コラム
懲戒処分の種類と減給処分を行うときの留意点
従業員が労働契約の内容に違反したり、就業規則の服務規律を守らない場合に、会社は懲戒処分を下すことがあります。懲戒処分を下すためには、就業規則に事前にその内容を定め、定められた就業規則の規定に基づいて対応する必要があります。そこで、以下では一般的な懲戒処分の種類と、その中でも減給処分を行う際の留意点を確認します。
1.懲戒処分の種類
懲戒処分は、いくつかの段階を設けて、懲戒すべき事案が発生するたびに、どの懲戒処分を下すかを決定します。厚生労働省が公開する「モデル就業規則(平成31年3月)」では、以下の4種類の懲戒処分を設けています。
①けん責
始末書を提出させて将来を戒める。
②減給
始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
③出勤停止
始末書を提出させるほか、〇日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
④懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しない。
なお、降格や降職、諭旨解雇(諭旨退職)等、これら以外の懲戒処分を定めることも認められています。
2.減給の上限
1.にある「②減給」は、よく見かける懲戒処分の一つですが、処分内容として記載されているとおり、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えることはできず、同一月において懲戒の事案が複数となり、その複数の事案について減給を行うときであっても、減給の総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えることはできないと、労働基準法に定められています。
3.賞与で減給を行う際の留意点
減給は賃金で行いますが、賞与で行うことも認められています。この場合、賞与から減給を行う旨を就業規則に定めておくことが必要です。そして、賞与で減給を行うときであっても、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えることはできません。
なお、賞与の支給額を会社の業績や、賞与の算定期間中の人事評価に基づき決定することがあります。この際、懲戒の事案がこの人事評価のマイナスの要素となり、結果として減給の上限を超える額が賞与支給額から減額されたとしても、問題はありません。
減給の上限は、従業員の生活を過度に脅かすことのないように、設けられたものです。そもそもの事案に対する処分として、減給が妥当なのかを十分に検討するとともに、誤った取扱いをしないようにしましょう。
(次号に続く)
社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人
パートタイマーに対する待遇等の説明義務
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長
先日入社したパートさんに「私の時給はどのようにしたら上がるのですか?」と尋ねられました。当社では、正社員の昇給時期に、勤務成績が優秀なパートさんについて個別に時給を引上げているのですが、このような説明をする必要があるのでしょうか。
社労士
はい、パートタイマーを雇ったときには賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用など 総務部長について、説明する義務があります。例えば「給与はどのように決まるのか」ということや「どのような教育訓練を実施しているのか」等です。
総務部長
そうなのですか。どのような方法で説明するのでしょうか。
社労士
口頭で行うことが原則ですが、説明すべき事項が漏れなく記載されていて、容易に理解できる内容となっていれば、文書を交付すること等も認められています。
総務部長
なるほど、わかりました。一度まとめて、パートさんに渡せるようなものを作ってみます。
社労士
これ以外にも、「正社員への転換制度にはどのようなものがあるか」といった質問が寄せられたときにも、説明をする義務があります。
総務部長
当社では、勤続3年以上の者で、本人が希望し、上司からの推薦があるときに正社員登用試験を受けることができるので、この内容を説明することになりますね。
社労士
はい、そうですね。また、大企業では今年4月から、中小企業では来年4月から、正社員と非正規社員の不合理な待遇差の禁止(いわゆる同一労働同一賃金)が始まります。これとともに、非正規社員に対する待遇に関する説明義務が強化され、非正規社員から求めがあった場合には、待遇差の内容や理由を説明することが義務となります。
