コラム
院長先生が今こそ「人事評価制度」を導入すべき理由と成功のポイント
「スタッフの頑張りを正しく評価したい」
「給与や賞与の基準が曖昧で、不満が出ている」
「優秀なスタッフほど辞めてしまう」
このようなお悩みをお持ちの院長先生は少なくありません。
実はこれらの問題の多くは、評価制度が整備されていないことに起因しています。
本記事では、クリニックにおける人事評価制度の重要性と、失敗しない導入方法、そして専門家による導入支援コンサルの活用メリットについて、クリニック専門の視点で解説します。
クリニック経営における「人事評価制度」とは?
人事評価制度とは、
スタッフの行動・成果・姿勢を一定の基準で評価し、処遇(給与・賞与・昇給)や育成に反映する仕組みです。
一般企業では当たり前の制度ですが、クリニックでは
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「少人数だから不要」
-
「院長の目で見れば十分」
-
「評価制度は大きな病院の話」
と考えられ、未整備のまま運営されているケースが非常に多いのが実情です。
しかし、人材定着が経営を左右する時代において、評価制度はもはや「余裕があれば導入するもの」ではありません。
評価制度がないクリニックで起こりがちな問題
① スタッフの不満が水面下で蓄積する
評価基準が明確でないと、スタッフはこう感じます。
-
「なぜあの人と給与が同じなのか」
-
「頑張っても評価されない」
-
「院長の好き嫌いで決まっているのでは」
この不公平感・不透明感が、離職やモチベーション低下の大きな原因になります。
② 院長の負担が増え続ける
評価制度がない場合、
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昇給・賞与の判断を毎回悩む
-
スタッフ指導が感覚的になる
-
トラブル時に説明ができない
結果として、院長先生がすべてを背負う経営になってしまいます。
③ 採用しても定着しない
近年、医療業界でも人材不足は深刻です。
特に、
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医療事務
-
歯科衛生士
-
看護師
は転職市場が活発で、**「働きやすさ」「評価の納得感」**が職場選択の重要な基準になっています。
評価制度のないクリニックは、無意識のうちに選ばれにくい職場になっている可能性があります。
クリニックに評価制度を導入する3つのメリット
① スタッフのモチベーションと定着率が向上する
「何を頑張れば評価されるのか」が明確になることで、
-
自主的に行動するスタッフが増える
-
成長意欲が高まる
-
離職率が下がる
といった好循環が生まれます。
② 院長の判断が「仕組み化」される
評価制度は、院長先生の考え方や価値観を言語化・ルール化するものです。
これにより、
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指導がブレない
-
説明責任を果たせる
-
感情的な判断が減る
など、経営の安定化につながります。
③ クリニックの理念・方針が浸透する
評価項目に、
-
患者対応
-
チームワーク
-
医療安全への姿勢
などを組み込むことで、**「院長が大切にしていること」**が自然とスタッフに伝わります。
評価制度は、単なる給与制度ではなく、クリニック文化を育てるツールなのです。
評価制度導入でよくある失敗パターン
❌ テンプレートをそのまま使ってしまう
一般企業向けの評価制度を流用すると、
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クリニックの実態に合わない
-
現場で使われなくなる
-
形骸化する
といった失敗につながります。
❌ 評価項目が多すぎる・難しすぎる
現場スタッフが理解できない制度は、
**「評価のための評価」**になり、逆効果です。
❌ 制度を作って終わりにしてしまう
評価制度は、
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導入
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説明
-
運用
-
見直し
まで含めて初めて機能します。
ここを院長先生お一人で行うのは、現実的ではありません。
専門家による「評価制度導入支援コンサル」が選ばれる理由
評価制度を成功させているクリニックの多くが、
医療機関に精通した専門家の支援を活用しています。
導入支援コンサルでできること
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クリニックの規模・職種に合った評価制度設計
