コラム
3月29日に新たに公表された
“Q&A第4弾”。
訪問介護に対する内容などが多く含まれているようです。
下記をご確認下さいませ。
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000761356.pdf
医療機関でみられる人事労務Q&A
『退職代行業者から「職員が退職する」という申出の連絡』
Q:
退職代行業者※と名乗るところから、当院の無断欠勤している職員について「〇月〇日付けで退職する」という郵便が届きました。その職員とは現在、連絡がとれない状況にあります。どのようにすればよいのでしょうか?
(※)弁護士や労働組合ではない退職代行業者
A:
退職代行業者は「使者」という位置づけになるため、その退職の意思表示が本人のものなのかを職員に確認する必要があります。電話やメールがつながらず職員と連絡がとれない状況にあれば、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。それでも本人の意思か確認がとれない場合には、退職代行業者を通じて本人の意思を確認しましょう。
詳細解説:
1.退職代行業者とは
職員が退職するにあたり、自ら申出をすることで、使用者から引き留めなどを受け、退職のトラブルに発展することを懸念する傾向が強まっています。
このような状況を受けて職員の代わりに退職の申出をする退職代行業者が出現し、更に使用者に報告せず気軽に辞めることができると考える人の間で利用が広まっています。
2.退職代行業者の法的な位置づけ
この退職代行業者の法的な位置づけとして「代理」と「使者」が考えられますが、弁護士法により弁護士でなければ職員の「代理」をすることができないことから、「使者」という立場となります。使者としての退職代行業者は、職員本人が行う退職の意思表示を、使用者に届けることになり、交渉などを行うことはできません。
3.退職代行業者から連絡がきた場合の対応
退職代行業者から連絡がきたときは、一般的にはその退職の意思表示が職員本人の意思によるものかを確認する必要があります。確認の方法としては、通常、直接本人に連絡をすることになります。退職代行業者から届いた文書の中に、本人への直接の連絡を禁止するような文言や、退職代行業者あてに連絡してほしい旨の文言が入っていることがありますが、この内容に強制力はありません。
本人と連絡がとれない場合は、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。そして、確認したものの、本人のものなのか確認できない場合は、本人からどのような依頼があったのか退職代行業者に確認したり、本人の意思を確認できる資料の送付を依頼したりなどするとよいでしょう。
退職代行業者からの連絡が、職員本人の意思である場合、退職の申出は認めざるをえません。ただし、何の対応もせずに認めてしまうことで、職員間で情報が共有され、今後も退職代行業者を通じた申出が行われる可能性があります。そのため、退職の申出のルールを労使で確認しておきましょう。
(次号に続く)
先週末にQ&Aの第3弾が発出されました。
様々なサービスに関する情報が盛り込まれています
まだ、私も全て読み込んでいるわけではありませんが・・・・
取り急ぎ、皆様に共有させて頂きます。
関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さいませ。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000760502.pdf
医療機関等における都道府県別の入・離職率
ここでは、医療機関等における従業員の移動状況について、昨年12 月に公表されたデータ※から、2019 年の入職率と離職率(常用労働者数に対する入(離)職者数の割合)をみていきます。
全国的には入職超過の状況に
上記データから、2019 年の医療機関等(以下、医療,福祉)の入・離職率を都道府県別にまとめると、下表のとおりです。
全国の入職率は16.2%、離職率は14.4%です。入職超過率(入職率から離職率を引いたもの)は1.8 ポイントとなり、入職超過の状況にあります。なお2018 年も0.7 ポイントの入職超過だったことから、医療,福祉では入職超過の状況が続いています。
