介護
厚生労働省が今年度の介護報酬改定で施設サービスに新設した「安全対策体制加算」− 。転倒や転落、誤嚥、誤薬といった介護事故を防ぐリスクマネジメントの強化を促すものだ。
昨年度末に出た改定の解釈通知やQ&Aの内容も含め、これまでに明らかになった算定ルールを網羅的にまとめた。
■ 加算の趣旨や算定要件は?
介護施設には従来から、介護事故の防止に向けた指針の整備や委員会の開催、研修の実施などが運営基準で求められている。今回の改定では、これに加えてリスクマネジメントにあたる担当者の選定・配置が義務付けられた。
安全対策体制加算はこうした見直しに伴い導入されたもの。算定要件は、外部の研修を受けた担当者を置いて安全対策に組織的に取り組む体制を整備していること、と定められている。対象は特養、老健、介護療養病床、介護医療院。入所時に1回、20単位となっている。
改定の解釈通知には、安全対策体制加算の趣旨が以下のように説明されている。
○ 介護事故の発生防止につなげる指針の作成、委員会の開催、職員への研修、これらを適切に実施するための担当者の配置に加え、その担当者が関連する外部の研修を受講し、組織的に安全対策を実施する体制を備えている施設を評価するもの。
○ 組織的に安全対策を実施するにあたっては、施設内に安全対策部門を設置し、介護事故の防止に向けた指示や事故が生じた場合の対応について、職員全員に適切に行き渡るような体制を整備していることが必要。
改定のQ&Aには、安全対策体制加算の算定ルールを解説する以下の問答が掲載されている。
Q:入所時に算定できるとされているが、算定要件を満たせば既に入所している既存の入所者についても算定できるのか?
A:算定要件を満たした後に新規で受け入れた入所者のみ算定可能。
■ 外部の研修って何?
改定の解釈通知には、算定要件の"外部の研修"について以下のように記載されている。
○ 介護現場での事故の内容、発生防止の取り組み、発生時の対応、施設のマネジメントなどの内容を含むものであること。
○ 今年10月31日までの間は、研修を受講予定(受講申込書などを有している状態)であれば研修を受講したものとみなすが、今年10月31日までに研修を受講していない場合は、4月から10月までに算定した加算を遡って返還すること。
また改定のQ&Aには、研修の実施主体について以下の認識が示されている。
Q:外部の研修とはどんな研修を想定しているのか。
A:関係団体(老施協、全老健、日慢協等)などが開催する研修を想定している。
(介護ニュースJOINT)
2021年度法改正の“Q&A第6弾”
今回は「訪問リハ、通所リハ、老健、介護医療院、介護療養病床の
算定基準」「通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、
通所リハ、看護小規模多機能の“栄養アセスメント加算”」
「通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、
特定施設、地域密着型特定施設、特養、地域密着型特養の
“ADL維持等加算”」「介護予防訪問リハ、介護予防通所リハ、介護予防訪問看護の
“利用開始の月から12月を超えた場合の減算”」
に関する内容です。
関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さいませ。
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/000769497.pdf
職業紹介の悪質な事業者を避けるために使う
介護事業者向けのツールを、
厚生労働省が新たに公表しました。
関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さいませ。https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000763782.pdf
“Q&A”の第5弾が公表されました。
“訪問看護の看護体制強化加算”
“訪問リハ、通所リハのリハビリテーションマネジメント加算(IV)”
“居宅療養管理指導の医師、または歯科医師の指示”
“通所系、居住系、施設系サービス共通のLIFE関連加算”
“通所介護、特定施設、特養などのADL維持等加算”
“通所リハの生活行為向上リハビリテーション実施加算”
“小規模多機能、看護小規模多機能の通所困難な利用者の入浴機会の確保”
上記7テーマに関する内容が盛り込まれているようです。
関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さいませ。
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000767888.pdf
厚生労働省は3月30日、
「勤務体制・勤務形態一覧表」について、
全国統一的な新しい標準様式を公表したようですね。
参考になるフォーマットのように思いますので
関心のある方はご確認ください。
⇒https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2021/0331111152236/ksvol.956.pdf
田村憲久厚生労働相は2日、介護保険などを担当する老健局の職員23人が深夜まで送別会を開いていた問題をめぐり、介護現場に対する「お詫びのメッセージ」を公表した。関係団体などへ送付している。
厚労相が直接、介護現場に向けて謝罪文を出すことは極めて異例。
田村厚労相はこの中で、「介護事業所で日々ご苦労されている皆さまに対し、深くお詫び申し上げます」と陳謝。「感染防止対策の徹底をお願いしている老健局において、あってはならないこと。二度とこうした事案を起こさないよう、全力で取り組んでまいります」などと約束した。
この送別会の問題を受けて、田村厚労相は老人保健課の真鍋馨課長を更迭。課長補佐以下の職員19人にも訓告、注意・指導などの処分を行った。自身も2ヵ月分の給与の全額を自主返納する。
