コラム
私傷病で会社を休み給与が支給されないときで、一定の要件を満たしたときは、健康保険の傷病手当金が支給されます。傷病手当金が支給される最長の期間は支給開始日から暦日で1 年6 ヶ月ですが、2022 年1月1日以降、支給期間を通算して1 年6 ヶ月になりました。そこで、改正点について具体的事例を用いながら確認します。
1. 支給期間の通算方法
傷病手当金は私傷病で一定期間連続して受給する他、同じ傷病であっても期間を空けて断続的に受給することがあります。例えば、以下のような申請事例が考えられます。
①2022年3月1日~4月10日 労務不能 (支給期間:38日間)
②2022年4月11日~4月20日 労務不能 (支給期間:10日間)
③2022年5月11日~6月10日 労務不能 (支給期間:31日間)
このケースでは2022 年3 月1日~3 日までの3 日間が、傷病手当金が支給されない「待期期間」、2022 年3 月4 日が支給開始日となり、支給される最大の日数は2023 年9 月3 日までの549 日間となります。
これに対し、受給した期間からそれぞれ残りの支給日数を確認すると、①は549 日-38 日=511日、②は511日-10 日=501日、③は501日-31日=470 日となります。支給満了日は、残りの支給日数が0 日となる日であるため、③の期間が終了した翌日(2022 年6月11日)より連続して470 日間労務不能であった場合は2023 年9 月23 日、支給期間の合間に合計して40 日間就労した場合は2023 年11 月2 日となります。
2.2021 年12 月31日以前の受給者
今回、2022 年1月1日以降に支給される傷病手当金から変更となりましたが、2021 年12月31日以前に支給開始日があり、2021 年12月31日時点で支給開始日から1 年6 ヶ月が経過していない場合は、改正後の考え方の対象になります。
そのため、2020 年7 月2 日以降が支給開始日の傷病手当金については改正後の対象となり、その支給期間は、以下の事例が示すように考えます。
支給開始日が2020年7月2日で、2020年7月2日~31日(30日間)の傷病手当金が支給されているときは、まず、2021年12月31日で、支給開始日から起算して1年6ヶ月を経過していないため、改正後の規定が適用される。
その支給日数は、2020年7月2日から2022年1月1日までの549日であり、2022年1月1日時点で、既に30日分の傷病手当金が支給されているため、2022年1月1日時点の残りの支給日数は519日となる。
傷病手当金が支給される最長1 年6 ヶ月間のカウントは、同一の傷病についてです。異なる傷病で傷病手当金を受けるときには、通算することなく、傷病ごとで最長1 年6 ヶ月をカウントします。この際、同一傷病の判断は協会けんぽ等の保険者が行うことになっています。
女性活躍推進法における行動計画の策定等の拡大
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。
総務部長
2022 年4 月から女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定・公表の義務対象が、労働者数301 人以上から101 人以上の企業に拡大されると聞きました。この101人以上とは正社員の数で判断すればよいですか。
社労士 「常時雇用する労働者数」で判断することになっており、正社員だけでなくパートタイマーや契約社員、アルバイトなど、その名称に関係なく、無期契約の従業員、有期契約の場合は過去1 年以上継続して雇用している従業員や1 年以上継続して雇用する見込みの従業員を含みます。
総務部長 なるほど。有期契約の従業員も労働者数に含める必要があるのですね。そうなると当社は101 人以上になりそうです。どのようなことを準備すればよいのでしょうか。
社労士 取り組むべき事項は、大きく分けて3 つのステップに分かれています。①女性労働者の活躍状況の把握と課題分析、②一般事業主行動計画の策定・社内周知・公表、③都道府県労働局へ届出・年1 回の情報公表の3 つです。
①は、自社における採用者に占める女性比率や労働者に占める女性比率、平均勤続年数の男女比、月別の平均残業時間数、管理職に占める女性比率など、自社の女性の活躍に関する状況を把握します。その上で把握した内容をもとに自社の課題を分析します。
総務部長 活躍状況の把握と課題分析ですか。時間がかかりそうです。
社労士 確かに様々な数字の確認が求められますね。そして、②として状況把握、課題分析の結果から、女性活躍を推進するための計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込んだ行動計画を策定します。策定後には、すべての従業員に行動計画を周知し、自社のホームページに掲載するなど外部にも公表を行う必要があります。
総務部長 次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画と同じように、周知・公表が必要なのですね。
