コラム
《 岸田文雄首相 2021年10月撮影 》
政府は19日、財政支出が55.7兆円と過去最大規模の新たな経済対策を閣議決定した。介護職らの収入を来年2月から月額3%程度(9000円)引き上げることも盛り込んだ。
介護職らの賃上げは、「成長と分配の好循環」を目指す岸田政権の重要施策の1つに位置付けられている。
政府は経済対策の中に、「介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための措置を、来年2月から前倒しで実施する」と明記。介護職員以外の職種も念頭に、「他の職員の処遇改善に充てることができるよう柔軟な運用を認める」とも書き込んだ。配分方法の詳細については今後さらに調整を重ねる。
政府はこのほか、「(看護、介護、保育などの)全ての職員を対象に公的価格のあり方を抜本的に見直す」とも記載した。経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案を近くまとめる。来月に召集する臨時国会で速やかに成立させたい考えだ。
(出典 介護ニュース)
新たな経済対策に盛り込む介護現場などで働く人の賃上げについて、政府は介護職員以外の多職種も対象に含める方向で検討している。
17日に開かれた自民党の政調全体会議で提案。出席した議員から強い異論は出ず、原案の扱いは高市早苗政調会長に一任された。
政府は既に、介護職らの収入を来年2月から交付金などで月額3%程度(9000円)引き上げる方針を固めている。この日の原案では介護職員、障害福祉職員を対象としつつ、「他の職員の処遇改善にも充てることができるよう柔軟な運用を認める」との意向を示した。介護職員がいない事業所が対象となるかどうかは不透明。
政調の幹部は会合後、「19日の正式決定に向けて党内手続きを進めていく」と説明。原案の修正については、「いま一任となったばかり。これから政調会長と詰めていく。業界の分断、不平不満を招かないようにという声がある」と話した。
(出典 介護ニュース)
高齢者らの排泄のタイミングを事前に通知する排泄予測支援機器について、厚生労働省は介護保険の特定福祉用具販売の対象に新たに加える方針を固めた。
メーカーから寄せられた有効性のデータなどを評価し、保険適用の容認に踏み切ることにした。19日に開催した「福祉用具評価検討会」で提案。専門家で構成する委員から大筋で了承を得た。
今後、社会保障審議会・介護給付費分科会に報告して正式に決める。取材に応じた担当者は保険適用の時期について、「調整中。現時点では明言できない」と述べるにとどめた。
排泄予測支援機器は、膀胱内の尿の溜まり具合を超音波で測って可視化する仕組み。排泄のタイミングが近づいていることを知らせ、高齢者らの自立や介護者の負担軽減を後押しするソリューションだ。トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社が開発した「DFree」などがある。
この日の検討会では、「有効に活用できる利用者と必ずしもそうでない利用者を、適切に見極めることが重要」「福祉用具専門相談員への技術的なサポートが必要」などの声があがった。厚労省は販売の際の留意点などを通知で示す考え。老健局の担当者は会議のなかで、「買ったのに結局は十分に使われない、ということにならないようにしたい」との意向を示した。'(出典 介護ニュース)
《 15日の専門家会議 》
厚生労働省の専門家会議は15日、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種を来月から始めることを大筋で了承した。対象は18歳以上。医療従事者や介護職などへ積極的に接種を周知していく方針も確認した。
3回目の接種が可能なのは、ファイザー製やモデルナ製の「メッセンジャーRNAワクチン」。現状で認められているのはファイザー製のみだが、モデルナ製についても薬事審査が進められている。専門家会議は今回、2回目までと異なるワクチンを打つ「交互接種」も承認した。
厚労省は今後、高齢者や医療従事者に対し積極的に3回目を接種するよう促していく考え。重症化リスクの高い人と日常的に接するという特性を踏まえ、介護職にも同様に追加接種を「特にお勧めしていく」という。追加接種には原則、自治体から送られてくる接種券が必要。接種のタイミングは、2回目から概ね8ヵ月以上が標準的な目安となる。ただ、市町村が独自の判断で6ヵ月以上まで前倒しすることも容認されている。(出典:介護ニュース)
《 9日に開催された合同会議)》
9日、岸田文雄首相が新たに立ち上げた2つの会議が合同で初会合を開いた。「全世代型社会保障構築会議」と「公的価格評価検討委員会」だ。
この日は年内にまとめる"中間整理"などを念頭に、委員が順番にそれぞれの持論を語った。どんな意見が出たのか、介護職の賃上げ以外のテーマも含め発言のポイントをまとめた。
