クリニックにパワハラが発生した場合の留意点①
パワハラ防止措置に関する法律が成立したことにより、会社は、パワハラ防止措置を講ずることが義務付けられ、相談者からの相談に対応することが求められます。
もしも、会社が適切に対応しなかった場合、安全配慮義務違反を問われかねません。
1,時間を空けずに相談を聞く
相談者からパワハラについて話がある、相談したい等の申し入れがあった場合に、なるべく時間を空けずに相談のための時間をとってください。業務多忙ですぐには時間が作れないこともあろうかと思いますが、対応遅れると被害が深刻になることもあるので、早急に事実関係を確認することが求められます。従って、「今月は忙しいので、来月で良いですか?」等という対応は避け、なるべく時間を空けずに相談者からのヒアリングを実施しましょう。
2,ヒアリングの基本方法
相談者からヒアリングをする場合は、個室で、周りに聞こえない場所で実施するなど、相談者のプライバシーに配慮した形で行います。
近くにパワハラ行為者と思われる人がいる場所では委縮してしてしまうことがあるので、物理的にも離れた場所や行為者とされる人が外出している間に実施するなどの配慮が必要です。
3,メール、録音、写真など客観的な証拠の確保
ハラスメント事案で重要になるのは、メールや録音などの客観的な証拠です。そのような証拠を相談者が保有している場合には、同意を得てコピーを受領し、保存しておきましょう。
携帯を紛失するなど履歴が喪失してしまう可能性があるので、本人だけに任せず、会社でも保存しておくことが大切です。
また相談者のヒアリングの際に、「○○さんが見ていた」「○○さんもしっていると思う」など、目撃証言が得られそうな人についても、相談者からヒアリングしておきましょう。
4,ヒアリングの留意点
まずは、何があったか、とにかく相談者に自由に話をしてもらいましょう。そのうえで
いつ、どこで、だれが、何をしたのか、それがどのくらいの期間続いているのか、被害者は他にいないのか、それを裏付ける客観的な証拠や目撃者はいないか、相談している同僚はいないか等、必要な情報を補足的に聞く方法がいいと思います。
5,相談者の意向も確認しておく
相談時に、相談者の気持ちや意向についても確認しておきましょう。それによって会社はどの様な調査をするのか、どこまでするのかに影響します。
- 加害者には自分が相談したことを伏せておいてほしい
- ただ会社に被害を伝えたい
- 同じ職場で働きたくない
- 加害者にしかるべく処分をしてもらいたい
- 加害者を解雇してほしい
等、様々な意向があります。ただ、あくまで意向を聞くものでありそれに拘束されるものではありません。
6,今後の手続きを説明する
今後、どのような流れになり、どのくらいの時間がかかりそうか等を伝えておきます。
このようにパワハラ相談があった場合には、相談者の意向にも配慮した上で、適切な対応が求められます。
以上