コラム

保育事業者様向け情報(労務)12月号②

把握が必要となる管理監督者の労働時間の状況

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:働き方改革関連法の時間外労働の上限規制に対応するため、取組みを進めて
     います。その結果、一部の部門で、部下に一定時間以上の残業をさせること
     ができず、溢れた業務を管理監督者がカバーするという状況が発生しています。
社労士 :そうですか。いまの状態は部下の業務が、管理監督者に移っているだけです
     ので、問題がありますね。管理監督者の過重労働が懸念されます。
総務部長:当社では管理監督者も含めて、原則午後10時以降の残業を禁止し、また法定
     休日についても出勤を禁止するなど、最低限の過重労働対策はできているよ
     うに思いますが、実際、管理監督者が何時に出社し、何時まで残っているの
     かを正確に把握できていない状況にあります。
社労士 :管理監督者であっても、深夜労働(午後10時から翌朝5時まで)に対する割増
     賃金の支払いが必要となります。原則午後10時以降の残業を禁止していると
     いう話でしたが、もし管理監督者が午後10時以降に業務を行っていた場合は、
     どのような手続きを行うことにしているのでしょうか?
総務部長:はい、深夜労働については一般従業員と同様に残業申請を行い、本人の申請
     に基づいて割増賃金を支給しています。当社では一般社員についてはタイム
     カードを利用していますが、今後は管理監督者についても、タイムカードに
     より労働時間を把握した方がよいのでしょうか?
社労士 :はい、そうですね。そもそも労働時間の把握については、「労働時間の適正
     な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(2017年1月20日
     策定)」に基づいて行うことになりますが、管理監督者は対象者から除かれ
     ています。しかし、働き方改革関連法の一つとして労働安全衛生法が改正さ
     れ、2019年4月より、過重労働対策の観点から、タイムカードやパソコンのロ
     グオフの記録など客観的な方法その他適切な方法により、労働時間の状況を
     把握していく必要があるとされました。
総務部長:割増賃金の支払いではなく、過重労働対策から労働時間の状況を把握する必要
     があるのですね。それでは来年4月より、管理監督者についてもタイムカード
     を利用できるように準備を進めたいと思います。

【ワンポイントアドバイス】
1. 労働安全衛生法が改正され、2019年4月より管理監督者についても過重労働対策から労働
時間の状況の把握が必要となる。
2. 管理監督者は、労働基準法の労働時間や休憩、休日等の規定は適用されないが、深夜労働
に対する割増賃金の支払いは必要である。

(次号に続く)

医療事業者様向け情報(労務)12月号②

把握が必要となる管理監督者の労働時間の状況

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:働き方改革関連法の時間外労働の上限規制に対応するため、取組みを進めて
     います。その結果、一部の部門で、部下に一定時間以上の残業をさせること
     ができず、溢れた業務を管理監督者がカバーするという状況が発生しています。
社労士 :そうですか。いまの状態は部下の業務が、管理監督者に移っているだけです
     ので、問題がありますね。管理監督者の過重労働が懸念されます。
総務部長:当社では管理監督者も含めて、原則午後10時以降の残業を禁止し、また法定
     休日についても出勤を禁止するなど、最低限の過重労働対策はできているよ
     うに思いますが、実際、管理監督者が何時に出社し、何時まで残っているの
     かを正確に把握できていない状況にあります。
社労士 :管理監督者であっても、深夜労働(午後10時から翌朝5時まで)に対する割増
     賃金の支払いが必要となります。原則午後10時以降の残業を禁止していると
     いう話でしたが、もし管理監督者が午後10時以降に業務を行っていた場合は、
     どのような手続きを行うことにしているのでしょうか?
総務部長:はい、深夜労働については一般従業員と同様に残業申請を行い、本人の申請
     に基づいて割増賃金を支給しています。当社では一般社員についてはタイム
     カードを利用していますが、今後は管理監督者についても、タイムカードに
     より労働時間を把握した方がよいのでしょうか?
社労士 :はい、そうですね。そもそも労働時間の把握については、「労働時間の適正
     な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(2017年1月20日
     策定)」に基づいて行うことになりますが、管理監督者は対象者から除かれ
     ています。しかし、働き方改革関連法の一つとして労働安全衛生法が改正さ
     れ、2019年4月より、過重労働対策の観点から、タイムカードやパソコンのロ
     グオフの記録など客観的な方法その他適切な方法により、労働時間の状況を
     把握していく必要があるとされました。
総務部長:割増賃金の支払いではなく、過重労働対策から労働時間の状況を把握する必要
     があるのですね。それでは来年4月より、管理監督者についてもタイムカード
     を利用できるように準備を進めたいと思います。

