コラム

医療事業所様向け情報(労務)5月号③

出向者の社会保険の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:

今後、当社の従業員の能力開発を進めるために、取引先の企業に在籍出向をさせたいと考えています。詳細はこれから検討することになりますが、社会保険の取扱いについて教えてください。

社労士:

わかりました。まず雇用保険については、出向者は出向元企業と出向先企業の双方と雇用関係がありますが、両方で適用されるわけではありません。生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている企業の方で適用します。

総務部長:

いまのところ、本人には当社から賃金を支給し、出向先企業から当社へ賃金の負担金を支払ってもらう予定です。この場合には、雇用保険は当社のまま加入し続けることになりますね。

社労士:

そうですね。次に労災保険ですが、実際に出向者が労務提供を行う先で適用となるため、出向先企業で適用します。出向先で被保険者となる手続きは不要ですが、労災保険料は出向先の被保険者として算入することになるため、出向元で出向者の賃金を支払っている場合には、出向先企業に支払った賃金額を連絡し、出向先で出向者の賃金を含めて労災保険料を算出します。

総務部長:

労災事故は実際に働いている現場で起きるため、労務提供を行う出向先で加入するのですね。

社労士:

その通りです。最後に、健康保険・厚生年金保険は、出向元企業と出向先企業のうち、使用関係があり報酬を支払う企業(一方または双方)で適用を受けます。今回は、自社で賃金を支払う予定ですので、現行のままの適用になります。なお、出向元企業と出向先企業の両者で適用となる場合には、二以上事業所勤務届を提出することになりますので、ご注意ください。

総務部長:

ややこしい手続きになるのですね。

社労士:

賃金の支払い方等で取扱いが異なってくるため、出向規程で社会保険の取扱いを定め、具体的な出向の内容を出向先企業との出向契約書など書面で取り交わすべきでしょう。

総務部長:

なるほど。以前に、出向規程を作成していたと思いますので、中身を確認してみます。また不明点が出てきたら、相談します。

【ワンポイントアドバイス】

  1.  雇用保険、健康保険・厚生年金保険は、出向元企業・出向先企業の賃金の支払い状況によって適用が異なる。労災保険については、賃金の支払い状況に関わらず、出向者が労務提供を行う企業で適用となる。
  2.  出向における社会保険の取扱いを出向規程に定め、実際に出向を行う場合には、出向元企業と出向先企業との出向契約書の中で社会保険の取扱いを明確にする。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)5月号③

出向者の社会保険の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:

今後、当社の従業員の能力開発を進めるために、取引先の企業に在籍出向をさせたいと考えています。詳細はこれから検討することになりますが、社会保険の取扱いについて教えてください。

社労士:

わかりました。まず雇用保険については、出向者は出向元企業と出向先企業の双方と雇用関係がありますが、両方で適用されるわけではありません。生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている企業の方で適用します。

総務部長:

いまのところ、本人には当社から賃金を支給し、出向先企業から当社へ賃金の負担金を支払ってもらう予定です。この場合には、雇用保険は当社のまま加入し続けることになりますね。

社労士:

そうですね。次に労災保険ですが、実際に出向者が労務提供を行う先で適用となるため、出向先企業で適用します。出向先で被保険者となる手続きは不要ですが、労災保険料は出向先の被保険者として算入することになるため、出向元で出向者の賃金を支払っている場合には、出向先企業に支払った賃金額を連絡し、出向先で出向者の賃金を含めて労災保険料を算出します。

総務部長:

労災事故は実際に働いている現場で起きるため、労務提供を行う出向先で加入するのですね。

社労士:

その通りです。最後に、健康保険・厚生年金保険は、出向元企業と出向先企業のうち、使用関係があり報酬を支払う企業(一方または双方)で適用を受けます。今回は、自社で賃金を支払う予定ですので、現行のままの適用になります。なお、出向元企業と出向先企業の両者で適用となる場合には、二以上事業所勤務届を提出することになりますので、ご注意ください。

総務部長:

ややこしい手続きになるのですね。

社労士:

