コラム

介護事業所様向け情報(経営)8月号②

福祉施設等における労働者の就業形態の変化

少子高齢化の進展による労働人口の減少や働き方改革の推進により、様々な働き方が行われるようになっています。ここでは今年 3 月に発表された調査結果※から、福祉施設等(以下、医療,福祉)における労働者の就業形態の変化をみていきます。

正社員数の変化

上記調査結果から、医療,福祉の事業所における 3 年前(2016 年)と 2019 年の正社員数の変化をみると、表 1 のとおりです。

変わらないとする割合が 49.5%で約半数を占めました。増えたとする割合は 35.0%で、減ったとする割合の 14.6%を上回りました。

正社員以外の労働者比率の変化

では、正社員以外の労働者の状況はどうでしょうか。医療,福祉の事業所で正社員以外の労働者がいる割合は 92.3%で、その事業所における正社員以外の労働者比率の変化をまとめると、表 2 のとおりです。

3 年前と比べて変わらないとする事業所割合が 64.5%で最も高くなりました。正社員の場合よりも、変わらないとする割合が 10 ポイント以上高い状況です。
また、今後の正社員以外の労働者比率の変化予測については、医療,福祉では、ほとんど変わらないが 63.4%、上昇するが 18.5%、低下するは 6.3%にとどまりました。

パートタイム労働者の活用が多い

比率が上昇した正社員以外の就業形態については、医療,福祉では、パートタイム労働者(以下、パート)が 80.4%で最も高くなりました。そして、今後比率が上昇すると思われる正社員以外の就業形態をまとめると、表 3 のとおりです。

こちらもパートが 74.8%で最も高く、次いで嘱託社員(再雇用者)が 20.9%となっています。パートを活用する理由をみると、賃金の節約のためが 41.1%で最も割合が高く、正社員を確保できないためが 38.4%で続いています。
正職員の新規採用はもちろん、既存職員の雇用維持のために賃上げを行う福祉施設等は少なくありません。人件費の高騰や採用難に対応するための方法として、パートを採用するケースが多いのかもしれません。
貴施設の状況はいかがでしょうか。

 

※厚生労働省「令和元年度 就業形態の多様化に関する総合実態調査」
5 人以上の常用労働者を雇用する事業所及びその事業所に就業している労働者を対象に 2019 年 11~12 月に行われた調査です。調査対象数17,278 事業所、有効回答率は 43.4%です。詳細は次の URL のページからご確認ください。https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/5-22.html

 

 

医療事業所様向け情報(経営)8月号①

デジタル改革法成立で医療への影響は?

デジタル改革関連法が成立し、5 月 19 日に公布されました。9 月 1 日には、今後の司令塔となるデジタル庁が発足する予定です。今回は、医療分野におけるデジタル化戦略について、目下推進中の政策の進捗と方向性に注目します。

マイナンバー活用を軸に推進

デジタル庁の目標の一つが、マイナンバーカードの普及を促進し、給付の迅速化や行政手続きのオンライン化を実現することです。
医療分野では、既にオンライン資格確認等システムの取組みの中で、マイナンバーカードと健康保険証の紐づけの試みが始まっています。このシステムは当初の今年 3 月下旬スタート予定を延期し、「遅くとも 10 月」の本格運用開始に計画が修正されています。
同システムは、医療分野のデジタル化推進の要。今後のスケジュールは次のとおりです。

2021 年 10 月~
マイナポータルで、特定健診情報と薬剤情報の閲覧開始
2021 年 11 月~
マイナポータルで、医療費通知情報の閲覧開始
2021 年分の確定申告
マイナポータルでの医療費控除の手続きで、医療費通知情報の自動入力が可能に

国家資格の手続きにも

今回成立した法案の一つ「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」には、マイナンバー活用による国家資格の事務手続きの効率化が含まれています。
これは、届出手続き等の簡略化や申告漏れ防止、資格の証明、就職情報の提供等にマイナンバー制度を役立てるものです。申請時に必要となる免許証や住民票・戸籍等、書類提出の省略等の簡素化が予定されています。社会保障関連の国家資格では、次の 31 資格が対象です。

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、言語聴覚士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、歯科衛生士、歯科技工士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、救急救命士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、管理栄養士、栄養士、保育士、介護支援専門員、社会保険労務士

こちらは4年以内の施行が予定されています。

参考:厚生労働省「オンライン資格確認等システムに関する運用等に係る検討結果について(令和 3 年 4 月版)」https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000726675.pdf

 

