コラム
来年より充実するハローワークの求人サービス
公共職業安定所(ハローワーク)は、求職者と求人募集をする企業を結びつけることを役割のひとつとして担う公的な機関です。これまで求人募集をする企業は、求人票に求人内容を記載し、ハローワークに届け出ていましたが、来年(2020年1月6日)からは、この求人に係る手続きの利便性が向上し、また、求人票に掲載できる情報量が増えることになりました。
1.「求人者マイページ」の新設
現在、求職者が求人情報を検索したり、事業主がハローワークの提供するサービス内容を確認したりするためのホームページ「ハローワークインターネットサービス」が運営されています。
来年からこのホームページ上に企業ごとの「求人者マイページ」を開設することができるようになり、会社等のパソコンから次のサービスを利用することができるようになります。
- 求人申込み
- 申込んだ求人内容の変更、求人の募集停止、事業所情報の変更など
- 事業所の外観、職場風景、取扱商品等の画像情報の登録・公開
- ハローワークから紹介された求職者(応募者)の紹介状の確認、選考結果(採用・不採用)の登録(ハローワークへの連絡)
- メッセージ機能(ハローワークから紹介された求職者(応募者)とのやりとり)
- 求職情報検索
求人者マイページを開設するには、ログインアカウントとして使用するメールアドレスが必要となり、最初に利用するときはハローワークの窓口での手続きが必要になります。
2.求人情報の提供内容の変更
来年から求人票の様式が変わり、掲載する内容が見直されることによって、求人票に掲載する情報量が増え、求職者に対してより詳細な求人情報を提供できるようになります。
例えば、「就業場所における屋内の受動喫煙対策」、「時間外労働-36協定における特別条項の有無、特別な事情・期間等」、「昇給制度の有無」等について、すべての企業・求人について登録が必要になり、求人票に記載されます。
また、これまで一部に限定されて公開されていたハローワークインターネットサービスでの求人情報について、ハローワーク内のパソコン(検索・登録用端末)と同じ情報が公開されるようになり、求職者がハローワークに出向かなくても、詳細な求人情報を、インターネットを通じて確認できるようになります。
これまでハローワークでは、紙で提出された求人票を入力することなどにより処理が進められていましたが、求人者マイページを利用することで、入力作業が減少し、速やかに求人情報が公開となることが期待できそうです。なお、求人者マイページから申込まれた求人はハローワークが、申込み内容を確認した後に受理・公開されることになっています。
(次号に続く)
社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人
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公共職業安定所(ハローワーク)は、求職者と求人募集をする企業を結びつけることを役割のひとつとして担う公的な機関です。これまで求人募集をする企業は、求人票に求人内容を記載し、ハローワークに届け出ていましたが、来年(2020年1月6日)からは、この求人に係る手続きの利便性が向上し、また、求人票に掲載できる情報量が増えることになりました。
1.「求人者マイページ」の新設
現在、求職者が求人情報を検索したり、事業主がハローワークの提供するサービス内容を確認したりするためのホームページ「ハローワークインターネットサービス」が運営されています。
来年からこのホームページ上に企業ごとの「求人者マイページ」を開設することができるようになり、会社等のパソコンから次のサービスを利用することができるようになります。
- 求人申込み
- 申込んだ求人内容の変更、求人の募集停止、事業所情報の変更など
- 事業所の外観、職場風景、取扱商品等の画像情報の登録・公開
- ハローワークから紹介された求職者(応募者)の紹介状の確認、選考結果(採用・不採用)の登録(ハローワークへの連絡)
- メッセージ機能(ハローワークから紹介された求職者(応募者)とのやりとり)
- 求職情報検索
求人者マイページを開設するには、ログインアカウントとして使用するメールアドレスが必要となり、最初に利用するときはハローワークの窓口での手続きが必要になります。
2.求人情報の提供内容の変更
来年から求人票の様式が変わり、掲載する内容が見直されることによって、求人票に掲載する情報量が増え、求職者に対してより詳細な求人情報を提供できるようになります。
例えば、「就業場所における屋内の受動喫煙対策」、「時間外労働-36協定における特別条項の有無、特別な事情・期間等」、「昇給制度の有無」等について、すべての企業・求人について登録が必要になり、求人票に記載されます。
また、これまで一部に限定されて公開されていたハローワークインターネットサービスでの求人情報について、ハローワーク内のパソコン(検索・登録用端末)と同じ情報が公開されるようになり、求職者がハローワークに出向かなくても、詳細な求人情報を、インターネットを通じて確認できるようになります。
