コラム

介護事業所様向け情報(労務)4月号②

男性はいつから育児休業を取得できますか

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:今度子どもが生まれる男性従業員から、育児休業の取得を考えているという相
     談がありました。まだ、取得時期について具体的な話はありませんが、男性の
     場合、いつから育児休業を取得できるのでしょうか?

社労士 :女性が出産をし、引き続き育児休業を取得するケースでは、産後休業の後に育児
     休業が開始となります。これに対し、男性の場合は、産前産後休業はありません
     ので、出産予定日から育児休業を取得することができます。

総務部長:出産日からではなく、出産予定日から取得することができるのですか。子ども
     が出産予定日より早く生まれたり、遅く生まれたりしたときはどのような取扱
     いになるのですか。

社労士 :はい。出産予定日より早く生まれたときは、育児休業開始日を繰り上げることが
     できます。これに対し、出産予定日に生まれていないときは、出産予定日から取
     得することになります。

総務部長:え! 生まれていないのに育児休業を取得できるのですか!?

社労士 :そうです。育児休業の取得のために、会社としてはすでに育児休業期間中の人員
     手配や業務分担等を進めていますので、たとえ子どもが生まれていなくても予定
     通り取得することになります。もちろん、出産予定日より遅く生まれたときは、
     従業員からの申出により育児休業開始日を繰下げることができるという規定も考
     えられます。

総務部長:なるほど。育児休業は、原則子どもが1歳に達するまでとなっていますが、出産
     日が出産予定日より遅くなった場合、この終了日はどのように考えるのでしょうか。

社労士 :この場合、出産予定日から子どもが1歳まで育児休業を取得することができます
     ので、1年よりも長い期間となります。育児休業の期間はこのようになりますが、
     雇用保険から支給される育児休業給付金は取扱いが異なり、出産日(出生日)か
     らが対象となります。

総務部長:そうか、男性も要件を満たせば、育児休業給付金を受給することができるのですね。

社労士 :これまでは育児休業の取得の申出は女性からが多く、会社ではその対応をスムー
     ズに行ってきましたが、今後は、男性からの申出が増加すると予想されますので、
     その対応も重要になります。また疑問点が出てきましたら、いつでもご相談ください。

【ワンポイントアドバイス】
1. 男性は、出産予定日から育児休業を取得することができる。
2. 男性も、要件を満たしていれば育児休業給付金を受給することができるが、出産日が出産
予定日より遅くなった場合、雇用保険から受給できる育児休業給付金は、出産日から対象
となる。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)4月号①

2019年4月からの産業医の機能強化等に伴い企業に求められる取組み

2019年4月から、働き方改革の一環として、改正労働安全衛生法が施行され、産業医・産業保健
機能の強化が行われます。今回はこの改正に伴い、産業医の選任を行っている企業において、
今後どのような取組みが求められるのかについて解説します。

1.従業員の健康管理等に必要な情報の提供

従業員の健康確保の観点から産業医の重要性が高まっています。そこで産業医がより一層効果的な
活動を行うことができるようにするため、企業は産業医に対し、以下のⅠ~Ⅲの情報を提供する
必要があります。

Ⅰ 以下の3項目に関する実施後に講じた(講じようとする)措置の内容に関する情報(措置
を講じない場合は、その旨・その理由)
①健康診断
②長時間労働者に対する面接指導
③ストレスチェックに基づく面接指導
①~③の結果についての医師または歯科医師からの意見聴取を行った後、遅滞なく提供する
ことが求められます。

Ⅱ 時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた従業員の氏名・その従業員の1月当たり
80時間を超えた時間に関する情報
1月当たり80時間を超えた時間の算定を行った後、速やかに提供することが求められます。

Ⅲ 従業員の業務に関する情報であって産業医が従業員の健康管理等を適切に行うために
必要と認めるもの
産業医から情報の提供を求められた後、速やかに提供することが求められます。

なお、ⅡおよびⅢにある「速やかに」とは、おおむね2週間以内をいいます。

2.実務上の注意点

1.のとおり、企業は産業医に必要な情報を提供することになりますが、実務上の注意点
として、Ⅱの時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた従業員がいない場合、該当
者がいないという情報について産業医に提供する必要があります。
情報提供の方法は書面により行うことが望ましいとされており、事前に提供方法を産業
医と決めておくとよいでしょう。また、Ⅰ~Ⅲの情報については企業の中で取扱う人が異
なる場合があるため、確実に産業医への情報提供が行われるよう、誰が、どのようなタイ
ミングで産業医に報告をしていくか、流れを作っておくことで提供漏れを防ぎましょう。
なお、産業医の選任が必要ない事業場については、医師または保健師に対して、Ⅰ~Ⅲ
の情報について、各情報区分に応じて提供するよう努力義務が課されています。