介護事業所様向け情報(経営)8月号①

コロナ禍の緊急時における体制の支援策

ワクチン接種が進む中、新型コロナウイルス感染症の脅威は依然として続いています。感染症流行下での介護サービス事業所等のサービス提供体制維持を支援する「緊急時介護人材確保・職場環境復旧等支援事業」をご案内します。

通所系事業所による居宅サービスも対象

この事業は、新型コロナ感染による緊急時の介護人材確保と、職場環境の復旧・改善を支援するものです。対象となるのは次の 3 つです。

●パターン 1 ※1
・ 感染者が発生した事業所等
・ 濃厚接触者に対応した事業所等(休業要請を受けた事業所を含む)
●パターン 2
・新型コロナ感染症流行に伴い、居宅でサービスを提供する通所系サービス事業所 ※2
●パターン 3
感染者が発生した施設等の
・ 利用者を受け入れる事業所等
・ 応援職員の派遣を行う事業所等
※1 パターン 1 に該当するのは次のケースです。
① 利用者又は職員に感染者が発生した介護サービス事業所等(職員に複数の濃厚接触者が発生し、職員が不足した場合を含む)
② 濃厚接触者対応した訪問系サービス事業所、短期入所系サービス事業所、介護施設等
③ 休業要請を受けた通所系サービス事業所、短期入所系サービス事業所
④ 感染等の疑いがある者に対して一定の要件のもと自費で検査を実施した介護施設等(①、②の場合を除く)
⑤ 病床ひっ迫等により、やむを得ず施設内療養を行った高齢者施設等
※2 ※1 の①③に該当しない場合

職場環境整備のための費用も対象

補助の対象となる経費は、次のとおりです。

●緊急時の介護人材確保に係る費用
 職員の感染等による人員不足、通所系サービスの代替サービス提供に伴う介護人材の確保等の費用
● 職場環境の復旧・環境整備に係る費用
 介護サービス事業所等の消毒、清掃費用、通所系サービスの代替サービス提供に伴う費用等
● 連携により緊急時の人材確保支援を行う費用
 感染発生施設等への応援派遣等に伴う費用

窓口は、各都道府県となります。詳細は、以下のホームページをご参照ください。

参考:厚生労働省「「新型コロナウイルス感染症流行下における介護サービス事業所等のサービス提供体制確保事業」について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00257.html

 

介事連・斉藤氏「次の介護報酬改定、過去最大規模の引き下げもあり得る」

今年4月の介護報酬の引き上げはあくまで一時的なもの。2024年度の次期改定は、2015年度のマイナス2.27%と同等かそれ以上の引き下げもあり得る」。

そう警鐘を鳴らすのは全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長だ。7月28日に開催されたオンラインセミナーで、「事業者はパラダイムシフトを起こさなければいけない」と強調。今年度から本格稼働に至った新たなデータベース「LIFE」の積極活用などを重ねて呼びかけた。

斉藤氏は悲観的な見通しの根拠の1つに、コロナ禍で国の財政が一段と悪化したことをあげた。ワクチン接種などで事態が収束へ向かうタイミングで、政府は強烈な給付費の抑制策を断行すると予測。3年後には極めてシビアな報酬改定が待っていると分析した。

そのうえで、「2024年度以降の報酬改定では間違いなく、利用者のADLや口腔機能、栄養状態などの改善を図るLIFE関連のアウトカム評価が多く作られていく。こうした加算を取らないと経営は厳しくなる」と指摘。「LIFEをうまく活かすには半年から1年ほどの準備期間が必要。今のうちから考えていかないと対応できなくなる」と促した。

あわせて、「従来の体制のままで『LIFEに取り組め』と職員に言っても無理。生産性の向上、現場の負担軽減に努め、LIFEに取り組める時間を作ってあげないといけない」と説明。続けて以下のように語った。

「厚労省は今回の改定で、科学的介護、自立支援・重度化防止などに取り組む事業所が生き残れる環境を用意した。逆に取り組まない事業所は淘汰されていってもやむなし、という方向へ舵を切ったというメッセージを暗に示したのではないかと思う」(介護ニュースJOINT)

医療事業所様向け情報(労務)8月号④

精神障害にかかる労災の支給決定件数 過去最高の608件

長時間労働や仕事のストレスによって過重な負荷がかかり、従業員が脳・心臓疾患や精神障害を発症するケースが増加しています。先日、これらの労災請求状況に関する令和2 年度の集計結果が厚生労働省より発表されました。以下では集計結果の内容についてとり上げましょう。

