コラム

【介護】人材育成・ブログ 12月②

前回のブログで「経営理念が浸透しない法人の共通課題」という視点でお伝えしました。
調査の結果、経営理念が浸透しない法人には次のような共通の課題があることがわかりました。①経営理念の策定時に職員がかかわっていないことが多く、理念策定の背景や意図が共有されていない②経営理念の表現が抽象的過ぎて理解しにくい。そのため、自分は何をすべきかわからない③経営理念浸透に向けた取り組みの本来の目的が見失われ、取り組みが形骸化している。
 特に②および③の課題について、当時弊社が支援させていただいておりました顧問先でも同様な状況の法人が多数存在していました。何とかこの状況を打開する方策はないものか、当時、弊社では検討を重ねました。そして形にしたものが「経営理念を具体的な行動表現にまで落とし込んだ「行動基準(クレド)」です。その内容は、単に具体的な行動表現というだけでなく、職員自らが言葉をつくることで、だれにでもわかりやすく、そして
「感動・関心」の行動基準としてまとめることができました。それを職員皆で一緒に行ってゆくことで、職員の意識改革にもつながるものを目指したのでした。それから早7年が経過しましたが、今ではすでに弊社が行った行動基準作成コンサルティン先は介護施設、保育園、障碍者支援施設で50事業所を超えるまでになりました。この活動を継続することで、組織の理念をより身近なものとして職員が感じ、それを皆で実行してゆくことで、組織風土まで変わってきていることを最近は実感しております。
さらには、前述の③の課題については、人事評価(行動評価)の一環として、
きちっと実践すれば、上司は見ているし、それが評価にもつながる仕組みに落とし込むことで、より一層、職員のモチベーションも高まってきます。
 皆様にも、この行動基準作りは、是非とも自信をもってお勧めしたいと思います。
詳細をお知りになりたい事業所各位は、下記をご覧ください。
https://www.hayashi-consul-sr.com/service2/menu2-4/

 

介護事業者様向け情報(経営❷)12月号

財務省がまとめた「平成31年度予算の編成等に関する建議」の ポイントをおさえておきましょう

次年度予算編成の基礎的考え方となる「平成31年度予算の編成等に関する建議」が公表

2018年11月20日、来年度の予算編成に向けた提言書「平成31年度予算の編成等に関する建議」が、財務省が管轄する“財政制度分科会”より提起されました(以下、「本建議」)。本建議の中では「平成31年度(2019年度)予算編成の課題」として大きく10の領域に対する提言がなされていますが、中でも国の一般歳出予算の相当割合を占める「社会保障」に関しては最大の紙幅を割いており、同予算に対する財務省としての「危機感の強さ」を見て取る事が出来ます。“国の金庫番”とも言える財務省が社会保障、とりわけ介護業界界に対し、どのような視点を持っているのか?今回は特に事業者として注視すべき内容をポイントとして採り上げ、お届けしてまいります。

介護業経営に影響を及ぼす可能性が高い「7つのポイント」とは

それでは、早速、中身に移ってまいりましょう。先ずは「軽度者へのサービスの地域支援事業への移行」についてです。

【ポイント1:軽度者へのサービスの地域支援事業への移行】

要支援者に対する訪問・通所介護は、平成27 年度(2015 年度)から介護予防・日常生活支援総合事業に移行を開始し、平成30 年(2018 年)3 月末までに全市町村が移行を完了した。
今後、利用者の状態像や地域の実情に応じ、国による基準に基づく専門的なサービスだけでなく、基準を緩和したサービスや住民主体のサービスを実施することが可能となったが、まだ多くの地方公共団体が、移行前と同様の国による基準に基づくサービスの実施を中心としている。
軽度者(要支援1・2)へのサービスの地域支援事業への移行については、予定している給付の効率化やサービスの質を確保しつつ、地方公共団体の好事例も踏まえ、円滑な実施が図られるよう更なる制度改善につなげていくべきである。
また、要介護1・2の者に対する生活援助サービス等については、サービスの質を確保しつつ、地域の実情に応じた多様な主体による提供の推進や保険給付の厚みを引き下げる観点から、第8期介護保険事業計画期間中の更なる地域支援事業への移行や利用者負担の在り方について具体的に検討していく必要がある。

ポイント1の中で注視すべき内容としては、後ろの3行「要介護1・2の者に対する生活援助サービス等については、(中略)第8期介護保険事業計画期間中の更なる地域支援事業への移行や利用者負担の在り方について具体的に検討していく必要がある」という部分ではないでしょうか。「第8期」ということは2021年4月から始まる期であることを考えると、2021年4月施行の法改正に於いて何らかの結論、或いは少なくとも方向性が示されると考えるのが自然かと思われます。続いて、ポイントの2点目です。