これまでハローワークでは、紙で提出された求人票を入力することなどにより処理が進められていましたが、求人者マイページを利用することで、入力作業が減少し、速やかに求人情報が公開となることが期待できそうです。なお、求人者マイページから申込まれた求人はハローワークが、申込み内容を確認した後に受理・公開されることになっています。
(次号に続く)
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公共職業安定所(ハローワーク)は、求職者と求人募集をする企業を結びつけることを役割のひとつとして担う公的な機関です。これまで求人募集をする企業は、求人票に求人内容を記載し、ハローワークに届け出ていましたが、来年(2020年1月6日)からは、この求人に係る手続きの利便性が向上し、また、求人票に掲載できる情報量が増えることになりました。
1.「求人者マイページ」の新設
現在、求職者が求人情報を検索したり、事業主がハローワークの提供するサービス内容を確認したりするためのホームページ「ハローワークインターネットサービス」が運営されています。
来年からこのホームページ上に企業ごとの「求人者マイページ」を開設することができるようになり、会社等のパソコンから次のサービスを利用することができるようになります。
- 求人申込み
- 申込んだ求人内容の変更、求人の募集停止、事業所情報の変更など
- 事業所の外観、職場風景、取扱商品等の画像情報の登録・公開
- ハローワークから紹介された求職者(応募者)の紹介状の確認、選考結果(採用・不採用)の登録(ハローワークへの連絡)
- メッセージ機能(ハローワークから紹介された求職者(応募者)とのやりとり)
- 求職情報検索
求人者マイページを開設するには、ログインアカウントとして使用するメールアドレスが必要となり、最初に利用するときはハローワークの窓口での手続きが必要になります。
2.求人情報の提供内容の変更
来年から求人票の様式が変わり、掲載する内容が見直されることによって、求人票に掲載する情報量が増え、求職者に対してより詳細な求人情報を提供できるようになります。
例えば、「就業場所における屋内の受動喫煙対策」、「時間外労働-36協定における特別条項の有無、特別な事情・期間等」、「昇給制度の有無」等について、すべての企業・求人について登録が必要になり、求人票に記載されます。
また、これまで一部に限定されて公開されていたハローワークインターネットサービスでの求人情報について、ハローワーク内のパソコン(検索・登録用端末)と同じ情報が公開されるようになり、求職者がハローワークに出向かなくても、詳細な求人情報を、インターネットを通じて確認できるようになります。
これまでハローワークでは、紙で提出された求人票を入力することなどにより処理が進められていましたが、求人者マイページを利用することで、入力作業が減少し、速やかに求人情報が公開となることが期待できそうです。なお、求人者マイページから申込まれた求人はハローワークが、申込み内容を確認した後に受理・公開されることになっています。
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社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人
任意継続被保険者の保険証の発行が早くなります
このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とそ顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長:今月末に退職する従業員から、健康保険(協会けんぽ)の任意継続制度(以下、「任意継続」という)を利用したいという申出がありました。任意継続を利用すると退職前と同様に、保険料を会社が負担することになるのでしょうか。
社労士 :健康保険の任意継続とは、会社に勤務していたときに加入していた健康保険に、資格喪失後も引き続き加入する制度のことです。資格喪失後、最長2年間加入できますが、健康保険料は会社負担分も含め、従業員本人が負担することになり、会社に負担がかかることはありません。
総務部長:承知しました。ちなみに手続きは会社がするのでしょうか。
社労士 :会社が従業員に代わって手続きをすることもありますが、任意継続は要件を満たした従業員が任意に加入する制度であり、資格取得申出書に会社が証明する欄もなく、従業員自身で手続きを行うものです。原則として資格喪失日から20日以内に申出書を提出する必要があり、資格喪失日以降に提出しなければなりません。
総務部長:期限を厳守した提出が求められるのですね。
社労士 :そうです。任意継続では、新しい保険証が発行されますが、発行は原則として資格喪失後に会社が資格喪失届を提出し、処理がされた後となっています。
