クリニック院長先生からよく相談を受ける「人事評価に納得いかない職員職員への対応」
1,人事評価の基本的な流れは2つのステップにわかれる
人事評価は通常、次の2つのステップに分かれます。
STEP1 評価項目ごとの評価
「チームワーク」や「患者対応」など、評価項目ひとつひとつに対して評価点をつける。
(〇、△、× 等)
STEP2 総合判定
評価項目ごとの評価点を集計し、その集計結果に基づいて総合判定を行います(「A,B,C・・・」等)
2,総合判定で言い争うことは避け、行動事実を基に話し合う
人事評価結果を昇給や賞与に反映させる場合にはステップ2の総合判定が使われますので、職員にとってはこれが最も気になるのは無理もありません。
しかしながら、総合判定結果は個々の評価結果を集計し、また調整したものです。その結果をもとに職員とAかBかと言い争ってもらちがあきません。職員の納得を得るには、 ステップ1の評価項目ごとの評価の段階で、どのような行動事実を根拠にどう判断したかを伝えることが最も重要です。
3,総合判定は必ずしも個別の評価結果通りにはならない
処遇に反映する総合判定を最終決定する際、評価の集計結果をそのまま用いず、全職員の評価の分布状況や部門別の分布(評価バラツキ)を見て、相対分布や職種別調整を行うクリニックも多いと思います。本人にフィードバックするのはこの最終の評定結果となります。
院長としては、どのようなプロセスを経て評価の最終決定に至ったかについて確認した上でフィードバックに臨む必要が有ります。個別評価のままなら「A」評価になるにもかかわらず、全体バランスを考慮した最終総合判定が「B」ということもあり得るからです。
4、評価対象期間を通して職員を観察し、記録を残す
人事評価には、通常半年から1年程度の評価対象期間が決められています。
評価対象期間が終了したころに、評価シートを作成します。このタイミングで始めて職員の半年間なりを振返れるようでは、適性な評価はできないと考えた方がよいでしょう。
よほど印象に残り事があれば別ですが、院長も診療その他経営者としての業務をこなしているわけですから、職員一人ひとりの状況を思い出すのは難しいでしょう。これでは、評価エラーも起こしやすく、具体的なフィードバックもできません。
このことを解消するには、評価対象期間中、職員ごとに観察メモを作成しておき、褒めたり指導したりした都度、その記録を残しておくことです。つど記録を残すのは面倒ですが、習慣化することが大切です。記録を残しておくと、いざ評価シートを作成するときも億劫になることなく評価できます。何と言っても院長自身がとても楽になれます。記録があれば、フィードバックするときに具体的な話として、職員に説得力をもって伝えることが出来ます。