コラム

医療事業者様向け情報(経営)3月号②

一般診療所の開設・廃止状況

一般診療所の開業や廃業が年間にどのくらい発生しているか、ご存じですか。
ここでは2018 年12 月に発表された調査結果※から、全国の一般診療所の開設や廃止等の状況を
みていきます。

10 万件を超える一般診療所数

厚生労働省によると2012 年以降、全国の一般診療所数は10 万件程度で推移しています。
また上記調査結果から、2017 年には101,471 件の一般診療所が存在し、毎年、開設や廃止等に
よる増減があります。

開設・廃止等の状況

一般診療所の開設や再開、廃止や休止(以下、開設・廃止等)の状況をまとめると、下グラフ
のとおりです。開設・再開、廃止・休止ともに2014 年に大きく増加しています。

さらに詳しく、直近10 年間の開設・廃止等の推移を詳細にまとめると、下表のとおりです。
開設は2014 年に7,000 件を超えて以降、7,000件台で推移しています。廃止は開設と同様に
2014 年に大幅な増加を示し、2017 年には7,000件も突破しました。再開は200~400 件台で、休
止は500~1,000 件程度の間で増減を繰り返しています。

この結果をみる限り、開設・廃止等は3 年ごとに増加する傾向があるようです。

事業承継への対応は早めに

新規開業はもちろん、医療法人化による法人開設と個人の廃止、医師の高齢化等による廃止
や休止など、開設・廃止等の理由はさまざまです。とはいえ、医師の高齢化が進展しているこ
とから、一般診療所での事業承継は今後増加することが予想されます。準備が必要な医療機関
では、早めに対策を講じていくことがスムーズな事業承継に役立ちます。

※厚生労働省「平成29 年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
全国の医療施設を対象にした調査です。ここで紹介したデータは、前年10 月から9 月までの1 年間の動きを、その年の数字としていま
す。詳細は次のURL のページからご確認ください。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/17/

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(経営)3月号①

平成31 年度税制改正 福祉施設編

平成31 年度税制改正大綱が発表されました。その中から、福祉施設に関連の深い項目に
注目します
(※実際の改正内容については、改正法令の公布後に官報等でご確認ください)。

消費税問題は介護報酬改定で対応

注目された「消費税率の引上げの対応」は、税制では措置は行われず、介護報酬改定のみで
解決することとなりました。

児童養護施設退所者への新たな支援策

「児童養護施設退所者等自立支援資金貸付金」事業では、児童養護施設等を退所して就職や
進学をする者への支援として、家賃や生活費、資格取得費用の貸付が行われています。
この貸付金は、一定期間就業を継続できた場合に返済が免除されます。現行法では、この時
に生じる「債務免除益」の全額が、一時所得として課税対象となり、大きな税負担が自立支援
の妨げとなっていました。そこで今回、同貸付による「債務免除益」について、非課税措置が
講じられることとなりました。

サ高住供給促進税制の延長

サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制については、不動産取得税や固定資産税の軽減
措置が2 年延長されます。

障害者を多数雇用する場合の特例も延長

心身障害者を多数雇用する事業主が、作業用の施設を取得した時の不動産取得税や固定資
産税の軽減措置が、2 年延長されます。

10 月の消費増税対応改定 改定率が決定

税制措置は講じられませんが、福祉事業者の負担を補填すべく、報酬改定が実施されます。
介護報酬改定は+0.39%に決まりました。他に、補足給付の基準費用額引上げ分の対応とし
て7 億円程度、介護人材の処遇改善として210億円程度が予定されています。また、障害福祉
サービス等報酬改定は+0.44%で、障害福祉人材の処遇改善として90 億円が予定されます。
なお、この改定では「介護人材の更なる処遇改善」も実施されます。
経験・技能のある介護職員の処遇改善が優先的に位置付けられ、その他の職員についても
事業所の裁量で配分ができるように、新加算の検討が進められています。

(次号に続く)

