コラム
新年度の介護報酬改定で介護職の処遇改善加算を拡充することなどを念頭に、厚生労働省は利用者・家族に向けたリーフレットを新たに公表した。
処遇改善加算を取得する事業所・施設などで、利用料が引き上げとなり得ることを伝えるもの。15日に介護保険最新情報のVol.1252を発出し、利用者・家族への説明時に活用できる資料として広く周知した。
厚労省はリーフレットで、介護職員の賃上げに向けて処遇改善加算を今年6月から拡充すると説明。必要な人材の確保を図り、良質なサービスを提供できる体制を維持していくための措置だとして、「ご理解いただけますようお願いします」と呼びかけた。
利用者負担にはね返るため処遇改善加算の上位区分を取りにくい、という事業所・施設の葛藤があることも踏まえた。
厚労省はリーフレットで高額介護サービス費の仕組みも紹介。介護保険最新情報にはその概要をまとめた資料もつけた。(介護ニュースより)
A、例えば、10人規模の訪問介護事業所や、通所介護(デイサービス)事業所でも十分にキャリアパスは構築できます。規模が小さい事業所は職責や組織のポジションが少なく、また給与財源が限られているという理由で、キャリアパスを作っても、意味がないとお考えの事業所は多いようです。ただ、社内のポジションで考えてみると、資格等級制度における「昇進」と「昇格」は異なります。「昇進」は確かにポジションが空かなければ上に進むことはできませんが、「昇格」は等級要件がクリアできれば全員昇格するのが、キャリアパスにおける資格等級制度の考え方です。例えば、取得した資格のレベル、勤続年数、人事評価などで、各等級の要件を定め、その昇格要件を決め、給与や時給に連動させれば、立派なキャリアパスです。また、昇給財源ですが、前述の処遇改善加算金を、財源に充当させることも十分可能ですし、むしろ国もそれを奨励しています。もしかしたら、従業員教育に時間をかけられない小規模事業所だからこそ、その仕組みにより自発的に能力を高めるようになるといった、キャリアパス効果は大きいかもしれません。
厚生労働省は4月9日、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の利用を促進するため医療機関向けに新たに実施する支援内容を明らかにした。政府は従来型の紙の保険証の新規発行を12月2日で終了する方針を決めているが、直近3カ月のマイナ保険証の利用率は増加傾向にあるものの5.47%にとどまる。こうした状況を受け、医療現場における利用率アップに向けた対策を抜本的に見直し、5~7月を「集中取組月間」と位置づけ、利用人数の増加に応じて最大で診療所と薬局には10万円、病院には20万円の支援金を1回限り支給する。
■2023年10月利用実績と同月比増加量に応じて支給額を算出
現行のマイナ保険証利用促進に向けた支援策は、2024年1月~11月を取り組み期間とし、2023年10月に比べマイナ保険証の利用率が上昇した医療機関と薬局に実施することになっていた。取り組み期間は前半(1月~5月)と後半(6月~11月)に区分。前半は平均利用率が5ポイント以上10ポイント未満上昇した場合に1件当たり20円、10ポイント以上20ポイント未満上昇は1件当たり40円を支給、後半は10ポイント以上上昇した医療機関と薬局が対象で、支援単価は前半と同額に設定されていた。今回の見直しは、後半が対象。
一時金の支給額は下表の通りとなる。2023年10月の利用率と同月に比べ2024年5月~7月の集中取組月間における利用者の増加量に応じて算出される。例えば2023年10月の利用率が3%未満の場合、30人以上増加すると3万円、80人以上増加すると上限の10万円が支給される。厚労省保険局の担当官は、利用人数の増加に応じた定額給付とすることにより、医療現場にとって不公平感のない分かりやすい形にすることが狙いとしている。
武見敬三厚労相は同日の閣議後記者会見でマイナ保険証について「より一層の利用促進が課題となっている」と強調した上で、「本年5月から7月までを『マイナ保険証利用促進集中取組月間』として、医療DXのパスポートとなるマイナ保険証の利用促進に全力をあげて取り組む」との意気込みを示した。
