コラム
評価制度の運用の改善やサポート業務で、ご相談を頂きますが、何にお悩みかというと
いわゆる形骸化です。
形骸化とは「実質的な意味を失い、中身のない形式だけ残ること」です。
まさしく、「ただ やっているだけ」という状態と言っていいかもしれません。評価制度を導入して3年ぐらい経過するとこのような状況に陥るケースはとても多いように感じています。
なぜ、このようなことになってしまうのか。管理者やTOPの方にやる気が無いからでしょうか?それもあるかもしれませんが、それを考えてもなかなか改善にはつながらないので
もう少し構造的に考えてみたいと思います。
その視点で「重要度、緊急度のマトリックス」で考えてみると、人事評価のポジションは
「重要度は高い」が「緊急度は低い」ということになります。つまり、今やらなくても問題はない仕事となり、この結果「先延ばし」となり「緊急度の高い仕事」が終わったら取り組もうと思っているうちに、気が付いたら期末になってしまう。このようなことを繰り返しているうちに、評価制度は「形骸化」へまっしぐらとなります。誰が悪いわけではなく、そのような構造になっているのが評価制度の運用というわけです。
評価制度の形骸化にどうすれば歯止めがかけられるか
評価制度の評価内容を毎年見直す
評価項目のブラッシュアップ、とりわけ評価項目が今の時代に即しているか、人の成長に合わせてよりレベルアップしていく項目に変わってきているかを毎年実施する重要なイベントごととして、必ず行っていただきたいと思います。
もちろん、見直した結果として、前年と同じでいこう、という結論であればそれもOK
です。
本人評価と上司評価(一次評価)を別々に行う
良き聞く声で、「どうしても本人評価に引っ張られてしまう」という相談があります。
その場合のアドバイスは、本人評価とは別シートで一次評価を行うことです。そのメリットとして、今まで以上に評価への真剣度が変わります。そもそも本人評価は評価エラーも多く、スキルを持っている人は少ないので、あまりアテにしない方がいいと思いおます。いずれにしてもこの変更は評価者にとっては大きな変更なので、異論はありますが、実際におこなった事業所に例を見ると、評価に対する真剣度は変わり、形骸化にはなりません
運用委員会などを作り機能させる
人事制度は構造上、「緊急度は低い」業務であることは、事業所のTOPや管理者でも同じです。そこでTOPも含めて、評価制度全体をマネジメントする「担当者」や委員会をつくることをお勧めしています。年間のスケジュールを決めたり、いつまでに●●を実施してくださいというように指示手配する役割と責任をもった委員会などがあることで全体が機能するようになります。
期初に、一年間のスケジュールに日付を入れて決めておく
事業計画の発表日や、社内的なイベントの日付を決めるのと同じように、評価制度の運用を重要なイベントとして、評価実施期間、評価者ミーティング、フィードバック面談等をあらかじめ1年間の日付を確定させておきます。そして、これは会社の最重要イベントということで、他の予定が入っても、この予定を最優先すると決めて通知をするぐらい徹底したいものです。
以上、過去の事例に基づき、代表的な方法を挙げましたが、
対策の必要があれば、出来ることから始めて行くことをお勧めします。
A 採用までのスピード感と内定後のフォローが大事です。
面接から内定までの間をあけない
応募者は一般的な企業の求職者ほど就職先をさほど慎重に選んでいないのも実態ではないかと思います。もちろん「この職場でどうしても働きたい」という人は少なく、「ここを断って次でもおとされたらどうしよう」という不安もあるため、最初に内定をもらえたところの就職を決める傾向があります。
したがって「良い人材だ」と思ったらできるだけ早く結論を出すことが大事です。優秀な人材はどこからでも内定をもらえます。内定まで1週間程度空いた場合、同時に受けた他社から内定がでたらそちらに決めたしまう可能性は高まります。良い人材と判断したらできれば面接の翌日には内定を入れることが望ましいと思います。ただ、判断が難しい場合や、候補者が複数いる場合には、判断を留保する場合もあります。その場合でも1週間後には結論を出した方がよいと思います。面接から2週間も経過してしまうと、本人も「歓迎されていない」と感じ、就職する意欲が薄れてしまいます。
こちらも見られていることを忘れずに
面接する側も応募者から「見られている」という意識を持つ必要があります。他院を受けている応募者は、当然そこと比較し、自分なりに判断をしているわけで、いい印象を持たれなければ辞退されます。