【ポイント2:保険者機能強化のためのインセンティブ付与の在り方】

保険者による介護費の適正化に向けた取組をより一層促進するため、調整交付金の活用も含めたインセンティブの付与の在り方を検討する必要がある。特に、調整交付金のインセンティブとしての活用については、全地方公共団体の取組のより一層の底上げを図るため、平成31年度(2019 年度)中に結論を得て、第8期介護保険事業計画期間の始期である平成33 年度(2021 年度)からの実施を検討すべきである。

今期は保険者からの大反対に伴い、調整交付金を活用せず、「交付金」として自治体予算に“上乗せ”する形でのインセンティブとなっていますが(=一定の成果を上げた自治体には交付金から上乗せ予算が支払われるが、現状維持の自治体でも予算は削減されない)、財務省としてはより一層、保険者が介護保険マネジメントに対する取り組み意欲を高めることを目的に、「頑張らなければそもそもの予算が削られてしまうかもしれない」という形式に持っていくべく、「調整交付金の活用」にこだわりを持っているようです。
続いて3点目のポイントです。

【ポイント3:介護事務所・施設の経営の効率化】

介護サービス事業全体で見た場合、介護サービスの経営主体は4割弱が1法人1施設・事務所であるなど、小規模な法人が多いことが伺える。また、平成30 年度(2018 年度)予算執行調査(財務省)によると、社会福祉法人においても、1法人当たり複数の事業所を抱える法人の方は、平均収支差が良好なことが明らかになった。こうした背景には、本部機能、給食事業、物品購入等について統合・共同化することなどを通じて、経営の効率化が図られていると考えられる。介護サービス事業所の経営の効率化・安定化の観点に加え、今後も担い手が減少する中、人材の確保・有効活用やキャリアパスの形成によるサービスの質の向上といった観点から、介護サービスの経営主体の統合・再編を促す施策を講ずるべきである。

前月のニュースレターでも触れましたが、2015年法改正前に提唱された「非営利ホールディングカンパニー型法人(≒社会福祉法人やNPO法人、医療法人等の大同団結法人)」、或いは「リガーレグループ」のようなグループ化の促進議論が再燃する可能性が高まるかもしれません。特に社会福祉法人の皆様にとっては要注目のポイントではないでしょうか。続いては4番目のポイントです。

【ポイント4:介護現場の生産性向上】

介護を必要とする高齢者の更なる増加が見込まれる一方、就業者数の大幅な減少が見込まれることから、今後とも介護サービスを安定的に供給していくためには、十分な介護人材の確保に加え、介護現場における生産性向上が課題になっている。生産性向上に向けた各種取組を通じて、質の高いサービスを維持しつ
つ、介護職員の働きやすい職場環境を実現するとともに、効果検証から得られたエビデンスに基づき、人員・設備基準の緩和といった制度改革や介護報酬改定に反映していく必要がある。

「人員基準・設備基準の緩和」は事業者にとってとてもメリットが大きい内容ですが、かといって、それにより事故が起こりやすくなってしまっては本末転倒です。それらを担保する有益な手段として、「ロボット」「ICT」等の積極活用が問われることになるのは自明かと思われます。最後に、5、6,7番目のポイントに移ります(これらのは目を通すだけで十分かと思います)

【ポイント5:ケアマネジメントの質の向上と利用者負担】

介護保険サービスの利用に当たっては、一定の利用者負担を求めているが、居宅介護支援については、制度創設当初より、ケアマネジメントの利用機会を確保するなどの観点から利用者負担が設定されていない。このため、利用者側からケアマネジャーの業務の質へのチェックが働きにくい構造にある。
また、特別養護老人ホームなどの施設サービス計画の策定等に係る費用は基本サービスの一部として利用者負担が存在しており、居宅介護支援への利用者負担はサービスの利用の大きな障害とならないと考えられる。このため、これまでに講じた頻回サービス利用に関する保険者によるケアプランチェックやサービスの標準化の推進と併せ、居宅介護支援におけるケアマネジメントに利用者負担を設け、利用者・ケアマネジャー・保険者が一体となって質の高いケアマネジメントを実現する仕組みとする必要がある。