全世代型社会保障構築会議、公的価格評価検討委員会の合同初会合の構成員発言要旨
○ 社会保障改革の目的は持続可能な形で将来に伝え残すこと。その中で、経済の支え手を増やす方向で社会保障を構築すべきだ。1つの手法が就労対策。厚生年金の適用拡大が重要となる。
○ 経済の支え手を増やすという観点では、女性や高齢者の就労促進が重要。そのために、保育や介護のサービス充実が求められている。働く人の労働条件を改善するような形。これまでの社会保障改革の議論で残されてきた課題に、この構築会議で取り組んで欲しい。
○ 年金については被用者保険の適用拡大が非常に重要。"勤労者皆保険"は1丁目1番地。
○ コロナ禍の教訓を踏まえ、地域医療構想の推進、かかりつけ医の役割、都道府県の役割を強化する形での医療制度改革が必要。
○ 今後の人口構造の変化を見据え、引き続き持続可能な社会保障の構築に向けた検討が必要。日本社会の不安の1位は、10年連続で社会保障による財政の悪化。「国民の不安解消」という観点と「成長と分配の好循環」という観点からの改革が重要。
○ 子どもたちが良質な保育と幼児教育を受けられるようにすることが重要。親自体もワークライフバランスが確保され、安心して働ける状態であることが大切。
○ 全てのエッセンシャルワーカーの処遇について検討が必要。
○ 人口減少社会は「人口収れん社会」。実験的な考え方も含めて検討することが大事。人口が減った後でも、効率的な経済の仕組みを作ることで社会の安定性が高まる。
○ 労働の自動化を進めていくことも大事。そうした観点からの規制緩和も検討してはどうか。ライフスタイルをいかに変えていくのか、というテーマもこの議論の基本にある。
○ 社会保障の改革は将来の働き方や生活に大きく影響する。働き方、ライフスタイルに中立的な制度を構築することが大事ではないか。
○ 社会保障改革を経済財政と一体的に考える必要がある。経済財政の課題が社会保障に大きく影響する。分配や格差の問題が放置されたままでは、社会保障の課題が大きくなってしまう。社会保障の改革を通じて解決される問題もある一方で、経済財政の課題の解決が社会保障の改革につながることもある。
○ 国民生活に直結する社会保障は政治的にも争点化しやすい。党派を超えた議論の枠組みも必要ではないか。
○ 社会保障の給付と負担の関係が議論されるが、年金や医療などそれぞれ個別に行われているのではないか。横串を差した大局的な議論をして欲しい。
○ 介護職の処遇改善は、「処遇改善加算」の取り組みの効果など、制度改正の結果もみていく必要がある。
○ 医療のIT化が遅れているという指摘もある。医療データの有効活用という視点も非常に重要。
○ 働きやすく、住みやすい地域作りには社会保障が大切。課題は財源があってもサービスの担い手がいないこと。困っていて支援が必要であっても、そこにアクセスする方法が分からない人がいること。情報をしっかり届けるための体制整備も必要ではないか。
○ 雇用形態の違いから格差が生じないようにすることに賛成したい。近頃の働き方をみると、雇用された労働によらずに収入を得られる可能性が増えてきている。そうした中で"勤労者皆保険"の実現は重要。雇用を軸としない制度も検討したらどうか。
○ 賃上げを行っても社会保険料の増加などで相殺されてしまう。可処分所得が伸びなければ消費に回らない。現役世代の保険料負担も重くなっている。
○ 負担能力がある高齢者に支えて頂き、現役世代の負担増を抑えたり、少子化対策を充実させたりする発想も必要。こうした全世代型社会保障の改革を、分配戦略の柱とすることも検討して欲しい。
○ 2024年は診療報酬、介護報酬の同時改定の時期。年金の財政再検証も予定されている。その時になって慌てるのではなく、今の段階からこの会議でしっかりと内容を検討していって欲しい。
○ 給付と負担の予見可能性を高めることで、将来に対する不安を軽減させられる。社会保障と財政の持続可能性を高めることが重要。
○ 納得感のある改革が必要。賃上げの議論もあるが、財源を負担する側にとって納得感のある制度にしていって欲しい。
○ 男性の育児休業やフリーランスの支援なども重要。子育て環境や共働き世帯への支援を強化することで労働力供給を増やすべき。就業を妨げている制度の見直しも検討してはどうか。
(介護ニュースより)
《 財務省 》
国の財政を議論する「財政制度等審議会」の8日の会合で、岸田政権が重点施策の1つに位置付ける介護職の賃上げが俎上に載せられた。
財務省は介護報酬の引き上げには触れず、その配り方を見直すことで具体化する案を提示した。既存の「処遇改善加算」にも言及し、「事業者の収入にはなっても、必ずしも介護職の賃上げにつながらなかったとの指摘もある」と説明。「実際の賃上げにつながる実効的な仕組みを模索する必要がある」と主張した。