私も面接に立ち会わせいただく機会がありますが、こちらの要望を伝えすぎてしまうケースがよく見られます。「うちに来たら、本来業務はもちろんだけど、院長秘書、掃除、診察の介助を幅広くおこなってほしい」などと一方的に並べ立ててしまうと、私には務まらないかも、と思って不安に感じてしまいます。要望は伝える必要がありますが「忙しくてもスタッフの助け合いで頑張っています」というように工夫して伝えることをお勧めします。
人は自分を求めてくれるところに行きたいもの
人は自分を必要としてくれているところに行きたいものです。内定の際にも「あなたを採用します」という一言でなく。「あなたのお人柄が当法人には合うと思いました。全員一致で○○さんに来ていただきたいという結論が出ましたので、ぜひ当社に来てください」と伝えた方は応募者の心に響きます。内定後も「あなたを必要としている」というメッセージを伝えることが大切です。入職までに時間が空くようでしたら、スタッフとの顔合わせの時間などを持っておくことも大切です。途中でユニフォームの準備などの連絡をいれたり「入職をまっている」というメッセージを間接的に伝えることも大切です。
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社会保障審議会医療保険部会は、次期医療保険制度改革に向けた議論を開始しました。目指すのは「全世代型社会保障」の構築であり、まず中長期的な政策や理念を整理し、年末までに意見を取りまとめる予定です。厚生労働省は、日本の医療制度の現状や環境変化、将来像についての考察を求めています。高齢者人口の増加や医療費の上昇が見込まれる一方で、現役世代の保険料負担が限界に達しているため、自己負担の引き上げや保険給付の縮小が選択肢となる可能性があります。国民の理解と納得を得ることが改革の鍵とされています。委員からは、給付と負担のバランスを国民に分かりやすく説明する必要性や、高額医療費に対する負担のあり方、医療機関の経営安定の重要性についての意見が寄せられました。 |
社会保障審議会医療保険部会は9月18日、次期医療保険制度改革に向けた議論を開始した。
能力に応じた負担を通じて全世代が支え合う「全世代型社会保障」の構築を目指し、まずは中長期的にあるべき姿から逆算した必要な政策、理念、全体像を固めた上で論点を整理、個別課題の議論を進めていく方針を確認した。
年末をメドに部会としての意見をとりまとめる。
厚生労働省は同日の部会に議論の視点として、①日本の医療・医療保険制度の現状について、どのように考えるか、②医療保険制度が直面する環境変化(人口構造の変化による担い手の減少、医療需要の変化、物価・賃金の上昇、医療費の動向、保険料・所得の変化)についてどのように考えるか、③日本の医療・医療保険制度のあるべき将来像についてどのように考えるか。
その実現のためにどのような観点から必要な制度改正を検討すべきと考えるか―の3項目を提示した。
委員からは、制度改革に当たって国民の理解や納得を得ることが必須という意見が相次いだ。
今後、高齢者人口の増加や医療の高度化などによる医療費のさらなる増加は避けられず、現役世代の保険料負担は限界に来ているとされる。
もう1つの医療費財源である公費負担を増やすころも難しく、残る選択肢は患者自己負担の引上げまたは、保険給付範囲の縮小のいずれかとなる。
このため委員からは、制度改革に当たって国民の理解や納得を得ることが必須という意見が相次いだ。
佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)は、「支える側と支えられる側の考え方を変える必要がある。財政面の裏づけも含めて給付と負担をどうバランスするか、国民の納得を得なければならない」と指摘。
城守国斗委員(日本医師会常任理事)も、「保険料負担や自己負担は限界にあり、公費も投入できないとなれば保険給付を縮小することになるのだろう。国民がどこまで許容・納得できるのか、都度、国にしっかり説明いただきながら議論を進めていく必要がある」と述べた。
このほか、「保険料は所得に応じた負担でいいが、高額な医療は資産に応じた負担とすべき」(中村さやか委員・上智大学経済学部教授)、「医療機関の経営が安定しないと良質な医療を国民に提供する使命が果たせないということをしっかり認識してほしい」(島弘志委員・日本病院会副会長)といった意見もあった。