これら以外にも法改正により、従業員に対して産業医の職務の具体的な内容・産業医に対
する健康相談の申出の方法、産業医による従業員の心身の状態に関する情報の取扱い方法を
周知することが義務付けられました。周知方法は、常時各作業場の見やすい場所に掲示し備
え付けるなど、就業規則の周知方法と同様になります。産業医等とより緊密な連携を築き、
適切に従業員の心身の健康管理をしていきましょう。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)4月号①

2019年4月からの産業医の機能強化等に伴い企業に求められる取組み

2019年4月から、働き方改革の一環として、改正労働安全衛生法が施行され、産業医・産業保健
機能の強化が行われます。今回はこの改正に伴い、産業医の選任を行っている企業において、
今後どのような取組みが求められるのかについて解説します。

1.従業員の健康管理等に必要な情報の提供

従業員の健康確保の観点から産業医の重要性が高まっています。そこで産業医がより一層効果的な
活動を行うことができるようにするため、企業は産業医に対し、以下のⅠ~Ⅲの情報を提供する
必要があります。

Ⅰ 以下の3項目に関する実施後に講じた(講じようとする)措置の内容に関する情報(措置
を講じない場合は、その旨・その理由)
①健康診断
②長時間労働者に対する面接指導
③ストレスチェックに基づく面接指導
①~③の結果についての医師または歯科医師からの意見聴取を行った後、遅滞なく提供する
ことが求められます。

Ⅱ 時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた従業員の氏名・その従業員の1月当たり
80時間を超えた時間に関する情報
1月当たり80時間を超えた時間の算定を行った後、速やかに提供することが求められます。

Ⅲ 従業員の業務に関する情報であって産業医が従業員の健康管理等を適切に行うために
必要と認めるもの
産業医から情報の提供を求められた後、速やかに提供することが求められます。

なお、ⅡおよびⅢにある「速やかに」とは、おおむね2週間以内をいいます。

2.実務上の注意点

1.のとおり、企業は産業医に必要な情報を提供することになりますが、実務上の注意点
として、Ⅱの時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた従業員がいない場合、該当
者がいないという情報について産業医に提供する必要があります。
情報提供の方法は書面により行うことが望ましいとされており、事前に提供方法を産業
医と決めておくとよいでしょう。また、Ⅰ~Ⅲの情報については企業の中で取扱う人が異
なる場合があるため、確実に産業医への情報提供が行われるよう、誰が、どのようなタイ
ミングで産業医に報告をしていくか、流れを作っておくことで提供漏れを防ぎましょう。
なお、産業医の選任が必要ない事業場については、医師または保健師に対して、Ⅰ~Ⅲ
の情報について、各情報区分に応じて提供するよう努力義務が課されています。

これら以外にも法改正により、従業員に対して産業医の職務の具体的な内容・産業医に対
する健康相談の申出の方法、産業医による従業員の心身の状態に関する情報の取扱い方法を
周知することが義務付けられました。周知方法は、常時各作業場の見やすい場所に掲示し備
え付けるなど、就業規則の周知方法と同様になります。産業医等とより緊密な連携を築き、
適切に従業員の心身の健康管理をしていきましょう。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)4月号①

2019年4月からの産業医の機能強化等に伴い企業に求められる取組み

2019年4月から、働き方改革の一環として、改正労働安全衛生法が施行され、産業医・産業保健
機能の強化が行われます。今回はこの改正に伴い、産業医の選任を行っている企業において、
今後どのような取組みが求められるのかについて解説します。

1.従業員の健康管理等に必要な情報の提供

従業員の健康確保の観点から産業医の重要性が高まっています。そこで産業医がより一層効果的な
活動を行うことができるようにするため、企業は産業医に対し、以下のⅠ~Ⅲの情報を提供する
必要があります。

Ⅰ 以下の3項目に関する実施後に講じた(講じようとする)措置の内容に関する情報(措置
を講じない場合は、その旨・その理由)
①健康診断
②長時間労働者に対する面接指導
③ストレスチェックに基づく面接指導
①~③の結果についての医師または歯科医師からの意見聴取を行った後、遅滞なく提供する
ことが求められます。

 