賃金の支払い方等で取扱いが異なってくるため、出向規程で社会保険の取扱いを定め、具体的な出向の内容を出向先企業との出向契約書など書面で取り交わすべきでしょう。

総務部長:

なるほど。以前に、出向規程を作成していたと思いますので、中身を確認してみます。また不明点が出てきたら、相談します。

【ワンポイントアドバイス】

  1.  雇用保険、健康保険・厚生年金保険は、出向元企業・出向先企業の賃金の支払い状況によって適用が異なる。労災保険については、賃金の支払い状況に関わらず、出向者が労務提供を行う企業で適用となる。
  2.  出向における社会保険の取扱いを出向規程に定め、実際に出向を行う場合には、出向元企業と出向先企業との出向契約書の中で社会保険の取扱いを明確にする。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)5月号③

出向者の社会保険の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:

今後、当社の従業員の能力開発を進めるために、取引先の企業に在籍出向をさせたいと考えています。詳細はこれから検討することになりますが、社会保険の取扱いについて教えてください。

社労士:

わかりました。まず雇用保険については、出向者は出向元企業と出向先企業の双方と雇用関係がありますが、両方で適用されるわけではありません。生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている企業の方で適用します。

総務部長:

いまのところ、本人には当社から賃金を支給し、出向先企業から当社へ賃金の負担金を支払ってもらう予定です。この場合には、雇用保険は当社のまま加入し続けることになりますね。

社労士:

そうですね。次に労災保険ですが、実際に出向者が労務提供を行う先で適用となるため、出向先企業で適用します。出向先で被保険者となる手続きは不要ですが、労災保険料は出向先の被保険者として算入することになるため、出向元で出向者の賃金を支払っている場合には、出向先企業に支払った賃金額を連絡し、出向先で出向者の賃金を含めて労災保険料を算出します。

総務部長:

労災事故は実際に働いている現場で起きるため、労務提供を行う出向先で加入するのですね。

社労士:

その通りです。最後に、健康保険・厚生年金保険は、出向元企業と出向先企業のうち、使用関係があり報酬を支払う企業(一方または双方)で適用を受けます。今回は、自社で賃金を支払う予定ですので、現行のままの適用になります。なお、出向元企業と出向先企業の両者で適用となる場合には、二以上事業所勤務届を提出することになりますので、ご注意ください。

総務部長:

ややこしい手続きになるのですね。

社労士:

賃金の支払い方等で取扱いが異なってくるため、出向規程で社会保険の取扱いを定め、具体的な出向の内容を出向先企業との出向契約書など書面で取り交わすべきでしょう。

総務部長:

なるほど。以前に、出向規程を作成していたと思いますので、中身を確認してみます。また不明点が出てきたら、相談します。

【ワンポイントアドバイス】

  1.  雇用保険、健康保険・厚生年金保険は、出向元企業・出向先企業の賃金の支払い状況によって適用が異なる。労災保険については、賃金の支払い状況に関わらず、出向者が労務提供を行う企業で適用となる。
  2.  出向における社会保険の取扱いを出向規程に定め、実際に出向を行う場合には、出向元企業と出向先企業との出向契約書の中で社会保険の取扱いを明確にする。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)5月号②

次世代法の一般事業主行動計画策定と指針改正

次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備するために、国、地方公共団体、企業、国民が担う責務を明らかにすることを目的として次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」という)が制定され、2005年4月1日に施行されました。当初は10年間の時限立法でしたが、法改正により2025年3月31日まで10年間延長されています。さらに、2021年2月には次世代法に基づく行動計画策定指針(以下、「指針」という)が改正され、2021年4月1日に適用となることから、ここでは次世代法の内容と改正された指針について確認します。

1.行動計画の策定

次世代法では、常時雇用労働者数101人以上の企業に対し一般事業主行動計画(以下、「行動計画」という)を策定し、一般への公表および従業員への周知を求めており、さらに行動計画を策定した旨を、都道府県労働局に届け出ることを義務としています(100人以下の企業は努力義務)。

行動計画の内容は各企業で検討し、決定することになりますが、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むにあたって、「計画期間」、「目標」、「目標を達成するための対策の内容と実施時期」を盛り込むことになっています。