株式会社コドモンが提供する職員間連絡アプリ「せんせいトーク」が、正式リリースからわずか2か月で全国700施設以上に導入され、利用職員数1万人を突破しました。従来の口頭・電話・紙メモや個人アプリ利用の課題(伝達ミス・情報漏洩リスクなど)を解消し、緊急連絡やシフト調整、ヒヤリハット報告まで一元化。パート含む全員への一斉連絡も可能で、既読確認や研修動画機能も搭載。導入施設では業務削減や職場雰囲気改善の効果が報告されています。
■ 人事担当者にとっての学び
保育現場の「連絡業務効率化」は職員の離職防止にも直結します。情報伝達の不備がストレスや人間関係悪化を招く中、業務専用ツールの導入は心理的負担軽減につながります。また、パート職員を含めた公平な情報共有は、チーム一体感を生み、採用後の定着率を高めるヒントになります。
■ 自分の事業所で検討できること
・既存のLINEやメールを業務連絡から切り離す
→ 私用アプリ混在を防ぐ
・職員全員がアクセスできる専用連絡ツールを導入
→ パート・短時間勤務者も含めた公平な情報共有
・研修動画やマニュアルの一元化
→ 新人教育の効率化と品質維持
・導入後は定量効果を測定
→ 業務削減時間や職員満足度を数値化し、人事戦略の改善に活用
介護大手の創生事業団が、60歳以上の高齢者を対象にしたアルバイト求人を10月から開始する。募集職種は配膳・洗濯・清掃などの介護助手業務で、応募時に履歴書や面接は不要。勤務は1日数時間から可能で、報酬は即日払いに対応する。背景には、人材不足のなかで若年層やフルタイム人材の確保が難しくなり、短時間で働きたい高齢層をターゲットとする動きがある。首都圏を中心に展開される予定で、従来の「週数日・長時間勤務」が主流だった介護パート採用とは一線を画す試みだ。
■ 人事担当者にとっての学び
・高齢者層へのアプローチが新たな労働力確保につながる
→応募条件を「60歳以上」と限定することで、働く意欲はあるが従来の求人条件に合わなかった人材を掘り起こせる。
・応募ハードルを下げる工夫が効果的
→履歴書不要・即日払いなどの仕組みは「とりあえず試してみよう」と思わせる心理的障壁の低減につながる。
・柔軟性が差別化ポイントになる
→シフトや勤務形態を細かく調整できる職場は、他社と比べて選ばれやすくなる。
■ 自分の事業所で検討できること
・「高齢者限定/短時間枠」のアルバイト制度を試験的に導入する
・応募プロセスを簡素化し、スピード感を重視した採用フローを設計する
・即日払い/日払い制度の導入可否を検討し、応募者への魅力を高める
・業務を分解し、高齢者でも負担なく従事できるタスク(清掃/洗濯/配膳等)を切り出して配置する
・健康面に配慮した勤務設計(短時間・軽作業・休憩制度)を取り入れる
このような取り組みは、高齢者の「社会参加意欲」を活かしつつ、介護現場の慢性的な人手不足を補う実効性の高い手段となり得るでしょう。
「高齢者施設等感染対策向上加算(I)」の要件について、新たな解釈を示すQ&A
厚生労働省は1日、介護施設などが算定できる介護報酬の「高齢者施設等感染対策向上加算(I)」の要件について、新たな解釈を示すQ&Aを公表した。
介護保険最新情報のVol.1425で現場の関係者に周知した。
この加算は、感染対策の担当者が「医療機関などが行う感染対策に関する研修・訓練に、少なくとも年1回以上参加して指導・助言を受けること」を要件としている。
厚労省は今回のQ&Aで、「前回の参加日の属する年度の翌年度中に参加する予定が確認できれば算定は可能」と柔軟な運用を認めた。
〜Q&Aの概要〜
問|高齢者施設等感染対策向上加算(I)について、感染対策を担当する者が、医療機関等が行う感染対策に関する研修・訓練に少なくとも1年に1回以上参加し、指導・助言を受けることを要件としているが、高齢者施設等は各年度で1回以上研修・訓練に参加すればよく、前回の参加日から1年以上経過して参加した場合でも、各年度で1回は参加する予定があれば算定可能か。
答|認識の通り。前回の研修・訓練の参加から長い期間を空けることは望ましくないが、前回の参加日から1年以内に研修・訓練に参加することができない場合であっても、高齢者施設等において、医療機関等の研修・訓練の実施予定日を把握し、前回の参加日の属する年度の翌年度中に参加する予定が確認できた場合であれば、高齢者施設等感染対策向上加算(I)の算定は可能。
高齢者施設等感染対策向上加算は、前回の2024年度の介護報酬改定で新設されたもの。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護付きホーム、グループホームなどが対象となっている。
