コラム

介護事業所様向け情報(経営)7月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『就業規則を改定した際の職員への周知』

Q:

服務規律に違反する行為があった職員に就業規則を示して注意を行ったところ、「見せてもらったことがないので、そんなルールには従えない」と言われてしまいました。数年前に就業規則の改定をした際、職員代表から意見書を提出してもらいましたが、それ以降は施設長室に保管されたまま、職員が閲覧することができない状態です。今回、就業規則を適用するのは問題ないのでしょうか。

A:

労働基準法には、就業規則の作成や改定にあたって、職員代表からの意見聴取、及び労働基準監督署への届出が必要とされていますが、あわせて職員にその内容を周知することが必要であると定められています。周知を怠ったときには、その就業規則の有効性が否定される場合があるため、就業規則が周知できている状態を整えることが必要です。

詳細解説:

就業規則は、そもそも必ず記載しなければならない項目(絶対的必要記載事項)が網羅されていることが必要不可欠となりますが、記載内容だ
けではなく、労働基準監督署への届出など、以下の事項の実施が求められています。

① 就業規則を適⽤する事業所の職員のうち過半数を代表する者の意⾒を聴くこと(労働基準法第90 条)
② 管轄する労働基準監督署への届け出を⾏うこと(労働基準法第89 条)
③ 作成した就業規則を職員に周知していること(労働基準法第106 条)

このうち③の周知とは、職員が見やすい場所に掲示したり、職員が閲覧できるパソコンに保存、印刷した就業規則を交付するといった方法が挙げられます。
就業規則を作成・改定した際に①、②まで行っても、施設長や人事担当者等の限られた者のみが開閉できる書庫に保管しているなど、事実上、周知がなされていない場合があります。このとき、職員に周知していなかったことを理由に、就業規則に定めた施設内のルールに従わせることができない場合があります。そのため、就業規則を周知できていない場合には、違反行為に苦慮していることを説明し、今後の行動を改めてもらうように話すとともに、今後、就業規則が施設内のルールとして有効となるよう、閲覧できるようにするなどの対応を行うことが必要です。

この周知に関しては、就業規則だけでなく時間外・休日労働に関する協定書、年次有給休暇の計画的付与に関する協定書など、職員への周知が必要とされる労使協定もあります。周知が十分にできていないと考えられる場合は、すぐに対策を行うようにしましょう。

(来月に続く)

医療事業所様向け情報(経営)7月号③

医療機関でみられる人事労務Q&A
『就業規則を改定した際の職員への周知』

Q:

服務規律に違反する行為があった職員に就業規則を示して注意を行ったところ、「見せてもらったことがないので、そんなルールには従えない」と言われてしまいました。数年前に就業規則の改定をした際、職員代表から意見書を提出してもらいましたが、それ以降は院長室に保管されたまま、職員が閲覧することができない状態です。今回、就業規則を適用するのは問題ないのでしょうか。

A:

労働基準法には、就業規則の作成や改定にあたって、職員代表からの意見聴取、及び労働基準監督署への届出が必要とされていますが、あわせて職員にその内容を周知することが必要であると定められています。周知を怠ったときには、その就業規則の有効性が否定される場合があるため、就業規則が周知できている状態を整えることが必要です。

詳細解説:

就業規則は、そもそも必ず記載しなければならない項目(絶対的必要記載事項)が網羅されていることが必要不可欠となりますが、記載内容だけではなく、労働基準監督署への届出など、以下の事項の実施が求められています。

① 就業規則を適⽤する事業所の職員のうち過半数を代表する者の意⾒を聴くこと(労働基準法第90 条)
② 管轄する労働基準監督署への届け出を⾏うこと(労働基準法第89 条)
③ 作成した就業規則を職員に周知していること(労働基準法第106 条)

このうち③の周知とは、職員が見やすい場所に掲示したり、職員が閲覧できるパソコンに保存、印刷した就業規則を交付するといった方法が挙げられます。

就業規則を作成・改定した際に①、②まで行っても、院長や人事担当者等の限られた者のみが開閉できる書庫に保管しているなど、事実上、周知がなされていない場合があります。このとき、職員に周知していなかったことを理由に、就業規則に定めた院内のルールに従わせることができない場合があります。
そのため、就業規則を周知できていない場合には、違反行為に苦慮していることを説明し、今後の行動を改めてもらうように話すとともに、今後、就業規則が院内のルールとして有効となるよう、閲覧できるようにするなどの対応を行うことが必要です。

