コラム
経済同友会(代表幹事=新浪剛史サントリーホールディングス取締役会長)は6月10日、少子化対策に関する提言を公表した。
労働力不足などの影響を踏まえ、少子化対策は経済政策としても最優先の課題で、子育てしやすい環境の整備が急務だと強調。
保育士不足への対策では、外国人保育士の受け入れ拡大を訴えた。 提言は現在こどもを育てながら働く家庭にとって、制度があっても使えない社会構造があると指摘。
社会全体で子育てを支えられるよう規制・制度・税制について提言している。 規制改革に関しては、保育サービスの拡充に向けて外国人保育士の受け入れ拡大を求めた。
具体的には特定技能1号と2号に保育を追加。日本特有の価値観や文化に対応するための研修体制の整備も求めた。
また、保育所の設置基準や運営のルールについては、自治体によるローカル規制があることを問題視した。国が主導して、面積要件などの過剰な独自基準を抑制すべきとしている。
さらに障害児などの受け入れ体制についても国が統一的な加配基準を設け、どの地域でも必要な支援員が配置されるよう財政支援が重要だと訴えている。
制度改革については、学童保育の拡充を挙げた。勤務形態が午後1時~7時の勤務形態が主流であることが、学童指導員の処遇が上がらない一因だとして、
少なくとも午後8時まで延長するよう求めた。同時に保育士と同様に処遇改善の対象とすることも要望している。
■「年収の壁」見直しも このほか提言には、年収が一定を超えると税負担が発生する「年収の壁」の見直しや、ベビーシッターや家事支援サービスの活用促進なども盛り込んだ。
提言は同会の規制改革委員会少子高齢化分科会がまとめた。委員長には、ポピンズの轟麻衣子取締役社長グループCEOや、健育会の竹川節男理事長、鉄祐会の武藤真祐理事長らが就いている。

「本気で取り組めばきっと人は来てくれると思ったんです」。
そう語るのは、社会福祉法人泉陽会(東京都)で人材対策室を率いる平本穣さん。5年前、自らの提案で新設した同室は、今や法人の人材確保を牽引する存在だ。
豊富な資金力や広報力を武器に、民間大手が人材確保を優位に進める時代。熾烈な採用競争の最前線で、社会福祉法人が劣勢に立たされるケースも少なくないなか、どう難局を打開しようとしているのか。平本さんに話を聞いた。
「人を採る」に専念を直談判
きっかけは、新卒採用の難しさへの強い危機感だった。法人全体の年齢構成が高まりつつあるなか、若手人材をどう確保するかは喫緊の課題。現場の声と自らの問題意識を重ね合わせ、「自分が人を採る。専念させてほしい」と当時の上司に直談判した。
「高度な採用スキルがあったわけではありません。でも、やってみれば道は拓けるという直感がありました」。最初はデイサービスの所長職と兼務で動き出し、翌年からは専任に。現場経験を生かした地道なアプローチが本格的に始まった。
当初から注力したのは地方での採用活動だ。法人の知名度では大手に敵わない。そこで都内での競争にこだわらず、自ら地方へ足を運んで福祉系大学や専門学校の教員に直接アプローチ。業界で培った人脈をたどって紹介を受け、授業やゼミの場で法人の魅力を伝える機会を設けてもらってきた。
「就職先の選択肢のひとつとして見てもらえれば、まずは十分だと思っています。大切なのは、丁寧に顔を合わせて話すこと。関心を持ってくれる人は必ず出てきます」
採用の成果も着実に現れている。たとえば愛媛県の専門学校では、主任教員に思いを伝えたところ、東京への就職を希望していた学生に声をかけてもらい、リモートで説明・選考を実施。結果として採用につながり、今も現場で戦力として活躍している。
平本さんは、採用後の「伴走支援」にも余念がない。地方から上京する場合、4年間の家賃補助を用意。引っ越しの初期費用も法人が支援している。住まいの確保も平本さんら人材対策室がサポート。本人の希望や予算を聞いて反映するほか、一緒に内見にも同行する。
「東京で暮らし始められる、ということを1つの武器にしています。知らない土地での暮らしは誰でも不安なもの。物件の立地や設備まで一緒に確認しながら、納得して新生活を始められるようにしています」
学びと仕事、生活をトータル支援