財務省は現状について、「日本の賃金はどの産業でも主要先進国と比べて低く、医療・福祉分野も例外ではない」「医療・福祉分野で賃金が低いのは保育や介護の現場で働いている方々であり、女性・非正規問題とも関連が深い」と分析。「女性・非正規が多い分野で国による分配機能を強化し、処遇改善を図ることは意義がある」との認識を示した。
そのうえで、「日本の医療・福祉分野の労働分配率は他国に比べて相対的に低い」と指摘。「診療報酬・介護報酬をはじめ、分配のあり方を見直す必要がある」と意見した。
(介護ニュースより)
全国老人福祉施設協議会が会員を対象に実施した「加算算定状況調査」の最新の結果 − 。アウトカム評価の「ADL維持等加算」は、今年4月の介護報酬改定で要件が緩和され単位数も一桁増えたが、算定を申し出ていない事業所が多数だと報告されている。
特別養護老人ホームの80.9%、通所介護の74.9%、地域密着型通所介護の80.8%がADL維持等加算の申し出を行っていないことが分かった。申し出たところはそれぞれ2割前後に留まっている。
申し出ない理由として、「算定方法や内容が難しい」「LIFEの入力が分からない」「単位数と業務量があわない」などの意見が寄せられていた。このほか、「取得に向けた準備段階」「研修を行って欲しい」「継続して算定できるか疑問」「バーセルインデックスが向上するか不安」などの声もある。
この調査は今年8月にWEBで実施。7月サービス提供分の実績を把握したものだ。全国老施協の会員の特養2252施設、通所介護1564事業所、地密通所334事業所から回答を得ている。
ADL維持等加算は今年度から、対象サービスが拡大されて特養なども含まれるようになった。あわせて算定要件が大幅に緩和され、単位数も10倍に引き上げられた経緯がある。自立支援・重度化防止に向けた有効な取り組みを現場に促すことが国の狙いだ。(介護ニュース)
福祉施設でみられる人事労務Q&A
『育児短時間勤務制度を運用する際のポイント』
Q
育児短時間勤務制度として 6 時間勤務を設けていますが、職員から 7 時間勤務をしたいという相談がありました。また現場からも 1 時間でも長く勤務してもらえると助かるという話も出ています。7 時間勤務を認める必要があるのでしょうか?
A
法令では、1 日の所定労働時間を原則として 6 時間とする制度を導入することを義務付けており、7 時間とする制度を導入する義務まではありません。今後、7時間等、6 時間以外の時間数を選択できる制度を導入することにより、必要な人材が確保できるなどのメリットが考えられるときには、時間数を選択できる制度の導入を検討してもよいでしょう。
詳細解説
1.育児短時間勤務制度における勤務時間数
育児短時間勤務制度として、3 歳に満たない子どもを養育する職員について、1 日の所定労働時間を原則として 6 時間に短縮できる制度を導入することが法令で義務付けられています。
なお、この勤務時間数について、所定労働時間が 7 時間 45 分の場合、5 時間 45 分の育児短時間勤務制度とすることも認められています。
今回の質問は、法令で義務付けられている所定労働時間を 6 時間とする制度は導入しており、その他の時間について対応する義務まではありません。ただし、7 時間など、6 時間以外の時間を選択できる制度を導入することにより、必要な人材が確保できるなどのメリットが考えられるときには、6 時間に加え、6 時間以外の時間数を選択できるようにすることも考えられます。
2.育児短時間勤務制度の利用可能期間
この育児短時間勤務制度を法令が求める子どもが 3 歳に達するまで利用できる制度としている場合、育児短時間勤務制度の適用が終了した後に、仕事と育児の両立を図ることができない等の理由により、退職に至るというケースがあります。
育児短時間勤務制度の利用可能期間について、厚生労働省の「令和 2 年度雇用均等基本調査」の結果から最長利用可能期間の状況を確認すると、以下のようになっています。
・3 歳未満 55.7%
・ 小学校就学の始期に達するまで 15.0%
・ 小学校入学~小学校 3 年生まで 11.5%
このように法令を超える取扱いを設けることで、仕事と育児の両立が図られるようにしているケースが見られます。
必要な人材の確保、仕事と育児の両立の観点等から、どのようなものが職員から求められ、施設としても導入が可能であるか、現行制度を見直すきっかけにするとよいかもしれません。
医療機関でみられる人事労務Q&A
『育児短時間勤務制度を運用する際のポイント』
Q
育児短時間勤務制度として 6 時間勤務を設けていますが、職員から 7 時間勤務をしたいという相談がありました。また現場からも 1 時間でも長く勤務してもらえると助かるという話も出ています。7 時間勤務を認める必要があるのでしょうか?
