数行われ、「一定の特殊事情」とは認めがたい申請も含めてすべての上限超過が認められている。
上限が機能せず、形骸化しており、重要な制度改革の根幹がこのような運用となっていることは看過できない問題であり、速やかに上限超過を厳しく抑制すべきである。
カ)区分支給限度額の在り方の見直し
介護サービスは生活に密接に関連し利用に歯止めが利きにくいこと等から、制度創設時に、「高齢者は介護の必要度に応じて設定された介護給付額の範囲内で、自らの判断と選択により実際に利用したサービスについて保険給付を受けることができることとすることが適当である」とされ、要介護度ごとに区分支給限度額が設定された。
しかしながら、制度創設以降、様々な政策上の配慮を理由に、区分支給限度額の対象外に位置付けられている加算が増加している。
制度創設時に企図したように、設定された限度額の範囲内で給付を受けることを徹底すべきであり、令和6年度(2024年度)に開始する第9期介護保険事業計画期間に向けて、特に生活と密接に関連している度合が高いと考えられる、居宅における生活の継続の支援を目的とした加算をはじめ、加算の区分支給限度額の例外措置を見直すべきである。
キ)居宅サービスについての保険者等の関与の在り方
居宅サービスについては、制度創設以来、事業所数が大きく増加している。また、居宅サービスが充実する中で、訪問介護や通所介護の1人当たり給付費が、全国平均と比べて極めて高い水準となっている地域もある。
こうした中、市町村が地域のサービス供給量をコントロールするための方策として、都道府県が指定権者である居宅サービスのうち、訪問介護・通所介護・短期入所生活介護について、市町村が、都道府県に事前協議を申し入れ、その協議結果に基づき、都道府県が指定拒否等を行う枠組み(いわゆる「市町村協議制」)がある。しかしながら、あくまで定期巡回サービス等を普及させる観点から、事前協議を申し入れ、競合する訪問介護等の一部サービスを指定拒否できることとされる扱いに留まっている。同様に、市町村が指定権者である地域密着型通所介護についても、あくまで定期巡回サービス等を普及させる観点から指定拒否ができることとされている。
一方で、定期巡回サービス等は創設から約10年以上経過し、サービスの普及が進んでいる。こうした点も踏まえ、全サービスの居宅サービス事業者及び地域密着型通所介護の指定に取り組む必要がある。定期巡回サービス等の普及の観点にかかわらず、サービス見込み量を超えた場合に、市町村が都道府県への事前協議の申し入れや指定拒否ができるようにし、保険者である市町村が実際のニーズに合わせて端的に地域のサービス供給量をコントロールできるようにすべきである。また、都道府県及び市町村がより積極的に制度を活用できるよう、国はガイドラインや取組例の発出等の支援を速やかに行うべきである。
ク)軽度者に対する居宅療養管理指導サービス等の給付の適正化
近年、居宅療養管理指導・訪問看護・訪問リハビリテーションといった医療系の居宅系サービス費用が、総費用や要介護者数の伸びを大きく上回って増加している。
居宅療養管理指導等のサービスは、原則、「通院が困難な利用者」に対して給付することとされているが、軽度者(要支援1・2、要介護1・2)の費用の伸びが顕著な状況であり、実態として「通院が困難な利用者」以外にもサービスが提供されていないか、速やかに把握を行う必要がある。
例えば、居宅療養管理指導については、薬局の薬剤師による軽度者へのサービス費用が大きく増加している。「必要以上に居宅療養管理指導を利用するプランを作成した」ケアマネジャーが一定数いることが確認されており、「少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、居宅療養管理指導費は算定できない」と算定要件が明確化されたことも踏まえ、算定要件を満たす請求のみが適切に行われるようにすべきである。
