コラム
介護サービスの利用者や事業者、専門職らが強く反発し、Twitterでも一時トレンド入りした「#要介護1と2の保険外し」− 。具体的にどんな内容なのか、なぜ論点になっているのか、何が問題視されているのか、改めてまとめた。
◆ 財務省の目的は何か?
「要介護1と2の保険外し」は、要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護を市町村が運営する「総合事業」へ移管する構想を指す。介護保険の見直し案の1つだ。政府は現在、次の2024年度の制度改正で実行すべきか否かを検討している。結論は年内に出す。
実現を強く働きかけているのは財務省。狙いは右肩上がりの介護費の伸びを抑え、保険料など現役世代の負担を軽くすることにある。
介護費は足元の昨年度で約11兆円。急速な高齢化を背景として、2040年度にはおよそ25兆円まで膨らむと推計されている。
このまま何もしなければ現役世代の負担も過重になり、制度を維持できなくなってしまう − 。財務省の問題意識だ。こうした危機感を共有する保険者、企業、健保組合などの関係者の中にも、「要介護1と2の保険外し」に理解を示す人がいる。
◆ 行政がコントロールしやすい仕組み
なぜ、「要介護1と2の保険外し」が介護費の抑制につながるのか。ポイントは「総合事業」にある。
この「総合事業」は、全国の市町村が介護保険の財源で高齢者の介護予防や生活支援、相談対応などを展開する「地域支援事業」のメニューの1つ(*)。現在は要支援の高齢者への訪問、通所、見守りなどがこのスキームで提供されている。
。* 介護保険制度の中の「地域支援事業」の中の「総合事業」、という位置付け
「総合事業」の特徴は、運営する市町村が地域の実情に応じてサービスの運営基準や報酬などを独自に決められる点。全国一律のルールに基づく介護給付とは、ここが大きく異なる。
例えば、地域の住民やボランティアを担い手とするなど人員配置を緩和しつつ、それに見合った低い報酬を設定することも可能。試行錯誤でコストパフォーマンスを高める余地が大きく、財政的に行政のコントロールがききやすい仕組みになっている。
あわせて、国が高齢者人口の伸び率などに合わせて「総合事業」の上限額を定めていることも重要だ。個々の市町村はできるだけ、その範囲内に支出を留めていく努力をしている。全国一律の介護給付には、こうした費用の上限管理の仕組みがない。財務省が要介護1と2の訪問介護、通所介護を移したい理由はここにある。
◆「総合事業」も介護保険の枠内
もちろん、「総合事業」のメリットは財政面だけではない。地域の多様な資源・人材を有効に活かす取り組みができたり、現場の創意工夫でより効率的な体制を作れたりすることがあげられる。
要支援の高齢者は状態が相対的に軽く、抱えている支援ニーズの個人差も大きい。硬直的で融通のきかない仕組みより、各地域の判断で多様なサービスを柔軟に提供できる仕組みの方がフィットする、という理念がベースにある。
全国一律の「給付」と市町村の裁量が大きい「事業」があり、「事業」には費用の上限管理のルールも設けられている − 。こう整理すれば分かりやすい。
なお、「総合事業」も公費や保険料を財源とする介護保険の枠内の仕組みだ。仮に要介護1と2の訪問介護、通所介護が移されたとしても、それは利用者を公的保険の外の荒野へ放り出す制度改正ではない。その意味で“保険外し”はやや大袈裟な言い方だが、現場の関係者がそれだけ強く反発することには理由がある。
◆「サービスの担い手がいなくなる」
「要介護1と2の保険外し」をめぐり、指摘されてる課題は大きく2つある。まずはサービスの質の維持だ。
要介護1と2の高齢者を“軽度者”と見なすのは、やはり早計と言うほかない。ADLが自立している人も多い要支援の高齢者とは違う。進行した認知症を伴うケースも少なからずある。
このため現場の関係者の間では、在宅生活の継続には専門的なサービスが欠かせないという意見が根強い。厚生労働省の審議会でも委員から、「ボランティアの活用など人員配置を緩和した体制では弱い」「かえって重度化を招く」「自立支援の考え方に逆行する」といった批判が続出している。
もう1つはサービスの担い手の確保だ。「総合事業」はサービスへの報酬が安く抑えられやすく、今もコミットしている事業者、住民らが必ずしも十分な量に至っていない。これを要介護1と2訪問介護、通所介護にも広げれば、ただでさえ経営的に苦しい事業者が致命的な打撃を受けるとの見方が大勢だ。
事業者や専門職で組織する8団体は国への要望書で、「介護職の継続的な処遇改善を困難にするばかりか、事業者は採算が取れず経営不振で撤退することもあり得る。その結果、要介護者の在宅生活を支えるサービスの担い手が地域からいなくなる」と問題を提起。「そのしわ寄せが家族介護の負担増となり、介護離職など更なる問題につながる」「地域包括ケアシステムの推進と正反対の結果を招く」などと厳しく批判している。(介護ニュースより)