今年度からは外国人材の確保でも新たな一歩を踏み出した。十文字学園女子大学(埼玉県)と連携し、外国人留学生を対象とした長期育成プログラムをスタート。4年間の学費を泉陽会が共同で負担し、在学中は介護現場でのアルバイト勤務も受け入れている。
「将来的に現場をリードできる人材を育てていくことが目的です。バイトで働きながら学校で学び、卒業後にはうちの職員として就職する。生活継続の見通しを立てられることが、外国人の学生にとって安心材料になっていると思います」
住まいの手配、生活支援も法人が担う。日用品の買い出しや地域の案内なども含め、生活立ち上げの不安を和らげるサポートを柔軟に提供している。
法人の枠を越えた挑戦
他法人との連携の輪も広げている。平本さんは現在、同じ志を持つ10の法人と共に人材確保の協働チームを結成。合同で就職フェアを開催しているほか、若手職員のネットワーク形成にも取り組んでいる。
「コストを抑えながら、法人の枠を超えて介護現場の魅力を発信したいという思いで始めました」
就職フェアでは介護食の試食体験や講演会も企画。若手職員が福祉の魅力や課題を率直に語り合う場も設けている。法人の垣根を越えた交流が、業界全体の魅力や働き続けるモチベーションの向上につながるという。
「業界内の情報交換は、自分の職場を理解するうえでもやっぱり重要。“友達の友達は友達”という気持ちで、横のつながりを大事にしています」
人材確保のハードルが年々高まる中でも、平本さんは「本気で取り組めば必ず道は開ける」と前を向く。
「仕事を探している人は皆、多かれ少なかれ不安を抱えています。だからこそ細やかに寄り添い、安定するまで一緒に歩む。そこに本気で向き合えれば、必ず信頼が生まれて定着につながります。この業界に人を呼び込む責任を、一人ひとりが自覚して行動していくことが大切だと思っています」
すべては現場の問題意識から始まった。それが今、確かな手応えとともに人をつなぐ力を生んでいる
「ICTやAIの活用がケアマネジメント業務の前提となる時代がやってくる」。
日本介護支援専門員協会は6月29日の社員総会で、今年度の事業計画を決定した。重点課題の1つに掲げたのはAIの有効活用。現場のケアマネジャーの支援に本腰を入れる方針を打ち出した。
協会の七種秀樹副会長は社員総会後の記者会見でこう語り、今後のAI活用の意義と重要性を強調した。「人材不足が深刻になる中で、業務負担の軽減や働きやすい職場環境の整備が欠かせない。協会としてケアマネジャーのリテラシー向上を本気で後押ししていく」。
協会は具体策として、会員への情報提供やセミナーの開催、ソフト開発会社との連携などに取り組んでいく。各ソフトの機能や使い勝手などを比較・評価し、分かりやすく提示していくことも検討。個々のケアマネジャーが置かれた状況に合ったツールを選べるよう発信を強化する。
今後のAIはケアプランの作成支援だけではない。ケアマネジャーの業務全般を支える存在になっていく
あわせて、協会が取り組んでいるケアマネジャーの「実践知の言語化」とも連動させる。ベテランのケアマネジャーが培ってきた知識、経験、技術、思考など(実践知)を言語化し、それをAIに学習させることで、業務全体をサポートできるような新たな仕組みの整備を目指す。
七種副会長は会見で、「今後のAIはケアプランの作成支援だけではない。ケアマネジャーの業務全般を支える存在になっていく。その過程で、現場のケアマネジャーがこれまで蓄積してきた“普遍的な実践知”も役立てられれば」と述べた。
現在、言語化した実践知のデータベースを構築中。協会はこのデータベースを、ケアマネジメントの質の向上や人材育成などに活用していく考えだ。
七種副会長は会見で、「AIやICTを活用する力が、ケアマネジメントの質の向上に大きく影響する時代になる。デジタル技術をしっかりと使いこなすことは、若い人たちにケアマネジャーの仕事を魅力的に感じてもらえることにもなる」との認識を示した。
A 通常は出来ませんが、あらかじめ労働条件の変更を視野に入れた労働契約を締結していれば可能です。
労働契約の途中で事業主側が一方的に条件を変更することは原則としてできません。労働条件を変更するときは労働者との合意が必要になります。
一方、雇用期間を定めた契約であれば、契約の更新時に契約が変更になることを説明し、「新たな契約を締結しなおす」ということになります。いわゆる契約職員としての雇用形態です。