2.行動計画策定指針の改正

行動計画の策定においては、指針の「一般事業主行動計画の内容に関する事項」に掲載されている項目を参考にするとよいでしょう。

今回の改正により、「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」として、以下の内容が盛り込まれました。

  1. 不妊治療のために利用することができる休暇制度(多目的休暇を含む)、半日単位・時間単位の年次有給休暇制度、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワーク等の導入や、その他の措置を講ずる。
  2. 1.の場合、以下の取組みを併せて行うことが望ましい。
    ・両立の推進に関する取組体制の整備
    ・従業員に対するニーズ調査と、その結果を踏まえた措置を講ずること
    ・企業の方針や休暇制度等の具体的措置について従業員への周知、社内の理解促進、相談対応の実施
  3. 休暇制度等の運用にあたって、不妊治療に係る個人情報の取扱いに十分留意することが必要。

厚生労働省では、働きながら不妊治療を受けられるように、不妊治療と仕事の両立を支援しています。不妊治療をしている多くの従業員が会社にその旨を伝えられていない現状もあるようです。まずはニーズの調査といった取組みから始めてもよいかもしれません。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)5月号②

次世代法の一般事業主行動計画策定と指針改正

次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備するために、国、地方公共団体、企業、国民が担う責務を明らかにすることを目的として次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」という)が制定され、2005年4月1日に施行されました。当初は10年間の時限立法でしたが、法改正により2025年3月31日まで10年間延長されています。さらに、2021年2月には次世代法に基づく行動計画策定指針(以下、「指針」という)が改正され、2021年4月1日に適用となることから、ここでは次世代法の内容と改正された指針について確認します。

1.行動計画の策定

次世代法では、常時雇用労働者数101人以上の企業に対し一般事業主行動計画(以下、「行動計画」という)を策定し、一般への公表および従業員への周知を求めており、さらに行動計画を策定した旨を、都道府県労働局に届け出ることを義務としています(100人以下の企業は努力義務)。

行動計画の内容は各企業で検討し、決定することになりますが、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むにあたって、「計画期間」、「目標」、「目標を達成するための対策の内容と実施時期」を盛り込むことになっています。

2.行動計画策定指針の改正

行動計画の策定においては、指針の「一般事業主行動計画の内容に関する事項」に掲載されている項目を参考にするとよいでしょう。

今回の改正により、「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」として、以下の内容が盛り込まれました。

  1. 不妊治療のために利用することができる休暇制度(多目的休暇を含む)、半日単位・時間単位の年次有給休暇制度、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワーク等の導入や、その他の措置を講ずる。
  2. 1.の場合、以下の取組みを併せて行うことが望ましい。
    ・両立の推進に関する取組体制の整備
    ・従業員に対するニーズ調査と、その結果を踏まえた措置を講ずること
    ・企業の方針や休暇制度等の具体的措置について従業員への周知、社内の理解促進、相談対応の実施
  3. 休暇制度等の運用にあたって、不妊治療に係る個人情報の取扱いに十分留意することが必要。

厚生労働省では、働きながら不妊治療を受けられるように、不妊治療と仕事の両立を支援しています。不妊治療をしている多くの従業員が会社にその旨を伝えられていない現状もあるようです。まずはニーズの調査といった取組みから始めてもよいかもしれません。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)5月号②

次世代法の一般事業主行動計画策定と指針改正

次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備するために、国、地方公共団体、企業、国民が担う責務を明らかにすることを目的として次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」という)が制定され、2005年4月1日に施行されました。当初は10年間の時限立法でしたが、法改正により2025年3月31日まで10年間延長されています。さらに、2021年2月には次世代法に基づく行動計画策定指針(以下、「指針」という)が改正され、2021年4月1日に適用となることから、ここでは次世代法の内容と改正された指針について確認します。

1.行動計画の策定

次世代法では、常時雇用労働者数101人以上の企業に対し一般事業主行動計画(以下、「行動計画」という)を策定し、一般への公表および従業員への周知を求めており、さらに行動計画を策定した旨を、都道府県労働局に届け出ることを義務としています(100人以下の企業は努力義務)。

