クリニック・病院の現場Q&A
A 法的な規制はないため、支給基準や額などはどのように決めても問題はありません
通勤手当の支給について留意すべき点
通勤手当は、片道の通勤距離と手当の額によって所得税法上の非課税限度額が定められています。この限度額を超えて支給される通勤手当は課税の対象になります。また「通勤距離にかかわらず一律に支給される通勤手当」(例えば、マイカー通勤者全員に一律2万円支給など)も課税対象になるケースもありますので、ご注意ください。
マイカー通勤中、交通事故の加害者になった場合のクリニックの責任
マイカーを通勤だけでなく業務にも利用していた場合、事故の相手に対して運行供用者責任、または使用者責任(民法715条)が認められる可能性があります。
現実に事故を起こした本人が保険加入を行っている場合や、経済的に補償能力がない場合には、被害者がクリニックの責任を問題にする可能性も考えられます。
一定以上の任意保険加入を義務づけ、従わない場合には手当を支給しない
このような事態に備えて、マイカー通勤をするスタッフに一定補償額以上の保険に加入することを義務づけ、毎年許可申請をさせて確認するようにしましょう。万が一、事故を起こした場合には、クリニックに迷惑をかけないと誓約書を取っておくことも考えられます。
マイカー通勤のルールを整備し、事故を起こせば自分たちの責任では済まされないことを説明し、何らかの安全を確保するための措置を講じる必要もあります。
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A 「採用での失敗は、育成でカバーすることは難しい」とも言われます。
どのような人を採用するか、これは言うまでもなく、事業運営の中で最も重要な事項といっても過言ではないでしょう。社員の定着のためには「定着するような人材を採用する」といった方が現実的かもしれません。しかし、実際には人手不足の際には、「応募してくれた方は、多少気になる点があってもほとんど採用する」という状況は、決してめずらしいことではありません。このようなことを繰り替えしていると「すぐに辞めるような人」を採用していることになりかねません。
それでは「辞めない人材」とはいったいどんな人材なのでしょうか。それは法人理念に共感できる職員を選ぶことです。理念に共感できるとは、法人として「大切にしたい価値観」の共有ができる方と言ってもいいかもしれません。
現場が人手不足の状況なので、ついつい早く人を「補充」したいという考えから、候補者の過去の経験、職務のスキル、資格などを重視した基準で採用を決定する場合も多いと思います。ただ、結果として、このような情報は、意外とあてにならないという経験をされた経営者も多いのではないかと思います。そこで、重要なのは「その方の価値感が法人の価値観や考え方に合うかどうか」ということになるのですが、問題はそれをどのように見極めるか、ということになります。もちろん、価値観が垣間見れるような質問内容を、事前にしっかり準備しておく必要がありますし、その結果を面接官複数の目で見て、客観的な指標にまで落とし込んでいくことをお勧めしています。
一方、候補者もそれなりに準備をして面接に臨みますので、なかなかホンネの部分までは見極めるのは難しいものです。ある法人の理事長は、法人創設の経緯や経営理念をできる限りわかりやすく、そして何度も何度もしつこいぐらいに伝え(これが重要ということです)、それを聞いている表情や反応で、十分判断できるということをおっしゃいます。また、ある施設長は、事前に施設見学(かなり細部にわたる現場見学)を行っていただき、そこで感じた内容を、どれだけ自分の言葉で伝えられるかをみている、と言います。このような方法ですと、事前の準備ではなく、過去の経験が本人の言葉で出てくることが多く、その方の現在の感じ方や価値観が、よりリアルに伝わってくるといいます。
下記に面接のときの質問の留意点をお伝えいたしますのでご参考にしてください。
- 具体的な内容を質問する
漠然とした回答ではなく、具体的な回答を聞くことで本音を見出します。
・「なぜこの仕事を選んだのか、人の役に立つとはということは、どういうことなのか
具体的に言ってください」
・「採用された場合、あなたの能力をどういった仕事に活かしたいですか。具体的にこたえてください」
- 人間関係についてどう考えているか確認する。
人間関係の関する質問は、入職後のトラブル回避にためにも非常に重要です。
・「入職後、法人とあなたの方向性や想いが異なる時、あなたはどのようにしますか?」
・「同僚との意見が食い違う場合、あなたは意見を通しますか、黙りますか、また通すとしたらどんな方法で?」
- 求職者からの質問を引き出す
面接試験で一通り質問が終わったら、必ず求職者に対して質問がないか確認します。面接が終わったという安心感から本音が見え隠れすることがあり、人間性を確認できることもあるようです。求職者が質問する内容は、採用された場合のことを想定していることが多いため、「どの部分に興味を示しているか=本当の志望動機」がわかることも多いように思います。
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A 昇給は必ずしも行わなければならないというものではありませんが、何も基準が無いと
スタッフが不安を感じる可能性がありますので、支給の「目安」を作っておくといいでしょう。
詳解
長く勤めたいと思っているスタッフにとって頑張れば給料を上げてもらえる」ということはモチベーションにつながります。反対に「どのくらい上がるかわからない」「そもそも