総務部長:なるほど、一旦、これまで使っていた保険証を退職時に回収して早めに手続きする必要がありますね。
社労士 :はい。ただし、資格喪失の手続きに時間がかかるケースもあることから、協会けんぽでは2019年10月より、任意継続の資格取得申出時に退職日の確認ができる書類を添付することで、会社からの資格喪失の手続きを待たずに、任意継続の保険証の作成ができるようになりました。
総務部長:これは便利ですね。
社労士 :添付書類には退職証明書の写しや雇用保険の離職票の写し等が挙げられています。もし、これらに基づいて判断できる資格喪失日と、会社の資格喪失の手続きによる資格喪失日に相違があった場合、任意継続の資格取得日等が変更となるため、保険証の差替えが必要となります。
総務部長:任意継続の手続きは従業員が行うものとのことでしたが、退職者にはこれらのアドバイスはしたほうがよさそうですね。ありがとうございました。
【ワンポイントアドバイス】
1. 任意継続の手続きは資格喪失日以降20日以内に行う必要がある。
2. 申出書に必要書類を添付することで任意継続の保険証発行手続きが早くなる。
3. 任意継続を希望する従業員には仕組みや手続きの方法を伝えておくことが望ましい。
(次号に続く)
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林正人
任意継続被保険者の保険証の発行が早くなります
このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とそ顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長:今月末に退職する従業員から、健康保険(協会けんぽ)の任意継続制度(以下、「任意継続」という)を利用したいという申出がありました。任意継続を利用すると退職前と同様に、保険料を会社が負担することになるのでしょうか。
社労士 :健康保険の任意継続とは、会社に勤務していたときに加入していた健康保険に、資格喪失後も引き続き加入する制度のことです。資格喪失後、最長2年間加入できますが、健康保険料は会社負担分も含め、従業員本人が負担することになり、会社に負担がかかることはありません。
総務部長:承知しました。ちなみに手続きは会社がするのでしょうか。
社労士 :会社が従業員に代わって手続きをすることもありますが、任意継続は要件を満たした従業員が任意に加入する制度であり、資格取得申出書に会社が証明する欄もなく、従業員自身で手続きを行うものです。原則として資格喪失日から20日以内に申出書を提出する必要があり、資格喪失日以降に提出しなければなりません。
総務部長:期限を厳守した提出が求められるのですね。
社労士 :そうです。任意継続では、新しい保険証が発行されますが、発行は原則として資格喪失後に会社が資格喪失届を提出し、処理がされた後となっています。
総務部長:なるほど、一旦、これまで使っていた保険証を退職時に回収して早めに手続きする必要がありますね。
社労士 :はい。ただし、資格喪失の手続きに時間がかかるケースもあることから、協会けんぽでは2019年10月より、任意継続の資格取得申出時に退職日の確認ができる書類を添付することで、会社からの資格喪失の手続きを待たずに、任意継続の保険証の作成ができるようになりました。
総務部長:これは便利ですね。
社労士 :添付書類には退職証明書の写しや雇用保険の離職票の写し等が挙げられています。もし、これらに基づいて判断できる資格喪失日と、会社の資格喪失の手続きによる資格喪失日に相違があった場合、任意継続の資格取得日等が変更となるため、保険証の差替えが必要となります。
総務部長:任意継続の手続きは従業員が行うものとのことでしたが、退職者にはこれらのアドバイスはしたほうがよさそうですね。ありがとうございました。
【ワンポイントアドバイス】
1. 任意継続の手続きは資格喪失日以降20日以内に行う必要がある。
2. 申出書に必要書類を添付することで任意継続の保険証発行手続きが早くなる。
3. 任意継続を希望する従業員には仕組みや手続きの方法を伝えておくことが望ましい。
(次号に続く)
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任意継続被保険者の保険証の発行が早くなります
このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とそ顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長:今月末に退職する従業員から、健康保険(協会けんぽ)の任意継続制度(以下、「任意継続」という)を利用したいという申出がありました。任意継続を利用すると退職前と同様に、保険料を会社が負担することになるのでしょうか。