行動計画の内容は各企業で検討し、決定することになりますが、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むにあたって、「計画期間」、「目標」、「目標を達成するための対策の内容と実施時期」を盛り込むことになっています。

2.行動計画策定指針の改正

行動計画の策定においては、指針の「一般事業主行動計画の内容に関する事項」に掲載されている項目を参考にするとよいでしょう。

今回の改正により、「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」として、以下の内容が盛り込まれました。

  1. 不妊治療のために利用することができる休暇制度(多目的休暇を含む)、半日単位・時間単位の年次有給休暇制度、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワーク等の導入や、その他の措置を講ずる。
  2. 1.の場合、以下の取組みを併せて行うことが望ましい。
    ・両立の推進に関する取組体制の整備
    ・従業員に対するニーズ調査と、その結果を踏まえた措置を講ずること
    ・企業の方針や休暇制度等の具体的措置について従業員への周知、社内の理解促進、相談対応の実施
  3. 休暇制度等の運用にあたって、不妊治療に係る個人情報の取扱いに十分留意することが必要。

厚生労働省では、働きながら不妊治療を受けられるように、不妊治療と仕事の両立を支援しています。不妊治療をしている多くの従業員が会社にその旨を伝えられていない現状もあるようです。まずはニーズの調査といった取組みから始めてもよいかもしれません。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)5月号①

今国会で審議が進められる男性育休取得促進等

厚生労働省が行った令和元年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業(以下、「育休」という)の取得者の割合は7.48%となり、平成30年度の6.16%と比較すると上昇はしているものの、その上昇幅はわずかに留まりました。少子高齢化を止めるためにも男性の育休取得促進は最重要の政策となっており、今国会では以下の法改正(主だったもの)が審議されています。

1.男性育休取得促進策

①出生時育休の創設

子どもの出生後8週間以内に、4週間まで取得することができる柔軟な育休の枠組みが創設される予定です(出生時育休)。出生時育休では、より休業を取得しやすいように、休業の申出期限を原則休業の2週間前までとし、2回に分割して取得することができるよう検討されています。

また、労使協定を締結している場合に、従業員と事業主の個別合意により、事前に調整した上で出生時育休中に就業できるようにすることも改正法案に含まれています。

②雇用環境整備と個別の周知・意向確認義務

妊娠・出産をした従業員や、配偶者が妊娠・出産をした従業員が申し出たときに、個別に育休等の制度の周知および育休の取得意向の確認のための措置を講ずることが、事業主に義務づけられる予定です。

③育休の分割取得

現行の育休は、一定の事由がない限り1子につき1回のみの取得です。これを分割して2回まで取得することができるようになる予定です。

④育休取得状況の公表義務付け

常時雇用労働者数が1,000人超の企業に対し、育休取得状況の公表が義務付けられる予定です。

⑤有期雇用労働者の取得要件の緩和

有期雇用労働者の育児休業および介護休業について「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という取得要件が廃止される予定です。ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することができるように検討されています。

2.社会保険関係の改正

1.の変更に伴い、雇用保険の育児休業給付に関しても必要な変更が行われ、また、出産日のタイミングによって育児休業給付の受給要件を満たさなくなるケースを解消するため、被保険者期間の計算の起算点に関する特例が設けられる予定です。

さらに、短期の育休の取得に対応するため、月内に2週間以上の育休を取得した場合には、その月の社会保険料が免除されるようになり、
賞与に係る社会保険料については1ヶ月を超える育休を取得している場合に限り、免除の対象とすることも検討されています。

4月13日現在、国会で審議が行われている状況ですが、成立後には就業規則(育児・介護休業規程等)の大幅な変更が必要になる内容であるため、事前に概要を確認しておきましょう。なお、改正法が成立すると2022年4月以降、複数回に分けて施行される予定です。
※2021年4月13日現在の情報に基づき作成しています。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)5月号①

今国会で審議が進められる男性育休取得促進等

厚生労働省が行った令和元年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業(以下、「育休」という)の取得者の割合は7.48%となり、平成30年度の6.16%と比較すると上昇はしているものの、その上昇幅はわずかに留まりました。少子高齢化を止めるためにも男性の育休取得促進は最重要の政策となっており、今国会では以下の法改正(主だったもの)が審議されています。