医療事業者様向け情報(経営)3月号①

平成31 年度税制改正 医療機関編

平成31 年度税制改正大綱が発表されました。その中から、医療機関に関連の深い項目に
注目します
(※実際の改正内容については、改正法令の公布後に官報等でご確認ください)。

消費税問題は診療報酬改定で対応

最も注目されていた10 月の消費税率引上げへの対応は、税制による手当ては行われず、
診療報酬改定のみで解決することとなりました。

医療に係る設備投資減税の拡充・延長

現行の医療用機器の特別償却制度が対象機器見直しの上で2 年延長される他、右の2 つの
設備投資について減税が実施される予定です。

社会医療法人等の認定要件見直し

認定要件の一つ「社会保険診療収入等」の内容に新たに「障害福祉サービスの給付」が
追加されます(平成31 年3 月改正予定)。

10 月の消費増税対応改定 改定率が決定

上述のとおり、税制において対処は行われませんが、消費税率引上げと共に、診療報酬改定等が
実施されます。その改定率が決定しました。
診療報酬改定は、全体で+0.41%でした。
この内訳は、医科+0.48%、歯科+0.57%、調剤+0.12%です。
同時に実施される薬価等の改定については、薬価はマイナス改定で▲0.51%、
材料価格は+0.03%です。

(次号に続く)

医療事業者様向け情報(労務)3月号④

2019年4月より事務手続きが大幅に簡素化される一括有期事業の手続き

労働保険では、本店、支店、工場、事務所のように、一つの経営組織として独立性を持った
経営体を「事業」とし、その事業ごとで適用を行うことを原則としています。この事業は、
事業の性質上、事業の期間が予定されているか否かにより、継続事業と有期事業に分けられます。
建設の事業や立木の伐採の事業等は、一定の目的を達するまでの間に限り活動を行う事業であり、
有期事業に分類されます。2019年4月から、この有期事業に関する事務手続きが一部変更になる
ことから、変更内容を確認しておきましょう。

1.一括有期事業の対象となる事業

有期事業は、その事業ごとに労働保険の成立手続きを行う必要があります。ただし、それぞれの
有期事業が次のすべての要件に該当したとき、それらの事業は法律上、一つの事業とみなされ、
継続事業と同様に保険料の申告等を行うことになります。これを一括有期事業と呼んでいます。

①事業主が同一人であること。
②建設の事業または⽴⽊の伐採の事業であること。
③事業の規模について、概算保険料額が160万円未満であって、かつ、建設の事業においては、
請負⾦額(消費税額を除く)が1億8,000万円未満、⽴⽊の伐採の事業においては、素材の
⾒込⽣産量が1,000⽴⽅メートル未満であること。
④建設の事業においては、事業の種類が、労災保険率表における事業の種類と同一であること
(一部例外あり)。
⑤事業に係る保険料納付の事務所が同一で、かつ、一括事務所の所在地を管轄する都道府
県労働局の管轄区域、またはそれと隣接する都道府県労働局の管轄区域内で⾏われるも
のであること(地域要件)。

2.一括有期事業開始届の廃止

一括有期事業においてそれぞれの事業を開始したときには、翌月10日までに一括有期事
業開始届を所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。
今回の改正では、一括有期事業開始届が廃止され、2019年4月1日以降に開始する有期事
業は、提出が不要となります。

3.一括有期事業の地域要件の廃止

1.の⑤に挙げたとおり、一括有期事業が可能となる事業には、地域要件が定められてお
り、定められた地域の範囲外で行われる事業は一括することができず、個別に有期事業と
して労働保険の事務手続きを行う必要があります。

この地域要件も廃止され、2019年4月1日以降に開始する有期事業は、遠隔地で行われる
有期事業も含めて一括して事務手続きを行うことができます。

有期事業が多くある企業では、一括有期事業開始届を毎月作成し、届出することの事務手
続きの負担はかなり大きいものです。また、広域で有期事業を行っている企業では地域要件
を満たすことができない有期事業について一括することができず、この事務手続きの負担も
かなり大きいものでした。変更点を踏まえ、適切な事務手続きを進めることにしましょう。