社労士 最後に、③として一般事業主行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出ます。また女性の活躍に関する情報公表として、定められた項目から1 項目以上を選択して外部に向けて公表する必要があります。さらに公表した情報の内容は、おおむね1 年に1 回以上更新し、いつの情報なのかがわかるように更新時期を明記することになっています。
ONE POINT
① 2022 年4 月から女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定・公表の義務対象が、301 人以上から101 人以上に拡大される。
② 2022 年4 月1日までに101 人以上300 人以内の企業は、一般事業主行動計画の策定・情報公表を行う必要がある。
女性活躍推進法における行動計画の策定等の拡大
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。
総務部長
2022 年4 月から女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定・公表の義務対象が、労働者数301 人以上から101 人以上の企業に拡大されると聞きました。この101人以上とは正社員の数で判断すればよいですか。
社労士 「常時雇用する労働者数」で判断することになっており、正社員だけでなくパートタイマーや契約社員、アルバイトなど、その名称に関係なく、無期契約の従業員、有期契約の場合は過去1 年以上継続して雇用している従業員や1 年以上継続して雇用する見込みの従業員を含みます。
総務部長 なるほど。有期契約の従業員も労働者数に含める必要があるのですね。そうなると当社は101 人以上になりそうです。どのようなことを準備すればよいのでしょうか。
社労士 取り組むべき事項は、大きく分けて3 つのステップに分かれています。①女性労働者の活躍状況の把握と課題分析、②一般事業主行動計画の策定・社内周知・公表、③都道府県労働局へ届出・年1 回の情報公表の3 つです。
①は、自社における採用者に占める女性比率や労働者に占める女性比率、平均勤続年数の男女比、月別の平均残業時間数、管理職に占める女性比率など、自社の女性の活躍に関する状況を把握します。その上で把握した内容をもとに自社の課題を分析します。
総務部長 活躍状況の把握と課題分析ですか。時間がかかりそうです。
社労士 確かに様々な数字の確認が求められますね。そして、②として状況把握、課題分析の結果から、女性活躍を推進するための計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込んだ行動計画を策定します。策定後には、すべての従業員に行動計画を周知し、自社のホームページに掲載するなど外部にも公表を行う必要があります。
総務部長 次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画と同じように、周知・公表が必要なのですね。
社労士 最後に、③として一般事業主行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出ます。また女性の活躍に関する情報公表として、定められた項目から1 項目以上を選択して外部に向けて公表する必要があります。さらに公表した情報の内容は、おおむね1 年に1 回以上更新し、いつの情報なのかがわかるように更新時期を明記することになっています。
ONE POINT
① 2022 年4 月から女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定・公表の義務対象が、301 人以上から101 人以上に拡大される。
② 2022 年4 月1日までに101 人以上300 人以内の企業は、一般事業主行動計画の策定・情報公表を行う必要がある。
女性活躍推進法における行動計画の策定等の拡大
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。
総務部長
2022 年4 月から女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定・公表の義務対象が、労働者数301 人以上から101 人以上の企業に拡大されると聞きました。この101人以上とは正社員の数で判断すればよいですか。
社労士 「常時雇用する労働者数」で判断することになっており、正社員だけでなくパートタイマーや契約社員、アルバイトなど、その名称に関係なく、無期契約の従業員、有期契約の場合は過去1 年以上継続して雇用している従業員や1 年以上継続して雇用する見込みの従業員を含みます。
総務部長 なるほど。有期契約の従業員も労働者数に含める必要があるのですね。そうなると当社は101 人以上になりそうです。どのようなことを準備すればよいのでしょうか。
社労士 取り組むべき事項は、大きく分けて3 つのステップに分かれています。①女性労働者の活躍状況の把握と課題分析、②一般事業主行動計画の策定・社内周知・公表、③都道府県労働局へ届出・年1 回の情報公表の3 つです。