都道府県別の入・離職率
都道府県別の入職率をみると、香川県が57.9%で最も高く、次いで福岡県が 34.4%となりました。その他、青森県、岐阜県、長崎県、広島県、三重県、愛知県、山梨県、千葉県も20%を超える状況です。離職率は長崎県が29.2%で最も高くなりました。次いで三重県が 27.8%、広島県が 26.0%となったほか、香川県、栃木県、沖縄県、奈良県、青森県も20%を超えています。
入職超過率の状況
入職超過率については、24 道府県が入職超過になりました。中でも香川県が34.2 ポイント、福岡県が22.6 ポイントと大幅な入職超過の状況にあります。一方、離職超過の状況にあるのは23 都府県で、中でも鳥取県がマイナス12.3 ポイントと最も高くなっています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療機関を取り巻く環境は厳しさを増しています。2020 年以降の結果は、どのようになっているでしょうか。
※厚生労働省「2019 年(令和元年)雇用動向調査」
5 人以上の常用労働者を雇用する事業所から抽出した、約15,000 事業所を対象にした調査です。入(離)職率の算式は次のとおりです。
入(離)職率 = 入(離)職者数÷1 月1 日現在の常用労働者数×100(%)
詳細は次のURL のページから確認いただけます。
(次号に続く)
第 3 次補正予算による医療機関追加支援
令和2 年度第3 次補正予算では、医療提供体制確保と医療機関等支援として、新たに1 兆6,447 億円が計上されました。ここでは多くの医療機関等が補助の対象となる「医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援」に注目します。
診療所・歯科診療所・薬局等、幅広く対象
医療機関における感染拡大防止等の支援が、追加で実施されることになりました。既に第2次補正予算にて同様の補助を受けた医療機関等も対象です。
・対象となる医療機関等
院内等での感染拡大を防ぐための取組を行う
⚫ 保険医療機関
⚫ 保険薬局
⚫ 指定訪問看護事業者
⚫ 助産所
- 後述の「診療・検査医療機関」の感染拡大防止等の支援と、重複して受けることはできません。
- 「インフルエンザ流行期における新型コロナウイルス感染症疑い患者を受け入れる救急・周産期・小児医療機関体制確保事業」(令和2 年9 月15 日の予備費)の感染拡大防止等の補助を受けた医療機関については、今回の補助上限額が高い場合、差額分が補助されます。
・ 補助基準額
次の額を上限として実費が補助されます。
病院・有床診療所(医科・歯科) | 25 万円+5 万円×許可病床数 |
無床診療所(医科・歯科) | 25 万円 |
薬局、訪問看護事業者、助産所 | 20 万円 |
・対象となる経費
令和2 年12 月15 日から令和3 年3 月31 日までにかかる感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用が対象です。感染拡大防止と地域における診療体制確保等に要する費用について、幅広く対象となります。
例:消毒・清掃・リネン交換等の委託、感染性廃棄物処理、個人防護具の購入、寝具リース、CT リース等
なお、従前から勤務している者や通常の医療提供を行う者に係る人件費は、対象外です。
上記の支援の他、都道府県の指定を受けて発熱外来体制をとる「診療・検査医療機関」の支援策(上限100 万円)も、第3 次補正予算に計上されました。最新情報にご留意ください。
参考:
厚生労働省「令和2 年度厚生労働省第三次補正予算案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/03index.html
(次号に続く)
福祉施設でみられる人事労務Q&A
『退職代行業者から「職員が退職する」という申出の連絡』
Q:
退職代行業者※と名乗るところから、当施設の無断欠勤している職員について「〇月〇日付けで退職する」という郵便が届きました。その職員とは現在、連絡がとれない状況にあります。どのようにすればよいのでしょうか?