総務部長
パートさんから「正社員には通勤手当が支給されるのに、私には支給されないのはなぜか?」という質問に答える必要があるということですね。
社労士
そうですね。正社員と非正規社員の不合理な待遇差の是正はもちろん、これに加え非正規社員から説明を求められたときに対応できるよう、いまから待遇差の整理と必要に応じて是正をし、説明できるように準備しておきましょう。
【ワンポイントアドバイス】
- 非正規社員の雇入れ時には、賃金、教育・訓練、福利厚生施設の利用など雇用管理上の措置の内容を説明する義務がある(※)。
- 非正規社員から求めがあったときには、待遇差の内容や理由を説明する義務が今後課せられる。
- 説明は口頭で行う他、文書を交付することも考えられる。
※フルタイムの有期労働者についても同一労働同一賃金の施行時期に義務化される。
(次号に続く)
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パートタイマーに対する待遇等の説明義務
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長
先日入社したパートさんに「私の時給はどのようにしたら上がるのですか?」と尋ねられました。当社では、正社員の昇給時期に、勤務成績が優秀なパートさんについて個別に時給を引上げているのですが、このような説明をする必要があるのでしょうか。
社労士
はい、パートタイマーを雇ったときには賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用など 総務部長について、説明する義務があります。例えば「給与はどのように決まるのか」ということや「どのような教育訓練を実施しているのか」等です。
総務部長
そうなのですか。どのような方法で説明するのでしょうか。
社労士
口頭で行うことが原則ですが、説明すべき事項が漏れなく記載されていて、容易に理解できる内容となっていれば、文書を交付すること等も認められています。
総務部長
なるほど、わかりました。一度まとめて、パートさんに渡せるようなものを作ってみます。
社労士
これ以外にも、「正社員への転換制度にはどのようなものがあるか」といった質問が寄せられたときにも、説明をする義務があります。
総務部長
当社では、勤続3年以上の者で、本人が希望し、上司からの推薦があるときに正社員登用試験を受けることができるので、この内容を説明することになりますね。
社労士
はい、そうですね。また、大企業では今年4月から、中小企業では来年4月から、正社員と非正規社員の不合理な待遇差の禁止(いわゆる同一労働同一賃金)が始まります。これとともに、非正規社員に対する待遇に関する説明義務が強化され、非正規社員から求めがあった場合には、待遇差の内容や理由を説明することが義務となります。
総務部長
パートさんから「正社員には通勤手当が支給されるのに、私には支給されないのはなぜか?」という質問に答える必要があるということですね。
社労士
そうですね。正社員と非正規社員の不合理な待遇差の是正はもちろん、これに加え非正規社員から説明を求められたときに対応できるよう、いまから待遇差の整理と必要に応じて是正をし、説明できるように準備しておきましょう。
【ワンポイントアドバイス】
- 非正規社員の雇入れ時には、賃金、教育・訓練、福利厚生施設の利用など雇用管理上の措置の内容を説明する義務がある(※)。
- 非正規社員から求めがあったときには、待遇差の内容や理由を説明する義務が今後課せられる。
- 説明は口頭で行う他、文書を交付することも考えられる。
※フルタイムの有期労働者についても同一労働同一賃金の施行時期に義務化される。
(次号に続く)
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林正人
高年齢者の雇用状況と来春にも努力義務化が予定される70歳までの就業機会確保
通常国会において、改正高年齢者雇用安定法案が審議され、2021年4月にも70歳までの就業機会確保が努力義務化される方向となっています。そこで今回は厚生労働省の令和元年「高齢者の雇用状況」の集計結果から現在の高齢者雇用の状況を見た上で、改正法案の概要についてとり上げます。
1.65歳定年の状況と66歳以上働ける制度のある企業の状況
①65歳定年の企業
今回の集計結果をみると、定年を65歳にする企業は27,713社(対前年2,496社増加)で、報告した企業全体の17.2%となっています。企業規模別にみると、以下のようになっており、企業規模に関わらず、65歳定年としている企業がこの1年間で概ね1割増加していることが分かります。