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院長の考えを反映したオーダーメイド設計
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スタッフ向け説明資料の作成
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運用開始後のフォロー・改善提案
-
労務トラブルを防ぐ制度設計(法的観点)
クリニック専門コンサルだからこそできる支援
一般的な人事コンサルではなく、
クリニック専門の支援だからこそ、
-
医師・歯科医師の経営目線
-
医療事務・看護師・歯科衛生士の職種特性
-
医療業界特有の人間関係・慣習
を踏まえた、現場で「使える」評価制度を構築できます。
まとめ|評価制度は「スタッフのため」だけではない
人事評価制度は、
-
スタッフのため
-
患者満足度向上のため
-
そして何より院長先生ご自身のため
の仕組みです。
「なんとなくの評価」から
「仕組みで回るクリニック経営」へ。
【お問い合わせ】評価制度導入を検討中の院長先生へ
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評価制度を作りたいが、何から始めればいいかわからない
-
今の給与・賞与の決め方に不安がある
-
スタッフ定着・モチベーションを本気で改善したい
このようなお悩みがございましたら、
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「人事評価は必要だと思うが、保育園に本当に合うのだろうか」
そう感じている園長先生は少なくありません。
しかし近年、人材不足・離職率の上昇という環境変化の中で、人事評価制度は保育園経営に欠かせない仕組みとなっています。
なぜ今、保育園で人事評価制度が求められているのか
保育業界では慢性的な人手不足が続き、「採用しても定着しない」という声を多く耳にします。
その背景には、「自分の頑張りが正しく評価されているかわからない」という職員の不安があります。
処遇改善加算による賃金改善は重要ですが、お金だけでは人は定着しません。
「どのような行動が評価されるのか」「将来どう成長できるのか」が見えない職場では、職員は将来像を描けず、転職を考えてしまいます。
園長先生が感じやすい人事評価の悩み・不安
園長先生からよく聞くのが、次のような悩みです。
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保育の仕事は数値化できず、評価基準が作れない
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評価が主観的になり、不満が出そうで怖い
-
人事評価を導入すると職場の雰囲気が悪くなるのではないか
こうした不安はもっともですが、正しく設計された人事評価制度は、むしろトラブルを防ぐ役割を果たします。
保育園の人事評価制度で最も大切な考え方
人事評価制度の目的は、職員を管理・選別することではありません。
本来の目的は、職員を育て、園の保育方針を共有することです。
評価項目を通じて、
「この園ではどんな保育を大切にしているのか」
「どんな姿勢を評価するのか」
を言語化することで、園長と職員の認識のズレを減らすことができます。
人事評価がうまくいっている保育園の共通点
評価制度が機能している保育園には、共通する特徴があります。
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専門用語ではなく、現場で理解しやすい表現を使っている
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減点評価ではなく、「期待する姿」を示している
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評価結果を面談や育成計画に活かしている
評価制度を「書類」で終わらせず、日常のマネジメントに組み込んでいる点が大きな違いです。
テンプレートの人事評価制度が失敗しやすい理由
市販の評価シートや他園の制度をそのまま使うと、次のような問題が起こりがちです。
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園の規模や職員構成に合わない
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保育園特有の業務内容が反映されていない
