クリニック職員の給与・賞与に関する不満へ対処方法 ~給与が少ないと不満をいう職員への対応~
1,自院の給与体系を構築することからはじめましょう。
他のクリニックと比較して「給料が安いからやめたい」と言ってきた職員にはまずは、職員との話し合いの場をもち、自院の給与体系の説明をしてください。
そのためにも、昇給や賞与はどの様に決まるか自院の給与体系をしっかりと定めておく必要があります。院長先生の独断で、その時の状況によって昇給や賞与水準が決まってしまうような体制ではそもそも給与の説明が出来ません。
体系とルールに沿って昇給や賞与が決まるような賃金制度が無いクリニック様は、早急に導入を検討された方が良いものと思います。
2,給与だけの比較で判断できないことを理解してもらう
特に看護師のような売り手市場の資格をもつ職種の場合には、ハッキリと給与に対する不満を訴えてくる事があります。
但し、辞められるのを恐れて、言いなりに金額を上げるのは好ましくありません。
他院と比較された場合、給与だけでなく、残業時間や有休休暇の取得率、職場の雰囲気、福利厚生など、はたらく上での要素を一つずつ比較します。手取りの金額だけでは判断できない部分が必ずあるはずです。
またお給料が安いと口にしながらも辞めずに働き続けるケースもあります。例えば、職員同士の仲がいい、子どもの病気や行事の際には融通がきく、やりたいことを提案し、実行できる、などその理由です。
3,給与以外に不満を感じていないかを確認する
「お給料が安いから辞めたい」と言っていますが、職員は給料に対する不満を口実にしているだけで、実際には人間関係やそのほかの要因で辞めたいといっていることも往々にしてあります。
医院長が思いもよらないことから、職員同士がギクシャクし、表面上には表れない要因が発生しているかもしれません。
いずれにしても、このような訴えがあった場合には、一度話し合いの場を設け、掘り下げたコミュニケーションを図ることが重要です。
もし、単に給与のみが理由であるならば、言葉通り、他のクリニックに移ってもらった方がお互いの為にいいかもしれません。
但し、仕事を進めるうえで環境が悪化していること示唆するような言動があった場合には、院長はさらに踏み込んで、職場環境を整えるにはどうしたらよいかを考える必要があります。
4,短期/長期の両面でアドバイスをする
例えば、今は独身で若いから、休みよりとにかくたくさんのお給料がほしい、と考えている職員であっても、万が一のけがや病気、妊娠、出産のときに安心して療養、休業できる環境であることが、長期的に考えた場合は働く意欲を持たせることが出来ます。
目先のお金にとらわれることなく、給与体系や体制について、院長の理念をきちんと理解してもらうこと、そのうえで、職員の働く動機を再度確認し、クリニックの方針とのマッチングを一緒に考えることが大切です。
職員の動機付けには、
- 短期の視点(日々、目の前の仕事への動機づけ)と
- 長期の視点(将来を見据えての働きがいなど)
の2点を捉える必要があります。
職員と対話する時には、この両面の視点でアドバイスすることが大切です。