1. 脳・心臓疾患の労災補償状況

脳・心臓疾患の労災請求件数は784 件となり、前年の936 件から152 件減少しました。支給決定件数についても194 件と、前年の216件から22 件減少しています。支給決定件数について業種別にみていくと、「運輸業、郵便業」が全体の3 割近くを占め、「卸売業、小売業」、「建設業」と続いています。

2. 精神障害の労災補償状況

 精神障害の労災補償状況は下図のとおりです。

令和2 年度の請求件数は2,051 件となり、前年の2,060 件から9 件減少しました。一方、支給決定件数については608 件となり、前年の509 件から99 件増加し、過去最高となりました。また認定率については31.9%であり、申請の3 件に1 件の割合で労災として認定されています。このうち、支給決定件数を具体的な出来事別に分類すると、上位項目は次のとおりです。
①上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた(99 件)
②悲惨な事故や災害の体験、目撃をした(83 件)
③同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた(71 件)
④仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった(58 件)
⑤特別な出来事(54 件)
「①上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」については、2020 年5 月29 日に心理的負荷による精神障害の認定基準が改正され、新規に追加されたものです。

3. パワーハラスメント防止措置の義務化

 職場におけるハラスメントの問題は、年々深刻化しており、それが今回のように精神障害の原因にもなり得ます。そのため、企業においてはハラスメント防止に向けた積極的な取組みが求められます。
 パワーハラスメント防止措置は、大企業では2020 年6 月1日より義務付けられていますが、中小企業でも2022 年4 月1日より義務付けられます(それまでは努力義務)。 

 

企業としては、長時間労働対策を徹底するとともに、業務の内容において過剰な負荷がかかっていないかを確認し、さらにはパワーハラスメント防止に向けて、研修を行ったり相談窓口を周知したりするなどの取組みを進めていく必要があります。

保育事業所様向け情報(労務)8月号④

精神障害にかかる労災の支給決定件数 過去最高の608件

長時間労働や仕事のストレスによって過重な負荷がかかり、従業員が脳・心臓疾患や精神障害を発症するケースが増加しています。先日、これらの労災請求状況に関する令和2 年度の集計結果が厚生労働省より発表されました。以下では集計結果の内容についてとり上げましょう。

1. 脳・心臓疾患の労災補償状況

脳・心臓疾患の労災請求件数は784 件となり、前年の936 件から152 件減少しました。支給決定件数についても194 件と、前年の216件から22 件減少しています。支給決定件数について業種別にみていくと、「運輸業、郵便業」が全体の3 割近くを占め、「卸売業、小売業」、「建設業」と続いています。

2. 精神障害の労災補償状況

 精神障害の労災補償状況は下図のとおりです。

令和2 年度の請求件数は2,051 件となり、前年の2,060 件から9 件減少しました。一方、支給決定件数については608 件となり、前年の509 件から99 件増加し、過去最高となりました。また認定率については31.9%であり、申請の3 件に1 件の割合で労災として認定されています。このうち、支給決定件数を具体的な出来事別に分類すると、上位項目は次のとおりです。
①上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた(99 件)
②悲惨な事故や災害の体験、目撃をした(83 件)
③同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた(71 件)
④仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった(58 件)
⑤特別な出来事(54 件)
「①上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」については、2020 年5 月29 日に心理的負荷による精神障害の認定基準が改正され、新規に追加されたものです。

3. パワーハラスメント防止措置の義務化

 職場におけるハラスメントの問題は、年々深刻化しており、それが今回のように精神障害の原因にもなり得ます。そのため、企業においてはハラスメント防止に向けた積極的な取組みが求められます。
 パワーハラスメント防止措置は、大企業では2020 年6 月1日より義務付けられていますが、中小企業でも2022 年4 月1日より義務付けられます(それまでは努力義務)。 

 

企業としては、長時間労働対策を徹底するとともに、業務の内容において過剰な負荷がかかっていないかを確認し、さらにはパワーハラスメント防止に向けて、研修を行ったり相談窓口を周知したりするなどの取組みを進めていく必要があります。

介護事業所様向け情報(労務)8月号④

精神障害にかかる労災の支給決定件数 過去最高の608件

長時間労働や仕事のストレスによって過重な負荷がかかり、従業員が脳・心臓疾患や精神障害を発症するケースが増加しています。先日、これらの労災請求状況に関する令和2 年度の集計結果が厚生労働省より発表されました。以下では集計結果の内容についてとり上げましょう。