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運用方法が決まっておらず形骸化する
人事評価制度は、園ごとのオーダーメイド設計が不可欠です。
保育園専門の人事評価コンサルができること
当社では、保育園に特化した人事・労務の専門家として、次のような支援を行っています。
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園長・主任へのヒアリングによる課題整理
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園の保育方針に沿った評価制度の設計
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職員向け説明資料・評価者研修の実施
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処遇改善加算・給与制度との整合性確認
「評価制度を作ること」だけでなく、現場で定着・活用できることを重視しています。
人事評価制度は保育園の未来を守る経営ツール
人事評価制度は、すぐに成果が出る魔法の仕組みではありません。
しかし、職員との対話が増え、信頼関係が深まり、数年後の定着率・組織力に大きな差が生まれます。
園長先生お一人で悩まず、専門家の力を活用しながら、
「この園で働き続けたい」と思われる職場づくりを進めていきましょう。
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人事評価制度は、園の課題や規模によって最適な形が異なります。
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先日ご好評をいただいた処遇改善加算セミナーにつきまして、再配信(アーカイブ配信)が決定いたしました。
期間限定での公開となりますので、前回ご参加が難しかった方・復習されたい方は、ぜひこの機会にご視聴ください。
公開期間:1月13日(火)12:00 ~ 2月13日(金)17:00
本セミナーで得られること
2024年度の「介護職員等処遇改善加算の一本化」により、新しい「キャリアパス要件」および「職場環境要件(生産性向上の取り組み)」への対応が急務となっています。
本セミナーでは、加算Ⅰ・Ⅱ取得を年度末までに目指すための実務ポイントを、制度解説にとどまらず、現場での導入・定着に直結する具体策・事例を交えて解説します。
こんな法人様におすすめ
・今年度中に処遇改善加算Ⅰ・Ⅱを取得したい
・キャリアパス要件の整備が進んでいない/実務対応に不安がある
・生産性向上要件への取り組み方が分からない、進めても形にならない
・ICT活用・業務改善の具体事例を知りたい
プログラム(2本立て)
第1章:キャリアパス要件の整備方法と実務対応
講師:林 正人 氏(社労士法人ヒューマンスキルコンサルティング 代表)
第2章:生産性向上要件を満たすためのICT活用・業務改善手法
講師:高橋 利明(株式会社ビーブリッド シニアコンサルタント)
参考:職場環境要件(生産性向上の取り組み)で求められる対応例
・介護ソフト(記録・情報共有・請求業務の転記が不要なもの)、タブレット・スマホ等の情報端末導入
・介護ロボット(見守り・移乗・排泄・入浴・業務支援等)、インカム/ビジネスチャット等による職員間連絡の効率化
・厚労省「生産性向上ガイドライン」に基づく業務改善体制の構築(委員会・PJチーム立ち上げ、外部研修の活用 等)
視聴お申し込み
参加費:無料/開催形式:オンライン配信(アーカイブ)
👉 お申し込みはこちら:https://forms.gle/cbsvX8xHTFm9DqyLA
年度末に向けた要件対応を進めるうえで、ポイントを整理できる内容です。
皆さまのご視聴を心よりお待ちしております。
処遇改善加算の新要件を一気に攻略!
キャリアパス要件 × 生産性向上要件 実践セミナー
2025年度末までに押さえるべきポイントと現場実装のコツ
主催:社労士法人ヒューマンスキルコンサルティング × 株式会社ビーブリッド
今年9月に実施したセミナーのアーカイブ配信を行います。
下記チラシの「問い合わせ窓口」へお申し込みください。
FAX原稿9月17日開催_処遇改善加算セミナー(アーカイブ申込FAX用)
厚生労働省は12日、来年度の介護報酬の臨時改定で6月から「処遇改善加算」を拡充する方針を固めた。
対象サービスを居宅介護支援や訪問看護などにも拡大し、幅広い介護従事者の賃上げを進める。新たに対象となるサービスについては、生産性の向上や職場環境の改善を促す取得要件を設ける。