(来月号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)3月号④

2019年4月より事務手続きが大幅に簡素化される一括有期事業の手続き

労働保険では、本店、支店、工場、事務所のように、一つの経営組織として独立性を持った
経営体を「事業」とし、その事業ごとで適用を行うことを原則としています。この事業は、
事業の性質上、事業の期間が予定されているか否かにより、継続事業と有期事業に分けられます。
建設の事業や立木の伐採の事業等は、一定の目的を達するまでの間に限り活動を行う事業であり、
有期事業に分類されます。2019年4月から、この有期事業に関する事務手続きが一部変更になる
ことから、変更内容を確認しておきましょう。

1.一括有期事業の対象となる事業

有期事業は、その事業ごとに労働保険の成立手続きを行う必要があります。ただし、それぞれの
有期事業が次のすべての要件に該当したとき、それらの事業は法律上、一つの事業とみなされ、
継続事業と同様に保険料の申告等を行うことになります。これを一括有期事業と呼んでいます。

①事業主が同一人であること。
②建設の事業または⽴⽊の伐採の事業であること。
③事業の規模について、概算保険料額が160万円未満であって、かつ、建設の事業においては、
請負⾦額(消費税額を除く)が1億8,000万円未満、⽴⽊の伐採の事業においては、素材の
⾒込⽣産量が1,000⽴⽅メートル未満であること。
④建設の事業においては、事業の種類が、労災保険率表における事業の種類と同一であること
(一部例外あり)。
⑤事業に係る保険料納付の事務所が同一で、かつ、一括事務所の所在地を管轄する都道府
県労働局の管轄区域、またはそれと隣接する都道府県労働局の管轄区域内で⾏われるも
のであること(地域要件)。

2.一括有期事業開始届の廃止

一括有期事業においてそれぞれの事業を開始したときには、翌月10日までに一括有期事
業開始届を所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。
今回の改正では、一括有期事業開始届が廃止され、2019年4月1日以降に開始する有期事
業は、提出が不要となります。

3.一括有期事業の地域要件の廃止

1.の⑤に挙げたとおり、一括有期事業が可能となる事業には、地域要件が定められてお
り、定められた地域の範囲外で行われる事業は一括することができず、個別に有期事業と
して労働保険の事務手続きを行う必要があります。

この地域要件も廃止され、2019年4月1日以降に開始する有期事業は、遠隔地で行われる
有期事業も含めて一括して事務手続きを行うことができます。

有期事業が多くある企業では、一括有期事業開始届を毎月作成し、届出することの事務手
続きの負担はかなり大きいものです。また、広域で有期事業を行っている企業では地域要件
を満たすことができない有期事業について一括することができず、この事務手続きの負担も
かなり大きいものでした。変更点を踏まえ、適切な事務手続きを進めることにしましょう。

(来月号に続く)

介護事業者様向け情報(労務)3月号④

2019年4月より事務手続きが大幅に簡素化される一括有期事業の手続き

労働保険では、本店、支店、工場、事務所のように、一つの経営組織として独立性を持った
経営体を「事業」とし、その事業ごとで適用を行うことを原則としています。この事業は、
事業の性質上、事業の期間が予定されているか否かにより、継続事業と有期事業に分けられます。
建設の事業や立木の伐採の事業等は、一定の目的を達するまでの間に限り活動を行う事業であり、
有期事業に分類されます。2019年4月から、この有期事業に関する事務手続きが一部変更になる
ことから、変更内容を確認しておきましょう。

1.一括有期事業の対象となる事業

有期事業は、その事業ごとに労働保険の成立手続きを行う必要があります。ただし、それぞれの
有期事業が次のすべての要件に該当したとき、それらの事業は法律上、一つの事業とみなされ、
継続事業と同様に保険料の申告等を行うことになります。これを一括有期事業と呼んでいます。