A:
退職代行業者は「使者」という位置づけになるため、その退職の意思表示が本人のものなのかを職員に確認する必要があります。電話やメールがつながらず職員と連絡がとれない状況にあれば、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。それでも本人の意思か確認がとれない場合には、退職代行業者を通じて本人の意思を確認しましょう。
詳細解説:
1.退職代行業者とは
職員が退職するにあたり、自ら申出をすることで、使用者から引き留めなどを受け、退職のトラブルに発展することを懸念する傾向が強まっています。
このような状況を受けて職員の代わりに退職の申出をする退職代行業者が出現し、更に使用者に報告せず気軽に辞めることができると考える人の間で利用が広まっています。
2.退職代行業者の法的な位置づけ
この退職代行業者の法的な位置づけとして「代理」と「使者」が考えられますが、弁護士法により弁護士でなければ職員の「代理」をすることができないことから、「使者」という立場となります。使者としての退職代行業者は、職員本人が行う退職の意思表示を、使用者に届けることになり、交渉などを行うことはできません。
3.退職代行業者から連絡がきた場合の対応
退職代行業者から連絡がきたときは、一般的にはその退職の意思表示が職員本人の意思によるものかを確認する必要があります。確認の方法としては、通常、直接本人に連絡をすることになります。退職代行業者から届いた文書の中に、本人への直接の連絡を禁止するような文言や、退職代行業者あてに連絡してほしい旨の文言が入っていることがありますが、この内容に強制力はありません。
本人と連絡がとれない場合は、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。そして、確認したものの、本人のものなのか確認できない場合は、本人からどのような依頼があったのか退職代行業者に確認したり、本人の意思を確認できる資料の送付を依頼したりなどするとよいでしょう。
退職代行業者からの連絡が、職員本人の意思である場合、退職の申出は認めざるをえません。ただし、何の対応もせずに認めてしまうことで、職員間で情報が共有され、今後も退職代行業者を通じた申出が行われる可能性があります。そのため、退職の申出のルールを労使で確認しておきましょう。
(次号に続く)
介護サービス事業所の増減
ここでは2021 年1 月に発表された調査結果※から、介護サービスごとの施設数や事業所数の増減をみていきます。
居宅介護支援事業所が最も多い
上記調査結果から、2019 年10 月1 日時点の介護サービス(以下、サービス)ごとの施設数や事業所数と、2018 年からの増減率をまとめると、下表のとおりです。
事業所数が最も多いのは、居宅介護支援事業所で40,118 事業所となりました。次いで、訪問介護が34,825 事業所、通所介護も24,035 事業所となっています。反対に最も少ないのは、夜間対応型訪問介護の228 事業所です。次いで、介護医療院が245 施設、地域密着型特定施設入居者生活介護も352 施設となりました。
増加したサービスが半数以上を占める
2018 年からの増減率をみると、36 サービス中、22 のサービスが2018 年から増加しました。増減率が最も高いのは、介護医療院の295.2%です。複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)も14.8%の増加で、この2 サービスが10%以上の増加となっています。その他、5%以上の増加となったのは、地域密着型特定施設入居者生活介護、訪問看護ステーション、介護予防訪問看護ステーションでした。
一方で、14 のサービスが2018 年から減少しています。最も減少幅が大きいのは、介護療養型医療施設のマイナス18.8%です。唯一の二けた減少となりました。次いで、介護予防訪問入浴介護がマイナス5.2%、訪問入浴介護もマイナス5.0%となりました。訪問入浴系サービスの減少が目立ちます。
全国の状況はこのようになりましたが、貴施設の周辺の状況はいかがでしょうか。
※厚生労働省「令和元年介護サービス施設・事業所調査」
2019 年10 月1 日現在で活動中の施設・事業所について集計したものです。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service19/index.html
(次号に続く)
どうなる? 令和3 年度介護報酬改定
感染症への不安が色濃く残る中、4 月に施行される介護報酬改定は0.70%のプラス改定に落ち着きました。今改定では、人材不足や自立支援強化等の従来の視点に加え、感染症や災害への対応力強化も重視されています。
9 月末までは0.05%の上乗せ
改定率の決定に併せ、新型コロナウイルス感染症への対応に配慮し、令和3 年4 月から令和3 年9 月末までの半年間、特例的な評価として0.05%が上乗せされることも合意されました。
令和3 年度改定で追加された新しい柱
今回の改定では、昨今の感染症や大規模災害等の経験から、緊急時でも必要なサービス提供が途切れることなく継続できる対応力の強化が、新たな柱として加わりました。
感染症対策と事業継続の取組を義務化
3 年間の経過措置が設けられた上で、次の2つが義務づけられます。
① 感染症対策の強化
委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーションの実施)等
② 業務継続に向けた取組の強化
感染症や災害発生時に必要な介護サービスが継続的に提供できる体制のための、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施
通所介護等の報酬の見直し
感染症等で利用者減となった場合の通所介護等の報酬について、次の見直しが行われます。
① 事業所規模別の報酬区分の決定にあたって、より小さい規模区分がある大規模型について、前年度の平均延べ利用者数ではなく、感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることを可能に。