この周知に関しては、就業規則だけでなく時間外・休日労働に関する協定書、年次有給休暇の計画的付与に関する協定書など、職員への周知が必要とされる労使協定もあります。周知が十分にできていないと考えられる場合は、すぐに対策を行うようにしましょう。

(来月に続く)

介護事業所様向け情報(経営)7月号②

福祉関連業種における夏季賞与の支給状況

ここでは夏季賞与支給の参考資料として、厚生労働省の調査結果※から直近5 年間(2014~2018年)における、福祉関連業種の夏季賞与支給労働者1 人平均支給額(以下、1 人平均支給額)などを事業所規模別にご紹介します。

児童福祉事業の30~99 人以外は減少に

上記調査結果から業種別に1 人平均支給額などをまとめると、下表のとおりです。
2018 年の1 人平均支給額をみると、児童福祉事業の30~99 人以外は前年より減少しました。きまって支給する給与に対する支給割合では、老人福祉・介護事業が5~29 人、30~99 人ともに1 ヶ月分未満が続いています。支給労働者数割合と支給事業所数割合は、児童福祉事業と障
害者福祉事業の30~99 人で直近5 年中4 年が100%ですが、5~29 人ではどの業種も100%になった年はありません。
今年の夏季賞与は、どうなるでしょうか。

※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
日本標準産業分類に基づく16 大産業に属する、常用労働者5 人以上の約190 万事業所から抽出した約33,000 事業所を対象にした調査です。今回のデータは 2019 年 4 月に発表されたものです。きまって支給する給与に対する支給割合とは、賞与を支給した事業所ごとに算出した「きまって支給する給与」に対する「賞与」の割合(支給月数)の 1 事業所当たりの平均です。支給労働者数割合は、常用労働者総数に対する賞与を支給した事業所の全常用労働者数(当該事業所で賞与の支給を受けていない労働者も含む)の割合です。支給事業所数割合とは、事業所総数に対する賞与を支給した事業所数の割合です。詳細は次の URL のページからご確認ください。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450071&tstat=000001011791&cycle=7&tclass1=000001015911&tclass2=000001040061&second2=1

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(経営)7月号②

医療機関における夏季賞与の支給状況

ここでは夏季賞与支給の参考資料として、病院と一般診療所における、直近5 年間(2014~2018年)の夏季賞与支給労働者1 人平均支給額(以下、1 人平均支給額)などを、事業所規模別にご紹介します。

5~29 人は1 人平均支給額が減少

厚生労働省の調査結果※から、事業所規模別に1 人平均支給額などをまとめると、下表のとおりです。

病院

2018 年の1 人平均支給額は5 ~ 29 人が121,203 円、30~99 人が324,561 円です。5~29 人では2015 年以降、10~12 万円台で推移し、30~99 人では2018 年に前年より20%以上増加しました。きまって支給する給与に対する支給割合は、どちらも1 ヶ月未満です。支給労働者数割合と支給事業所数割合は、5~29 人では2015 年以降は100%で推移し、30~99 人では2017 年以降は増加傾向にあります。

一般診療所

2018 年の1 人平均支給額は5~29 人が174,913 円、30~99 人が186,066 円でした。5~29 人は2017 年に20 万円を超えましたが、2018 年には14.0%の減少となりました。30~99 人では、2017 年以降は20 万円台を割り込んでいます。きまって支給する給与に対する支給
割合は病院と同様、1 ヶ月未満が続いています。支給労働者数割合と支給事業所数割合は、5~29 人が70%台後半~80%台前半で推移してい
ますが、30~99 人は100%を続けています。今年の夏季賞与は、どのような結果になるでしょうか。