ケ)介護サービス事業者の経営状況の把握
介護及び障害福祉サービス等事業者は、法令上、サービス提供内容等の運営情報について都道府県に報告を行い、都道府県は、厚生労働省が設置する「介護サービス情報公表システム」及び「障害福祉サービス等情報検索」で報告を受けた内容を公表することとされている。このうち、障害福祉サービス等については、すべての法人について、「事業所等の財務状況」の都道府県への報告及び「障害福祉サービス等情報検索」における公表が法令上義務化されている一方で、介護サービスについては、法令上何ら規定がなく、公表が義務化されていない。
このため、介護サービスについても法令改正を行い、損益計算書をはじめとする事業報告書等の報告・公表を義務化し、介護サービス事業者の経営状況の「見える化」を速やかに推進すべきである。
また、障害福祉サービス等については、法令上、報告・公表が義務化されているにもかかわらず、「障害福祉サービス等情報検索」での財務状況の公表が低調であるため、法令に従い、財務状況を公表するように徹底すべきである。
国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を
以上、「財政健全化に向けた建議」より、介護事業者に直接関係のある部分から論点を幾つか抜粋してお伝えさせていただきました。本内容は国全体の方針ではなく、あくまで「財務省」という一省庁の視点に基づいた建議である、ということはしっかり認識しておく必要はあろうかと思いますが、それでも「財政健全化」が叫ばれる我が国としては、財務省の挙げる声に一定の重みがあることも否めない事実だと思われます。
事業者としては上記内容を踏まえつつ、「もしこれらの施策が実行された場合にどう対応するか?」について事前に頭を働かせておくことが重要だと言えるでしょう。私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※上記内容の参照先URLはこちら↓
↓
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20210521/01.pdf
【介護・保育】人財定着ブログ5月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは㉓」
の続きです。
面談のポイント
①「評価点」「改善点」の両方をしっかりと部下に伝える
「ここがダメだった、あれも悪かった」などと、悪かった部分の指摘ばかりをすると、
部下・後輩は「失点を少なくすること」を意識し過ぎ、積極性を失います。人事評価の最大のねらいは「部下育成」です。評価においては、「しっかりとほめる」ことを忘れずに、必ず「評価できる点」と「改善点」の両方をしっかりと被評価者にフィードバックしてください。この明確なフィードバックが評価の透明性および納得性につながります。
②改善点の指摘には具体的なアドバイスを添える
評価においてはほめることが重要ですが、やはり改善点に触れておくことが必要です。
改善点を指摘する際には、自身の経験などを交えながら具体的なアドバイスを心がけます。部下の立場に立った適切なアドバイスが評価の信頼性の確保につながります。
【アドバイス例】
×: 業務を進めるうえで独断的なところがある。直したほうがいいよ。
○: △業務については、○○さんがスペシャリストだから、
○○さんと相談しながら進めたほうが良いと思うよ。私も若いころはすべて自分で
背負い込んでいたが、他の人の力を借りるのも大切な能力だって最近は思うよ。
(4) 下位評価を伝える際のポイント
①面談の流れ
・事前に問題だと感じることを徹底的に調べ、課題点を洗い出しておく(同時に解決策も考えておく)