1. 脳・心臓疾患の労災補償状況

脳・心臓疾患の労災請求件数は784 件となり、前年の936 件から152 件減少しました。支給決定件数についても194 件と、前年の216件から22 件減少しています。支給決定件数について業種別にみていくと、「運輸業、郵便業」が全体の3 割近くを占め、「卸売業、小売業」、「建設業」と続いています。

2. 精神障害の労災補償状況

 精神障害の労災補償状況は下図のとおりです。

令和2 年度の請求件数は2,051 件となり、前年の2,060 件から9 件減少しました。一方、支給決定件数については608 件となり、前年の509 件から99 件増加し、過去最高となりました。また認定率については31.9%であり、申請の3 件に1 件の割合で労災として認定されています。このうち、支給決定件数を具体的な出来事別に分類すると、上位項目は次のとおりです。
①上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた(99 件)
②悲惨な事故や災害の体験、目撃をした(83 件)
③同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた(71 件)
④仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった(58 件)
⑤特別な出来事(54 件)
「①上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」については、2020 年5 月29 日に心理的負荷による精神障害の認定基準が改正され、新規に追加されたものです。

3. パワーハラスメント防止措置の義務化

 職場におけるハラスメントの問題は、年々深刻化しており、それが今回のように精神障害の原因にもなり得ます。そのため、企業においてはハラスメント防止に向けた積極的な取組みが求められます。
 パワーハラスメント防止措置は、大企業では2020 年6 月1日より義務付けられていますが、中小企業でも2022 年4 月1日より義務付けられます(それまでは努力義務)。 

 

企業としては、長時間労働対策を徹底するとともに、業務の内容において過剰な負荷がかかっていないかを確認し、さらにはパワーハラスメント防止に向けて、研修を行ったり相談窓口を周知したりするなどの取組みを進めていく必要があります。

医療事業所様向け情報(労務)8月号③

国家公務員の定年延長の動き

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。

 

総務部長                                                                                                                             今後、国家公務員の定年が65 歳に引上げられると耳にしました。当社でも技能の伝承や人材の確保といった観点から定年延長について検討が必要ではないかと思っています。
今回の法改正の内容について教えてもらえませんか?
社労士                                                                                                                                      主な点としては3 点あります。まず1点目が定年の段階的引上げです。このように、定年が2023 年度から2 年おきに1歳ずつ引上げられて、2031年度に65 歳とされます。

総務部長                                                                                                                                             なるほど。2031年度以降は定年が65 歳となるということですね。
社労士                                                                                                                                                      2 点目が役職定年制の導入で、組織活力を維持するため、管理監督職(指定職および俸給の特別調整額適用官職等)の職員は、60 歳(事務次官等は62 歳)の誕生日から同日以後の最初の4 月1日までの間に、管理監督職以外の官職に異動となります。これは、民間企業においてすでに取り入れられている、いわゆる役職定年制のことですね。
総務部長                                                                                                                                                 定年を延長すると、役職が空かずに次世代を担う人材が管理監督職の経験を積めないという課題が想定されますので、その一つの対応策ということなのでしょう。
社労士                                                                                                                                               そして、3 点目が60 歳に達した公務員の給与であり、人事院の「意見の申出」に基づき、当分の間、公務員の俸給月額は公務員が60 歳に達した日後の最初の4 月1日以後、その公務員に適用される俸給表の職務の級および号俸に応じた額に7 割を乗じて得た額とするとしています。
今回の話は国家公務員ですので、民間企業において直接的な影響はありませんが、今後、定年を延長する場合の給与の設定におけるひとつの参考数値としてとらえることができると思います。
総務部長                                                                                                                                              たしかに以前、定年を引上げる話題になったときに、給与や賞与、退職金はどうするのかという結論が出ずに立ち消えになりました。
社労士                                                                                                                                                  今回の動きは民間企業に先行する動きであり、今後、定年の引上げなどを検討する際の参考になるでしょう。自社の高年齢者の活用をどのようにしていくのか、検討の際に不明点等がございましたら、お声掛けください。

 

ONE POINT

①国家公務員法の改正案が成立し、定年の段階的引上げ、役職定年制の導入、60歳に達した公務員の給与について内容が決定した。
今回の動きは、民間企業に先行するものであり、今後、定年の引上げなどを検討する際の参考になる。

保育事業所様向け情報(労務)8月号③

国家公務員の定年延長の動き

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。

 

総務部長                                                                                                                             今後、国家公務員の定年が65 歳に引上げられると耳にしました。当社でも技能の伝承や人材の確保といった観点から定年延長について検討が必要ではないかと思っています。
今回の法改正の内容について教えてもらえませんか?
社労士                                                                                                                                      主な点としては3 点あります。まず1点目が定年の段階的引上げです。このように、定年が2023 年度から2 年おきに1歳ずつ引上げられて、2031年度に65 歳とされます。