- 中小企業:25,938社(対前年2,253社増加)報告した中小企業全体の17.9%
- 大企業:1,775社(対前年243社増加)報告した大企業全体の10.6%
②66歳以上働ける企業
66歳以上働ける制度のある企業は49,638社(対前年6,379社増加)で、報告した企業全体の30.8%を占めています。企業規模別にみると、以下のようになっています。
- 中小企業:45,392社(対前年5,693社増加)報告した中小企業全体の31.4%
- 大企業:4,246社(対前年686社増加)報告した大企業全体の25.3%
また、66歳以上働ける制度のある企業の状況をみると、報告した全企業の上位3つの制度は「基準該当者を66歳以上まで継続雇用する」が10.3%、「その他の制度で66歳以上まで雇用する(※)」8.8%、「希望者全員を66歳以上まで継続雇用する」6.8%となっています。※「その他の制度で66歳以上まで雇用する」とは、希望者全員や基準該当者を66歳以上まで継続雇用する制
度は導入していないが、企業の実情に応じて何らかの仕組みで66歳以上まで働くことができる制度を導入している場合を指しています。
2.70歳までの就業機会確保の方向性
現在の継続雇用年齢は65歳までとなっていますが、企業に対して70歳までの就業機会の確保措置を努力義務とする改正法案が今春の通常国会で審議される予定となっています。この就業機会確保措置の選択肢としては、以下のものが挙げられています。
- 定年廃止
- 70歳までの定年延長
- 継続雇用制度導入(現行65歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用を含む)
- 他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
- 個人とのフリーランス契約への資金提供
- 個人の起業支援
- 個人の社会貢献活動参加への資金提供
各種報道によれば、この法案は通常国会で成立し、早ければ2021年4月に施行される見込みとなっています。影響の大きい改正法案だけに、継続して国会審議を注目しておきたいものです。
高齢者の雇用を進めるにあたっては、職場の安全と健康管理の取組みが不可欠となります。働くことができる制度の整備とともに、従業員に長期間、職場で活躍してもらうためのしくみの検討も必要になります。
(次号に続く)
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高年齢者の雇用状況と来春にも努力義務化が予定される70歳までの就業機会確保
通常国会において、改正高年齢者雇用安定法案が審議され、2021年4月にも70歳までの就業機会確保が努力義務化される方向となっています。そこで今回は厚生労働省の令和元年「高齢者の雇用状況」の集計結果から現在の高齢者雇用の状況を見た上で、改正法案の概要についてとり上げます。
1.65歳定年の状況と66歳以上働ける制度のある企業の状況
①65歳定年の企業
今回の集計結果をみると、定年を65歳にする企業は27,713社(対前年2,496社増加)で、報告した企業全体の17.2%となっています。企業規模別にみると、以下のようになっており、企業規模に関わらず、65歳定年としている企業がこの1年間で概ね1割増加していることが分かります。
- 中小企業:25,938社(対前年2,253社増加)報告した中小企業全体の17.9%
- 大企業:1,775社(対前年243社増加)報告した大企業全体の10.6%
②66歳以上働ける企業
66歳以上働ける制度のある企業は49,638社(対前年6,379社増加)で、報告した企業全体の30.8%を占めています。企業規模別にみると、以下のようになっています。
- 中小企業:45,392社(対前年5,693社増加)報告した中小企業全体の31.4%
- 大企業:4,246社(対前年686社増加)報告した大企業全体の25.3%
また、66歳以上働ける制度のある企業の状況をみると、報告した全企業の上位3つの制度は「基準該当者を66歳以上まで継続雇用する」が10.3%、「その他の制度で66歳以上まで雇用する(※)」8.8%、「希望者全員を66歳以上まで継続雇用する」6.8%となっています。※「その他の制度で66歳以上まで雇用する」とは、希望者全員や基準該当者を66歳以上まで継続雇用する制
度は導入していないが、企業の実情に応じて何らかの仕組みで66歳以上まで働くことができる制度を導入している場合を指しています。
2.70歳までの就業機会確保の方向性
現在の継続雇用年齢は65歳までとなっていますが、企業に対して70歳までの就業機会の確保措置を努力義務とする改正法案が今春の通常国会で審議される予定となっています。この就業機会確保措置の選択肢としては、以下のものが挙げられています。