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介護施設で掃除や洗濯、配膳など間接的な業務を担って介護職をサポートする「介護助手」について、厚生労働省は各サービスの人員配置基準上の位置付けを検討していく方針だ。護報酬改定に向けてしっかりと議論して頂けるよう準備していきたい」と述べた。次期改定が近づく来年にかけて論点の1つとなる見通し。
介護現場の生産性向上を重視する厚労省は、これから「介護助手」の活用を更に広げていきたい考え。より専門性の高い業務を担う介護職の負担を軽くし、深刻な人手不足の緩和やサービスの質の向上につなげる狙いがある。
現在、介護助手を配置する効果を介護施設で確かめる実証事業を展開中。この成果を今後の議論に活かしていく計画だ。
厚労省の担当者は会合で、「まずはサービスの質の観点も含めてしっかりと効果を検証していく」と説明。委員からは、「人員配置基準への位置付けと介護報酬による評価が必要」「介護助手という名称を再考すべき」などの声があがった。(介護ニュースより)
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介護施設・事業所の指定申請、報酬請求、実地指導(運営指導)などに伴う事務負担を軽減するため、厚生労働省は2024年度から、書類の全国統一的な標準様式の使用をルール上原則化する方針を固めた。
次の介護報酬改定のタイミングで、指定申請、報酬請求、実地指導などの際に国が定めた標準様式を用いることを、介護保険法の施行規則と告示に明記する。27日に開催した有識者会議で提案。大筋で了承を得た。
地域によって異なる書類が使われている現状を正す狙い。複数の自治体にまたがって事業を展開している事業者にとって、これが事務を煩雑にする大きな要因の1つになっている。現場の関係者から統一化を求める声があがり、政府の「規制改革推進会議」がその具体化を要請していた経緯がある。
厚労省はこれまでも、作成した標準様式を公式サイトに掲載して活用を呼びかけるなど取り組みを進めてきていた。2024年度以降、一定の拘束力を持たせるルール化によって実効性を確保する考えだ。
厚労省はこのほか27日の有識者会議で、介護施設・事業所の指定申請などの手続きをオンラインで完結させる「電子申請・届出システム」について、2025年度から活用を原則化する意向も示した。こちらも法令上の措置を講じ、持参や郵送、電子メールなどを使わなくて済むようにする。これから2025年度にかけて、「電子申請・届出システム」を新たに導入する自治体の後押しなど環境整備を進めていく計画だ。(介護ニュースサイトより)
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個々の障害者が希望する生活の実現を図る − 。こうした目的を掲げた法案が14日に閣議決定された。
障害者総合支援法、障害者雇用促進法、精神保健福祉法などの改正案をまとめたもの。政府は今国会へ提出し、早期の成立を目指す。
障害者の地域生活をサポートする体制の充実が柱の1つ。日々の相談で中核的な役割を担う「基幹相談支援センター」や、施設からの地域移行の後押しを担う「地域生活支援拠点」などの整備を、新たに市町村の努力義務として定める。
あわせて、共同生活援助(グループホーム)が提供していくサービスの内容として、1人暮らしを希望する人への支援や退居後の相談などが含まれることを、法律上明確化する。グループホームの入居者の中に、1人暮らしを望んでいて適切な支援があれば実現できる人がいることを踏まえた措置だ。
今回の法案にはこのほか、障害者の様々な就労ニーズに応える支援の拡充、障害者雇用の質の底上げに向けた施策なども盛り込まれている。加藤勝信厚生労働相は14日の閣議後会見で、障害者の希望する生活をできる限り実現していくための内容だと説明したうえで、「今国会で速やかに審議して頂けるようお願いしていく」と述べた。(介護ニュースより)
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A 評価フィードバックを年2回実施し、さらに個別面談(毎月)にて課題解決のフォローを行っている。