①事業主が同一人であること。
②建設の事業または⽴⽊の伐採の事業であること。
③事業の規模について、概算保険料額が160万円未満であって、かつ、建設の事業においては、
請負⾦額(消費税額を除く)が1億8,000万円未満、⽴⽊の伐採の事業においては、素材の
⾒込⽣産量が1,000⽴⽅メートル未満であること。
④建設の事業においては、事業の種類が、労災保険率表における事業の種類と同一であること
(一部例外あり)。
⑤事業に係る保険料納付の事務所が同一で、かつ、一括事務所の所在地を管轄する都道府
県労働局の管轄区域、またはそれと隣接する都道府県労働局の管轄区域内で⾏われるも
のであること(地域要件)。

2.一括有期事業開始届の廃止

一括有期事業においてそれぞれの事業を開始したときには、翌月10日までに一括有期事
業開始届を所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。
今回の改正では、一括有期事業開始届が廃止され、2019年4月1日以降に開始する有期事
業は、提出が不要となります。

3.一括有期事業の地域要件の廃止

1.の⑤に挙げたとおり、一括有期事業が可能となる事業には、地域要件が定められてお
り、定められた地域の範囲外で行われる事業は一括することができず、個別に有期事業と
して労働保険の事務手続きを行う必要があります。

この地域要件も廃止され、2019年4月1日以降に開始する有期事業は、遠隔地で行われる
有期事業も含めて一括して事務手続きを行うことができます。

有期事業が多くある企業では、一括有期事業開始届を毎月作成し、届出することの事務手
続きの負担はかなり大きいものです。また、広域で有期事業を行っている企業では地域要件
を満たすことができない有期事業について一括することができず、この事務手続きの負担も
かなり大きいものでした。変更点を踏まえ、適切な事務手続きを進めることにしましょう。

(来月号に続く)

医療事業者様向け情報(労務)3月号③

平成31年度より上限が変更される任意継続被保険者の標準報酬月額

会社を退職する従業員が退職後に加入できる健康保険は複数あります。その一つが退職前に
加入していた健康保険に退職者が任意で継続的に加入する「任意継続」です。今回、
この制度における保険料の上限が変更となることから、制度の概要と変更点をまとめて
おきましょう。

1.職後の健康保険

退従業員が会社を退職し、健康保険の被保険者資格を喪失した後に利用できる健康保険の
選択肢は、主に①任意継続被保険者となる、②健康保険の被扶養者となる、③国民健康保
険の被保険者となるの3つがありますが、それぞれ加入資格や保険料の負担額が異なりま
す。

2.任意継続被保険者とは

会社を退職して資格を喪失した後でも、退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期
間があれば、退職日の翌日から20日以内に申請することで任意継続被保険者になることが
できます。その際の保険料は退職時の退職者自身の標準報酬月額により決定されますが、
前年9月30日(※)における協会けんぽの全被保険者の標準報酬月額の平均額を標準報酬
月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額が上限となっています。なお、
在職中は保険料を会社と折半で負担していましたが、退職後は任意継続被保険者が全額を
負担します。加入できる期間は最長2年間です。
※1月から3月までの標準報酬月額については、前々年

3.平成31年度の標準報酬月額の上限変更

2.の上限は毎年度見直されることとなっており、平成31年度は全被保険者の標準報酬月
額の平均額が291,181円になったことに伴い、上限となる標準報酬月額が28万円から30万円
に引き上げられることになりました。
今回の変更は、ここ数年に亘る最低賃金の大幅引き上げや人手不足に伴う賃金の引き上
げが影響しているものと推測されます。なお、平成31年4月より前に任意継続に加入してい
る被保険者で、標準報酬月額の上限が適用されている人についても自動的に上限の変更が
適用されるため、負担している健康保険料が増加します。