厚生労働省は29日、次の2027年度の制度改正に向けた協議を重ねている社会保障審議会・介護保険部会で、長年の懸案を俎上に載せた。
給付と負担のあり方をめぐる論点の1つとして、居宅介護支援に利用者負担を新たに導入するか否か(*)を取り上げた。現場の関係者からは、導入による弊害の大きさを考慮した反対意見が相次いだ。
* 現行、居宅介護支援は10割給付。利用者は、他のサービスにある1割、2割、3割の利用者負担を支払わずに居宅介護支援を利用できる。
日本介護支援専門員協会の小林広美副会長は、「利用者負担の導入は慎重に検討すべき」と主張した。
「居宅介護支援は、多様なサービスや制度が総合的かつ効率的に提供されるためのセーフティネットとして、全ての利用者が公平に、過不足なく支援を受けられる環境を維持していくことが重要」と指摘。「自己負担を導入することで、過不足のない公正中立な支援を展開している介護支援専門員のサービス調整に支障をきたすことになる」と問題を提起した。
小林副会長は続けて、「負担増で介護サービスの利用控えにつながり、介護状態が重度化するリスクや、ケアマネジメントを経ずに介護サービスを利用する動きにつながり、逆に給付費が増加するリスクがある」と警鐘を鳴らした。
このほか、認知症の人と家族の会の和田誠代表理事は、「ケアマネジメントは介護が必要な高齢者を支える最も大切な給付の1つ。その役割を維持するため、現行の10割給付の堅持を強く求める」と訴えた。
また、民間介護事業推進委員会の山際淳代表委員は、「利用者負担の導入によって、ケアマネジメントに求められる客観性、公平性・中立性の確保が難しくなることを懸念している。現行の仕組みを維持する方向が妥当」と述べた。
一方で、健康保険組合連合会の伊藤悦郎常務理事は、「現役世代の負担は既に限界に達している。ケアマネジメントの給付のあり方も検討すべき」と要請。日本経団連の井上隆専務理事は、「現役世代の負担を抑えるために何ができるのか、よく考えなければいけない」と促した。
判断は、今年末に下される見通し
今後、厚労省は審議会などで更に議論を深めていく方針。ケアマネジャーの処遇改善や負担軽減が急がれるなか、ケアプラン有料化の是非をどう決着させるのか。居宅介護支援の現場に大きな影響を与える重要な判断は、今年末に下される見通しだ。
A 本人の緊急連絡先や実家に連絡をとりましょう。
身元保証人の連絡先や緊急連絡先を2,3か所押さえておく。
突然出勤せず、連絡もつかない場合は、事故・事件に巻き込まれて出勤できない万が一の可能性を考える必要があるでしょう。何度か連絡しても連絡がつかない場合には、直接居場所まで出向いて無事を確かめることも必要かもしれません。本人と連絡がつかないときの連絡先を把握しておくために、契約の段階で身元保証をとるのも一つの方法です。連絡がつかないときは身元保証人に連絡し「〇〇さんと連絡がつかないのですがご存じですか」と伝えます。身元保証人そのほかの関係者から本人が無事であることが判明すれば、突然来なくなっている状況を伝え、本人から事業所に連絡してもらうようにします。賃金や退職手続きはその後に検討します。退職するにしても、届け出や返還させるものなどの手続きがあるので、いずれにしても一度は職場に来てもらうようにしましょう。もし
何らかの理由で職場に来ない場合には、給与を振り込みでなく直接職場に取りに来るようにさせる方法もあります。毎月の給料は口座に振り込むことが多いのですが、手続きが終わっていない場合には直接現金を手渡しするということです。なおこの場合には就業規則にあらかじめ記載しておくとも大切です。とにかく一度は出社させることで退社手続きや挨拶など済ませることができます。
一方、だれにも連絡がつかないような場合には、現住所まで出向く必要もあるでしょう。自宅にもいない様子であれば、近隣に人に様子を聞き、伝言を頼んだり、直接メモを残しておくなどして、連絡するよう促します。
自動的に退職とする規定を設ける。
突然出勤しなくなって行方不明になってしまった場合は、就業規則に「職員が行方不明となり無断欠勤が続いた場合には退職とする」などと決めておくことで、自動的に退職の扱いとするが可能になります。
記載例)第〇条 職員が次の項目該当する場合には退職とする。
・職員が行方が不明となり、1か月以上連絡が取れないこと」
以上
医療法人の24 年度の経常利益率は前年度から半減。経常収支が赤字となった割合は15 ポイント近く増加
日本医師会は17 日に開いた定例記者会見で、診療所を経営する医療法人の4 割が2024 年度
