コラム
Q、事務処理時間の簡便化のために、特定職員の残業代を定額支給にしていますが、職員から実際の残業にみあった金額が支給されているのか疑問の声が上がっています。医師の給与についても残業代を含めた年俸制で支給していますが、現状に何か問題があるでしょうか。
A, 残業代の定額支給は法令違反を招きやすいだけでなく、長時間労働の温床にもなりやすいものです。医師の年俸制の問題も、労働時間の管理方法とともに見直すべき課題の一つです。
サービス残業が発生してしまう要因の一つに、「固定残業代」の問題があります。例えば、月給30万円、40時間分の残業代を含む、というように、割増残業を毎月定額手当として支給するもので、労働基準法上認められた制度です。
固定残業代は本来、事務処理の簡便化のために認められた制度です。残業時間がゼロの人にも40時間分まるまる支給されるため、仕事のできる人と、できない人の不公平感をなくす意味もありました。しかし、定額40時間分を超えた労働時間分は、割増分を支払うことになるため、定額支給にしたところで労働時間を把握する必要があり、それほどのメリットのある制度ではありません。結果的に50時間残業しても40時間の定額分しか支給されないなどサービス残業の温床になっています。
事務スタッフの少ない医療機関でも導入しているケースがありますが、「ダラダラ残業を招く」といった弊害を招くこともあります。
例えばある整形外科病院では、理学療法士に対して、残業代を30時間の定額制で支給していました。ところが、残業をした時間分だけ支給額が増える本来のやり方ではないので、
残業時間に関する意識が薄れ、中には「どうせ残業代がでないから」と間違った認識でダラダラと居残る職員が増えてしまいました。そのためこの病院では固定残業代を廃止して、タイムカードと時間外勤務申請を併用して厳格に労働時間を管理する方法に改めました。結果的に、固定残業を廃止したことで、残業時間は15時間ほどに半減したといいます。
残業代の定額支給の問題は、高額の年俸制で支給される医師の給与でもたびたび問題視されます。最近、医師の年俸に残業代が含まれているかが争われた裁判では、最高裁は「含まれていない」と判示したケースもあります(H29年7月7日)「残業代と基本給を区別できない場合には残業代が支払われたとはいえない」として無効と判断されました。
この最高裁判決は、残業代の区分が不明確な給与の支払い方法は例外なく認められないとの立場を鮮明にし、労働基準法の立場を遵守するよう管理者に求めたもので、医師の労務管理にも少なからず影響を与えそうです。
福岡県宗像市は、保育所や認定こども園などに通う、発熱や皮膚炎といった急な体調不良となった乳幼児を、仕事などの都合で迎えに行けない保護者に代わって看護師らが迎え、病児保育室で預かるサービスを始める。県内の自治体として初めての取り組みで、5月10日から運用する。
市子ども育成課によると、市内にある23の保育所や認定こども園、幼稚園には約2100人が通う。共働き世帯が増え、会社を抜けられずに迎えが遅れることや、福岡市や北九州市といった市外で働く世帯では、職場から園などまで2~3時間かかることもあるという。
保護者が迎えに来るまで、乳幼児を別部屋で移動させて対応するなど、限られた人数で勤務する保育士らの負担にもつながっていた。
このため市は、市内の病児保育室「めばえ」や宗像医師会、タクシー協会と協議を重ねてきた。
サービスは、園などから乳幼児の体調不良の連絡を受けた保護者から依頼があった場合、病児保育室の看護師が園までタクシーで迎え、診察後に病児保育室で最長午後5時半まで預かる。
対象は市内の保育所などに在籍する市内在住の生後6カ月から未就学児で、保護者の勤務などの都合によって家庭で保育できない場合に限る。病児保育室でサービスの事前登録をし、園などに同意書の提出が必要となる。サービスの利用料金は1回1千円で、病児保育は無料(延長料金は除く)。
市の担当者は「子どもたちがいち早く医療ケアを受けることができ、保護者の負担を減らす狙いがある。サービスの利用で、子育てと仕事の両立を図り、働く場所や時間の選択肢が広がってほしい」と語る。(朝日新聞より)
東京都は26日、介護支援専門員の法定研修の見直しを国に求める緊急提言を発表した。
特に更新研修の負担が受講料も含めて大きいと指摘。「人材確保の支障となる」と踏み込み、ケアマネジャーの負担を軽減する措置を講じるよう要請した。
介護ニーズが拡大していく一方で、ケアマネの人数は十分に増えていない現状を踏まえた主張。このままでは人材不足が加速し、高齢者が必要なサービスを速やかに受けられない問題が深刻化するという危機感がある。
東京都は緊急提言の中で、「とりわけ資格の更新時に、実務に従事しながら長時間の研修を受講することは、高額な受講料とともに大きな負担」と問題を提起。「高齢者の在宅生活を支えるうえで中核的な役割を担う介護支援専門員を確保していくためにも、研修制度の見直しは喫緊の課題」と訴えた。
加えて、「同じ内容の研修の繰り返しについて見直しが必要との声が上がっている」とも指摘。「質の担保と負担軽減が両立した研修制度となるよう見直しを。特に実務に従事する受講者の負担に配慮した見直しとすること」と呼びかけた。(介護ニュースより)
厚生労働省は介護事業所・施設に対するDX支援の一層の拡充を図る。
25日、ヘルスケア領域のスタートアップへの支援策を検討するプロジェクトチームが中間提言を公表。その中に具体策の1つとして方針を盛り込んだ。
今年6月には最終的な提言をまとめ、施策の本格化に取りかかる予定。競争力の高い成長産業を生み出していくとともに、医療・介護サービスの質の向上や持続可能性の確保、職員の負担軽減などにつなげる狙いがある。
厚労省は中間提言で介護分野について、生産性向上に寄与するテクノロジーの導入が十分に進んでいないと指摘。ブレークスルーを起こすにはスタートアップ支援も欠かせないと強調した。