【ワンポイントアドバイス】
1. 労働安全衛生法が改正され、2019年4月より管理監督者についても過重労働対策から労働
時間の状況の把握が必要となる。
2. 管理監督者は、労働基準法の労働時間や休憩、休日等の規定は適用されないが、深夜労働
に対する割増賃金の支払いは必要である。

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(労務)12月号①

2019年4月より電子メール等による労働条件の明示が可能に

雇用契約を締結する際、会社は労働基準法の定めに従い、従業員に対して労働条件を明示する
必要があります。明示する労働条件の一部については、書面で行うことが義務付けられて
いますが、労働基準法施行規則が改正され、2019年4月から書面以外で明示する方法が
認められることになりました。

1.書面での明示が必要な労働条件

労働基準法で定められている労働条件の明示事項は全部で14項目あります。そのうち、
以下の①~⑥(⑤のうち、昇給に関する事項を除く)については、従業員への書面の
交付による明示が義務付けられています。

①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
③就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
 並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
⑤賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの
 方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

2.電子メール等を用いた明示

今回、1.に掲げた項目について、従業員が希望した場合にはファクシミリの送信や
電子メールなど、書面以外により明示することが認められることになりました。
ただし、電子メール等で明示するときには、従業員自身が電子メール等の記録を
出力することにより書面を作成することができるものに限るとされているため、
この条件を満たしているかを確認しておく必要があります。

3.パートタイマーに必要な明示事項

パートタイマーやアルバイトなどのパートタイム労働者については、1.に掲げた
項目に加え、パートタイム労働法により「昇給の有無」、「退職手当の有無」、
「賞与の有無」、「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」の
4つの項目について、文書の交付等による明示が義務付けられています。
上記4つの項目については既にファクシミリの送信、電子メールの送信が
認められています。ただし、電子メール等で明示するときには、2.と同様に
従業員自身が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することが
できることが条件となっています。

特に有期契約のパートタイム労働者が多い企業では、労働条件通知書を書面で作成し、
交付することに多くの時間を割いているかと思います。また、労働条件の明示が適切に
行われていなかったことでトラブルが発生することもあります。電子メール等での交付も
含め、これを機会に労働条件の明示の徹底を進めておきたいものです。

(次号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)12月号①

2019年4月より電子メール等による労働条件の明示が可能に

雇用契約を締結する際、会社は労働基準法の定めに従い、従業員に対して労働条件を明示する
必要があります。明示する労働条件の一部については、書面で行うことが義務付けられて
いますが、労働基準法施行規則が改正され、2019年4月から書面以外で明示する方法が
認められることになりました。

1.書面での明示が必要な労働条件

労働基準法で定められている労働条件の明示事項は全部で14項目あります。そのうち、
以下の①~⑥(⑤のうち、昇給に関する事項を除く)については、従業員への書面の
交付による明示が義務付けられています。

①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
③就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
 並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
⑤賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの
 方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

2.電子メール等を用いた明示

今回、1.に掲げた項目について、従業員が希望した場合にはファクシミリの送信や
電子メールなど、書面以外により明示することが認められることになりました。
ただし、電子メール等で明示するときには、従業員自身が電子メール等の記録を
出力することにより書面を作成することができるものに限るとされているため、
この条件を満たしているかを確認しておく必要があります。

3.パートタイマーに必要な明示事項

パートタイマーやアルバイトなどのパートタイム労働者については、1.に掲げた
項目に加え、パートタイム労働法により「昇給の有無」、「退職手当の有無」、
「賞与の有無」、「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」の
4つの項目について、文書の交付等による明示が義務付けられています。
上記4つの項目については既にファクシミリの送信、電子メールの送信が
認められています。ただし、電子メール等で明示するときには、2.と同様に
従業員自身が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することが
できることが条件となっています。

特に有期契約のパートタイム労働者が多い企業では、労働条件通知書を書面で作成し、
交付することに多くの時間を割いているかと思います。また、労働条件の明示が適切に
行われていなかったことでトラブルが発生することもあります。電子メール等での交付も
含め、これを機会に労働条件の明示の徹底を進めておきたいものです。