・相手の気持ちに配慮しながら下位評価を伝える
・事前に用意しておいた課題点を本人と確認しながら、解決策を考える
・一緒に課題を解決しよう、という姿勢を示す
・期待をつげ、フォローする
②面談時のポイント
・何が問題なのかを明確にする
例えば仕事の手順が問題になっているということを伝えたい場合、必ず、「問題は仕事の手順だけ」であることをはっきりと伝えます。特に大切なのは、全てを否定しているわけではないということを明確にすることが必要です。
・自分の考えや意見を理解してもらうために、一度全てを受け入れる
自分の考えや意見を理解してもらうためには、一度相手の意見を受け入れた上で、
双方の問題点を整理していくようにします。
どちらかの意見に間違ったところがあっても、すべての意見を伝え合ったあとに話し合い、
修正していけば良いのです。
以上が、評価の結果を伝えるフィードバック面談の留意点となります。
2、重要なコミュニケーション手段としての面談
もちろん面談は評価結果を伝えるだけでなく、とても大切なコミュニケーションの手段です。介護職に携わるひとたちは、心に秘めた思いが強いがゆえに感情が先走ってしまい、その思いを言葉にして相手に伝えたり、自分の状態を認識して言葉にしたりするのが苦手な人が多いという特徴があります。そのためか、「うまく言葉にできないのですが・・・」ということをよく言います。また、ご利用者のためを思い、要求にこたえていくうちに際限がなくなり、自ら自己犠牲のモードに入っていき、結局はつらくなって辞めてしまう人もいるということをお伺いします。従って、上司はまずコミュニケーションをとりながら、かれらの気持ちや想いをよく聞くことが大切になります。そのような過程を経ずに、目標を押しつけてもそれは「やらされること」になってしまいストレスの温床になってしまうのではないでしょうか。したがって、まずはできるだけコミュニケーションの「場」を作ることが必要です。そもそも、日本人には求められないから主張しないという人が圧倒的に多いので、「ただコミュニケーションが大切」「部下とのコミュニケーションをとってください」といわれても「場」が無ければコミュニケーションをとることはなかなか難しいものです。ですから、上司やリーダー層の人たちは部下とのコミュニケーションの場をできるだけ多く、積極的に作っていくことが必要です。この「場」作りを、職場の「仕組み」にすることが出来れば
「場」づくりが業務の一つであるという認識が上司やリーダー層にできるようになり、
それによりコミュニケーションの「量」は飛躍的の増えることになります。
つまりここで大切なのは、コミュニケーションの時間は業務として作り出すものであって、「仕事に余裕があったら行う」ものではないという認識が必要であると考えています。
話を聞く「場」である面談を「定期的に」行う仕組みづくりを是非行っていただきたいと思います。そのような話をすると、現場管理者から言われるのは「人手不足でそんな時間的余裕がない」とか「上司と部下のシフトを調整するのが大変」もしくは「仕事でちゃんと声掛けでコミュニケーションをとっているからうちの職場は問題ない」といった言葉です。確かに慢性的な人手不足の中で現場を回していかなければならない現場管理者にとって、大きな負担であることはよくわかります。でも本当に部下とともに職場をよくしていきたいと思うなら、ぜひ「面談をやってみるには、どうすればいいのか」という発想で、施設長など経営陣の理解と協力を得ながら、実践のための知恵を絞っていただくことを、是非行っていただきたいと思います。
財務省の「財政制度等審議会」は21日、財政健全化に向けた施策を提言する報告書(建議)を麻生太郎大臣に提出した。政府が来月にも閣議決定する今年度の「骨太方針」に反映するよう求めている。