具体策のメニューは多いが、その中で介護事業所・施設に対する支援も取り上げた。
DX支援補助金など関連予算の対象拡大を含め、支援規模の拡充を図ると説明。全ての都道府県にワンストップの相談窓口を置き、補助金活用の助言などを一括して行う体制を整える意向も示した。
このほか、介護テック製品の介護保険上の評価を見直すことにも言及。福祉用具評価検討会の開催頻度の増加、介護テック領域の委員の追加などを検討するとした。(介護ニュースより)
訪問介護の「認知症専門ケア加算」の要件や算定ルールが見直され、以前と比べてかなり取得しやすくなった。
厚生労働省は18日、新年度の介護報酬改定の留意事項通知を改正。介護保険最新情報のVol.1254で広く周知した。事業所にとってより取り組みやすい仕組みとする狙いがある。
新たに見直されたのは、例えば「日常生活自立度II以上が50%以上」など、認知症の利用者の割合を計算する方法についての規定。従来は「前3ヵ月の利用者数の平均で計算する」とされていたが、今回で「前3ヵ月のうち、いずれかの月の利用者数で計算する」へ変更された。訪問入浴介護や夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応サービスなども同様だ。
訪問介護などの「認知症専門ケア加算」は、認知症介護実践リーダー研修の修了者の配置、認知症ケアに関する会議の定期的な開催、認知症の利用者の割合などが要件。基本報酬の引き下げ分を補填する施策の1つとしても有力だ。
以前はハードルがもっと高く、「日常生活自立度III以上が50%以上」などが必要とされていたが、厚労省は新年度の介護報酬改定でこれを緩和。加算が取得しやすくなるよう、「日常生活自立度II以上が50%以上」などへ改めた。
18日に公表した介護報酬改定の新たなQ&A(Vol.4)では、今回の計算方法の見直しについて詳しく解説。昨年度末に出したこれまでのQ&Aでも、事業所の取り組みを後押しする要件の解釈などを明らかにしている。(介護ニュースより)
A 評価者研修やフィードバック面談研修を受講し、方法論を学び実践で活用している。
人事評価を行うことは、上司にとってかなりの負担で、ましてやその結果を部下に説明するフィードバック面談等は大変重荷、などと言うご意見は、評価者の方々からよく伺います。ただ、それは、「評価」という言葉の印象にとらわれている結果であって、実際には評価の仕方を具体的に理解していないがゆえに誤解されているケースがとても多いのです。
評価者として「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を理解し、それを実践すれば、だれでも評価を行うことができます。
A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも
構いません。
切り上げにしないと給料未払いに
給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。
休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。
例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が
ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。
未払い残業は行政指導の対象に
残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。
適切な時間管理とは
厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。
- 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
- 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
- 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。
労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。
固定残業代として定額を支給する際には慎重に
固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。
- 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
- 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
- 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること
この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。
医療法人医誠会(大阪府大阪市 代表者:谷 幸治)は、第179回オンライン公開医学講座『ママ・パパの子育てをサポート! 病気のお子さんを預かる 病児・病後児保育園』を3/21(木)にYouTubeにて配信しました。
▼YouTubuリンク
動画内容
大きく3つのテーマに分けて病児・病後児保育園について分かりやすく解説
1. 病児・病後児保育園とは
病児とは・病後児保育園はどのようなお子さんが利用できるのかを解説
2.医療法人医誠会が運営するさくら病児・病後児について
医誠会国際総合病院の小児科と密に連携しているため安心して利用が出来ます。
さくら保育園の保育士からは園内でのスケジュールや過ごし方などを、小児科の医師からは利用できない感染症などを説明。
3.利用手順
利用手順を流れに沿って分かりやすく解説。