Ⅱ 時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた従業員の氏名・その従業員の1月当たり
80時間を超えた時間に関する情報
1月当たり80時間を超えた時間の算定を行った後、速やかに提供することが求められます。

 

 

Ⅲ 従業員の業務に関する情報であって産業医が従業員の健康管理等を適切に行うために
必要と認めるもの
産業医から情報の提供を求められた後、速やかに提供することが求められます。

なお、ⅡおよびⅢにある「速やかに」とは、おおむね2週間以内をいいます。

 

2.実務上の注意点

1.のとおり、企業は産業医に必要な情報を提供することになりますが、実務上の注意点
として、Ⅱの時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた従業員がいない場合、該当
者がいないという情報について産業医に提供する必要があります。
情報提供の方法は書面により行うことが望ましいとされており、事前に提供方法を産業
医と決めておくとよいでしょう。また、Ⅰ~Ⅲの情報については企業の中で取扱う人が異
なる場合があるため、確実に産業医への情報提供が行われるよう、誰が、どのようなタイ
ミングで産業医に報告をしていくか、流れを作っておくことで提供漏れを防ぎましょう。
なお、産業医の選任が必要ない事業場については、医師または保健師に対して、Ⅰ~Ⅲ
の情報について、各情報区分に応じて提供するよう努力義務が課されています。

これら以外にも法改正により、従業員に対して産業医の職務の具体的な内容・産業医に対
する健康相談の申出の方法、産業医による従業員の心身の状態に関する情報の取扱い方法を
周知することが義務付けられました。周知方法は、常時各作業場の見やすい場所に掲示し備
え付けるなど、就業規則の周知方法と同様になります。産業医等とより緊密な連携を築き、
適切に従業員の心身の健康管理をしていきましょう。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)4月号❷

今年10月開始の「特定処遇改善加算」の最新情報について確認しておきましょう

2019年3月6日の「介護給付費分科会」において、より具体的な情報が明らかに

「来年10月の増税実行のタイミングに合わせて、10年以上の介護福祉士の給与を月8万円程度引き上げる財源を準備する」そんな情報が歪曲解釈され、今なお業界を大きく揺るがせている、特定処遇改善加算。先日のニュースレターでは各サービス毎の加算率やそれらにより発生する懸念点等についてお伝えさせていただきましたが、その後、2019年3月6日に開催された第169回社会保障審議会介護給付費分科会において、更なる情報がアップデートされました。今回のニュースレターでは、このアップデートされた4つの論点について確認してまいります。

「特定処遇改善加算」明らかになった4つの論点、及びそれらに対する対応案とは

それでは、早速、中身に移ってまいりましょう。先ずは論点の1点目についてです。

【論点1】

新加算の取得要件として、現行の処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得していることに加え、
・処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
・処遇改善加算に基づく取組について、ホームページへの掲載等を通じた見える化を行っていること
とされているが、具体的にどのような取扱いとするか。

【対応案1:「複数の取組を行っていること」について】
〇現行の処遇改善加算においては、算定要件の一つとして、職場環境等要件を設けており、職場環境等の改善に関する取組について、「資質の向上」、「労働環境・処遇の改善」、「その他」に区分し、実施した項目について報告を求めることとしている。
〇新加算の算定要件としては、「資質の向上」、「労働環境・処遇の改善」、「その他」それぞれの区分で、1つ以上の取組を行うこと等、実効性のある要件となるよう検討してはどうか。

【対応案2:「ホームページへの掲載等を通じた見える化を行っていること」について】
〇利用者が、適切に事業所等を比較・検討できるよう、都道府県等が情報提供する仕組みとして情報公表制度が設けられており、介護事業者は、年1回、直近の介護サービスの情報を都道府県に報告し、都道府県等は報告された内容についてインターネットに公表している。
〇公表する情報には、「提供サービスの内容」や「従業者に関する情報」として、「介護職員処遇改善加算の取得 状況」や「従業者の教育訓練のための制度、研修その他の従業者の資質向上に向けた取組の実施状況」も含まれている。
〇新加算の要件として

・「提供サービスの内容」において、新加算の取得状況を報告すること
・「従業者に関する情報」において、賃金改善以外の処遇改善に関する具体的な取組内容の報告を求めることを検討してはどうか。あわせて、
・情報公表制度においては、介護職員処遇改善加算に関する具体的な説明がないことから、処遇改善に取り組む
事業所であることを明確化すること等を検討してはどうか。