人事評価でもっとも大切なキーワードは何でしょうか。それは「透明性」と「納得感」です。透明性とは、人事評価でいえば、どういう評価項目で、だれがどのようなプロセスで評価をしているのかが明確であること。また「納得感」とは、なぜその評価結果になったのか被評価者が理解し、納得することです。しかしながらこの納得感が生まれるのはそう簡単にはいきません。なぜなら多くの職員は、自分は一所懸命仕事をし、それなりに仕事で貢献していると思っているからです。しかしながら、上司の評価がそのようなものでない場合には、だれしも心穏やかでは、いられないはずです。半ばあきらめて、表面的に納得したフリをしている場合も多いのではないでしょうか。それでは納得感を醸成するにはどうすればいいのか。まず、絶対に必要なのが、フィードバック面談です。面談では、自己評価と上司評価が明らかに違っている項目に着目し、その評価にした根拠を具体的に話し合うことで、お互いの視点や期待レベルを知ることができ、初めて「納得感」が醸成されてくるものです。
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①医療分野キャリアパス
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②介護分野キャリアパス
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③保育園のキャリアパス
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令和4年7月1日から同年11月30日までの間に、以下の子どもの世話を保護者として行うことが必要となった
労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業
主は助成金の対象となります!
詳細は⇒
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- 時季変更権の判断をする時間的余裕もなく、翌日の正常な運営を妨げる場合には、必ずしもその日に与える必要はありません。
時季変更権の行使
事業主には「事業の正常な運用を妨げる」場合には従業員から申請のあった有給の取得時期を変更できるという権利があります。しかし、前日の有給を申請された場合、「事業の運営を妨げるかどうか」を判断する時間的な余裕がなく、また翌日の代替え要因の確保も難しい状況だともいます。結局、時季変更権を行使するか、別の日に変更してほしいとお願いする可能性が高いと思われます。
そのようなために就業規則に「シフトを作成する前月末までに申し出ること」などのルールを設定しておくことをお勧めします。原則的な取り扱いとして事前申請期限を指定することは合理的な範囲内において認められると考えられています。ただし、「3か月前に申し出ること」などあまり長い設定は、有給の取得を抑制するとみなされますので避ける必要があります。
一方、前月末とルールを決めていても、その期限を過ぎて申請してくる場合もあります。有給は権利性の強い性質がありますので、申請期限を切っているという理由だけで、直ちに年休を与えないということはできません。この場合でも必要に応じてその日に認めるか、別の日にしてもらうかを判断する必要があるでしょう。
申し出ルールを設けたときの注意点
シフト作成した後でも、身内に不幸があったった場合や、急に入院する場合とか、このような場合、申し出の時期にかかわらず認めてあげてもいいでしょう。ただ、その場合は、理由をきちんと把握して、やむを得ない事情に限り認めるなど言っての判断基準は必要と思います。
シフト作成後の申し出による変更が慣例的になり、風邪をひいて休む場合当然のように有給扱いするとなるとルールが形骸化してしまうので原則と例外の扱いを決めておくといいでしょう。
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A, まずは、自宅で行った業務内容、具体的な完成品、かかった時間数を確認して、園長が必要な時間数を確認し、残業手当を支払ってはどうでしょうか。問題は今後の対応をどうするかです。安易に自宅での業務を認めてしまうと、自宅での業務が多くなるでしょうし、
そもそも労働時間の把握ができません。
やはり原則通り、①業務は命じられた場所で行う②業務時間内で終了できるように、業務のやり方を変える。という2点の対応が必要です。
まずは就業規則に就業の場所は「○○園、および命じられた場所」と規定します。命じられた場所には、園児と一緒に行くお散歩や公園、外部の研修会場を想定しています。自宅を就業場所として命じなければ、業務を持ち帰ることはできません。
就業規則に、「就業場所」を定め、職員毎の労働条件通知書にも同様の記載をします。
次に、業務のやり方を変えることについて、どんなことから始めたらいいか、園長と話をしました。「行事前に残業が増えるのは、これまでのやり方を踏襲していること、各クラスが