①は、自社における採用者に占める女性比率や労働者に占める女性比率、平均勤続年数の男女比、月別の平均残業時間数、管理職に占める女性比率など、自社の女性の活躍に関する状況を把握します。その上で把握した内容をもとに自社の課題を分析します。
総務部長 活躍状況の把握と課題分析ですか。時間がかかりそうです。
社労士 確かに様々な数字の確認が求められますね。そして、②として状況把握、課題分析の結果から、女性活躍を推進するための計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込んだ行動計画を策定します。策定後には、すべての従業員に行動計画を周知し、自社のホームページに掲載するなど外部にも公表を行う必要があります。
総務部長 次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画と同じように、周知・公表が必要なのですね。
社労士 最後に、③として一般事業主行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出ます。また女性の活躍に関する情報公表として、定められた項目から1 項目以上を選択して外部に向けて公表する必要があります。さらに公表した情報の内容は、おおむね1 年に1 回以上更新し、いつの情報なのかがわかるように更新時期を明記することになっています。
ONE POINT
① 2022 年4 月から女性活躍推進法における一般事業主行動計画の策定・公表の義務対象が、301 人以上から101 人以上に拡大される。
② 2022 年4 月1日までに101 人以上300 人以内の企業は、一般事業主行動計画の策定・情報公表を行う必要がある。
令和3年12月21日以降の改正が反映されたキャリアアップ助成金制度正社員化コース・賃金規程改定コースの助成金が一部変更になりました。
変更内容は加算措置の新設と時限措置の延長です。どちらの変更も今までより使いやすくなる方向の改定になります。
詳細は下記をご参照ください。
妊娠・出産を申し出た従業員への育休取得の意向確認等
2021 年6 月に成立した改正育児・介護休業法がいよいよ2022 年4 月から段階的に施行されます。4 月に施行される改正点を大きく分けると、①育児休業を取得しやすい雇用環境整備、②妊娠・出産の申し出をした従業員への個別周知・意向確認、③有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件の緩和の3 点になります。このうち②について確認します。
1. 個別周知・意向確認
2022 年4 月以降、従業員本人から妊娠・出産等の申し出や、従業員の配偶者の妊娠・出産等について申し出があった場合、会社は育児休業制度等をはじめとする一定の事項を従業員に、個別に周知する必要があります。周知すべき事項は以下の4 点です。
①育児休業・出生時育児休業に関する制度
②育児休業・出生時育児休業の申し出先
③雇用保険の育児休業給付に関すること
④労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い
※出生時育児休業に関することは2022年10月以降が対象
この個別周知とともに、「育児休業の取得を申し出するか」という従業員の意向を確認することになります。なお、これらの個別周知・意向確認の方法は、面談の他、書面を渡すことや、従業員が希望したときにはFAX や電子メール等を用いることもできます。
2. 意向をどこまで確認するか
意向確認の具体的な内容について、厚生労働省が作成した意向確認書の様式例を見ると、以下の4 つの選択肢のうちから、従業員が該当するものに「〇」をつけ、会社に提出する方法になっています。
・育児休業を取得する
・出生時育児休業を取得する
・取得する意向はない
・検討中
※出生時育児休業に関することは2022年10月以降が対象
この意向確認について、会社がどこまで確認する必要があるか迷いますが、指針・通達では、意向確認の働きかけを行えばよいとされており、具体的な意向を把握することまでを求めるものではないとしています。当然、意向を把握することが望ましいとは言えますが、従業員によっては回答をしないケースも出てくることでしょう。今後の具体的な管理・運用方法の検討が事前に求められます。
個別周知や意向確認を行う前の「妊娠・出産等の申し出」とは、「妊娠3 ヶ月です」という申し出や「〇月〇日が出産予定日です」というような申し出が該当します。妊娠・出産等の申し出を把握しづらい状況も想定されるため、例えばあらかじめ申し出用の社内様式を用意して、その様式を事前に周知しておき、書面を提出してもらうことで意向確認をしていく方法も考えられます。
妊娠・出産を申し出た従業員への育休取得の意向確認等
2021 年6 月に成立した改正育児・介護休業法がいよいよ2022 年4 月から段階的に施行されます。4 月に施行される改正点を大きく分けると、①育児休業を取得しやすい雇用環境整備、②妊娠・出産の申し出をした従業員への個別周知・意向確認、③有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件の緩和の3 点になります。このうち②について確認します。