(次号に続く)

医療事業者様向け情報(労務)12月号①

2019年4月より電子メール等による労働条件の明示が可能に

雇用契約を締結する際、会社は労働基準法の定めに従い、従業員に対して労働条件を明示する
必要があります。明示する労働条件の一部については、書面で行うことが義務付けられて
いますが、労働基準法施行規則が改正され、2019年4月から書面以外で明示する方法が
認められることになりました。

1.書面での明示が必要な労働条件

労働基準法で定められている労働条件の明示事項は全部で14項目あります。そのうち、
以下の①~⑥(⑤のうち、昇給に関する事項を除く)については、従業員への書面の
交付による明示が義務付けられています。

①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
③就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
 並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
⑤賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの
 方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

2.電子メール等を用いた明示

今回、1.に掲げた項目について、従業員が希望した場合にはファクシミリの送信や
電子メールなど、書面以外により明示することが認められることになりました。
ただし、電子メール等で明示するときには、従業員自身が電子メール等の記録を
出力することにより書面を作成することができるものに限るとされているため、
この条件を満たしているかを確認しておく必要があります。

3.パートタイマーに必要な明示事項

パートタイマーやアルバイトなどのパートタイム労働者については、1.に掲げた
項目に加え、パートタイム労働法により「昇給の有無」、「退職手当の有無」、
「賞与の有無」、「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」の
4つの項目について、文書の交付等による明示が義務付けられています。
上記4つの項目については既にファクシミリの送信、電子メールの送信が
認められています。ただし、電子メール等で明示するときには、2.と同様に
従業員自身が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することが
できることが条件となっています。

特に有期契約のパートタイム労働者が多い企業では、労働条件通知書を書面で作成し、
交付することに多くの時間を割いているかと思います。また、労働条件の明示が適切に
行われていなかったことでトラブルが発生することもあります。電子メール等での交付も
含め、これを機会に労働条件の明示の徹底を進めておきたいものです。

(次号に続く)

【介護】人材育成・ブログ 2018年12月①

「職員の人材育成は理念から」というテーマで10月から皆様にお伝えしております。
理念を職員に浸透させるために、多くの施設はいろいろな「工夫・仕掛け」をされています。
工夫、仕掛けというと「経営理念を覚えさせる」というケースがあります。よく見かけるのは「クレドを作成して職員に携帯させる」「毎朝の朝礼で唱和する」「きちんと覚えているか確認テストをする」などの取り組みです。「浸透させるために記憶させるという方法論は間違っていないように思えます。しかし、確認テストも記憶させる手段としては悪くないでしょうが、一言一句正確に覚えさえすれば、経営理念は浸透するのでしょうか。浸透とは「水などが、しみとおること」「思想・風潮・雰囲気などが次第に広い範囲にいきわたること」です。したがって経営理念の浸透とは「法人に従事する全職員へ、理念の意味が理解され、日々の行動に落とし込まれていくこと」ですから、唱和や暗記テストによって単に暗記するだけでは、浸透に至らないことは明らかです。
浸透するまでには3つのステップが必要と考えています。それは「認知」(知っている)→「共感」(経営理念に基づく行動が行われ始めている)→「共有」(経営理念が当たり前の行動になっている)の3ステップです。
「経営理念が浸透しない法人の共通課題」
調査の結果、経営理念が浸透しない法人には次のような共通の課題があることがわかりました。①経営理念の策定時に職員がかかわっていないことが多く、理念策定の背景や意図が共有されていない②経営理念の表現が抽象的過ぎて理解しにくい。そのため、自分は何をすべきかわからない③経営理念浸透に向けた取り組みの本来の目的が見失われ、取り組みが形骸化している。
一つ目は、設立年数が長い法人や急成長した法人に特に多くみられる課題です。経営者の交代や職員の入退職によって経営理念を深く理解している人材が少なくなり、理念の背景や意図が伝わらず浸透しないのです。また後者では急激な人員増で経営理念を深く理解している人材の比率が急激に減り、浸透が人員増のスピードに追い付かない状態の陥るためです。

二つ目の課題は、経営理念は法人の目的や存在意義そのものを表すために、表現が抽象的になりがちです。そして抽象的であればあるほど、受け手側の解釈に幅が出るためブレが生じやすくなります。