採用時に通常であれば期間の定めなしで契約するところを、あえて3カ月の有期契約を結ぶのも選択肢のひとつ
クリニック等で多いのは、試用期間相当期間を「期間の定め有り」で契約し、その後に「契約期間の定めなし」の契約に転換する流れになります。つまり試用期間を3カ月に設定しているクリニックでは、採用時に通常であれば期間の定めなしで契約するところを、あえて3カ月の有期契約を結ぶということになります。そうして3カ月後に想定していた働きぶりが悪かった場合には、それに見合った新たな契約条件を提示し、本人が合意した場合には契約を更新するということになります。
但し、期間を定めた契約は、採用したものの、入職辞退につながる可能性もあることを認識しておかなければなりません。なぜなら、この3カ月の雇用期間は不安定と感じる職員もいます。優秀な人材は他のクリニックでも内定が出ている可能性があるので、別のクリニックに流れる可能性は否定できません。そのため通常であれば、「期間の定めなし」の契約として、面接などで人柄やスキルに不安が残る場合のみ「期間の定め有り」の契約にするといった運用にされるところが多いように思います。
A、キャリアパスの中で最も重要なルールのひとつである「任用要件・昇格条件」を検討し、見える化することです
この任用要件を決定して、職員にオープンにし丁寧に説明することが必要です。
任用要件は次の4つの視点で検討してください。
- 前等級における最低勤務年数
「リーダーを最低3年やらないと主任は務まらない」というような発想があると思いますが、このような考え方を昇格の条件として、1級は2年以上、2級は3年以上などのような形で採り入れます。そして各階層の滞留年数を決めます。つまり昇格を考えるときにも、この年数経過が一つの要件になります。 - 資格
それぞれの等級で取得してほしい資格を昇格の条件として用いるという考え方です。 - 実務経験
「優秀なケアスタッフだったのに、リーダーにしたらプレッシャーから力を発揮できず、結局もとの立場に戻さざるを得なくなった・・・」などというミスマッチをなくすために、指導監督職(主任等)になる前に、一般職の間に、一度でも委員会の委員長や行事のリーダー等をつとめた経験がある事などを、昇格条件にするケースもあります。少し大きな事業所では、複数の事業所を経験していないと(異動していないと)管理者になれないというルールもこの類です。 - 人事評価
人事評価制度を取り入れている事業所では、必ずといっていいほど、その結果を昇格の条件に用いています。「階層に求められる業務ができているか」を評価しているのであれば、その結果を次の段階に進めるか否かの判断基準に加えるというのは、極めて合理的な方法です。
「オンライン診療受診施設」で看護師が行う診療の補助行為について
政府が13日に閣議決定した規制改革実施計画には、医療法に規定する予定の「オンライン診
療受診施設」で看護師が行う診療の補助行為について実施可能な内容の検討を2024年度に始め、
法令上の措置が施行されるまでに結論を出して速やかに措置を講じると明記した。オンライン
診療をさらに普及させる狙いがある。
オンライン診療受診施設は患者がオンライン診療を受ける専用の施設で、厚労省が施設の定
義や設置者の届け出義務などを医療法に規定する。特に離島や山間地などの患者に必要な医療
を提供するため、オンライン診療受診施設で看護師らによる診療の補助行為を行えるようにす
るべきだという指摘がある。そのため厚生労働省は、オンライン診療受診施設での看護師らに
よる診療の補助行為について、実施の可否や実施可能な内容を検討する。
「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療養担当規則)を整理・明確化
また、オンライン診療受診施設について「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療養担当
規則)や「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」(薬担規則)との関係を整理・明確化する。