同日に開催した審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で提案。委員から大筋で了承を得た。
今回、新たに対象となるのは居宅介護支援、介護予防支援、訪問看護、訪問リハビリテーションなど。厚労省はこれらの事業所に、「処遇改善加算」の最下位の「加算Ⅳ」に準ずる取り組みを求める意向を示した。
具体的には、既存の「キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ」と「職場環境等要件」を適用する。職位・職責に応じた任用要件や賃金体系の整備、研修機会の確保などに加え、生産性の向上や働きやすい職場づくりの取り組みを取得要件とする(*)。
* キャリアパス要件Ⅰ
職位・職責・職務内容に応じた任用要件を定め、それに応じた賃金体系を整備する。
* キャリアパス要件Ⅱ
資質向上のための目標や計画を策定し、研修機会の確保や能力評価、資格取得の支援などを行う。
* 職場環境等要件
入職促進、資質向上やキャリアアップの支援、多様な働き方の推進、心身の健康管理、生産性の向上、働きがいの醸成といった区分ごとに、それぞれ1つ以上(生産性の向上は2つ以上)取り組む。
これまで対象外だった事業所がこうした取得要件を満たすまでには時間がかかるため、厚労省は経過措置を設けると説明。来年度中の対応を誓約することで、年度当初からの取得を認めるとした。
あわせて、「ケアプランデータ連携システム」の導入などに取り組んでいれば、「キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ」と「職場環境等要件」の適用を免除する方針も打ち出した。
会合では委員から、「小規模な事業所への支援が必要」との声も上がった。厚労省は今後さらに調整を進め、来年度の臨時改定のアウトラインを年内に決定する。
クリニック専門の社会保険労務士として、多くの歯科医院から人事・労務のご相談を受けてきました。その中で感じるのは、「同じようなトラブルが、驚くほど繰り返されている」という事実です。
院長先生方は決して「ブラック」な考えを持っているわけではありません。むしろ、スタッフのことを思い、現場を大切にされている方がほとんどです。それでもトラブルが起きてしまうのは、人に頼る経営の限界と、ルールがないことによる誤解が原因であるケースが大半です。
スタッフ間の人間関係は「自然に良くなる」ことはありません
歯科医院で最も多いご相談が、スタッフ間の人間関係です。
「歯科衛生士同士の雰囲気が悪い」「ベテランスタッフが新人にきつく当たる」「注意したらパワハラだと言われた」など、内容はさまざまですが、根本は共通しています。
それは、指導の基準が曖昧なまま、個人の価値観に任せていることです。
「自分はこう教わってきた」「これくらい普通」という感覚の押し付けは、今の職場ではトラブルの火種になりやすく、特に若い世代ほど敏感に反応します。
小規模な歯科医院では、一人の不満が医院全体の空気を一気に悪化させることも珍しくありません。
残業代トラブルは「退職時」に突然表面化します
診療後の片付け、終礼、ミーティング、勉強会。
院長先生からすると「当然の業務」でも、スタッフ側から見ると「なぜ給与が出ないのか」という不満につながることがあります。
現場では、
「数分だから残業ではない」
「みんなやっているから問題ない」
という認識が根強く残っていますが、法律上は労働時間として扱われる可能性が高いケースが多くあります。
特に注意が必要なのは、在職中は何も言わなかったスタッフが、退職後に未払い残業代を請求してくるケースです。感情の問題ではなく、金銭トラブルとして一気に深刻化します。
評価や昇給の不満は、優秀な人ほど黙って辞めていきます
「なぜあの人は評価されているのか」
「頑張っても給料が上がらない」
このような不満が蓄積すると、スタッフは院長に相談するのではなく、転職を選びます。特に歯科衛生士は売り手市場であり、不満を抱えながら働き続ける理由がありません。
評価制度がない、あるいは院長の主観だけで決まっている医院では、不満を口にしない優秀な人材から先に辞めていく傾向があります。
「辞めてもらう」は、最もリスクの高い場面です
問題のあるスタッフへの対応も、歯科医院では大きな課題です。
「もう来なくていい」
「合わないから辞めてほしい」
この一言が、後に「不当解雇」として大きなトラブルになることがあります。就業規則がない、または懲戒や解雇のルールが曖昧なまま感情的に対応してしまうと、院長側が不利になるケースが少なくありません。
辞めさせたいと感じた時こそ、最も冷静で、手順を踏んだ対応が求められます。
妊娠・育児を巡る問題は「知らなかった」では済みません