介護分野では利用者の自己負担に言及。現行では全体のおよそ90%の利用者が1割負担となっているが、これを"原則2割負担"へ改めていくよう注文した。あわせて、居宅介護支援のケアマネジメントでも自己負担を徴収すべき(現行は10割給付)と主張した。次の2024年度の制度改正をめぐる大きな焦点となる見通し。
こうした提言は、これから高齢化が更に加速していくことを念頭に置いたもの。財務省は膨らみ続ける給付費をなるべく抑制したい考えだ。保険料の上げ幅を小さく留め、現役世代の負担の軽減につなげる狙いもある。報告書には、「制度の持続可能性を確保するためには、給付範囲の見直しに取り組む必要がある」と明記した。
居宅のケアマネジメントについては、「制度創設から約20年が経ちサービスが定着した。他のサービスに自己負担があることも踏まえれば自己負担の導入は当然」と持論を展開。「利用者は自己負担を通じてケアプランに関心を持つ。ケアマネジャーのサービスのチェックと質の向上にも資する」とも指摘した。(介護ニュースJOINT)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う医療体制の逼迫を踏まえ、厚生労働省は21日、介護施設向けの新たな支援策を講じることに決めた。
感染した入所者が速やかに入院できず、保健所の指示などでそのまま療養を続けてもらわざるを得なくなった施設に対し、感染者1人につき最大15万円を追加で支払う。必要な感染対策の徹底、体制の整備などに役立ててもらう考えだ。今年4月1日まで遡って適用する。
この日、自民党のコロナ対策本部などの合同会議に報告。介護保険最新情報のVol.981で周知した。
新たな支援策は、都道府県ごとに用意されている基金(地域医療介護総合確保基金)を活用して実施される。対象は施設系サービス、居住系サービス、高齢者の住まいなど。特養や老健、介護医療院、ショートステイ、グループホーム、有料老人ホーム、サ高住などが該当する。
支給額は最大15万円。感染者が15日以内に入院できれば、「施設内で療養した日数×1万円」となる。ゾーニングやコホーティング(隔離)を行うこと、保健所との連絡体制をとることなどが要件だ。厚労省は21日に実施要綱も公表。こうした要件を確認するチェックリストも盛り込んだ。
例えば兵庫県神戸市や大阪府門真市のケースなど、施設で大規模クラスターが続発したことが1つのきっかけとなった。全国老人保健施設協会や全国老人福祉施設協議会など関係団体が支援策を要望。参議院の園田修光議員(前参院厚生労働委員長)らが菅義偉首相に具体化を直訴していた。
(介護ニュースJOINT)
愛知県内で介護付き有料老人ホームやグループホームなどを運営するメグラスが、利用者や家族によるハラスメントから介護職員を守る「スタッフプロテクション制度」を新たに導入した。
利用者や家族の言動を3段階に分類。ハラスメントに該当するケースなどが生じた場合、あらかじめ確立・周知してある措置を速やかに講じる。対応のマニュアル化を職場環境の改善、離職の防止につなげる狙いだ。
メグラスは今回、介護職員に対する利用者や家族の言動を、
青 = 正当なご指摘
黄 = 過剰なご要望
赤 = ハラスメント
の3つに分ける基準を作った。例えば「暴言」をみると、「バカ」「ヘルパーの分際で」「死ね」などの発言が週3回以上あると黄色。それが更に多くなり、やめるよう頼んでもやめないケースなどを赤色とした。
このほか、「暴力」「権威的態度・説教」「セクハラ」などの基準も設けている。一定の措置の対象となるのは黄色以上。具体的な対応としては、被害を受けた介護職員が相談できるLINEワークス上のフォームの作成、事例を具体的に検証する現場チームの編成、親族への報告・相談などを定めており、著しく悪質な場合は退去を求めることもあり得るという。
■「業界の当たり前を変えたい」
過去に利用者からハラスメントを受けた経験があるか?