三つ目の「形骸化」については、浸透の取り組みを行っていても、その取り組み自体が目的になるなどして、経営理念が形骸化している組織が少なくありません。形骸化している法人の典型例としては、経営理念が日々の意思決定や行動と一致していないことです。例えば、経営理念が意味するものが、経営幹部の意思決定や職員の行動規範(業務マニュアルや人事評価制度)に反映されていないケースです。これは決して珍しいケースではありません。

以上三つの共通課題を抱えた組織は・職場では、職員は経営理念の本質を体得することが出来ず、いつまでたっても理念がお飾りのままになってしますのです。
それでは、これらの問題を解決し、経営理念を浸透させるためにはどうすればよいのでしょうか。

次回には、その具体策を紹介させていただきます。お楽しみに。

【保育】人材育成・ブログ 2018年12月①

「人材の育成は理念から」というテーマで10月から皆様にお伝えしています。

理念を浸透させるために、各園はいろいろな取り組みを工夫していらっしゃいます。

いわゆる「仕掛け」ですね。

「工夫、仕掛け」というと「経営理念を覚えさせる」というケースがあります。よく見かけるのは「クレドを作成して職員に携帯させる」「毎朝の朝礼で唱和する」「きちんと覚えているか確認テストをする」などの取り組みです。「浸透させるために記憶させるという方法論は間違っていないように思えます。しかし、確認テストも記憶させる手段としては悪くないでしょうが、一言一句正確に覚えさえすれば、経営理念は浸透するのでしょうか。浸透とは「水などが、しみとおること」「思想・風潮・雰囲気などが次第に広い範囲にいきわたること」です。したがって経営理念の浸透とは「法人に従事する全職員へ、理念の意味が理解され、日々の行動に落とし込まれていくこと」ですから、唱和や暗記テストによって単に暗記するだけでは、浸透に至らないことは明らかです。
浸透するまでには3つのステップが必要と考えています。それは「認知」(知っている)→「共感」(経営理念に基づく行動が行われ始めている)→「共有」(経営理念が当たり前の行動になっている)の3ステップです。
「経営理念が浸透しない法人の共通課題」


調査の結果、経営理念が浸透しない法人には次のような共通の課題があることがわかりました。①経営理念の策定時に職員がかかわっていないことが多く、理念策定の背景や意図が共有されていない②経営理念の表現が抽象的過ぎて理解しにくい。そのため、自分は何をすべきかわからない③経営理念浸透に向けた取り組みの本来の目的が見失われ、取り組みが形骸化している。
一つ目は、設立年数が長い法人や急成長した法人に特に多くみられる課題です。経営者の交代や職員の入退職によって経営理念を深く理解している人材が少なくなり、理念の背景や意図が伝わらず浸透しないのです。また後者では急激な人員増で経営理念を深く理解している人材の比率が急激に減り、浸透が人員増のスピードに追い付かない状態の陥るためです。
二つ目の課題は、経営理念は法人の目的や存在意義そのものを表すために、表現が抽象的になりがちです。そして抽象的であればあるほど、受け手側の解釈に幅が出るためブレが生じやすくなります。
三つ目の「形骸化」については、浸透の取り組みを行っていても、その取り組み自体が目的になるなどして、経営理念が形骸化している組織が少なくありません。形骸化している法人の典型例としては、経営理念が日々の意思決定や行動と一致していないことです。例えば、経営理念が意味するものが、経営幹部の意思決定や職員の行動規範(業務マニュアルや人事評価制度)に反映されていないケースです。これは決して珍しいケースではありません。
以上三つの共通課題を抱えた組織は・職場では、職員は経営理念の本質を体得することが出来ず、いつまでたっても理念がお飾りのままになってしますのです。
それでは、これらの問題を解決し、経営理念を浸透させるためにはどうすればよいのでしょうか。

次回には、その具体例をご紹介させていただく予定です。お楽しみに。

介護事業者様向け情報(経営❷)11月号

10月に2回開催された「未来投資会議」のポイントを
おさえておきましょう

10月5日(金)・22日(月)に「未来投資会議」が開催

「経済財政運営と改革の基本方針(=骨太の方針)2018」「未来投資戦略2018」が2018年6月に
発表されて以降、初めての開催となった未来投資会議。2018年10月には5日、22日と立て続けに
2回、会議が開催されており、今後の介護経営においても関係が深そうな情報が幾つか散見されて
います。
今月のニュースレターでは、特に認識・確認しておいた方が宜しいかかもしれない情報を
大きく4点、ピックアップして皆様にお届けさせていただきたく思います。
「これらの動きが具体化した場合、自社としてどのように取り組んでいくべきだろうか?」
是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。