体調が悪い際の第2の保育園としてママ・パパに安心してご利用頂ける、医療法人医誠会が運営するさくら病児・病後児保育園についてよく分かる動画です。
講師
医誠会国際総合病院 小児科 主任部長 外川 正生 医師
医誠会国際総合病院 さくら保育園 園長 西 美佐 保育士
医療法人医誠会 保育事業 担当 岡本 智絵
医療法人医誠会
医療法人医誠会は1979年大阪市に創立、現在はホロニクスグループとして大阪を中心に全国で病院・クリニック・介護老人保健施設等を運営しています。
医誠会スピリッツは「Patient first(患者・利用者第一主義)」、経営理念は「豊かな健康文化の創造と生命質の向上への限りなき挑戦」です。
医誠会国際総合病院では、患者さんにとって負担の少ない低侵襲医療を提供すると共に、新しい健康文化を創造し大阪から世界へ発信します。
ホームページ
医療法人医誠会法人本部 https://www.iseikaihp.com/
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厚生労働省は18日、新年度の介護報酬改定を解説するQ&Aの第4弾を公表した。
介護保険最新情報のVol.1256を発出し、現場の関係者らに広く周知している。
今回は訪問系サービスに関する内容。掲載された問答は4つで、いずれも加算の取り組みを進めやすくしたり、事務負担を軽減したりすることが趣旨となっている。
例えば訪問介護計画書の記載方法。「担当する訪問介護員の氏名の記載が求められるが、必ず担当者1名を定めて記載する必要があるか」との質問に、厚労省は次のように答えた。
「異動や休暇取得による交代などの事情により複数の訪問介護員で対応する場合、必ずしも担当者1名を定めて記載する必要はなく、利用者に説明したうえで、担当を予定する複数の訪問介護員の氏名を記載しておくことで差し支えない」
※ 上記解釈は定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画書、夜間対応型訪問介護計画書も同じ。
厚労省は新年度の報酬改定で要件を緩和した「認知症専門ケア加算」にも言及。日常生活自立度II以上の利用者らの割合を計算する方法について、新しい解釈を示した。これまでは「前3月間の利用者数で算定する」としていたが、今回で「前3月間のいずれかの月の利用者数で算定する」へ改めた。
このほか、訪問介護の「緊急時訪問介護加算」の要件も取り上げた。「ケアプランに位置付けられていない訪問介護」の考え方について、次のように明確化を図った。
「利用者・家族から訪問介護(身体介護中心)の要請を受けた時点で、第3表や第6表に具体の時間帯として記載されていない訪問介護のこと。単に、ケアプランに位置付けられていない訪問介護を行う可能性がある旨が、サービス提供の時間帯を明示せずケアプランに記載されている場合も算定可能」
厚労省の新たな解釈の詳細はQ&Aで確認できる。(介護ニュースより)
ケアマネジメントをめぐる様々な課題と向き合う議論がいよいよ始まった。
厚生労働省は15日、新たに発足させた検討会の初会合を開催した。
主な論点として、ケアマネジャーの役割・業務の範囲、人材の確保・定着の方策、法定研修のあり方、サービスの質の向上、テクノロジーの活用などを提示。委員を務める現場の関係者や専門家とともに、これから秋頃にかけて議論を深めていくとした。
検討会の取りまとめは、今後の制度改正などに直結する来年以降の審議会(社保審・介護保険部会)の動向にも影響を与えていく。
厚労省で介護保険を所管する老健局の間隆一郎局長は冒頭の挨拶で、高齢者の増加や福祉ニーズの多様化・複雑化がこれから更に進むことを念頭に、「介護支援専門員の重要性はますます高まっていく」と強調。「その専門性を十分に発揮して頂ける環境を整備するとともに、人材の確保を図っていく対策を講じることが急務」と言明した。
◆「クレーム対応も大変…」
この日の会合では、厚労省が提示した主な論点に沿って委員が意見を交換した。このうちケアマネの役割・業務の範囲については、その幅広さに伴う負担の重さを懸念する声があがった。
日本介護クラフトユニオンの村上久美子副会長は、「ケアマネジャーがなんでも屋になっている。業務範囲の明確化が必要ではないか」と主張。青い鳥合同会社の相田里香代表社員は、「ケアマネジャーが本来業務として捉えていることと、利用者、家族、他職種、多機関が求めている役割に大きな乖離が生じている。役割の範囲をしっかり明確化していくことが重要」との見解を示した。
このほか、「利用者からの要望の多様化、クレームの対応、ハラスメントなどで多くのケアマネジャーが大変しんどい思いをしている」と問題を提起する委員もいた。
日本介護支援専門員協会の柴口里則会長は、「あれもこれもと求められても全部はできない。個々の役割・業務の重要性は認識しているが、介護支援専門員も1つの職業。法の下に定められた労働時間の限界もある。当然、手弁当ではできない」と述べた。そのうえで、「誤解してほしくないが、当協会としても介護支援専門員に対する期待にしっかり応えたいと考えている。我々は介護保険の枠にとらわれないトータルケアマネジメントを担っていきたい。そのためにも抽象的・理想的な議論ではなく、居宅介護支援の現状や労使関係、事業環境などを加味した現実的な議論をして頂きたい」と要請した。
また、国際医療福祉大学大学院の石山麗子教授は、「連携する多職種、他機関、他制度からみたケアマネジャーとは何か、ということがはっきり見えてくれば、『何かあったらケアマネさん』の“何か”が明確化されてくる」と指摘。東京経済大学の常森裕介准教授は、「ケアマネジャーが何をやるかということと同時に、他の専門職に何をやってもらうかを考えなければいけない。他の法制度も視野に入れて議論していくべき」と促した。(介護ニュースより)