あがるかどうか すらわからない」という状況では、将来への不安を感じるスタッフもいるでしょう。もちろん、昇給はクリニックの経営状況で出来ないこともありますが、出来るだけ標準的な目安をつくり「大体、毎年これくらいは上がる」というメッセージ性を出していくということは、スタッフの勤務意欲を高める一定の効果があります。
昇給額はクリニックによって様々ですが、効果的な昇給基準を作りには以下2点を抑えるといいでしょう。
①長期間(10年以上)同等額で昇給し続けられるか
②昇給がスタッフの勤務意欲につながっているか
③地域の職種別の賃金相場と比べ、見劣りしないか
クリニックによっては、毎年1万円の昇給を行っているところがあります。ただ、毎年1万円の昇給は、10年で10万円の月給がアップすることになります。月給18万円であった方が28万円になるわけでです。因みにですが、一上場の大手企業でも平均昇給は7千円程度です。
また昇給する年としない年があると、昇給できなかった人は「私は評価されていない」「先生が認めてくれていない」と感じるスタッフが出ます。これでは、せっかく1万円昇給しても逆に、モチベーションの低下を招くこともあります。できるだけ、毎年昇給できる金額に設定しておくことがポイントです。
データによりますとクリニックの平均的な昇給額は2000円から4000円です。例えば毎年3000円昇給した場合、10年後は月給が3万円アップとなります。仮に月給18万円の事務所の場合、10年後の月給が21万円になります。経験10年の中堅スタッフとしては妥当な給与設定と言えるのではないでしょうか。参考までに職種別の全国平均昇給額を下記しますが、病院でも4200円程度です。この額からみても、クリニックで2000円から4000円の昇給であれば、妥当な額と言えるのではないでしょうか・
看護師 4272円 准看護師2825円 事務員 4284円 看護補助3390円
(2015年データより)
毎年昇給額を変えるのが面倒で、とりあえず一律3000円とする院長もいます。ただ、一律の昇給では、頑張っても 頑張らなくても同じ賃金がもらえるため、モチベーションを落とし方が出てきます。評価に応じた昇給額を設定し、働きぶりに応じた昇給額にしていくことが大切です
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A,
共働きで夫婦共に健康保険の被保険者の場合、子ども等の扶養家族がどちら
の被保険者の被扶養者にも入れる基準を満たしていることがあります。その際、
どちらの健康保険の扶養に入れるかは、夫婦の年間収入の差や主に生計を維持
している者はどちらかなどを踏まえ、総合的に判断されます。
詳細解説:
1.共働きの場合の被扶養者の認定以前は男性(夫)の年収が女性(妻)の年収よりも多い世帯
が大半でしたが、共働き世帯の増加に伴い、両者の年収が同程度または逆転している世
帯も増えています。これにより、2021 年 8 月に、夫婦共に健康保険の被保険者であり、2 人で子ども等を扶養する場合(共同扶養)の被扶養者の認定基準が見直され、具体化かつ明確化されました。※主な基準は、次のとおりです。
① 被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後 1 年間
の収入を見込んだもの)が多い方の被扶養者とする
② 夫婦の年間収入の差が年収の多い方の10%以内である場合は、「主として生計
を維持する者」の被扶養者とする
2.実務上の判断
今回の質問のように、共働きで夫婦共に健康保険の被保険者の場合、まずは両者の年間収入の多い方の扶養に入ることになります。
例えば、年間収入が夫は 420 万円、妻は 450 万円の場合、妻の扶養に入ることになりますが、年間収入の差額割合は約 6.7%(年間収入の差額割合が 10%以内)のため、「主として生計を維持する者」が夫の場合は、子どもは夫の健康保険の被扶養者となります。そのため、配偶者の年収の状況も確認の上、届出を行う必要があります。
被扶養者の届出は、その年収が要件を満たしているかという点に着目しがちですが、共働きの夫婦のような場合には、家族全体の状況を確認する必要があります。
手続きの際の確認事項をまとめるとともに、ご相談のケースでは家族手当の支給基準が現状のままでよいか、検討してもよいでしょう。
※ 参考:「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定につ
いて(令和 3 年 4 月 30 日保保発 0430 第 2 号・保国発
0430 第 1 号)」
A
、例えば、10人規模の訪問介護事業所や、通所介護(デイサービス)事業所でも十分にキャリアパスは構築できます。規模が小さい事業所は職責や組織のポジションが少なく、また給与財源が限られているという理由で、キャリアパスを作っても、意味がないとお考えの事業所は多いようです。ただ、社内のポジションで考えてみると、資格等級制度における「昇進」と「昇格」は異なります。「昇進」は確かにポジションが空かなければ上に進むことはできませんが、「昇格」は等級要件がクリアできれば全員昇格するのが、キャリアパスにおける資格等級制度の考え方です。例えば、取得した資格のレベル、勤続年数、人事評価などで、各等級の要件を定め、その昇格要件を決め、給与や時給に連動させれば、立派なキャリアパスです。また、昇給財源ですが、前述の処遇改善加算金を、財源に充当させることも十分可能ですし、むしろ国もそれを奨励しています。もしかしたら、従業員教育に時間をかけられない小規模事業所だからこそ、その仕組みにより自発的に能力を高めるようになるといった、キャリアパス効果は大きいかもしれません