女性スタッフの多い歯科医院では、産休・育休・時短勤務を巡るトラブルも頻発します。
「人手が足りないから無理」
「正直、困る」
院長先生の本音として理解できる部分もありますが、対応を誤ると法令違反となり、医院の信用にも大きく影響します。
重要なのは、感情論ではなく、制度としてどう対応するかを事前に決めておくことです。
人事トラブルの多くは「仕組み」で防げます
歯科医院の人事トラブルは、誰かが悪いから起きているのではありません。
ほとんどの場合、ルールがない、基準がない、相談先がないことが原因です。
就業規則の整備、評価制度の明確化、指導方法のルール化。
これらは「スタッフを縛るため」ではなく、院長とスタッフ双方を守るための仕組みです。
「うちはまだ大丈夫」と思っている医院ほど、トラブルが起きたときのダメージは大きくなります。何も起きていない今こそ、専門家の視点で足元を見直すことが、安定したクリニック経営につながります。
ChatGPTをはじめとする生成AIをめぐる動きが加速しています。
ニュース等でも最新の状況が連日のように報じられています。仕事柄、日常的にパソコンやインターネットに触れ、文書作成やメール送受信、ネット検索などのアプリケーションを使っていると、MicrosoftのCopilotやGoogleのGemini、Adobeの Fireflyなど、数多くの生成AIを利用するよう促されます。
保育分野も例外ではありません。三菱UFJリサーチ&コンサルティングがまとめた「保育施設等におけるICT導入状況等に関する調査研究事業」報告書によると、8割を超える教育・保育施設で何らかのICTを導入しています。
ただ、実際に日々の保育業務で活用しているICT機能を見ると、「園児の登園及び降園の管理に関する機能」68%、「保護者との連絡に関する機能」68%、「保育に係る計画 記録に関する機能」48%、「指導要録 児童票の作成に関する機能」37%、「職員間の連絡に関する機能」37%、「職員の出退勤管理に関する機能」36%といった具合で、必ずしも十分に使いこなせているわけではありません。
しかし、経営情報の見える化(「ここdeサーチ」を使って収益・費?、職員給与状況等の経営情報を報告・届出)や、こども誰でも通園制度に関する総合的な支援システムの運用が既に始まっているほか、ここ数年以内に保育現場・自治体業務のワンスオンリー化、保活ワンストップシステムなどが実装されていく予定です。これらに関するニュースも、しばしば目にし、耳にすることでしょう。
こうしたICTやDX、生成AIの世界とどう向き合って、教育・保育に関する業務の効率化・高度化をどう図っていくかが問われています。
誤解しないでいただきたいのは、保育という営みそのものは極めて人間くさい営みで、良い意味でアナログな世界だということです。その特性を大切にしつつ、一方で保育に係る園務や業務は効率化・高度化する必要があります。そのためには保育DXに積極的に取り組むことが不可欠な時代を迎えた、と受け止めなければなりません。
明治の大昔、電線を通じて声が届くなら荷物も届くだろうと、電線に風呂敷包みをぶら下げた人がいたという笑い話がありました(真偽のほどは別として)。FAXが普及し始めた時、書類をFAXした後、ちゃんと届いたかどうか相手に電話をかけたという話は、実話として聞き及んでいます。
人の温もりやアナログ的な良さを大切にしてきた保育の世界にあっては、ともすればデジタル化に対する誤解や先入観、思い込みが先行して、必要以上にDX不要論に固執する向きも見られます。
けれども、保育DXの大きな波は、否応なしに押し寄せてきます。大切なことは、保育人材の確保・定着を図ること、保育者の専門性を高めること、保育の質を上げること、ひいては保育の魅力を向上させることです。そのための有力な手段として保育DXをどう活かすかが問われています。
DXやデジタル化に無関心であったり、遠ざけたりする間に、保育や保育を取り巻く世界は一変していきます。
例えば、「キーボードで文字を打つより手書きのほうが簡単で早い」かもしれませんが、「手書きより音声で入力するほうがもっと楽で早い」し、さらには「音声で入力したものを自動でポイントを要約したほうが効果的でわかりやすい」という時代が来ています。
もちろんDXを過信してはいけませんが、この動きを無視していれば、やがて取り残されていくことになります。「見る前に飛べ」ではありませんが、まずはチャレンジして、試行錯誤しながら、少しずつ成果を実感していったらいかがでしょうか。
◆思い返すと、加算項目に「LIFE」が加えられた時にも同じような議論がありました。