先ず、対応案1につきまして、より具体的に内容を確認しておきましょう。平成30年3月22日に厚生労働省老健局長より通知された「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」の中で、「資質の向上」、「労働環境・処遇の改善」、「その他」の項目については各々、次のような内容が示されています。一概に申し上げることは難しいかもしれませんが、各々の区分で1つ以上の取組を行うことについては、それほど高いハードルではないかもしれないな、と感じる次第です。

【労働環境・処遇の改善】

・新人介護職員の早期離職防止のためのエルダー・メンター(新人指導担当者)制度等導入
・雇用管理改善のための管理者の労働・安全衛生法規、休暇・休職制度に係る研修受講等による雇用管理改善対策の充実
・ICT活用(ケア内容や申し送り事項の共有(事業所内に加えタブレット端末を活用し訪問先でアクセスを可能にすること等を含む)による介護職員の事務負担軽減、個々の利用者へのサービス履歴
・訪問介護員の出勤情報管理によるサービス提供責任者のシフト管理に係る事務負担軽減、利用者情報蓄積による利用者個々の特性に応じたサービス提供等)による業務省力化
・介護職員の腰痛対策を含む負担軽減のための介護ロボットやリフト等の介護機器等導入
・子育てとの両立を目指す者のための育児休業制度等の充実、事業所内保育施設の整備
・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化・健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化、職員休憩室・分煙スペース等の整備
・その他

対応案2については、一般的には中々認知が進んでいないと思われる「情報公表制度」の認知度アップにもつなげたい、という意図も同時に含まれているように思われます。各社のHPを行政が個別にチェックする、という仕組みはそもそも非効率、かつ現実的的でないことは明らかである一方、現在の情報公表制度が浸透していないのには相応の理由が存在する(宣伝投資が弱い・ユーザビリティが良くない・ユーザーが求める情報整理になっていないetc)訳ですので、行政には是非、そちらの改善にも着手してほしい、と感じるところです。それでは続いて論点の2点目を確認してまいりましょう。

【論点2】

経験・技能のある介護職員において「月額8万円」の改善又は「役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)」を設定・確保することとし、「小規模な事業所で開設したばかりである等、設定することが困難な場合は合理的な説明を求める」としているが、「設定することが困難な場合」の考え方を明確化してはどうか。

【対応案】

「小規模な事業所で開設したばかりである等、設定することが困難な場合は合理的な説明を求める」としているが、どのような場合がこの例外事由にあたるかについては、個々の実態を踏まえ個別に判断する必要があるが、
・小規模事業所等で加算額全体が少額である場合
・職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合
・8万円等の賃金改善を行うに当たり、これまで以上に事業所内の階層・役職やそのための能力・処遇を明確化することが必要になるため、規程の整備や研修・実務経験の蓄積などに一定期間を要する場合を基本とし判断することとする等、考え方の明確化を図ることを検討してはどうか

「小規模事業所等で加算額全体が少額である場合」「職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合」の2点に関しては、自社が該当するか否かについて、比較的客観的・定量的な指標が定められてくるイメージが付きやすく感じますが、最後の3点目については極めて抽象度が高く、考え方によっては「ほぼすべての事業者が該当する」と言えなくもなってしまうため、今後の追加情報(Q&A等)に注目しておく必要があろうかと思われます。
ただ、「これで、“8万円を必ずしも上げなくてはならない”という訳ではなくなった」と胸を撫で下ろしている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、他社との競走環境の中で「人材確保・定着」というテーマに取り組む必要性も高い中、自社としてどのように対応していくべきか?については引き続き、周囲の情報にも目を配りながら、慎重な検討が必要になってくるでしょう。それでは続いて論点の3番目に移りましょう。

【論点3】

「経験・技能のある介護職員」については、「勤続10年以上の介護福祉士を基本とし、介護福祉士の資格を有することを要件としつつ、勤続10年の考え方については、事業所の裁量で設定できることとする。」としているが、事業所の裁量についてどのように考えるか。

【対応案】

経験・技能のある介護職員を設定するに当たり、「勤続10年以上の介護福祉士を基本」とするものの、「勤続10年の考え方」については、
・勤続年数を計算するに当たり、同一法人のみの経験でなく、他法人や医療機関等での経験等も通算できること
・10年以上の勤続年数を有しない者であっても、業務や技能等を勘案し対象とできること
等、事業所の裁量を認めることを検討してはどうか。