- 定年廃止
- 70歳までの定年延長
- 継続雇用制度導入(現行65歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用を含む)
- 他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
- 個人とのフリーランス契約への資金提供
- 個人の起業支援
- 個人の社会貢献活動参加への資金提供
各種報道によれば、この法案は通常国会で成立し、早ければ2021年4月に施行される見込みとなっています。影響の大きい改正法案だけに、継続して国会審議を注目しておきたいものです。
高齢者の雇用を進めるにあたっては、職場の安全と健康管理の取組みが不可欠となります。働くことができる制度の整備とともに、従業員に長期間、職場で活躍してもらうためのしくみの検討も必要になります。
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高年齢者の雇用状況と来春にも努力義務化が予定される70歳までの就業機会確保
通常国会において、改正高年齢者雇用安定法案が審議され、2021年4月にも70歳までの就業機会確保が努力義務化される方向となっています。そこで今回は厚生労働省の令和元年「高齢者の雇用状況」の集計結果から現在の高齢者雇用の状況を見た上で、改正法案の概要についてとり上げます。
1.65歳定年の状況と66歳以上働ける制度のある企業の状況
①65歳定年の企業
今回の集計結果をみると、定年を65歳にする企業は27,713社(対前年2,496社増加)で、報告した企業全体の17.2%となっています。企業規模別にみると、以下のようになっており、企業規模に関わらず、65歳定年としている企業がこの1年間で概ね1割増加していることが分かります。
- 中小企業:25,938社(対前年2,253社増加)報告した中小企業全体の17.9%
- 大企業:1,775社(対前年243社増加)報告した大企業全体の10.6%
②66歳以上働ける企業
66歳以上働ける制度のある企業は49,638社(対前年6,379社増加)で、報告した企業全体の30.8%を占めています。企業規模別にみると、以下のようになっています。
- 中小企業:45,392社(対前年5,693社増加)報告した中小企業全体の31.4%
- 大企業:4,246社(対前年686社増加)報告した大企業全体の25.3%
また、66歳以上働ける制度のある企業の状況をみると、報告した全企業の上位3つの制度は「基準該当者を66歳以上まで継続雇用する」が10.3%、「その他の制度で66歳以上まで雇用する(※)」8.8%、「希望者全員を66歳以上まで継続雇用する」6.8%となっています。※「その他の制度で66歳以上まで雇用する」とは、希望者全員や基準該当者を66歳以上まで継続雇用する制
度は導入していないが、企業の実情に応じて何らかの仕組みで66歳以上まで働くことができる制度を導入している場合を指しています。
2.70歳までの就業機会確保の方向性
現在の継続雇用年齢は65歳までとなっていますが、企業に対して70歳までの就業機会の確保措置を努力義務とする改正法案が今春の通常国会で審議される予定となっています。この就業機会確保措置の選択肢としては、以下のものが挙げられています。
- 定年廃止
- 70歳までの定年延長
- 継続雇用制度導入(現行65歳までの制度と同様、子会社・関連会社での継続雇用を含む)
- 他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職の実現
- 個人とのフリーランス契約への資金提供
- 個人の起業支援
- 個人の社会貢献活動参加への資金提供
各種報道によれば、この法案は通常国会で成立し、早ければ2021年4月に施行される見込みとなっています。影響の大きい改正法案だけに、継続して国会審議を注目しておきたいものです。
高齢者の雇用を進めるにあたっては、職場の安全と健康管理の取組みが不可欠となります。働くことができる制度の整備とともに、従業員に長期間、職場で活躍してもらうためのしくみの検討も必要になります。
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社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人
支援メニューが大幅に拡充された「地域医療介護総合確保基金」の内容・ポイントを確認しておきましょう
厚生労働省内の各部局の方針が明らかに