【ポイント6:在宅と施設の公平性の確保】

(6-1:補足給付)
平成27 年度(2015 年度)改正において、一定以上の預貯金や有価証券等の金融資産を有する世代には補足給付を行わない旨の要件の見直しを行った。しかし、世帯主が65 歳以上の世帯が保有する資産構成をみると、補足給付の要件に勘案される預金や有価証券よりも、宅地等の固定資産の方が大きくなっている。さらに、補足給付の基準は、預貯金等について単身で1,000 万円、夫婦世帯で2,000 万円となっているが、これは、65 歳以上の者の預貯金の保有状況に照らして中央値を超えた水準になっており、負担能力を判断する基準としては低い水準となっている。このため、在宅サービス受給者と施設サービス受給者との負担の権衡や世代間の公平性を確保するため、補足給付対象者の資産状況の実態調査等を通じてその実像を把握し、現行の補足給付の要件等について見直しを行うべきである
(6-1:多床室の室料負担))
平成17 年度(2005 年度)制度改正において、施設サービスにおける食費や個室の居住費(室料と光熱料)を介護保険給付の対象外とする制度見直しを実施したが、多床室については、光熱水費のみが給付対象外とされ、また低所得者には補足給付が創設されている。平成27 年度(2015年度)介護報酬改定において、特養の多床室の室料負担を基本サービス費から除く見直しを行ったが、介護老人保健施設、介護療養病床、介護医療院については、室料相当分が介護保険給付の基本サービス費に含まれたままとなっている。在宅と施設の公平性を確保する観点から、次期介護報酬改定において、これらの施設の多床室の室料相当額についても基本サービス費から除外する見直しを行うべきである。

【ポイント7: 介護保険の利用者負担】

今後、介護費用は経済の伸びを超えて大幅に増加することが見込まれる中で、若年者の保険料率の伸びの抑制や、高齢者内のサービス利用者と非利用者の給付と負担の均衡を図る必要がある。制度の持続可能性や給付と負担のバランスを確保する観点から、介護保険サービスの利用者負担を原則2割とするなど、段階的に引き上げていく必要がある。

国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を

以上、本建議の中の「社会保障」に関する内容より、介護業界に直接関係のある部分のみを抜粋してお伝えさせていただきました。本内容は国全体の方針ではなく、あくまで「財務省」という一省庁の意見である、ということはしっかり認識しておく必要はあろうかと思いますが、それでも「財政健全化」が重要テーマとなっている我が国としては、財務省の挙げる声に一定の重みがあることも否めない事実だと思われます。
事業者としては上記内容を踏まえつつ、「もしこれらの施策が実行された場合にどう対応するか?」について事前に頭を働かせておくことが重要だと言えるでしょう。私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia301120/index.html

【介護】「更なる処遇改善について」の内容速報・2018年12月②

皆様、ご承知いのとおり2019年10月から処遇改善の新加算がスタートする予定です。安倍政権の方針である「介護職の給与を他の産業と同等水準までに引き上げる」を実現すべく、「更なる処遇改善」がこのほど発表されました。

今回の加算は多くの特徴がありますが、その一つに多職種への分配は認めらるようになった、ということでしょうか。

ともあれ、重要なのは、加算取得要件ですが、先般の発表では下記の内容に

なっておりますのでご確認ください。

●2018年12月12日 介護給付費分科会資料から

○ 加算対象のサービス種類として、現在対象としていないものも評価すべきとの意見もあ一方で、今般の更なる処遇改善は、これまでの数度にわたり取り組んできた介護職員の処遇改善をより一層進めるものであることから、これまでの処遇改善加算と同様のサービス種類としてはどうか。


○ 長く働き続けられる環境を目指す観点から、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われていることを担保し、これらの取組を一層推進するため、
① 現行の処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得している事業所を対象とすることとし、
あわせて、新たに、
② 処遇改善加算の職場環境等要件に関し、職場環境等についての改善の取組を複数行っていること
③ 処遇改善加算に基づく取組について、HPへの掲載などを通じた見える化を行っていること
を求め、①、②、③を加算の対象(取得要件)としてはどうか

以上です。

今回の加算の詳細を解説する緊急セミナーを2月5日(月)と3月12日(火)に行う予定です。セミナーの詳細はまた改めてメルマガなどでお知らせいたします。

 

 

介護事業者様向け情報(経営)12月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『突然出勤しなくなり、連絡が取れなくなってしまった
職員への対応』

Q:

毎日きちんと出勤していた職員が、突然連絡もなく急に出勤しなくなり、こち
らから電話をしても連絡が取れなくなってしまいました。出勤しなくなってから
1 ヶ月経過するため解雇として手続きを進めたいのですが、どのようなことに気
をつければよいでしょうか。