三菱総合研究所が2018年度に実施した調査の結果によると、この質問に「ある」と答えた介護職員は特養で71%、介護付きホームで60%、小規模多機能で55%もいる。内容は殴られる、つねられる、体を触られる、暴言を吐かれる、見下される、過大なサービスを強要されるなど様々。これにより「仕事を辞めたい」と感じたことがある人は最大で4割にのぼる、とも報告されている。
メグラスは今年1月、ハラスメントを理由とする退職者が相次いだことをきっかけに社内プロジェクトを発足。この4月から「スタッフプロテクション制度」の導入に踏み切った。
取材に応じた広報担当者は、「認知症など本人の事情を最大限に配慮することは大前提。本当にハラスメントに該当するのかという検証は、事例ごとに専門職も加えて丁寧に実施する」と説明。「理不尽なハラスメントまで容認する業界の悪しき『当たり前』を変えたい、という思いでチャレンジすることにした。スタッフの保護とサービスの安定提供の両方を実現していきたい」と話している。
メグラスの取り組みは国の施策の方向性に沿ったものとも言える。厚生労働省は今年度の介護報酬改定で、利用者や家族によるハラスメントへの対策を強化。全てのサービスの運営基準に、「必要な措置を講じなければならない」と書き加えた経緯がある。(介護ニュースJOINT)
福祉施設等における休日や休暇の現状
ここでは、2021 年1 月に発表された調査結果※から、福祉施設等における休日や年次有給休暇に関するデータをみていきます。
年間休日は平均で114.4 日
上記調査結果から、福祉施設等(以下、医療,福祉)の2019 年または2018 会計年度(以下、2019 年)の年間休日階級別の企業割合をまとめると、表1 のとおりです。
医療,福祉では年間休日が120~129 日の割合が最も高く、全体の36.4%を占めています。調査産業計も同様に、120~129 日の割合が最も高くなりました。ただし医療,福祉は、調査産業計より10 ポイント以上低い状況です。
なお、労働者1 人平均年間休日総数は、医療,福祉が114.4 日、調査産業計が116.0 日となっています。
平均取得日数は7~8 日程度
次に医療,福祉(企業規模30~99 人)の労働者1 人平均の年次有給休暇(以下、有休)付与日数と取得日数、取得率をまとめると表2 のとおりです。
2019 年の平均付与日数は男性が16.8 日、女性が16.1 日となりました。平均取得日数は男性が7.6 日、女性が8.8 日です。平均付与日数・取得日数ともに、調査産業計より少なくなりました。平均取得率は男性が45.2%、女性が54.8%で、こちらも調査産業計より低い水準です。
男女別にみると、医療,福祉と調査産業計のどちらも、平均付与日数は男性の方が多いものの、平均取得日数は女性の方が多く、平均取得率も高くなっています。
ちなみに同調査によると、医療,福祉では、有休の計画的付与制度(労使協定によって前もって休暇取得日を割り振る制度)がある割合は、35.6%となっています。
休日や休暇は、待遇面で重視されるポイントです。自施設の現状と比べてみてはいかがでしょうか。
※厚生労働省「令和2 年就労条件総合調査」
日本標準産業分類に基づく16 大産業を対象に、常用労働者30 人以上を雇用する民営企業(医療法人、社会福祉法人等の会社組織以外の法人を含む)から抽出した企業に対する調査です。数値は2019 年又は2018 会計年度1 年間のものです。割合は四捨五入の関係で100 にならないことがあります。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450099&tstat=000001014004&cycle=0&tclass1=000001147730&tclass2=000001147731&tclass3val=0
(次号に続く)
三菱総合研究所が公式サイトで、厚生労働省から委託を受けて実施したケアマネジャーの処遇状況を探る調査の結果を公表した。
月給・常勤で働くケアマネの平均給与は、昨年2月時点で33万660円。そう報告されている。前年同月(32万5230円)と比べて5430円上がっていた。集計対象のケアマネの勤続年数は平均8.8年。
ここでいう給与は、基本給+各種手当て+ボーナスなど。いわゆる"手取り"ではなく、税金や保険料などが引かれる前の"額面"だ。ボーナスや一時金などが出ているところでは、10月から3月までに支給された額の6分の1が足されている(*)。
* 例えば冬のボーナスが30万円だった場合、その6分の1にあたる5万円を上乗せして給与を算出。
この調査は全国1702の居宅介護支援事業所を対象として、昨年9月から10月に行われたもの。1973人のケアマネから有効回答を得ている。結果は12日に発出された介護保険最新情報Vol.977で紹介された報告書に盛り込まれた。
月給・常勤の主任ケアマネの平均給与は昨年2月時点で35万1480円。前年同月(35万960円)から520円増えていた。
厚労省が昨年10月に公表した調査結果によると、「特定処遇改善加算」を取っている事業所の介護職員の平均給与は32万5550円。勤続10年以上の介護福祉士に限ると36万6900円で、主任ケアマネよりも高くなっている。
(介護ニュースJOINT)