対応案の2つ目について、誤解を恐れずに極端な解釈を加えるとするならば、「勤続年数には関係なく、業務や技能等の水準により、法人の判断で対象かどうかを決定できるようになる」という理解も成立してしまうかもしれません。ただ、そうなると、「10年以上」と当初より言われている経験年数がそもそも意味を為さなくなってしまい、「長く働くことで一定程度、報酬面でも報われるようになるようにする(=本加算を職場定着のインセンティブとして機能させる)」という当初の趣旨からも大きく逸脱してしまうものと思われます。果たして勤続年数に実質的な縛りが無くなるのか?それとも、例えば「勤続5年以上を対象とする(=四捨五入すれば10年になる)」等、一定程度、柔らかな縛りを設けるのか?この点についても今後の更なる追加詳細情報に注目しておく必要があるのではないでしょうか。

それでは最後、4点目の論点を確認しておきましょう。こちらは以前より言及されていた内容であることを含め、紹介のみに留め、コメントは割愛させていただきます。

【論点4】

事業所内における配分に当たり、法人単位での対応を可能とする等の配慮を求める意見があるが、どのように考えるか。↓

【対応案】

現行の処遇改善加算においても、法人が複数の介護サービス事業所を有する場合等の特例として、一括した申請を認めることとしており、新加算においても同様に法人単位での対応を認めることを検討してはどうか。

自社経営目線のみならず、「職員目線」「同業他社目線」も含んだ早めの思考と準備を

以上、今回は現時点での最新情報についてお伝えしてまいりました。Q&A等、更なる詳細情報が今後、発出されることを含め、今後も引き続きの情報収集が必要となる「特定処遇改善加算」ですが、事業者側としては「経営側の目線」のみならず、「職員から見た目線(=新たな仕組みが職員から見て魅力的に映っているか?定着促進のインセンティブとして機能出来そうか?etc)」、及び、「他社との比較・競走目線(=同地域内の法人はどのような手を打ってくるか?etc)」等にも目を配りつつ、早め早めに頭を働かせておく&準備を進めていくことが重要だと言えるでしょう。私たちも今後、引き続きの情報収集を含め、新たな視点が得られ次第、皆様に向けて発信してまいります。

 

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000202420_00015.html

(次号に続く)

【介護】人材定着ブログ4月号~ワークライフバランス

「スタッフが働き続けられるワークライフバランス支援の仕組みづくり」
前号に引き続き、テーマは「ワークライフバランス」です。今回は、「導入に向けた取り組みについて」のステップ3から始めます。

ステップ3

ステップ2で組織風土の醸成が少しずつ出来てきたら、今度はいろいろな「制度」や人事施策を導入し、「職場ルールの変革」などに取り組んでいきます。
下記には、その一例をご紹介いたします。
 ●両立支援制度:育休・時短期間延長、子供手当・家族休暇の創設など。
 ●多様な働き方:フレックス制度導入、短時間正社員制度導入、副業制度など。
 ●効率化:IT活用、ペーパーレス化、仕組の見直しなど。
 ●人事評価制度:部下のワークライフバランス推進や休暇取得推進を評価。
 ●インセンティブ:残業削減分を社員に還元(賞与、ベースアップなどで)。
 ●オフィス革命:レイアウト、オフィス機能の見直しなど。
介護事業所で活用している「制度」や「ルール」の事例

それでは、実際に行っている介護事業者が具体的にどのような取り組みをされているのかを、いくつかの事例でご紹介させていただきます。
●風土づくり
ある法人では、職員満足度調査を10年間以上継続して実施し、その結果を理事会で共有化して審議しています。その効果として、徐々に建設的な意見が増えてきており、社員一人一人の意識の変化を実感していると言います。また、「風土改善チーム」といった委員会活動も行われており、活動資金的な財源も準備され、極力自主的な運営ができるような配慮がなされています。
●両立支援制度
産前産後の休暇制度を産前産後ともに8週間として、法定の制度を延長運用して出産前の「つわり」の期間に、休むことができるような配慮がなされている法人もあります。また、子女の看護休暇も法定の5日/人を10日/人として、職場復帰後の育児にも配慮して運用されています。
●多様な働き方
相談員・ケアマネ・事務職・栄養士にはフレックスタイム制を導入し、介護職には職場の状況に合わせて退勤時間を調整できる「退勤フレックス制」を導入している法人もあります。また、夜勤専従職員という働き方を用意し、日勤と夜勤の分業制度を導入することで、社員の体調管理面での働きやすさが大幅に改善されています。また副次的な効果として、3か月後などといった長期間のシフトが非常に作りやすくなったので、長期休暇も含めた有給休暇が取りやすくなったとのことです。また、別の法人では介護職が月に1日「日勤フリー」と呼ばれる日を設け、その日は一般業務にはつかず日ごろたまったデスクワークなどの片付けや、残った時間で利用者さんとお出かけや食事をしたり、スポーツ観戦に行ったりするなど一緒に過ごす時間にするといった取り組みも行われています。
●ICTの活用
ある法人では、介護ソフトを導入し、iPhoneな どの端末で日々の記録を入力するとともに、長い文章の記録を行う際は、音声入力(ボイスファン)を活用することで、職員の記録業務の負担を軽減しています。これにより記録作成時間を2分の1に短縮することができ、その結果ケア時間を増加させています。情報が集約されたiPhoneを持ち寄り、会議を行うことで会議時間の短縮にも繋げています。また見守りシステムを導入し、入居者の状態を見える化することで、夜間の見守りなど職員の不安や負担感を軽減することが出来、結果としてこの法人では残業ほぼ「ゼロ」を実現しています。