2020年1月17日に開催された「全国厚生労働関係部局長会議」。そこでは各部局における来年度の予算案があらためて示されており、そこから読み取れる“注力領域”は今後、介護事業者の経営にも様々な影響を及ぼしてくるものと思われます。今回のニュースレターでは中でも大幅に支援メニューが拡大された“地域医療介護総合確保基金(※)”に注目し、特に介護事業者に直接的にメリットが生まれそうな支援内容を中心に抜粋してご紹介させていただきます。
(※)地域医療介護総合確保基金・・・・消費税率の引き上げによる増収分を使って創設された財政支援制度。介護サービス提供体制の強化を図る目的で47都道府県に設置されており、あらかじめ国が選定している政策メニューの中から都道府県や市町村などが地域の実情に応じて使途を決定する。
「令和2年度厚生労働省老健局予算(案)」注目すべき支援メニューの内容・ポイントとは
では、早速、確認してまいりましょう。支援メニューは「介護施設等の整備分」で8種類・「介護人材分」で15種類の計23種類がありますが、そこから「介護施設等の整備分」で7点、「介護人材分」で4点、合計11点を抜粋して確認してまいります。先ずは1点目の事業、「介護施設等の整備にあわせて行う広域型と施設の大規模修繕・耐震化整備」についてです(ご確認いただければ或る程度ご理解いただける内容であることから、以降は資料からの抜粋部分を一気に羅列する形式で記載してまいります)。
続いて2番目の事業、「介護付きホームの整備促進」についてです。
続いて3番目の事業、「介護職員の宿舎施設整備」についてです。
続いて4番目、「施設の大規模修繕の際にあわせて行うロボット・センサー、ICTの導入支援」についてです。
続いて5番目、「特養併設のショートステイ多床室のプライバシー保護改修支援」についてです。
続いて6番目、「介護施設等における看取り環境の整備推進」についてです。
続いて7番目、「共生型サービス事業所の整備推進」についてです。
以上が「介護施設等の整備分」支援メニューからの抜粋でした。ここからは「介護人材分」の支援メニューの注目内容・ポイントを見てまいります。「介護施設等整備分」から続けて数えて8番目、「介護ロボットの導入支援等環境整備」についてです。
続いては9番目、ICT導入支援についてです。
続いては10番目、「第三者が生産性向上の取組を支援するための費用の支援(コンサル経費の補助)」についてです。
最後に11番目、「外国人介護人材受入れ施設等環境整備」についてです。
自社が取得したいと思える支援メニューについては都道府県・市区町村へ早め・早めの相談・要望を
以上、全国厚生労働関係部局長会議の老健局分資料から、多くの介護事業者に関連し、メリットが生まれそうな支援メニュー内容を抜粋・紹介させていただきました。本基金は都道府県や市区町村が全支援メニューの中から自地域に適合しそうな内容をピックアップし、計画を策定した上で申請する形となりますので、もし、自法人として「この支援メニューを使いたい!」というものがある場合は、早め早めに都道府県や市区町村の窓口へ相談・要望を上げておいた方が宜しいかもしれません。また、今回のニュースレターでは紙面の都合上、ポイントをご紹介することしか出来ませんでしたが、他にも都道府県や市区町村から委託を受ける形で行われる事業に対する支援メニューなども豊富に揃っています(全支援メニューの全体像を確認されたい方は下記をご確認下さい)。その意味でも、関心があるものについては是非、ご自身で更に深く調べてみることをおススメする次第です。我々としても今後、より有益な情報・より有効な打ち手が見え次第、皆様に積極的にお伝えしてまいります。
※上記内容の参照元データはこちら(上記内容は老健局、社会・援護局の資料から抜粋しています)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2020/01/dl/8_roken-01.pdf
※全支援メニューの全体像はこちら
・介護施設等の整備分
・介護人材分
(次号に続く)
社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人
【介護・保育】人材定着ブログ12月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑥」の続きです。
先月号から、介護施設の人事評価についてお伝えしていますが、今月号も引き続き人事評価です。先月号では、「介護事業者が陥りやすい、人事評価の5つの問題点」についての2つ目までお伝えしましたので、今回は「その3」から始めたいと思います。
その3:評価項目は抽象的な方が、いろいろな側面から評価が出来てよいと考えていないか?