※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
日本標準産業分類に基づく16 大産業に属する、常用労働者5 人以上の約190 万事業所から抽出した約33,000 事業所を対象にした調査です。今回のデータは 2019 年 4 月に発表されたものです。きまって支給する給与に対する支給割合とは、賞与を支給した事業所ごとに算出した「きまって支給する給与」に対する「賞与」の割合(支給月数)の1 事業所当たりの平均です。支給労働者数割合は、常用労働者総数に対する賞与を支給した事業所の全常用労働者数(当該事業所で賞与の支給を受けていない労働者も含む)の割合です。支給事業所数割合とは、事業所総数に対する賞与を支給した事業所数の割合です。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.e-stat.go.jp/statsearch/filespage
=1&layout=datalist&toukei=00450071&tstat=000001011791&cycle=7&tclass1=000001015911&tclass2=000001040061&second2=1

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)7月号①

キャッシュレス・消費者還元事業と介護

今秋の消費税率引上げとともに始まるキャッシュレス・消費者還元事業。消費者のみならず、導入する中小・小規模事業者にもメリットがあります。介護事業との関連はどうでしょうか。確認してみましょう。

キャッシュレス・消費者還元事業とは

この事業は、消費税率引上げ後の9 ヶ月間、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段(クレジットカード等)を使ったポイント還元等を支援する事業です。
消費者が5%の還元を受けられることは報道等でも広く周知されていますが、キャッシュレス決済を採用する事業者も、この事業により自己負担なしで決済端末の導入ができる他、期間中の決済手数料について3 分の1 を国が補助する制度など、メリットがあります。
このメリットを享受するには登録が必要ですが、介護サービスや社会福祉事業等を行う事業者は、この登録の対象外に設定されています。

医療・介護分野は基本的に対象外

医療・介護分野では、以下の事業者は、原則として登録対象外となります。

  1. 健康保険法、国⺠健康保険法、労災保険、⾃賠責保険の対象となる医療等の社会保険医療の給付等を⾏う保険医療機関及び保険薬局
  2. 介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービスや施設サービスを提供する介護サービス事業者
  3. 社会福祉法に規定する第⼀種社会福祉事業、第⼆種社会福祉事業及び更⽣保護事業法に規定する更⽣保護事業を⾏う事業者

ただし、上記の事業者が行う事業であっても、例えば特定福祉用具販売事業所が行う特定福祉用具販売等、一部補助対象となる場合もあります。下表でご確認ください。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)7月号①

キャッシュレス・消費者還元事業と医療

今秋の消費税率引上げとともに始まるキャッシュレス・消費者還元事業。引上げ後の9 ヶ月間、中小・小規模事業者のキャッシュレス手段を使ったポイント還元等を支援する事業ですが、医療機関との関連はどうでしょうか。

診療は全て補助対象外

消費者への還元が広く周知されているこの事業ですが、自己負担なしでの決済端末の導入や、決済手数料の一部補助が受けられるなど、事業者側にもメリットがあります。
このメリットを享受するには登録が必要ですが、保険医療機関は登録対象外です。また、要領※1 によれば、保険医療機関であるか否かに関わらず、保険適用外のいわゆる自由診療(自費診療)についても補助が受けられません。つまり、全ての医療機関が行う診療は、保険・自費に関わらず補助の対象外となります。

売店は MS法人の運営なら対象に?

その他、FAQ※2 によれば、運営者が保険医療機関の院内売店は登録対象外ですが、たとえばMS(メディカルサービス)法人であれば、当該法
人の規模で判断します。

なお、保険薬局や介護福祉事業者は原則として登録対象外ですが、補助の対象となる事業もあります(下表参照)。ご留意ください。

(※1)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「加盟店登録要領」
https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_tourokuyouryou.pdf
(※2)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・消費者還元事業 決済事業者向けFAQ」
http://cashless.go.jp/assets/doc/cashless_kessai_FAQ.pdf

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)7月号④

いよいよ9月に発効となる日・中社会保障協定

諸外国の中で、日本と人的交流がもっとも多い中国との社会保障協定ですが、2018年5月9日に署名が行われ、今年9月に発効となることが正式に決定しました。
そこで、この社会保障協定の概要と、現在締結されている各国との社会保障協定についてとり上げます。

1.社会保障協定の前提にある課題

①年金制度への二重加入の課題

従業員を海外勤務させ、勤務している相手国の年金制度の加入要件を満たした場合には、海外で勤務している期間について日本と相手国の年金制度に二重で加入することが必要となります。
その結果、両方の制度で二重に保険料を負担することになります。これは、外国人労働者を雇入れた場合にも同様のことがいえます。