A:

職員が出勤せず、また連絡も取れないからといって、施設が当該職員に何も伝
えずに解雇することにはリスクが伴います。このような場合、職員への解雇の通
知方法として、公示送達があります。しかし、時間と手間を要するため、実務面
では就業規則などに一定以上の欠勤をした場合に自然退職となる旨の記載をし、
黙示の退職の意思表示があったとみなして運用する方法が考えられます。

詳細解説:

職員が突然無断で出勤しなくなり、勤務を続ける意思があるのかわからない
というようなことが稀に発生します。このようなとき、まずは電話をした上で、
出勤や連絡することを要請する手紙の郵送、自宅への訪問、身元保証人への
連絡等あらゆる方法で職員に連絡をするように努めることが重要です。しかし、
連絡が取れないまま、ある程度の期間が経過したような場合には、解雇を
検討することが考えられますが、これにはリスクが伴います。解雇は、施設が当該職
員に雇用契約を終了する意思を通知し、到達することが必要とされているためです。
したがって、今回のように連絡が取れなくなってしまった場合には、その通知ができず、
解雇することが難しいと考えられます。
職員と連絡が取れず、解雇の通知を行うことができないとき、法律上の手続きとして
公示送達という方法があります。公示送達は、簡易裁判所に申し立てをし、その内容を
裁判所の掲示板に掲示することによって行われ、この掲示から2 週間を経過した時点で、
相手方に解雇の意思が到達したとみなすという制度です。
しかし公示送達は時間と手間を要します。
したがって、実務としては就業規則等に、一定期間以上の無断欠勤を行った際は(黙示で
の退職意思とみなして)退職とする、という旨の規定を設け、一定期間経過後、自動的に
契約が終了する、自然退職として取り扱う方法がよく行われます。
ただし、実際に雇用契約を終了することについて何も知らせていないと、後日、退職の
取り扱いが不当であるとして争われてしまう可能性があります。そのため、就業規則に自
然退職となる旨の記載をした上で、到達しない可能性はありますが自然退職となることや
退職日等を内容証明などの方法で通知し、連絡を取ろうとしたことの経過や証拠を残して
おき、退職の扱い自体の有効性を高めるようにしましょう。

(次号に続く)

医療事業者様向け情報(経営)12月号③

医療機関でみられる人事労務Q&A
『突然出勤しなくなり、連絡が取れなくなってしまった
職員への対応』

Q:

毎日きちんと出勤していた職員が、突然連絡もなく急に出勤しなくなり、こちらから
電話をしても連絡が取れなくなってしまいました。出勤しなくなってから1 ヶ月経過する
ため解雇として手続きを進めたいのですが、どのようなことに気をつければよいでしょうか。

A:

職員が出勤せず、また連絡も取れないからといって、医院が当該職員に何も伝えずに
解雇することにはリスクが伴います。このような場合、職員への解雇の通知方法として、
公示送達があります。しかし、時間と手間を要するため、実務面では就業規則などに
一定以上の欠勤をした場合に自然退職となる旨の記載をし、黙示の退職の意思表示があったと
みなして運用する方法が考えられます。

詳細解説:

職員が突然無断で出勤しなくなり、勤務を続ける意思があるのかわからないというようなことが
稀に発生します。このようなとき、まずは電話をした上で、出勤や連絡することを要請する手
紙の郵送、自宅への訪問、身元保証人への連絡等あらゆる方法で職員に連絡をするように
努めることが重要です。しかし、連絡が取れないまま、ある程度の期間が経過したような
場合には、解雇を検討することが考えられますが、これにはリスクが伴います。解雇は、
医院が当該職員に雇用契約を終了する意思を通知し、到達することが必要とされているた
めです。したがって、今回のように連絡が取れなくなってしまった場合には、その通知が
できず、解雇することが難しいと考えられます。
職員と連絡が取れず、解雇の通知を行うことができないとき、法律上の手続きとして公
示送達という方法があります。公示送達は、簡易裁判所に申し立てをし、その内容を裁判
所の掲示板に掲示することによって行われ、この掲示から2 週間を経過した時点で、相手
方に解雇の意思が到達したとみなすという制度です。
しかし公示送達は時間と手間を要します。
したがって、実務としては就業規則等に、一定期間以上の無断欠勤を行った際は(黙示で
の退職意思とみなして)退職とする、という旨の規定を設け、一定期間経過後、自動的に
契約が終了する、自然退職として取り扱う方法がよく行われます。
ただし、実際に雇用契約を終了することについて何も知らせていないと、後日、退職の
取り扱いが不当であるとして争われてしまう可能性があります。そのため、就業規則に自
然退職となる旨の記載をした上で、到達しない可能性はありますが自然退職となることや
退職日等を内容証明などの方法で通知し、連絡を取ろうとしたことの経過や証拠を残して
おき、退職の扱い自体の有効性を高めるようにしましょう。