評価することは非常に難しくて、評価者訓練を受けないと評価は出来ないと言われています。しかしそれは、評価項目が抽象的で何を評価すればいいのかわからないという原因が考えられます。
評価を行う難しさには、①人によって評価が変わる、②評価項目が不明確なので評価する人も、される人もわかりにくい、さらに③誤評価の原因(ハロー効果、偏り傾向、寛大化など)から、評価するということに困難さが付きまとっています。例えば「協調性」という表現で終わってしまう評価項目の場合、何が協調性なのか評価者が判断しなければなりません。抽象的な表現は職員をいろいろな視点から評価できることになり有用の要ですが、評価の公平性や客観性からみるとかなり深い問題が含まれています。具体的な行動表現にすることで、だれでも同じ理解とすることが大切です。
その4:行動評価は、年に1回か2回の評価時期だけで行っていてはダメ
評価することが目的で行われる評価の場合は、年に1回か2回の評価で十分だと思います。しかし、職員を変革させ、組織風土を変えようとするならば、月1回のチェックが必要です。人を育てる人事評価とするためには、期末になって評価時期が来た時だけ思い出したように評価しても人は変わりません。長年続けてきた習慣がそんなに簡単に変わるはずはないからです。部下を成長させるという事は、この習慣を変えるということに他ならないのですから。習慣を変える為に必要なことは、変えようとしている良い行動を繰り返すしかありません。いくら頭でわかっていても何度も行動することが習慣を変える為には欠かせません。
従って、月1回自分の行動を振り返る機会を設け(自己評価)、月1回上司と面談を行うことを運用責任者の方にはお勧めをしています。
その5:個人の成績を個人の責任であると断定してはいけない
評価制度の底には、「成績が悪いのは個人の能力不足だ」という考えがあります。しかし、個人の成績は会社や上司にも左右されているのです。われわれが目指す「人を育てる人事評価」では、成績の悪い職員には、上司や会社の支援・協力でこの職員をカバーしなければなりません。責任は全体にあります。個人の成績に帰してしまっては、組織として力は低下していくばかりで、こちらの方が重大問題あることを認識すべきです。
成果主義による評価制度に生まれがちな「個人責任主義」から是非脱皮をして、チーム全体の成果を求める「全体責任主義」に移行しなければなりません。全体責任主義は組織の「温かさ」が基本なのです。この「全体責任主義」はメンバー間の信頼、協力、思いやり、誠意などがその根底に流れる考え方・価値観になっている必要があります。
人の能力不足を指摘するだけでは信頼関係は生まれません。信頼関係や職員同士の絆が強い職場として「全体責任主義」を作り上げていく必要があります。
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林正人
【介護・保育】人材定着ブログ12月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑤」の続きです。
2、人事制度を整備することによるメリット
それでは、人事評価制度を中核とした人事制度を整備することで、法人全体にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。それを今一度、下記に整理をしてみたいと思います。人事制度の整備により、公平な人事処遇(昇格、昇給など)が可能となる。
- 職員の自分の人事処遇への納得感が高まる。
- 法人への信頼感が高まり、帰属意識が高まる。
- 仕事に集中する環境が出来、「達成感」やモチベーションにつながる
- 採用時に人事制度を説明する事により、信頼できる法人であることをアピールできる。
- 人材不足の時代に求人活動がしやすくなり、人材の確保が出来る。
以上のように、人事制度の整備は「人材の確保と育成」につながる効果が期待できるものです。
それでは、その効果を発揮させるために必要な評価制度構築に向けた考え方、評価制度の設計方法、さらには運用方法について以下に述べていきたいと思います。
3、キャリアパス(人事制度)の中の人事評価
ここでは、人事制度のなかで人事評価の役割をみていきます。
- 経営理念に基づく行動基準(規範)を「見える化」する。
- 期待する職務・役割に基づく職務基準・職能要件を「見える化」する。
- ①と②を日々の業務への取り組みの中で具体化する。
- 人事評価(職能評価と行動評価)を行う。
- 人事評価の結果により、達成感の醸成と今後の課題を明確にする。
- 課題達成のための教育(能力開発・研修)を行う。
- 評価を処遇に反映(昇給、賞与、昇格、昇進)させる。
- 各人の能力に見合った処遇の実現を図る。
この流れの順序でキャリアパスの運用を実際に行うことが、「人材の確保と育成」を
目的にした人事評価には、非常に重要な要素であると考えています。
ポイントは、日々の業務を行う前に、期待される役割、職務内容、行動基準を理解したうえで、業務をスタートさせることです。つまり、職務基準、行動基準を事前に整備することで、職員はその内容を知識として知り、そしてOJTで習得し、実践するということになります。