に経常赤字だったとする調査結果を発表した。医療法人の24 年度の経常利益率は前年度から半
減。経常収支が赤字となった割合は15 ポイント近く増加した。
調査は、全国の診療所の経営実態を把握するため、会員の診療所の院長を対象に25 年6 月2
日-7 月14 日に実施。個人立の診療所も含めて1 万3,535 件の回答があった(有効回答率
18.8%)。診療所を経営する医療法人は6,761 法人が回答。24 年度の経常利益率は4.2%と、前
年度の8.2%から半減した。経常収支は50.3%減の771 万円。赤字となった法人の割合は14.6
ポイント増え、39.2%だった。医業収益は前年度比2.3%減少し、医業費用は1.4%の増。金額
ベースでは434 万円の減収、252 万円の費用増となり、全体として大幅な減収減益だった。
減収の要因は「新型コロナ関連の診療報酬上の特例措置やコロナ補助金の廃止による影響が大きい
減収の要因として日医の城守国斗常任理事は会見で、「新型コロナ関連の診療報酬上の特例措
置やコロナ補助金の廃止による影響が大きい」と述べた。医業費用では給与費が1.7%の増。さらに医薬品費・材料費が3.1%増えており、人件費や物
価の高騰による費用負担が重くのしかかった。損益計算書で事業者所得が費用ではなく利益に
含まれる個人立の診療所4,180 カ所では、経常利益率は26.0%(前年度比5.1 ポイント減)だ
った。経常収支は2,196 万円となり、前年度から19.5%減った。
25 年度はさらに厳しい経営状況となることが予想される
経営課題に関する質問では(複数回答)、「物価高騰・人件費上昇」(76.0%)、「患者単価の減
少」(60.6%)といった回答が目立った。「施設設備の老朽化」を挙げたところも41.3%を占め、
「近い将来、廃業」という回答も13.8%あった。今回の調査結果について城守常任理事は、
「直近の診療所の経営状況は大幅に悪化している」とし、この状態が続けば、多くの診療所が
地域から撤退し、地域医療の提供体制が継続できなくなる可能性が高いと強い懸念を示した。
松本吉郎会長は、3 カ月ごとに区分けした決算期が直近に近い医療法人ほど経常利益率の悪
化が見られることから、「25 年度はさらに厳しい経営状況となることが予想される」と強調。
赤字の診療所が5 割近くに上りかねないとし、早急に25 年度補正予算による補助金や期中改定
を行った上で、次期診療報酬改定での大幅な手当てを実施するよう、国に強く求めていく考え
を示した。
世の中になくてはならない仕事でありながら、業務過多や給料の少なさなど課題が多いとされる保育士。実際にこの職に従事する人たちは、どんな思いや悩みを抱えているのだろうか?
日本生命保険はこのほど、20歳から59歳の保育士1,521名、保育士を除く20歳から59歳の一般社員 516名を対象に「保育士の働き方実態大規模調査」を実施し、その結果を発表した。
1. 保育士という仕事の魅力
保育士は、使命感とやりがいを実感できる仕事
「自分の仕事をどのように捉えているか」という問いには、「子どもの頃や学生の頃からこの仕事に就きたいと考えていた」(31.8%)、「誰かの役に立っていると実感できる」(30.4%)、「長く続けたいと思っている」(29.5%)、「社会的意義の高い仕事だと思う」(26.1%)といった回答が多く寄せられた。
また、一般社員比でも「子どもの頃や学生の頃からこの仕事に就きたいと考えていた」(+29.5pt)、「誰かの役に立っていると実感できる」(+19.5pt)、「社会的意義の高い仕事だと思う」(+16.8pt)といった項目で大きな差が見られる。これらの結果から、多くの現役保育士が幼い頃からの憧れを叶え、社会に貢献しているという実感や、自己成長を感じながら前向きに働いている様子がうかがえる。
全14項目中13項目の値が、就業後に上昇
就業前後の比較では、全14項目中13項目で数値が上昇。中でも「自分自身の学びにつながる」(+9.8pt)、「自分自身の成長を実感できる」(+6.2pt)、「自分の経験やスキルが生かせる」(15.0%→22.9%)、「いつも助けてくれる同僚がいる」(+4.2pt)といった項目が大きく伸びている。この結果からは、保育士という仕事が、同僚からのサポートを実感しながら、自身の成長に手応えを感じられる仕事であることが読み取れる。
保育士は「仕事とプライベートのバランスが取りやすい」