「LIFE」とは、介護サービス利用者の心身状態やケア内容を全国規模でデータ収集(事業が登録)し、統計・標準化されたフィードバックを事業所に返す仕組みのこと。これにより、これまでの職員の経験・勘に頼りがちだったケア内容に対し、「実証に基づくケア(Evidence-based Care)」が可能となります。
また全国の類似サービスとの比較が可能になり、ケアの質の底上げにつながる期待についても強調されました。
今回の「ケアプラン連携システム」も同様であり、加えてデータ入力の簡素化やケアプランの共有・転記作業の削減など、事務負担軽減・業務効率化・生産性向上にも寄与する目的も言われています。例えば従来の紙ベースのやり取りがオンラインで完結するようになり、「作業にかかる時間」「心理的負担」の削減が見込まれる、という感じでしょうか。
◆国も将来的な全国的プラットフォーム(いわゆる介護情報基盤)の構築を視野に、現段階での「ケアプラン連携システム」「LIFE」の導入を強く促しています。
先述した加算項目への追加や、その他にも助成金やキャンペーン等で導入コストを抑えるよう呼びかけされるなど制度のバックアップも進んでいます。
こうした背景には、急速な高齢化と、それに伴う要介護者・要支援者の増加、それに伴い人手不足とコスト抑制を両立させなければならない介護保険制度の持続性という国全体の課題があります。
◆ただその一方で、制度の土台となるICTやデータシステム自体には、現場での実用性や導入/運用の負担感への懸念も根強くあります。
今回の、ケアプラン連携システムを処遇改善の条件にする案には反対意見も多く、実際に活用実績や利用率が低く認知もされていないじゃないかという指摘があります。
紙ベースや従来のやり方に慣れた事業所にとっては、移行に対する抵抗感もありますよね。またLIFEも含め現時点で「どこまで日常業務に組み込めるか」「費用対効果がどれほどか」「入力の手間や人的リソースがどの程度かかるか」という実務面での課題や疑問もあります。もっと言えば、制度として「LIFE利用=良質なケア」という図式が「本当にそうなの??」と思われているのではとも感じます。
現場の「人」が担うケアの質や温かみといった面が重視される業界です。
それでも、業界として(内容の精査や意見の反映は行いながら)従うべきと考えます。
◆まずは大きな話として、介護報酬や処遇改善を含めた制度維持・向上には、国民負担・限られた財源の中で「効率・公平・質の担保」がますます求められる実情にあること。ICTやビッグデータによる標準化・可視化は、その要請に応える現実的な手段です。
介護現場にとって、短期的には導入に伴う負担増が発生するかも知れませんが、長い目で見て情報連携による事務負担の軽減、またケアマネや介護職員の負荷軽減につながるとなれば、人材の離職防止や働きやすさ改善にも貢献します。
慢性的な人手不足の中では避けて通れない、重要な側面です。
またデータに基づいたケア設計は、事業所間、職員間の質のバラつきを是正する可能性があります。業界全体の質の底上げ、またしっかり取り組んでいる事業者が正当に評価されるためにもデータは必要です。
繰り返しになりますが、使い慣れるまでは入力や運用は大きな手間かも知れません。でも制度が整い、今よりもっとICTが普及して業界全体のリテラシーが上がることにより、将来的には「当たり前」のインフラになる可能性もあります。
『ケアプラン連携システムやLIFEを導入して何が変わんねん』との考えもあるでしょう。業界が抱える課題は多数・多岐にわたっており、個別の解決だけでなく全体としての最適解も議論する必要があります。
生産性向上が声高に叫ばれる今、分岐点なのだと思います。
A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも構いません。
切り上げにしないと給料未払いに
給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。
休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。
例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が
ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。
未払い残業は行政指導の対象に
残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。
適切な時間管理とは
厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。
- 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