1.男性育休取得促進策

①出生時育休の創設

子どもの出生後8週間以内に、4週間まで取得することができる柔軟な育休の枠組みが創設される予定です(出生時育休)。出生時育休では、より休業を取得しやすいように、休業の申出期限を原則休業の2週間前までとし、2回に分割して取得することができるよう検討されています。

また、労使協定を締結している場合に、従業員と事業主の個別合意により、事前に調整した上で出生時育休中に就業できるようにすることも改正法案に含まれています。

②雇用環境整備と個別の周知・意向確認義務

妊娠・出産をした従業員や、配偶者が妊娠・出産をした従業員が申し出たときに、個別に育休等の制度の周知および育休の取得意向の確認のための措置を講ずることが、事業主に義務づけられる予定です。

③育休の分割取得

現行の育休は、一定の事由がない限り1子につき1回のみの取得です。これを分割して2回まで取得することができるようになる予定です。

④育休取得状況の公表義務付け

常時雇用労働者数が1,000人超の企業に対し、育休取得状況の公表が義務付けられる予定です。

⑤有期雇用労働者の取得要件の緩和

有期雇用労働者の育児休業および介護休業について「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という取得要件が廃止される予定です。ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することができるように検討されています。

2.社会保険関係の改正

1.の変更に伴い、雇用保険の育児休業給付に関しても必要な変更が行われ、また、出産日のタイミングによって育児休業給付の受給要件を満たさなくなるケースを解消するため、被保険者期間の計算の起算点に関する特例が設けられる予定です。

さらに、短期の育休の取得に対応するため、月内に2週間以上の育休を取得した場合には、その月の社会保険料が免除されるようになり、
賞与に係る社会保険料については1ヶ月を超える育休を取得している場合に限り、免除の対象とすることも検討されています。

4月13日現在、国会で審議が行われている状況ですが、成立後には就業規則(育児・介護休業規程等)の大幅な変更が必要になる内容であるため、事前に概要を確認しておきましょう。なお、改正法が成立すると2022年4月以降、複数回に分けて施行される予定です。
※2021年4月13日現在の情報に基づき作成しています。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)5月号①

今国会で審議が進められる男性育休取得促進等

厚生労働省が行った令和元年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業(以下、「育休」という)の取得者の割合は7.48%となり、平成30年度の6.16%と比較すると上昇はしているものの、その上昇幅はわずかに留まりました。少子高齢化を止めるためにも男性の育休取得促進は最重要の政策となっており、今国会では以下の法改正(主だったもの)が審議されています。

1.男性育休取得促進策

①出生時育休の創設

子どもの出生後8週間以内に、4週間まで取得することができる柔軟な育休の枠組みが創設される予定です(出生時育休)。出生時育休では、より休業を取得しやすいように、休業の申出期限を原則休業の2週間前までとし、2回に分割して取得することができるよう検討されています。

また、労使協定を締結している場合に、従業員と事業主の個別合意により、事前に調整した上で出生時育休中に就業できるようにすることも改正法案に含まれています。

②雇用環境整備と個別の周知・意向確認義務

妊娠・出産をした従業員や、配偶者が妊娠・出産をした従業員が申し出たときに、個別に育休等の制度の周知および育休の取得意向の確認のための措置を講ずることが、事業主に義務づけられる予定です。

③育休の分割取得

現行の育休は、一定の事由がない限り1子につき1回のみの取得です。これを分割して2回まで取得することができるようになる予定です。

④育休取得状況の公表義務付け

常時雇用労働者数が1,000人超の企業に対し、育休取得状況の公表が義務付けられる予定です。

⑤有期雇用労働者の取得要件の緩和

有期雇用労働者の育児休業および介護休業について「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という取得要件が廃止される予定です。ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することができるように検討されています。

2.社会保険関係の改正

1.の変更に伴い、雇用保険の育児休業給付に関しても必要な変更が行われ、また、出産日のタイミングによって育児休業給付の受給要件を満たさなくなるケースを解消するため、被保険者期間の計算の起算点に関する特例が設けられる予定です。