(1月号に続く)

介護事業者様向け情報(経営)12月号②

福祉施設における年末賞与1 人平均支給額の推移

今年も年末賞与の季節を迎えます。ここでは厚生労働省の統計資料※から、福祉関連業種につい
て、直近5 年間(平成25 年~29 年)の年末賞与支給労働者1 人平均支給額(以下、1 人平均支
給額)などをご紹介します。

老人福祉・介護事業が2 年連続の増加に

児童福祉事業、老人福祉・介護事業、障害者福祉事業について、事業所規模別の年末賞与支給
状況は以下のリンク先の通りです。28 年に比べて1 人平均支給額が増加したのは、児童福祉
事業の5~29 人規模、老人福祉・介護事業の5~29 人規模と30~99 人規模、障害者福祉事業の
30~99 人規模となりました。特に老人福祉・介護事業は、両規模とも2 年連続で1 人平均支給
額が増加しました。
きまって支給する給与に対する支給割合では、老人福祉・介護事業の5~29 人規模が1 ヶ月分に
満たない状態が続いています。
支給事業所数割合では、児童福祉事業の30~99 人規模と障害者福祉事業の30~99 人規模が
100%となりました。

今年の支給額は、どのように変化するでしょうか。

※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
詳細は次のURL のページからご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html

医療事業者様向け情報(経営)12月号②

医療機関の年末賞与 1 人平均支給額の推移

今年も年末賞与支給の季節を迎えます。ここでは病院と一般診療所の別に、直近5 年間
(平成25 年~29 年)の年末賞与支給労働者1 人平均支給額(以下、1 人平均支給額)などを、
事業所規模別にご紹介します。

1 人平均支給額は減少傾向に

厚生労働省の調査結果※から、1 人平均支給額などの推移をまとめると、
以下のとおりです。

・病院
5〜29 ⼈規模は、26 年、27 年と30 万円台だった1 ⼈平均⽀給額が、29 年は約22 万円と
減少しました。データのなかった28 年を除いて、2 年連続の減少です。30〜99 ⼈規模の
1 ⼈平均⽀給額は増減を繰り返しています。29 年は約29 万円で、28 年から5.2%の減少、
30 万円台を割り込みました。

・ ⼀般診療所
29 年の1 ⼈平均⽀給額は、どちらの規模も28年より減少し、20 万円台を割り込みました。
30〜99 ⼈規模は特に減少幅が⼤きく、28 年に⽐べて24.8%の減少です。きまって⽀給する
給与に対する⽀給割合は、5〜29 ⼈規模が0.94 ヶ⽉分、30〜99 ⼈規模が0.82 ヶ⽉分と、
どちらも1 ヶ⽉分を下回る割合になりました。

今年の支給額は、どのような変化をみせるでしょうか。

※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
詳細は次のURL のページからご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(経営)12月号①

介護が必要になったら誰に依頼したい?

将来身体が虚弱になり、日常生活の中で排せつ等の介護が必要な状態になった時、
誰に介護を頼みますか。今回は、内閣府が実施した調査※から、「介護を依頼したい
相手」の結果をご紹介します。

「配偶者」「子」「介護サービス」で9 割

「介護が必要となった時に依頼したい相手」について、「配偶者」「子」「ヘルパーなど介護
サービスの人」の3 回答で9 割近くを占めました。その構成割合は、男性は「配偶者」、
女性は「ヘルパーなど介護サービスの人」が1 位となりました。

男女別に見る「配偶者」と「子」の割合

男女・年代別の、「配偶者」「子」と回答した方の割合は、右グラフの通りです。
男性は、年代によって差があるものの、基本的には「配偶者」への期待が大きい傾向にあり
ます。一方、女性は男性に比べ、年齢とともに「子」への期待が大きくなっています。

※内閣府「平成29 年 高齢者の健康に関する調査結果(全体版)」
全国55 歳以上の男女3,000 人を対象に、29 年末~30 年1 月実施。
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h29/zentai/index.html