②年金受給資格と保険料負担の課題

老齢年金を受給するためには、通常、日本においても海外の年金制度においても一定期間、該当する年金制度に加入する必要があり
ます。
しかし、短期間海外勤務をさせた場合や外国人労働者を短期間雇用した場合には、その期間だけ年金制度に加入することになり、老齢年金を受給するためには加入期間が不足します。その結果、支払った保険料が掛け捨てになるという問題が生じます。

2.現在締結されている社会保障協定

これらの課題を解決するため、日本と相手国との間で社会保障協定を締結し、いずれかの国の年金制度の加入を免除したり、年金の加入期間を通算して、将来年金を受給できるようにするなどの対応が行われています。この社会保障協定の内容は、国ごとに内容が異なり、年金のみの場合と、年金と医療保険の両方の場合があるため、個別に内容を確認す
る必要があります。
2019年6月1日時点における、日本の社会保障協定の締結状況は下表のとおりとなります。

すでに社会保障協定が締結されている国は現在18ヶ国あり、中国についてもこの9月1日に発効予定となりました。

今回の中国との社会保障協定の実施にあたり、事務手続きの詳細や注意事項等について、6月下旬に日本年金機構のホームページに掲載されることになっています。また日本年金機構(年金事務所および事務センター)では、中国の年金制度への加入が免除されるために必要な書類である「適用証明書」の交付申請を、協定発効日の1ヶ月前(2019年8月1日)より受け付ける予定です。

(来月に続く)

保育事業所様向け情報(労務)7月号④

いよいよ9月に発効となる日・中社会保障協定

諸外国の中で、日本と人的交流がもっとも多い中国との社会保障協定ですが、2018年5月9日に署名が行われ、今年9月に発効となることが正式に決定しました。
そこで、この社会保障協定の概要と、現在締結されている各国との社会保障協定についてとり上げます。

1.社会保障協定の前提にある課題

①年金制度への二重加入の課題

従業員を海外勤務させ、勤務している相手国の年金制度の加入要件を満たした場合には、海外で勤務している期間について日本と相手国の年金制度に二重で加入することが必要となります。
その結果、両方の制度で二重に保険料を負担することになります。これは、外国人労働者を雇入れた場合にも同様のことがいえます。

②年金受給資格と保険料負担の課題

老齢年金を受給するためには、通常、日本においても海外の年金制度においても一定期間、該当する年金制度に加入する必要があり
ます。
しかし、短期間海外勤務をさせた場合や外国人労働者を短期間雇用した場合には、その期間だけ年金制度に加入することになり、老齢年金を受給するためには加入期間が不足します。その結果、支払った保険料が掛け捨てになるという問題が生じます。

2.現在締結されている社会保障協定

これらの課題を解決するため、日本と相手国との間で社会保障協定を締結し、いずれかの国の年金制度の加入を免除したり、年金の加入期間を通算して、将来年金を受給できるようにするなどの対応が行われています。この社会保障協定の内容は、国ごとに内容が異なり、年金のみの場合と、年金と医療保険の両方の場合があるため、個別に内容を確認す
る必要があります。
2019年6月1日時点における、日本の社会保障協定の締結状況は下表のとおりとなります。

すでに社会保障協定が締結されている国は現在18ヶ国あり、中国についてもこの9月1日に発効予定となりました。

今回の中国との社会保障協定の実施にあたり、事務手続きの詳細や注意事項等について、6月下旬に日本年金機構のホームページに掲載されることになっています。また日本年金機構(年金事務所および事務センター)では、中国の年金制度への加入が免除されるために必要な書類である「適用証明書」の交付申請を、協定発効日の1ヶ月前(2019年8月1日)より受け付ける予定です。

(来月に続く)

介護事業所様向け情報(労務)7月号④

いよいよ9月に発効となる日・中社会保障協定

諸外国の中で、日本と人的交流がもっとも多い中国との社会保障協定ですが、2018年5月9日に署名が行われ、今年9月に発効となることが正式に決定しました。
そこで、この社会保障協定の概要と、現在締結されている各国との社会保障協定についてとり上げます。