同じレベルの仕上がりを目指していることなどが原因かもしれません・・・・」と仰っていました。見方を変えると課題が見えてきます。行事のやり方などを変えることは、職員たちにとって自身にもなったようです。日常業務いついても、業務の完成イメージから必要な時間を逆算して取り組むなど業務時間内でやる方法を考え、チャレンジしてみると、手ごたえを感じるようなのです。これが、当園の「働き方改革」なのかもしれません。
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保育士の数 国の配置基準では…
まず、国の配置基準をおさらいします。
国は、認可保育所で働く保育士の数を、子どもの年齢ごと(0歳児~5歳児)に必要な保育士の配置基準を以下のように定めています。例えば3歳児なら保育士1人に対し、園児20人といった具合です。
自治体ごとの格差浮き彫りに~民間団体の調査
私たちがこの問題を調べるにあたり、参考にしたのが、園児の保護者などつくる民間団体「保育園を考える親の会」がまとめた調査結果です。
調査の対象は、首都圏の1都3県と政令市を中心とした100の自治体。
それぞれの自治体が保育士をどのように配置しているか、調べていました。
結果をみると、0歳児から5歳児のいずれかの年齢で国の基準より保育士を多く配置していたのは、85の自治体に上っていました。
一方で、すべての年齢で国と同じ基準のままの自治体も14ありました。
全年齢が国の基準と同じ自治体
東村山市、稲城市、さいたま市、和光市、市原市、柏市、佐倉市、野田市、名古屋市、大阪市、神戸市、岡山市、広島市、福岡市
このうち、3歳児(国の基準 保育士1:園児20)を見てみると、39の自治体が国より手厚く配置していました。
なかでも最も手厚かったのは、埼玉県の戸田市とふじみ野市で、12人の園児に対して1人の保育士が配置されています。
首都圏の自治体は…
私たちは、この調査結果を一目見てわかるようにするため、以下のような地図を作成してみました。
今回の調査対象となった首都圏の東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県の1都3県を、以下のような条件に基づき、3つに分類しました。
色分けの条件
・国基準と同じ → 黄色
・0~5歳児のうち、1つの年齢で独自基準 → オレンジ
・0~5歳児のうち、2つ以上の年齢で独自基準 → 青色
・未調査 → 白色
※公立と私立の保育所で基準が異なる自治体については公立保育所を基準
まず埼玉県です。こうみると、多くの自治体が青色、つまり、2つ以上の年齢で手厚い配置をしていることがわかります。
なかでも私たちが関心をもったのがさいたま市に隣接する富士見市です。
人口は11万人、都心のベットタウンで、子育て世代も多く住んでいます。富士見市の配置基準を国のそれと比較すると、ご覧のように4つの年齢で独自の基準を設けています。
しかも、公立だけでなく、私立の保育所ともに手厚い基準であるのが大きな特徴でした。
埼玉県富士見市(公立・私立)
0歳児 3:1(国は3:1)
1歳児 4:1(国は6:1)
2歳児 6:1(国は6:1)
3歳児 13:1(国は20:1)
4歳児 18:1(国は30:1)
5歳児 25:1(国は30:1)
どうして手厚く?富士見市担当者に聞いた
そこで、早速、富士見市保育課の森坂和之課長を訪ねました。
富士見市は、子育て世代の人口が増え続けていることもあり、保育施設などの整備が進み、現在、市内の認可保育所は、公立が6か所、民間が12か所に上ります。市が民間保育所の基準も引き上げるため、独自に負担する分は、年間およそ5000万円に上るそうです。
私はこうした手厚い独自の基準がどういった経緯で設けられたのか知りたく思いました。
それについて伺うと、1歳児、4歳児の基準についてはなんと昭和52年から、3歳児の基準については昭和53年から設けられ、5歳児についても昭和54年までに設けられていたことがわかりました。近年の子育て世代の増加に伴う施策ではなかったのです。
しかし、なぜ、この基準が設けられたのかについては、当時の記録が残っていなかったため、現時点ではわからないままでした。
一方、富士見市では別の問題も抱えていました。こうした手厚い配置基準を維持していることもあり、今も待機児童が解消していないのです。
配置基準を国基準にまで緩める、つまり1人の保育士に対して、より多くの子どもを受け入れれば解消するのをどうしてそうはしないのか、理由を聞きました。
富士見市保育課 森坂和之課長