さらに、短期の育休の取得に対応するため、月内に2週間以上の育休を取得した場合には、その月の社会保険料が免除されるようになり、
賞与に係る社会保険料については1ヶ月を超える育休を取得している場合に限り、免除の対象とすることも検討されています。

4月13日現在、国会で審議が行われている状況ですが、成立後には就業規則(育児・介護休業規程等)の大幅な変更が必要になる内容であるため、事前に概要を確認しておきましょう。なお、改正法が成立すると2022年4月以降、複数回に分けて施行される予定です。
※2021年4月13日現在の情報に基づき作成しています。

(次号に続く)

ニュースレター4月号

2021年4月に行われた「財政制度分科会」の内容を確認しておきましょう

財務省としての意見を発信する「財政制度分科会」が開催

20214月より第8期の法改正・報酬改定が施行され、落ち着きを取り戻すまでにはあと約1ヶ月~2ヶ月程度は必要であろうと思われる介護業界。そんな折、財政的観点から「抜本的改革に着手すべき」と声高に主張する“財政制度分科会”が415日に開催されました。“国の金庫番”とも呼べる財務省が介護業界に対し、どのような改革案を突き付けているのか?今回は同省が作成した資料「社会保障について」の中で特に介護事業者に関連するであろう10点の論点の中から抜粋し、特に注視・認識しておいた方が良いと思われる5点の内容を採り上げ、お届けしてまいります。

財政制度分科会で採り上げられた「論点」「改革の方向性(案)」とは

では、早速、中身に移ってまいりましょう。ここでは本分科会で示された資料を紹介する形で進めてまいります。先ずは、「制度創設時からの介護保険費用等の推移」という資料についてです。

「介護費用は制度創設時に予測した水準に比べて増加しており、保険料についても当初見込みを上回るペースで上昇している一方、(財源別国民医療費における保険料の減少効果が芳しくないこと等)制度設計時に想定していた費用対効果には程遠い状況である」、即ち、「財政面においては、もっとシビアに見ていく必要があるのでは?」というメッセージ(先制パンチ?)かと思われます。
続いて2番目の資料を確認してまいりましょう。上記文脈からの、「利用者負担の見直し」というタイトルの資料についてです。

「介護保険サービスの利用者負担を原則2割とすることや利用者負担2割に向けてその対象範囲の拡大を図ることを検討していく必要」というメッセージは、次期改定にどのような影響を及ぼすのか、注目すべきポイントの一つだと思われます。
続いて3番目の資料を確認してまいりましょう。「介護人材確保の取組とICT化等による生産性向上」というタイトルの資料についてです。

「令和4年6月までに施行される社会福祉連携推進法人制度の積極的な活用を促す」・・・・とても印象に残る言葉だな、と感じた次第です。続いて4番目の資料を確認してまいりましょう。「ケアマネジメントのあり方の見直し」というタイトルの資料についてです。

あらゆる観点から、「ケアマネジメントにも利用者負担を導入すべき」というメッセージを伝えたい財務省の意図が明快に反映された資料だと感じる次第です。

最後に、5番目の資料を確認してまいりましょう。「区分支給限度額のあり方の見直し」というタイトルの資料についてです。

「区分支給限度額の対象外となっている加算がもし限度内に収められたら、自社の売上はどうなるだろうか・・・・」現実的かどうかは別にして一度計算をしてみると、財務省のメッセージが今の介護事業者にとって如何にシビアなものかが分かると思われます。

国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を

以上、財政制度分科会内の資料「社会保障」より、介護事業者に直接関係のある部分から論点を幾つか抜粋してお伝えさせていただきました。本内容は国全体の方針ではなく、あくまで「財務省」という一省庁の意見である、ということはしっかり認識しておく必要はあろうかと思いますが、それでも「財政健全化」が叫ばれる我が国としては、財務省の挙げる声に一定の重みがあることも否めない事実だと思われます。

事業者としては上記内容を踏まえつつ、「もしこれらの施策が実行された場合にどう対応するか?」について事前に頭を働かせておくことが重要だと言えるでしょう。私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※上記内容の参照先URLはこちら↓

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20210415zaiseia.html

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