② 通所介護等について、感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から一定割合以上減少している場合、一定期間、臨時的な利用者の減少による利用者一人あたりの経費の増加に対応するための評価を行う。
昨年6 月以来、新型コロナウイルス感染拡大の深刻な影響を受けた通所介護サービス事業者に対し、毎月一定回数まで2 区分上位の報酬を算定することを認めた特例が設けられ、半数以上の事業所の利用がありましたが、上記の改定に伴い、これが廃止される見込みです。今後の発表にも引き続きご注目ください。
参考:厚生労働省「令和3 年度介護報酬改定に関する審議報告」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188370_00002.html
(次号に続く)
業務災害にもなりうる新型コロナへの感染と労働者死傷病報告の提出
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大が続く中、業務中に新型コロナに感染する事例が見受けられます。このようなときは、業務災害として労災保険の給付の対象となります。ここでは労災認定の事例を取り上げるとともに、業務災害として休業が発生したときに提出が必要な労働者死傷病報告について確認します。
1.労災請求件
厚生労働省が公表している新型コロナに関する労災請求件数は、2021年1月29日現在で3,836件となり、そのうち1,912件について支給決定が行われています。
これを業種別で確認すると、8割近くが医療従事者等の請求となっているものの、その他の業種でも請求が行われ、支給決定されています。
厚生労働省が挙げている労災認定事例では、飲食店店員について以下のような判断により支給決定がされています。
飲食店店員のAさんは、店内での業務に従事していたが、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認されたことから、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
労働基準監督署における調査の結果、Aさん以外にも同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。
以上の経過から、Aさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。
このように、状況によっては医療従事者等以外であっても、業務災害として認められることがあります。
2.労働者死傷病報告の提出
業務災害により休業した場合には、労働者死傷病報告の提出が必要です。業務中に新型コロナに感染・発症して休業した場合でも同様であり、遅滞なく、事業場を所轄する労働基準監督署に提出する必要があります。
この際、労働者死傷病報告(様式第23号)の傷病名には「新型コロナウイルス感染による肺炎」と記入し、「災害の発生状況及び原因」欄には、感染から発症までの経緯を簡潔に記入します。また、発生日時は陽性判定日ではなく、傷病の症状が現れた日付を記入します。
会社で感染対策を十分に行っていても、特に不特定多数の人と関わるような業務では、新型コロナに感染する可能性があります。新型コロナの感染者が発生した際には、会社としても感染原因、感染経路、発症日、症状等を明確に把握するとともに、必要に応じ業務災害としての申請を行う必要があります。
(次号に続く)
業務災害にもなりうる新型コロナへの感染と労働者死傷病報告の提出
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大が続く中、業務中に新型コロナに感染する事例が見受けられます。このようなときは、業務災害として労災保険の給付の対象となります。ここでは労災認定の事例を取り上げるとともに、業務災害として休業が発生したときに提出が必要な労働者死傷病報告について確認します。
1.労災請求件
厚生労働省が公表している新型コロナに関する労災請求件数は、2021年1月29日現在で3,836件となり、そのうち1,912件について支給決定が行われています。
これを業種別で確認すると、8割近くが医療従事者等の請求となっているものの、その他の業種でも請求が行われ、支給決定されています。
厚生労働省が挙げている労災認定事例では、飲食店店員について以下のような判断により支給決定がされています。
飲食店店員のAさんは、店内での業務に従事していたが、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認されたことから、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
労働基準監督署における調査の結果、Aさん以外にも同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。
以上の経過から、Aさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。
このように、状況によっては医療従事者等以外であっても、業務災害として認められることがあります。
2.労働者死傷病報告の提出
業務災害により休業した場合には、労働者死傷病報告の提出が必要です。業務中に新型コロナに感染・発症して休業した場合でも同様であり、遅滞なく、事業場を所轄する労働基準監督署に提出する必要があります。
この際、労働者死傷病報告(様式第23号)の傷病名には「新型コロナウイルス感染による肺炎」と記入し、「災害の発生状況及び原因」欄には、感染から発症までの経緯を簡潔に記入します。また、発生日時は陽性判定日ではなく、傷病の症状が現れた日付を記入します。
会社で感染対策を十分に行っていても、特に不特定多数の人と関わるような業務では、新型コロナに感染する可能性があります。新型コロナの感染者が発生した際には、会社としても感染原因、感染経路、発症日、症状等を明確に把握するとともに、必要に応じ業務災害としての申請を行う必要があります。
(次号に続く)