集中取組月間限定の一時金算出方法

新年度の介護報酬改定で断行した訪問介護の基本報酬の引き下げに批判が強まっていることを踏まえ、武見敬三厚生労働相は12日、事業者の話を直接聞く意見交換会を開催した。
武見厚労相はこの中で、高齢化が一段と進んでいく今後の訪問介護の重要性を改めて強調しつつ、現場の支援策の拡充を検討していくと説明。参加した事業者に対し、「皆さんが事業所をしっかりと維持し、必要な人材も確保できるようにするためにはどんなサポートが必要か、幅広く考えていきたい。あらゆる面でサポートしていきたい」と述べた。
参加した事業者からは、業務負担の大きさやヘルパーの高齢化などで処遇改善加算の取得も容易ではないなどと訴える声があがった。
武見厚労相は処遇改善加算について、「最大限に活用して頂けるよう、皆さんの意見も聞いて今後更に運用上の工夫も行っていきたい」と改めて表明。新年度の申請状況などの速やかな把握に努める意向も示した。(介護ニュースより)
新年度の介護報酬改定では、特養や老健、グループホームなど多くのサービスが“生産性向上委員会”の設置を新たに求められるようになった。
どのように運営していけばいいのか − 。厚生労働省は昨年度末に発出した運営基準の解釈通知で、具体的な考え方を明らかにした。
既存の他の会議と取り扱いは大きく変わらない。厚労省はメンバーについて、「管理者やケアを行う職員を含む幅広い職種で構成することが望ましい。事業所・施設の状況に応じて必要な構成を検討すること」と要請。「外部の専門家の活用も差し支えない」との認識を示した。
開催頻度の厳格な規定は設けていない。「定期的な開催が必要。委員会が形骸化することのないよう留意したうえで、事業所・施設の状況を踏まえて適切な開催頻度を決めること」と記すにとどめた。
あわせて、他の事業者との連携による開催やオンライン開催も可能と説明。業務負担の軽減につなげる観点から、例えば介護事故の発生を未然に防ぐための委員会など、関連する他の会議と一体的に運営しても「差し支えない」と明記した。
“生産性向上委員会”の設置は、今回の報酬改定で国が現場に開催を求めたもの。新年度からは経過措置で努力義務となり、3年後の2027年度から正式に義務化される。
対象は施設系、居住系、短期入所系、多機能系のサービス。現場は早め早めの取り組みが必要だ。
介護職の負担軽減、職場環境の改善を目指す施策の一環。国の目的は、業務改善に継続的に取り組んでいく体制を個々の事業所・施設に作ってもらうことだ。テクノロジーの導入や介護助手の活用、役割分担の見直しなどをうまく機能させる方策を、サービスの質や利用者の安全を担保する手立てとセットで検討してもらいたいという。(介護ニュースより)
厚生労働省は5日、新年度の障害福祉サービス報酬改定の疑問に答えるQ&Aの第2弾を公表した。
今回は25件の問答を掲載。このうち17件は、強度行動障害を有する利用者への支援に関係する内容で、「重度障害者支援加算」や「集中的支援加算」の要件などを解説している。
厚労省は加えて、重度訪問介護、行動援護、生活介護、就労継続支援A型・B型などのサービスに言及。このうち重度訪問介護では、熟練職員による同行支援の対象範囲、入院時支援連携加算の算定プロセスなどを取り上げた。
また就労継続支援B型では、平均工賃月額の算定方法や目標工賃達成加算の要件について、国としての解釈をそれぞれ明らかにした。
世界169カ国で構成する国際標準化機構(ISO)は2025年にも介護サービスの質や安全性に関する基準をつくる。経済産業省など政府は高齢者向けの食事提供や事業者の経営情報公開といった日本基準の反映をめざす。
国際規格に日本の提案が採用されると、国内で介護サービスを展開する事業者の海外進出がしやすくなる。