田村厚労相は2日の衆院・厚生労働委員会でも、「多人数での飲食などを控えて頂くお願いをしている立場。今後は意識を徹底していく」などと重ねて謝罪した。
介護事業所の皆様へ
今般、厚生労働省老健局の職員が、令和3年3月24日に、大人数で深夜24時前まで、送別会の趣旨で会食を行っていた事実が確認されました。
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症対策を進める立場であり、その中で、介護保険を担当し、介護事業所の皆様に対し、感染防止対策の徹底等をお願いしている老健局において、こうしたことが行われたことは、あってはならないことであり、国民の皆様、とりわけ、介護事業所で日々ご苦労されている皆様に対し、深くお詫び申し上げます。
こうした行為は、国民の皆様からの信用を失墜するものであり、同月30日付けで、関係職員に対し、厳正に処分を行いました。改めて、全職員の認識を徹底するとともに、二度とこうした事案を起こさないよう、そして再度国民の皆様方に信頼いただけるよう、厚生労働省を挙げて全力で取り組んでまいります。
介護事業所の皆様に、厚生労働大臣として、日頃のご尽力への感謝と重ねてのお詫びを申し上げるとともに、新型コロナウイルス感染症の感染防止に向けた取組につきまして、引き続き、ご協力の程お願い申し上げます。
令和3年4月2日
(介護ニュースJOINT)
2021年3月26日、「令和3年度介護報酬改定」のQ&A(第三弾)が公表
いよいよ新年度(第8期)が始まり、介護保険法改正・報酬改定の実施行が開始となる2021年4月。本改正・報酬改定の全体像は既に見えているものの、未だ詳細の解釈通知が完全に出そろっている訳でではない中、3月19日に第一弾、23日に第二弾、26日に第三弾、そして29日に第四弾のQ&Aが発出されました。以降も第5弾、第6弾と続くことになろうかと思いますが、今回のニュースレターでは現時点で開示されているQ&Aの中から特に多くの皆様にあてはまるかもしれない内容「認知症介護基礎研修の義務付け」に関するQ&A内容を抜粋し、確認してまいります。
「認知症介護基礎研修の義務付け」に関連するQ&A(全8問)の内容について
それでは早速、中身に移ってまいりましょう。先ずはQ&Aの問3についてです(=後ほど照合しやすくするため、敢えてQ&A第三弾に記載されている設問Noを流用しておりますこと、予めご容赦ください)。
【問3】
養成施設及び福祉系高校で認知症に係る科目を受講したが介護福祉士資格は有していない者は、義務づけの対象外とすることが可能か。
【答】
養成施設については卒業証明書及び履修科目証明書により、事業所及び自治体が認知症に係る科目を受講していることが確認できることを条件として対象外とする。なお、福祉系高校の卒業者については、認知症に係る教育内容が必修となっているため、卒業証明書により単に卒業が証明できれば対象外として差し支えない。
続いて、Q&Aの問4についてです。
問4】
認知症介護実践者研修の修了者については、義務づけの対象外とすることが可能か。
【答】
認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修等の認知症の介護等に係る研修を修了した者については、義務づけの対象外として差し支えない。
続いて、Q&Aの問5についてです。
【問5】
認知症サポーター等養成講座の修了者については、義務づけの対象外とすることが可能か。
【答】
認知症サポーター等養成講座は、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者を養成するものであるが、一方で、認知症介護基礎研修は認知症介護に携わる者が認知症の人や家族の視点を重視しながら、本人主体の介護を実施する上での、基礎的な知識・技術及び理念を身につけるための研修であり、その目的・内容が異なるため、認知症サポーター等養成講座修了者は、義務付けの対象外とはならない。
↓
続いて、Q&Aの問6についてです。
【問6】
人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者についても、義務付けの対象となるのか。
【答】
人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者については、義務付けの対象外である。一方で、義務付けの趣旨を踏まえ、認知症介護に携わる者が認知症の人や家族の視点を重視しながら、本人主体の介護を実施するためには、人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わらない者であっても、当該研修を受講することを妨げるものではなく、各施設において積極的に判断いただきたい。
続いて、Q&Aの問7についてです。
【問7】
外国人介護職員についても、受講が義務づけられるのか。
【答】
EPA介護福祉士、在留資格「介護」等の医療・福祉関係の有資格者を除き、従業員の員数として算定される従業者であって直接介護に携わる可能性がある者については、在留資格にかかわらず、義務づけの対象となる。
続いて、Q&Aの問8についてです。
【問8】
外国人技能実習生が認知症介護基礎研修を受講する場合、技能実習計画には記載する必要があるのか。
【答】
認知症介護基礎研修は、法令等に基づき受講が義務づけられるものであることから、技能実習制度運用要領第4章第2節第3(2)を踏まえ、技能実習計画への記載は不要である(令和6年3月までの間、努力義務として行う場合も同様。)。なお、受講に係る給与や時間管理が通常の技能実習と同様に行われることや、研修の受講状況について、技能実習指導員が適切に管理することが必要である。
続いて、Q&Aの問9についてです。
【問9】
事業所が外国人技能実習生に認知症介護基礎研修を受講させる場合、入国後講習中や新型コロナウイルス感染症対策のための入国後 14 日間の自宅等待機期間中に受講させてもよいか。