そして、数か月後の職場での実践状況を評価するものが、人事評価です。つまり、業務スキルの習得・実践状況は「職能評価」で、行動基準の理解と実践の状況は「行動評価」で評価を行うことになります。
評価が良ければ、処遇に反映され、評価が水準を満たさなければ教育・指導(研修・OJT指導)によりレベルアップを図り、達成できれば処遇に反映させます。その結果として、各人の能力・役割と処遇のバランスが取れるようになるのです。
4、介護事業者が陥りやすい、人事評価の5つの問題点
その1:評価は出来る職員とダメな職員を分ける事ではない
職員相互を比べて評価するのではなく、多くの職員が成長できる評価制度にすることが重要です。いつも優秀な職員が良い評価で、そうでない職員がそのままでは「人を育てる」
評価制度とは言えません。
評価では、職員が行うべき「努力を具体的に」示すことが大切です。上司が部下にこう言ったとします。「もっと仕事を効率的にしてもらわないと困るよ」。すると部下は「わかりました、そうします。ところで効率的に仕事をするってどうすればいいですか」と聞き返してきました。この時の回答として「明日使う予定の・・・」といったものであれば、効率的に行うコツがわかるわけです。どうすれば良い結果がでるのか、そのコツを着眼点として明確に記載し、そのコツ、つまり努力をしたかどうかを評価する仕組みとすれば、それは結果そのものではなく、「良い結果を生むであろう行動と努力」を明確にすることにより、職員の成長が期待出来ます。つまり、評価制度で諦める職員をつくらない、なかなか良い結果を生み出せない職員が「出来る職員」に育つ仕組みを評価制度に盛り込むことが大切なのです。
その2:期末に評価するというやり方では、職員は育たない
一般的に評価は期末に行われることが多いのですが、問題は、その時の評価者が「彼はどんな行動をしたのか、それはなぜか」そして「あの行動は、どの評価要素で判断すればいいのか」そして「評価は何が適切なのか」と考えてから評価を決定する方法です。そして期末の評価で良かった点、悪かった点を通告される。部下からすれば、先に「こんな行動をしてくれればS評価にするからね」と言ってくれればそうしたのに・・・と思ってしまうかもしれません。つまり、評価が人を育てる目的ならば、人がどんな行動をすれば良い評価になるのかをあらかじめ明示しておくべきなのです。「そのような行動・努力がS評価になり、どのような行動がA評価・・・になるのか」を示すことで部下は期待される行動や努力の仕方がわかるので、実践するようになるわけです。
また、これを意識して仕事をしてもらう為のツールとして、各個人に職員ノートを持ってもらい、その中に期待する行動・努力を記載したシートを入れ、週に一度は自分で見直してみることを行っている法人もあります。年に一度や二度の評価では人は変われません。大切なことは「習慣づけ」ということです。
評価制度の目的を「人材育成」とするには、上記のような視点をもって評価制度の仕組みを構築していく必要があります。次回は、今回の引き続き、人事評価制度をお伝えします。
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林正人
何がどう変わるのか、ご説明いたします。
法改正スケジュールを確認しましょう
※1 法人単位で常時使用する労働者数が100人超かつ資本金の額または出資金の総額が5,000万円超
※2 法人単位で常時使用する労働者数が100人以下または資本金の額または出資金の総額が5,000万円以下資本金または出資金がない場合は労働者数のみで判断します。
(医療機関の規模は病床数ではなく、労働者数等で判断します。)
大規模医療機関はすでに適用になっており、中小規模医療機関はこの4月には適用になります。
チェックしてみましょう
表を使ってチェックしてみましょう。
1つでも「NO」がある場合は注意が必要です。
Check① 年次有給休暇の年5日の時季指定が義務付けられます
※規模問わず全ての医療機関に適用
年次有給休暇が年10日以上付与される労働者に対して、自ら申し出て取得した日数や計画的付与で取得した日数を含めて、年5日取得させなければなりません。
Point1 自院の年次有給休暇の付与ルールを確認しましょう
職員ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者(理事長、院長等)が取得時季を指定して与える必要があります。医療機関によって基準日は異なりますので、就業規則を確認するなど自院のルールを再度確認してみましょう。
Point2 年次有給休暇管理簿を作成する必要があります
年次有給休暇の基準日、与えた日数、取得・指定した時季を明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)の作成が義務付けられました。曖昧な管理体制になっている医療機関は管理方法を変えなければなりません。
Point3 年次有給休暇をとりやすい医療機関を目指しましょう
時季指定をするまでもなく、職員が年5日以上有給休暇を取得できるような職場づくりが大切です。休暇をとりやすいように業務内容を見直す、計画的付与を導入するなど対策を講じましょう。
Check② 労働時間の状況の把握が義務化
管理監督者(※)を含めるすべての労働者の労働時間の状況を、客観的な方法その他適切な方法で把握するよう義務づけられました。