総務部長                                                                                                                                             なるほど。2031年度以降は定年が65 歳となるということですね。
社労士                                                                                                                                                      2 点目が役職定年制の導入で、組織活力を維持するため、管理監督職(指定職および俸給の特別調整額適用官職等)の職員は、60 歳(事務次官等は62 歳)の誕生日から同日以後の最初の4 月1日までの間に、管理監督職以外の官職に異動となります。これは、民間企業においてすでに取り入れられている、いわゆる役職定年制のことですね。
総務部長                                                                                                                                                 定年を延長すると、役職が空かずに次世代を担う人材が管理監督職の経験を積めないという課題が想定されますので、その一つの対応策ということなのでしょう。
社労士                                                                                                                                               そして、3 点目が60 歳に達した公務員の給与であり、人事院の「意見の申出」に基づき、当分の間、公務員の俸給月額は公務員が60 歳に達した日後の最初の4 月1日以後、その公務員に適用される俸給表の職務の級および号俸に応じた額に7 割を乗じて得た額とするとしています。
今回の話は国家公務員ですので、民間企業において直接的な影響はありませんが、今後、定年を延長する場合の給与の設定におけるひとつの参考数値としてとらえることができると思います。
総務部長                                                                                                                                              たしかに以前、定年を引上げる話題になったときに、給与や賞与、退職金はどうするのかという結論が出ずに立ち消えになりました。
社労士                                                                                                                                                  今回の動きは民間企業に先行する動きであり、今後、定年の引上げなどを検討する際の参考になるでしょう。自社の高年齢者の活用をどのようにしていくのか、検討の際に不明点等がございましたら、お声掛けください。

 

ONE POINT

①国家公務員法の改正案が成立し、定年の段階的引上げ、役職定年制の導入、60歳に達した公務員の給与について内容が決定した。
今回の動きは、民間企業に先行するものであり、今後、定年の引上げなどを検討する際の参考になる。

介護事業所様向け情報(労務)8月号③

国家公務員の定年延長の動き

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。

 

総務部長                                                                                                                             今後、国家公務員の定年が65 歳に引上げられると耳にしました。当社でも技能の伝承や人材の確保といった観点から定年延長について検討が必要ではないかと思っています。
今回の法改正の内容について教えてもらえませんか?
社労士                                                                                                                                      主な点としては3 点あります。まず1点目が定年の段階的引上げです。このように、定年が2023 年度から2 年おきに1歳ずつ引上げられて、2031年度に65 歳とされます。

総務部長                                                                                                                                             なるほど。2031年度以降は定年が65 歳となるということですね。
社労士                                                                                                                                                      2 点目が役職定年制の導入で、組織活力を維持するため、管理監督職(指定職および俸給の特別調整額適用官職等)の職員は、60 歳(事務次官等は62 歳)の誕生日から同日以後の最初の4 月1日までの間に、管理監督職以外の官職に異動となります。これは、民間企業においてすでに取り入れられている、いわゆる役職定年制のことですね。
総務部長                                                                                                                                                 定年を延長すると、役職が空かずに次世代を担う人材が管理監督職の経験を積めないという課題が想定されますので、その一つの対応策ということなのでしょう。
社労士                                                                                                                                               そして、3 点目が60 歳に達した公務員の給与であり、人事院の「意見の申出」に基づき、当分の間、公務員の俸給月額は公務員が60 歳に達した日後の最初の4 月1日以後、その公務員に適用される俸給表の職務の級および号俸に応じた額に7 割を乗じて得た額とするとしています。
今回の話は国家公務員ですので、民間企業において直接的な影響はありませんが、今後、定年を延長する場合の給与の設定におけるひとつの参考数値としてとらえることができると思います。
総務部長                                                                                                                                              たしかに以前、定年を引上げる話題になったときに、給与や賞与、退職金はどうするのかという結論が出ずに立ち消えになりました。
社労士                                                                                                                                                  今回の動きは民間企業に先行する動きであり、今後、定年の引上げなどを検討する際の参考になるでしょう。自社の高年齢者の活用をどのようにしていくのか、検討の際に不明点等がございましたら、お声掛けください。

 

ONE POINT

①国家公務員法の改正案が成立し、定年の段階的引上げ、役職定年制の導入、60歳に達した公務員の給与について内容が決定した。
今回の動きは、民間企業に先行するものであり、今後、定年の引上げなどを検討する際の参考になる。

 

 

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