(次号に続く)

医療事業者様向け情報(経営)12月号①

医療機関における「経営力向上計画」

「経営力向上計画」は、「中小企業等経営強化法」(平成28 年7 月施行)に基づいて
策定する計画で、認定されると税制の優遇や金融支援を受けることができます。
医療機関での活用イメージをご紹介します。

医療,福祉業の認定数、業種別で第4 位

「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業・小規模事業者は、固定資産税の軽減措置等
の税制面の支援や、低利融資、信用保証等の資金繰り等の支援を受けることができます。
中小企業庁の発表によると、平成30 年8 月31 日現在、68,532 件が認定されています。
「医療機関が取得する医療機器や建物附属設備については即時償却や税額控除は適用されない」
等の制約もあり、医療,福祉業の認定数は3,681件で全体の5.4%程度ですが、4 番目に多い業
種となっています。

医療分野での活用法

医療分野における「経営力向上」として、中小企業庁の事例集では、歯科用CAD/CAM の導入で
治療期間を大幅短縮して患者満足度の向上を図る事例、医療器材自動洗浄機の導入で省力化・
効率化する事例が紹介されています。
医療は「人」が支えるサービス業。厚生労働省の指針も、人材確保と定着、医療等従事者の
勤務環境への配慮を重視しています。診療所等については、以下の実施方法が例示されていま
す。ぜひ参考になさってください。

【実施方法例】

サービス品質向上 ・地域のニーズや他の医療機関等の存在をふまえた質の向上の実施(治療の選択肢の複数定時)
コストの把握・効率化 ・医療材料や医薬品について、近隣の医療機関等と連携した共同購入
・内部効率化のための、バックオフィス業務のICTツール活用

マネジメント

・曜日ごとの医師等の柔軟な配置
・地域にある他の病院又は診療所、介護事業者等と連携
ICT投資・設備投資 ・電子カルテ等のICTの利活用
・地域の他の病院等とのデータ共有
・ICT利活用の為の人材確保
・エネルギー使用量の見える化、省エネ設備導入、エネルギー管理体制の構築等を通じた省エネ推進
その他 ・介助・介護に資するロボットの導入による業務の負担の軽減

 

(次号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)12月号④

年次有給休暇取得義務化への対応に活用できる計画的付与制度

働き方改革関連法の成立により2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」
という)が付与される従業員について年5日の取得義務化が始まります。
これにあわせて年休の計画的付与制度を導入することを検討している企業もあるかと
思いますので、その手続きについて確認しておきましょう。

1.年休を取得する時季

年休の取得については、従業員が希望する時季に年休を与えることが原則となっています。
ただし、従業員が請求した時季に与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、
他の時季に変更することができることになっています(年休の時季変更権)。
また、労使協定を結ぶことで、5日を超える分については計画的に会社が与える時季を
決めることができます(年休の計画的付与)。

2.計画的付与の方法

年休の計画的付与の方法としては、以下の3つの方法が挙げられます。

①企業全体等の休業による一斉付与

企業全体で年休を取得する日を決める方法で、製造業など一斉に休みにした方が効率的な
業態に向いている方法です。

②班・グループ別の交替制付与

企業全体で一斉に休みを取ることが難しい業態で、班・グループ別に交替で年休を与える
方法です。流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業で用いられることが
多くなっています。

③個人別付与

年次有給休暇付与計画表を作成することにより、与える日を従業員ごとに個人別で定め
る方法です。夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日や結婚記念日など、
従業員の個人的な記念日を優先的に与えるケースも多くあるようです。

3.計画的付与を導入する際の手続き

計画的付与を実施するためには、就業規則に計画的付与により年休を与える旨を
記載した上で、労使協定を締結する必要があります。
労使協定で定める項目は以下のとおりです。

①計画的付与の対象となる従業員(あるいは対象から除く従業員)
②対象となる年次有給休暇の日数
③計画的付与の具体的な内容
④年次有給休暇を持たない従業員の取扱い
⑤計画的付与日の変更

なお、労使協定の労働基準監督署への提出は不要ですが、制度を導入するために
就業規則を修正した場合、届出が必要です。

年休の取得義務化により、年10日以上の年休が付与される従業員に対して、企業は何らか
の対応が必要になります。特にこれまで年休の取得率が低い企業や、1日も取得していない
従業員が多い企業では、計画的付与の導入も含め早急な検討が必要になります。就業規則の
見直しや労使協定の締結においてご不明点があれば、当事務所までご連絡ください。

(1月号に続く)

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