Point1 産業医制度を活用しましょう
事業場単位で常時使用する労働者数が50 人以上の場合、産業医の選任義務があります。また理事長や院長等が、自身の病院の産業医になることはできません。
Point2 すべての職員の労働時間を把握できる体制を整えましょう
長時間労働(時間外労働が月80時間超)を行った職員がいる場合、産業医に情報提供するとともに、職員本人にも通知し、職員が申し出た場合は医師による面接指導を行わなければなりません。まずは、すべての職員の労働時間がきちんと把握・集計できる仕組みが整っているのか確認してみましょう。
(※)管理監督者とは
管理監督者に当てはまるかどうかは役職名ではなくその労働者の職務内容、勤務体系、待遇を踏まえて実態により判断します。
- 経営者と一体的な立場で仕事をしている。
- 出勤、退勤や勤務時間について厳格な制限を受けていない
- その地位にふさわしい待遇がなされている。
上記に当てはまらない場合は管理監督者とはいえず、残業代を支給する対象となります。
Check③ 時間外労働の上限規制が定められます
※医師については2024 年4月に適用(施行内容を検討中)
◎時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
◎臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
・年720時間以内(休日労働を含まない)
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。
また、原則である月45時間を超えることができるのは、年6回までです。
Point1 36 協定をきちんと結びましょう
労働時間は原則1日8時間・1週40 時間以内とされており、これを超える場合は36 協定(時間外労働、休日労働に関する協定)の締結、労働基準監督署長への届出が必要です(月45 時間、年360時間を超える場合は特別条項付36 協定)。きちんと締結、届出をしているのか確認しましょう
Point2 時間外労働・休日労働を必要最小限に留める工夫をしましょう
36 協定の範囲内であっても、使用者(理事長、院長等)は職員に対する安全配慮義務を負います。また、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が強まります。時間外労働がなるべく発生しないようにするため、変形労働時間制やワークシェアリング、時短勤務など柔軟な働き方の導入を検討しましょう。
Point3 休日労働をきちんと把握しましょう
「複数月平均80 時間」には休日労働を含みます。時間外労働45 時間を超過していなくても、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月それぞれの時間外労働+休日労働が80 時間を超えていないか注意が必要です。
その他の法改正項目
◆「勤務間インターバル」制度の導入が努力義務になりました
「勤務間インターバル」制度とは、1日の勤務終了後翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する仕組みであり、働く方々の十分な生活時間や睡眠時間を確保できる制度です。この制度を導入することにより、職員の十分な生活時間や睡眠時間を確保することができると期待されています。
◆中小規模の医療機関でも月60時間超え残業の割増賃金率が引上げられます2023 年4月より、月60 時間超の残業割増賃金率が50%に引き上げられます。
「働き方改革」は負担だらけ?
- 答えはNO!やり方次第で大きなメリットが得られます
医師の健康に配慮した相談体制・就業措置により早期離職防止へ
課 題
医師の早期離職が相次いで発生。以前から給与計算を委託している社労士からも、残業代が増加傾向にあり、医師の長時間労働が常態化しているのではとの指摘があった。現状を把握すべく
医師に向けてアンケート調査を行ったところ「人員不足により休憩がとれない」「夜勤明けも引継ぎで帰れない」「疲れが原因のヒヤリ・ハットが心配」など職場の疲労の色が浮き彫りとなった。
対 策
職場環境を改善すべく、経営者は社労士と産業医に相談。産業医の相談窓口に加え、新たに働き方に関する相談先として社労士による相談窓口を設けた。また社労士は、メンタル不調を未然
に防止するために、産業医が必要と判断した際は「労働時間の短縮」や「深夜業の減少」等の措置を行うと就業規則に記載するよう提案し、病院側の体制について医師等に向けて説明会を行った。
結 果
長時間労働をなくしたいという病院側の姿勢が伝わり、離職希望者が減った。顧問社労士や産業医による相談窓口があることにより、安心して働くことができるとの声も多く寄せられるようになった。医師自身のモチベーションが上がり院内に活気が戻ったため、患者からの評判もよく、病院の評判も高まっている。
社労⼠は、「⼈を⼤切にする」働き⽅改⾰の専⾨家です。
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社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人