規格づくりの議論に参加する経産省設置の審議会、日本産業標準調査会(JISC)によると日本から多数の要求事項を出している。高齢者が食べられる量や嚥下(えんげ)機能を考慮した食事の提供、栄養士が求める栄養を摂取できる献立の作成といった項目がある。
介護サービスを提供する事業者の財務情報など経営状況を判断できる情報の公開も盛り込む想定だ。国内では厚生労働省が4月に、小規模を除く事業者を対象に財務諸表の公表を省令改正で義務付けた。
介護サービスの国際規格は英国やスウェーデンが提唱し、25年中の発行を目指して議論が進む。先進国でも高齢化の進展が早かった日本は2000年に介護保険制度を創設し、知見の蓄積がある。高齢者の身体機能の維持や改善につなげる科学的介護の考え方など日本のノウハウを国際基準に反映する。(日本経済新聞 朝刊 1面2024/4/8)
A、「何をどうすれば、いい評価が得られるのか」。被評価者からすれば当然知りたい内容ですし、それが法人の求めている職員像につながることになるわけです。ところが、評価者側の都合で、もしくは評価者側の裁量の幅をできるだけ大きくできることを目的に、評価項目を抽象的な表現にしたり、評価点のつけ方などがブラックボックスにしているケースがあります。この場合、「求められる職員像」が明確にはならないので、目標自体に具体性が欠けることになります。
弊社が推奨する職能評価や行動評価は、事前に評価される内容が具体的に分かっているだけではなく、点数のつけ方もオープンにしているので、透明性が担保されるだけでなく、各職員においては自己成長の実感が可能になります。評価制度が本当の意味で職員を育てるための制度にするには、次に述べる視点がとても大切になります。
- 組織全体のレベルアップを図ることを目的とする。
評価によって優秀な職員を発見することも大切ですが、それよりも先に行わなければならないことは、普通の職員の能力を高めることによって組織全体のサービスの質を上げることなのです。一人の優秀な職員のヤル気を高めるよりも、多くを占める普通の職員のヤル気を高めることの方が大切であることを理解してください。
- 部署別、職種別、そして等級別に「期待される職員の努力」を具体的に明記する。
- はじめから「どんな努力をすれば良い評価(SまたはA評価)になるか」を明示しておく。この内容が「期待される職員像」となり、全ての職員に、期の初めから「こんな努力をしてほしい」と明示する。
評価は学校で行われるような試験や通信簿ではありません。学校の教育では、教科書に基づいて教えていき、期末または年度末に試験をして結果だけを測定し、評価すればいいのですが、職場ではそうではなく、どんな問題を出すのか(つまりどんな行動を期待しているのか)を初めに明確にしておいて、出来るだけ多くの職員が優秀な成績、つまり5段階評価ならS評価やA評価を取ってもらうようにすることが必要なのです。
その場合、必ず意見として聞こえてくるのが、「良い評価が増えれば、人件費が増加してしまうのでは?」という懸念です。もちろん、評価結果を反映させる処遇の財源(例えば、処遇改善加算)は確保しておきながら、その財源の限度内で分配を行う管理手法は必要になってきます。
私は、法人が園を経営していく上で最も大切な価値観表しているものが、法人理念であると捉えています。多くの園では法人理念を、HP、入園のしおり、パンフレットなどの印刷物をはじめ様々な方法で保護者や職員に周知しています。
ただ、周知はしているものの、どこまで「浸透」しているかというと、なかなか難しいところです。ある園では、職員に理念を改めて尋ねたところ、ほとんどの職員が応えられなかったということをお聞きしています。「浸透」している状態とは、職員が理念の意味を理解し
しそれを日々の実践に活かせる状況を言います。そのような状態にもっていくために経営は、経営理念の周知に努力するだけでなく、それを行動に移せる職員をどれだけ育てることができるのかを日々の活動のかなで考えていく必要があります。
求める職員像を的確な言葉で表現する