任意継続被保険者の手続きは退職後のことであるため、通常従業員が自分で行うものです
が、従業員から任意継続をする際の保険料等について会社に問い合わせがくることもありま
す。アドバイスできるように任意継続の仕組みを理解しておくとよいでしょう。また、任意
継続被保険者となる手続きは会社を管轄する都道府県支部ではなく、従業員の住所地にある
協会けんぽの都道府県支部で行うため、この点についても伝えておくとよいでしょう。なお、
健康保険組合に加入している方については、組合ごとに標準報酬月額の上限が異なるため、
組合へご確認ください。

(次号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)3月号③

平成31年度より上限が変更される任意継続被保険者の標準報酬月額

会社を退職する従業員が退職後に加入できる健康保険は複数あります。その一つが退職前に
加入していた健康保険に退職者が任意で継続的に加入する「任意継続」です。今回、
この制度における保険料の上限が変更となることから、制度の概要と変更点をまとめて
おきましょう。

1.職後の健康保険

退従業員が会社を退職し、健康保険の被保険者資格を喪失した後に利用できる健康保険の
選択肢は、主に①任意継続被保険者となる、②健康保険の被扶養者となる、③国民健康保
険の被保険者となるの3つがありますが、それぞれ加入資格や保険料の負担額が異なりま
す。

2.任意継続被保険者とは

会社を退職して資格を喪失した後でも、退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期
間があれば、退職日の翌日から20日以内に申請することで任意継続被保険者になることが
できます。その際の保険料は退職時の退職者自身の標準報酬月額により決定されますが、
前年9月30日(※)における協会けんぽの全被保険者の標準報酬月額の平均額を標準報酬
月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額が上限となっています。なお、
在職中は保険料を会社と折半で負担していましたが、退職後は任意継続被保険者が全額を
負担します。加入できる期間は最長2年間です。
※1月から3月までの標準報酬月額については、前々年

3.平成31年度の標準報酬月額の上限変更

2.の上限は毎年度見直されることとなっており、平成31年度は全被保険者の標準報酬月
額の平均額が291,181円になったことに伴い、上限となる標準報酬月額が28万円から30万円
に引き上げられることになりました。
今回の変更は、ここ数年に亘る最低賃金の大幅引き上げや人手不足に伴う賃金の引き上
げが影響しているものと推測されます。なお、平成31年4月より前に任意継続に加入してい
る被保険者で、標準報酬月額の上限が適用されている人についても自動的に上限の変更が
適用されるため、負担している健康保険料が増加します。

任意継続被保険者の手続きは退職後のことであるため、通常従業員が自分で行うものです
が、従業員から任意継続をする際の保険料等について会社に問い合わせがくることもありま
す。アドバイスできるように任意継続の仕組みを理解しておくとよいでしょう。また、任意
継続被保険者となる手続きは会社を管轄する都道府県支部ではなく、従業員の住所地にある
協会けんぽの都道府県支部で行うため、この点についても伝えておくとよいでしょう。なお、
健康保険組合に加入している方については、組合ごとに標準報酬月額の上限が異なるため、
組合へご確認ください。

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(労務)3月号③

平成31年度より上限が変更される任意継続被保険者の標準報酬月額

会社を退職する従業員が退職後に加入できる健康保険は複数あります。その一つが退職前に
加入していた健康保険に退職者が任意で継続的に加入する「任意継続」です。今回、
この制度における保険料の上限が変更となることから、制度の概要と変更点をまとめて
おきましょう。

1.職後の健康保険

退従業員が会社を退職し、健康保険の被保険者資格を喪失した後に利用できる健康保険の
選択肢は、主に①任意継続被保険者となる、②健康保険の被扶養者となる、③国民健康保
険の被保険者となるの3つがありますが、それぞれ加入資格や保険料の負担額が異なりま
す。

2.任意継続被保険者とは

会社を退職して資格を喪失した後でも、退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期
間があれば、退職日の翌日から20日以内に申請することで任意継続被保険者になることが
できます。その際の保険料は退職時の退職者自身の標準報酬月額により決定されますが、
前年9月30日(※)における協会けんぽの全被保険者の標準報酬月額の平均額を標準報酬
月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額が上限となっています。なお、
在職中は保険料を会社と折半で負担していましたが、退職後は任意継続被保険者が全額を
負担します。加入できる期間は最長2年間です。
※1月から3月までの標準報酬月額については、前々年