介護事業者として注目すべき内容とは

それでは早速、中身を確認してまいりましょう。
先ずは業界云々に関係なく、企業としておさえておくべきポイントについてです
(趣旨を損なわない前提のもと、一部、弊社責任にて加筆修正しています)。

【企業としておさえておくべきポイント】

1)一人ひとりが生み出す付加価値を引き上げていく観点から、AI(人間で言えば脳に相当)、
センサー(人間の目に相当)、Iot(人間の神経系に相当)、ロボット(人間の筋肉に相当)
といった第4次産業革命による技術革新について中小企業を含む広範な生産現場への浸透を
図るなど企業の前向きな設備投資を引き出す取組が必要である。
また、AIやIot、センサー、ロボット、ビックデータといった第4次産業革命がもたらす
技術革新は、私たちの生活や経済社会を画期的に変えようとしている。
技術革新を現場に積極的に取り入れ、労働生産性の向上を図る。

2)人生百年時代に向けて、意欲ある高齢者に働く場の準備を進める。
(具体的な切り口・視点)
・65歳以上への継続雇用年齢の引き上げに向けた検討
・高齢者未採用企業への雇用拡大策
・AI・ロボット等を用いた高齢者のための職場環境整備
・在宅勤務など就業機会の多様化による高齢者のための就業機会整備

1)に関しては、我々介護業界においても“地殻変動”とも呼べる動きが始まっている事は
皆様も既に肌で感じられている事かもしれません。ケアプランや、個別機能訓練計画書を
始めとする各種計画書作成におけるAI活用の動き。センサー機器にIot技術を掛け算して
活用することでベッドからの離床情報を夜勤スタッフに届け、夜中の巡回等をラクにしたり、
或いはエアコンにセンサー及びIot技術を活用することで、人が部屋に滞在しているか、
また、睡眠状態はどうか、活動量はどうか、などをスタッフルームに居ながらも知ることが
できる動き(=スマートエアコン)。はたまた、介護者の膝や腰に負担をかけがちな、
「移乗・移動」領域でのロボット開発の動き等々、未来の現場業務のあり方を大きく
変革させる動きは今後もますます加速してくるものと思われます。
事業者としては、これら変革の動きをどう前向きに自社に取り込めるか?について、
積極的に頭を捻る必要があるのではないでしょうか。

また、2)に関しては事業者各々における今後の「人材戦略」としても、とても重要な
テーマになり得るものと思われます。2016年には6.6万人だった100歳以上の人口が
2049年には51.4万人にも膨れ上がると予想される中(厚生労働省・人口問題研究所調べ)、
まだまだ一定の工夫があれば現役で働き続ける事が可能、という高齢者(65歳以上)も
数多く存在していることは皆様も肌でお感じになられている事でしょう。
また、これらの動向と1)の第4次産業革命を掛け合わせることで、上記「具体的な視点・
切り口」にも在るように「高齢者のための職場環境整備」を促進させることも可能です。
その意味でも、この1)と2)は“対の関係”として捉える視点も、介護経営者としては
備えておく必要があると思われます。
最後に、上記1)2)の背景に在る重要データをお示しさせていただきます。

高齢者を従来通りの「65歳以上」と定義するとなると、現役世代(18~64歳)の
負担は相当重くなることは自明です。一方、現役で
活動できる期間をあと10年延ばすことが出来れば、現役世代(18~74歳)の一人当たり
負担を相当引き下げることが可能になります。
今の子供たち、及びその次の世代の事を考えると、このような社会づくりは、我々
現役世代にとっては「必達目標」として捉える必要がある、とも感じる次第です。

続いて、今度は特に、介護経営に大きな影響を及ぼしそうなポイントを2点、
ピックアップしてご紹介させていただきたいと思います。

【介護経営に関連が深そうなポイント】

1)糖尿病・認知症予防、フレイル(高齢者虚弱)対策等のため、保険制度の中で
保険者へのインセンティブ措置を手当する。
2)複数の医療法人・社会福祉法人の合併・経営統合、共同出資による新たな法人の
設立、グループ化・運営の共同化の検討を進める。