オンライン診療受診施設では、オンライン診療を行う医療機関の医師がその責任を負うこと
とされ、設置者には医療機関や医療従事者であることなどの要件を設けない。構造基準では、
プライバシーの保護や衛生管理、情報セキュリティーを含む良好な通信環境の確保など
必要最低限の要件とする。厚労省はまた、医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設で
面積の基準は不要とすることを明らかにした上で、事務手続きの負担を軽減するため合理的な
開設の届け出様式などを示す。
ICTを活用することで遠隔で兼務できるようにするため 25 年度上期に検討を始める
規制改革実施計画には、ICTを活用することで複数の病院の宿直対応を遠隔で兼務できるよう
にするため 25 年度上期に検討を始めることも明記した。遅くとも 27 年度中に結論を得て、速
やかに措置を講じる。その際、合理性に乏しい「ローカルルール」の発生防止に留意する。
集客とブランディングを加速させる実践的アプローチ
2025年7月29日(火)16:00より、株式会社TEAM-A(本社:東京都港区)とリンクエイジ株式会社(本社:大阪府大阪市)は、幼稚園・保育園・認定こども園を対象にした無料ウェビナー「幼稚園・保育園・認定こども園のためのSNS活用戦略 ~集客とブランディングを加速させる実践的アプローチ~」を共同開催いたします。 園のSNS運用に悩む声に応え、実際の導入事例や参加者との対話を通して、現場で活かせるノウハウを提供します。

■ 開催概要
タイトル:幼稚園・保育園・認定こども園のためのSNS活用戦略
開催日時:2025年7月29日(火)16:00〜17:30
開催方法:Web開催
参加費:無料(要事前申込)
申込締切:2025年7月28日(月)17:00
対象:幼稚園・保育園・認定こども園に従事されている方
(※一般企業・個人の方はご参加いただけません)
■ プログラム内容
1.オープニング
SNSを取り巻く現状と、園が抱える課題について整理。
2.SNS運用「モヤモヤ相談室」
参加者から事前に寄せられた悩みや疑問に対し、事例を交えて回答する対話型セッション。
3.導入園のリアルな声・成果
東京丸山学園様によるSNS活用の成功事例を紹介。
■ こんな方におすすめ
・SNSアカウントはあるが活用できていない
・入園希望者・求職者への発信を強化したい
・何を投稿すればよいか分からない
・他園との差別化を図りたい
・地域とのつながりを深めたい
■ 登壇者
丸山 高弘 先生(学校法人東京丸山学園 主事)
渡邉 大輔(株式会社TEAM-A デジタルソリューション事業部 事業部長)
大野 達也(リンクエイジ株式会社 取締役)
古澤 真生(リンクエイジ株式会社 マネージャー)
■主催企業
株式会社TEAM-A
人は会話をする事で社会と繋がり幸せを感じる。
その繋がりの中枢に存在する為の思考を止めず、広告の枠を超えたコミュニケーション手法を提案する事で企業と人をつなぎ経済活動を通して社会に貢献します。
リンクエイジ株式会社
教育機関を中心にスポーツ団体や、さまざまなイベントの写真や動画撮影、インターネット上での販売を行うサービスです。スクールフォトサービス「memoridge(メモリッジ)」は、現在は全国1,700団体以上の導入実績があります。また、写真クラウドサービス「memoridge drive(メモリッジドライブ)」や園児募集に特化したWEB広告運用サービス「memoridgeAD(メモリッジアド)」を提供しています。
「全ての愛を力に変える」をミッションに写真1枚から、愛情を増幅させ、世の中に変わらない愛の循環を生んでいきたい。 そして、その愛はきっと明日を生きる力に変わる。 そんな愛ある会社を目指しております。
ケアマネの処遇改善を「行っていない」と答えた事業所が、52.7%と半数を超えた
昨年度の介護報酬改定で基本報酬が引き上げられた居宅介護支援をめぐり、ケアマネジャーの処遇改善が必ずしも十分に進んでいないことが、厚生労働省による調査の結果で明らかになった。
基本報酬の引き上げなどによる処遇改善を「行っていない」と答えた事業所が、52.7%と半数を超えていた。