「保育士の仕事に対して思うこと」を尋ねたところ、「仕事とプライベートのバランスが取れている」(68.8%)の数値が高くなっていることから、多くの現役保育士が生活との両立を実感していることがわかる。また、「自分は職場で役に立っていると思う」(67.3%)、「仕事を通じて成長や達成感を実感できている」(66.2%)、「自分の強みや経験を仕事に生かせている」(65.3%)といった声も多く見られることから、保育士という仕事は、自らの成長や貢献を実感しやすい仕事であると考えられる。
やりがいや、人間関係の良好さが働き続ける原動力
保育士を辞めたいと思ったことがない理由としては、「職場の人間関係が良好で居心地が良いため」(20.4%)、「仕事とプライベートの時間を両立できているため」(19.5%)、「現在の仕事に強いやりがいを感じているため」と「通勤や勤務地が便利で負担が少ないため」(同率15.9%)といった回答が上位となった。
一般社員比では、「現在の仕事に強いやりがいを感じているため」(+12.3pt)や「職場の人間関係が良好で居心地が良いため」(+9.7pt)といった項目で、大きな差が見られる。
これらの結果から、多くの現役保育士が自分の成長や社会への貢献を実感しながら前向きに働いていること、そして現場で得られる学びや同僚とのつながりが、働くことの原動力となっていることがうかがえる。
元保育士と潜在保育士の4割以上が、保育士への復帰・挑戦に意欲的
元保育士と潜在保育士を対象に、短時間勤務であれば保育士として働きたいかと尋ねたところ、元保育士の42.9%が「働きたい」(「そう思う」16.0% +「ややそう思う」26.9%)と回答。保育士という仕事が経験者にとって、柔軟な働き方ができる環境があればまた戻りたいと思えるだけの価値と魅力を持つ仕事であることがわかる。
さらに、潜在保育士でも46.0%が「働きたい」(「そう思う」10.0% +「ややそう思う」36.0%)と回答しており、保育士免許を取得した多くの人が「資格を生かして現場で働きたい」という意欲を持っていることも明らかとなった。
2. 保育士を続けるうえでの課題
保育士の約半数が「辞めたいと思ったことがある」
現役保育士の51.5%が「辞めたいと思ったことがある」と回答。その理由として「給料が低い/業務内容に見合った報酬が得られない」(38.8%)や「人手不足で常に忙しい」(32.0%)、「求められることが重くて精神的な負担が大きい」(29.4%)などの声が多く寄せられた。
特に「求められることが重くて精神的な負担が大きい」(+18.8pt)、「人手不足で常に忙しい」(+18.4pt)、「業務量が多すぎて負担が大きい」(+15.6pt)は一般社員との差も大きく、慢性的な人材不足が過重労働やストレスにつながり、保育士の離職意向を高めていることが考えられる。
肉体的な負荷軽減策に加え、精神的な負荷の軽減策も検討必須
仕事の負担感に関する調査では、「からだを大変よく使う仕事である」(83.3%)、「肉体的な疲労感が蓄積しやすい」(81.4%)が突出して多い結果となった。一般社員比でも、「からだを大変よく使う仕事である」(+58.9pt)、「肉体的な疲労感が蓄積しやすい」(+46.3pt)の項目で大きな差が見られることから、肉体的な負荷を感じている現役保育士が多いことがわかる。
また、「かなり注意・集中を必要とする仕事である」(+29.2pt)、「物事の判断や決定する難しさ・責任の重さがある」(+28.5pt)、「プレッシャーや緊張感がある状況が続いている」(+24.5pt)といった精神面に関する項目でも、一般社員との比較で大きな差が確認された。負担は肉体面だけにとどまらず、精神面にも及んでいることがうかがえる。
<調査概要>
調査タイトル:保育士の働き方実態大規模調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年6月13日(金)~ 6月18日(水)
回答者:
(1) 20歳から59歳の保育士 1,521名(現役保育士767名、元保育士543名、潜在保育士211名)
元保育士:保育士を仕事としてやっていたが、今は保育士として勤務していない方
潜在保育士:保育士資格を持っているが、保育士として勤務したことがない方
(2) 保育士を除く20歳から59歳の一般社員 516名
一般社員:会社員・公務員であり、以下を職種としている人
(総務/人事/経営・経営企画/経理・財務/広報・宣伝/事務・アシスタント/受付・秘書)
出典元:日本生命保険相互会社