社労士 :健康保険の任意継続とは、会社に勤務していたときに加入していた健康保険に、資格喪失後も引き続き加入する制度のことです。資格喪失後、最長2年間加入できますが、健康保険料は会社負担分も含め、従業員本人が負担することになり、会社に負担がかかることはありません。
総務部長:承知しました。ちなみに手続きは会社がするのでしょうか。
社労士 :会社が従業員に代わって手続きをすることもありますが、任意継続は要件を満たした従業員が任意に加入する制度であり、資格取得申出書に会社が証明する欄もなく、従業員自身で手続きを行うものです。原則として資格喪失日から20日以内に申出書を提出する必要があり、資格喪失日以降に提出しなければなりません。
総務部長:期限を厳守した提出が求められるのですね。
社労士 :そうです。任意継続では、新しい保険証が発行されますが、発行は原則として資格喪失後に会社が資格喪失届を提出し、処理がされた後となっています。
総務部長:なるほど、一旦、これまで使っていた保険証を退職時に回収して早めに手続きする必要がありますね。
社労士 :はい。ただし、資格喪失の手続きに時間がかかるケースもあることから、協会けんぽでは2019年10月より、任意継続の資格取得申出時に退職日の確認ができる書類を添付することで、会社からの資格喪失の手続きを待たずに、任意継続の保険証の作成ができるようになりました。
総務部長:これは便利ですね。
社労士 :添付書類には退職証明書の写しや雇用保険の離職票の写し等が挙げられています。もし、これらに基づいて判断できる資格喪失日と、会社の資格喪失の手続きによる資格喪失日に相違があった場合、任意継続の資格取得日等が変更となるため、保険証の差替えが必要となります。
総務部長:任意継続の手続きは従業員が行うものとのことでしたが、退職者にはこれらのアドバイスはしたほうがよさそうですね。ありがとうございました。
【ワンポイントアドバイス】
1. 任意継続の手続きは資格喪失日以降20日以内に行う必要がある。
2. 申出書に必要書類を添付することで任意継続の保険証発行手続きが早くなる。
3. 任意継続を希望する従業員には仕組みや手続きの方法を伝えておくことが望ましい。
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林正人
確認しておきたい研修・教育訓練時の労働時間の取扱い
2019年4月より働き方改革関連法の一つとして、改正労働基準法が施行され、大企業に時間外労働の上限規制が適用となりました。いよいよ2020年4月には中小企業にも適用となります。ますます厳格な労働時間管理が求められる中、労働時間の考え方を理解しておくことの重要性が増しています。先日、厚生労働省よりリーフレット「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」が発行されたことから、今回はこの内容をみておきます。
1.労働時間とは
そもそも労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。
2.研修・教育訓練の取扱い
研修・教育訓練については、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間には該当しないとされています。なお、研修・教育訓練への不参加について、就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されているような場合には、労働時間に該当します。
以下では、実際に労働基準監督署に問い合わせのあった事例の中から、労働時間に該当しない例、該当する例を挙げます。
[労働時間に該当しない例]
- 終業後の夜間に行うため、弁当の提供はしているものの、参加の強制はせず、また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会。
- 労働者が、会社の設備を無償で使用することの許可をとった上で、自ら申し出て、一人でまたは先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく勤務時間外に行う訓練。
- 会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の英会話講習。なお、英会話は業務とは関連性がない。
[労働時間に該当する例]
- 使用者が指定する社外研修について、休日に参加するよう指示され、後日レポートの提出も課されるなど、実質的な業務指示で参加する研修。
- 自らが担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際の業務に就くことができないとされている場合の業務見学。
労働時間に該当しないとする場合には、上司がその「研修・教育訓練」を行うよう指示しておらず、かつ、その「研修・教育訓練」を開始する時点において本来業務や本来業務に不可欠な準備・後処理は終了しており、労働者はそれらの業務から離れてよい状況にあることを確認しておきましょう。