課題とまとめ
ご承知の通り、これからの介護事業の運営にとって、最も大切な視点は、社員の「採用力」と「定着力」です。そのためには社員目線に立って、「社員が働き続けたくなるような職場」とはどのような職場なのかを、今一度見つめなおすことで、事業所ごとに取るべき施策は見えてくるのではないでしょうか。そこで重要なことは、職場の現状を踏まえ
着実に、かつ継続的に推進してゆくことができる事。つまり無理をして、現場に「やらされた感」的な(または一方的な)「制度」ありきで推進するのではなく、現状の課題を社員が認識し、課題解決に向けて自発的に取り組むことができるような組織風土づくりから始められてはいかがでしょうか。そして、変化が少しずつ職場に表れてきた段階で、経営的な影響も熟慮しながら、具体的な「制度」やルールの見直しの行っていかれることをお勧めしたいと思います。

【保育園】人材定着ブログ4月号~ワークライフバランス

「スタッフが働き続けられるワークライフバランス支援の仕組みづくり」

前号に引き続き、テーマは「ワークライフバランス」です。今回は、「導入に向けた取り組みについて」のステップ3から始めます。

ステップ3
ステップ2で組織風土の醸成が少しずつ出来てきたら、今度はいろいろな「制度」や人事施策を導入し、「職場ルールの変革」などに取り組んでいきます。
下記には、その一例をご紹介いたします。
 ●両立支援制度:育休・時短期間延長、子供手当・家族休暇の創設など。
 ●多様な働き方:フレックス制度導入、短時間正社員制度導入、副業制度など。
 ●効率化:IT活用、ペーパーレス化、仕組の見直しなど。
 ●人事評価制度:部下のワークライフバランス推進や休暇取得推進を評価。
 ●インセンティブ:残業削減分を社員に還元(賞与、ベースアップなどで)。
 ●オフィス革命:レイアウト、オフィス機能の見直しなど。

介護事業所で活用している「制度」や「ルール」の事例


それでは、実際に行っている介護事業者が具体的にどのような取り組みをされているのかを、いくつかの事例でご紹介させていただきます。
●風土づくり
ある法人では、職員満足度調査を10年間以上継続して実施し、その結果を理事会で共有化して審議しています。その効果として、徐々に建設的な意見が増えてきており、社員一人一人の意識の変化を実感していると言います。また、「風土改善チーム」といった委員会活動も行われており、活動資金的な財源も準備され、極力自主的な運営ができるような配慮がなされています。
●両立支援制度
産前産後の休暇制度を産前産後ともに8週間として、法定の制度を延長運用して出産前の「つわり」の期間に、休むことができるような配慮がなされている法人もあります。また、子女の看護休暇も法定の5日/人を10日/人として、職場復帰後の育児にも配慮して運用されています。
●多様な働き方
相談員・ケアマネ・事務職・栄養士にはフレックスタイム制を導入し、介護職には職場の状況に合わせて退勤時間を調整できる「退勤フレックス制」を導入している法人もあります。また、夜勤専従職員という働き方を用意し、日勤と夜勤の分業制度を導入することで、社員の体調管理面での働きやすさが大幅に改善されています。また副次的な効果として、3か月後などといった長期間のシフトが非常に作りやすくなったので、長期休暇も含めた有給休暇が取りやすくなったとのことです。また、別の法人では介護職が月に1日「日勤フリー」と呼ばれる日を設け、その日は一般業務にはつかず日ごろたまったデスクワークなどの片付けや、残った時間で利用者さんとお出かけや食事をしたり、スポーツ観戦に行ったりするなど一緒に過ごす時間にするといった取り組みも行われています。
●ICTの活用
ある法人では、介護ソフトを導入し、iPhoneな どの端末で日々の記録を入力するとともに、長い文章の記録を行う際は、音声入力(ボイスファン)を活用することで、職員の記録業務の負担を軽減しています。これにより記録作成時間を2分の1に短縮することができ、その結果ケア時間を増加させています。情報が集約されたiPhoneを持ち寄り、会議を行うことで会議時間の短縮にも繋げています。また見守りシステムを導入し、入居者の状態を見える化することで、夜間の見守りなど職員の不安や負担感を軽減することが出来、結果としてこの法人では残業ほぼ「ゼロ」を実現しています。