1)の「保険者インセンティブ」については、2018年度の法改正にも重要アジェンダの
一つとして提起された記憶をお持ちの方も多いと思われます。また、10月22日の会議に
おいては、安倍首相自らも次のような発言のもと、本テーマに対する意気込みを語って
おられました「介護の予防についても、介護事業者等に対するインセンティブ措置の
強化を進めてまいります。この課題についても、ずいぶん前から議論されたことで
ありまして、20年前くらいに私は自民党の社会部会長というものをやっておりまして、
これを提言したのですが、今日までそのままになったのですが、やっとこれをいよいよ
実際に実現できる時を迎えている。また、そうしなければならない、こう思っている
ところでございますので、引き続き、関係大臣におかれては、年末の中間的な報告に向けて、
検討を進めていただきますようによろしくお願いいたします(以上、首相官邸HPより抜粋)」。
前回の法改正においては「頑張って成果を上げた保険者にはインセンティブを付与する」
という加点方式の採用のみで着地した本テーマですが、今後は現状の加点方式に加え、
財務省が提唱する減点方式(=成果を上げられない保険者にはディスインセンティブが及ぶ)
も恐らく議論の俎上に再びあがってくるものと思われます。事業者としてはあらためて、
この点を認識しておく必要があると言えるでしょう。
最後に、2)に関しては「いつでもどこでもケア(=地域の高齢者が、外出困難でも、
データに基づき、個人に最適な医療やケアをオンライン医療やIoTによる見守りサービスを
組み合わせた形で、安心して在宅で受けられるように)」というテーマの中で記載された
内容です。推察するに、今後、第4次産業革命の流れを積極的に汲みつつ、環境変化に
適応していくためには、今まで以上の経営の高度化及び大規模化(=投資余力を持つ、
という意味)が不可欠になってくる、ということなのでしょう。
そのような中、あくまで私見の範囲を出ないもの、今から5年ほど前に議論されていた
「非営利ホールディングカンパニー型法人」のスキームが今後、現実化・具体化されて
くるのかな、ともあらためて感じる次第です。

早めに思考と心の準備を

以上、2018年10月5日、及び22日の同会議資料より情報を抜粋してお伝えさせて
いただきました。未だ全てが議論途上である点は注意が必要ですが、ここまでの議論の
成熟度合や会議参加者の方々の顔ぶれ、及び方向性の裏付けとなる種々データ等を勘案するに、
現時点で議論されている内容が今後の国の施策に様々な形で反映されてくる可能性は極めて
高い、とみておいて差し支えないのではないでしょうか。
介護経営者・幹部の皆様におかれましては冒頭にもお伝えさせていただいた通り、
「これらの動きが具体化した場合、自社としてどのように取り組んでいくべきだろうか?」
との問いを立てつつ、事前に頭を働かせておかれることを是非、おススメする次第です。
我々も今後、更に有益な情報が入り次第、迅速に皆様へお伝えしてまいります。

※本情報の参照元である「未来投資会議」の詳細情報はこちらから
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/

(12月号に続く)

介護事業者様向け情報(経営❶)11月号③

医療機関でみられる人事労務Q&A
『職員が麻しんに感染した場合、法令を根拠として就業を
制限することができるのか?』

Q:ある職員が麻しん(はしか)に感染してしまったそうです。本人は出勤するつもりで
  いるようですが、他の人への感染を防ぐため、当該職員を休ませたいと思っています。
  法的に可能なのでしょうか。また、休ませた場合の賃金の取扱いはどのようにしなければ
  ならないのでしょうか。

A:感染の危険性が高い疾病については、患者や他の職員が感染してしまうおそれがあるため、
  感染症法等の法令に就業制限に関する取扱い方法が定められています。
  麻しんの場合においては、法令上、就業を制限できない感染症と考えられ、医院の判断で
  休ませた場合は、休業手当の支払いが必要になります。

詳細解説:

1.法令に基づく就業制限等の措置

感染症法による就業制限は、末尾参考の1 類から3 類、または新型インフルエンザが該当し、
都道府県知事の通知により、保健所等からの指示に基づいて対応することとなります。
一方、労働安全衛生法による就業禁止は、あらかじめ産業医や専門の医師に聞いた上で
対応することが規定されています。