出社時に交通混雑の回避等のために、労働者が自発的に始業時刻よりも前に会社に到着しているようなケースがあります。この始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示を受けていないような場合は、労働時間に該当しません。この機会に、適正な取扱いができているか確認しましょう。
(次号に続く)
社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人
確認しておきたい研修・教育訓練時の労働時間の取扱い
2019年4月より働き方改革関連法の一つとして、改正労働基準法が施行され、大企業に時間外労働の上限規制が適用となりました。いよいよ2020年4月には中小企業にも適用となります。ますます厳格な労働時間管理が求められる中、労働時間の考え方を理解しておくことの重要性が増しています。先日、厚生労働省よりリーフレット「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」が発行されたことから、今回はこの内容をみておきます。
1.労働時間とは
そもそも労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。
2.研修・教育訓練の取扱い
研修・教育訓練については、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間には該当しないとされています。なお、研修・教育訓練への不参加について、就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されているような場合には、労働時間に該当します。
以下では、実際に労働基準監督署に問い合わせのあった事例の中から、労働時間に該当しない例、該当する例を挙げます。
[労働時間に該当しない例]
- 終業後の夜間に行うため、弁当の提供はしているものの、参加の強制はせず、また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会。
- 労働者が、会社の設備を無償で使用することの許可をとった上で、自ら申し出て、一人でまたは先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく勤務時間外に行う訓練。
- 会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の英会話講習。なお、英会話は業務とは関連性がない。
[労働時間に該当する例]
- 使用者が指定する社外研修について、休日に参加するよう指示され、後日レポートの提出も課されるなど、実質的な業務指示で参加する研修。
- 自らが担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際の業務に就くことができないとされている場合の業務見学。
労働時間に該当しないとする場合には、上司がその「研修・教育訓練」を行うよう指示しておらず、かつ、その「研修・教育訓練」を開始する時点において本来業務や本来業務に不可欠な準備・後処理は終了しており、労働者はそれらの業務から離れてよい状況にあることを確認しておきましょう。
出社時に交通混雑の回避等のために、労働者が自発的に始業時刻よりも前に会社に到着しているようなケースがあります。この始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示を受けていないような場合は、労働時間に該当しません。この機会に、適正な取扱いができているか確認しましょう。
(次号に続く)
社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人
確認しておきたい研修・教育訓練時の労働時間の取扱い
2019年4月より働き方改革関連法の一つとして、改正労働基準法が施行され、大企業に時間外労働の上限規制が適用となりました。いよいよ2020年4月には中小企業にも適用となります。ますます厳格な労働時間管理が求められる中、労働時間の考え方を理解しておくことの重要性が増しています。先日、厚生労働省よりリーフレット「労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い」が発行されたことから、今回はこの内容をみておきます。
1.労働時間とは
そもそも労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。
2.研修・教育訓練の取扱い
研修・教育訓練については、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間には該当しないとされています。なお、研修・教育訓練への不参加について、就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されているような場合には、労働時間に該当します。