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①医療分野キャリアパス
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②介護分野キャリアパス
処遇改善加算対応キャリアパス構築コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
③保育園のキャリアパス
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A
職場での服装については、個々の企業の提供するサービス、業種・業態や社会的慣習
等を踏まえて職場において一定の指示等が行われる場合があり、業務上の必要性や相当
性が認められるものも当然あります(※)。
他方で、例えば、足に怪我をした人に対してヒールのある靴の着用を強制するような
言動などは、職場におけるパワーハラスメントに該当し得ますが、具体的には、個別の
事案における様々な要素を総合的に考慮して、職場におけるパワーハラスメントの定義
の3つの要素を満たすかどうかで判断することとなります。
※ なお、職場での服装に関し、同一の職務に従事する男女の労働者について、例えば、メガネなど社
会通念上男女双方が同様に着用するものについて、合理的な理由なく、一方の性についてのみ禁止し
たり、単に苦痛を強いるような合理性を欠くルールを一方の性の労働者にのみ強いたりすることは、
一般的に、男女雇用機会均等法の趣旨に反し、望ましくありません
→
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A 評価フィードバックを年2回実施し、さらに個別面談(毎月)にて課題解決のフォローを行っている。
人事評価でもっとも大切なキーワードは何でしょうか。それは「透明性」と「納得感」です。透明性とは、人事評価でいえば、どういう評価項目で、だれがどのようなプロセスで評価をしているのかが明確であること。また「納得感」とは、なぜその評価結果になったのか被評価者が理解し、納得することです。しかしながらこの納得感が生まれるのはそう簡単にはいきません。なぜなら多くの職員は、自分は一所懸命仕事をし、それなりに仕事で貢献していると思っているからです。しかしながら、上司の評価がそのようなものでない場合には、だれしも心穏やかでは、いられないはずです。半ばあきらめて、表面的に納得したフリをしている場合も多いのではないでしょうか。それでは納得感を醸成するにはどうすればいいのか。まず、絶対に必要なのが、フィードバック面談です。面談では、自己評価と上司評価が明らかに違っている項目に着目し、その評価にした根拠を具体的に話し合うことで、お互いの視点や期待レベルを知ることができ、初めて「納得感」が醸成されてくるものです。
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②介護分野キャリアパス
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③保育園のキャリアパス
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A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも
構いません。
切り上げにしないと給料未払いに
給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。
休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。
例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が
ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。
未払い残業は行政指導の対象に
残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。
適切な時間管理とは
厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。
- 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
- 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
- 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。
労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。
固定残業代として定額を支給する際には慎重に
固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。
- 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
- 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