課題とまとめ
ご承知の通り、これからの介護事業の運営にとって、最も大切な視点は、社員の「採用力」と「定着力」です。そのためには社員目線に立って、「社員が働き続けたくなるような職場」とはどのような職場なのかを、今一度見つめなおすことで、事業所ごとに取るべき施策は見えてくるのではないでしょうか。そこで重要なことは、職場の現状を踏まえ
着実に、かつ継続的に推進してゆくことができる事。つまり無理をして、現場に「やらされた感」的な(または一方的な)「制度」ありきで推進するのではなく、現状の課題を社員が認識し、課題解決に向けて自発的に取り組むことができるような組織風土づくりから始められてはいかがでしょうか。そして、変化が少しずつ職場に表れてきた段階で、経営的な影響も熟慮しながら、具体的な「制度」やルールの見直しの行っていかれることをお勧めしたいと思います。

 

介護事業者様向け情報(経営)3月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『採用選考時の履歴書はどのような点をみて面接に臨むのがよいか』

Q:

このところ、入職してもすぐに退職してしまう職員が多いため、採用選考のときにできるだけ
長く勤めることができそうか見極めたいと思っています。今回の応募者からは履歴書を提出
してもらっているのですが、どのような点を確認して面接に臨むとよいでしょうか。

A:

履歴書や数回の面接だけで人柄や能力のすべてを見極めることは非常に難しいですが、履歴書
から前職などの勤務歴を把握すること以外に、志望意欲などを推測することも可能です。その
ため、履歴書から読み取れること、読み取れないことをまとめた上で面接を行うことができれば、
効果的な選考が期待できます。

詳細解説:

応募者が提出する履歴書からは、記載されている事実の情報だけではなく、働くことに対する意
識やスキルを推測できる部分があります。例えば、履歴書を丁寧に作成していない人材は、
実際の仕事でも丁寧さに欠ける可能性があるといったことです。履歴書の記載内容や項目から
読み取れる、応募者の傾向について考えましょう。

1.応募先の施設にあった志望理由や職務経験の記載がない

応募先である施設を加味しない志望理由の記載がある、これから就く予定の仕事に活かせる
経験やスキルがあるのにもかかわらず記載がない、ということがあります。この場合は、
働くことへの意識や応募した施設への志望度が低い、という推測ができます。また、
自己分析や希望する仕事への理解が浅い、ということも想定できます。このような人は実
際に働いても、意欲的に勤務しない、あるいはすぐに退職する可能性があります。

2.十分な情報が記載されていない

最近では、パソコンで作成された履歴書が見受けられるようになりました。この場合、
応募者が一定のパソコンスキルを有していることが考えられる反面、オリジナルの履歴書
を作成することができるため、応募者自身が都合のよいように項目を削除したり、スペー
スを減らしたりすることができ、結果、採用する側にとって十分な情報が記載されていな
い可能性があります。パソコンで作成されていること自体が悪いのではありませんが、履
歴書に記載されている情報では十分でない可能性があることを、念頭に置いておきましょ
う。

その他、必要に応じて志望理由書や職務経歴書の提出を求めることや、面接の際に通常
履歴書には記載しない前職の退職理由や仕事をしていない期間がある場合の理由の確認な
どを行い、応募者に関する情報が不足しないよう、選考を進めたいものです。

(来月号に続く)

医療事業者様向け情報(経営)3月号③

医療機関でみられる人事労務Q&A

『採用選考時の履歴書はどのような点をみて面接に臨むのがよいか』

Q:

このところ、入職してもすぐに退職してしまう職員が多いため、採用選考のときにできるだけ
長く勤めることができそうか見極めたいと思っています。今回の応募者からは履歴書を提出
してもらっているのですが、どのような点を確認して面接に臨むとよいでしょうか。