保育現場では職員一人一人の自律的な判断、行動が求められます。しかし保育者不足から中途採用の職員やぱーと職員の増加により、法人理念の背景や創立者の思いが継承できていなかったり、これまでの暗黙の前提が成立しなくなっている園もあるでしょう。法人の、園の、保育実践において、拠り所となるものが必要になるのも自然な流れと言えるかもしれません。そこで、私は法人理念を具体的に実現できる「人財」を「求める職員像」として可視化することをご提案しています。法人理念に基づき、どのように行動してほしいのか、どのような人となりであってほしいのかを整理し、的確に表現する言葉で「可視化」し、職員に示すことが重要です。そのための方法はいろいろあると思いますが、当社では、法人理念を
いくつかのキーワードに凝縮し、各キーワードの意味とそれを実現できる行動を職員の発想で具体的にしていきます。例えば、
キーワード:「思いやり」⇒出来ることに手を出すのではなく、見守って、助けが必要な時は、思いやりの気持ちをもち笑顔で、声をかけて手伝っている。
キーワード:「報告・連絡・相談」⇒何を相談したいのか整理し、自分なりの考え方をもって、先輩や同僚に積極的に相談し、アドバイスは素直に受け入れている。
求める職員像が育成指針として活用し、また人事評価に組み入れ定期的に振り返る機会をつくりました
法人理念から「求める職員像」を可視化し、周知と浸透を図っている園長先生にお伺いしました。
先日の職員会議で、園児への声掛けやかかわり方が議題に上がったのですが、中途採用の新人職員の一人から「求める職員像」を根拠にその関わり方の提案が出ました。参加していた職員からは賛同と納得を得ただけでなく、この発言は刺激になったようです。
また、年2回の評価の中に、その実践度合いに関する評価項目を入れて、定期的自己を振返る機会を持っています。いい評価がもらえればモチベーションにもつながっているようです。また上司・部下の間で、現状と今後について話し合う良いコミュニケーションの機会にもなっています。
園としては、引き続き「求める職員像」に基づく職員の働きぶりを承認し、育成に繋げていければと考えています。
Q 上司Aが部下Bに対し、Bが作成した文書の誤字脱字が多くミスが多いとして、業務上の注意指導をしたが、それでも改まらなかったので、再度、前回よりきつく注意したところ、Bは「パワハラです」と言って注意指導を受け入れない、注意指導はどのような場合にパワハラになりますか?
A
パワハラに関し実際に何をすればパワハラになるのか、十分に理解できている方は以外と少ないのではないでしょうか。そのため本来、部下を指導監督する上司が、これはパワハラにあたるのか、などと判断に迷ってしまうこともあると思います。さらに本設問のようにちょっと厳しく注意すると部下から「パワハラだ」などと言われると上司は注意する出来ないのではないかと思ってしまうケースも散見されます。そこで、まずはパワハラに関する基本的な考え方について検討したいと思います。
パワハラにつては、法律上の定義があるわけではありませんが、厚生労働省は「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義しています。
つまり注意指導そのものがパワハラにあたるものではなく、注意指導の程度や態様が度を越している場合にはパワハラにあたる可能性があるということになります。裁判上も、注意指導の目的は正当なものであったとしても、感情的になって大きな声を出したり、部下の人間性を否定するかのような表現を用いて叱責した点などは「社会通念上、許容される範囲を超える」としています。
御質問のケースでは、上司は部下の誤字脱字が多いことを、業務を対象にして注意指導を行っていると言えます。しかしながら部下は注意されたにも関わらず改善されないだけでなく、反抗的な態度をとってきたとのことですから、その分厳しく注意するのは当然と言えます。もちろん、先に述べた人格否定を行う、大声で怒鳴るといった注意指導は行き過ぎですが、そうでない限り、上司の注意指導はパワハラとはいえないでしょう。注意指導を行うときには、くれぐれも冷静に行うことが大切です。