1.社会保障協定の前提にある課題

①年金制度への二重加入の課題

従業員を海外勤務させ、勤務している相手国の年金制度の加入要件を満たした場合には、海外で勤務している期間について日本と相手国の年金制度に二重で加入することが必要となります。
その結果、両方の制度で二重に保険料を負担することになります。これは、外国人労働者を雇入れた場合にも同様のことがいえます。

②年金受給資格と保険料負担の課題

老齢年金を受給するためには、通常、日本においても海外の年金制度においても一定期間、該当する年金制度に加入する必要があり
ます。
しかし、短期間海外勤務をさせた場合や外国人労働者を短期間雇用した場合には、その期間だけ年金制度に加入することになり、老齢年金を受給するためには加入期間が不足します。その結果、支払った保険料が掛け捨てになるという問題が生じます。

2.現在締結されている社会保障協定

これらの課題を解決するため、日本と相手国との間で社会保障協定を締結し、いずれかの国の年金制度の加入を免除したり、年金の加入期間を通算して、将来年金を受給できるようにするなどの対応が行われています。この社会保障協定の内容は、国ごとに内容が異なり、年金のみの場合と、年金と医療保険の両方の場合があるため、個別に内容を確認す
る必要があります。
2019年6月1日時点における、日本の社会保障協定の締結状況は下表のとおりとなります。

すでに社会保障協定が締結されている国は現在18ヶ国あり、中国についてもこの9月1日に発効予定となりました。

今回の中国との社会保障協定の実施にあたり、事務手続きの詳細や注意事項等について、6月下旬に日本年金機構のホームページに掲載されることになっています。また日本年金機構(年金事務所および事務センター)では、中国の年金制度への加入が免除されるために必要な書類である「適用証明書」の交付申請を、協定発効日の1ヶ月前(2019年8月1日)より受け付ける予定です。

(来月に続く)

 

医療事業所様向け情報(労務)7月号③

育児休業中に一時的に勤務した場合の育児休業給付金の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:現在、経理部門が決算業務で、とても忙しくしています。経理部門の従業員が昨年
     12月から育児休業を取っているので、短期間でもいいので一時的に出勤してもらお
     うと考えています。特に問題はないのですよね?

社労士 :繁忙期を乗り切るための一つの対策ですね。育児休業中のご本人はどのように考え
     ているのでしょうか。

総務部長:育児にも慣れてきて、短時間の勤務であれば問題ないとのことでした。ただし、雇
     用保険の育児休業給付金がもらえなくなってしまうのではないかと心配しています。

社労士 :確かに支給単位期間(※)に10日を超えて働き、かつ、80時間を超えて働いている
     ときは、育児休業給付金が支給されなくなるというルールがあります。

総務部長:ということは、引続き育児休業給付金が支給されるようにするためには、この基準
     を下回るような出勤日数や出勤時間にする必要があるということですね。

社労士 :育児休業給付金の受給ができるかという観点では、おっしゃるとおりです。もう一
     つは、勤務したときに支給される給与の額が関係してきます。

総務部長:一時的に出勤してもらうので、給与については休む前の月給を時給換算し、その時
     給額に勤務した時間数を掛けた額を支払う予定です。

社労士 :承知しました。育児休業給付金は、支給単位期間に、育児休業を開始したときに算
     出する賃金月額の13%を超える給与が支給されると調整の対象となり、80%以上の
     給与が支給されると支給されなくなります。

総務部長:休業している従業員が、休業する前にどの程度の給与の額をもらっていたかという
     ことが関係してくるのですね。今のところ、決算が終わるまでの2ヶ月弱の間、週2
     ~3回で1日当たり4時間程度の勤務を考えていましたが、育児休業給付金の支給額と
     の調整も含めて、どの程度、働いてもらうかを考えることにします。ありがとうご
     ざいました。

※育児休業を開始した日から1ヶ月ごとの期間(育児休業終了日を含む場合は、その育児休
業終了日までの期間)。

【ワンポイントアドバイス】
1. 会社の業務の繁忙等のため、育児休業中の従業員について、休業者本人の同意を得て一時的に労務の提供を受けることは可能である。
2. 育児休業中に、一定の出勤日数・出勤時間を超えて働くと育児休業給付金は支給されなくなる。
3. 育児休業中に一定額以上の給与が支給されたときは、育児休業給付金の一部が減額されたり、支給されなくなったりする。

(次号に続く)

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