何らかの処遇改善を行っている事業所では、「基本給以外の引き上げ」「基本給の引き上げ」が多かった。事業所の規模が小さいほど、「行っていない」の割合が高くなる傾向がみられた
この調査は厚労省の調査・研究事業の1つで、三菱総合研究所が昨年11月から今年1月にかけて実施したもの。全国923の居宅介護支援事業所の回答を集計した。
ケアマネジャーの処遇改善を確実に進展させるために、居宅介護支援の報酬にも『処遇改善加算』を導入すべきか
居宅介護支援をめぐっては、昨年度の介護報酬改定で基本報酬や「特定事業所加算」などが引き上げられた。これは、ケアマネジャーの業務の専門性に見合った適切な処遇へと近づけることで、人材の確保・定着につなげる施策の一環だった。今回の調査結果は、こうした改定の狙いが現場で十分に実を結んでいない現状を浮き彫りにしている。
調査・研究事業に委員として参画した株式会社マロー・サウンズ・カンパニーの田中紘太代表取締役は、「衝撃的な結果だ。現行の制度だけでは限界があると言わざるを得ない」と指摘。「ケアマネジャーの処遇改善を確実に進展させるために、居宅介護支援の報酬にも『処遇改善加算』を導入すべきではないか」と提言している。(介護ニュースより9

石破茂首相は23日夜に記者会見を行い、医療や介護、障害福祉などの現場を支える職員の賃上げに向けて、公定価格を引き上げる方針を表明した。
石破首相は、「人手不足、あるいは物価高に直面している医療・介護・保育・福祉などの公定価格を引き上げる」と明言。今年度の「骨太の方針」に盛り込んでいた公定価格の引き上げを、会見で改めて約束した格好だ。夏の参院選が迫るなか、今後は対策のスピードと規模が焦点となる。
石破首相はこのほか、消費税の現行税率を維持したい考えを重ねて表明した。
「消費税は医療・介護・年金などの社会保障制度を支える大切な財源」と説明。「消費税を安定財源なしに減税するような無責任なことはできない」と理解を求めた。(介護ニュースより)
「看護の将来ビジョン」
日本看護協会は11日、看護の将来ビジョン2040を公表した。看護職の2040年までの目標に
専門職としての自律した判断・実践など 3 つを掲げ、それらを達成するための戦略をまとめた。
日看協では、患者の療養の場が病院から生活の場にシフトしつつあることを踏まえ、25 年まで
の看護活動の方向性を15年に「看護の将来ビジョン」として示した。今回は、次の照準の40年
までに想定される社会や医療の変化に対応するため、看護が進むべき方向性を打ち出した。
新たなビジョンで掲げた看護職の目標は、▽専門職としての自律した判断・実践▽その人らしさを尊重する生涯を通じた支援▽キーパーソンとしての多職種との協働-の3つ。
看護職が自律性を持った専門職として在宅医療などの現場を支えるため、患者を特定した医
師の包括的指示の活用を地域で進めたり、特定行為研修を修了した看護師の活躍を促したりす
る。ただ、訪問看護などの現場では、医師の包括的指示が想定していない状態の変化が生じ、
病状を見極めた上で処置や投薬を行うことが必要になるケースがあるため、一定の教育を受け
た看護師が従来の枠を超える役割をカバーする仕組みや資格を創設する必要性を指摘した。
医療へのアクセスを改善するため諸外国が整備しているそうした仕組みのうち、最も導入が
進んでいるものとして米国などの「ナース・プラクティショナー」を挙げ、それらを日本に合
った形で取り入れるなど「自立・自律した専門職として看護職が活躍できる環境の整備を目指
す」とした。ナース・プラクティショナーは、大学院で教育を受けた看護師が医師の指示を受
けず一定レベルの診断や治療などを行うことができる仕組み。ナース・プラクティショナーに
相当する資格は日本にはなく、日看協が制度の創設の検討を主張している。
「地域のナースステーション」を確保へ
新たなビジョンでは、労働人口の急減に伴い看護職の確保が難しくなる中、複雑な背景を持
つ患者や療養者のニーズに対応するには、看護職一人一人の能力を大幅に高めることが必須だ
と指摘した。そのため、看護師基礎教育の4年制化の実現を目指すとしている。
医療ニーズが高い人たちの在宅療養を支える看護職の拠点として「地域のナースステーショ
ン」の確保も急ぐ。