1. 個別周知・意向確認
2022 年4 月以降、従業員本人から妊娠・出産等の申し出や、従業員の配偶者の妊娠・出産等について申し出があった場合、会社は育児休業制度等をはじめとする一定の事項を従業員に、個別に周知する必要があります。周知すべき事項は以下の4 点です。
①育児休業・出生時育児休業に関する制度
②育児休業・出生時育児休業の申し出先
③雇用保険の育児休業給付に関すること
④労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い
※出生時育児休業に関することは2022年10月以降が対象
この個別周知とともに、「育児休業の取得を申し出するか」という従業員の意向を確認することになります。なお、これらの個別周知・意向確認の方法は、面談の他、書面を渡すことや、従業員が希望したときにはFAX や電子メール等を用いることもできます。
2. 意向をどこまで確認するか
意向確認の具体的な内容について、厚生労働省が作成した意向確認書の様式例を見ると、以下の4 つの選択肢のうちから、従業員が該当するものに「〇」をつけ、会社に提出する方法になっています。
・育児休業を取得する
・出生時育児休業を取得する
・取得する意向はない
・検討中
※出生時育児休業に関することは2022年10月以降が対象
この意向確認について、会社がどこまで確認する必要があるか迷いますが、指針・通達では、意向確認の働きかけを行えばよいとされており、具体的な意向を把握することまでを求めるものではないとしています。当然、意向を把握することが望ましいとは言えますが、従業員によっては回答をしないケースも出てくることでしょう。今後の具体的な管理・運用方法の検討が事前に求められます。
個別周知や意向確認を行う前の「妊娠・出産等の申し出」とは、「妊娠3 ヶ月です」という申し出や「〇月〇日が出産予定日です」というような申し出が該当します。妊娠・出産等の申し出を把握しづらい状況も想定されるため、例えばあらかじめ申し出用の社内様式を用意して、その様式を事前に周知しておき、書面を提出してもらうことで意向確認をしていく方法も考えられます。
妊娠・出産を申し出た従業員への育休取得の意向確認等
2021 年6 月に成立した改正育児・介護休業法がいよいよ2022 年4 月から段階的に施行されます。4 月に施行される改正点を大きく分けると、①育児休業を取得しやすい雇用環境整備、②妊娠・出産の申し出をした従業員への個別周知・意向確認、③有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件の緩和の3 点になります。このうち②について確認します。
1. 個別周知・意向確認
2022 年4 月以降、従業員本人から妊娠・出産等の申し出や、従業員の配偶者の妊娠・出産等について申し出があった場合、会社は育児休業制度等をはじめとする一定の事項を従業員に、個別に周知する必要があります。周知すべき事項は以下の4 点です。
①育児休業・出生時育児休業に関する制度
②育児休業・出生時育児休業の申し出先
③雇用保険の育児休業給付に関すること
④労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い
※出生時育児休業に関することは2022年10月以降が対象
この個別周知とともに、「育児休業の取得を申し出するか」という従業員の意向を確認することになります。なお、これらの個別周知・意向確認の方法は、面談の他、書面を渡すことや、従業員が希望したときにはFAX や電子メール等を用いることもできます。
2. 意向をどこまで確認するか
意向確認の具体的な内容について、厚生労働省が作成した意向確認書の様式例を見ると、以下の4 つの選択肢のうちから、従業員が該当するものに「〇」をつけ、会社に提出する方法になっています。
・育児休業を取得する
・出生時育児休業を取得する
・取得する意向はない
・検討中
※出生時育児休業に関することは2022年10月以降が対象
この意向確認について、会社がどこまで確認する必要があるか迷いますが、指針・通達では、意向確認の働きかけを行えばよいとされており、具体的な意向を把握することまでを求めるものではないとしています。当然、意向を把握することが望ましいとは言えますが、従業員によっては回答をしないケースも出てくることでしょう。今後の具体的な管理・運用方法の検討が事前に求められます。
個別周知や意向確認を行う前の「妊娠・出産等の申し出」とは、「妊娠3 ヶ月です」という申し出や「〇月〇日が出産予定日です」というような申し出が該当します。妊娠・出産等の申し出を把握しづらい状況も想定されるため、例えばあらかじめ申し出用の社内様式を用意して、その様式を事前に周知しておき、書面を提出してもらうことで意向確認をしていく方法も考えられます。
就業規則を変更した際の届出に係る適切な手続き
改正育児・介護休業法が2022 年4 月より施行されることに伴い、今後、就業規則(育児・介護休業規程)を見直し、労働基準監督署へ届け出ることになるでしょう。そこで今回は、就業規則を変更した際の手続きに関するよくある質問をとり上げます。