「多くの保育士で子どもをみることは、子どもたちにとっても良い環境で保育が受けられるということ。待機児童解消も重要なことだとは思いますが、今、保育所で過ごしている子どもたちに対して安全な保育をするために、この基準を継続したい」
こちらは東京です。
23区を中心にオレンジ色(1つの年齢で独自基準)となっています。
実は23区では1歳児の配置基準を国基準の6:1より手厚い5:1にしている自治体がほとんどです。ある区の担当者にその理由を尋ねると次のような答えが返ってきました。
区担当者
「2000年以降は各区がそれぞれで配置基準を決められるようになったが、それまでは都が一律に配置基準を要綱で定めていた。今も一部を除いて一歳児について5:1の基準となっているのはその名残なのではないかと思う」
千葉県です。
ここは少しサンプルが少ないのですが、政令市の千葉市や人口増加で注目されている流山市などでも独自の基準で保育士を多く配置しています。
千葉市(公立・私立)
0歳児 3:1(国は3:1)
1、2歳児 5:1(国は6:1)
3歳児 20:1(国は20:1)
4、5歳児 30:1(国は30:1)
流山市(公立)
0歳児 3:1(国は3:1)
1歳児 4:1(国は6:1)
2歳児 6:1(国は6:1)
3歳児 17:1(国は20:1)
4、5歳児 30:1(国は30:1)
神奈川県で注目したのは横浜市と横須賀市です。
人口370万人の横浜市。市内の認可保育所は、公立が61か所、私立が796か所あります。
公立は国基準ですが、実は私立保育所に対して、手厚い基準を設けています。
それが次の通りです。
横浜市(私立)
0歳児 3:1(国は3:1)
1歳児 4:1(国は6:1)
2歳児 5:1(国は6:1)
3歳児 15:1(国は20:1)
4,5歳児 24:1(国は30:1)
横浜市は、この政策のために毎年78.5億円の予算をあてているということです。
神奈川県横須賀市(公立・私立)
0歳児 2.57:1(国は3:1)
1歳児 4.5:1(国は6:1)
2歳児 5.2:1(国は6:1)
3歳児 18:1(国は20:1)
4、5歳児 27:1(国は30:1)
神奈川県のなかで、トップクラスの手厚い配置基準を設けているのが横須賀市です。平成25年には、この基準を盛り込んだ条例までも施行しています。
これについて担当者に聞きました。
横須賀市子育て支援課
「条例制定以前から手厚く配置した民間保育所に補助は行っていて、その水準にあわせる形で条例を制定した。補助をいつから始めたかはわかっていないが、過去の資料をさかのぼると、遅くとも平成2年には始めていたようだ」
自治体間格差 専門家はこう分析した
1都3県で保育士の配置基準を取材してみて、意外だったのはこうした基準が実はここ数年ではなく、1970年代に定められたものが多かったという点です。
どうして昔の方が手厚い基準となっていたのでしょうか。
これについて、保育研究所の所長で、帝京大学元教授の村山祐一さんに話を聞きました。
村山祐一さん
「高度成長に伴い女性も働き始めて、1970年代に育児休業が始まった。こうした流れの中で、地方自治体の間で保育士の配置基準の見直しを要望する声が高まり独自に基準が定められたのではないか。
しかし、その後、待機児童問題が深刻になり、国もさまざまな対策を打ち出している。これを受けて、保育所の定員を増やすために、自治体が独自に手厚くしていた配置基準を国基準にまで緩和することを検討する自治体もあった。保育所の整備など“量の拡充”に力点が置かれて、“保育の質”の議論は後回しにされてきたのが現状だ」
実態とかい離 国の賃金UPの対象にならない…
さらに、この配置基準の取材を進めると、自治体は別の問題にも直面していました。
国は、ことし2月、エッセンシャルワーカーの処遇改善策として、保育士らの収入を3%程度(月9000円)上乗せする事業を始めました。
しかし、この補助金は国の保育士の配置基準を基に計算されているため、独自予算で保育士を増やしているところほど、一人あたりの上乗せ額は減ってしまいます。
そうした中、練馬区の取り組みは目をひきました。
練馬区では、保育士や看護師などを国の配置基準よりも多く配置していますが、そのため区内の保育施設で働くおよそ6000人のうち、1200人分の補助金が不足しました。
そこで、区は、対象とならなかった人も国の事業と同様に賃金が3%引き上げになるよう、独自の予算を確保しました。支援規模は年間およそ3億5000万円に上るといいます。
練馬区保育課
「同じ職場で働いている保育士には同様に配分されるべきだと考え、国の処遇改善の対象から外れた保育士などに独自支援を行うことにした。保育所は社会を支えるインフラだ。区の負担は少なくないが、処遇改善で人材の確保や子育て支援サービスの充実させたい」
保育格差これでいいの?