以下では、実際に労働基準監督署に問い合わせのあった事例の中から、労働時間に該当しない例、該当する例を挙げます。
[労働時間に該当しない例]
- 終業後の夜間に行うため、弁当の提供はしているものの、参加の強制はせず、また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会。
- 労働者が、会社の設備を無償で使用することの許可をとった上で、自ら申し出て、一人でまたは先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく勤務時間外に行う訓練。
- 会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の英会話講習。なお、英会話は業務とは関連性がない。
[労働時間に該当する例]
- 使用者が指定する社外研修について、休日に参加するよう指示され、後日レポートの提出も課されるなど、実質的な業務指示で参加する研修。
- 自らが担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際の業務に就くことができないとされている場合の業務見学。
労働時間に該当しないとする場合には、上司がその「研修・教育訓練」を行うよう指示しておらず、かつ、その「研修・教育訓練」を開始する時点において本来業務や本来業務に不可欠な準備・後処理は終了しており、労働者はそれらの業務から離れてよい状況にあることを確認しておきましょう。
出社時に交通混雑の回避等のために、労働者が自発的に始業時刻よりも前に会社に到着しているようなケースがあります。この始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示を受けていないような場合は、労働時間に該当しません。この機会に、適正な取扱いができているか確認しましょう。
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林正人
ケアマネ事業所における「管理者要件厳格化」の決定内容、及び議論の流れを確認しておきましょう。
「居宅介護支援事業所の管理者要件の見直し」実効期限が明らかに
2019年 12 月上旬~中旬頃に 上梓される 「 介護保険制度の見直しに関する意見 」 の最終とりまとめに向け 、一気に 議論が加速し た感を覚えた 2019 年 11 月。 そんな中、 前回の法改正時に「 人材確保の状況について検証するべき 」という名目で積み残された課題「居宅介護支援事業所の管理者要件の見直し(=居宅介護支援事業所における人材育成の取組を推進するため、主任 介護支援専門員 であることを管理者の要件とする)」について、当初予定されていた実効開始タイミング(当初の予定では 2021 年 4 月~) の 延長 案 が 示されました(恐らく 年内中に 正式決定 となる見通し 。本ニュースレターではその 案の中身について あらためて確認すると共に、その理由・背景についても解説してまいります。
「居宅介護支援事業所の管理者要件厳格化のタイムリミット」決定内容とその理由・背景とは
では、早速、案の 中身 を確認してまいりましょう。 2019 年 11 月 15 日開催 に開催刺された「 第 172 回介護給付費分科会 」の中では 同テーマについて、 以下のような整理が為されておりました。
【居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置に 関する対応 案 】
- 令和元年度の「居宅介護支援及び介護予防支援における平成 30 年度介護報酬改定の影響に関する調査「管理者要件に関する調査」」の結果を踏まえ、 令和3年 2021 年) 3月 31 日時点で主任ケアマネジャーでない者が管理者の事業所は、当該管理者が管理者である限り 、管理者が主任ケアマネジャーとする要件の適用を令和9年 2027 年) 3月 31 日まで猶予することとしてはどうか 。結果として、令和3年4月1日以降に新たに管理者となる者は、いずれの事業所であっても主任ケアマネジャーであることが求められることとなる。
- ただし、特別地域居宅介護支援加算又は中山間地域等における小規模事業所加算を取得している事業所については、管理者を主任ケアマネジャーとしない 取扱いも可能としてはどうか。
- また、令和3年(=2021 年)4月1日以降、 不測の事態により、主任ケアマネジャーを管理者とできなくなってしまった事業所については、当該事業所がその理由と「改善計画書」(仮称)を保険者に届出た場合は、管理者が主任ケアマネジャーとする要件の適用を1年間猶予する こととしてはどうか。