2.就業制限の際の給与の取扱い

感染症にかかり休む場合、本人が希望すれば年次有給休暇の取得も可能ですが、
今回のように職員が出勤するといった場合、就業制限の対象となる感染症か否かで
給与の取扱い方法が変わってきます。
具体的には、就業制限の対象である感染症にかかって当該職員を休ませた場合、
使用者の責に帰すべき事由にはあたらないため、労働基準法第26 条に基づく
休業手当の支払いは不要です。しかし、今回の麻しんのように就業制限とされていない
5類の感染症にかかり、医院の判断によって休ませた場合は、休業手当の支払いが必要と
なると考えられます。
職員が罹患した疾病によって、就業制限の取扱い方法が異なります。まずは当該職員の
治療に配慮しつつ、感染が拡大しないよう就業を認めるか否か、それにともなう給与の
取扱い方法について適切に対処したいものです。

[参考:感染症法に定められる感染症の分類]
・1類感染症:エボラ出血熱、痘そう、ペスト、ラッサ熱等
・2類感染症:急性灰白髄炎、結核、ジフテリア等
・3類感染症:コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症等
・4類感染症:E型肝炎、A型肝炎、マラリア等
・5類感染症:インフルエンザ(鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ等は除く)、
       ウイルス性肝炎(E型肝炎、A型肝炎を除く)、麻しん等
これらの他、類型とは分類されていないものの、新型インフルエンザ等感染症・
指定感染症・新感染症等も感染症と定義されています。
なお、4 類、5 類については、感染症法上、就業制限の対象とはなっていません。

(12月号に続く)

医療事業者様向け情報(経営)11月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『職員が麻しんに感染した場合、法令を根拠として就業を
制限することができるのか?』

Q:ある職員が麻しん(はしか)に感染してしまったそうです。本人は出勤する
  つもりでいるようですが、他の人への感染を防ぐため、当該職員を休ませたいと
  思っています。法的に可能なのでしょうか。また、休ませた場合の賃金の取扱いは
  どのようにしなければならないのでしょうか。

A:感染の危険性が高い疾病については、利用者や他の職員が感染してしまうおそれが
  あるため、感染症法等の法令に就業制限に関する取扱い方法が定められています。
  麻しんの場合においては、法令上、就業を制限できない感染症と考えられ、
  施設の判断で休ませた場合は、休業手当の支払いが必要になります。

詳細解説:

1.法令に基づく就業制限等の措置

感染症法による就業制限は、末尾参考の1 類から3 類、または新型インフルエンザが該当し、
都道府県知事の通知により、保健所等からの指示に基づいて対応することとなります。
一方、労働安全衛生法による就業禁止は、あらかじめ産業医や専門の医師に聞いた上で
対応することが規定されています。

2.就業制限の際の給与の取扱い

感染症にかかり休む場合、本人が希望すれば年次有給休暇の取得も可能ですが、
今回のように職員が出勤するといった場合、就業制限の対象となる感染症か否かで
給与の取扱い方法が変わってきます。
具体的には、就業制限の対象である感染症にかかって当該職員を休ませた場合、
使用者の責に帰すべき事由にはあたらないため、労働基準法第26 条に基づく
休業手当の支払いは不要です。
しかし、今回の麻しんのように就業制限とされていない5類の感染症にかかり、
施設の判断によって休ませた場合は、休業手当の支払いが必要となると考えられます。
職員が罹患した疾病によって、就業制限の取扱い方法が異なります。
まずは当該職員の治療に配慮しつつ、感染が拡大しないよう就業を認めるか否か、
それにともなう給与の取扱い方法について適切に対処したいものです。

[参考:感染症法に定められる感染症の分類]
・1類感染症:エボラ出血熱、痘そう、ペスト、ラッサ熱等
・2類感染症:急性灰白髄炎、結核、ジフテリア等
・3類感染症:コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症等
・4類感染症:E型肝炎、A型肝炎、マラリア等
・5類感染症:インフルエンザ(鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ等は除く)、
       ウイルス性肝炎(E型肝炎、A型肝炎を除く)、麻しん等
これらの他、類型とは分類されていないものの、新型インフルエンザ等感染症・
指定感染症・新感染症等も感染症と定義されています。
なお、4 類、5 類については、感染症法上、就業制限の対象とはなっていません。

(12月号に続く)

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