【答】
・入国後講習中の外国人技能実習生については、入国後講習の期間中は業務に従事させないこととされていることから、認知症介護基礎研修を受講させることはできない。一方、新型コロナウイルス感染症対策のための入国後 14 日間の自宅等待機期間中であって入国後講習中ではない外国人技能実習生については、受入企業との間に雇用関係がある場合に限り、認知症介護基礎研修(オンラインで実施されるものに限る。)を受講させることができる。
・なお、実際の研修受講にあたっての取扱い等(※)については、実施主体である都道府県等により異なる場合があることにご留意いただきたい。(※)研修の受講方法(eラーニング、Zoom 等による双方向型のオンライン研修、集合研修)、料金(補助の有無等)、受講枠など
最後に、Q&Aの問10についてです。
【問10】
外国人介護職員が研修内容を理解して受講できるように、多言語化された研修教材は提供されるのか。
【答】
令和3年度中に、日本語能力試験のN4レベルを基準としたeラーニング教材の作成を行うとともに、介護分野の在留資格「特定技能」に係る試験を実施している言語(フィリピン、インドネシア、モンゴル、ネパール、カンボジア、ベトナム、中国、タイ、ミャンマーの言語)を基本として外国人介護職員向けのeラーニング補助教材を作成することを予定している。
以上、第三弾のQ&Aの中から、多くの介護事業者の皆様にあてはまるであろう内容の一つである「認知症介護基礎研修の義務付け」の部分を抜粋・確認させていただきました。自事業に関連深い内容を特定・抜粋し、読み込むのはそれなりに骨の折れる作業かもしれませんが、是非、「3年に1回の出来事」として割り切って(?)いただき、一定の時間を確保してしっかりと熟読~運営に落とし込んでいただければと思う次第です。その上で理解しがたい内容があった場合には是非、自治体担当者は勿論、場合によっては厚生労働省に直接確認されてみることをおススメします(気持ち的に臆してしまう方もいらっしゃるようですが、筆者の経験上、懇切丁寧に回答してくれる場合の方が多いと感じます)。私たちも今後、引き続きの情報収集を含め、新たな視点が得られ次第、皆様に向けて発信してまいります。
※上記内容の参照先URLはこちら
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000760502.pdf
3月29日に新たに公表された
“Q&A第4弾”。
訪問介護に対する内容などが多く含まれているようです。
下記をご確認下さいませ。
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000761356.pdf
先週末にQ&Aの第3弾が発出されました。
様々なサービスに関する情報が盛り込まれています
まだ、私も全て読み込んでいるわけではありませんが・・・・
取り急ぎ、皆様に共有させて頂きます。
関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さいませ。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000760502.pdf
福祉施設でみられる人事労務Q&A
『退職代行業者から「職員が退職する」という申出の連絡』
Q:
退職代行業者※と名乗るところから、当施設の無断欠勤している職員について「〇月〇日付けで退職する」という郵便が届きました。その職員とは現在、連絡がとれない状況にあります。どのようにすればよいのでしょうか?
A:
退職代行業者は「使者」という位置づけになるため、その退職の意思表示が本人のものなのかを職員に確認する必要があります。電話やメールがつながらず職員と連絡がとれない状況にあれば、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。それでも本人の意思か確認がとれない場合には、退職代行業者を通じて本人の意思を確認しましょう。
詳細解説:
1.退職代行業者とは
職員が退職するにあたり、自ら申出をすることで、使用者から引き留めなどを受け、退職のトラブルに発展することを懸念する傾向が強まっています。
このような状況を受けて職員の代わりに退職の申出をする退職代行業者が出現し、更に使用者に報告せず気軽に辞めることができると考える人の間で利用が広まっています。
2.退職代行業者の法的な位置づけ
この退職代行業者の法的な位置づけとして「代理」と「使者」が考えられますが、弁護士法により弁護士でなければ職員の「代理」をすることができないことから、「使者」という立場となります。使者としての退職代行業者は、職員本人が行う退職の意思表示を、使用者に届けることになり、交渉などを行うことはできません。
3.退職代行業者から連絡がきた場合の対応
退職代行業者から連絡がきたときは、一般的にはその退職の意思表示が職員本人の意思によるものかを確認する必要があります。確認の方法としては、通常、直接本人に連絡をすることになります。退職代行業者から届いた文書の中に、本人への直接の連絡を禁止するような文言や、退職代行業者あてに連絡してほしい旨の文言が入っていることがありますが、この内容に強制力はありません。
本人と連絡がとれない場合は、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。そして、確認したものの、本人のものなのか確認できない場合は、本人からどのような依頼があったのか退職代行業者に確認したり、本人の意思を確認できる資料の送付を依頼したりなどするとよいでしょう。
退職代行業者からの連絡が、職員本人の意思である場合、退職の申出は認めざるをえません。ただし、何の対応もせずに認めてしまうことで、職員間で情報が共有され、今後も退職代行業者を通じた申出が行われる可能性があります。そのため、退職の申出のルールを労使で確認しておきましょう。
(次号に続く)