「令和3年(= 2021 年)3月 31 日時点で主任ケアマネジャーでない者が管理者 を担っている 事業所 に限る」という条件 は 付 いているものの 、 これは即ち、現時点において居宅介護支援事業所を運営している事業者全員が当てはまる訳ですから、単純に「 当初の設定(=令和 3 年(= 2021 年) 3 月 31 日まで) が 6 年間、後ろ倒し されることになる 」と理解して差し支えない ものと思われます 。
加えて、その背景・理由についても見ておきたいと思います。大きくは2 点のポイントに絞られるのではないでしょうか。
【延長理由その1 】
そもそも、主任介護支援専門員研修の資格取得要件を満たすことが難しいケアマネ事業所が相当数存在しているため。
平成30 年度に行われた「 居宅介護支援及び介護予防支援における平成 30 年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業 」によると、 令和元年 7 月末日現時点において 主任介護支援専門員ではない管理者 のうち、 「経歴4年未満」の管理者は 10.1% 、加えて「経歴1年未満」の管理者も 1.6% 存在することが分かっています( 下表参照 )。
※第 172 回介護給付費分科会 資料より抜粋
そもそも主任介護支援専門員の資格取得要件の1つとして「専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して 5 年( 60 ヶ月)以上 」が 定め られている以上、 その要件を満たすことが「 物理的に不可能」な 事業所が存在する中で管理者要件の厳格化を行 われるとするならば、それは確かに 「横暴」「非現実的」 な判断だ、 と言う批判が起こるのも尤もな話 です 無理矢理 でも ケアマネ事業所数を淘汰させたい、という のなら話は別かもしれませんが) 。また、 前述の状況を勘案したか らこそ「 6 年の延長(=ケアマネ実務経験5 年+研修受講のための 1 年 」という判断 に は 納得感を覚える次第です 。
他方、 主任介護支援専門員研修 の資格取得要件 を 満たしているにも関わらず、 「経過措置期間中に修了できる見込みがない」 という方の 割合 が 13.4% も存在している、というデータも前述の調査事業報告書には掲げられています (下表 。「見込みがない」理由が本人の意欲というのであれば 考慮 の余地はありませんが、 仮に 業務過多等が その 理由 として 挙げられるのであれば、その点も同時に改善 を進める必要があるのではないでしょうか 。
続いて、2 つ目の理由を見てまいりましょう。
【延長理由その2 】
主任介護支援専門員研修について、資格 取得のための 研修受講費 、及び更新のための研修受講費 のバラつきが都道府県で大きいため 。
2017年度の実績をみると、主任ケアマネ研修で最も高かったのは広島県の 6 万 2000 円。次は大阪府と和歌山県で 6 万円、岐阜県が 5 万 8000 円と続く一方、逆に安い順でみると、秋田県が 2 万 996 円、福島県が 2 万 3000 円、島根県が 2 万 4320 円 、という状況にあります(厚生労働省老健局振興課調べ)。同時に、主任ケアマネの更新研修受講費のバラつきも問題となっており、 最高は愛知県の 5 万 2000 円で、 続いて 山口県の 5 万円、青森県、埼玉県、愛媛県の 4 万 6000 円 。一方、 最安は栃木県の 1 万円 、続いて 岩手県の 1 万 5900 円、 3 位は福島県の 2 万円 、となっています 。地域医療介護総合確保基金の活用の有無等が背景にあると思われますが、いずれにせよ、上記状況の中で「管理者を主任ケアマネに限る」と厳格化 を実効させる のは不適切、と言わざるを得ないの ではないでしょうか。
早め早めの時間調整・スケジューリングを
以上、介護給付費分科会資料より抜粋しながら「ケアマネ事業所の管理者要件の厳格化」の状況について確認してまいりました。猶予期間が延びた、ということでホッと胸を撫で下ろしている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、とはいえ、日常業務に奔走しているとあっという間に時間が過ぎ去ってしまい、「気が付けば研修申込期限が過ぎてしまった(或いは定員に達してしまった)」などと言うケースが発生することも十分に考えられます。該当の皆様としては自身の研修受講要件が満 たされるのはいつなのかを しっかり 確認しつつ、早め早めに 時間調整・ スケジューリングを 行って おくことをお勧めする次第です。
私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※上記内容の参照先
URL はこちら
↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07850.html
社会保険労務士法人
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林正人