取材からは、国の配置基準では保育現場の人手不足に対応できないため、多くの自治体が独自の予算でそれに対応している実態がみえてきました。
ただ、それでいいのでしょうか?
NHKには、保育士たちから「自治体の独自の対応だと、それがいつなくなるかわからないので不安。国の基準を変えてほしい」という意見が寄せられています。
また、専門家からは「子どもの命や安全に影響を与えかねない保育士の配置基準が地域によって差があることはあってはならない」という話もありました。
(NHK首都圏ニュースより)
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居宅介護支援のケアマネジャーが利用者の在宅生活を支える中で、その責務として制度的に必ずしも明確に位置付けられていない様々な支援を行っていることが、日本介護支援専門員協会による調査の結果で改めて明らかになった。利用者のパートナーの「離婚したい」という相談にのったり、ゴミ屋敷の片付けをしたりするケースもあると報告されている。
この調査は、協会が今年の4月から9月にかけて実施したもの。対象者と回答率は、
○ 居宅のケアマネ=2000人(74%)
○ 市区町村の介護保険課=500ヵ所(52%)
○ 地域包括支援センター=500ヵ所(71%)
となっている。結果は今月13日、自民党の「日本ケアマネジメント推進議員連盟」の総会で示された。
現場で実際に行ったことのある支援内容について、ケアマネの答えをグラフにまとめた。日常的な安否確認・見守りやトラブルに伴う緊急訪問、介護保険制度を超えた相談などに、大多数が対応している実態が改めて浮き彫りになっている。
個別事例としては、利用者のパートナーから「もう嫌になった。離婚する」と悩みを打ち明けられたケースが紹介されていた。このケアマネは、本人のことを思って家族ぐるみの相談にのったという。このほか、近隣トラブルを回避するために住まい周辺の粗大ごみを処理したり、アパートの退去を迫られた利用者を守るために大家と協議したりするケースもあった。
また、今回の調査結果では、市区町村や包括の多くがこうした支援を他の機関が担うべきと考えていることも分かった。例えば介護保険制度を超えた相談。居宅介護支援事業所に任せるだけでなく、市区町村や包括、民生委員などが担うべきとの答えが大勢を占めていた。
「地域の高齢者を支えるうえで欠かせない大切な取り組み。我々はこうした支援を『やりたくない』と言いたいわけでは決してない。専門職として利用者を放置するようなことはしない」
13日の自民党の議連で、日本介護支援専門員協会の幹部は調査結果を提示しながらこう強調した。
「本来業務も増えている中で、地域で期待される役割も拡大している。負担は大きいが、多くの介護支援専門員が献身的に支援を展開している」と説明。曖昧なままになっている業務範囲の整理、それに見合う報酬上の評価が必要だと主張し、「介護支援専門員が担っている仕事を理解し、その評価をきちんとして欲しい。事業所の経営が安定していないと、介護支援専門員も安心して仕事をしていけなくなる」と訴えた。(介護ニュースより)
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