クリニックのパワハラ対応の留意点④

今回はクリニックの中でのパワハラが起きた時の対応に関する最終回です。

パワハラ関係者からのヒアリングをした後、院長や事務長によって、「パワハラがあった」と結論づける場合と「パワハラとまでは言えない」と結論づける場合の双方での留意点を説明します。

「パワハラとまでは言えない」という結論に相談者が納得いかない場合の対応

ヒアリングを適切におこなった上で結果として「パワハラがあったとまでは言えない」という結論の場合には、なるべく早く相談者に伝えるべきです。なかなか相談者には言いづらいかもしれませんが、問題の先おくりにしかならないので早く伝える方がいいと思います。相談者から「納得できない」「もう一度ヒアリングしてほしい」等と厳しい口調で言われたとしても、安易に結論を変えるべきではありません。

もっとも、結果を伝える際には、相談者の受け止めに配慮し「あなたの言っていることを疑っているわけではありません。ただ、客観的に事実をヒアリングした結果、今回の申し出はパワハラとまでは言えないということに結論づけました」等と丁寧に説明すべきです。

尚、相談者から再度の調査を依頼されても、特に新しい事実が確認されない限りは再調査はしない、というスタンスでいいと思います。

処分等の検討

パワハラがあったとする結論の場合は、再発防止の為にも基本的に懲戒処分を検討すべきです。処分の程度については、加害者、被害者の関係性、被害の程度、反省の有無、過去の処分の程度とのバランス、職場秩序に与えた影響、等を総合的に考慮して処分内容を検討すべきです。

再三にわたる注意指導にも関わらず改善しないような場合はともかく、初めてのパワハラでの処分の場合は、まずは本人に自覚を促し、改善させるというプロセスを経るべく、雇用契約の終了に至らない懲戒処分を検討すればいいのではないかと思います。

その他、人事権の行使として配置転換なども検討すべきです。その場合には、基本的に加害者の配置転換を検討します。困難な場合には、被害者の異動も検討せざるを得ません。但し、その場合には、被害者に事情を十分に説明し、同意を得ておこなうことにしてください。パワハラ被害の申告により、不利益な取り扱いを受けたと思われないようにしなければならないからです。

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