1. 就業規則を変更した際の意見聴取
従業員数10 名以上の事業所で、就業規則を変更した際には、パートタイマー等の非正規従業員を含む全従業員の過半数の代表者(以下、「過半数代表者」という)の意見を聴き、所轄の労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
過半数代表者には、あくまでも意見を聴くことが求められており、届出する就業規則の内容に同意をとる必要まではありません。書面(意見書)に「異議なし」や「〇〇の変更について改善を望みます」というように意見を書くことを求め、就業規則に添付して届け出ます。
また、意見書に改正内容等について異議がある意見が書いてあったとしても届出においては問題なく、就業規則の変更の手続きにおいて、意見を聴くというプロセスが法令で定められています。
なお、賃金を引き下げるといった従業員にとって不利益な労働条件の取扱いに変更する際は、従業員と会社の個別の合意等の適切な手続きが必要であり、その実務については社会保険労務士等の専門家にご相談いただくとよいでしょう。
2. パートタイム就業規則の意見聴取
正社員とパートタイマーの就業規則を別に作成しており、パートタイム就業規則を変更し届出を行う際には、正社員の就業規則と同様に、過半数代表者の意見を聴くことになっています。過半数代表者はパートタイマーである必要はなく、また、パートタイマーの中から過半数代表者を選ぶ必要もありません。ただし、パートタイマーの過半数代表者の意見を聴くことが望ましいとされています。
3. 過半数代表者の選出
過半数代表者は、以下のいずれにも該当する必要があります。
① 労働基準法第41 条第2 号に規定する監督または管理の地位にある者でないこと
② 就業規則の変更の際に、会社から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法によって選出された者であること
過半数代表者を選ぶ際の母数となる従業員数には、管理監督者やパートタイマー等の非正規従業員も含まれます。正社員の過半数ではないことに留意しましょう。
管理監督者が過半数代表者になっているなど、代表者の選出が適切に行われていないケースもあるようです。過半数代表者の選出が適正に行われておらず、変更した就業規則が無効であるといったトラブルにつながることも考えられます。適正な選出方法により過半数代表者を選出しましょう。
就業規則を変更した際の届出に係る適切な手続き
改正育児・介護休業法が2022 年4 月より施行されることに伴い、今後、就業規則(育児・介護休業規程)を見直し、労働基準監督署へ届け出ることになるでしょう。そこで今回は、就業規則を変更した際の手続きに関するよくある質問をとり上げます。
1. 就業規則を変更した際の意見聴取
従業員数10 名以上の事業所で、就業規則を変更した際には、パートタイマー等の非正規従業員を含む全従業員の過半数の代表者(以下、「過半数代表者」という)の意見を聴き、所轄の労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
過半数代表者には、あくまでも意見を聴くことが求められており、届出する就業規則の内容に同意をとる必要まではありません。書面(意見書)に「異議なし」や「〇〇の変更について改善を望みます」というように意見を書くことを求め、就業規則に添付して届け出ます。
また、意見書に改正内容等について異議がある意見が書いてあったとしても届出においては問題なく、就業規則の変更の手続きにおいて、意見を聴くというプロセスが法令で定められています。
なお、賃金を引き下げるといった従業員にとって不利益な労働条件の取扱いに変更する際は、従業員と会社の個別の合意等の適切な手続きが必要であり、その実務については社会保険労務士等の専門家にご相談いただくとよいでしょう。
2. パートタイム就業規則の意見聴取
正社員とパートタイマーの就業規則を別に作成しており、パートタイム就業規則を変更し届出を行う際には、正社員の就業規則と同様に、過半数代表者の意見を聴くことになっています。過半数代表者はパートタイマーである必要はなく、また、パートタイマーの中から過半数代表者を選ぶ必要もありません。ただし、パートタイマーの過半数代表者の意見を聴くことが望ましいとされています。
3. 過半数代表者の選出
過半数代表者は、以下のいずれにも該当する必要があります。
① 労働基準法第41 条第2 号に規定する監督または管理の地位にある者でないこと
② 就業規則の変更の際に、会社から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法によって選出された者であること
過半数代表者を選ぶ際の母数となる従業員数には、管理監督者やパートタイマー等の非正規従業員も含まれます。正社員の過半数ではないことに留意しましょう。
管理監督者が過半数代表者になっているなど、代表者の選出が適切に行われていないケースもあるようです。過半数代表者の選出が適正に行われておらず、変更した就業規則が無効であるといったトラブルにつながることも考えられます。適正な選出方法により過半数代表者を選出しましょう。