- 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
- 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。
労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。
固定残業代として定額を支給する際には慎重に
固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。
- 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
- 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
- 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること
この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。
こども家庭庁はこのほど、子ども・子育て支援等分科会を開き、その中で「令和8年度予算編成過程で検討する保育所等の公定価格の見直しについて」の考え方が示されました。
それによると、子ども・子育て支援新制度が創設されて10年が経ち、この間、保育者の処遇改善等を行った結果、公定価格に係る予算額は約3倍にまで増えています。
ただ、今後は少子化がさらに進むことから、同庁が2024年12月に示した「保育政策の新たな方向性」を踏まえて、 待機児童対策を中心とした保育の量の拡大から地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実、 全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取組の推進に政策の軸を転換、保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改善を進めることとしています。
こうした観点から、公定価格についても見直しを行うとして、次のような検討事項を挙げています(一部省略)。
○保育士・幼稚園教諭等の処遇改善について
○地域区分について
○配置改善について
○その他
・人口減少地域の保育所等における保育機能の確保・強化。
・保育現場におけるテクノロジー活用の推進。
・他の社会保障分野を踏まえた法令等に求められる取組(例:経営情報の公表、安全計画の策定)が行われていない場合の対応。
このうち、処遇改善については、今夏の人事院勧告を踏まえた人件費の単価の見直しが検討される予定で、昨年の人勧より改定率が高くなっているため、普通に考えれば昨年度の10.7%より高くなりそうですが、財政措置の大幅な増額が必要になることから、今の内閣においてどのような補正予算が組まれるのかわかりません。
配置改善に関しては、1歳児や4・5歳児の配置改善が実施されていますが、次なる改善を検討するため現在、保育士等の配置状況の調査が行われているところです。その結果も踏まえ今後の対応を検討するとしています。ただ、配置改善を行っても、そのための保育人材が確保できない施設が少なくないことから、人材確保の問題とセットで考える必要がありそうです。
今年度の見直しを見送った地域区分については、「隣接地域とこれまで以上に区分差が拡大し、保育人材の確保に影響が出るほか、事業運営や保育の質の維持・向上に支障が生じる恐れがあるなど多くの自治体から懸念の声があがっている」ため、人事院勧告による見直し(市町村ごとから都道府県を基本とし、7区分を5区分に見直す)を踏まえつつ、障害や介護など他の社会保障分野の制度との整合性も勘案しながら、引き続き検討していくことになりそうです。
その他の人口減少地域の保育所等における保育機能の確保・強化については、保育所等のダウンサイジングに対応した公定価格のあり方や小規模保育施設等の定員区分の見直し、あるいは保育機能の確保・強化に係るなんらかの加算などが課題になりそうです。
保育現場におけるテクノロジー活用の推進については、ICTや保育DXに対応したなんらかの加算が検討されるかもしれません。
このほか、他の社会保障分野を踏まえた法令等に求められる取り組みのうち、今年度から実施されている経営情報の公表については、報告・届出の義務が課されていることから、その義務を果たさない施設・事業者に対してなんらかの減算調整が行われるかもしれません。
いずれにしても、「量から質」「多機能化」「保育機能の確保・強化」「ICTや保育DX」といったキーワードが、今後の公定価格見直しにおいても大切なポイントになりそうです。
(出典:保育研究所コラムより)