- 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること
この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。
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A 採用までのスピード感と内定後のフォローが大事です。
- 面接から内定までの間をあけない
クリニックの応募者は一般的な企業の求職者ほど就職先をさほど慎重に選んでいないのも実態ではないかと思います。もちろん「このクリニックでどうしても働きたい」という人は少なく、「ここを断って次のクリニックでもおとされたらどうしよう」という不安もあるため、最初に内定をもらえたところの就職を決める傾向があります。
したがって「良い人材だ」と思ったらできるだけ早く結論を出すことが大事です。優秀な人材はどこからでも内定をもらえます。内定まで1週間程度空いた場合、同時に受けたクリニックから内定がでたらそちらに決めたしまう可能性は高まります。良い人材と判断したらできれば面接の翌日には内定を入れることが望ましいと思います。ただ、判断が難しい場合や、候補者が複数いる場合には、判断を留保する場合もあります。その場合でも1週間後には結論を出した方がよいと思います。面接から2週間も経過してしまうと、本人も「歓迎されていない」と感じ、就職する意欲が薄れてしまいます。
- こちらも見られていることを忘れずに
面接する側も応募者から「見られている」という意識を持つ必要があります。他院を受けている応募者は、当然そこと比較し、自分なりに判断をしているわけで、いい印象を持たれなければ辞退されます。
私も面接に立ち会わせいただく機会がありますが、クリニック側の要望を伝えすぎてしまうケースがよく見られます。「うちに来たら、本来業務はもちろんだけど、院長秘書、掃除、診察の介助を幅広くおこなってほしい」などと一方的に並べ立ててしまうと、私には務まらないかも、と思って不安に感じてしまいます。要望は伝える必要がありますが「忙しくてもスタッフの助け合いで頑張っています」というように工夫して伝えることをお勧めします。
- 人は自分を求めてくれるところに行きたいもの
人は自分を必要としてくれているところに行きたいものです。内定の際にも「あなたを採用します」という一言でなく。「あなたのお人柄が当院には合うと思いました。全員一致で○○さんに来ていただきたいという結論が出ましたので、ぜひ当院に来てください」と伝えた方は応募者の心に響きます。内定後も「あなたを必要としている」というメッセージを伝えることが大切です。入職までに時間が空くようでしたら、スタッフとの顔合わせの時間などを持っておくことも大切です。途中でユニフォームの準備などの連絡をいれたり「入職をまっている」というメッセージを間接的に伝えることも大切です。
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A、「何をどうすれば、いい評価が得られるのか」。被評価者からすれば当然知りたい内容ですし、それが法人の求めている職員像につながることになるわけです。ところが、評価者側の都合で、もしくは評価者側の裁量の幅をできるだけ大きくできることを目的に、評価項目を抽象的な表現にしたり、評価点のつけ方などがブラックボックスにしているケースがあります。この場合、「求められる職員像」が明確にはならないので、目標自体に具体性が欠けることになります。
弊社が推奨する職能評価や行動評価は、事前に評価される内容が具体的に分かっているだけではなく、点数のつけ方もオープンにしているので、透明性が担保されるだけでなく、各職員においては自己成長の実感が可能になります。評価制度が本当の意味で職員を育てるための制度にするには、次に述べる視点がとても大切になります。
- 組織全体のレベルアップを図ることを目的とする。
評価によって優秀な職員を発見することも大切ですが、それよりも先に行わなければならないことは、普通の職員の能力を高めることによって組織全体のサービスの質を上げることなのです。一人の優秀な職員のヤル気を高めるよりも、多くを占める普通の職員のヤル気を高めることの方が大切であることを理解してください。
- 部署別、職種別、そして等級別に「期待される職員の努力」を具体的に明記する。
- はじめから「どんな努力をすれば良い評価(SまたはA評価)になるか」を明示しておく。この内容が「期待される職員像」となり、全ての職員に、期の初めから「こんな努力をしてほしい」と明示する。
評価は学校で行われるような試験や通信簿ではありません。学校の教育では、教科書に基づいて教えていき、期末または年度末に試験をして結果だけを測定し、評価すればいいのですが、職場ではそうではなく、どんな問題を出すのか(つまりどんな行動を期待しているのか)を初めに明確にしておいて、出来るだけ多くの職員が優秀な成績、つまり5段階評価ならS評価やA評価を取ってもらうようにすることが必要なのです。
その場合、必ず意見として聞こえてくるのが、「良い評価が増えれば、人件費が増加してしまうのでは?」という懸念です。もちろん、評価結果を反映させる処遇の財源(例えば、処遇改善加算)は確保しておきながら、その財源の限度内で分配を行う管理手法は必要になってきます。
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