クリニックにパワハラが発生した場合の留意点②

パワハラの調査にあたって、行為者又は加害者とされるもの(行為者と言います)に対するヒアリングの留意点についてお伝えします。

(1)ヒアリングの順番

行為者から先にヒアリングを行うか、第三者(上司、同僚、部下)から先にヒアリングを行うかは、事案によって決めるべきですが、基本的にはまず行為者を先にヒアリングします。

行為者にヒアリングした結果、相談内容である事実関係と一致している場合は、パワハラかどうかは別として、かなりに確立で言動があったことは確認できます。行為者に確認しても事実関係が確認できない場合には第三者にもヒアリングするという流れが一般的です。

(2)ヒアリングの実施方法

ヒアリングはあくまで事実関係の確認です。従って、個人的には、事前に行為者にヒアリングをすることを予告しなくても「ちょっと聞きたいことがある」という形で呼び出して実施しても特に問題ないと思います。

ただし、ヒアリングに応じないという態度は、それ自体が業務命令違反であることや、事実認定をする際の一つの事情にはなるものと思います。

(3)正直に話してもらうこと

行為者へのヒアリングでの回答には大きく分けて3パターンがあります。

  1. 「言動の存在は概ね認めパワハラであったことを認める」
  2. 「言動の存在を認めるもののパワハラではないと主張する」
  3. 「言動そのものを否定する」
問題は、言動そのものを否定する場合ですが、最初のヒアリングの段階で、会社が所持している証拠を開示する必要はないと思います。

まずは、どこまで正直に話してくれるかをみます。証拠の内容で行為者が供述をかえる可能性もあるからです。

(4)行為者の名誉棄損にも配慮

行為者の言動が問題になったとしても、言動そのものの存在やその言動がパワハラと評価できるかどうかは、まだわからない状況です。

万が一パワハラの事実が確認できなかった場合などには、結果として行為者の名誉を傷つける場合もありますので注意が必要です。

(5)犯人捜しや報復は絶対にしないよう伝える

行為者にヒアリングをすると、「犯人探し」や「報復」が起こる可能性があります。

また相談者を取り下げるよう強要したり、相談者や証言者に対して何らかの圧力をかけるようなこともあり得ます。このような行為をした場合には、それ自体が別の処分対象になることを伝えたうえで、犯人探しや報復を絶対にしないように念を押しておく必要が有ります。

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