3.平成31年度の標準報酬月額の上限変更

2.の上限は毎年度見直されることとなっており、平成31年度は全被保険者の標準報酬月
額の平均額が291,181円になったことに伴い、上限となる標準報酬月額が28万円から30万円
に引き上げられることになりました。
今回の変更は、ここ数年に亘る最低賃金の大幅引き上げや人手不足に伴う賃金の引き上
げが影響しているものと推測されます。なお、平成31年4月より前に任意継続に加入してい
る被保険者で、標準報酬月額の上限が適用されている人についても自動的に上限の変更が
適用されるため、負担している健康保険料が増加します。

任意継続被保険者の手続きは退職後のことであるため、通常従業員が自分で行うものです
が、従業員から任意継続をする際の保険料等について会社に問い合わせがくることもありま
す。アドバイスできるように任意継続の仕組みを理解しておくとよいでしょう。また、任意
継続被保険者となる手続きは会社を管轄する都道府県支部ではなく、従業員の住所地にある
協会けんぽの都道府県支部で行うため、この点についても伝えておくとよいでしょう。なお、
健康保険組合に加入している方については、組合ごとに標準報酬月額の上限が異なるため、
組合へご確認ください。

(次号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)3月号②

4月より作成が必要となる年次有給休暇管理簿

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:4月より年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」という)が付与される
     従業員に対し、年休を付与した日(基準日)から1年以内に少なくとも5日の
     年休を取得させることが必須になると聞きました。今のところ最初から年休
     の取得日を会社が指定するのではなく、従業員が自主的に5日の年休を取得
     することにより対応したいと考えています。よって従業員が確実に年次有給
     休暇を取得するための管理が必要だと考えています。

社労士 :そうですね。全従業員が自主的に5日以上の年休を取得できれば問題はありま
     せんが、1人でも5日未満の従業員がいると法違反になります。まずは5日以上
     の年休を確実に取得するように周知するとともに、基準日から一定期間が過
     ぎたときに、取得日数が5日に満たない従業員を洗い出す必要があるでしょう。
     その後、必要に応じて会社が取得時季を指定する方法も考えることになりま
     す。

総務部長:なるほど。そのような流れになると、年休の取得日数の管理が重要になりま
     すね。

社労士 :はい。今回の法改正で、会社には年次有給休暇管理簿(以下、「年休管理
     簿」という)を作成し、3年間保存することが義務となりました。年休管理簿
     には従業員ごとに、①年休を取得した日、②基準日、③基準日から1年以内に
     取得した年休の日数を記載することになります。決められたフォーマットは
     ないため会社ごとに自由に作成でき、労働者名簿や賃金台帳とあわせて作成
     することも認められています。

総務部長:なるほど。現在は勤怠を管理するためのシステムを導入しており、そのシス
     テム上で従業員が年休取得の申請を行う流れになっています。システムで従
     業員ごとの基準日を設定することにより、勤続年数に応じた年休日数の付与
     も自動的に行われるため、このシステムから年休管理簿が出力できるかを確
     認しようと思います。

社労士 :そうですね。そのような方法ができると比較的、手間を掛けずに年休管理簿
     の作成・保存をすることへの対応が終わりそうですね。法律で作成・保存が
     必要な帳簿に年休管理簿が加わることで、今後、労働基準監督署の調査が行
     われるときに、賃金台帳や出勤簿とともに提出が求められることが想定され
     ます。そのような視点においても確実な作成・保存をお願いします。

【ワンポイントアドバイス】
1. 4月よりすべての会社に年休管理簿の作成が義務付けられる。
2. 年休管理簿には、労働者ごとに年休を取得した日、基準日、取得日数を記載する。
3. 年休管理簿は、年休を付与する期間中および期間満了後3年間の保存義務がある。

(次号に続く)

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