A
法令では、1 日の所定労働時間を原則として 6 時間とする制度を導入することを義務付けており、7 時間とする制度を導入する義務まではありません。今後、7時間等、6 時間以外の時間数を選択できる制度を導入することにより、必要な人材が確保できるなどのメリットが考えられるときには、時間数を選択できる制度の導入を検討してもよいでしょう。
詳細解説
1.育児短時間勤務制度における勤務時間数
育児短時間勤務制度として、3 歳に満たない子どもを養育する職員について、1 日の所定労働時間を原則として 6 時間に短縮できる制度を導入することが法令で義務付けられています。
なお、この勤務時間数について、所定労働時間が 7 時間 45 分の場合、5 時間 45 分の育児短時間勤務制度とすることも認められています。
今回の質問は、法令で義務付けられている所定労働時間を 6 時間とする制度は導入しており、その他の時間について対応する義務まではありません。ただし、7 時間など、6 時間以外の時間を選択できる制度を導入することにより、必要な人材が確保できるなどのメリットが考えられるときには、6 時間に加え、6 時間以外の時間数を選択できるようにすることも考えられます。
2.育児短時間勤務制度の利用可能期間
この育児短時間勤務制度を法令が求める子どもが 3 歳に達するまで利用できる制度としている場合、育児短時間勤務制度の適用が終了した後に、仕事と育児の両立を図ることができない等の理由により、退職に至るというケースがあります。
育児短時間勤務制度の利用可能期間について、厚生労働省の「令和 2 年度雇用均等基本調査」の結果から最長利用可能期間の状況を確認すると、以下のようになっています。
・ 3 歳未満 55.7%
・ 小学校就学の始期に達するまで 15.0%
・ 小学校入学~小学校 3 年生まで 11.5%
このように法令を超える取扱いを設けることで、仕事と育児の両立が図られるようにしているケースが見られます。
必要な人材の確保、仕事と育児の両立の観点等から、どのようなものが職員から求められ、医院としても導入が可能であるか、現行制度を見直すきっかけにするとよいかもしれません。
《 財務省 》
国の財政を議論する「財政制度等審議会」の8日の会合で、岸田政権が重点施策の1つに位置付ける介護職の賃上げが俎上に載せられた。
財務省は介護報酬の引き上げには触れず、その配り方を見直すことで具体化する案を提示した。既存の「処遇改善加算」にも言及し、「事業者の収入にはなっても、必ずしも介護職の賃上げにつながらなかったとの指摘もある」と説明。「実際の賃上げにつながる実効的な仕組みを模索する必要がある」と主張した。
財務省は現状について、「日本の賃金はどの産業でも主要先進国と比べて低く、医療・福祉分野も例外ではない」「医療・福祉分野で賃金が低いのは保育や介護の現場で働いている方々であり、女性・非正規問題とも関連が深い」と分析。「女性・非正規が多い分野で国による分配機能を強化し、処遇改善を図ることは意義がある」との認識を示した。
そのうえで、「日本の医療・福祉分野の労働分配率は他国に比べて相対的に低い」と指摘。「診療報酬・介護報酬をはじめ、分配のあり方を見直す必要がある」と意見した。
(介護ニュースより)