A:

履歴書や数回の面接だけで人柄や能力のすべてを見極めることは非常に難しいですが、履歴書
から前職などの勤務歴を把握すること以外に、志望意欲などを推測することも可能です。
そのため、履歴書から読み取れること、読み取れないことをまとめた上で面接を行うことが
できれば、効果的な選考が期待できます。

詳細解説:

応募者が提出する履歴書からは、記載されている事実の情報だけではなく、働くことに対する
意識やスキルを推測できる部分があります。例えば、履歴書を丁寧に作成していない人材は、
実際の仕事でも丁寧さに欠ける可能性があるといったことです。履歴書の記載内容や項目から
読み取れる、応募者の傾向について考えましょう。

1.応募先の医院にあった志望理由や職務経験の記載がない

応募先である医院を加味しない志望理由の記載がある、これから就く予定の仕事に活かせる
経験やスキルがあるのにもかかわらず記載がない、ということがあります。この場合は、
働くことへの意識や応募した医院への志望度が低い、という推測ができます。また、自己分析や
希望する仕事への理解が浅い、ということも想定できます。このような人は実際に働いても、
意欲的に勤務しない、あるいはすぐに退職する可能性があります。

2.十分な情報が記載されていない

最近では、パソコンで作成された履歴書が見受けられるようになりました。この場合、応募者が
一定のパソコンスキルを有していることが考えられる反面、オリジナルの履歴書を作成することが
できるため、応募者自身が都合のよいように項目を削除したり、スペースを減らしたりすることが
でき、結果、採用する側にとって十分な情報が記載されていない可能性があります。パソコンで
作成されていること自体が悪いのではありませんが、履歴書に記載されている情報では十分でない
可能性があることを、念頭に置いておきましょう。

その他、必要に応じて志望理由書や職務経歴書の提出を求めることや、面接の際に通常履歴書には
記載しない前職の退職理由や仕事をしていない期間がある場合の理由の確認などを行い、応募者に
関する情報が不足しないよう、選考を進めたいものです。

(来月に続く)

介護事業者様向け情報(経営)3月号②

福祉施設等でのハラスメント防止対策の取組状況


職場でのセクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)や妊娠・出産・育児休業等に関するハラ
スメント(以下、マタハラ)の防止措置を講じることは、事業主の義務となっています。ここで
は、2018 年12 月に発表された資料※から、福祉施設など(以下、医療,福祉)における、義務
化されたセクハラとマタハラ(以下、ハラスメント)の防止対策取組状況をみていきます。

ハラスメント防止対策の取組状況

上記調査結果によると、医療,福祉でセクハラ防止対策に取り組んでいる割合は85.2%、取
り組んでいない割合は14.8%でした。回答企業全体(総数)では、取り組んでいる割合が65.4%、
取り組んでいない割合が34.6%で、医療,福祉の方が取り組んでいる割合が高いことがわか
ります。
マタハラ防止対策については、医療,福祉で取り組んでいる割合は78.8%、取り組んでいな
い割合は21.2%となりました。総数では取り組んでいる割合が56.8%、取り組んでいない割合
が43.2%であり、マタハラ防止対策についても医療,福祉の方が総数より取り組んでいる割合
が高い状況です。

具体的な取組内容

ハラスメント防止対策に取り組んでいる企業の割合を100 とした場合の、具体的な取組内
容別の割合をまとめると下表のとおりです。医療,福祉では、セクハラ、マタハラともに就業
規則、労働契約等の書面でハラスメントについての方針を明確化し、周知した割合が70%を超
えました。次いで割合の高い取組は、セクハラ防止対策では相談・苦情対応窓口の設置、マタ
ハラ防止対策では業務体制の整備など実情に応じた必要な措置の実施となっています。

2019 年現在、いわゆるパワハラ防止対策も義務化への動きが進んでいます。今後は福祉施設
等においても、パワハラ防止対策も講じていくことが必要になります。

※厚生労働省「平成29 年度雇用均等基本調査」
産業別に常用労働者10 人以上を雇用している民営企業、常用労働者5 人以上を雇用している
民営事業所から抽出した企業や事業所を対象とした調査です。ここでの調査結果は、企業を
対象にした調査の2017 年10 月時点の結果によるものです。詳細は次のURL のページからご確
認ください。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450281&tstat=000001051898&cycle=8&tclass1=000001122535&tclass2=000001122536&second2=1

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